JP2006297397A - マグネシウム板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
表面に純マグネシウムまたはマグネシウム合金を備え、プレス成形に用いられるマグネシウム板であって、前記純マグネシウムまたは前記マグネシウムの表面酸化層の厚さが0.3μm以下であることを特徴とするマグネシウム板を提供する。
【選択図】 図2
Description
なかでも、板状の材料を、金型を用いて絞り加工や打ち抜き加工することで成型を行うプレス成型は、製品を短時間に製造することができ、さらに、板状材料の材質や厚さを変更することも容易で応用性にも富むことから広く用いられている。また、プレス加工は、ダイカスト成型のような大掛かりな設備を必要とせず、板状材料としてフープ材などの長尺材を用いることで連続的に製品を作ることができ生産性の高い製造が可能となる。
このようなプレス加工時の傷の発生を抑制することができれば、前述のようなマグネシウムやその合金からなる表面を備えた板状材料(マグネシウム板)をプレス加工して製品を製造する場合に、予め板状状態において一括して表面の美観を付与することができ、プレス加工後に製品形状に加工されたものの個々の表面を処理する場合に比べて製造工程が簡略化されることとなる。
しかし、従来、表面に純マグネシウムまたはマグネシウム合金を備えたマグネシウム板において、プレス加工工程における傷つき性を抑制する方法は検討されておらず、その対策も確立されていない。
すなわち、表面に純マグネシウムまたはマグネシウム合金を備えたマグネシウム板においては、従来、プレス加工における製造工程が煩雑となることを抑制することが困難であるという問題を有している。
すなわち、本発明は、前記課題を解決すべく、表面に純マグネシウムまたはマグネシウム合金を備え、プレス成形に用いられるマグネシウム板であって、前記純マグネシウムまたは前記マグネシウムの表面酸化層の厚さが0.3μm以下であることを特徴とするマグネシウム板を提供する。
したがって、研磨工程などの新たな工程を行うことを抑制でき、製造工程が煩雑となることを抑制し得る。
本実施形態の前記マグネシウム合金としては、ASTMでAM100などと呼ばれるMg−Al系合金、AZ31A〜C、AZ61A、AZ63A、AZ80A、AZ91A〜C、AZ92AなどのMg−Al−Zn系合金、ZK51A、ZK60A、ZK61AなどのMg−Zn−Zr系合金、EZ33A、ZA41A、QE22AなどのMg−希土類元素系合金などを使用することができる。
前記フープ材は、例えば、前述のような合金ビレットを鋳造し、熱間圧延後、100℃程度の温度で温間圧延することにより得られる。
このとき、フープ材を形成する場合の加工性に優れる点において、マグネシウム合金としては、AZ31A〜C、AZ61A、AZ80A、ZK60Aの何れかを用いることが好ましい。
なかでも、砥粒を備えたブラシを用いて研磨する場合には、研削されたマグネシウム粉が研磨されたマグネシウム板に付着したり、研磨具に付着したりすることがなく、これらを除去する手間を省略し得る点において好適である。
さらに、砥粒を備えたブラシを用いる場合には、ブラシの柔軟性によって表面酸化層に比べて粘りのあるマグネシウム合金部分を研削することを抑制しつつ、マグネシウム合金に比べて脆い表面酸化層を選択的に研削することが容易となる点においても優れている。
このような、アルカリ水溶液としてはpH11以上のものを用い湿式研磨が行われた場合には、マグネシウムやその合金の表面に曇りが生じて、光沢が低下したりするなど素材自体の美観が損なわれるおそれを抑制することができる。この素材が外観に現れるような製品に好適に用いることができるものとなる。
また、要すれば、これらの塩を複数混合したアルカリ水溶液を用いることもできる。
このような研磨工程は、図2a),b)に例示するような連続研磨ラインにより、連続的に研磨が実施されることが好ましい。
また、このアルカリ処理工程により、マグネシウムやその合金の表面に曇りが生じて、光沢が低下したりするなど素材自体の美観が損なわれるおそれをさらに抑制することができる。
なお、これらの効果を高める点から、このアルカリ処理工程は、前述の研磨工程の直後に行うことが好ましい。
さらにこの変色を抑制させる点から、研磨工程におけるマグネシウム板とアルカリ水溶液との接触時間をt1(秒)、アルカリ処理におけるマグネシウム板とアルカリ水溶液との接触時間をt2(秒)として、総接触時間をt(=t1+t2)とし、アルカリ水溶液中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の総イオン濃度をC(質量%)とした場合にt×Cが1〜100の範囲となるようなアルカリ水溶液濃度ならびに総接触時間を設定することが好ましい
なお、研磨工程とアルカリ処理工程に用いるアルカリ水溶液が異なる場合には、それぞれの総イオン濃度をC1、C2として、前述のt×Cの値をt1×C1+t2×C2として求めることができる。
なお、マグネシウム製品に傷つきが発生することをより防止し得る点から表面酸化層の厚さは、0.15μm以下であることが好ましい。
(マグネシウム板の作成)
AZ31の鋳造ビレットを押し出し成形し、厚さ1mm×幅130mmに整形したものを、4段温間圧延機を用いて厚さ0.5mmに圧延しマグネシウム板を作成した。なお、このマグネシウム板の化学組成を分析したところAl:2.78質量%、Zn:0.94質量%、Mn:0.53質量%、Fe:0.001質量%、Si:0.01質量%、残部Mg及び不可避不純物であった。
上記のとおり作製したマグネシウム板を#100相当のアルミナ系砥粒を備えるナイロンワイヤ製ブラシロール(ホタニ社製「M−33ブラシ」、外径270mm)を用いて、研磨することにより表面酸化層の厚さを調整した。
より具体的には、マグネシウム板とブラシロールとが接触し始める位置から、さらに、ブラシロールをマグネシウム板に2.0mm近接させてブラシロールにより研磨した。
研磨に際してはブラシロールとマグネシウム板との当接個所にスプレーノズルを用いて2質量%水酸化ナトリウム水溶液を供給しつつ、1000rpmの回転数でブラシロールを回転させ、マグネシウム板を5m/minの速度で送って実施例1のマグネシウム板の製造を行った。
なお、研磨後にはアルカリ処理を実施せず、水洗の後、乾燥した。
このようにして、得られた研磨後のマグネシウム板の表面酸化膜は、0.05μmであった。
(実施例2)
ブラシロールの近接距離を1.0mmとしたこと以外は実施例1と同様にマグネシウム板を製造した。
このようにして、得られた研磨後のマグネシウム板の表面酸化膜は、0.12μmであった。
(実施例3)
ブラシロールの近接距離を0.5mmとしたこと以外は実施例1と同様にマグネシウム板を製造した。
このようにして、得られた研磨後のマグネシウム板の表面酸化膜は、0.28μmであった。
(実施例4)
マグネシウム合金としてAZ61を用いたこと以外は実施例1と同様にマグネシウム板を製造した。
このようにして、得られた研磨後のマグネシウム板の表面酸化膜は、0.08μmであった。
表面研磨を行わなかったこと以外は実施例1と同様にマグネシウム板を製造した。(温間圧延されたままのマグネシウム板)
このようにして、得られた研磨後のマグネシウム板の表面酸化膜は、0.36μmであった。
(比較例2)
砥粒が備えられていないブラシロールを用いたこと以外は実施例1と同様にマグネシウム板を製造した。
このようにして、得られた研磨後のマグネシウム板の表面酸化膜は、0.31μmであった。
(温間プレス)
各実施例、比較例のマグネシウム板を用いて、加工品の表面の傷を目視にて観測しつつ円筒深絞りプレスを連続的実施した。深絞り条件は以下のとおり。
(深絞り条件)
材料:実施例1〜4、比較例1〜2マグネシウム板のφ127mm打ち抜き品
予熱温度:250℃(電気炉を使用)
絞り比:3.18
使用プレス:クランクプレス(最高プレス速度300mm/秒)
絞りショットスピード:1ショット/12秒
使用金型:SKD11製、
ダイス:硬質クロムメッキ、内径41.5mm、肩部R=8.0mm、523Kに加熱
ポンチ:メッキなし、外径40.0mm、肩部R=4.0mm、加熱なし
その他:ダイス側に初回絞り時のみグラファイト系潤滑剤塗布、
ポンチ側には0.05mm厚さPTFEシートを常時使用
しわ押え力0.98kN
(判定)
目視にて傷が観測されるまでのショット数と、傷を爪で引っかいて引っ掛かりを感じた場合を深い傷として、この深い傷が観測されるまでのショット数を数えた。
結果を表1に示す。
(実施例5〜28)
研磨方法、アルカリ処理を表1の条件として実施した以外は実施例1と同様にマグネシウム板を製造した。
なお、研磨液とアルカリ処理液は同じものを用い、実施例22以外の研磨液、アルカリ処理液のpHは11以上であった。
また、実施例27、28については、乾式研磨を行った。
(光沢度保持)
各実施例のマグネシウム板の初期の光沢度をスガ試験機社製光沢度計「HG246」を用い、タングステン光源により60度鏡面光沢度を測定した。また、同様に50℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽中に120時間保持した後に、同様に光沢度を測定した値を、初期値を100%とした百分率で表し光沢度保持率とした。結果を併せて表2に示す。
ベルト研磨:砥粒が異なる研磨ベルトを700m/minの速度で回転させつつ、
マグネシウム板に当接させつつ研磨を行った。
※2)脱脂剤:界面活性剤含有アルカリ水溶液として第一工業製薬社より市販の
「メタルクリア」を水で希釈して使用した。
※3)変色:素材自体の色調から黄変していることが肉眼にて確認された。
欠陥:圧延時の傷が解消されていない。
焼付:ブラシあるいはベルト素材がマグネシウム板表面に焼き付いた。
Claims (7)
- 表面に純マグネシウムまたはマグネシウム合金を備え、プレス成形に用いられるマグネシウム板であって、前記純マグネシウムまたは前記マグネシウムの表面酸化層の厚さが0.3μm以下であることを特徴とするマグネシウム板。
- 表面に純マグネシウムまたはマグネシウム合金が配された部材の前記表面を研磨加工して製品を製造するマグネシウム製品の製造方法であって、
前記研磨加工が、pH11以上のアルカリ水溶液を用いた湿式研磨であることを特徴とするマグネシウム製品の製造方法。 - 前記研磨加工が砥粒を備えたブラシを用いて実施される請求項2に記載のマグネシウム製品の製造方法。
- 前記湿式研磨後に、pH11以上のアルカリ水溶液で前記表面を処理するアルカリ処理をさらに行う請求項2又は3に記載のマグネシウム製品の製造方法。
- 前記アルカリ水溶液には、アルカリ金属の水酸塩、炭酸塩、重炭酸塩又はアルカリ土類金属の水酸塩、炭酸塩、重炭酸塩より選ばれる少なくとも1種が含まれている請求項2乃至4のいずれかに記載のマグネシウム製品の製造方法。
- 前記表面と前記アルカリ水溶液との接触時間をt(秒)、アルカリ水溶液に含まれるアルカリ金属ならびにアルカリ土類金属の総イオン濃度をC(質量%)とした時に、前記湿式研磨と前記アルカリ処理とのt×Cの和が1〜100であり、且つそれぞれのアルカリ水溶液の温度を20〜60℃とする請求項2乃至5のいずれかに記載のマグネシウム製品の製造方法。
- 前記湿式研磨または前記アルカリ処理のいずれかのアルカリ水溶液には界面活性剤が配合されている請求項2乃至6のいずれかに記載のマグネシウム製品の製造方法。
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