JP2006307095A - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低発熱性および高硬度を両立し、耐久性の改善されたサイド補強層を有するランフラットタイヤを提供する。
【解決手段】第1級アミノ基およびアルコキシシリル基を有し、Tgが−30℃以下、さらに、該(共)重合体鎖中に2官能性以上のモノマーが共重合されている、および/または、2官能性以上のカップリング剤で(共)重合体鎖の少なくとも一部がカップリングされている共役ジオレフィンの重合体または共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体を10〜50重量%含有するゴム成分100重量部に対して、窒素吸着比表面積が30〜100m2/gおよびジブチルフタレート吸油量が50ml/100g以上のカーボンブラックを10〜100重量部、ならびに硫黄または硫黄化合物を2重量部以上含有するゴム組成物、ならびに該ゴム組成物からなるサイド補強層を有するランフラットタイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明は、サイド補強層の低発熱性および高硬度を両立し、耐久性の改善されたランフラットタイヤに関する。
現在、サイドウォール部の内側に配置された高硬度のサイド補強層を有するランフラットタイヤが実用化され、パンクにより空気圧が失われた状態になっても、ある程度の距離を走行できるようになった。これにより、スペアタイヤを常備する必要性がなくなり、車輌全体における重量の軽量化が期待できる。
しかし、ランフラットタイヤは、低内圧時の走行において、車の荷重をサイド補強層で支えるため、それらは走行時に大きな変形を繰り返すことで熱劣化し、破壊にいたるという問題があった。そのため、低内圧時の走行におけるランフラットタイヤの走行には、速度および走行距離に制限があった。
ランフラットタイヤの耐久性を向上させる有効な手段として、サイド補強層を厚くすることで変形を抑え、変形による破壊を防ぐ方法があるが、タイヤ重量が大きくなり、ランフラットタイヤの当初の目的である軽量化に反するという問題があった。
また、カーボンブラックなどの補強用充填剤を増量することで補強用ゴムを硬くし、サイド補強層の変形を抑える方法も知られているが、混練り、押出しなどの工程への負荷が大きく、また、加硫後物性において発熱が大きくなることから、ランフラットタイヤの耐久性の向上はあまり期待できない。
カーボンブラックなどの補強用充填剤を増量することなく、サイド補強層への加硫剤および加硫促進剤の配合量を増大させることで、サイド補強層の加硫密度を高くして、低内圧時のランフラットタイヤの走行時における変形量を小さくし、低発熱化する手法が特許文献1には開示されているが、サイド補強層の伸びが低下して、破壊強度が低下するという問題があった。
特開2002−155169公報
本発明は、低発熱性および高硬度を両立し、耐久性の改善されたサイド補強層を有するランフラットタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、第1級アミノ基およびアルコキシシリル基を有し、ガラス転移温度が−30℃以下である共役ジオレフィンの重合体または共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体であって、該(共)重合体鎖中に2官能性以上のモノマーが共重合されている、および/または、2官能性以上のカップリング剤で(共)重合体鎖の少なくとも一部がカップリングされている共役ジオレフィンの重合体または共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体を10〜50重量%含有するゴム成分100重量部に対して、窒素吸着比表面積が30〜100m2/gおよびジブチルフタレート吸油量が50ml/100g以上のカーボンブラックを10〜100重量部、ならびに、硫黄または硫黄化合物を2重量部以上含有するゴム組成物に関する。
前記ゴム組成物は、さらに薄板状天然鉱石を、ゴム成分100重量部に対して5〜120重量部含有することが好ましい。
本発明は、前記ゴム組成物からなるサイド補強層を有するランフラットタイヤに関する。
本発明によれば、特定の共役ジオレフィンの重合体または共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体を特定量含有するゴム成分、カーボンブラック、および硫黄または硫黄化合物を含有するゴム組成物をサイド補強層に用いることにより、サイド補強層の低発熱性および高硬度を両立し、耐久性の改善されたランフラットタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分、カーボンブラック、および硫黄または硫黄化合物からなる。
ゴム成分は、共役ジオレフィンの重合体または共役ジエンオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体(共重合体1)を含有する。
共役ジオレフィンとしては、具体的に、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびこれらの混合物などが挙げられる。
また、芳香族ビニル化合物としては、具体的に、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルピリジンおよびこれらの混合物などが挙げられる。なかでも、芳香族ビニル化合物としては、スチレンであることが特に好ましい。
共役ジオレフィンの重合体または共重合体1は、第1級アミノ基(−NH2)およびアルコキシシリル基を有する。
共役ジオレフィンの重合体または共重合体1が有する第1級アミノ基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合されてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
共役ジオレフィンの重合体または共重合体1が有する第1級アミノ基の含有量は、0.5mmol/kg以上であることが好ましく、1mmol/kg以上であることがより好ましく、2mmol/kg以上であることがさらに好ましい。含有量が0.5mmol/kg未満では、第1級アミノ基を導入した効果が発現し難く、得られるゴム組成物のヒステリシスロス特性、耐摩耗性、破壊特性の改良が充分ではない傾向がある。また、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1が有する第1級アミノ基の含有量は、200mmol/kg以下であることが好ましく、100mmol/kg以下であることがより好ましく、50mmol/kg以下であることがさらに好ましい。含有量が200mmol/kgをこえると、カーボンブラックやシリカなどの補強剤との相互作用が大きくなり、配合粘度が向上して加工性が悪化する。
以下に第1級アミノ基含量の算出法を示す。
まず、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1をトルエンに溶解した後、大量のメタノール中で沈殿させることにより、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1に結合していないアミノ基含有化合物をゴムから分離した後、乾燥させる。次に、本処理を施した共役ジオレフィンの重合体または共重合体1を試料として、JIS K7237に記載された「全アミン価試験方法」により全アミノ基含有量を定量する。続けて、上記処理を施した共役ジオレフィンの重合体または共重合体1を試料として「アセチルアセトンブロックド法」により第2+第3アミノ基含有量を定量する。試料を溶解させる溶媒に、O−ニトロトルエンを使用し、アセチルアセトンを添加して、過塩素酢酸溶液で電位差滴定を行い、全アミノ基含有量から第2+第3アミノ基含有量を引いて第1アミノ基含有量(mmol)を求め、分析に使用したポリマー重量を割り返すことで重合体に結合した第1級アミノ基含有量(mmol/kg)を求める。
共役ジオレフィンの重合体または共重合体1が有するアルコキシシリル基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合終了末端に導入されていることが好ましい。
アルコキシシリル基としては、具体的に、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジブトキシメチルシリル基、ジプロピロキシメチルシリル基などが挙げられる。
共役ジオレフィンの重合体または共重合体1が有するアルコキシシリル基の含有量は、0.5mmol/kg以上であることが好ましく、1mmol/kg以上であることがより好ましく、2mmol/kg以上であることがさらに好ましい。含有量が0.5mmol/kg未満では、アルコキシシリル基を導入した効果が発現しなくなる。すなわち、得られるゴム組成物のヒステリシスロス特性、耐摩耗性、破壊特性の改良が充分ではない傾向がある。また、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1が有するアルコキシシリル基の含有量は、200mmol/kg以下であることが好ましく、100mmol/kg以下であることがより好ましく、50mmol/kg以下であることがさらに好ましい。含有量が200mmol/kgをこえると、カーボンブラックやシリカなどの補強剤との相互作用が高くなりすぎて、配合粘度が向上して加工性が悪化する傾向がある。なお、アルコキシシリル基の含量は、赤外吸収スペクトルにより、Si−C結合に起因する1160cm-1の吸収量により求める。
共役ジオレフィンの重合体または共重合体1は、該(共)重合体鎖中に2官能性以上のモノマーが共重合されている、および/または、2官能性以上のカップリング剤で(共)重合体鎖の少なくとも一部がカップリングされている。
2官能性以上のモノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどが挙げられる。2官能性以上のモノマーの使用量は、(共)重合ゴム中に5重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることがより好ましい。5重量%をこえると、得られるゴム組成物の加工性や物性が低下する場合がある。また、2官能性以上のモノマーの使用量は0.001重量%以上であることが好ましい。
また、2官能性以上のカップリング剤としては、(a)イソシアナート化合物および/またはイソチオシアナート化合物、(b)アミド化合物および/またはイミド化合物、(c)ピリジル置換ケトン化合物および/またはピリジル置換ビニル化合物、(d)ケイ素化合物、(e)エステル化合物、(f)ケトン化合物ならびに(g)スズ化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられ、好ましくは(g)スズ化合物である。
これらの化合物のうち、(a)成分であるイソシアナート化合物またはチオイソシアナート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメリックタイプのジフェニルメタンジイソシアナート(C−MDI)、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,3,5−ベンゼントリイソシアナート、フェニル−1,4−ジイソチオシアナートなどを好ましいものとして挙げることができる。(b)成分であるアミド化合物またはイミド化合物の具体例としては、コハク酸アミド、フタル酸アミド、N,N,N',N'−テトラメチルフタル酸アミド、オキサミド、N,N,N',N'−テトラメチルオキサミドなどのアミド化合物、コハク酸イミド、N−メチルコハクイミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミドなどのイミド化合物を好ましいものとして挙げることができる。
(c)成分であるピリジル置換ケトン化合物またはピリジル置換ビニル化合物の具体例としては、ジベンゾイルピリジン、ジアセチルピリジン、ジビニルピリジンなどを好ましいものとして挙げることができる。
(d)成分であるケイ素化合物の具体例としては、ジブチルジクロロケイ素、メチルトリクロロケイ素、メチルジクロロケイ素、テトラクロロケイ素、トリエトキシメチルシラン、トリフェノキシメチルシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイドなどを好ましいものとして挙げることができる。
(e)成分であるエステル化合物の具体例は、アジピン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、マレイン酸ジエチルなどを好ましいものとして挙げることができる。
(f)成分であるケトン化合物の具体例としては、N,N−ジメチル−1−アミノベンゾキノン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ジアミノベンゾキノン、N,N−ジメチル−1−アミノアントラキノン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,4−ジアミノアントラキノンなどを好ましいものとして挙げることができる。
(g)成分であるスズ化合物の具体例としては、テトラクロロスズ、テトラブロムスズ、トリクロロブチルスズ、トリクロロメチルスズ、トリクロロオクチルスズ、ジブロムジメチルスズ、ジクロロジメチルスズ、ジクロロジブチルスズ、ジクロロジオクチルスズ、1,2−ビス(トリクロロスタニル)エタン、1,2−ビス(メチルジクロロスタニルエタン)、1,4−ビス(トリクロロスタニル)ブタン、1,4−ビス(メチルジクロロスタニル)ブタン、エチルスズトリステアレート、ブチルスズトリスオクタノエート、ブチルスズトリスステアレート、ブチルスズトリスラウレート、ジブチルスズビスオクタノエート、ジブチルスズビスステアレート、ジブチルスズビスラウレートなどを好ましいものとして挙げることができる。
なお、カップリング剤として(g)スズ化合物を用い、共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを共重合させる場合には、該共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物をアニオン重合させた後、その重合活性末端と2官能性以上のスズ化合物でカップリングを行うに際し、カップリングを行う直前に共役ジオレフィンを添加して重合を行い、共役ジエンユニット−スズ結合鎖を含む共役ジオレフィン(共)重合ゴムを得ることが好ましい。このように、カップリング直前に共役ジオレフィンを添加して芳香族ビニル化合物(スチレン)ユニットとスズとの結合鎖の生成を抑えることにより、転がり摩擦抵抗特性および破壊特性の優れたゴムが得られる。
重合活性末端に反応させるこれらのカップリング剤は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を併用して用いることもできる。
共役ジオレフィンの重合体または共重合体1のガラス転移温度は−30℃以下、好ましくは−50℃以下、より好ましくは−60℃以下である。ガラス転移温度が−30℃をこえると、発熱が大きくなり、ランフラット性能が低下してしまう。なお、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1のガラス転移温度は、ASTM D3418に従って算出したものをいう。
共役ジオレフィンの重合体または共重合体1の重量平均分子量は、10万以上であることが好ましく、15万以上であることがより好ましい。重量平均分子量が10万未満では、得られるゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性などが充分ではない傾向がある。また、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1の重量平均分子量は、200万以下であることが好ましく、150万以下であることがより好ましい。重量平均分子量が200万をこえると、加工性に劣る傾向がある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー社製、HLC−8120GPC)を用いて、ポリスチレン換算で求めた。
共重合体1とする場合、共重合体鎖中に結合した結合芳香族ビニルの含量は25重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。結合芳香族ビニル含量が25重量%をこえると、発熱が大きくなり、ランフラット性能が低下する傾向がある。なお、共重合体1が、例えばスチレンブタジエン共重合体の場合、スチレンブタジエン共重合体における結合スチレン含量は、270MHz1H−NMRによって求める。
共重合体1とする場合、共役ジオレフィンの重合単位におけるビニル結合(1,2−結合および/または3,4−結合)含量は60重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることがより好ましい。結合スチレン含量が60重量%をこえると、発熱が大きくなり、ランフラット性能が低下する傾向がある。なお、共重合体1が例えば、スチレンブタジエン共重合体の場合、ビニル含量は、270MHz1H−NMRによって求める。
ゴム成分中における共役ジオレフィンの重合体または共重合体1の含有率は10重量%以上、好ましくは20重量%以上である。含有率が10重量%未満では、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1によるランフラット性能の向上効果が得られない。また、ゴム成分中における共役ジオレフィンの重合体または共重合体1の含有率は50重量%以下、好ましくは40重量%以下である。含有率が50重量%をこえると、破断強度が低下し、ランフラット性能が低下する。
ゴム成分としては、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1とともに、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンを含むジエン系ゴム(SPB含有ジエン系ゴム)を用いることが好ましい。SPB含有ジエン系ゴムとしては、例えば、宇部興産(株)製のVCR−303、412、617などのシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンを含むブタジエンゴムなどを使用することができる。
ゴム成分としては、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1およびSPB含有ジエン系ゴムのほかに、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合ゴムなどのジエン系ゴムを用いてもよい。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム成分としては、共役ジオレフィンの重合体または共重合体1およびSPB含有ジエン系ゴムとともに、NRを併用することが好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は30m2/g以上、好ましくは35m2/g以上である。N2SAが30m2/g未満では補強性が不足し、充分な耐久性が得られない。また、カーボンブラックのN2SAは100m2/g以下、好ましくは60m2/g以下である。N2SAが100m2/gをこえると、発熱が大きくなる。
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP吸油量)は50ml/100g以上、好ましくは80ml/100g以上である。DBP吸油量が50ml/100g未満では、充分な補強性を得ることが困難になる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100重量部に対して10重量部以上、好ましくは20重量部以上、より好ましくは30重量部以上である。含有量が10重量部未満では、充分な強度が得られない。また、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100重量部に対して100重量部以下、好ましくは70重量部以下、より好ましくは60重量部以下である。含有量が100重量部をこえると、ゴムの混練りや押出しが困難になる。
本発明に用いられる加硫剤としては、硫黄および硫黄化合物があげられ、なかでも硫黄の表面析出を抑える点から、不溶性硫黄を加硫剤として用いることが好ましい。なお、硫黄化合物としては、具体的に高分子多硫物、モルホリンジスルフィドなどが挙げられる。
前記不溶性硫黄の平均分子量は、10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。平均分子量が10000未満では、低温での分解が起こりやすく表面析出しやすい傾向がある。また、不溶性硫黄の平均分子量は、500000以下であることが好ましく、300000以下であることがより好ましい。平均分子量が500000をこえると、ゴム中での分散性が低下する傾向がある。
硫黄および硫黄化合物の含有量(純硫黄分)は、ゴム成分100重量部に対して2重量部以上、好ましくは4重量部以上である。含有量が2重量部未満では、硬度が不充分で、たわみが大きくなり、ランフラット性能が低下する。
本発明のゴム組成物は、さらに薄板状天然鉱石を含有することが好ましい。薄板状天然鉱石としては、雲母類、クレー、タルクなどが挙げられるが、特に雲母類が好ましい。
雲母類としては、たとえば、カオリナイト、セリサイト、フロゴバイトおよびマスコバイトからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、特に硬度および破壊強度のバランスの点で、セリサイトがより好ましい。これらは1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記薄板状天然鉱石のアスペクト比(厚さに対する最大径の比)は3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。薄板状天然鉱石のアスペクト比が3未満では、充分なゴム硬度が得られない傾向がある。また、薄板状天然鉱石のアスペクト比は30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。アスペクト比が30より大きいと、ゴムへの薄板状天然鉱石の分散が低下し、破壊強度が低下する傾向がある。なお、アスペクト比は、薄板状天然鉱石を電子顕微鏡で観察し、任意の粒子50個について長径と短径を測定し、その平均長径aおよび平均短径bより、a/bとして求められる。
前記薄板状天然鉱石の平均粒子径は2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。平均粒子径が2μm未満では、粉砕にコストがかかるうえ、充分なゴム硬度が得られない傾向がある。また、薄板状天然鉱石の平均粒子径は30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。平均粒子径が30μmをこえると、薄板状天然鉱石が破壊の起点となり、耐屈曲疲労性が低下する傾向がある。なお、平均粒子径は、薄板状天然鉱石の長径の平均値をいう。
薄板状天然鉱石の含有量は、ゴム成分100重量部に対して5重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましい。含有量が5重量部未満では、薄板状天然鉱石を含有することによる効果が充分に得られない傾向がある。また、薄板状天然鉱石の含有量は120重量部以下であることが好ましく、80重量部以下であることがより好ましい。含有量が120重量部をこえると、薄板状天然鉱石のゴムに対する分散が困難になるうえ、発熱しやすくなる傾向がある。
さらに、本発明のゴム組成物には、前記薄板状天然鉱石と併用してシランカップリング剤を添加することが好ましい。
シランカップリング剤としては、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシランなどがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
シランカップリング剤の配合量は、薄板状天然鉱石100重量部に対して2重量部以上であることが好ましく、4重量部以上であることがより好ましい。2重量部未満では、シランカップリング剤を配合することにより効果が充分に得られない傾向がある。また、シランカップリング剤の配合量は、薄板状天然鉱石100重量部に対して20重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であることがより好ましい。20重量部をこえると、コストがかかるわりに、得られる効果を充分に得ることができない傾向がある。
さらに、本発明のゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、通常のタイヤ用の配合に用いられる酸化亜鉛、ワックス、ステアリン酸、オイル、老化防止剤、加硫促進剤などを含んでもよい。
加硫促進剤として用いられる化合物は多種にわたるが、なかでもスルフェンアミド系促進剤は、遅延系加硫促進剤として、製造過程において焼けが起こりにくく、加硫特性に優れているので、最もよく使用される。また、スルフェンアミド系促進剤を用いたゴム配合は、加硫後ゴム物性においても外力による変形に対して発熱性が低いため、本発明における最大の目的であるランフラットタイヤの耐久性向上に対する効果も大きい。
スルフェンアミド系促進剤としては、たとえば、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、DZ(N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフエンアミド)などがあげられる。その他の加硫促進剤としては、たとえば、MBT(メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、DPG(ジフェニルグアニジン)などを用いることができる。
本発明のゴム組成物の損失弾性率(E”)および複素弾性率(E*)は、下記式を満たすことが好ましい。
E”/(E*)2≦7.0×10-9Pa-1
E”/(E*)2が7.0×10-9Pa-1より大きいと、低内圧時の走行において、タイヤの変形による発熱が大きくなり、ゴムの熱劣化を促進し、破壊に至る傾向がある。
本発明のゴム組成物の破断強度(TB)は、10MPa以上であることが好ましく、12MPa以上であることがより好ましい。TBが10MPa未満では、ランフラットタイヤによる走行時に、車輌の荷重により、該ゴム組成物から得られたサイド補強層が屈曲してしまい、ランフラット性能が著しく不足する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、ランフラットタイヤのサイド補強層として用いられることが好ましい。ここで、サイド補強層とは、ランフラットタイヤのサイドウォール部の内側に配置されたライニングストリップ層のことをいい、ランフラットタイヤにおいてサイド補強層が存在することで、空気圧が失われた状態でも車輌を支えることができ、優れたランフラット耐久性を付与することができる。
図1に、サイド補強層8を示す。図1に示すように、サイド補強層8はタイヤカーカスプライ3の内側に接してビード部7からショルダー部にわたって配置され、両端方向に厚さを漸減する三日月状に配置される。また、サイド補強層はカーカスプライ本体部分とその折返し部の間にビード部からトレッド部端にわたって配置される、あるいは複数のカーカスプライまたは補強プライの間に2層に配置される。
本発明のランフラットタイヤは、前記ゴム組成物からなるサイド補強層を有する。
実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例において使用した各種薬品について、以下に記載する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のVCR412(シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンの含有率12重量%)
SBR1:ラボ合成品ポリマー(スチレンとブタジエンとの共重合体、結合スチレン量:10重量%、ビニル含量:40重量%、重量平均分子量:45万、第1級アミノ基含有量:5.9mmol/kg、アルコキシシリル基(ジメトキシメチルシリル基)含有量:5.6mmol/kg、ガラス転移温度:−60℃、SnCl4によりカップリングされている、カップリング率:36%)
SBR2:ラボ合成品ポリマー(スチレンとブタジエンとの共重合体、結合スチレン量:21重量%、ビニル含量:55重量%、重量平均分子量:42万、第1級アミノ基含有量:5.8mmol/kg、アルコキシシリル基(ジメトキシメチルシリル基)含有量:5.6mmol/kg、ガラス転移温度:−25℃、SnCl4によりカップリングされている、カップリング率:36%)
カーボンブラック(FEF):三菱化学(株)製のダイヤブラックE(N2SA:41m2/g、DBP吸油量:115ml/100g)
セリサイト:日本フォラム(株)製のKM−8(アスペクト比:15、平均粒子径:17μm)
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸 椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:住友化学工業(株)製のアンチゲン6C
シランカップリング剤:デグサジャパン(株)製のSi−75
不溶性硫黄:四国化成工業(株)製のミュークロンOT
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
実施例1〜2および比較例1〜3
表1に示す配合内容にしたがって、不溶性硫黄および加硫促進剤以外の成分を、150℃で4分間混練りした。得られた混練り物に不溶性硫黄と加硫促進剤を加えて80℃で3分間練り込んでゴム組成物を得た。
サイドウォールの内側のサイド補強層として、実施例および比較例の各ゴム組成物からなるライニングストリップ層を配置した245/40ZR18サイズの未加硫ランフラットタイヤを作製し、それを加硫することによりランフラットタイヤを製造し、以下の各評価を行なった。
<破断強度TB
ランフラットタイヤのライニングストリップ層より厚さ2mmのシートを切り出し、JIS K6251にしたがって、破断強度TB(MPa)の評価を行なった。
<E”/(E*)2
ランフラットタイヤのライニングストリップ層より厚さ2mmのシートを切り出し、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータで測定温度70℃、初期歪み10%、動歪み±1%、周波数10Hzにて損失弾性率E”、複素弾性率E*を測定し、E”/(E*)2を算出した。
<ランフラット性能>
ランフラットタイヤを用いて、空気内圧0kPaにてドラム上を80km/時の速度で走行し、タイヤが破壊されるまでの走行距離を比較した。比較例1を基準(100)とし、それぞれ指数表示をした。数値が大きいほどランフラット耐久性に優れることを示す。
各評価結果を表1に示す。
Figure 2006307095
本発明の一実施の形態におけるランフラットタイヤの断面図の右半分である。
符号の説明
1 タイヤ
2 サイドウォール部
3 カーカスプライ
4 ベルト層
5 トレッド部
6 ビードコア
7 ビード部
8 サイド補強層
9 ビードエーペックス

Claims (3)

  1. 第1級アミノ基およびアルコキシシリル基を有し、ガラス転移温度が−30℃以下である共役ジオレフィンの重合体または共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体であって、
    該(共)重合体鎖中に2官能性以上のモノマーが共重合されている、および/または、2官能性以上のカップリング剤で(共)重合体鎖の少なくとも一部がカップリングされている共役ジオレフィンの重合体または共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合体
    を10〜50重量%含有するゴム成分100重量部に対して、
    窒素吸着比表面積が30〜100m2/gおよびジブチルフタレート吸油量が50ml/100g以上のカーボンブラックを10〜100重量部、ならびに、
    硫黄または硫黄化合物を2重量部以上含有するゴム組成物。
  2. さらに、ゴム成分100重量部に対して、薄板状天然鉱石を5〜120重量部含有する請求項1記載のゴム組成物。
  3. 請求項1または2記載のゴム組成物からなるサイド補強層を有するランフラットタイヤ。
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