JP2003220796A - 消しゴム繰り出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 消しゴムを周方向に擦った場合に、消しゴム
が内筒内に没入したり、突出してしまう不具合を防止可
能とする。 【構成】 複式筆記具に設けられる消しゴム繰り出し装
置であって、後軸に一体的に設けられたカム部の後方に
筒部が一体的に設けられ、その筒部に螺旋溝が形成され
て、後端から側面にスリット部が穿設された内筒が挿入
され、内筒後端の頭部が筒部後端に略当接して筒部に対
し内筒が回転のみ可能に係止されると共に、頭部が後軸
の後端から適宜突出して設けられ、消しゴムを保持した
スライダーの突起がスリット部を通して螺旋溝に係合さ
れ、筒部に対する内筒の回転によりスライダーが摺動し
て消しゴムが出没するよう設けられ、更に筒部前端内孔
に錘が自重で前後動のみ可能に設けられて、内筒の後端
が下向きとなった時に錘が移動し、錘を介して筒部に対
して内筒が回転止めされるように構成されて成る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業状の利用分野】本発明は、複式筆記具の軸筒後端
部に回転操作で消しゴムが繰り出し可能となるように設
けられた消しゴム繰り出し装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、後端に摺動コマを固着した少なく
とも１本をシャープペンシルとした複数本の筆記体を、
先軸に固定状態のガイド筒に設けられた軸方向の摺動溝
にそれぞれ可動可能に嵌装し、前面に円周状のカム斜面
を有し後軸に対し回転方向で一体化された円筒カムをガ
イド筒の外周部に回動可能に嵌装してそのカム斜面を前
記摺動コマに当接させ、円筒カムを回動させて摺動コマ
をカム斜面に沿って滑らせることにより各筆記体を交互
に先軸先端口から突出又は収納させるように構成した複
式筆記具に於いて、円筒カムの後方に一体に設けた筒部
の内孔面に螺旋溝が形成されて、この筒部の後端から側
面にスリット部が穿設された内筒が挿入され、内筒後端
の頭部が筒部の後端に略当接して筒部に対し内筒が回転
のみ可能に係止されると共に、頭部が後軸の後端から適
宜突出して設けられ、更に、内筒内に先方に消しゴムを
保持して側面に突起を有したスライダーが嵌装されて、
突起がスリット部を貫通して螺旋溝に係合され、筒部に
対する内筒の回転により突起がスリット部にガイドされ
てスライダーが軸方向に摺動して内筒の後端から消しゴ
ムが出没可能となるように構成された消しゴム繰り出し
装置が知られている。その従来例の一例が図４に示され
ている。

【０００３】ところで、上記従来例消しゴム繰り出し装
置は、内筒後端の頭部を回転して消しゴムの出没を行
い、誤字等を消す場合には、後軸の後方部を握り、突出
した消しゴムの角部を紙面の誤字相当部に当て、消しゴ
ムを往復動させて擦る。その際、筒状をなした消しゴム
の周方向に擦った場合、消しゴムと共に内筒が回転し
て、一方向で消しゴムが内筒内に没入し、他方向で消し
ゴムが内筒後端から突出してしまう問題が存在する。特
に、消しゴムが内筒内に没入した場合には頻繁に消しゴ
ムを突出させる操作が必要となる不具合がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、複式筆記具
の軸筒後端部に回転操作で消しゴムが繰り出し可能とな
るように設けられた消しゴム繰り出し装置に於いて、上
記従来例の不具合を解決することを課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明に
係る消しゴム繰り出し装置は、先軸に対し後軸が回転可
能となされた軸内に、複数本の筆記体が収納され、先軸
に対し後軸を回転することによって、後軸に回転方向で
一体に設けられたカム部に対し筆記体の後端に設けられ
たカム部を摺動させて、各筆記体の先端部を交互に先軸
先端口から突出又は収納させるように構成された複式筆
記具に設けられる消しゴム繰り出し装置であって、前記
後軸に回転方向で一体的に設けられたカム部の後方に筒
部が一体的に設けられ、その筒部の内孔面に螺旋溝が形
成されて、この筒部の後端から側面にスリット部が穿設
された内筒が挿入され、内筒後端の頭部が筒部の後端に
略当接して筒部に対し内筒が回転のみ可能に係止される
と共に、頭部が後軸の後端から適宜突出して設けられ、
更に、内筒内に先方に消しゴムを保持して側面に突起を
有したスライダーが嵌装されて、突起がスリット部を貫
通して螺旋溝に係合され、筒部に対する内筒の回転によ
り突起がスリット部にガイドされてスライダーが軸方向
に摺動して内筒の後端から消しゴムが出没可能となるよ
うに設けられ、更に筒部前端の内孔に錘が自重で前後動
のみ可能に設けられて、内筒の後端が下向きとなった時
に錘が移動し、錘を介して筒部に対して内筒が回転止め
されるように構成されて成る。

【０００６】請求項２に記載の発明に係る消しゴム繰り
出し装置は、請求項１に記載の消しゴム繰り出し装置に
於いて、筒部前端の内孔と内筒前端の内孔に、それぞれ
所要箇所でリブが形成され、また錘の外周に溝が形成さ
れて、溝がリブに嵌挿可能となされ、内筒の後端が下向
きとなった時のみに、内筒に形成されたリブに錘に形成
された溝が嵌挿するように設けられて成る。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。先ず複式筆記具の一例の構成であるが、先軸
（図示せず）とこれに対し回転自在な後軸６とによって
軸筒が形成され、その内部に軸方向の摺動溝を有するガ
イド筒が先軸と固定されて収納されている。（図示せ
ず）一方の摺動溝には先端がシャープペンシルと連結し
後端近傍に摺動コマが固着された芯パイプが可動可能に
嵌装し、他方の摺動溝には後端に摺動コマを固着し内孔
部にはボールペンの後端を挿入した受けパイプが同様に
可動可能に嵌装されている。また、摺動コマにはカム部
が形成されている。

【０００８】また、摺動コマの前端とガイド筒の先端段
部との間にはそれぞれリターンスプリングが介装されて
各筆記体を後方に附勢している。ガイド筒の後半部の外
周部には円筒カム（カム部）が回動可能に嵌装されてい
て、円筒カムの前面に円周状に形成されたカム斜面が前
記摺動コマのカム部に当接している。また、円筒カムの
回転は後軸６を操作して行い、その為に円筒カムは後軸
６に対し回転方向に一体的に係着しているが軸方向には
可動可能となされている。

【０００９】複式筆記具のその他の例としては、軸心に
設けられた軸体の外周にそれぞれ摺動コマを配設し、軸
体と摺動コマの相互間にカム部を設けて、軸体を回転す
ることで摺動コマを交互に前後動させるものなど種々あ
る。

【００１０】以下図１乃至図３は本発明の消しゴム繰り
出し装置の一実施例を示している。先ず、カム部７の後
端には消しゴム繰り出し装置の筒部１の前端が着脱可能
に固定されている。即ち、筒部１の前端はやや縮径した
状態の軸部１ａが設けられると共に、その外周部には凹
凸状の係止部１ｂが形成され、カム部７の後端内孔部に
やはり凹凸状の係止部が形成されて、相互間が一体とな
るように固定されている。なお、カム部７の後端に一体
に筒部を形成することも可能である。また、筒部１の内
孔面には後端から前方に向かって螺旋溝１ｅが形成さ
れ、そのに螺旋溝１ｅの前方に周溝１ｆが形成されて、
更に前記軸部１ａの内孔周面に所要箇所で溝１ｃが形成
されている。

【００１１】内筒２は、前端の軸部２ｃの外周に突状の
係止部２ｄを有し、軸部２ｃの後方に一体に延設して中
間筒部２ｈが設けられ、その中間筒部２ｈ周面の対向す
る二側面に軸方向に穿設されたスリット部２ａが形成さ
れて、更に中間筒部２ｈの後端にやや大径と成した頭部
２ｂがやはり一体に形成されている。また軸部２ｃの内
孔周面に軸方向のリブ２ｅが形成され、そのリブ２ｅの
前端には鏃状に斜面２ｇが形成されて、また、リブとリ
ブの間に溝２ｆが形成されている。

【００１２】またスライダー４は、その前端に筒状部あ
るいは対向する片部４ａを有し、その対向する外面には
上記螺旋溝１ｅに係合可能な位置で突起４ｂが形成さ
れ、筒状部あるいは片部４ａの後端に延設してやはり対
向する２箇所で弾性変形可能な挟持片４ｃが設けられて
いる。また、挟持片４ｃ先方の内周面には係止凸部４ｄ
が形成されている。

【００１３】また錘３は、その外周部所要箇所にリブ３
ａが形成され、リブの前端には鏃状に斜面が形成され
て、また、リブとリブの間に溝が形成されている。

【００１４】以上で、筒部１前端の軸部１ａ内孔に錘３
が挿入され、錘に形成されたリブ３ａが軸部１ａ内孔に
形成された溝１ｃに嵌挿されると共に、錘３は適宜自重
を有しており、下向きにした方向に自重でで前後動のみ
可能に摺動する。また、内筒２内に後方に消しゴム５を
保持して側面に突起４ｂを有したスライダー４が嵌挿さ
れ、その内筒２が筒部１の後端から挿入され、内筒２後
端の頭部２ｂが筒部１の後端に略当接し、内筒２前端の
係止部２ｄが筒部１の螺旋溝１ｅ前方の周溝１ｆに係合
して、筒部１に対し内筒２が回転のみ可能に係止される
と共に、スライダー４の突起４ｂがスリット部２ａを貫
通して螺旋溝１ｅに係合され、筒部１に対する内筒２の
回転により突起４ｂがスリット部２ａにガイドされてス
ライダー４が軸方向に摺動して内筒２の後端から消しゴ
ム５が出没可能となる。

【００１５】

【作用】後軸６を固定して、内筒２の頭部２ｂを回転さ
せると、カム部７と筒部１は回り止めされているため、
内筒２が螺旋溝１ｅに対し回転し、螺旋溝１ｅに係合す
るスライダー４の突起４ｂが内筒２のスリット部２ａを
滑ることによりスライダー４が前後動する。即ち、頭部
２ｂを一方に回転することでスライダー４が後退し、他
方に回転することで前進して、消しゴム５が頭部２ｂの
後端孔から出没する。また消しゴム５は、挟持片４ｃの
係止凸部４ｄで食い付き状に係止される。また、消しゴ
ム繰り出し装置を図２に示されるようにユニット化する
ことで、上述したような複式筆記具のみならず、シャー
プペンシルの芯ケースの後端やボールペンのノック機構
部の後端に接続して設けることもできる。

【００１６】また、内筒２の後端が下向きとなった時に
錘３が移動し、錘３の外周に形成されたリブ３ａが内筒
の軸部２ｃの内孔周面に形成された溝２ｆに嵌挿し、錘
３を介して筒部１に対して内筒２が回転止めされる。従
って、誤字を消すために消しゴム５をその周方向に擦っ
た場合、消しゴム５の紙面との摩擦による回転抵抗が加
わっても内筒２の回転が防止され、消しゴム５が内筒内
に没入したり、突出してしまう不具合が生じない。

【００１７】また、先軸に対し後軸６を左右に回転する
ことで先軸先端口からシャープペンシルやボールペンの
筆記先端部が交互に突出係止される。なお、シャープペ
ンシル突出時に於いて、後軸６に対し内筒２の頭部２ｂ
をノックすることで芯を繰り出すように成すこともでき
る。

【００１８】

【発明の効果】本発明は以上の如く構成され、筒状をな
した消しゴムを周方向に擦った場合に、消しゴムの紙面
との摩擦による回転抵抗が加わっても内筒の回転が防止
され、消しゴムが回転方向にごろごろする嫌な感じや消
しゴムが内筒内に没入したり、突出してしまう不具合が
生じない。従って、消しゴムが内筒内に没入した場合に
頻繁に消しゴムを突出させる操作が必要ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す要部の縦断面図である。

【図２】消しゴム繰り出し装置のユニットを示す断面図
である。

【図３】スライダーが後端に突出した状態の要部断面図
である。

【図４】従来例を示す要部の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 筒部 １ａ 軸部 １ｂ 係止部 １ｃ 溝 １ｄ 段部 １ｅ 螺旋溝 １ｆ 周溝 ２ 内筒 ２ａ スリット部 ２ｂ 頭部 ２ｃ 軸部 ２ｄ 係止部 ２ｅ リブ ２ｆ 溝 ２ｇ 斜面 ２ｈ 中間筒部 ３ 錘 ３ａ リブ ４ スライダー ４ａ 片部 ４ｂ 突起 ４ｃ 挟持片 ４ｄ 係止凸部 ５ 消しゴム ６ 後軸 ７ カム部 １０ 筒部 １０ａ 螺旋溝 １０ｂ 係止段部 １１ 内筒 １１ａ スリット部 １１ｂ 頭部 １１ｃ 軸部 １１ｄ 係止部 １１ｅ 段部 １２ スライダー １２ａ 片部 １２ｂ 突起 １２ｃ 挟持片 １２ｄ 係止凸部 １３ カム部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先軸に対し後軸が回転可能となされた軸
   内に、複数本の筆記体が収納され、先軸に対し後軸を回
   転することによって、後軸に回転方向で一体に設けられ
   たカム部に対し筆記体の後端に設けられたカム部を摺動
   させて、各筆記体の先端部を交互に先軸先端口から突出
   又は収納させるように構成された複式筆記具に設けられ
   る消しゴム繰り出し装置に於いて、 当該消しゴム繰り出し装置は、前記後軸に回転方向で一
   体的に設けられたカム部の後方に筒部が一体的に設けら
   れ、その筒部の内孔面に螺旋溝が形成されて、この筒部
   の後端から側面にスリット部が穿設された内筒が挿入さ
   れ、内筒後端の頭部が筒部の後端に略当接して筒部に対
   し内筒が回転のみ可能に係止されると共に、頭部が後軸
   の後端から適宜突出して設けられ、更に、内筒内に先方
   に消しゴムを保持して側面に突起を有したスライダーが
   嵌装されて、突起がスリット部を貫通して螺旋溝に係合
   され、筒部に対する内筒の回転により突起がスリット部
   にガイドされてスライダーが軸方向に摺動して内筒の後
   端から消しゴムが出没可能となるように設けられ、更に
   筒部前端の内孔に錘が自重で前後動のみ可能に設けられ
   て、内筒の後端が下向きとなった時に錘が移動し、錘を
   介して筒部に対して内筒が回転止めされるように構成さ
   れて成る消しゴム繰り出し装置。
2. 【請求項２】 筒部前端の内孔と内筒前端の内孔に、そ
   れぞれ所要箇所でリブが形成され、また錘の外周に溝が
   形成されて、溝がリブに嵌挿可能となされ、内筒の後端
   が下向きとなった時のみに、内筒に形成されたリブに錘
   に形成された溝が嵌挿するように設けられて成る請求項
   １に記載の消しゴム繰り出し装置。