JP2006299054A - インクジェット用顔料インクの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は安定性に優れ、普通紙では高発色であり、光沢紙上では高光沢性を有し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れる。
【解決手段】 本発明のインクジェット用顔料インクの製造方法は、顔料と分散剤としてのポリマーの溶液を自転公転しながら撹拌した後に、分散機により分散し、ビヒクル成分と混合することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は安定性に優れ、普通紙では高発色であり、光沢紙上では高光沢性を有し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れるインクジェット用顔料インクおよびその製造方法に関する。
従来のインクジェット用顔料インクは顔料とポリマー溶液とをディゾルバを用いて混合しプレミキシングを行ない、ジルコニアが混ざった酸化物練肉媒体による撹拌式ボールミルで分散したり(特許文献1参照)、顔料とポリマー溶液とをジルコニアビーズを充填した分散装置に通して循環方式で分散する方法(特許文献2参照)あるいは顔料とポリマー溶液とをプレミキシングしてマイクロフルイダイザーで処理する方法(特許文献3参照)などが検討されている。
特表2004−535508号公報 特開2004−217916号公報 特開2003−176431号公報
しかしながら、従来のインクジェット用顔料インクの場合、プレミキシングに通常のアジテーターやディゾルバあるいは単なる混合方法を用いると、混合が不均一でしかも泡を抱きこみやすいという課題があった。泡があるとその部分のぬれ性がわるくなり、結果的に分散安定性が劣化するという課題を有する。分散安定性が劣化すると普通紙では発色性が低下し、光沢紙上では光沢が低下する。
本発明のインクジェット用顔料インクの製造方法は、顔料と分散剤としてのポリマーの溶液とを自転公転しながら撹拌した後に、分散機により分散し、ビヒクル成分と混合することを特徴とする。
すなわち、顔料とポリマー溶液とを自転公転しながら撹拌する工程と、分散機による分散工程と、ビヒクル成分と混合する工程とを少なくとも有することを特徴とする。
本発明は、インクジェット記録用インクにおいて、安定性に優れ、普通紙では高発色であり、専用紙上では高光沢性を有し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れることなどの特性が要求されていることに鑑み、鋭意検討した結果によるものである。
本発明のインクジェット用顔料インクの製造方法は、顔料とポリマー溶液とを自転公転しながら撹拌した後に、分散機により分散し、ビヒクル成分と混合することを特徴とする。
顔料とポリマー溶液とを自転公転しながら撹拌する装置としては、松尾産業株式会社から、SNB−350N、SNB−550NおよびSNB−2000など数種類が市販されている。分散機としては、非メディア分散方式が好ましく、中でも湿式ジェットミル(ジーナス社)、ナノマーザー(ナノマーザー社)、ホモジナイザー(ゴーリン社)、アルティマイザー(スギノマシン社)およびマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社)などが挙げられる。
このようにして、上記インクジェット記録用インクを作成することによって、普通紙では高発色であり、専用紙上では高光沢性を有し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れるインクジェットインクを製造することができる。
本発明に用いることができる顔料は、例えば黒色インク用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられるがインクジェット用としては比重が比較的低く水中で沈降しにくいカーボンブラックが好ましい。更にカラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、153、180、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、202、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が使用できる。
本発明のインクジェット用顔料インクに用いる顔料の添加量は、0.5〜30重量%(以下、単に「%」と記すこともある。)が好ましいが、さらに1.0〜15%が好ましい。これ以下の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、これ以上の添加量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
また、本発明のインクジェット用顔料インクのビヒクル成分としては、界面活性剤、有機溶剤および保湿剤などを用いる。表面張力を20mN/m以上40mN/m以下の範囲がインクジェトで印字するドット径を最適な幅に広げるという観点から少なくとも界面活性剤を添加してなることが好ましい。
その界面活性剤が、アセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上であることがさらに好ましい。
これらの界面活性剤を用いることで普通紙上のにじみが特に低減され、専用紙上でのドット径を最適な幅に広げることが可能となる。
また、本発明になるインクジェット用顔料インクの表面張力を20mN/m以上40mN/m以下の範囲にするため、少なくともアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよび/または1,2−アルキレングリコールを添加してなることが好ましい。そのアルキレングリコールモノアルキルエーテルが繰り返し単位10以下のアルキレングリコールであって、且つ炭素数4〜10のアルキルエーテルであることが好ましい。また、前述のアルキレングリコールモノアルキルエーテルがジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエ−テルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルであることが好ましい。
さらに、前述の1,2−アルキレングリコールが1,2−ヘキサンジオールおよび/または1,2−ペンタンジオールであることが好ましい。これらの添加により印字の乾燥性が向上し、連続して印刷しても前の印字部分が次の媒体の裏面に転写されることがなくなるため、高速印字が可能となる。
前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の物質の添加量が0.1%以上5%以下であることが好ましい。
また、本発明においては、少なくとも前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上と、を含むことが好ましい。前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の添加量が0.01%〜0.5%であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上の添加量が1%以上であることが好ましい。
さらに、本発明におけるインクジェット用顔料インクとしては、その放置安定性の確保、インクジェットヘッドからの安定吐出のため、目詰まり改善のためあるいはインクの劣化防止のためなどの目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を添加することもできる。
また、本発明では、顔料とポリマー溶液とを自転公転しながら撹拌した後に、分散機により分散し、ビヒクル成分と混合することを特徴とするが、顔料は粉体状であってもペースト状であってもよい。しかし、ペースト状の方が短時間処理で効果が得られるために好ましい。さらに、自転公転しながら撹拌する前後にアジテーターなどを用いて前処理、後処理などをすることも可能である。
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(1)分散体1の製造
分散体1はカーボンブラック(PBk7)である米国キャボット社製モナーク880を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート65部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したパラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソバレロニトリル1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
また、上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるモナーク880粉体(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を、松尾産業株式会社製SNB350Nを用いて混合した。混合条件は上記混合物を専用容器に80gづつ2個の容器にとり、公転速度300rpm自転速度は公転速度の0.4倍で180秒と公転速度600rpm自転速度は公転速度の0.7倍で300秒で行なった。その後専用容器から取り出し、そのサンプルを計10回繰り返した合計約1600gを、超高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過しイオン交換水で調整して顔料濃度が20%である分散体1とした。
(2)分散体2の製造
まず、分散体2はピグメントブルー15:1(トリクロロ銅フタロシアニン顔料:山陽色素株式会社製G500)を用いて分散体1と同様に作成した。
(3)分散体3の製造
まず、分散体3はピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて分散体1と同様に作成した。
(4)分散体4の製造
まず、分散体3はピグメントイエロー74(縮合アゾ顔料:クラリアント製)を用いて分散体1と同様に作成した。
(5)インクジェット用顔料インクの調製
以下、インクジェット用顔料インクに好適な組成の例を表2に示す。本発明のインクジェットインクの調製は、上記の方法で作成した分散体1を用い、表2に示すビヒクル成分と混合することによって作成した。尚、表1中の残量の水の中にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(6)分散安定性の評価
顔料の粒子径の異なる分散体用いて作成したインクジェット用顔料インクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)および沈降率(%)を表1に示す。分散安定性は各水性インクを60℃で30日放置したときの粘度変化率(%)として示す。粘度変化はドイツ国アントンパール製AMVnにより角度60°において測定して、1−(30日後の値)/(初期の値)の100分率(%)として示す。また、同時に比較例1としてSNB350Nを用いる撹拌を行わなかった場合について示す。
(7)普通紙ODと光沢紙光沢度の評価
普通紙としては米国Xerox社製Xerox4024紙を用い、光沢紙としてはセイコーエプソン株式会社製PM写真用紙を用いた。プリンターはセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターEM930Cを用い、普通紙はフォト720dpiで光沢紙はフォト1440dpiの印刷モードで印刷した試料を用いて評価した。ODの測定は米国GRETAG社製GRETAG MACBETH SPECTROSCAN SPM−50を用いて行なった。光沢度の測定は入射角60度における記録面の鏡面光沢度を堀場製作所株式会社製グロスチェッカIG−320にて測定を行い、各記録紙ごとに5回の平均をとった値とした。メディアはセイコーエプソン株式会社製PM写真用紙で、プリンターはセイコーエプソン株式会社製EM930Cを用いてフォト720dpiで印刷した。結果を表1に示す。また、同時に比較例1としてSNB350Nを用いる撹拌を行わなかった場合について示す。
(8)吐出安定性の測定
インクジェットプリンターとしてセイコーエプソン株式会社製PX−V600を用いて、35℃35%雰囲気で富士ゼロックス社製XeroxP紙A4判にマイクロソフトワードで文字サイズ11の標準、MSPゴシックで4000字/ページの割合で100ページ印刷して評価した。全く印字乱れがないものをAA、1箇所印字乱れがあるものをA、2〜3箇所印字乱れがあるものをB、4〜5箇所印字乱れがあるものをC、6箇所以上印字乱れがあるものをDとして結果を表1に示す。また、同時に比較例1としてSNB350Nを用いる撹拌を行わなかった場合について示す。
Figure 2006299054
Figure 2006299054
(1)分散体5の製造
分散体5はカーボンブラック(PBk7)である三菱化学工業株式会社製MA100を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン45部、ポリエチレングリコール400アクリレート30部、ベンジルアクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、ポリエチレングリコール400アクリレート100部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部および過硫酸ナトリウム5部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器に水を添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成した。
また、上記分散ポリマー溶液40部とカーボンブラックであるMA100(三菱化学工業株式会社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、松尾産業株式会社製SNB350Nを用いて混合した。混合条件は上記混合物を専用容器に80gづつ2個の容器にとり、公転速度300rpm自転速度は公転速度の0.4倍で180秒と公転速度600rpm自転速度は公転速度の0.7倍で300秒で行なった。その後専用容器から取り出し、そのサンプルを計10回繰り返した合計約1600gを、ジルコニアビーズを用いたアイガーミルを用いて2時間かけて分散する。その後、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整する。その後、0.3μmのメンブレンフィルターでろ過し、固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%である分散体5とした。
(2)分散体6の製造
まず、分散体6はピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いて分散体5と同様に作成した。
(3)分散体7の製造
まず、分散体7はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて分散体5と同様に作成した。
(4)分散体8の製造
まず、分散体8はピグメントイエロー180(ジケトピロロピロール顔料:クラリアント製)を用いて分散体5と同様に作成した。
(5)インクジェットインクの調製
以下、インクジェット用顔料インクに好適な組成の例を表4に示す。インクジェットインクの調製は実施例1と同様に行なった。
(6)分散安定性の評価
分散安定性の評価は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。また、同時に比較例2としてSNB350Nを用いる撹拌を行わなかった場合について示す。
(7)普通紙ODと光沢紙光沢度の評価
普通紙ODと光沢紙光沢度の評価は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。また、同時に比較例2としてSNB350Nを用いる撹拌を行わなかった場合について示す。
(8)吐出安定性の測定
吐出安定性の測定は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。また、同時に比較例2としてSNB350Nを用いる撹拌を行わなかった場合について示す。
Figure 2006299054
Figure 2006299054

Claims (3)

  1. 顔料とポリマー溶液とを自転公転しながら撹拌する工程と、分散機による分散工程と、ビヒクル成分と混合する工程とを有することを特徴とするインクジェット用顔料インクの製造方法。
  2. 前記分散機による分散が、非メディア分散である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られるインクジェット用顔料インク。
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