JP2001141673A - 時間分解型表面分析装置 - Google Patents

時間分解型表面分析装置

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JP2001141673A
JP2001141673A JP32534499A JP32534499A JP2001141673A JP 2001141673 A JP2001141673 A JP 2001141673A JP 32534499 A JP32534499 A JP 32534499A JP 32534499 A JP32534499 A JP 32534499A JP 2001141673 A JP2001141673 A JP 2001141673A
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Takao Kusaka
貴生 日下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料表面の構造と試料表面の像とを、どちら
もリアルタイムで時間分解して測定することができ、両
方の測定を効率的に行うことができる時間分解型表面分
析装置を提供する。 【解決手段】 本発明の時間分解型表面分析装置は、試
料の表面の状態を時間分解して測定する時間分解型表面
分析装置であって、前記試料表面の構造を測定する構造
測定手段と、前記試料表面の形状を測定する像測定手段
と、を一体的に有する構成である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料の表面の構造
および状態分布を観測する表面分析装置に関し、特に、
時間変化する試料表面の構造および状態分布を時間分解
して追跡し測定する時間分解型表面分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイス、セラミック薄膜、半導
体超格子薄膜、超伝導薄膜などの製造や研究・開発で
は、生成物の表面組成や原子配列などの構造の動的変化
や、表面の凹凸等の分布を示す状態分布の形成過程を評
価することが必要である。そこで、それらの生成物を試
料として、時間的に変化する表面構造や表面形成過程を
観測するさまざまな方法が提案されている。
【0003】例えば、反射高速電子線回折法(RHEE
D:Reflection High Energy
Electron Diffraction)、イオン
散乱分光法(ISS:Ion Scattering
Spectroscopy)、透過電子顕微鏡(TE
M:Transmission Electron M
icroscopy)、光電子顕微鏡(PEEM:Ph
oto−Emission Electron Mic
roscopy)などが知られている。
【0004】この中で、イオン散乱分光法(ISS)
は、イオン源からエネルギーが一定であり平行なイオン
ビームを試料に照射し、あらかじめ定められた検出角度
に散乱されるイオンを検出することで、試料表面の元素
分析を行う方法である。
【0005】また、同軸近傍の散乱角、すなわち180
°近傍に散乱されたイオンを検出することとして、その
測定結果に定量性を持たせた直衝突イオン散乱分光法
(ICISS:Impact−Collision I
on ScatteringSpectroscop
y)が開発されている。
【0006】さらに、イオン源と同軸上に設けられた検
出器であるMCP(Micro Channel Pl
ate)で、同軸近傍の散乱角に散乱されたイオンを検
出し、散乱イオンの飛行時間(TOF:Time of
Flight)スペクトルから試料表面に存在する元
素の種類を分析する同軸型直衝突イオン散乱分光装置
(CAICISS:Coaxial Impact−C
ollision Ion Scattering S
pectroscopy)が特許第2567736公報
に開示されている。
【0007】図7は同軸型直衝突イオン散乱分光装置
(CAICISS)の主要部の構成を示す概略構成図で
ある。チョッピング制御装置24はチョッピング電極4
を極く短時間だけ開かせるように制御すると同時にスタ
ート信号をTDC(Timeto Digital C
onverter)39に通知する。チョッピング電極
4が開かれると、イオン源1から放出されたイオンビー
ムが極く短時間だけ試料41に照射される。試料41で
散乱されたイオンが同軸型の検出器7で検出される。検
出器7はイオンを検出すると同時にストップ信号を出力
する。ストップ信号はプリアンプ38を通してTDC3
9に通知される。TDC39はスタート信号と、ストッ
プ信号とに基づいて得られる飛行時間を、デジタル信号
に変換してデータ処理装置40に通知する。データ処理
装置40は、飛行時間に基づいて試料41の元素同定を
行う。
【0008】上記した動作を周期的に繰り返し行うこと
で、表面組成や原子配列などの構造の変化を時間分解し
て追跡測定することができる。
【0009】このような同軸型直衝突イオン散乱分光装
置には、原子層単位の定量的な構造解析が可能であると
いう特徴がある。また、飛行時間型エネルギー分析を行
うため静電型エネルギー分析法によるものとは異なり、
エネルギー走査をする必要が無くスペクトルの全体が同
時に測定できるので、変化を時間分解して追跡して測定
するのに適している。しかし、同軸型直衝突イオン散乱
分光装置は試料表面の全体的な、あるいは一部分の構造
を測定しているので、空間的な分布を測定することはで
きないという問題点がある。
【0010】一方、平坦な表面から放出される電子強度
分布の像を測定する方法として、光電子顕微鏡(PEE
M)に代表されるエミッション顕微鏡法(W.Engel, M.
E.Kordesch, H.K.Rotermund, S.Kubala and A.von Oert
zen, Ultramicroscopy, 36(1991)148-153)が知られて
おり、また、米国特許5266809号に、その測定方
法が開示されている。エミッション顕微鏡法は平面状の
試料表面から放出される電子(熱電子、光電子等)を加
速し、電子レンズで検出器に結像して観察する方法であ
り、その空間分解能は操作電子顕微鏡には及ばないもの
の、リアルタイムで像を観察できるので、放出強度の空
間分布のみならず、時間変化も高い分解能で時間分解し
て測定することができることがエミッション顕微鏡法の
特徴である(M.Mundschau, M.E.Kordesch, B.Rausenberg
er, W.Engel, A.M.Bradshow and E.Zeitler, Surface S
cience, 227(1990)246-260)。また、特に光電子顕微鏡
による方法では、表面の仕事関数の場所的変化のともな
う光電子放出量の変化によって表面状態の差をコントラ
ストとした拡大像を得ることができる。しかし、光電子
顕微鏡は試料表面の像を測定するのみであり、試料表面
の構造の測定を行うことはできないという問題点を有す
る。
【0011】その他、特許第2643328号公報に開
示されている反射高速電子線回折法は、同軸型直衝突イ
オン散乱分光装置による方法と同様に、試料表面の構造
をリアルタイムで測定することはできるが、空間的な分
布を測定することはできない。また、走査形μ−RHE
ED顕微鏡や走査形電子顕微鏡(SEM:Scanni
ng Electron Microscopy)によ
る方法は、試料表面の像を高い空間分解能で測定できる
が、走査によって空間分布を測定するものであるため
に、リアルタイムの測定はできない。一方、透過型電子
顕微鏡による方法は、試料表面の状態分布像を比較的高
い空間分解能でリアルタイムに測定できるが、試料の形
状や大きさに制限がある。
【0012】上記したように従来の表面分析装置は、そ
れぞれが利点/欠点を有しており、測定者は測定の目的
に合った表面分析装置をそれぞれ選択して測定を行って
いる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】表面構造の動的変化
(例えば、分子線エピタキシャル成長の表面形成過程な
ど)に対して時間分解評価を行うためには、リアルタイ
ムで形態や状態を観察/分析できる必要がある。特に、
表面の全体的な状態だけでなく、表面の状態分布像や形
態像などの特定物理量の二次元分布像をリアルタイムで
得られることが最も望ましい。
【0014】ところが、上記したような従来の表面分析
装置では、試料表面の構造と試料表面の像の両方を測定
する必要がある場合には、別の表面分析装置を用いて行
う必要がある。そのため、表面分析装置を換えるときに
は試料を移動させる必要があり作業が煩雑である。ま
た、完全に同一の条件で測定を行うためには設定等で注
意が必要であるという問題があった。さらに、両方の測
定器を備えておく必要があり測定器の維持管理が煩雑で
あり、実験室等のスペースの余裕が少なくなるという問
題があった。
【0015】本発明は上記したような従来技術の有する
問題を解決するためになされたものであり、表面組成や
原子配列などの表面構造と表面の状態分布像とを、どち
らもリアルタイムで時間分解して測定することができ、
両方の測定を効率的に行うことができる時間分解型表面
分析装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の時間分解型表面分析装置は、試料の表面の状態
を時間分解して測定する時間分解型表面分析装置であっ
て、前記試料表面の構造を測定する構造測定手段と、前
記試料表面の状態分布を測定する像測定手段と、を有す
る構成である。
【0017】なお、前記構造測定手段は、パルス化した
イオンビームを前記試料表面に照射するイオン照射手段
と、前記イオンビームの照射方向と同軸上に配置され、
前記イオンビームの照射の同軸近傍の散乱角で散乱され
るイオンを検出するイオン検出手段と、前記イオンの照
射から検出までの飛行時間を計測する計測手段とを有す
る構成としてよい。
【0018】また、前記像測定手段は、前記試料表面に
光を照射する光照射手段と、前記光の照射によって前記
試料表面から放出される光電子を結像する光電子結像手
段と、前記光電子が結像する面での電子強度の分布を検
出する電子強度検出手段とを有する構成としてよい。
【0019】あるいは、前記構造測定手段は、パルス化
したイオンビームを前記試料表面に照射するイオン照射
手段と、前記イオンビームの照射方向と同軸上に配置さ
れ、前記イオンビームの照射の同軸近傍の散乱角で散乱
されるイオンを検出するイオン検出手段と、前記イオン
の照射から検出までの飛行時間を計測する計測手段とを
有し、前記像測定手段は、前記試料表面に光を照射する
光照射手段と、前記光の照射によって前記試料表面から
放出される光電子を結像する光電子結像手段と、前記光
電子が結像する面での電子強度の分布を検出する電子強
度検出手段とを有し、前記イオン検出手段と前記電子強
度検出手段とが一体である構成としてよい。さらに、前
記光電子結像手段は、前記イオンビームの照射方向と同
軸上で、かつ、前記電子強度検出手段と前記試料との間
に配置されている構成としてよい。したがって、構造測
定手段と像測定手段とが一体化した時間分解型表面分析
装置で、時間的に変化する試料表面の状態分布と原子配
列の構造の両方を時間分解して測定できる。また、特別
な注意が少なく各測定を同一条件で行うことができる。
さらに、所有する表面分析装置の数が少なくて済む。
【0020】また、構造測定手段と像測定手段とが、レ
ンズ鏡筒内で無駄無く一体化している。
【0021】さらに、構造測定手段と像測定手段とが同
軸上に構成されているので、試料周辺の空間的な自由度
が高い。
【0022】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】図1は本発明の時間分解型表面分析装置の
一構成例を示す概略構成図である。
【0024】図2は中段制御手段100の構成を示す概
略ブロック図である。
【0025】図3は第1の下段制御手段200の構成を
示す概略ブロック図である。
【0026】図4は第2の下段制御手段300の構成を
示す概略ブロック図である。
【0027】本発明の時間分解型表面分析装置は、同軸
型直衝突イオン散乱分光装置としての機能と光電子顕微
鏡としての機能とを併せ持っている。
【0028】図1において時間分解型表面分析装置の構
成としては、同軸型直衝突イオン散乱分光装置として用
いるときにイオンを放出するイオン源1と、測定対象物
である試料41と、時間分解型表面分析装置が同軸型直
衝突イオン散乱分光装置として用いられる場合には散乱
されたイオンを検出し、光電子顕微鏡として用いられる
場合には光電子の強度分布を検出する検出器7と、イオ
ン源1から試料41に向けた筒状のレンズ鏡筒20とが
同軸上に配置されている。イオン源1は第1のターボポ
ンプ16と第1のスクロールポンプ17とによって差動
排気されて内部は高真空に保たれている。レンズ鏡筒2
0内部もまた第2のターボポンプ18と第2のスクロー
ルポンプ19とによって差動排気されて高真空に保たれ
ている。また、試料41はマニピュレータ(不図示)に
より3軸方向の粗動/微動、連続回転動作、および傾斜
動作が可能な試料ホルダ42に取り付けられて、真空ポ
ンプで排気され内部気圧が10-7〜10-9パスカルの真
空度に保たれたチャンバ(不図示)内に置かれる。
【0029】時間分解型表面分析装置が同軸型直衝突イ
オン散乱分光装置として用いられる場合には試料41に
照射されるイオンはイオン源1で加速される。また、光
電子顕微鏡として用いられる場合には試料から放出され
た光電子は試料41表面からレンズ鏡筒20までの空間
で加速される。したがって、イオン源1とレンズ鏡筒2
0とは試料ホルダ42(あるいは試料41)に対する加
速電圧をそれぞれ独立に設定することができるようにな
っている。
【0030】レンズ鏡筒20内部の上段にはイオン源に
近い側から、イオン源1から放出されたイオンビームを
集束する集束レンズ2と、ビーム位置を調整する第1の
ビーム偏向電極3とが設けられている。
【0031】レンズ鏡筒20内部の中段には第1の偏向
電極3に近い側から、イオンビームをパルス化するチョ
ッピング電極4と、ビーム位置を調整する第2のビーム
偏向電極5と、イオンビームを通すための直径2ミリメ
ートルの孔が空いた、しゃへい板であるチョッピングア
パーチャ6とが設けられている。
【0032】レンズ鏡筒20内部の下段にはチョッピン
グアパーチャ6に近い側から、検出器7と、通常は接地
されているメッシュ8と、散乱されたイオンと中性粒子
とを分離して測定する場合に負の高電圧が印加されてイ
オンのみを加速する加速管9と、同軸型直衝突イオン散
乱分光装置として用いられる場合には散乱されたイオン
を集束し、光電子顕微鏡として用いられる場合には検出
器7に像を投影させるための投影レンズとして働く静電
レンズ15と、試料41に照射されるイオンビームを必
要に応じて走査させる走査用偏向器10と、光電子顕微
鏡として用いられれる場合に主に倍率設定を行うための
中間レンズ14と、光電子顕微鏡として用いられる場合
にフォーカスを調整するための対物レンズ12とが設け
られている。さらに、対物レンズ12の後焦点面に、制
御により径の変更が可能な孔を有するアパーチャ13が
設けられている。
【0033】また、各部を制御する装置等として、イオ
ン源1を制御するイオン源制御装置21と、集束レンズ
2を制御する集束レンズ制御装置22と、第1のビーム
偏向電極3を制御する第1のビーム偏向電極制御装置2
3と、レンズ鏡筒20の中段を制御する中段制御手段1
00と、チョッピングアパーチャ6に電源を供給する電
源26と、レンズ鏡筒20の下段を制御する第1の下段
制御手段200および第2の下段制御手段300が真空
外に設けられている。
【0034】図2において中段制御手段100は、チョ
ッピング電極4を制御してイオンを試料41に照射さ
せ、同時にイオンの照射を通知するチョッピングコント
ローラ24と、チョッピングコントローラ24からの通
知によって時間デジタル変換器39にイオン飛行時間の
測定開始を示すスタート信号を出力し、また下段の各制
御装置に起動するタイミングを与えるゲート回路28
と、第2のビーム偏向電極5を制御する第2のビーム偏
向電極制御装置25とを真空外に有する構成である。
【0035】主に同軸型直衝突イオン散乱分光装置とし
て用いられれる場合に動作する、図3における第1の下
段制御手段200は、加速管9を制御する加速管制御装
置29と、静電レンズ15を制御する第1の静電レンズ
制御装置31と、走査用偏向器10を制御する走査用偏
向器制御装置30と、検出器7からの信号を同軸型直衝
突イオン散乱分光装置の場合と電子顕微鏡の場合とで、
信号の通知先を切り替える切替器27と、切替器27を
介してイオンを検出した旨のストップ信号を受け増幅す
るプリアンプ38と、スタート信号とストップ信号とを
入力としてイオンの飛行時間を算出し、デジタル信号と
してデータ処理装置40に出力する時間デジタル変換器
39とを真空外に有する構成である。
【0036】一方、主に光電子顕微鏡として用いられる
場合に動作する、図4における第2の下段制御装置30
0は、静電レンズ15を制御する第2の静電レンズ制御
装置35と、中間レンズ14を制御する中間レンズ制御
装置34と、アパーチャ13を制御するアパーチャ制御
装置33と、対物レンズ12を制御する対物レンズ制御
装置32と、各制御装置に指示等を与えるコンピュータ
36とを真空外に有する構成である。電源26は光電子
顕微鏡の場合にも使用される。
【0037】また、試料41表面に紫外線を照射する紫
外線照射装置11が試料41を望む位置に設けられてい
る。ここでは、HeやNeの共鳴線などの紫外線はエネ
ルギーが高く拡大像の空間分解能を低下させてしまうの
で好ましくなく、単色化されておらずエネルギーが低い
水銀ランプや重水素ランプの紫外線が適している。単色
化されていない低エネルギーの紫外線を用いると、試料
41表面の仕事関数の場所的変化による光電子放出量の
変化を良好に検出できるため、試料41の表面状態の差
をコントラストとした良好な拡大像を得ることができ
る。また、水銀ランプによる紫外線照射装置11は真空
外に設けることができ、シャッターなどの機構を付けて
紫外線照射をオン/オフすることが容易である。
【0038】さらに、検出器7から出力される光電子強
度分布の像(光電子像)を切替器27経由で受けて表示
する表示装置37がある。
【0039】まず本発明の時間分解型表面分析装置の同
軸型直衝突イオン散乱分光装置としての動作について説
明する。
【0040】図5は、本発明の時間分解型表面分析装置
を同軸型直衝突イオン散乱分光装置として用い、試料表
面の構造を測定するときのイオンの経路を示す説明図で
ある。
【0041】イオン源1はHe+、Ne+、Ar+等のイ
オンを0.5〜3.0キロボルトの電圧で加速してレン
ズ鏡筒20に入射させる。レンズ鏡筒20上段では、イ
オンビームを集束レンズ2で集束し、ビーム位置調整機
構である第1のビーム偏向電極3で中段へ導き入れる。
このときビーム径は直径が約1ミリメートルに絞られて
いる。
【0042】レンズ鏡筒20中段では、チョッピングコ
ントローラ24からパルス電圧が印加されたチョッピン
グ電極4で、イオンビームをチョッピングアパーチャ6
の直径2ミリメートルの孔に通過させてパルス化し、ビ
ーム位置調整機構である第2のビーム偏向電極5で下段
へ導き入れる。
【0043】レンズ鏡筒20下段をイオン源1からの入
射イオンが通過するときには、加速管9、対物レンズ1
2、中間レンズ14、静電レンズ15は使用されない。
また、アパーチャ13は最大に開放した状態である。ま
た、必要に応じて走査用偏向器10でイオンビームを走
査させてもよい。
【0044】試料41に入射して同軸方向に散乱された
イオンは検出器7で検出される。このとき、静電レンズ
15と加速管9(負の高電圧を印加)を使用してイオン
を加速し、イオンと中性粒子を分離して測定してもよ
い。
【0045】時間分解型表面分析装置は、上記した動作
を繰り返すことで時間分解した測定を行うが、その時間
分解能は2〜8ナノ秒の範囲で選択可能である。
【0046】時間デジタル変換機39は、イオンの照射
タイミングを示すスタート信号とイオン検出タイミング
を示すイオンストップ信号とに基づいてイオンの飛行時
間を算出する。データ処理装置40は算出された飛行時
間に基づいて試料の元素同定を行う。
【0047】次に、時間分解型表面分析装置の光電子顕
微鏡としての動作について説明する。
【0048】図6は、本発明の時間分解型表面分析装置
を光電子顕微鏡として用い、試料表面の像を測定すると
きの紫外線および光電子の経路を示す説明図である。
【0049】紫外線照射装置11から試料41に向けて
紫外線を照射すると、試料41表面から光電子が放出さ
れる。試料41とレンズ鏡筒20との間に印加された加
速電圧によって、光電子は数キロ〜数十キロ電子ボルト
に加速され、径を100マイクロメートルに設定された
アパーチャ13の孔を通過し、中間レンズ14と静電レ
ンズ15により拡大された像として検出器7に結像す
る。検出器7はプレート型検出器として光電子強度分布
を検出して増幅し、位置に対する光電子強度分布の情報
を電気信号として表示装置37に通知する。表示装置3
7は試料41表面の光電子強度分布の像を表示する。
【0050】なお、メッシュ8に所定の電位を印加して
低エネルギーの光電子を取り除くハイパスフィルタとし
て作用させると、光電子のエネルギーフィルタ像を得る
ことができる。
【0051】本発明の時間分解型表面分析装置を光電子
顕微鏡として用いた場合の空間分解能と時間分解能を測
る実験の結果について説明する。
【0052】実験では、Siウエハ上にAuのストライ
プ状のパターンを蒸着した試料を測定した。試料ホルダ
42に対するレンズ鏡筒20の電位、すなわち加速電圧
を15キロボルトに設定し、紫外線照射装置11から水
銀ランプの紫外線を、石英ポート(不図示)を通して試
料41の表面に照射した。各レンズに所定の設定を行な
い、表示装置37に現われる光電子像を観測しながら対
物レンズ12と中間レンズ14の電圧を調整して光電子
像が良好なフォーカスと倍率を設定した。Auのストラ
イプ状パターンのエッジプロファイルのコントラスト差
が、20%から80%までの間隔を空間分解能として定
義すると、本発明の時間分解型表面分析装置を光電子顕
微鏡として用いた場合には100ナノメートルの空間分
解能で測定できることが判った。
【0053】また、試料を移動させながら光電子像を測
定し、ビデオ録画した結果から、TVレート(60フィ
ールド毎秒)以上の時間分解能で測定できることが判っ
た。
【0054】したがって、同軸型直衝突イオン散乱分光
装置と光電子顕微鏡とが一体化した時間分解型表面分析
装置で、時間的に変化する試料表面の状態分布と原子配
列の構造の両方を時間分解して測定できるので、それぞ
れの測定目的に応じて試料を移動させる必要が無く作業
効率があがり、また、特別な注意が少なく各測定を同一
条件で行うことができる。さらに、所有する表面分析装
置の数が少なくて済むので、設備の維持管理が容易にな
る。
【0055】また、同軸形直衝突イオン散乱分光装置と
光電子顕微鏡とが、レンズ鏡筒内で無駄無く一体化して
いるので、トータルで省スペース化され実験室等で場所
を取らない。
【0056】さらに、同軸型直衝突イオン散乱分光装置
と光電子顕微鏡とが同軸上に構成されているので、試料
周辺の空間的な自由度が高くなる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、以下のよ
うな効果を有する。
【0058】構造測定手段と像測定手段とが一体化した
時間分解型表面分析装置で、時間的に変化する試料表面
の状態分布像と表面組成や原子配列などの構造の両方を
時間分解して測定できるので、それぞれの測定目的に応
じて試料を移動させる必要が無く作業効率があがり、ま
た、特別な注意が少なく各測定を同一条件で行うことが
できる。さらに、所有する表面分析装置の数が少なくて
済むので、設備の維持管理が容易になる。
【0059】また、構造測定手段と像測定手段とが、レ
ンズ鏡筒内で無駄無く一体化しているので、トータルで
省スペース化され実験室等で場所を取らない。
【0060】さらに、構造測定手段と像測定手段とが同
軸上に構成されているので、試料を見込む1つのポート
さえあればよく、試料周辺の空間的な自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の時間分解型表面分析装置の一構成例を
示す概略構成図である。
【図2】中段制御手段100の構成を示す概略ブロック
図である。
【図3】第1の下段制御手段200の構成を示す概略ブ
ロック図である。
【図4】第2の下段制御手段300の構成を示す概略ブ
ロック図である。
【図5】本発明の時間分解型表面分析装置を同軸型直衝
突イオン散乱分光装置として用い、試料表面の構造を測
定するときのイオンの経路を示す説明図である。
【図6】本発明の時間分解型表面分析装置を光電子顕微
鏡として用い、試料表面の像を測定するときの紫外線お
よび光電子の経路を示す説明図である。
【図7】同軸型直衝突イオン散乱分光装置(CAICI
SS)の主要部の構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 イオン源 2 集束レンズ 3 第1のビーム偏向電極 4 チョッピング電極 5 第2のビーム偏向電極 6 チョッピングアパーチャ 7 検出器 8 メッシュ 9 加速管 10 走査用偏向器 11 紫外線照射装置 12 対物レンズ 13 アパーチャ 14 中間レンズ 15 静電レンズ 16 第1のターボポンプ 17 第1のスクロールポンプ 18 第2のターボポンプ 19 第2のスクロールポンプ 20 レンズ鏡筒 21 イオン源制御装置 22 集束レンズ制御装置 23 第1のビーム偏向電極制御装置 24 チョッピングコントローラ 25 第2のビーム偏向電極制御装置 26 電源 27 切替器 28 ゲート回路 29 加速管制御装置 30 走査用偏向器制御装置 31 静電レンズ制御装置 32 対物レンズ 33 アパーチャ制御装置 34 中間レンズ制御装置 35 第2の静電レンズ制御装置 36 コンピュータ 37 表示装置 38 プリアンプ 39 時間デジタル変換器 40 データ処理装置 41 試料 42 試料ホルダ 100 中段制御手段 200 第1の下段制御手段 300 第2の下段制御手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の表面の状態を時間分解して測定す
    る時間分解型表面分析装置であって、 前記試料表面の構造を測定する構造測定手段と、 前記試料表面の状態分布を測定する像測定手段と、を有
    する時間分解型表面分析装置。
  2. 【請求項2】 前記構造測定手段は、 パルス化したイオンビームを前記試料表面に照射するイ
    オン照射手段と、 前記イオンビームの照射方向と同軸上に配置され、前記
    イオンビームの照射の同軸近傍の散乱角で散乱されるイ
    オンを検出するイオン検出手段と、 前記イオンの照射から検出までの飛行時間を計測する計
    測手段とを有する請求項1記載の時間分解型表面分析装
    置。
  3. 【請求項3】 前記像測定手段は、 前記試料表面に光を照射する光照射手段と、 前記光の照射によって前記試料表面から放出される光電
    子を結像する光電子結像手段と、 前記光電子が結像する面での電子強度の分布を検出する
    電子強度検出手段とを有する請求項1または2記載の時
    間分解型表面分析装置。
  4. 【請求項4】 前記構造測定手段は、 パルス化したイオンビームを前記試料表面に照射するイ
    オン照射手段と、 前記イオンビームの照射方向と同軸上に配置され、前記
    イオンビームの照射の同軸近傍の散乱角で散乱されるイ
    オンを検出するイオン検出手段と、 前記イオンの照射から検出までの飛行時間を計測する計
    測手段とを有し、 前記像測定手段は、 前記試料表面に光を照射する光照射手段と、 前記光の照射によって前記試料表面から放出される光電
    子を結像する光電子結像手段と、 前記光電子が結像する面での電子強度の分布を検出する
    電子強度検出手段とを有し、 前記イオン検出手段と前記電子強度検出手段とが一体で
    ある請求項1記載の時間分解型表面分析装置。
  5. 【請求項5】 前記光電子結像手段は、前記イオンビー
    ムの照射方向と同軸上で、かつ、前記電子強度検出手段
    と前記試料との間に配置されている請求項3または4記
    載の時間分解型表面分析装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005062130A (ja) * 2003-08-20 2005-03-10 Canon Inc 微小薄片作製装置
KR101052361B1 (ko) * 2008-07-31 2011-07-27 한국표준과학연구원 중에너지 이온빔 산란을 이용한 분광분석기
US8957392B2 (en) 2011-10-13 2015-02-17 Canon Kabushiki Kaisha Mass spectrometer

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