JP2006305887A - 筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 筆記具を、筆記状態から持ち変えることなく、単に親指を操作部に当てて操作するだけで簡単に選色することができる多色筆記具を提供する。
【解決手段】 後軸2の周面に軸線方向の長孔15を設け、この長孔15に操作手段16をスライド可能に取り付けるとともに、この操作手段16の下面に後軸2内に向けて突出する係合突起31を設け、この係合突起31を、後軸2内において軸線回りに回動可能に配設した筒状カム11の周面に螺旋状に設けた係合溝23に係合させ、かつ筒状カム11における軸線に対して斜めに切断した前端面17に、各芯体5,6の後端に取り付けたカム受け9,10の後端9a,10aを当接させて、操作手段16を長孔15に沿ってスライドさせることにより、筒状カム11を回転させ、所望の芯体5,6の前端を、前軸1の前端開口部1bから出没させうるようにする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、筆記具に関し、特に軸筒内に収容した複数の芯体から所望の芯体を選択して使用する筆記具に関する。
多色のボールペンやシャープペンにみられるように、複数の芯体から所望の芯体を選択して使用する多色筆記具は、一般に広く使用されている。
従来の多色筆記具は、芯体毎に個別の押出し操作部が設けられた周知のものや、特許文献1に記載されるように、筆記具の後端に設けられた回転操作部を回転させることにより選色するものが一般的である。
しかし、前者の筆記具は、芯体毎に操作部が異なるため、選色の際には、筆記具を持ち変えて所望の芯体に対応する操作部を操作する必要がある。
また、後者の筆記具も、回転操作部を操作する際には、筆記状態から、回転操作を行い易い状態に、筆記具を持ち変える必要がある。
特開2003−231389号公報
本発明は、前記の現状に鑑み、筆記具を、筆記状態から持ち変えることなく、単に親指を操作部に当てて操作するだけで、簡単に選色することができる多色筆記具を提供することを目的とする。
上記課題は、特許請求の範囲における各請求項に示すように、下記の構成を備える発明によって解決される。
(1) 軸筒内に収容されている複数本の芯体の中から選択した所望の芯体の前端を、軸筒外において操作可能に設けた操作手段により、軸筒の前端開口部から出没させるようにした筆記具において、軸筒の周面に軸線方向の長孔を設け、この長孔に操作手段をスライド可能に取り付けるとともに、この操作手段の下面に軸筒内に向けて突出する係合突起を設け、この係合突起を、軸筒内において軸線回りに回動可能に配設した筒状カムの周面に螺旋状に設けた係合溝に係合させ、かつ筒状カムにおける軸線に対して斜めに切断した前端面に、各芯体の後端に取り付けたカム受けの後端を当接させて、操作手段を長孔に沿ってスライドさせることにより、筒状カムを回転させ、所望の芯体の前端を、軸筒の前端開口部から出没させうるようにする。
(2) 上記(1)項において、軸筒の周面に軸線方向に設けた長孔の左右側面に、後端が開口された軸線方向の細溝を設けるとともに、操作手段の左右側面に軸線方向の突条を設け、この突条を前記細溝に摺動可能に嵌合させて、操作手段を長孔に取り付ける。
(3) 上記(2)項において、操作手段を、下面に筒状カムの係合溝に係合する係合突起を設けるとともに、左右側面に軸筒の長孔における細溝に摺動可能に嵌合する突条を設けた係合部材と、操作用突起部を設けた操作部材との両部材を結合して構成する。
(4) 上記(1)項〜(3)項のいずれかにおいて、筒状カムの後端に設けた軸孔に、軸筒の後端開口に冠着され、これを閉塞するキャップの前端に設けた軸芯を嵌合させることにより、筒状カムを回動可能に取り付ける。
本発明によると、次のような効果が奏せられる。
請求項1記載の発明によれば、操作手段が、軸筒の周面に軸線方向に設けられた長孔に沿って、単にスライドさせるだけの単一の操作手段であるため、筆記具を、筆記状態から、特に持ち変えることなく、単に親指を操作手段に当てて操作するだけで簡単に選色することができる。
請求項2記載の発明によれば、突条が細溝に嵌合されているため、操作手段が軸筒から脱落することがないばかりでなく、細溝がレール作用をなし、操作手段を円滑に操作することができる。
請求項3記載の発明によれば、左右側面に突条が設けられている係合部材を、軸筒における細溝の後端開口から、前記突条を細溝に嵌合させて、軸筒の周面に設けられた長孔まで移動させた後に、操作部材を、長孔の外側から前記係合部材に結合させることにより、操作手段を容易に構成することができる。
なお、仮に予め係合部材と操作部材とが一体化されていると、操作部材の左右側面に設けられている突条を、軸筒の長孔における左右側面に設けられた細溝に嵌合させることができない。
請求項4記載の発明によれば、筒状カムが軸筒の後端開口に冠着されるキャップに設けられた軸芯を回動軸として取り付けられているため、回動軸の位置が安定しており、筒状カムの回動が円滑に行われるとともに、筒状カムの軸孔に、キャップの軸芯を予め嵌合した後に、これら両者を軸筒に装着することができるため組立てが容易である。
図1は、本発明の一実施形態の筆記具を、部分的に中央縦断して示す側面図であり、芯体が軸筒内に収容されている状態を示す。図2は、同じく、筆記具を部分的に中央縦断して示した側面図であり、1本の芯体の前端が、軸筒の前端開口から突出している状態を示す。
図3は、図1に示した筆記具の要部拡大図、図4は、図2に示した筆記具の要部拡大図、図5は、図1に示した筆記具の分解斜視図、図6は、図3におけるVI〜VI線断面図である。
本発明の筆記具は、図5に示すように、前軸(1)と後軸(2)とからなる軸筒(3)内に、前方から順次、連結部材(4)、2本の芯体(5)(6)、2個のスプリング(7)(8)、2個のカム受け(9)(10)、および筒状カム(11)を収容するとともに、後軸(2)の後端開口(12)に、クリップ付きキャップ(13)を冠着し、かつ後軸(2)の周面(14)に軸線方向に設けた長孔(15)に、操作手段(16)をスライド可能に取り付けて構成されている。
図1〜図5に示すように、前軸(1)の前端部(1a)は先細に形成され、開口部(1b)が設けられており、後端部(1c)の内周面には、図示を省略したねじ溝が設けられている。
連結部材(4)の前端部の外周面にはねじ山(4a)(図5参照)が刻設されており、ねじ山(4a)は、前軸(1)の後端部(1c)に螺着されている。連結部材(4)には、図示を省略した前後方向の2つの通孔が設けられており、これら各通孔に、それぞれ芯体(5)(6)が、前後方向に移動自在に嵌挿されている。2本の芯体(5)(6)には、異なる色のインクが充填されている。各芯体(5)(6)には、それぞれ、スプリング(7)(8)とカム受け(9)(10)が、後方より嵌着されている。
なお、連結部材(4)、芯体(5)(6)、スプリング(5)(6)およびカム受け(9)(10)は、周知であるので、具体的な構造の詳細な説明は省略する。
図7〜図10は、それぞれ、筒状カム(11)の拡大斜視図、中央縦断面図、平面図、側面図である。
筒状カム(11)は、筒状体の前端を軸線に対して斜めに切断した形状をなし、この傾斜前端面(17)の尖端には、前向きの小さなV字状切欠部(18)が設けられ、傾斜前端面(17)における前後方向の中央部には、段部(19)(20)が形成されている。また後端部の外周面には、鍔状の突縁(21)が設けられ、後端部の内径は縮径されて、軸孔(22)が形成されている。さらに、筒状カム(11)の外周面(11a)には、螺旋状にほぼ半周する係合溝(23)が設けられている。
クリップ付きキャップ(13)は、図3〜図5に示すように、横向きのほぼ円柱状の基部(24)と、その前端面(24a)より前向きに突設された軸芯(25)と、基部(24)の後端部の外周面から、この外周面との間に、わずかの間隙を保持して前向きに延設されたクリップ(26)とからなっている。
基部(24)の前半部分は縮径されており、この縮径部分(24b)の直径は後軸(2)の後端部(2a)の内径と、また後半の非縮径部分(24c)の直径は後軸(2)の後端部の外径と、それぞれほぼ同一とされている。
後軸(2)の後端部(2a)の内径は、段部(27)を介して拡径され、同じく前端部(2b)は、連結部材(4)に後方から緊密に外嵌されている。
クリップ付きキャップ(13)の前端面(24a)より突設された軸芯(25)を、筒状カム(11)の後端部の軸孔(22)に嵌合した後、筒状カム(11)と、クリップ付きキャップ(13)の基部(24)における縮径部分(24b)とを、後軸(2)内に、後方から装着してある。
図3に示すように、後軸(2)の後端部(2a)の内周面に設けられた係止突起(27)を、クリップ付きキャップ(13)の基部(24)における縮径部分(24b)の外周面に設けられた凹部(24d)に係止することにより、筒状カム(11)とクリップ付きキャップ(13)とが、後軸(2)から抜け落ちることを防止している。
筒状カム(11)の後端(11b)は、クリップ付きキャップ(13)における基部(24)の前端(24a)と当接し、かつ後端部の突縁(21)は、後軸(2)の後端部における内周面の段部(27)に当接しており、これによって、筒状カム(11)の前後方向の位置が規制されている。
筒状カム(11)の傾斜前端面(17)における段部(19)(20)には、それぞれ各芯体(5)(6)(芯体(6)は、芯体(5)の裏側に重なっているため図示省略)の後端に装着されたカム受け(9)(10)の後端が当接している。
後軸(2)の周面(14)に軸線方向に設けられた長孔(15)には、筒状カム(11)の回動を操作するための操作手段(16)が、スライド可能に取り付けられている。
図3および図4に示すように、長孔(15)が穿設されている左右側面(15a)(15a)における内周面側の部分には、後端が開口された軸線方向の細溝(28)が設けられている。
図11は、操作手段(16)の拡大分解斜視図である。
操作手段(16)は、係合部材(29)と操作部材(30)とより構成されている。係合部材(29)は、平面視において、後軸(2)の軸線方向に長い長方形状をなし、かつ前面視において、筒状カム(11)と同じ曲率半径をもって外向きにゆるやかに湾曲している。
係合部材(29)の下面(29a)の前後方向の中央には、筒状カム(11)の周面(11a)に螺旋状に設けられた係合溝(23)に係合しうる係合凸起(31)が、下向きに設けられている。この係合凸起(31)の前後には、係合孔(32)(32)が穿設されている。係合部材(29)の左右側面(29b)(29b)の上縁には、前後方向の突条(33)(33)が設けられている。
操作部材(30)は、平面視において、前記係合部材(29)よりも、やや大き目のほぼ長方形状をなし、その下面(30a)における前後には、係合部材(29)の係合孔(32)(32)に係止される係止突部(34)(34)が下向きに設けられている。操作部材(30)の上面(30b)には、操作時に指をかけるための指掛突部(35)が設けられている。
係合部材(29)は、前記した筒状カム(11)とクリップ付きキャップ(13)とを一体化して後軸(2)に装着する際に、予め係合部材(29)の係合突起(31)を、筒状カム(11)の係合溝(23)に係合しておき、係合部材(29)の左右側面(29b)(29b)に設けられた突条(33)(33)を、後軸(2)の細溝(28)(28)に、後方から摺動可能に嵌合させながら、筒状カム(11)およびクリップ付きキャップ(13)とともに、後軸(2)における長孔(15)内に配設される。
次いで、操作部材(30)の係止突起(34)(34)を、係合部材(29)の係合孔(32)(32)に、後軸(2)における長孔(15)の上方から嵌合させることにより、操作部材(30)と係合部材(29)とは一体化されて、操作手段(16)が構成される。
芯体(5)(6)の前端を前軸(1)の前端の開口部(1b)から出没させるには、次のようにする。
2本の芯体(5)(6)のいずれの前端も、前軸(1)の前端の開口部(1b)から突出していない状態においては、図1,図3に示すように、両芯体(5)(6)(芯体(6)は、芯体(5)の裏側に重なっているため図示省略)の後端に、それぞれ装着されている各カム受け(9)(10)の後端(9a)(10a)は、いずれも筒状カム(11)の傾斜前端面(17)における左右の段部(19)(20)に当接している。
この状態において、操作部材(30)の指掛突部(35)に指先を掛けて、操作部材(30)を、長孔(15)に沿って前方にスライドさせる。そうすると、操作部材(30)と一体に前方にスライドする係合部材(29)の係合突起(31)は、筒状カム(11)の係合溝(23)に係合した状態で摺動し、この摺動にともなって、筒状カム(11)は後方視において反時計回りに回動し、同時に、筒状カム(11)の傾斜前端面(17)における段部(19)(20)に、後端(9a)(10a)が当接していたカム受け(9)(10)のうち、一方のカム受け(9)は、傾斜前端面(17)を摺動しながら、前方に押され、筒状カム(11)が90度回転した時点において、図2,図4に示すように、傾斜前端面(17)のV字状切欠(18)に至り、他方のカム受け(10)は、スプリング(8)の付勢力によって、傾斜前端面(17)を摺動しながら後方に移動し、傾斜前端面(17)における後端谷部(17a)に至る。
後端(9a)がV字状切欠(18)に至ったカム受け(9)が装着されている芯体(5)の前端(5a)は、前軸(1)の前端の開口部(1b)から突出する。
次いで、操作部材(30)を、後方にスライドさせて、筒状カム(11)を、後方視において時計回りに回動させて、図3に示す状態に戻した後、引き続いて操作部材(30)を後方にスライドさせると、前回、傾斜前端面(17)の後端谷部(17a)に位置していたカム受け(10)が、傾斜前端面(17)を摺動しながらV字状切欠(18)に至り、他方のカム受け(9)は、傾斜前端面(17)を摺動しながら後端谷部(17a)に至り、後端(10a)がV字状切欠(18)に至ったカム受け(10)に対応する芯体(6)の前端(6a)が、前軸(1)の前端の開口部(1b)から突出する。
前端(6a)が突出した芯体(6)を、再び前軸(1)内に戻すには、操作部材(30)を、再び前方にスライドさせればよい。
以下、同様にして、2色の芯体(5)(6)のうち、いずれか所望の芯体を選択して使用に供することができる。
本発明の一実施形態の筆記具を、その後半部分を中央縦断して示した図であり、芯体が軸筒内に収容されている状態を示す。 同じく、その後半部分を中央縦断して示した図であり、1本の芯体の前端が、軸筒の前端開口から突出している状態を示す。 図1に示した筆記具の要部拡大図である。 図2に示した筆記具の要部拡大図である。 図1に示した筆記具の分解斜視図である。 図3におけるVI〜VI線断面図である。 筒状カムの拡大斜視図である。 同じく、筒状カムの拡大中央縦断面図である。 同じく、筒状カムの拡大平面図である。 同じく、筒状カムの拡大平面図である。 操作手段の拡大分解斜視図である。
符号の説明
(1)前軸
(1a)前端部
(1b)開口部
(1c)後端部
(2)後軸
(2a)後端部
(2b)前端部
(3)軸筒
(4)連結部材
(4a)ねじ山
(5)(6)芯体
(5a)(6a)前端
(7)(8)スプリング
(9)(10)カム受け
(9a)(10a)後端
(11)筒状カム
(11a)外周面
(11b)後端
(12)後端開口
(13)クリップ付きキャップ
(14)周面
(15)長孔
(15a)側面
(16)操作手段
(17)傾斜前端面
(17a)後端谷部
(18)V字状切欠
(19)(20)段部
(21)突縁
(22)軸孔
(23)係合溝
(24)基部
(24a)前端面
(24b)縮径部分
(24c)非縮径部分
(24d)凹部
(25)軸芯
(26)クリップ部
(27)段部
(28)細溝
(29)係合部材
(29a)下面
(29b)側面
(30)操作部材
(30a)下面
(30b)上面
(31)係合突起
(32)係合孔
(33)突条
(34)係止突部
(35)指掛突部

Claims (4)

  1. 軸筒内に収容されている複数本の芯体の中から選択した所望の芯体の前端を、軸筒外において操作可能に設けた操作手段により、軸筒の前端開口部から出没させるようにした筆記具において、
    軸筒の周面に軸線方向の長孔を設け、この長孔に操作手段をスライド可能に取り付けるとともに、この操作手段の下面に軸筒内に向けて突出する係合突起を設け、この係合突起を、軸筒内において軸線回りに回動可能に配設した筒状カムの周面に螺旋状に設けた係合溝に係合させ、かつ筒状カムにおける軸線に対して斜めに切断した前端面に、各芯体の後端に取り付けたカム受けの後端を当接させて、操作手段を長孔に沿ってスライドさせることにより、筒状カムを回転させ、所望の芯体の前端を、軸筒の前端開口部から出没させうるようにしたことを特徴とする筆記具。
  2. 軸筒の周面に軸線方向に設けた長孔の左右側面に、後端が開口された軸線方向の細溝を設けるとともに、操作手段の左右側面に軸線方向の突条を設け、この突条を前記細溝に摺動可能に嵌合させて、操作手段を長孔に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の筆記具。
  3. 操作手段を、下面に筒状カムの係合溝に係合する係合突起を設けるとともに、左右側面に軸筒の長孔における細溝に摺動可能に嵌合する突条を設けた係合部材と、
    操作用突起部を設けた操作部材との両部材を結合して構成したことを特徴とする請求項2記載の筆記具。
  4. 筒状カムの後端に設けた軸孔に、軸筒の後端開口に冠着され、これを閉塞するキャップの前端に設けた軸芯を嵌合させることにより、筒状カムを回動可能に取り付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の筆記具。
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