JP4982280B2 - ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキ装置の摩擦材の摩擦係数の算出、摩擦材の摩擦係数に基づく車輪の停止状態の判定及び車輪の路面μの算出に関する。
アンチロックブレーキ制御(以下、ABS制御と言う。)や車両挙動安定化制御(ビーヒクルスタビリティアシスト制御、以下、VSA制御と言う。)では、舵角センサやヨーレートセンサを用いて車両の旋回挙動を検出し、実際の旋回挙動が安定するように各車輪ブレーキのブレーキ圧を制御する。ABS制御やVSA制御を高精度に実行するためには、舵角センサやヨーレートセンサの経時的な中点のずれ(ドリフト)を補正(零点の更新)を行う必要がある。そこで、車両が停止(静止)している状態で、ヨーレートセンサの中点補正を行い、中点補正後のヨーレートセンサの出力が走行中にゼロ、即ち直進状態において、舵角センサの中点補正を行う。従って、車両の停止(静止)判定を正確に行う必要がある。
車両の停止判断は、車輪速度センサにより検出された車輪速度に基づいてされていた。近年、制動時のブレーキトルクを検出するブレーキトルクセンサを用いたABS制御等が提案されている。
特許文献1には、制動トルクを検出するブレーキトルクセンサを有するディスクブレーキが記載されている。
特許文献2には、低速時における車輪速の精度低下を防止する車速検出装置が記載されている。
特開2003−14019号公報 特許第3446779号公報
しかしながら、キャリパ液圧から制動力を推定して、路面μを求めるには、摩擦材の摩擦係数(パッドμ)を知る必要があり、これを固定値で置き換えて算出した場合は摩擦材の摩耗等によりパッドμの変動分の誤差が生じるといった問題があった。更に、左右の車輪で路面μに差がある状態の検出において、左右の車輪のパッドμの差が路面μの差の検出に直接影響を及ぼし、その精度を著しく悪化させるという問題があった。
また、車輪速度センサによる車輪の停止判断では、極低速度走行における車輪停止の検出精度が低下するという問題点もある。従って、車輪速度センサを用いずにブレーキトルクセンサの出力を用いて、車輪速度センサを用いた場合よりも精度の高い車輪停止状態を判定する技術が望まれる。
特許文献1では、ブレーキトルクの検出に関する記載はあるがブレーキトルクからパッドμの推定や車両の停止状態を判定することについては記載されていない。
また、特許文献2にも、車輪速度に関する記載はあるがパッドμを推定することについては記載されていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、車輪とともに回転するブレーキ要素に回転力が付与されている場合でも正確に車輪停止を判定できるブレーキ装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明によれば、車輪を回転可能に支持すると共に、サスペンションによって車体にばね支持される車輪回転支持体、車輪と共に回転するブレーキ要素と、前記ブレーキ要素に接して前記ブレーキ要素を制動する摩擦材と、運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた力で前記摩擦材を前記ブレーキ要素に押動する押動部材とを備えるブレーキ装置であって、前記押動部材の押動力を検出する押動力検出手段と、制動時のブレーキトルクを検出するブレーキトルクセンサと、前記押動力検出手段で検出された押動力及び前記ブレーキトルクセンサで検出されたブレーキトルクに基づいて、前記ブレーキ要素と前記摩擦材との間の摩擦係数を演算する摩擦係数演算手段と、前記ブレーキ操作部材が操作されたときに、前記摩擦係数演算手段で演算された摩擦係数が、予め設定された動摩擦域の範囲内に入ったか否かを判定し、前記摩擦係数が前記動摩擦域の範囲内に入ったと判定した後で、前記摩擦係数が前記動摩擦域よりも低く0より大きな所定の閾値以下となったときに、車輪の停止状態であると判定する車輪停止状態判定手段とを備えたことを特徴とするブレーキ装置が提供される。
請求項2記載の発明によれば、前記ブレーキ要素は所定の有効半径を有するブレーキディスクを含んでなり、前記車輪停止状態判定手段が車輪の停止状態であると判定する前に、前記摩擦係数演算手段は、前記押動力検出手段が算出するピストン押動力と前記ブレーキディスクの有効半径の積算値で、前記ブレーキトルクセンサで検出された前記ブレーキトルクを除算して前記摩擦係数を演算することを特徴とするブレーキ装置が提供される。
請求項記載の発明によると、押動力検出手段で検出された押動力及びブレーキトルクセンサで検出されたブレーキトルクに基づいてブレーキ要素と摩擦材との間の摩擦係数を演算するので、摩擦係数を精度良く検出することができる。その結果、フェード、摩耗、水濡れ等に対処することができる。また、演算された摩擦係数が、予め設定された動摩擦域よりも低い値を下回ったときに、車輪の停止状態であると判定するので、車輪速パルスでは判定が困難な極低速走行と停止の区別を正確に行うことができ、車輪の停止を正確に把握することができる。
また、請求項2記載の発明によると、車輪停止状態判定手段が車輪の停止状態であると判定する前に、摩擦係数演算手段は、押動力検出手段が算出するピストン押動力とブレーキディスクの有効半径の積算値で、ブレーキトルクセンサで検出されたブレーキトルクを除算して摩擦係数を演算できる。
図1は、本発明の実施形態に係る車両のブレーキ系を示す概略構成図である。図1に示すように、車両に搭載されるマスタシリンダ2には、負圧ブースタ4を介してブレーキペダル(ブレーキ操作部材)6からブレーキ操作力が入力される。マスタシリンダ2は、タンデム型に構成されたものであり、例えば、左前輪ブレーキ1FL,右後輪ブレーキ1RRに対応する出力ポート8と、図示しない右前輪ブレーキ及び左後輪ブレーキに対応する出力ポート10とを備え、出力ポート8,10には液圧路11,12がそれぞれ接続される。出力ポート8側のブレーキ装置と、出力ポート10側のブレーキ装置は同一構成であるので、出力ポート8側のブレーキ装置について説明し、出力ポート10側のブレーキ装置については説明を省略する。
マスタシリンダ2の出力液圧は、吸入弁16及び吐出弁18を有し、モータ13で駆動されるポンプ14で増圧可能であり、吐出弁18は液圧路20に接続されている。
液圧路20及びブレーキ1FL,1RR間には、調圧装置22が設けられており、この調圧装置22は、左前輪ブレーキ1FL及び液圧路20間に設けられる常開型電磁弁26と、右後輪ブレーキ1RR及び液圧路20間に設けられる常開型電磁弁28と、各ブレーキ1FL,1RR側から液圧路20側へのブレーキ液圧の流通を許容して常開型電磁弁26,28にそれぞれ並列に接続される一対の一方向弁30,32と、リザーバ33と、各車輪ブレーキ1FL,1RR及びリザーバ33間にそれぞれ設けられる常閉型電磁弁34,36と、液圧路11,20間に設けられる比例型常開電磁弁38と、液圧路11及びチェック弁39間に設けられる常閉型電磁弁37を備える。リザーバ33は、吸入弁16にチェック弁39を介して接続されている。
調圧装置22は、比例型常開型電磁弁38を全開し、常閉型電磁弁37を閉弁し、常開型電磁弁26,28を開弁するともに、常閉型電磁弁34,36を閉弁することにより液圧路11の液圧をブレーキ1FL,1RRに供給する。比例型常開型電磁弁38を全閉し、常閉型電磁弁37を閉弁し、常開型電磁弁26,28を開弁するともに、常閉型電磁弁34,36を閉弁することによりブレーキ1FL,1RRのブレーキ液圧を保持する。
このブレーキ圧保持状態から、常閉型電磁弁37を閉弁し、常開型電磁弁26,28を開弁するともに、常閉型電磁弁34,36を閉弁し、比例型常開型電磁弁38の通電量を制御して徐々に開弁することにより、ホイールシリンダのブレーキ液圧をマスタシリンダ2に徐々に解放する。
更に、非ブレーキ操作中に、常閉型電磁弁37を開弁し、比例型常開型電磁弁38及び常開型電磁弁26,28を開弁するともに、常閉型電磁弁34,36を開弁した状態でモータ13を作動せしめることにより、ポンプ14がマスタシリンダ2側からブレーキ液を吸収して加圧したブレーキ液を液圧路20側に吐出することになり、この状態で、比例型常開型電磁弁38を閉弁し、常閉電磁弁34,36を閉弁し、常開電磁弁26,28のうち制動力を付加しようとするブレーキに対応する常開型電磁弁を開弁し、他方の常開型電磁弁を閉弁することにより、制御力を付加しようとするブレーキにブレーキ液圧を作動せしめて、ブレーキ力を発揮せしめる。
液圧路11は、常閉型電磁弁37を介して吸入弁16及びチェック弁39間に接続されるとともに、比例型常開型電磁弁38を介して液圧路20に接続される。
ポンプ14を駆動するモータ13のオン・オフ作動、調圧装置22の各常開型電磁弁26,28、各常閉型電磁弁34,36の開閉作動、常閉型電磁弁37の開閉作動、比例型常開型電磁弁38の通電量の制御による開閉作動はECU42により制御される。ECU42には、左前輪ブレーキ液圧センサ46FL,右後輪ブレーキ液圧センサ46RR、図示しない右前輪ブレーキ液圧センサ及び左後輪ブレーキ液圧センサ、左前輪ブレーキトルクセンサ50FL,右後輪ブレーキトルクセンサ50RR、図示しない右前輪ブレーキトルクセンサ及び左後輪ブレーキトルクセンサ並びに左前輪車輪速度センサ52FL、右後輪車輪速度センサ52RR、図示しない右前輪車輪速度センサ及び左後輪車輪速度センサからのセンサ出力信号が入力される。
左前輪ブレーキ液圧センサ46FL及び右後輪ブレーキ液圧センサ46RRなどは、左前輪ブレーキ1FL及び右後輪ブレーキ1RRなどに作動するブレーキ液圧を検出するキャリパ液圧検出センサである。左前輪ブレーキ1FL、右後輪ブレーキ1RRなどは、常開型電磁弁26,28を介して供給されるブレーキ液圧に従って、ブレーキ力を発揮する。
図2〜3は、ブレーキ1FL,1RRなどを説明するための図である。尚、各車輪について、ブレーキ1FL、1RRなどが同一構造であるので符号を1と記載し、各車輪の区別はしない。図2及び図3に示すように、摩擦要素としてのブレーキディスク62は、図示しない車輪に固定されており、車輪とともに回転する。
ナックル64は、車輪支持体であり、車輪を回転可能に支持するとともに、図示しないばね及びサスペンションリンクを介して車体に連結されている。キャリパブラケット68は、ボルト65,67によりナックル64に取り付けられており、ブレーキディスク62の回入側及び回出側の両側でブレーキディスク62の軸方向両側に配置される一対の摩擦パッド(摩擦材)78,80を支持している。軸受82は車軸85を支持している。
キャリパブラケット68には、2本のボルトによりブレーキキャリパ66に固定されたた2本のスライドピンが摺動可能に嵌合されており、ブレーキディスク62の軸線と平行な方向に進退して摩擦パッド78,80をブレーキディスク62に向けて押し付けるピストン(押動部材)72を備える。
ブレーキキャリパ66はホイールシリンダ70を一体的に有しており、ホイールシリンダ70内にはピストン(押動部材)72が嵌合されている。ピストン室74には、液圧供給口76を介してブレーキ液圧が供給される。
ブレーキディスク62は、ハブ63に連結されている。液圧供給口76を介してブレーキ液圧がピストン室74に供給されると、ピストン72が図3において左方向に押し出されて摩擦パッド78がブレーキディスク62に押し付けられる。
ピストン72が摩擦パッド78をブレーキディスク62に押し付けた反力でブレーキキャリパ66が右方向に移動し、反対側の摩擦パッド80もブレーキディスク62に押し付けられ、ブレーキディスク62の回転を制動する。
ブレーキトルクセンサ50は、図示しないサスペンションのばね下の部材の制動時のブレーキトルクによって歪が生じる部位に設けられ、ピストン72の押動力による摩擦パッド78,80とブレーキディスク62との間の摩擦力によるブレーキトルクTb及びピストン72による摩擦パッド78,80のブレーキディスク62への押動力による車輪の停止状態におけるブレーキトルクTbを検出する。車輪速度センサ52FL、52RRなどは、車輪の回転速度を検出するセンサである。
図4は、本発明の実施形態によるECU42の車輪停止判定に係る機能ブロック図である。図4に示すように、ECU42は、押動力検出手段100、パッドμ算出手段102、制動判定手段104及び車輪停止判定手段106を備える。
押動力検出手段100は、ピストン72が摩擦パッド78をブレーキディスク62に押し付けた押動力と、その反力によりブレーキキャリパ66が摩擦パッド80をブレーキディスク62に押し付けた押動力とを合わせたピストン押動力PF[N]を、式(1)より算出する。
PF=2*P*S ・・・ (1)
但し、P[MPa]はブレーキ液圧センサ46により検出されたブレーキ液圧、S[mm2]は、ホイールシリンダ70のシリンダ断面積である。
パッドμ算出手段102は、ピストン押圧力PF、ブレーキトルクセンサ50により検出されたブレーキトルクTb[N・m]及びブレーキディスク62の有効半径Rrot[m]から、式(2)に示すブレーキトルクTbとブレーキ液圧Pの関係に基づいて,式(3)より、摩擦パッド78,80の摩擦係数μpadを算出する。
Tb=PF*μpad*Rrot ・・・ (2)
PF*μpadは、ピストン62からのブレーキ液圧Pによる摩擦パッド78を介してブレーキディスク62に作用する力と、その反力により摩擦パッド80を介してブレーキディスク62に作用する力とによる左右の2方向からの摩擦パッド78,80とブレーキディスク62の間の摩擦力によるブレーキ力である。このブレーキ力に、ブレーキディスク62の有効半径Rrotを掛け合わせることにより、式(2)に示すブレーキトルクTbが算出される。
ブレーキトルクTb、ブレーキ液圧P、ホイールシリンダ断面積S、ブレーキディスク有効半径Rrotは、既知であるので、式(3)より摩擦係数μpadを算出することができる。
μpad=Tb/(PF*Rrot) ・・・ (3)
運転者によるブレーキペダル6の踏み込みやABS制御等により、摩擦パッド78,80とブレーキディスク62が十分摩擦して、ブレーキ力が発揮されている状態では安定した値を取ることが分かっている。例えば、摩擦係数μpadが0.35前後である。
しかし、車輪が停止しているときは、摩擦パッド78,80とブレーキディスク62が摩擦していない状態であり、摩擦パッド78,80からブレーキディスク62への押動力により、ブレーキディスク62の回転が阻止された状態である。
この状態では、ブレーキディスク62が回転しておらず、摩擦パッド78,80とブレーキディスク62の摩擦力が零であることから、ブレーキトルクとブレーキ液圧は、摩擦パッド78,80とブレーキディスク62との間で作用する摩擦力に基づく式(3)に示す摩擦係数μpadの関係を保持せず、車輪を停止させるためにブレーキペダル6が強く踏み込まれており、車輪を停止させるに必要なブレーキトルクを発生するためのブレーキ液圧より十分に高いブレーキ液圧がブレーキ1に作用している状態であると考えられる。
そのため、式(3)から演算した摩擦係数μpadは、ブレーキディスク62と摩擦パッド78,80が十分摩擦してブレーキ力が発揮されている状態での摩擦係数μpadや、停止する直前の摩擦係数パッドμpadよりも低い値を示すこととなる。ここで、ブレーキペダル6が強く踏み込まれブレーキ液圧のみが高くなることにより、車輪の停止を判定すると、例えば、高速走行中に急ブレーキをかけた場合のように、摩擦パッド78,80とブレーキディスク62との間で摩擦力が作用している場合もあり、車輪の停止を誤判定することがあるが、式(3)から演算した摩擦係数μpadにより車輪の停止を判定することにより、車輪停止の誤判定を防止できる。
従って、式(3)より摩擦係数μpadを常時演算することにより、摩擦パッド78,80とブレーキディスク62の間の摩擦状態が分かり、摩擦による制動時よりも摩擦係数μpadが極端に低下した場合に車輪の停止と判定することができる。尚、ABS制御等が非作動状態であり、且つブレーキペダル6が踏み込まれていないときは、押動力PFが零となり、式(3)より、摩擦係数μpadを算出することはできないので、かかる場合は摩擦係数μpadの演算はしない。
制動判定手段104は、演算した摩擦係数μpadが摩擦により安定してブレーキ力が発揮されていると考えられる一定の摩擦係数の範囲(動摩擦域)、例えば、0.35から一定範囲であり制動中であるか否かを判定する。ブレーキペダル6の踏み込みによる摩擦パッド78,80とブレーキディスク62の間の摩擦力による制動後の車輪の停止を判定することにより、ブレーキペダル6の踏み込み開始の時のように摩擦力が安定して発揮される状態に移るまでの不安定な過渡的な状態での車輪停止の誤判定を防止して、確実に車輪停止を判定するためである。また、摩擦パッド78,80の摩耗により摩擦力が小さくなることも考えられることから、演算した摩擦係数μpadに基づいて動摩擦域を可変にしても良い。
車輪停止判定手段106は、制動判定手段104により制動が判定された後に、算出した現在の摩擦係数μpadが制動時の動摩擦域の摩擦係数μpadを下回る値、例えば、閾値μthよりも小さいときに車輪の停止であると判定する。ここで、駆動力が車軸85を通して車輪に付与されている場合や、登坂路で停止している場合は重力加速度の斜面成分によりブレーキディスク62に回転力が付与されており、この回転力を制動する制動力が、摩擦パッド78,80からブレーキディスク62に作用しており、ブレーキトルクはゼロではなく、式(3)から演算した摩擦係数μpadは零とはならない。よって、式(3)から演算した摩擦係数μpadが零であることを以って車輪の停止を判断した場合は、上記場合において車輪の停止を判断できず正確に車輪停止を判断することはできない。そこで、閾値μthを0よりも大きな値とする。
本実施形態では、制動後における車輪停止を判定するようにしているが、制動の判断を行わずに、式(3)より演算した摩擦係数μpadが動摩擦域を下回る閾値μth以下となったことを車輪停止の条件としても良い。
但し、制動後の車輪停止を判定することにより、上述のように、摩擦による制動力が不安定である過渡的な状態における車輪停止の誤判定がなくなり、精度良く車輪停止を判定することができる。また、制動中の摩擦係数μpadと比較して、動摩擦域を可変とすることより、摩擦パッド78,80の摩耗により摩擦係数が小さくなったときに制動中であるにもかかわらず、車両停止と誤判定することがなくなる。
式(3)より演算したμpadが動摩擦域を下回る閾値μth以下となる回数が所定回数を越えたことにより車輪停止を判定するようにしても良い。運転者は、通常、車両を停止するべく一定時間以上ブレーキペダル6を踏み込むことから、誤判定を防止して、車輪停止の判定を確実に行うことができる。
図5は、本発明の実施形態による車輪停止判定方法を示すフローチャートである。図6は車輪停止判定方法を示すタイムチャートである。図6中のPはブレーキ液圧、Tbはブレーキトルク、μpadは摩擦係数、μthは閾値、Lは動摩擦域である。
ステップS2で、ブレーキトルクセンサ50が検出したブレーキトルクTbを取得する。ステップS4で、ブレーキ液圧センサ46が検出したブレーキ液圧Pを取得する。ステップS6で、ブレーキ液圧P、ホイールシリンダ70のシリンダ断面積Sを式(1)に代入して、押動力PFを算出する。
ステップS8で、例えば、図示しないブレーキスイッチがONしたか、ブレーキ液圧Pが一定以上であるか否かによりブレーキペダル6が踏み込まれているか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS10に進み、否定判定ならば、ステップS22に進み、制動判断済みフラグをOFFして終了する。例えば、時刻t1でブレーキペダル6が踏み込まれたとする。
ステップS10で、ブレーキトルクTb、ブレーキ有効半径Rrot、押動力PFを式(3)に代入して、摩擦係数μpadを算出する。ステップS12で、制動判断済みフラグがONであるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS18に進み、否定判定ならば、ステップS14に進む。ステップS14で、算出した摩擦係数μpadが動摩擦域Lの範囲内であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS16に進み、否定判定ならば、終了する。
ステップS16で、制動判断済みフラグをONする。例えば、交差点で車両を停止するべく、時刻t1でブレーキペダル6が踏み込まれ、摩擦パッド78,80とブレーキディスク62との間の摩擦力により、ブレーキ力が発揮されて、時刻t2で、算出したμpadが動摩擦域Lの範囲内になると、摩擦力によりブレーキトルクが安定して発揮されていると判断されて、制動判断済みフラグがONされる。
ステップS18で、算出した摩擦係数μpadが閾値μth以下であるか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS20に進み、否定判定ならば、終了する。ステップS20で、ブレーキペダル6の踏み込みによりパッド78,80とブレーキディスク62との間の摩擦力が発揮された後に、ブレーキペダル6が強く踏み込まれて、車両が停止している状態であるとして、車輪の停止を判定する。例えば、時刻t3では車輪停止のためにブレーキペダル6が強く踏み込まれて、算出した摩擦係数μpadが閾値μth以下となり、車輪の停止を判定する。本例では、車輪が停止した後も、駆動トルクが駆動輪に作用していることから、図6に示すように、駆動輪のブレーキトルクTbは零ではない。上記ステップS2〜22を繰り返す。
以上説明した本実施形態によれば、ブレーキトルクTbとブレーキ液圧Pに基づいて摩擦係数μpadを算出するので、摩擦係数を精度良く検出することができる。その結果、フェード、摩耗、水濡れ等に対処することができる。また、制動後に摩擦係数μpadが閾値μth以下となったことにより車輪の停止状態を判定するので、車輪の停止を正確に把握することができ、車輪速パルスでは判定が困難な極低速走行と停止の識別を正確に行うことができる。
図7は、本発明の実施形態によるECU42の路面μ推定に係る機能ブロック図である。図7に示すように、ECU42は、制動判定手段150、角速度算出手段152、駆動トルク算出手段154、路面μ演算手段156及び車輪間路面μ差演算手段158を具備する。
制動判定手段150は、ブレーキ力が車輪に作用しているか否か、例えば、ブレーキペダル6が踏み込まれているか否かを判定する。ブレーキペダル6が踏み込まれているか否かは、図示しないブレーキスイッチがONしたか否か、ブレーキ液圧センサ46により検出されるブレーキ液圧が一定値を超えているか否かにより判定する。
角加速度算出手段152は、車輪速度センサ52により検出された車輪速度から車輪角速度ωを算出して、これを微分することにより、車輪の角加速度dω/dTを算出する。
駆動トルク算出手段154は、アクセルペダル全閉であることから、エンジンブレーキトルクTd0(負のトルク)を、例えば、エンジン回転数、吸気負圧及びシフトポジジョンとエンジンブレーキとの関係を記憶したマップテーブルを参照して、算出する。路面μ演算手段156は、以下のようにして路面μを算出する。
路面を走行している駆動輪には、ブレーキペダル6の踏み込みによるマスタシリンダ2からのブレーキ液圧の車輪ブレーキ1への作動によるブレーキトルクTb、エンジンブレーキトルクTd、例えば、FF車両の場合は、Td=Td0/2、及び走行抵抗Trが作用しており、式(4)が成り立つ。
I×dω/dT=W×μ×Rtire+Td+Tb+Tr ・・・ (4)
但し、I[kg・m2]はホイールイナーシャ、W[N]は車輪の上下荷重、μは路面摩擦係数、Rtire[m]はタイヤ有効半径、Tr[N・m]は走行抵抗のトルク換算値であり、車輪速度により算出される。
ブレーキ状態なので、符号は、dω/dTはマイナス、Tdはエンジンブレーキトルクでマイナス、Tbはマイナス、Trはマイナスである。
式(4)より式(5)が成り立つ。
μ=(I×dω/dT−Td−Tb−Tr)/W×Rtire ・・・ (5)
一方、路面を走行している従動輪には、ブレーキペダル6の踏み込みによるマスタシリンダ2からのブレーキ液圧の車輪ブレーキ1への作動によるブレーキトルクTb及び走行抵抗Trが作用することから、式(6)が成り立つ。
I×dω/dT=W×μ×Rtire+Tb+Tr ・・・ (6)
符号は、式(4)と同様である。式(6)より、式(7)が成り立つ。
μ=(I×dω/dT−Tb−Tr)/W×Rtire ・・・ (7)
路面μ演算手段156は、駆動輪の路面μを式(5)より算出し、従動輪の路面μを式(7)より算出する。車輪間路面μ差演算手段158は、路面μ演算手段156が算出した各車輪について路面μから車輪間の路面μの差を算出する。
図8は、本発明の路面μ算出方法を示すフローチャートである。ステップS50で、ブレーキペダル6がONであるか否かを判定する。ブレーキペダル6が踏み込まれているか否かは、ブレーキスイッチがONしているか否か、ブレーキ液圧が一定以上であるか否かにより判定する。肯定判定ならば、ステップS52に進み、否定判定ならば、終了する。ステップS52で、車輪の角加速度dω/dtを算出する。ステップS54で、ブレーキトルクセンサ50よりブレーキトルクTb(符号はマイナスとする)を取得する。
ステップS56で、慣性モーメントI×dω/dtを算出する。ステップS58で、エンジン回転数、吸気圧、シフトポジション(減速比)とエンジンブレーキトルクとの関係を示すマップテーブルよりエンジンブレーキトルクTd0を算出する。ステップS60で、駆動輪の場合は、式(5)に、慣性モーメントI×dω/dt、エンジンブレーキトルクTd(=Td0/2)、ブレーキトルクTb、車輪の荷重W、タイヤ動半径Rtire及び走行抵抗Trを代入して、駆動輪の路面μを算出する。また、従動輪の場合は、式(7)に、慣性モーメントI×dω/dt、ブレーキトルクTb、車輪の荷重W、タイヤ動半径Rtire及び走行抵抗Trを代入して、従動輪の路面μを算出する。
ステップS62で全車輪について路面μを算出したか否かを判定する。肯定判定ならば、ステップS64に進み、否定判定ならば、ステップS52に戻る。ステッS64で、路面μの車輪間の差を算出する。上記ステップS50〜64を繰り返す。
以上説明した本実施形態によれば、ブレーキトルクセンサからのブレーキトルク及びエンジンブレーキトルクに基づいて、路面μを算出するので、パッドμの変動やばらつきに影響されること無く、車輪毎の路面μを正確に計測することができる。
本発明が適用される車両のブレーキ系を示す概略構成図である。 本発明の実施形態によるディスクブレーキ概観斜視図である。 本発明の実施形態によるディスクブレーキの概略断面図である。 本発明の実施形態による車輪停止判定に係る機能ブロック図である。 本発明の実施形態による車輪停止判定方法を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による車輪停止判定方法を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による路面μ算出に係る機能ブロック図である。 本発明の実施形態による路面μ算出方法を示すフローチャートである。
符号の説明
1 ブレーキ
6 ブレーキペダル
42 ECU
46 ブレーキ液圧センサ
50 ブレーキトルクセンサ
52 車輪速度センサ
100 押動力検出手段
102 パッドμ演算手段
104,150 制動判定手段
106 車輪停止判定手段
154 路面μ演算手段

Claims (2)

  1. 車輪を回転可能に支持すると共に、サスペンションによって車体にばね支持される車輪回転支持体、車輪と共に回転するブレーキ要素と、前記ブレーキ要素に接して前記ブレーキ要素を制動する摩擦材と、運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた力で前記摩擦材を前記ブレーキ要素に押動する押動部材とを備えるブレーキ装置であって、
    前記押動部材の押動力を検出する押動力検出手段と、
    制動時のブレーキトルクを検出するブレーキトルクセンサと、
    前記押動力検出手段で検出された押動力及び前記ブレーキトルクセンサで検出されたブレーキトルクに基づいて、前記ブレーキ要素と前記摩擦材との間の摩擦係数を演算する摩擦係数演算手段と、
    前記ブレーキ操作部材が操作されたときに、前記摩擦係数演算手段で演算された摩擦係数が、予め設定された動摩擦域の範囲内に入ったか否かを判定し、前記摩擦係数が前記動摩擦域の範囲内に入ったと判定した後で、前記摩擦係数が前記動摩擦域よりも低く0より大きな所定の閾値以下となったときに、車輪の停止状態であると判定する車輪停止状態判定手段と、
    を備えたことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 前記ブレーキ要素は所定の有効半径を有するブレーキディスクを含んでなり、
    前記車輪停止状態判定手段が車輪の停止状態であると判定する前に、
    前記摩擦係数演算手段は、前記押動力検出手段が算出するピストン押動力と前記ブレーキディスクの有効半径の積算値で、前記ブレーキトルクセンサで検出された前記ブレーキトルクを除算して前記摩擦係数を演算することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
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