JP2006315607A - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】停車している位置でホイールベース間に路面勾配差があるか否かを判断し(ステップS2〜S14)、ホイールベース間に路面勾配差があると判断したときに(ステップS24の判定が“No”)、目標制動力Ftを補正する(ステップS26〜S36)。停車している位置でホイールベース間に路面勾配差があるか否かは、車両の移動中に車体の傾斜角が変化したら(ステップS2、S3の判定が共に“Yes”)、その地点からの車両の累積移動距離Daを算出しておき(ステップS12、S15)、この累積移動距離DaがホイールベースLより短いときに(ステップS13の判定が“No”)、ホイールベース間に路面勾配差があると判断する(ステップS14)。
【選択図】図4
Description
そこで、本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、停車状態を維持するための制動力を過不足なく発生させることのできる車両用ブレーキ装置の提供を課題としている。
図1は、本発明の概略構成を示すブロック図である。各車輪の車輪速度Vwi(i=FL〜RR)を検出する電磁誘導式の車輪速センサ1と、路面勾配に応じた車体の傾斜角θを検出可能な加速度センサ2と、パーキングブレーキの操作信号を出力するPKBスイッチ3と、がコントローラ8に接続される。なお、加速度センサ2は、登坂方向を正値で検出し、降坂方向を負値で検出するものとする。また、PKBスイッチ3は、例えばON/OFFに切換え可能で、ONのときにパーキングブレーキを作動させ、OFFのときにパーキングブレーキを非作動にする。
ここで、ブレーキアクチュエータ9は、図2に示すように、マスターシリンダ10と各ホイールシリンダ11FL〜11RRとの間に介装されている。
各ホイールシリンダ11FL〜11RRは、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧して制動力を発生させるディスクブレーキや、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧して制動力を発生させるドラムブレーキに内蔵されている。
プライマリ側は、マスターシリンダ10及びホイールシリンダ11FL(11RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型の第1ゲートバルブ12Aと、第1ゲートバルブ12A及びホイールシリンダ11FL(11RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型のインレットバルブ13FL(13RR)と、ホイールシリンダ11FL(11RR)及びインレットバルブ13FL(13RR)間に連通したアキュムレータ14と、ホイールシリンダ11FL(11RR)及びアキュムレータ14間の流路を開放可能なノーマルクローズ型のアウトレットバルブ15FL(15RR)と、マスターシリンダ10及び第1ゲートバルブ12A間とアキュムレータ14及びアウトレットバルブ15FL(15RR)間とを連通した流路を開放可能なノーマルクローズ型の第2ゲートバルブ16Aと、アキュムレータ14及びアウトレットバルブ15FL(15RR)間に吸入側を連通し、且つ第1ゲートバルブ12A及びインレットバルブ13FL(13RR)間に吐出側を連通したポンプ17と、を備えている。また、ポンプ17の吐出側には、吐出されたブレーキ液の脈動を抑制し、ペダル振動を弱めるダンパー室18が配設されている。
第1ゲートバルブ12A・12Bと、インレットバルブ13FL〜13RRと、アウトレットバルブ15FL〜15RRと、第2ゲートバルブ16A・16Bとは、夫々、2ポート2ポジション切換・シングルソレノイド・スプリングオフセット式の電磁操作弁であって、第1ゲートバルブ12A・12B及びインレットバルブ13FL〜13RRは、非励磁のノーマル位置で流路を開放し、アウトレットバルブ15FL〜15RR及び第2ゲートバルブ16A・16Bは、非励磁のノーマル位置で流路を閉鎖するように構成されている。
また、ポンプ17は、負荷圧力に係りなく略一定の吐出量を確保できる歯車ポンプ、ピストンポンプ等、容積形のポンプで構成されている。
以上の構成により、プライマリ側を例に説明すると、第1ゲートバルブ12A、インレットバルブ13FL(13RR)、アウトレットバルブ15FL(15RR)、及び第2ゲートバルブ16Aが全て非励磁のノーマル位置にあるときに、マスターシリンダ2からの液圧がそのままホイールシリンダ11FL(11RR)に伝達され、通常ブレーキとなる。
したがって、コントローラ8は、第1ゲートバルブ12A・12Bと、インレットバルブ13FL〜13RRと、アウトレットバルブ15FL〜15RRと、第2ゲートバルブ16A・16Bと、ポンプ17とを駆動制御することによって、各ホイールシリンダ11FL〜11RRの液圧を増圧・保持・減圧することができる。
この勾配差判断処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込み処理として実行され、先ずステップS1では、各車輪速Vwiに基づいて車速Vを算出する。なお、本実施形態では、各車輪速Vwiに基づいて車速Vを算出しているが、これに限定されるものではなく、車体の前後加速度を加速度センサで検出し、この前後加速度を加味して車速Vを算出してもよい。
ステップS3では、1サンプリング前からの傾斜角θの変化量Δθ(=|θ(n-1)−θ(n)|)が、所定値より大きいか否かを判定する。この判定結果がΔθ>所定値であるときには、後述するステップS8に移行する。一方、判定結果がΔθ≦所定値であるときには、ステップS4に移行する。
続くステップS5では、制御フラグfMを“0”にリセットする。
続くステップS6では、車体の傾斜角θが変化した地点からの車両の移動距離を表す累積移動距離Daを0にリセットする。
一方、前記ステップS3から移行するステップS8では、制御フラグfMが“0”にリセットされているか否かを判定する。この判定結果がfM=0であるときには、傾斜角θが変化した直後であると判断してステップS9に移行する。
続くステップS10では、制御フラグfMを“1”にセットしてからステップS11に移行する。一方、上記ステップS8の判定結果がfM=1であるときには、そのままステップS11に移行する。
D=V×T ………(1)
続くステップS12では、下記(2)式に示すように、車体の傾斜角θが変化した地点からの車両の累積移動距離Daを算出する。
続くステップS13では、累積移動距離Daが車両のホイールベースL以上であるか否かを判定する。この判定結果がDa≧Lであるときには、ホイールベース間に路面勾配差はないと判断して前記ステップS7に移行する。一方、判定結果がDa<Lであるときには、ホイールベース間に路面勾配差があると判断してステップS14に移行する。
一方、前記ステップS2から移行するステップS15では、下記(3)式に示すように、車体の傾斜角θが変化した地点からの車両の累積移動距離Daを算出してから前記ステップS13に移行する。
次に、コントローラ8で実行するPKB作動制御処理を、図4のフローチャートに基づいて説明する。
このPKB作動制御処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込み処理として実行され、先ずステップS21で、PKBスイッチ3がONに設定されているか否かを判定する。ここで、PKBスイッチ3がOFFに設定されているときには、ステップS22に移行する。
一方、上記ステップS21で、PKBスイッチ3がONに設定されているときには、ステップS23に移行する。
ステップS23では、下記(4)式に示すように、車体の傾斜角θ(以下、第1実施形態ではγと記す)に応じた目標制動力Ftを算出する。ここで、mは車両重量、gは重力加速度である。
続くステップS24では、図3の勾配差判断処理で設定された制御フラグfCが“0”にリセットされているか否かを判断する。この判定結果がfC=0であるときには、ホイールベース間に路面勾配差はないと判断してステップS25に移行する。
ステップS25では、目標制動力Ftが後輪のホイールシリンダ11RL・11RRに付与されるように、ブレーキアクチュエータ9を駆動制御することで、パーキングブレーキを作動させてから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS26では、車体の傾斜角に基づいて停車位置が登り勾配であるか又は下り勾配であるかを判定する。ここで、下り勾配であるときには、後述するステップS32に移行する。一方、登り勾配であるときには、ステップS27に移行する。
ステップS28では、下記(5)式に示すように、目標制動力Ftの補正量ΔFを算出する。
続くステップS29では、下記(6)式に示すように、目標制動力Ftを、補正量ΔFの加算によって補正してから前記ステップS25に移行する。
Ft ← Ft+ΔF ………(6)
一方、上記ステップS27の判定結果がα≦γであるときには、ステップS30に移行する。
ΔF=m×g×sinγ−m×g×sinα ………(7)
続くステップS31では、下記(8)式に示すように、目標制動力Ftを、補正量ΔFの減算によって補正してから前記ステップS25に移行する。
一方、前記ステップS26から移行するステップS32では、初期傾斜角αが現在の傾斜角γより小さいか否かを判定する。この判定結果がα<γであるときには、ステップS33に移行する。
ステップS33では、下記(9)式に示すように、目標制動力Ftの補正量ΔFを算出する。
続くステップS34では、下記(10)式に示すように、目標制動力Ftを、補正量ΔFの減算によって補正してから前記ステップS25に移行する。
Ft ← Ft−ΔF ………(10)
一方、上記ステップS32の判定結果がα≧γであるときには、ステップS35に移行する。
ΔF=|m×g×sinγ−m×g×sinα| ………(11)
続くステップS36では、下記(12)式に示すように、目標制動力Ftを、補正量ΔFの加算によって補正してから前記ステップS25に移行する。
以上より、加速度センサ2が「傾斜角検出手段」に対応し、図4のPKB作動制御処理が「停車状態維持手段」に対応し、図3の勾配差判断処理が「勾配差判断手段」に対応している。
次に、上記第1実施形態の動作や作用効果について説明する。
すなわち、路面勾配が大きいほど目標制動力Ftが大きくなるので、路面勾配が急であってもパーキングブレーキとしての制動力が不足して車両がずり下がるといった事態を回避することができる。逆に、路面勾配が小さいほど目標制動力Ftも小さくなるので、路面勾配が緩やかである又は略平坦であるときには、パーキングブレーキとしての制動力を無駄に増加させることがなく、ブレーキアクチュエータ9の長寿命化を図ることができる。
すなわち、図6の場合では、非制動輪の接する路面勾配βよりも、制動輪の接する路面勾配αの方が大きく、α>γとなるので、制動輪に作用する下り方向(進行逆方向)の力F0′(=m×g×sinα)は、F0(=m×g×sinγ)よりも大きくなる。したがって、F0と等しい制動力では停車状態を維持できず車両がずり下がる可能性がある。
そこで、本実施形態では、停車している位置でホイールベース間に路面勾配差があるか否かを判断し(ステップS2〜S14)、ホイールベース間に路面勾配差があると判断したときに(ステップS24の判定が“No”)、目標制動力Ftを補正する(ステップS26〜S36)。これにより、パーキングブレーキを作動させる際、停車状態を維持するための制動力を過不足なく発生させることができる。
この第2実施形態は、ホイールベース間に路面勾配差があるか否かを、前輪車軸及び後輪車軸にかかる荷重差に基づいて判断するものである。
そこで、第2実施形態では、前輪車軸にかかる荷重WfD及び後輪車軸にかかる荷重WrDを検出可能な荷重センサを例えばサスペンションへ備えると共に、図3の勾配差判断処理を、図12の勾配差判断処理に変更したことを除いては、第1実施形態と同様の処理を実行するため、同一部分については詳細説明を省略する。
続くステップS42では、車速Vが0であるか否かを判定する。この判定結果がV>0であるときには、車両が移動中であると判断してステップS43に移行する。
ステップS43では、制御フラグfCを“0”にリセットしてから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS44では、下記(13)式に示すように、前輪車軸にかかる荷重WfE、及び後輪車軸にかかる荷重WrEを車体の傾斜角θに応じて推定すると共に、下記(14)式に示すように、推定した荷重WfE及びWrEの差分から前輪車軸と後輪車軸にかかる荷重差ΔWEを算出する。ここで、Wは車両重量、Lはホイールベース、xは前輪車軸と重心との距離、Hは重心の高さである。
WrE=W(x×cosθ+H×sinθ}/L ………(13)
ΔWE=|WfE−WrE| ………(14)
続くステップS45では、下記(15)式に示すように、荷重センサで検出した荷重WfD及びWrDの差分から前輪車軸と後輪車軸にかかる荷重差ΔWDを算出する。
続くステップS46では、実測によって検出した荷重差ΔWDから、傾斜角θに応じて推定した荷重差ΔWEを減じた値(ΔWD−ΔWE)が所定値以下であるか否かを判定する。この判定結果が(ΔWD−ΔWE)≦所定値であるときには、ホイールベース間に路面勾配差はないと判断して前記ステップS43に移行する。一方、判定結果が(ΔWD−ΔWE)>所定値であるときには、ホイールベース間に路面勾配差があると判断してステップS47に移行する。
なお、前後輪の荷重差の推定値と検出値とのずれで判断する代わりに、前後輪の一方又は双方の荷重の推定値と検出値のずれで判断してもよい。
ここで、図12の勾配差判断処理が「勾配差判断手段」に対応している。
その他の作用効果や実施形態の適用範囲については前述した第1実施形態と同様である。
2 加速度センサ
3 PKBスイッチ
8 コントローラ
9 ブレーキアクチュエータ
10 マスターシリンダ
11FL〜11RR ホイールシリンダ
12A・12B 第1ゲートバルブ
13FL〜13RR インレットバルブ
14 アキュムレータ
15FL〜15RR アウトレットバルブ
16A・16B 第2ゲートバルブ
17 ポンプ
18 ダンパー室
Claims (7)
- 路面勾配に応じた車体の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、該傾斜角検出手段で検出した車体の傾斜角に応じて停車状態を維持するのに必要な目標制動力を車輪に付与する停車状態維持手段と、を備えた車両用ブレーキ装置において、
停車している位置でホイールベース間に路面勾配差があるか否かを判断する勾配差判断手段を備え、
前記停車状態維持手段は、前記勾配差判断手段がホイールベース間に路面勾配差があると判断したときに、前記目標制動力を補正することを特徴とする車両用ブレーキ装置。 - 前記停車状態維持手段は、前輪又は後輪の何れか一方に前記目標制動力を付与すると共に、前記勾配差判断手段がホイールベース間に路面勾配差があると判断した際に、前記目標制動力を付与しない非制動輪側の路面勾配よりも、前記目標制動力を付与する制動輪側の路面勾配の方が大きいときには、前記目標制動力を増加方向に補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ装置。
- 前記停車状態維持手段は、前輪又は後輪の何れか一方に前記目標制動力を付与すると共に、前記勾配差判断手段がホイールベース間に路面勾配差があると判断した際に、前記目標制動力を付与しない非制動輪側の路面勾配よりも、前記目標制動力を付与する制動輪側の路面勾配の方が小さいときには、前記目標制動力を減少方向に補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ブレーキ装置。
- 前記勾配差判断手段は、車両の移動中に前記傾斜角検出手段で検出される車体の傾斜角が変化した地点からの車両の移動距離を算出しておき、当該移動距離がホイールベースより短いときに、ホイールベース間に路面勾配差があると判断することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用ブレーキ装置。
- 前記停車状態維持手段は、車両の移動中に車体の傾斜角が変化した直前の初期傾斜角と停車位置での傾斜角との差に応じて前記目標制動力を補正することを特徴とする請求項4に記載の車両用ブレーキ装置。
- 前記勾配差判断手段は、前輪の車軸及び後輪の車軸の少なくとも一方にかかる荷重を、前記傾斜角検出手段で検出される車体の傾斜角に応じて推定すると共に、実測によって検出し、推定した荷重と検出した荷重とが所定値以上ずれているときに、ホイールベース間に路面勾配差があると判断することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用ブレーキ装置。
- 前記停車状態維持手段は、推定された荷重と検出された荷重とのずれ量に応じて前記目標制動力を補正することを特徴とする請求項6に記載の車両用ブレーキ装置。
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