JP2003014671A - 固体表面観察装置と固体表面観察方法 - Google Patents

固体表面観察装置と固体表面観察方法

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JP2003014671A
JP2003014671A JP2001198841A JP2001198841A JP2003014671A JP 2003014671 A JP2003014671 A JP 2003014671A JP 2001198841 A JP2001198841 A JP 2001198841A JP 2001198841 A JP2001198841 A JP 2001198841A JP 2003014671 A JP2003014671 A JP 2003014671A
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Takao Kusaka
貴生 日下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光電子像と陰極線ルミネッセンス像を試料表面
の同一位置において相補的に観察できる固体表面観察装
置を提供する。 【解決手段】電子線発生部と、試料表面に電子線照射を
するときには、電子線を試料表面に集束し走査する手段
として働き、電子線照射以外の方法によって試料表面か
らの電子を放出するときには放出電子を結像する手段と
して働く電子レンズ系と、結像面での電子強度分布を検
出する電子強度分布検出部と、試料表面へ光を照射する
際には、照射すべき光を受光して試料表面に集光し、か
つ、ルミネッセンス分析を行う際には、陰極線ルミネッ
センス光を集光する集光手段と、試料を載置する試料ス
テージと、集光されたルミネッセンス光を分光検出する
ルミネッセンス光検出部と、試料表面から放出された二
次電子を検出する2次電子検出手段を有する。電子レン
ズ系は、同一の光軸を有する電子レンズ系によって構成
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体表面の観察装置
に関し、特に試料表面の放出電子像と蛍光発光像の観察
装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】試料を電子線で照射したとき試料から発
生する、紫外領域から赤外領域に亘る波長領域の蛍光発
光を総称してカソードルミネッセンス(Cathode-lumine
scence)という。この蛍光発光は集光ミラーや光ファイ
バーなどによって分光器に導かれ、その強度測定が行わ
れる。カソードルミネッセンス光を解析することによっ
て、試料の結晶完全性や不純物、結晶欠陥、歪場などの
分析が可能になる。近年ではカソードルミネッセンス光
による分析は、誘電体、イオン結晶、半導体のみならず
生体などの有機材料の研究にも利用されている。カソー
ドルミネッセンス分析に関する装置としては、特開平1
0−289681などに開示されているように、主に走
査電子顕微鏡や透過電子顕微鏡をそのまま電子線照射部
に用いてカソードルミネッセンス像観察を行う装置があ
る。また、特開平7−248217に開示されているよ
うに、カソードルミネッセンス分析装置と表面分析装置
との複合型が提案されている。一方、試料表面の形状や
状態分布を拡大して観察する分析装置としては、走査電
子顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査プローブ顕微鏡、エミ
ッション顕微鏡、表面分析装置におけるマッピング分析
などが知られている。特に固体表面が変化する現象、例
えば触媒等の化学反応、物質の表面拡散や、電子放出素
子からの電子放出現象などを観察する方法としては、走
査して面情報を取り込むのではなく、リアルタイム観察
が可能な透過電子顕微鏡やエミッション顕微鏡が使われ
ている。
【0003】しかし、透過電子顕微鏡の場合には試料の
薄片化が必要であるなど試料形状に制約があるので、よ
り一般的な試料について固体表面を観察する目的には不
適当である。一方、平坦な表面からの電子放出像を観察
する方法として、光電子放出顕微鏡に代表されるエミッ
ション顕微鏡法が知られている(W.Engel, M.E.Kordesc
h, H.H.Rotermund, S.Kubala and A.von Oertzen, Ultr
amicroscopy,36 (1991) 148-153.)。エミッション顕微
鏡法の装置構成を大別すると結像型と走査型の2種類の
方法がある。このうち、結像型のエミッション顕微鏡は
例えば米国特許明細書5266809号に開示されてい
るように、平面状の試料表面から放出される電子(熱電
子、光電子など)を試料と対物レンズとの間に生成した
一様電界によって一定の速度まで加速し、複数の電子レ
ンズ系で結像して表面を観察する方法である。結像型エ
ミッション顕微鏡は、その空間分解能は走査電子顕微鏡
には及ばないが、光学顕微鏡よりは拡大率が高く、試料
形状への制約が少なく、リアルタイムで像を観察できる
ので、試料表面の状態分布や形状に対応する放出電子強
度の空間分布のみならず時間変化(ゆらぎ)をも高い時
間分解能で観測することができることが大きな特徴であ
る。特に、紫外線やX線などの単色化されていない励起
光を固体表面に照射したとき、表面の仕事関数の場所的
変化によって光電子放出量が変化するので、表面の化学
状態の違いをコントラストとした拡大像を得ることが出
来る(M.Mundschau, M.E.Kordesch, B.Rausenberger,
W.Engel, A.M.Bradshaw and E.Zeitler, Surface Scien
ce, 227 (1990) 246-260)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】光励起による光電子像
を観察する結像型エミッション顕微鏡と電子線励起によ
るルミネッセンス光を分析するカソードルミネッセンス
分析装置とは、光電子の発生機構とルミネッセンスの発
光機構とが異なるので、観測される物理量が異なる。換
言すれば、これらの装置は、表面の異なる物性物理学的
側面を観測していることになる。したがって、これらの
装置によって、表面の同じ位置を観察することができる
ならば、表面の多面的な物理化学的情報を得ることがで
きる。
【0005】本発明の目的は、光励起による光電子像と
電子線励起によるルミネッセンス光を、試料表面の同一
位置において相補的に分析することができる固体表面観
察装置を提供することにある。また固体表面が変化する
現象をリアルタイムに観察し、変化の各段階でルミネッ
センス光分析ができる分析装置を提供することにある。
さらに、電子放出素子のメカニズム解析に有用な分析装
置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の固体表面観察装
置は、電子線発生手段と、電子レンズ系と、電子強度分
布検出手段と、集光手段と、試料ステージと、2次電子
検出手段と、ルミネッセンス光検出手段と、紫外線照射
装置を有する。電子線発生手段は電子線を発生する。電
子レンズ系は、試料表面に電子線照射をするときには、
電子線を試料表面に集束し走査する手段としてはたら
き、電子線照射以外の方法によって試料表面からの電子
放出を行わせるときには放出電子を結像する手段として
はたらく。電子強度分布検出手段は、結像面での電子強
度分布を検出する。集光手段は、試料表面へ光を照射す
る際には、照射すべき光を受光して該受光した光を試料
表面に集光し、かつ、ルミネッセンス分析を行う際に
は、電子線照射によって試料表面から放出されたルミネ
ッセンス光を集光する。試料ステージは試料を載置す
る。ルミネッセンス光検出手段は、集光されたルミネッ
センス光を分光検出する。2次電子検出手段は電子線照
射により試料表面から放出された二次電子を検出する。
前記電子レンズ系は、同一の光軸を有する複数の電子レ
ンズを有する。
【0007】前記電子レンズ系は、2つの対物絞りを有
し、電子線を試料表面に集束するときには、第1の対物
絞りを使用して第2の対物絞りを開放状態に維持し、電
子線照射以外の方法によって試料表面からの電子放射を
行わせるときには第2の対物絞りを使用して第1の対物
絞りを開放状態に維持する。
【0008】固体表面観察装置は、さらに、光電子放出
のための紫外線を照射する紫外線照射装置と、ルミネッ
センス光検出手段によって検出された分光検出強度を前
記電子線走査と同期して表示する手段と2次電子検出手
段によって検出された2次電子の信号強度を前記電子線
走査と同期して表示する手段を有する。
【0009】固体表面観察装置は、電子線発生手段と、
電子レンズ系と、電子強度分布検出手段と、集光手段
と、試料ステージと、2次電子検出手段とを真空中に収
容する真空チャンバーを有し、該真空チャンバーは紫外
線照射装置から照射される紫外線を真空チャンバー内に
透過し、試料が発生したルミネッセンス光を真空チャン
バー外に透過するポートを有する。紫外線照射装置とル
ミネッセンス光検出手段とは、ポートの大気側で切り換
えて使用される。
【0010】本発明の固体表面観察方法は、紫外線を試
料表面に集光照射させ、試料表面から放出された光電子
を結像して表面の光電子像を観察する工程と、電子線を
試料表面に集束かつ走査させ、試料表面から放出された
2次電子を検出して表面の二次電子像を観察する工程
と、電子線照射により試料表面から放出されたルミネッ
センス光を集光して検出し、カソードルミネッセンス像
を観察する工程とを、同一の光軸をもつ電子光学系と集
光手段を用いて試料表面上の同一位置において実行す
る。
【0011】本発明の電子放出素子の評価方法は、紫外
線を電子放出素子表面に集光照射させ、該素子表面から
放出された光電子を結像して当該素子表面の光電子像を
観察する工程と、電子放出素子を駆動し、該素子から放
出された電子を結像して電子放出像を観察する工程と、
電子線を電子放出素子表面に集束かつ走査させ、該素子
表面から放出された2次電子を検出して当該素子表面の
二次電子像を観察する工程と、電子放出素子表面への電
子線照射により該素子表面から放出されたルミネッセン
ス光を集光して検出し、カソードルミネッセンス像を観
察する工程とを、同一の光軸をもつ電子光学系と集光手
段を用いて電子放出素子表面上の同一位置において実行
する。
【0012】(作用)本発明における固体表面観察装置
は大別して光軸の上部に配置された鏡筒部とその下部に
配置された試料ステージおよび光集光部から構成されて
いる。また、鏡筒部には最上部に設置された電子銃部と
その下部に配置されたレンズ鏡筒から構成されている。
電子銃部には熱電子による電子線発生手段が装備され、
レンズ鏡筒には複数の電子レンズ、偏向レンズや、さら
に光電子像を検出するための2次元検出器が装備されて
いる。レンズ鏡筒のレンズ系は走査電子顕微鏡観察やカ
ソードルミネッセンス分析に対しては1次電子線を集束
し走査する手段として働き、光電子顕微鏡観察に対して
は光電子を結像する手段として働く。試料ステージは鏡
筒下部の対物レンズに対向して配置され、さらに試料ス
テージ近傍には2次電子を検出するための2次電子検出
器と光を集光するためのミラーが配置されている。本装
置を走査電子顕微鏡観察やカソードルミネッセンス分析
に使用するときの1次電子は電子銃部で加速され、光電
子顕微鏡として使用する時の光電子は試料表面からレン
ズ鏡筒までの空間で加速されるので、電子銃とレンズ鏡
筒は試料ステージに対して独立に加速電圧を設定できる
ようになっている。鏡筒および試料ステージ、光集光部
を含む上記全体の構成は適当な排気システムによって真
空に保持されるが、光電子を発生させるための紫外線照
射装置およびカソードルミネッセンス光の分光検出器に
ついては真空容器外に置いて光を適当なポートを通して
照射または検出する。
【0013】本装置により光電子像観察を行う場合、レ
ンズ鏡筒は試料ステージに対して正の加速電圧Vaが印加
される。紫外線を光集光部のミラーで試料表面に照射す
ることにより、試料表面から放出された光電子は加速電
圧Vaによって加速され、レンズ鏡筒に配置された電子レ
ンズによりプレート型検出器上に結像される。この拡大
像はプレート型検出器により電気信号に変えられ表示装
置上に光電子像として表示される。この時、電子銃部の
動作条件に特に制限はないが、電子銃を稼動させない
か、あるいは電子銃の加速電圧設定などにより1次電子
線がレンズ鏡筒に入らないようになっている。本装置で
走査電子顕微鏡観察やカソードルミネッセンス分析を行
う場合、通常レンズ鏡筒は試料と同一電位に保持され、
電子銃部に備えられた電子線発生部には試料に対して負
の電位-Vaが印加される。電子銃から放出された電子は
加速電圧Vaにより加速されレンズ鏡筒に入る。続いて、
レンズ鏡筒内に配置された電子レンズにより電子線は試
料表面上に集束され、偏向レンズにより観察領域を走査
したり、分析領域を照射する。電子線照射領域から発生
した2次電子は2次電子検出器により電気信号に変換さ
れ、表示装置上に走査電子顕微鏡像として表示される。
また電子線照射領域から発生したカソードルミネッセン
ス光は光集光部のミラーでビューポート外側の検出器に
集められ、1次電子線の走査と同期して表示することで
カソードルミネッセンス像を表示する。
【0014】以上のように本発明を用いることによっ
て、レンズ鏡筒を共有化していることから、光電子顕微
鏡像を観察するときの光軸と電子線を照射するときの光
軸は同一となり、同一視野における光電子像とカソード
ルミネッセンス像を容易に得ることが可能となる。従っ
て試料表面上の同一位置の、光励起による放出電子と電
子線励起による蛍光発光を相補的に計測することが可能
となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の
実施の形態を説明する。図1は、本発明の固体表面観察
装置の全体配置を示す構成図である。図1に示されてい
る固体表面観察装置は真空チャンバー1を有し、真空チ
ャンバー1の内部には電子銃部と鏡筒、試料室が配置さ
れている。なお図には明示されていないが、各部は各々
差動排気システムにより排気され、10-7〜10-9Paの真空
度が保持されている。
【0016】電子銃部は、フィラメント3を通電加熱し
て電子放出させる熱電子放出型電子銃が用いられてい
る。フィラメント3にはタングステンフィラメントが使
用され、ウエネルト電極4は放出電子のクロスオーバー
点をつくる。クロスオーバー点を通過した放出電子は引
き出し電極5によって引き出される。
【0017】鏡筒2内の電子レンズとしては3極型の静
電レンズが投影レンズ7、中間レンズ8、対物レンズ1
3として用いられている。投影レンズ7および中間レン
ズ8は光電子像観察に対してはそれぞれ投影レンズおよ
び中間レンズとして作用し、二次電子像観察やカソード
ルミネッセンス分析の際に電子線照射を行う場合には集
束レンズとして作用する。
【0018】中間レンズ8と対物レンズ13との間に
は、アスティグマトール9、対物絞り10、12が配置
され、対物絞り10、12の間には走査コイル11が配
置されている。対物絞り12は、対物レンズ13の後焦
点面に配置されている。アスティグマトール9は非点補
正用電子レンズである。また走査コイル11は電子線走
査用の上下2段の偏向コイルである。対物絞り10およ
び12は可変型の対物絞りで、光電子像観察に対しては
対物絞り12が使用され、電子線照射を行う場合には対
物絞り10が使用され、それぞれ使用されないときは開
放状態を保持する。
【0019】2次元検出器6は、マルチチャンネルプレ
ートと蛍光体およびCCDが一体化したプレート型検出
器である。2次元検出器はφ50mmの有効面積を有
し、中央に電子線が通過できるようにφ0.5mmのス
リットが形成されている。固体表面観察装置を光電子顕
微鏡として使用する時には、電子レンズにより結像され
た光電子はこの2次元検出器6で電気信号に変換され、
その電気信号は表示装置(非表示)上に光電子顕微鏡像
として表示される。一方、試料室内には試料14を載せ
る試料ステージ15、二次電子検出器16、集光ミラー
17が配置されている。試料ステージ15はマニピュレ
ータにより3軸の粗動/微動と光軸を回転軸とする回転
機構および試料傾斜機構を備えている。これは光電子像
観察をする場合において、試料表面と鏡筒間に平行電場
を形成するときに5軸のマニピュレータを必要するので
設けられたものである。さらに試料を液体ヘリウム温度
まで冷却するための冷却機構が内蔵されている。これ
は、カソードルミネッセンス分析の場合には、カソード
ルミネッセンス発光効率を高め、かつ、半値幅を狭くす
るために試料を冷却するときに用いられる。
【0020】真空チャンバー1には、石英ポート18が
設けられている。そして、試料室の外部に紫外線照射装
置19、分光器20および光検出器21が配置されてい
る。光電子像観察をするときには、真空外に設置された
紫外線照射装置19から石英ポート18および集光ミラ
ー17を介して紫外線を試料14の表面に照射する。カ
ソードルミネッセンス分析を行うときには、電子線照射
により試料から発したルミネッセンス光は集光ミラー1
7および石英ポート18を介して真空外に導かれ、真空
外に設置された分光器20と光検出器21により分光計
測される。紫外線照射装置19と分光器20、光検出器
21は測定内容により切り替えて使用される。
【0021】前掲の装置においては、投影レンズ7、中
間レンズ8、対物レンズ13で成る静電レンズおよびア
スティグマトール9によって構成される電子光学系およ
び集光ミラー17を含む光学系の光軸が1直線になるよ
うに構成要素は配列されている。
【0022】次に、上記の固体表面観察装置の第1の実
施例として、光電子顕微鏡観察について図2を用いて説
明する。光電子像観察時には、エネルギーの低い水銀ラ
ンプの単色化されていない紫外線を使用する。HeやN
eの共鳴線などの単色化した紫外線を使用すると、放出
光電子のエネルギーが高いので拡大像の空間分解能が低
下してしまう。単色化されていない紫外線の照射では、
表面の仕事関数の場所的変化によって、光電子放出効率
が変わるので、表面状態(仕事関数)の差をコントラス
トとした拡大像を得ることが出来る。また真空外に紫外
線照射装置19を設置出来るので、シャッターなどの機
構をつければ簡単に紫外線照射のオンオフが可能にな
る。
【0023】紫外線は紫外線照射装置19から石英ポー
ト18および集光ミラー17を介して試料14の表面に
照射される。紫外線照射によって試料14から放出され
た光電子は、試料14と鏡筒2の間に印加される加速電
圧により数keVから数十keVに加速され、対物レンズ13
の後焦点面に配置された対物絞り12を通過した電子が
中間レンズ8、投影レンズ7によって拡大され、二次元
検出器6上に像を形成する。この像はCCDの出力信号
としてコンピュータに送られ、観察および記録される。
この時、対物絞り10は開放状態にされている。
【0024】次に、本実施形態の第2の実施例を説明す
る。本実施例は、固体表面観察装置の光電子顕微鏡とし
ての空間分解能を調べる実施例である。本実施例におい
ては、Siウエハー上にストライプ状のパターンにAu
を蒸着し、これを観察試料として用いる。まず試料ステ
ージに対する鏡筒の電位、すなわち加速電圧を15kV
に設定し、紫外線照射装置19により水銀ランプからの
紫外線を、石英ポートを通して本試料表面に照射する。
各々のレンズ条件を適宜設定した後、表示画面上に現れ
た光電子像を観察しながら対物レンズ13および中間レ
ンズ8の電圧を調節して、光電子像のフォーカスと倍率
を設定する。この時、対物レンズ13は主としてフォー
カス調整用として機能し、中間レンズ8は主として倍率
設定用として機能する。本実施例において、Auストラ
イプのエッジプロファイルのコントラスト差が20%か
ら80%に変化するまでの間隔を空間分解能として定義
して測定した結果、光電子顕微鏡としての分解能100nm
が得られた。
【0025】次に、本実施形態の第3の実施例を説明す
る。本実施例は、電子線照射の実施例である。固体表面
観察装置の走査電子顕微鏡としての空間分解能を調べる
ために、レンズ鏡筒2の鏡筒電位を試料と同電位に設定
し、電子銃から発生する1次電子の加速電圧を25kV
に設定する。タングステンのフィラメント3を通電加熱
して1次電子を放出させ各部のレンズ条件を適宜設定し
た後、走査コイル11を用いて試料表面上の矩形領域を
走査する。この時、対物絞り10を所定の大きさにして
使用し、もう1つの対物絞り12は開放状態にする。試
料表面の電子線照射部から放出された2次電子は2次電
子検出器16によって検出され、走査コイル11への印
加電圧と同期して表示することによって2次電子像を得
ることができる。表示装置上(非表示)に現れた2次電
子像を観察しながら、対物レンズ13を調整してフォー
カスを合わせると、光電子顕微鏡と同一の視野が試料を
移動せずに観察できる。
【0026】本実施例においては、倍率を上げて、観察
されたAu粒子の島と島との間隔を計測することによっ
て、走査電子顕微鏡としての分解能30nmが得られ
た。走査電子顕微鏡観察と光電子顕微鏡観察の切り替え
に要する時間は加速電圧や各部のレンズ条件を設定する
時間で決まり、数分程度であった。観察条件の設定をコ
ンピュータコントロールにより自動化すれば、この時間
はさらに短縮されると考えられる。
【0027】次に、図3を参照して本実施例の第4の実
施例を説明する。本実施例はカソードルミネッセンス分
析の実施例である。カソードルミネッセンス分析を行う
ためには、まず1次電子線を上記の方法で試料14の所
定の位置に集束して照射する。電子線照射点からはルミ
ネッセンス光が放出される。このルミネッセンス光は集
光ミラー17により石英ポート18を介して、大気側に
設置された分光器20に導かれる。分光器20において
ルミネッセンス光中の所定の波長成分が弁別され、増幅
器を含む光検出器21においてその強度に比例した信号
が出力される。そして1次電子線を試料14上に走査
し、各照射点毎に発光強度が測定される。1次電子線の
走査と同期して発光強度をマッピングすることによって
カソードルミネッセンス像を得ることが出来る。
【0028】前掲の実施例においては、電子銃にタング
ステン熱電子銃を使用しているけれど、これに限られる
ものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で電子銃
の種類を変えても差し支えない。例えば、コールドまた
はサーマルタイプの電界放出陰極と静電レンズからなる
電界放出型電子銃や、LaB6熱電子銃を使用してもよい。
【0029】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。本実施形態は本発明の固体表面観察装置の応用
の実施形態である。
【0030】固体表面からの電子放出には、光電子放出
以外にも熱電子放出や電界放出、表面伝導型電子放出な
どが知られている。この中で電界放出や表面伝導型電子
放出はフラットディスプレーを実現させる有力な候補と
して研究が進められている。電界放出素子や表面伝導型
電子放出素子をフラットディスプレーの電子源として用
いる場合には、電子放出部の物性や電子放出部近傍の3
次元形状が素子特性を左右するので、高輝度かつ高精細
なフラットディスプレーを実現するためには、電子放出
部の微小領域における電子放出現象を十分把握し、また
制御する必要がある。そのために、本実施形態の実施例
として、スピント型の電子放出素子を評価する。
【0031】まず、前掲の第1の実施形態の装置の試料
ステージ15に電極を増設し、導入端子を介して真空チ
ャンバー外の駆動回路と接続することによって、固体表
面観察装置外から電子放出素子に電圧を印加することが
できるようにする。そしてスピント型電子放出素子に電
圧を与えて、電界放出された電子を光電子像の結像と同
様の方法で結像する。このようにして電子放出像を得る
ことができる。
【0032】素子への電圧印加または光照射による電子
放出像または光電子像(場合によっては重ね合わせて同
時に)を観察してその輝度や形状の時間変化を評価し、
照射中に光電子像が変化した時や電子放出像の揺らぎが
変化した瞬間をとらえて駆動を中止し、特定の電子放出
点について二次電子像やカソードルミネッセンス像を分
析することによって素子の劣化メカニズムを解析するこ
とが出来る。
【0033】速度の速い表面現象の解析には、リアルタ
イム観察のエミッション顕微鏡(光電子像観察や電子放
出像観察)と、細く絞れる電子線を励起源とする表面評
価技術(2次電子像やカソードルミネッセンス像)を組
み合わせることが有効な評価方法となる。これらの表面
評価技術は、本発明の固体表面観察装置を用いれば、試
料の同一領域で実施することができる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
同一視野における光電子像とカソードルミネッセンス像
を容易に得ることが可能となる。従って試料表面上の同
一位置の、光励起による放出電子と電子線励起による放
出蛍光を相補的に計測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体表面観察装置の概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の第1の実施例を説明
する固体表面観察装置の概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の第4の実施例を説明
する固体表面観察装置の概略図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバー 2 鏡筒 3 フィラメント 4 ウエネルト電極 5 引き出し電極 6 二次元検出器 7 投影レンズ 8 中間レンズ 9 スティグマトール 10 対物絞り 11 走査コイル 12 対物絞り 13 対物レンズ 14 試料 15 試料ステージ 16 二次電子検出器 17 集光ミラー 18 ビューポート 19 紫外線照射装置 20 分光器 21 光検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 37/252 H01J 37/252 Z 37/256 37/256 37/285 37/285 Fターム(参考) 2G001 AA03 BA07 BA08 CA03 CA07 DA09 GA01 GA06 HA09 HA13 PA11 PA12 2G043 AA03 CA05 EA01 EA11 FA01 FA02 GA04 GB17 GB18 HA03 JA01 KA01 KA02 KA03 LA03 5C033 NN01 NN10 NP02 NP08 RR01 RR03 RR09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子線を発生する手段と、前記電子線を
    試料表面に集束し走査する手段と、試料表面から放出さ
    れた2次電子を検出する手段と、検出された2次電子の
    信号強度を前記電子線走査と同期して表示する手段をも
    ち、かつ、紫外線照射装置と、試料に紫外線を集光照射
    する手段と、試料から放出された光電子を結像する手段
    と、結像面での電子強度分布を検出する手段と、検出さ
    れた強度信号を表示する手段を有し、更に、試料表面へ
    の電子線照射により試料表面から放出されたルミネッセ
    ンス光を集光する手段と、ルミネッセンス光を分光検出
    する手段と、その検出強度を前記電子線走査と同期して
    表示する手段を有することを特徴とする固体表面観察装
    置。
  2. 【請求項2】 前記電子線を試料表面に集束し走査する
    手段と、試料から放出された光電子を結像する手段が、
    同一の光軸を有する電子レンズ系によって構成されてい
    ることを特徴とする、請求項1に記載の固体表面観察装
    置。
  3. 【請求項3】 試料に紫外線を集光照射する手段と、試
    料表面から放出されたルミネッセンス光を集光する手段
    が、同一の集光ミラーを使用していることを特徴とす
    る、請求項1および2に記載の固体表面観察装置。
  4. 【請求項4】 電子線発生手段と、電子レンズ系と、電
    子強度分布検出手段と、集光手段と、試料ステージと、
    2次電子検出手段とを真空中に収容する真空チャンバー
    を有し、該真空チャンバーは紫外線照射装置から照射さ
    れる紫外線を真空チャンバー内に透過し、試料が発生し
    たルミネッセンス光を真空チャンバー外に透過するポー
    トを有し、前記紫外線照射装置とルミネッセンス光検出
    手段とは、前記ポートの大気側で切り換えて使用され
    る、請求項3に記載の固体表面観察装置。
  5. 【請求項5】 紫外線を試料表面に集光照射させ、試料
    表面から放出された光電子を結像して表面の光電子像を
    観察する工程と、電子線を試料表面に集束、かつ走査さ
    せ、試料表面から放出された2次電子を検出して表面の
    二次電子像を観察する工程と、試料表面への電子線照射
    により試料表面から放出されたルミネッセンス光を集光
    して検出し、カソードルミネッセンス像を観察する工程
    とを、同一の光軸をもつ電子光学系と集光手段を用いて
    試料表面上の同一位置において実行することを特徴とす
    る固体表面観察方法。
  6. 【請求項6】 紫外線を電子放出素子表面に集光照射さ
    せ、該素子表面から放出された光電子を結像して当該素
    子表面の光電子像を観察する工程と、電子放出素子を駆
    動し、該素子から放出された電子を結像して電子放出像
    を観察する工程と、電子線を電子放出素子表面に集束か
    つ走査させ、該素子表面から放出された2次電子を検出
    して当該素子表面の二次電子像を観察する工程と、電子
    放出素子表面への電子線照射により該素子表面から放出
    されたルミネッセンス光を集光して検出し、カソードル
    ミネッセンス像を観察する工程とを、同一の光軸をもつ
    電子光学系と集光手段を用いて電子放出素子表面上の同
    一位置において実行することを特徴とする電子放出素子
    の評価方法。
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