JP2006315850A - 基板移載システム及びエア噴出ユニット - Google Patents

基板移載システム及びエア噴出ユニット Download PDF

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Yasumichi Tawara
靖通 田原
Kazuo Kawabe
和夫 河邊
Hiroyasu Ikeda
裕安 池田
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Abstract

【課題】 移載の対象となる基板に対してランダムなアクセスを可能としつつ、高い収納効率を実現すること。
【解決手段】 基板が載置される載置面を有し、上下方向に所定間隔で複数段配設された棚部を有する基板収納カセットと、前記基板収納カセットから前記基板を搬出する移載ユニットと、を備えた基板移載システムにおいて、搬出対象の前記基板と当該基板が載置された前記載置面との間へ、これらの側方から略水平方向にエアを噴出するエア噴出手段を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図9

Description

本発明は、大型のガラス基板に代表される基板を移載する技術に関するものである。
薄型ディスプレイの製造において使用される薄板状のガラス基板に代表される基板は一般に基板収納カセットに複数枚収納される。そして、その処理時には一枚ずつ基板収納カセットから移載ロボットにより取り出されて基板処理装置へ搬送され、処理後には基板処理装置から再び移載ロボットにより基板収納カセットへ搬入される。
ところで、薄型ディスプレイは年々大型化しており、これに用いられるガラス基板も大型のものでは一辺の長さが2mを超えるようになっており、基板収納カセット全体の重さも増加している。例えば、上記の大型のガラス基板を約60枚程度収納する基板収納カセット全体の重さは約1.5t程になる。基板サイズが小さい場合は、基板収納カセットの側壁内側に突出部分を設け、この突出部分により基板の端部を支持するようにしていたが、基板サイズが上記の通り大型化すると個々の基板の自重による基板の撓みが無視できなる。このため、基板収納カセット内における基板の支持方式として、基板の端部を支持する方式では中央の撓みが大きくなり、基板の破損の恐れが増加することや、或いは、基板間の間隔を大きくとる必要が生じ、収納効率が劣るるといった問題がある。
そこで、大型の基板の場合には基板収納カセット内に各基板単位に複数本のワイヤを張設し、このワイヤ上に基板を載置することで基板全体を支持するようにすることが提案されている。このワイヤの使用は基板間の間隔を小さくして、基板収納カセットの収納効率を高めることにもなっているし、又、基板収納カセット単体の重量増加を抑制する効果もある。
ワイヤを使用して基板を支持する場合、移載ロボットによる基板の移載が問題となる。基板の移載時にワイヤと基板との摩擦が生じるのは好ましくないので、移載ロボットを、ワイヤ間の隙間を昇降するローラから構成し、ワイヤから基板を当該ローラで持ち上げ、ローラの回転により基板収納カセット外へ搬送する方式が提案されている。しかし、この方式であると基板収納カセット内に収納された各基板に対して移載ロボットがランダムにアクセスできず、基板の搬出は基板収納カセットの最下層から順番に行い、基板の搬入は基板収納カセットの最上層から順番に行なう必要が生じる。
そこで、例えば、特許文献1及び2に記載されるように、各基板が載置される棚部を各基板毎に設けて基板収納カセットを構成し、棚部から上方へエアを噴出することで基板を浮遊させ、基板の移載を行なう方式も提案されている。基板に対して上方へエアを噴出して浮遊させることで、棚部と基板との摩擦を解消することができる。また、基板の端部を移載ロボットにより把持して基板を搬出することが可能であり、移載ロボットが基板収納カセット内に進入する必要がなく、基板収納カセット内に収納された各基板に対して移載ロボットがランダムにアクセスできるという利点がある。
特開2004−277003号公報 特開2004−26495号公報
しかし、特許文献1及び2に記載されるように、基板に対して棚部からエアを上方へ噴出することで基板を浮遊させる場合、各棚部の載置面にエアの噴出口を形成すると共にその内部に噴出口と連通するエアの通路を形成する必要がある。この構成の場合、各棚部の厚みが厚くなり、基板収納カセットの収納効率が低下する。
従って、本発明の目的は、移載の対象となる基板に対してランダムなアクセスを可能としつつ、高い収納効率を実現することにある。
本発明によれば、基板が載置される載置面を有し、上下方向に所定間隔で複数段配設された棚部を有する基板収納カセットと、前記基板収納カセットから前記基板を搬出する移載ユニットと、を備えた基板移載システムにおいて、搬出対象の前記基板と当該基板が載置された前記載置面との間へ、これらの側方から略水平方向にエアを噴出するエア噴出手段を備えたことを特徴とする基板移載システムが提供される。
この基板移載システムでは前記エア噴出手段を備えたことにより、前記基板と前記載置面との側方からエアが噴出され、前記基板を浮遊させる。エアの噴出を側方から行なうことにより、移載の対象となる任意の基板に対してエアを噴出し、当該基板を浮遊させることができるので、前記移載ユニットは各基板にランダムにアクセスできる。また、エアの噴出を側方から行なうことで前記棚部にエアの噴出口やエアの通路が不要となり、当該棚部の厚みを薄くでき収納する基板の間隔を狭くできる。これにより前記基板収納カセットの収納効率が向上する。
従って、本発明の基板移載システムは移載の対象となる基板に対してランダムなアクセスを可能としつつ、高い収納効率を実現することができる。
本発明においては、前記基板収納カセットが、前記基板の移載口となる正面部と、背面部と、左右の側面部と、上面部と、底面部と、を備え、前記エア噴出手段は、前記正面部側から前記背面部側へエアを噴出する構成を採用することができる。この構成では、前記基板の移載口となる前記正面部側からエアを噴出することで、前記基板を前記基板収納カセットから搬出する際、エアの流れ方向と前記移載ユニットによる前記基板の搬出方向とが逆向きとなり、前記基板の搬出をより安定して行なうことができる。
また、本発明においては、各々の前記棚部が、略水平方向に張設された複数のワイヤと、前記複数のワイヤ上に固定され、その上面が前記載置面を構成するシート材と、を備えた構成を採用することもできる。この構成では各々の前記棚部の厚みを薄くして前記基板収納カセットの収納効率をより一層向上すると共に、当該基板収納カセット単体の重量を軽量化できる。
この場合、前記シート材は、前記載置面と、前記載置面の端部において当該載置面に対して下方に傾斜し、前記載置面に載置された前記基板との間で空隙を形成する傾斜面とを有し、前記エア噴出手段のエア噴出位置が、前記空隙に設定される構成を採用できる。この構成によれば、前記傾斜面を設けたことにより、前記基板と前記載置面との間に効率よくエアーを噴出することができる。
また、本発明においては、前記基板が方形の基板であり、前記エア噴出手段は、前記基板の端辺に沿って延びるスリット状のエア噴出口を有する構成も採用することができる。この構成によれば、前記基板と前記載置面との間に、より一様にエアを噴出することができると共に、前記エア噴出口がスリット状であるため、前記基板と前記載置面との間の狭い範囲に効率よくエアを噴出できる。
また、本発明においては、前記エア噴出手段は、エア噴出口を形成するノズルを備え、前記ノズルのエア噴出位置を、搬出対象の前記基板と当該基板が載置された前記棚部の前記載置面との間に設定するために、前記ノズルと前記基板収納カセットとを相対的に移動させる移動手段を更に備えた構成も採用できる。この構成によれば、各々の前記棚部毎に前記ノズルを設ける必要がなく構成の簡素化を図れる。また、前記移動手段を設けたことにより、前記ノズルにより任意の基板にエアを噴出することができ、前記移載ユニットは各基板にランダムにアクセスできる。なお、前記移動手段による、前記ノズルと前記基板収納カセットとの相対的な移動としては、これら双方を移動してもよいし、いずれか一方を移動させてもよい。
また、本発明においては、前記移載ユニットは、前記正面部の幅方向離間し、前記基板の端部を保持する一対の保持部を備え、前記エア噴出手段は、エア噴出口を形成するノズルを備え、前記ノズルは、前記一対の保持部間に収まるように前記正面部側に配設され、前記ノズルのエア噴出位置を、搬出対象の前記基板と当該基板が載置された前記棚部の前記載置面との間に設定するために、前記ノズルと前記基板収納カセットとを相対的に移動させる移動手段を更に備えた構成も採用できる。この構成によれば、前記移載ユニットと前記ノズルとの干渉を回避して前記ノズルの移動スペースを確保することができる。
また、本発明においては、前記移載ユニットは、前記基板収納カセットへ前記基板を搬入し、前記エア噴出手段は、搬入対象の基板が載置される前記載置面上へ、その側方から略水平方向にエアを噴出する構成も採用できる。この構成によれば、前記基板の搬入時に、これが載置される前記載置面上にエアが噴出されるので、当該載置面上の塵等が吹き飛ばされ、前記載置面と前記基板との間に塵等が存在する事態を防止できる。
また、本発明によれば、基板が載置される載置面を有し、上下方向に所定間隔で複数段配設された棚部を有する基板収納カセットと、前記基板収納カセットから前記基板を搬出する移載ユニットと、を備えた基板移載システムに用いられるエア噴出ユニットであって、搬出対象の前記基板と当該基板が載置された前記載置面との間へ、これらの側方から略水平方向にエアを噴出することを特徴とするエア噴出ユニットが提供される。
このエア噴出ユニットは、前記基板と前記載置面との側方からエアが噴出し、前記基板を浮遊させる。エアの噴出を側方から行なうことにより、移載の対象となる任意の基板に対してエアを噴出し、当該基板を浮遊させることができるので、前記移載ユニットは各基板にランダムにアクセスできる。また、エアの噴出を側方から行なうことで前記棚部にエアの噴出口やエアの通路が不要となり、当該棚部の厚みを薄くでき収納する基板の間隔を狭くできる。これにより前記基板収納カセットの収納効率が向上する。
従って、本発明のエア噴出ユニットは移載の対象となる基板に対してランダムなアクセスを可能としつつ、高い収納効率を実現することに寄与できる。
以上述べた通り、本発明によれば、移載の対象となる基板に対してランダムなアクセスを可能としつつ、高い収納効率を実現することができる。
<第1実施形態>
図1は本発明の一実施形態に係る基板移載システム1の概略斜視図、図2は基板移載システム1の構造を示す側面視図(一部破断)である。基板移載システム1は基板収納カセット10と、移載ユニット20と、エア噴出ユニット30と、カセット昇降ユニット40と、から構成されている。
<基板収納カセット>
基板収納カセット10は、複数種類の梁部材11、支柱部材12並びに底板部材13とから、その外形が直方体形状に形成されており、基板の移載口となる正面部10aと、背面部10bと、左右の側面部10c及び10dと、上面部10fと、底面部10gと、を有する。正面部10aは梁部材11及び支柱部材12により方形に開口した面として形成されている。背面部10bと、左右の側面部10c及び10dと、上面部10fとは、梁部材11及び支柱部材12により格子状の面として形成されている。底面部10gは底板部材11により無孔の面として形成されている。
基板収納カセット10は、上下方向に所定間隔で複数段配設された棚部14を備える。図3は個々の棚部14の構成を示す斜視図である。棚部14は左右の支柱部材12間に略水平方向に張設された複数のワイヤ141と、ワイヤ14上に固定され、その上面が基板が載置される載置面を構成するシート材142(図3においては破断図として示す。)と、から構成されている。本実施形態ではシート材142上に載置される基板として方形の基板を想定しており、シート材142は平面視で基板形状と略相似形に形成されている。シート材142は、例えば、樹脂製の板又はフィルムであり、載置される基板との間での静電気の発生を防止するために、帯電防止タイプのものが望ましい。
シート材142の下面には固定部142aが形成されており、この固定部142aによりワイヤ141に固定されている。また、シート材142は基板収納カセット10の正面部10a側の端部において傾斜部142bが形成されている。図4(A)は図3の線XXに沿う断面図であり、基板Sが載置された状態を併せて示している。図4(B)は傾斜部142b周辺の拡大図、図4(C)は固定部142a周辺の拡大図である。傾斜部142bの上面は、基板Sが載置される載置面(シート材142の他の部分の上面)の端部において載置面に対して下方に傾斜し、載置面に載置された基板Sとの間で空隙CLを形成する傾斜面を構成している。固定部142aは断面が下向きの略コの字状をなしており、ワイヤ141に嵌合する。
<移載ユニット>
図1及び図2を参照して、移載ユニット20は、基板と非接触で基板を支持する支持テーブル21と、支持テーブル21の左右の側部にそれぞれ設けられた一対のリニアガイド22と、リニアガイド22に沿って移動する一対の保持ユニット23と、支持テーブル21を支持すると共に、支持テーブル21を同一平面内で回転させる支持ユニット24と、移載ユニット20全体をレール2に沿って矢印d1方向に往復移動させる駆動ユニット25と、を備える。
支持テーブル21の上面には、エアーを噴出する複数の噴出口21aが形成されており、基板を支持するにあたり、エア供給管21b並びに支持テーブル21内に形成されたエア流路を介して、不図示のエア供給装置(例えばコンプレッサ)から供給されるエアーを噴出する。噴出口21aからエアを噴出すると、支持テーブル21の上面上の基板は上方へ押し上げられ、エアの圧力と基板の自重とがバランスし、基板は支持テーブル21から僅かな距離だけ離れた浮遊状態で支持される。
リニアガイド22は支持テーブル21の側部の長手方向に沿う溝22aが形成され、リニアモータ形式で保持ユニット23を当該溝に沿って移動させる。保持ユニット23は、その先端部が薄板状に形成され、先端部の上面にはエアの吸引口23aが形成されている。図5は保持ユニット23の断面図である。吸引口23aは、エア流通管23b並びに保持ユニット23内に形成されたエア流路23cを介して、不図示のエア吸引装置(例えばコンプレッサ)と連通しており、エア吸引装置の駆動により保持ユニット23の先端部上面のエアを吸引し、これにより基板収納カセット10内に収納された基板の端部を保持する。
支持ユニット24内には支持テーブル21を同一平面内で回転させるモータ等の駆動手段を備える。駆動ユニット25は移載ユニット20全体をレール2に沿って移動させる駆動輪並びに当該駆動輪を回転させるモータ等の駆動手段を備える。
<エア噴出ユニット>
図1及び図2を参照して、エア噴出ユニット30は基板収納カセット10の正面部10aに対向するよう配設されたノズル部31と、ノズル部31が取り付けられ、左右に延びる梁状の支持部材32と、支持部材32の各端部が支持され、基板収納カセット10の正面部10aの支柱部材12の側方に配設された上下方向に延びる一対の支柱部材33と、を備える。図2に示すように、支柱部材33はその下端部がカセット昇降ユニット40のハウジング41の周壁の内側にて固定されており、ノズル部31、支持部材32及び支柱部材33が全体としてカセット昇降ユニット40の周壁に支持されている。
各支柱部材33はその内部にエアの流路33aが上下方向に延びて形成されており、流路33aの下端はエア供給管30aを介してエア供給装置30b(例えばコンプレッサ)に接続されている。流路33aの上端は、支持部材33の内部に形成された流路32aに接続されており、エア供給装置30bから供給されるエアはエア供給管30a、流路33aを介して流路32aに導入される。図6(A)は図2の線YYに沿う、支持部材32及び支柱部材33の断面図である。
支持部材32の流路32aはその長手方向に延びて形成され、ノズル部31が取り付けられる部位においては流路の断面が拡大されると共に上面に開放した大流路部32a’が形成されている。流路部32a’はノズル部31が蓋となって覆われて気密性が維持される。図6(B)は図6(A)の線ZZに沿うノズル部31と支持部材32との断面図である。
ノズル部31は下面が開放してエアの流通空間31b’が内部に形成されており、流通空間31b’と連通してエア噴出口31aが基板収納カセット10の正面部10a側に形成されている。エア噴出口31aは基板収納カセット10内に収納された基板の端辺に沿って延びるスリット状に形成されている。図6(C)はノズル部31の外観斜視図である。エア供給装置30bから供給されるエアはエア供給管30a、流路33aを介して流路32aに導入され、更に大流路部32a’と流通空間31b’とにより形成される空間に導入されてエア噴出口31aから基板収納カセット10の正面部10aに向かって略水平に噴出される。大流路部32a’と流通空間31b’とにより形成される空間は、左右方向の延びるエア噴出口31aから噴出されるエア圧が略一様になるように、エアが蓄積されるチャンバとして機能する。
<カセット昇降ユニット>
図1及び図2を参照して、カセット昇降ユニット40は、上方が開放した箱状のハウジング41と、ハウジング41内に収容されたアクチュエータ42と、基板収納カセット10が載置される昇降テーブル43と、を備える。アクチュエータ42は、上下方向に延びるピストンロッド42aと、ピストンロッド42aが挿入されたシリンダ42bと、を備え、ピストンロッド42aが上下方向に往復移動可能な伸縮アクチュエータであり、油圧式、空気圧式、モータ駆動式のいずれでもよい。昇降テーブル43はピストンロッド42aの上端に支持されており、ピストンロッド42aの上下動に従って昇降する。基板収納カセット10は位置決めされて昇降テーブル43上に載置され、ピストンロッド42aの上下動に従って昇降する。これにより、エア噴出ユニット30のノズル部31と基板収納カセット10とを相対的に移動させることができ、基板収納カセット10内に収納された複数枚の基板Sのうち、搬出対象となる基板Sに対するノズル部31の位置決めが可能となる。
<基板移載システムの動作>
次に、図7乃至図10を参照して基板移載システム1の動作について説明する。基板移載システム1は不図示の制御装置に制御される。ここでは、基板収納カセット10内に収納された基板Sを移載ユニット20が搬出する場合の動作について説明する。
図7(A)は基板搬出前の状態の例を示した側面視図である。同図において、移載ユニット20は基板収納カセット10から離間した待機位置に位置している。また、基板収納カセット10はエア噴出ユニット30のノズル部31が最上段近傍の棚部14に対応する位置にある。ここでは、この状態から基板の搬出動作を開始する場合について説明する。
まず、基板収納カセット10に収納された基板Sのうち、搬出対象となる基板Sとこの基板Sが載置された棚部14との間に、ノズル部31によるエア噴出位置を設定するために、基板収納カセット10を昇降する。続いて、移載ユニット20を駆動ユニット25によって基板収納カセット10の正面部10aに向けて前進させる。図7(B)は基板収納カセット10をカセット昇降ユニット40によって上昇させ(矢印d2)、搬出対象となる基板Sとこの基板Sが載置された棚部14との間に、ノズル部31によるエア噴出位置を設定し、また、移載ユニット20を基板収納カセット10の正面部10aに向けて前進(矢印d3)させた態様を示している。
次に、移載ユニット20の前進を停止し、ノズル部31からエアを噴出する。図10(A)はこの場合の移載ユニット20、ノズル部31及び基板Sの位置関係を示す平面視図である。エアは、搬出対象の基板Sとこれが載置された棚部14の載置面との間へ、これらの側方から略水平方向に噴出される。図9(A)乃至(D)はエア噴出時のノズル部31近傍を拡大した動作説明図である。図9(A)に示すようにノズル部32からエアが、基板収納カセット10の正面部10a側から背面部10b側へ略水平方向に噴出される。この噴出されたエアはそのエア圧によりシート材142の上面の載置面と基板Sの下面との間に侵入し、背面部10b側へ流れる。
このとき、基板Sの下面にはエア流が生じているところ、上面にはエア流が生じていないため、基板Sの上面と下面とで流速の差が発生し、基板Sには揚力が発生する(図9(B))。ノズル部31からのエアの噴出を継続することで基板Sがシート材14の上面から僅かに浮遊した状態が維持される。基板Sはその全面に渡って完全に浮遊している必要はなく、概ね浮遊していればよい。
図7に戻り、基板Sが浮遊した状態でリニアガイド22により保持ユニット23を移動して正面部10aへ向けて前進させ(矢印d4)、保持ユニット23の先端部を浮遊した状態の基板Sとこれが載置されていたシート材14との間に差し込む。一対の保持ユニット23は同期的に等量だけ移動される。図9(C)は保持ユニット23の先端部を浮遊した状態の基板Sとこれが載置されていたシート材14との間に差し込んだ態様を示している。また、図10(B)はこの場合の移載ユニット20、ノズル部31及び基板Sの位置関係を示す平面視図である。図10(B)に示すように、ノズル部31は左右に離間した一対の保持ユニット23の先端部間に収まる長さを有しており、保持ユニット23の先端部とノズル部31との干渉が防止され、ノズル部31の移動スペースが確保される。
続いて、保持ユニット23の先端部上面の吸引口23aからエアの吸引を開始し、また、支持テーブル21上面の噴出口21aからエアの噴出を開始する。吸引口23aからエアを吸引することで、浮遊状態にある基板Sは保持ユニット23の先端部上面に吸着され、保持される。基板Sは保持ユニット23の先端部上面に接している必要は必ずしもなく、吸着による保持力が作用すればよい。基板Sは浮遊状態にあるための、その吸着力は小さなもので足り、また、基板Sの端部が保持されれば足りる。なお、本実施形態では搬送対象の基板の保持にあたりエアの吸引を用いたが、他の保持方法も採用できることは言うまでもない。
次に、図7(D)に示すように、リニアガイド22により保持ユニット23を移動して正面部10aから後退させ(矢印d5)、搬送対象である基板Sを棚部14から引き出す。ノズル部31からのエアの噴出は継続する。基板Sは浮遊状態にあるので、これを棚部14から引き出すのに必要は力は小さいもので足りる。図9(D)は保持ユニット23を後退させて基板Sを棚部14から引き出す途中の態様を示している。
保持ユニット23の後退を継続すると、基板Sはその一部が支持テーブル21上に位置することになる。支持テーブル21の上面の噴出口21aからはエアの噴出が行なわれているので、基板Sは支持テーブル21上においても浮遊状態となる。図10(C)はこの場合の移載ユニット20、ノズル部31及び基板Sの位置関係を示す平面視図である。
保持ユニット23の後退を継続すると図8(A)に示すように、搬送対象の基板Sは基板収納カセット10から完全に抜き出され、支持テーブル21上に位置することになる。搬送対象の基板Sは基板収納カセット10から完全に抜き出されるとノズル部31からのエアの噴出を停止する。また、搬送対象の基板Sが支持テーブル21上に位置するに至ると、図8(B)に示すように移載ユニット20を駆動ユニット25によって基板収納カセット10の正面部10aから後退させる(矢印d6)。これにより基板収納カセット10からの基板の搬出が終了する。
続いて、搬出した基板Sを他の装置(基板Sの処理装置等)へ移載する場合について簡単に説明する。ここでは、移載ユニット20に対して基板収納カセット10と反対側に他の装置が存在する場合を想定する。まず、図8(C)に示すように支持ユニット24によって支持テーブル21を同一平面内で180度回転させる(矢印d7)。回転後、保持ユニット23を移動させ(矢印d8)、基板Sを他の装置へ移載する。移載後、支持テーブル21の噴出口21aからのエアの噴出と、保持ユニット23の先端部の吸引口23aからのエアの吸引とを停止し、移載処理が終了する。
なお、本実施形態では支持テーブル21を180度回転させたが、他の装置への移載用の別の移載ユニットを設け、当該移載ユニットへ基板を一旦移載し、当該別の移載ユニットから他の装置へ基板を移載するように構成してもよい。
さて、本実施形態の基板移載システム1では、基板収納カセット10から搬出する基板Sと、これが載置されている棚部14の載置面との側方からノズル部31によりエアが噴出され、基板Sを浮遊させる。エアの噴出を側方から行なうことにより、移載の対象となる任意の基板に対してエアを噴出し、当該基板を浮遊させることができるので、移載ユニット20は各基板にランダムにアクセスできる。また、エアの噴出を側方から行なうことで棚部14にエアの噴出口やエアの通路が不要となり、棚部14の厚みを薄くでき収納する基板の間隔を狭くできる。これにより基板収納カセット10の収納効率が向上する。
従って、本実施形態の基板移載システム1は、移載の対象となる基板に対してランダムなアクセスを可能としつつ、基板収納カセット10の高い収納効率を実現することができる。
また、本実施形態では、ノズル部31を基板収納カセット10の基板の移載口となる正面部10a側に配置し、正面部10aから背面部10bへ向けて略水平にエアを噴出した。基板はエアの流れ方向と逆向きに移動し易いところ、エアの流れ方向と移載ユニット20による基板の搬出方向とが逆向きとなるため、基板の搬出をより安定して行なうことができる。
また、本実施形態では、各々の棚部14が複数のワイヤ141とこれに支持されるシート材142とから構成されるので、各々の棚部14の厚みを薄くして基板収納カセット10の収納効率をより一層向上すると共に、基板収納カセット10単体の重量を軽量化できる。なお、本実施形態では各々の棚部14をワイヤ141とシート材142とから構成したが、シート材142を支柱部材12間に張設することでワイヤ141を省略することもできる。
また、シート材142は、その移載口側の端部に傾斜部142bを有し、載置される基板Sとの間に空隙CLを形成したので、シート材142上面(載置面)と基板Sとの間に効率よくエアーを噴出することができる。また、この空隙CLは保持ユニット23の先端部の差込みも簡易化させる。保持ユニット23の先端部は空隙CLの範囲でのみ基板Sの下に差込み、保持するようにしてもよい。こうすることで基板Sと保持ユニット23の先端部との干渉をより効果的に防止できる。
また、本実施形態ではノズル部31のエア噴出口31aが方形の基板Sの端辺に沿って左右方向に直線的に延びる幅狭のスリット状に形成されているため、基板Sに対して一様にエアを噴出し、かつ、基板Sと棚部14の載置面との間の狭い範囲に効率よくエアを噴出できる。
また、本実施形態では、ノズル部31を複数の棚部14のうちのいずれかひとつの棚部14にエアを噴出するように構成する一方、ノズル部31と基板収納カセット10とを相対的に移動させるべく、基板収納カセット10を昇降して任意の棚部14に選択的にエアを噴出するようにしたので、各々の棚部14毎にノズル31を設ける必要がなく構成の簡素化を図れる。ノズル31と基板収納カセット10との相対的な移動としては、基板収納カセット10を固定し、ノズル31を昇降するようにしてもよい。この場合、ノズル31の昇降に合わせて移載ユニット20の支持テーブル21及び保持ユニット23も昇降するように構成することになる。また、ノズル31と基板収納カセット10との相対的な移動としては、これら双方を移動してもよい。
なお、基板収納カセット10に対して移載ユニット20により基板を搬入する場合について簡単に説明すると、まず、基板収納カセット10を昇降して、基板を搬入する棚部14にノズル部31のエア噴出位置を設定する。次に、ノズル部31から搬入対象の基板が載置される、棚部14の載置面にエアを噴出する。エアの噴出を継続した状態で移載ユニット20から棚部14へ基板を搬入する。移載ユニット20の保持ユニット23が棚部14から退避した後、ノズル部31からのエアの噴出を終了し、基板の搬入が終了する。基板の搬入時に、これが載置される棚部14の載置面上にエアが噴出されるので、当該載置面上の塵等が吹き飛ばされ、載置面と基板との間に塵等が存在する事態を防止できる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では基板収納カセット10の、基板の移載口となる正面部10a側にノズル部31を配置したが、背面部10b側や、左右の側面部10c又は10d側に配置することもできる。図11(A)は基板収納カセット10の側面部10c側にノズル部31’、支持部材32及び支柱部材33を配置した例を示しており、ノズル部31’は支柱部材12を避けて各支柱部材12間に分割して配置されている。
<第3実施形態>
上記第1及び第2実施形態では、一つの棚部14分だけノズル部31、31’を設けたが、各棚部14毎にノズル部を設けることもできる。図11(B)は、側面部10c側において各棚部14にノズル部31”及び支持部材32’を設けた例を示しており、ノズル部31”及び支持部材32’は各棚部14毎に配置できるよう、薄型化されている。この例の場合、基板収納カセット10を昇降する装置等は不要となり、代わりに、各棚部14単位でノズル部31”のエアの噴出を切り換える不図示のバルブ機構等を例えば支柱部材33に設けることになる。
<第4実施形態>
上記第1実施形態ではカセット昇降ユニットとして伸縮アクチュエータを用いたものを例示したが、他の構成も採用できる。図12はカセット昇降ユニット400を用いた構成を示す図、図13はカセット昇降ユニット400の分解斜視図である。カセット昇降ユニット400は、基板収納カセット10の両側にそれぞれ配置され、同期的に駆動される。
カセット昇降ユニット400は、基板収納カセット10の端部が載置される載置ステージ401を備える。この載置ステージ401が上下に移動することで基板収納カセット10が昇降される。カセット昇降ユニット400は上下方向に延びる支柱402を備え、支柱402の内側表面には上下方向に延びる一対のレール部材403及びラック410が固定されている。
載置ステージ401は支持板405の一側面に固定されて支持される。支持板405の他側面にはレール部材403に沿って移動可能な4つのスライド部材404が固定され、載置ステージ401及び支持板405はレール部材403の案内により上下に移動する。
駆動ユニット409はモータ409aと減速機409bとから構成されており、支持板406の一側面に固定されて支持されている。減速機409bの出力軸は支持板406を貫通して支持板406の他側面に配設されたピニオン408に接続されている。
支持板405と支持板406とは所定の間隔を置いて相互に固定され、支持板405と支持板406との空隙にはピニオン408と、ピニオン407a及び407bが配設されている。ピニオン407a及び407bは支持板405と支持板406との間で回転可能に軸支され、ピニオン408の回転に従動して回転する。ピニオン407a及び407bは相互に同じ仕様のピニオンであり、2つのピニオン407aは、各ラック410と噛み合っている。
しかして、駆動ユニット409を駆動するとピニオン408が回転し、その駆動力により、駆動ユニット409、支持板405及び406、スライド部材404、及び、載置ステージ401が一体となって上方又は下方へ移動することになり、載置ステージ401上に載置された基板収納カセット10を昇降することができる。そして、基板収納カセット10に収納された基板のうち、搬出対象となる基板とこの基板が載置された棚部との間に、ノズル部301によるエア噴出位置を設定するために、基板収納カセット10が昇降することになる。
本実施形態の場合、エア噴出ユニット300は、昇降ユニット400間に架設されるようにして支柱402に固定されており、基板収納カセット10の基板の移載口(正面部)に対応するよう配設されたノズル部301と、ノズル部301が取り付けられ、左右及び支柱402の側部に延びて当該側部にて固定・支持された支持部材302と、を備える。本実施形態ではノズル部301及び支持部材302の構成は、上記第1実施形態のノズル部31、支持部材32と略同様であり、不図示のエア供給装置から供給されるエアが支持部材302内の流路を通過してノズル部301から噴出可能とされる。
本発明の一実施形態に係る基板移載システム1の概略斜視図である。 基板移載システム1の構造を示す側面視図(一部破断)である。 個々の棚部14の構成を示す斜視図である。 (A)は図3の線XXに沿う断面図、(B)は傾斜部142b周辺の拡大図、(C)は固定部142a周辺の拡大図である。 保持ユニット23の断面図である。 (A)は図2の線YYに沿う、支持部材32及び支柱部材33の断面図、(B)は図6(A)の線ZZに沿うノズル部31と支持部材32との断面図、(C)はノズル部31の外観斜視図である。 (A)乃至(D)は基板移載システム1の動作説明図である。 (A)乃至(D)は基板移載システム1の動作説明図である。 (A)乃至(D)はエア噴出時のノズル部31近傍を拡大した動作説明図である。 (A)乃至(C)は基板移載システム1の動作説明図である。 (A)は本発明の第2実施形態におけるノズル部の配置例、(B)は本発明の第3実施形態におけるノズル部の構成例を示す図である。 本発明の第4実施形態におけるカセット昇降ユニット400を用いた構成を示す図である。 カセット昇降ユニット400の分解斜視図である。
符号の説明
1 基板移載システム
10 基板収納カセット
14 棚部
20 移載ユニット
30 エア噴出ユニット
31 ノズル部
40 カセット昇降ユニット

Claims (9)

  1. 基板が載置される載置面を有し、上下方向に所定間隔で複数段配設された棚部を有する基板収納カセットと、
    前記基板収納カセットから前記基板を搬出する移載ユニットと、
    を備えた基板移載システムにおいて、
    搬出対象の前記基板と当該基板が載置された前記載置面との間へ、これらの側方から略水平方向にエアを噴出するエア噴出手段を備えたことを特徴とする基板移載システム。
  2. 前記基板収納カセットが、
    前記基板の移載口となる正面部と、背面部と、左右の側面部と、上面部と、底面部と、を備え、
    前記エア噴出手段は、
    前記正面部側から前記背面部側へエアを噴出することを特徴とする請求項1に記載の基板移載システム。
  3. 各々の前記棚部が、
    略水平方向に張設された複数のワイヤと、
    前記複数のワイヤ上に固定され、その上面が前記載置面を構成するシート材と、
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板移載システム。
  4. 前記シート材は、
    前記載置面と、前記載置面の端部において当該載置面に対して下方に傾斜し、前記載置面に載置された前記基板との間で空隙を形成する傾斜面とを有し、
    前記エア噴出手段のエア噴出位置が、前記空隙に設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板移載システム。
  5. 前記基板が方形の基板であり、
    前記エア噴出手段は、
    前記基板の端辺に沿って延びるスリット状のエア噴出口を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の基板移載システム。
  6. 前記エア噴出手段は、エア噴出口を形成するノズルを備え、
    前記ノズルのエア噴出位置を、搬出対象の前記基板と当該基板が載置された前記棚部の前記載置面との間に設定するために、前記ノズルと前記基板収納カセットとを相対的に移動させる移動手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の基板移載システム。
  7. 前記移載ユニットは、
    前記正面部の幅方向離間し、前記基板の端部を保持する一対の保持部を備え、
    前記エア噴出手段は、
    エア噴出口を形成するノズルを備え、
    前記ノズルは、
    前記一対の保持部間に収まるように前記正面部側に配設され、
    前記ノズルのエア噴出位置を、搬出対象の前記基板と当該基板が載置された前記棚部の前記載置面との間に設定するために、前記ノズルと前記基板収納カセットとを相対的に移動させる移動手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の基板移載システム。
  8. 前記移載ユニットは、
    前記基板収納カセットへ前記基板を搬入し、
    前記エア噴出手段は、
    搬入対象の基板が載置される前記載置面上へ、その側方から略水平方向にエアを噴出することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに基板移載システム。
  9. 基板が載置される載置面を有し、上下方向に所定間隔で複数段配設された棚部を有する基板収納カセットと、前記基板収納カセットから前記基板を搬出する移載ユニットと、を備えた基板移載システムに用いられるエア噴出ユニットであって、
    搬出対象の前記基板と当該基板が載置された前記載置面との間へ、これらの側方から略水平方向にエアを噴出することを特徴とするエア噴出ユニット。
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