JP2548126Y2 - 回転式筆記具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は外筒にレフィールを挿入
して先具を取付け、キャップを回転操作することにより
先具より芯を繰り出し又はペン先を出没させる回転式筆
記具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の回転式ボールペンは例えば先筒内
にボールペン用レフィールを挿設し、このレフィールの
バネ受けと先筒の先端部内のバネ受けとの間にバネを設
け、内筒の後部内に回転筒の回転により所定範囲で前後
動する移動体を設けると共に、内筒に前記回転筒を回転
する後筒を着脱自在に被着せしめてなる。

【０００３】上記従来の回転式ボールペンにおいてレフ
ィールのペン先を先筒先端より突出する場合は、後筒を
回転操作すると回転筒が回転し、これにより移動体が前
方へ移動し、レフィールがバネに抗して前方へ移動して
ペン先が先筒先端より突出し、筆記に供することができ
る。又、後筒を逆方向に回転操作すると回転筒が逆回転
し、これにより移動体が後方へ移動し、レフィールがバ
ネのバネ力により後方へ移動してペン先を先筒先端より
引っ込めることができる。

【０００４】従来の回転式シャープペンシルは例えば外
筒内に内筒を回転自在に枢支し、この内筒内にシャープ
ペンシル用レフィールを挿設し、このレフィールにスリ
ットを設け、このスリットを通して内筒内面の螺旋溝内
に嵌入する突部を有するスライダをレフィール内に嵌挿
し、このスライダに芯を装着すると共に内筒にキャップ
を着脱自在に被着してなる。

【０００５】上記従来の回転式シャープペンシルにおい
て芯を外筒先端より突出する場合にはキャップを回転操
作すると内筒が回転し、これにより突部を螺旋溝に嵌入
したスライダがスリットに沿って前方へ移動し、外筒先
端より芯が突出し、筆記に供することができる。又、キ
ャップを逆方向に回転するとスライダが後方へ移動し芯
を外筒先端より引っ込めることができる。芯を使い果た
したときは芯をスライダに嵌着することになる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】上記回転式ボールペン
と回転式シャープペンシルは上記のように構成が全く異
なるので、互換性がなく、かつ芯を使い果たしたとき、
スライダに芯を嵌着せねばならず、次々に芯を繰り出す
ことができないという課題がある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案回転式筆記具は上
記の課題を解決するため、図１に示すように外筒１にレ
フィール３を挿入して先具２を取付け、キャップ４を回
転操作することにより先具２より芯５を繰り出し又はペ
ン先を出没させる回転式筆記具において、前記レフィー
ル３に当接される係止部６を有する小径部７ＡとＶ字状
傾斜カム面８を有する大径部７Ｂとよりなるスライド筒
７を前記レフィール３に装着し、前記外筒１に前記大径
部７Ｂを軸方向移動自在で回転不能に嵌合せしめ、前記
スライド筒７を後方へ付勢する弾性体９を設けると共
に、前記Ｖ字状傾斜カム面８に作動カム１１Ａが当接し
て前記外筒１の内段部１０に係止する作動カム筒１１を
設け、この作動カム筒１１にこれと一体に回転する前記
キャップ４を連結し、このキップ４を前記外筒１に回転
可能で着脱可能に被着してなる。

【０００８】

【作用】キャップ４を回転操作すると作動カム筒１１が
回転し、この作動カム筒１１の作動カム１１Ａの回転に
よりこれに大径部７ＢのＶ字状傾斜カム面８の一方の傾
斜カム面を当接したスライド筒７が弾性体９の弾性力に
抗して前方へ移動し、このスライド筒７を構成する小径
部７Ａの係止部６によりレフィール３が前方へ移動す
る。キャップ４の回転操作を断つと弾性体９の弾性力に
よりスライド筒７が後方へ移動して元に復位し、これを
繰り返すことにより即ちキャップ４を往復回転操作する
ことによりスライド筒７が前後に移動し、レフィール３
が前後方向に移動を繰り返して芯５が先具２の先端より
繰り出され、又はＶ字状傾斜カム面８の他方の傾斜カム
面を利用することによりペン先が出没される。

【０００９】先具２の先端より繰り出された芯５を筆記
に供することができる。又、ペン先を突出状態に維持す
るにはＶ字状傾斜カム面８の他方の傾斜カム面に係合部
を設けてこの係合部に作動カム１１Ａを係合させること
によりペン先を先具２の先端より突出した状態に維持
し、筆記に供することができる。

【００１０】芯５を先具２の先端より引っ込めるには、
レフィール３を前方へ移動してチャックを開いた状態に
し、芯先を押すことにより先具２の先端より引っ込める
ことができる。又、ペン先を先具２の先端より引っ込め
るには他方の傾斜カム面に設けた係合部より作動カム１
１Ａを離脱することによりペン先を先具２の先端より引
っ込めることができる。

【００１１】

【実施例】図１は本考案回転式筆記具の１実施例の構成
を示す断面図で、回転式シャープペンシルの場合を示し
ている。図２は本考案におけるスライド筒と作動カムの
関係を示す展開図である。図１において１は外筒、３は
先具２付きレフィールである。外筒１にレフィール３を
挿入して先具２が螺着，係着，嵌着など，この例では螺
着により取付けられている。スライド筒７はレフィール
３の後端に当接される係止部６を有する小径部７Ａと、
後面にＶ字状傾斜カム面８を有する大径部７Ｂとよりな
る。

【００１２】このスライド筒７はレフィール３に装着さ
れ、その大径部７Ｂは外筒１に軸方向移動自在で回転不
能に嵌合され、例えば外筒１の内面に大径部７Ｂをキー
１２とキー溝１３により軸方向移動自在で回転不能に嵌
合されている。この実施例では外筒１の内面にキー溝１
３を，大径部７Ｂの外面にキー１２を設けている。スラ
イド筒７と先具２との間にはスライド筒７を後方へ付勢
するバネ９が介在されている。

【００１３】スライド筒７のＶ字状傾斜カム面８の一方
の傾斜カム面８Ａに沿って作動カム１１Ａを往復回転す
ることにより芯５の繰り出しを行い、他方の傾斜カム面
８Ｂに作動カム１１Ａが係合する係合部１８が設けられ
ている（図２参照）。この係合部１８はシャープペンシ
ルの場合、作動カム１１Ａを係合してレフィール３のロ
ックに供し、又、ボールペンの場合、作動カム１１Ａを
係合してペン先を突出した状態に維持し、筆記に供する
ためのものである。

【００１４】Ｖ字状傾斜カム面８に作動カム１１Ａが当
接して外筒１の内段部１０に係止する作動カム筒１１が
設けられ、外筒１にキャップ４が嵌着，螺着，係着，圧
着等、この例では凹，凸部１９，２０による嵌着により
回転可能で着脱自在に被着されている。キャップ４の内
面に作動カム筒１１の外面が回転不能に連結され、例え
ば作動カム筒１１の外面をキャップ４の内面にキー１４
とキー溝１５により回転不能に連結されている。この実
施例では作動カム筒１１の外面にキー溝１５を設け、キ
ャップ４の内面にキー１４を設けている。

【００１５】又、レフィール３の後面と係止部６の内面
との間にはわずかな隙間ｄが設けられ、この隙間ｄによ
りレフィール３が常時前方へ押されるのを防止し、筆記
時に芯滑りを起こして筆記出来なくなるのを回避できる
ようにしてある。

【００１６】レフィール３の後端に当接される小径部７
Ａの係止部６の後面はテーパー面１６とし、芯５の補給
を容易にしてある。作動カム筒１１の後部には消ゴム１
７Ａを包着した消ゴムホルダ１７が着脱自在に嵌着され
ている。この消ゴムホルダ１７は字消しのためだけでな
く、レフィール３内の芯が後方へ落下するのを防止する
役目も果たしており、その代わりに修正棒ホルダや単に
芯の落下を防止する栓を設けてもよい。

【００１７】なお、この実施例ではレフィール３の前方
で先具２の先端部内にスライダを設け、その先パイプ２
１が最初のレフィール３の前動で先具２の先端より突出
し、芯５の押圧でこれと共に引っ込む構造になっている
が、このスライダを設けなくてもよいことは勿論であ
る。

【００１８】上記構成の回転式シャープペンシルにおい
て、キャップ４を回転操作すると、これにキー１４とキ
ー溝１５により回転不能に連結された作動カム筒１１が
回転し、この作動カム筒１１の作動カム１１Ａの回転に
よりこれに大径部７ＢのＶ字状傾斜カム面８の一方の傾
斜カム面８Ａを当接したスライド筒７が外筒１にその大
径部７Ｂをキー１２とキー溝１３により軸方向移動自在
で回転不能に嵌合しているので、バネ９のバネ力に抗し
て前方へ移動し、スライド筒７を構成する小径部７Ａの
係止部６によりレフィール３が前方へ移動する。このと
きスライダの先パイプ２１も押されて先具２の先端より
突出する。

【００１９】キャップ４の回転操作を断つと、バネ９の
バネ力によりスライド筒７が後方へ移動して元に復位
し、これを繰り返すことにより即ちキャップ４を往復回
転操作することによりスライド筒７が前後に移動し、レ
フィール３が前後方向に移動を繰り返して芯５が先具２
の先端の先パイプ２１より繰り出され筆記に供すること
ができる。芯５及び先パイプ２１を先具２の先端より引
っ込めるには、レフィール３を前方へ移動してチャック
（先具２内に組み込まれている）を開いた状態にし、芯
先を押すことにより芯５及び先パイプ２１を先具２の先
端より引っ込めることができる。

【００２０】この回転式シャープペンシルを携帯する場
合などレフィール３を完全にロック状態にしたいとき
は、図２に示すようにＶ字状傾斜カム面８の中立位置よ
り他方の傾斜カム面８Ｂに当接させるべくキャップ４を
回転操作して作動カム１１Ａを他方の傾斜カム面８Ｂの
係合部１８に係合させることによりレフィール３を完全
にロックすることができる。

【００２１】次に回転式ボールペンに適用する場合につ
いて説明する。先具２内のシャープペンシル機構に代え
て、先具２内の弾性受けとレフィール３の弾性受けとの
間に弾性体、例えばバネを介在する以外、全く同様の構
成になっている。但し、消ゴムホルダ１７又は修正棒ホ
ルダ等を用いる場合、これと作動カム筒１１との間に気
孔を設けることは勿論である。

【００２２】上記構成の回転式ボールペンにおいて、キ
ャップ４を回転操作すると、これにキー１４とキー溝１
５により回転不能に連結された作動カム筒１１が回転
し、この作動カム筒１１の作動カム１１Ａの回転により
これに大径部７ＢのＶ字状傾斜カム面８の他方の傾斜カ
ム面８Ｂを当接したスライド筒７が外筒１にその大径部
７Ｂをキー１２とキー溝１３により軸方向移動自在で回
転不能に嵌合しているので、バネ９のバネ力に抗して前
方へ移動し、スライド筒７を構成する小径部７Ａの係止
部６によりレフィール３が前方へ移動する。

【００２３】レフィール３の前方への移動により作動カ
ム筒１１の作動カム１１Ａがスライド筒７のＶ字状傾斜
面８の他方の傾斜カム面８Ｂに設けた係合部１８に係合
し、レフィール３のペン先（ボール）が先具２の先端よ
り突出した状態に維持され、筆記に供することができ
る。

【００２４】ペン先を先具２の先端より引っ込めるに
は、キャップ４を逆方向に回転操作して他方の傾斜カム
面８Ｂに設けた係合部１８より作動カム１１Ａを離脱す
ることによりバネ９のバネ力と回転操作とで元に復位
し、ペン先を先具２の先端より引っ込めることができ
る。

【００２５】

【考案の効果】上述のように本考案によれば、回転式シ
ャープペンシルと回転式ボールペンの構成が殆ど同様で
あるので、互換性があり、かつ芯を使い果たしてもレフ
ィール３内に収容した芯を自動的に順次繰り出すことが
でき、使用に供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案回転式筆記具の１実施例の構成を示す断
面図である。

【図２】本考案におけるスライド筒と作動カムの関係を
示す展開図である。

【符号の説明】

１ 外筒 ２ 先具 ３ レフィール ４ キャップ ５ 芯 ６ 係止部 ７Ａ 小径部 ７Ｂ 大径部 ７ スライド筒 ８ Ｖ字状傾斜カム面 ８Ａ 一方の傾斜カム面 ８Ｂ 他方の傾斜カム面 ９ 弾性体（バネ） １０ 内段部 １１ 作動カム筒 １１Ａ 作動カム １２ キー １３ キー溝 １４ キー １５ キー溝 １７ 消ゴムホルダ １８ 係合部 ｄ 隙間

Claims (6)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外筒にレフィールを挿入して先具を取付
   け、キャップを回転操作することにより先具より芯を繰
   り出し又はペン先を出没させる回転式筆記具において、
   前記レフィールに当接される係止部を有する小径部とＶ
   字状傾斜カム面を有する大径部とよりなるスライド筒を
   前記レフィールに装着し、前記外筒に前記大径部を軸方
   向移動自在で回転不能に嵌合せしめ、前記スライド筒を
   後方へ付勢する弾性体を設けると共に、前記Ｖ字状傾斜
   カム面に作動カムが当接して前記外筒の内段部に係止す
   る作動カム筒を設け、この作動カム筒にこれと一体に回
   転する前記キャップを連結し、このキャップを前記外筒
   に回転可能で着脱可能に被着してなる回転式筆記具。
2. 【請求項２】 Ｖ字状傾斜カム面の一方の傾斜カム面に
   沿って作動カムを往復回転することにより芯を繰り出
   し、他方の傾斜カム面に作動カムが係合する係合部を設
   けることを特徴とする請求項１の回転式筆記具。
3. 【請求項３】 外筒（１）の内面に大径部（７Ｂ）をキ
   ー（１２）とキー溝（１３）により軸方向移動自在で回
   転不能に嵌合し、キャップ（４）の内面に作動カム筒
   （１１）の外面をキー（１４）とキー溝（１５）により
   回転不能に連結せしめてなる請求項１又は２の回転式筆
   記具。
4. 【請求項４】 作動カム筒に消ゴムホルダ，修正棒ホル
   ダ等を装着してなる請求項１〜３のいずれか１項に記載
   の回転式筆記具。
5. 【請求項５】 シャープペンシルの場合、係止部に芯を
   誘導するテーパー面を設けてなる請求項１の回転式筆記
   具。
6. 【請求項６】 シャープペンシルの場合、レフィールの
   後端と係止部との間に隙間を設けてなる請求項１又は５
   の回転式筆記具。