<<第1実施形態>>
以下、本発明の第1実施形態につき、図面に沿って具体的に説明する。図1は、第1実施形態に係る撮像装置(ドライブレコーダ)1が車両60に取付けられている様子を示す図である。図2は、図1の撮像装置1の構成を表すブロック図である。
車両60にはルームミラー61が運転席の前方に備えられており、撮像装置1は、車両60の外景(撮像対象)を撮影(撮像)できるように、ルームミラー61の裏側などに取付けられる。車両60における撮像装置1の取付け場所は、ルームミラー61に限られない。例えば、車両60のルーフやサイドミラー(不図示)等に取付けてもよい。また、必要に応じて、車両60の後方にある外景(撮像対象)を撮影できるように、車両60の任意の箇所に撮像装置1を取付けても良いし、車両60内外のその他の方向の外景(撮像対象)を撮像できるように、車両60の任意の箇所に撮像装置1を取付けるようにしても良い。
カメラ2は、撮像装置1の撮像対象を撮影(撮像)するためのものであり、例えば、撮像対象に応じた画像を映像信号(電気信号)に変換するCCD(Charge Coupled Devices)から構成される。このCCDは、例えば、毎秒30枚の画像を撮影する。即ち、フレーム周波数(フレームレート)は、例えば30枚/秒である。
画像処理回路3は、カメラ2からの映像信号(カメラ2にて撮像された画像)を画像データに変換するものである。具体的には、例えば、上記CCDから出力される映像信号に応じたデジタルデータを作成し、そのデジタルデータに適切な処理(圧縮処理等)を施したデータ(このデータを、以下、単に「画像データ」という)を、後段のバッファメモリ4に出力する。
バッファメモリ4は、画像処理回路3から出力された画像データを一時的に蓄積(記憶)するDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリである。このバッファメモリ4は、数秒〜数十秒間の画像データ(動画)を時系列に記憶することが可能である。記録容量を全て使い果たし、さらに追加して画像データを記憶することができなくなった時は、古い方の画像データから消去を行い、代わりに最新の画像データを記憶する(最も古くに記憶された画像データを、最新の画像データで上書きする)。
記録部5は、バッファメモリ4に記憶された画像データの一部を記録する。記録部5は、持ち運び可能なメモリカード等の記録媒体となっている。但し、それ単体では使用者が持ち運ぶことのできないように撮像装置1内に固定された記録媒体を、記録部5として採用してもよい。記録部5がどの時点の画像データを記録するかは、記録制御部8によって決定される。
加速度センサ6は、撮像装置1が取付けられた車両60の加速度の大きさ及び向きを検出する。尚、撮像装置1自体に加速度センサ6を設ける必要は必ずしもない。例えば、加速度センサ6と同等の機能を有する加速度センサが車両に備えられている場合は、検出した加速度の大きさや向きを有線又は無線の通信を用いて撮像装置1に伝達すればよい。
衝撃検出部7は、加速度センサ6によって検出された上記加速度の大きさと所定の衝撃閾値との比較結果に基づいて、車両に異常な衝撃(異常衝撃)が加わったか否かを判断する。例えば、衝突事故が発生したか否かを検出する。上記衝撃閾値は、例えば、0.4×9.8m/s2(=0.4G)に設定されている。
記録制御部8は、衝撃検出部7による比較結果に基づいて記録部5に記録すべき画像データを決定し、バッファメモリ4及び記録部5を制御して該画像データを記録データとして記録部5に記録させる。或るタイミングT1において上記加速度の大きさが上記衝撃閾値以上になったとすると、上記記録データには、タイミングT1(例えば、衝突時)以前の所定時間、或いは、タイミングT1前後の所定時間の画像データが含まれることになる。即ち、タイミングT1の所定時間前からタイミングT1に至るまでの画像データ、或いは、タイミングT1の所定時間前からタイミングT1に至るまでの画像データとタイミングT1からタイミングT1の所定時間後に至るまでの画像データが、上記記録データには含まれている。記録部5に記録された記録データは、例えば、事故原因の究明のための証拠資料として用いられることになる。
撮像装置1(或いはカメラ2)は、車両60の水平方向に回転可能な状態で車両60に取付けられている。どのような回転が可能であるかについては、後に詳説する。目標方向設定部10は、車両60の方向指示器(不図示)の状態を特定する方向指示器情報及び車両60の走行速度を特定する走行速度情報に基づいてカメラ2の撮影方向が追従すべき目標方向を決定する。
車両60には、車両60の進行方向を変えることを周囲の車両等に伝達するためのものであって、左ウインカーと右ウンイカーとから成る方向指示器62と、車両60の走行速度を検出する速度センサ63と、方向指示器62の状態及び検出された走行速度を認識可能な車両側制御部64と、が備えられており、その車両側制御部64から上記方向指示器情報と走行速度情報が有線又は無線の通信を用いて目標方向設定部10に伝達される。
方向指示器62は、左ウインカーを点滅させて左折を指示する状態(以下「左折指示状態」という)、右ウインカーを点滅させて右折を指示する状態(以下「右折指示状態」という)、左右ウインカーを同時点滅させて一時停止を示す状態(以下「一時停止状態」という)及びそれらのいずれにも当てはまらない状態(以下「指示なし状態」という)の内、いずれかの状態をとる。左折指示状態、右折指示状態、一時停止状態、指示なし状態は、それぞれ「1」、「2」、「3」、「0」の値を有する方向指示器情報として目標方向設定部10に伝達される。
また、検出された走行速度が0km/s(キロメートル/秒)であるとき、走行速度情報は「0」となる。0km/s<(走行速度)≦第1基準速度、第1基準速度<(走行速度)≦第2基準速度、第2基準速度<(走行速度)のとき、それぞれ走行速度情報は「1」、「2」、「3」となる。第1基準速度、第2基準速度は、夫々、例えば20km/s、60km/sに設定される。走行速度情報が「0」、「1」、「2」、「3」であることに対応する走行速度を、説明の便宜上、それぞれ「ゼロ」、「低速」、「中速」、「高速」と呼ぶ。
撮影方向制御部9は、ステップモータ等から成り、カメラ2の撮影方向が上記目標方向に追従するように(一致するように)カメラ2の撮影方向を制御する。
図3は、撮像装置1が取付けられた車両60を車両60の真上(空側)から見た透過図である。破線70と破線71で囲まれる領域がカメラ2の撮影領域となっている。撮影方向制御部9によるカメラ2の撮影方向の変更は、鉛直線と平行であって且つ撮像装置1を通る基準線72を中心軸としたカメラ2の回転によって行われる。この回転を行うことにより、カメラ2の撮影領域の中心73も基準線72を中心軸として同じ角度だけ回転する。また、地平面と平行であって且つ撮影領域の中心73と基準線72とを結ぶ線を、撮影中心線74と呼ぶ。尚、図3において、基準線72は紙面を突き抜ける方向に伸びている。また、車両60は、鉛直線を自身の垂線とする凹凸のない地面上に位置しているものとする。
以下、説明の簡略化上、重力の方向に平行な方向成分を無視し、2次元平面に着目して撮像装置1の動作を説明する。また、車両は前方にのみ走行するとし、後方への走行は無視して考える。今、図4に示す如く、車両60の進行方向に平行であって且つ基準線72を通る軸を軸80と定義する。そして、軸80と撮影中心線74とが交差する角度を角度θとする。図4において、下方側から上方側へ向かう方向が車両60の進行方向と一致する。図4において、図3と同一の線などには同一の符号を付してある。
撮像装置1は、車両60への取付け時において、例えば、カメラ2の撮影方向が車両60の進行可能な方向(進行方向)と一致するように(車両60の前方の外景を撮影できるように)取付けられる。この場合、車両60への取付け時における角度θは0°となる。また、以下の説明において、車両60の運転席から車両60の前方(進行方向側)を見たときにおける左側の方向及び右側の方向を、それぞれ「左」及び「右」とする。図4は、カメラ2の撮影方向が進行方向より左側にθで表される角度分だけ傾いている様子を示している。また、説明の便宜上、カメラ2の撮影方向が進行方向より左側に傾いているときの角度θの極性を正とし、カメラ2の撮影方向が進行方向より右側に傾いているときの角度θの極性を負とする。
また、車両60の進行方向は、車両60が直進している時(直進時)においては変化しないが、ハンドル(不図示)を操作して左折や右折をする場合には刻一刻と変化する。例えば、図5に示すごとく、左折を行う交差点に進入する直前の進行方向は上向き(例えば、北向き)であると共に左折完了後の進行方向は左向き(例えば、西向き)であり、その途中の段階における進行方向は上向きから左向きに向かって徐々に変化する。左折することで車両60の中心が曲線を描くとき、左折中の車両60の進行方向は、その曲線の接線方向と一致する。尚、図5の車両60の内部に記載された矢印は、各ポイントにおける車両60の進行方向を示している。
次に、目標方向設定部10による目標方向の設定方法について説明する。尚、以下の説明において、本実施形態の目標方向設定部10によって設定される目標方向を、後述する第2実施形態における目標方向と区別するために、目標方向Aと呼ぶ。図6は、方向指示器の状態と走行速度と目標方向Aとの関係を表す図である。また、以下の説明において、単に「車両」と言った場合、それは、撮像装置1(又は第2実施形態における撮像装置1a)が取付けられていて目標方向A(又は第2実施形態における目標方向B)が設定されるべき車両を指す。
まず、方向指示器62の状態が「指示なし状態」であるとき、走行速度の如何に拘わらず、目標方向Aは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。より具体的には、角度θを0°とすべきことを示す目標方向Aが設定される。この目標方向A(θ=0°)は撮影方向制御部9に伝達され、角度θが0°となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。尚、本明細書における「進行方向」とは、車両60が進行(移動)している状態においては「進行している方向」を意味し、車両が一時的に停車している状態においては「進行しようとする方向」を意味する。
方向指示器62の状態が「左折指示状態」であって且つ走行速度が「ゼロ」又は「低速」であるとき、目標方向Aは、車両60の進行方向よりも左側、即ち左折方向とされる。より具体的には、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Aが設定される。この目標方向A(θ>0°)は撮影方向制御部9に伝達され、角度θが目標方向Aにて示された正の角度となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。
この正の角度は、例えば10°や20°等、適宜設定可能である。また、走行速度が「ゼロ」であるか「低速」であるかによって、その値を変えるようにしても構わない。また、走行速度の具体的な数値に応じてその値を設定しても構わない。例えば、走行速度が5km/sであるときと、10km/sであるときとで、撮影方向が追従すべき角度θの値を変化させても構わない。この場合、走行速度情報に走行速度の具体的な数値を含ませるようにするとよい。
方向指示器62が「左折指示状態」であって且つ走行速度が「ゼロ」又は「低速」であるときは、車両60が交差点の左折や左車線への車線変更を行っている(又は行おうとしている)可能性が高く、この場合において発生しうる事故は車両60の左側で起こる可能性が高い。従って、上記のように目標方向Aを設定すれば、事故原因の究明にとってより有用な映像を撮影及び記録することが可能となる。
一方、方向指示器62の状態が「左折指示状態」であって且つ走行速度が「中速」又は「高速」であるとき、目標方向Aは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。より具体的には、角度θを0°とすべきことを示す目標方向Aが設定され、角度θが0°となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。尚、方向指示器62の状態が「左折指示状態」であって且つ走行速度が「中速」又は「高速」であるときも、目標方向Aを車両60の進行方向よりも左側に設定する(即ち、θ>0°を示す目標方向Aを設定する)、といったことも可能である(この場合、走行速度情報は必ずしも必要ではなくなる)。但し、この場合、目標方向Aにて示される角度θの絶対値を、走行速度が「ゼロ」又は「低速」である場合のそれよりも小さく設定することが望ましい。
方向指示器62の状態が「右折指示状態」であって且つ走行速度が「ゼロ」又は「低速」であるとき、目標方向Aは、車両60の進行方向よりも右側、即ち右折方向とされる。より具体的には、角度θを負の角度とすべきことを示す目標方向Aが設定される。この目標方向A(θ<0°)は撮影方向制御部9に伝達され、角度θが目標方向Aにて示された負の角度となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。
この負の角度は、例えば−10°や−20°等、適宜設定可能である。また、走行速度が「ゼロ」であるか「低速」であるかによって、その値を変えるようにしても構わない。また、走行速度の具体的な数値に応じてその値を設定しても構わない。例えば、走行速度が5km/sであるときと、10km/sであるときとで、撮影方向が追従すべき角度θの値を変化させても構わない。この場合、走行速度情報に走行速度の具体的な数値を含ませるようにするとよい。
方向指示器62が「右折指示状態」であって且つ走行速度が「ゼロ」又は「低速」であるときは、車両60が交差点の右折や右車線への車線変更を行っている(又は行おうとしている)可能性が高く、この場合において発生しうる事故は車両60の右側で起こる可能性が高い。従って、上記のように目標方向Aを設定すれば、事故原因の究明にとってより有用な映像を撮影及び記録することが可能となる。
一方、方向指示器62の状態が「右折指示状態」であって且つ走行速度が「中速」又は「高速」であるとき、目標方向Aは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。より具体的には、角度θを0°とすべきことを示す目標方向Aが設定され、角度θが0°となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。尚、方向指示器62の状態が「右折指示状態」であって且つ走行速度が「中速」又は「高速」であるときも、目標方向Aを車両60の進行方向よりも右側に設定する(即ち、θ<0°を示す目標方向Aを設定する)、といったことも可能である(この場合、走行速度情報は必ずしも必要ではなくなる)。但し、この場合、目標方向Aにて示される角度θの絶対値を、走行速度が「ゼロ」又は「低速」である場合のそれよりも小さく設定することが望ましい。
また、方向指示器62が「一時停止状態」となっている場合、目標方向Aは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。尚、方向指示器62が「一時停止状態」となっているとき、走行速度は、通常「ゼロ」又は「低速」となっている。また、上述の説明にない条件下においては、目標方向Aは、例えば、車両の進行方向と等しいものとされる(即ち、θ=0°)。
図7は、カメラ2の駆動に関する動作の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、目標方向設定部10が方向指示器情報及び走行速度情報を取得する。そして、目標方向設定部10は、方向指示器の状態及び/又は走行速度に、状態変化があったか否かを判定する(ステップS2)。状態変化がなかった場合は上述のステップS1に戻るが(ステップS2のN)、状態変化があった場合には後述するステップS3に移行する(ステップS2のY)。
ステップS3において、目標方向設定部10が方向指示器情報及び走行速度情報に基づいて、車両60の動き(移動方向など)を推定し、カメラ2の撮影方向が追従すべき目標方向A(即ち、角度θの値)を決定する。この目標方向Aは、事故が発生する可能性が高い方向とも言え、また、映像の取得が望まれる理想的な撮影方向とも言える。続いて、ステップS3にて決定された目標方向Aと現在のカメラ2の撮影方向とが異なるか否かが判定される(ステップS4)。それらが一致している場合は(ステップS4のN)、上述のステップS1に戻るが、異なる場合は(ステップS4のY)、カメラ2の撮影方向がステップS3で決定された目標方向Aに追従するようにカメラ2が回転駆動される(ステップS5)。また、この回転駆動が終わるとステップS1に戻り、上述の動作が繰り返される。
<<第2実施形態>>
次に、本発明の第2実施形態につき、図面に沿って具体的に説明する。第2実施形態に係る撮像装置(ドライブレコーダ)1aも車両60に取付けられる。車両60への取付け方は、第1実施形態に係る撮像装置1におけるそれと同じである。
図8は、第2実施形態に係る撮像装置1aの構成を表すブロック図である。図8において、図2と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図8の撮像装置1aが図2の撮像装置1と異なる点は、図2の目標方向設定部10が目標方向設定部10aに置換されている点であり、その他の点における構成及び動作等は同じである。
車両側制御部64からの方向指示器情報と走行速度情報は、目標方向設定部10aに伝達される。目標方向設定部10aに与えられる方向指示器情報と走行速度情報は、第1実施形態の目標方向設定部10に与えられるそれらと同じものである。目標方向設定部10aは、方向指示器情報及び走行速度情報に加えて、ステアリング情報及び/又は位置情報(地図/現在地情報)にも基づいてカメラ2の撮影方向が追従すべき目標方向(以下「目標方向B」という)を設定する。
ステアリング情報は、車両60のステアリング角度(ステアリング蛇角)を特定する情報である。車両60のステアリング角度は、車両60に備えられた図示されないステアリング角度検出装置によって、ステアリングロッドの変位量或いはステアリングシャフトの回転変位量等に基づいて検出される。
車両60を直進させるステアリング角度を0°とし、車両60の進行方向を左方向に旋回させるステアリング角度の極性を正とし、車両60の進行方向を右方向に旋回させるステアリング角度の極性を負とする。また、ステアリング角度の絶対値が0°から正の方向に増加するにつれて、左方向への旋回角度が増大する(旋回が急になる)ものとする。ステアリング角度の絶対値が0°から負の方向に増大するにつれて、右方向への旋回角度が増大する(旋回が急になる)ものとする。車両側制御部64(図1参照)は、上記ステアリング情報を認識可能となっており、そのステアリング情報は有線又は無線の通信を用いて目標方向設定部10aに伝達される。
位置情報は、車両60の現在地の周辺地図を含んだ地図情報(道路情報)と車両60の現在地を特定する現在地情報とを含んだ情報である。位置情報(地図/現在地情報)は、例えば、車両60に備えられたカーナビゲーションシステム(不図示)より、有線又は無線の通信を用いて目標方向設定部10aに伝達される。
上記カーナビゲーションシステムは、GPS(Global Positioning System)衛星からから送られてくる車両60の現在地を特定する情報(上記現在地情報)を受信するGPS受信部と、DVD(Digital Versatile Disk)等に記録された地図情報を読み込む地図取得部と、得られた現在地を特定する情報(上記現在地情報)と地図情報を目標方向設定部10aに伝達する情報伝達部と、を有している。尚、上記GPS受信部及び上記地図取得部の機能を、撮像装置1a自体に持たせるようにしてもよい。目標方向設定部10aは、地図情報と現在地情報を合成し、車両60が地図上のどの部分に位置しているかを認識する。
次に、図9〜図17を参照しながら、目標方向設定部10aによる目標方向Bの設定方法について説明する。図9及び図10は、この設定方法を説明するための図である。図9及び図10においては、最も左の列から順に、方向指示器62の状態、走行速度、方向指示器の状態と走行速度から推定される車両60の状況、方向指示器情報と走行速度情報のみによって決定される目標方向(即ち、第1実施形態における目標方向A)、目標方向B、推定される状況に対応した車両の符号(図11〜図17中に示す対応車両の符号)が示されている。目標方向Bとの比較のために目標方向Aをも、図9及び図10に示しているが、目標方向Aの内容は図6の内容と同じである。
図11は、車両が左方向に曲がるカーブ状の道路を走行している様子を示している。図12は、2本の道路が直交して交差する交差点周辺における車両の様子を示している。図13は、高速道路等の分岐点における車両の様子を示している。図14は、高速道路等の他の分岐点における車両の様子を示している。図15は、直線上の道路において、車両が左車線に車線変更している様子を示している。図16は、左方向に曲がるカーブ状の道路において、車両がカーブしながら左車線に車線変更している様子を示している。図17は、2本の道路が直交して交差する他の交差点における車両の様子を示している。
図11〜図17に示す全ての車両C50、C1〜C6、C8〜C12、C21、C22、C25、C31、C35、C41及びC42には、それぞれ撮像装置1aが取付けられており、各車両中に記載してある矢印は、各車両に取付けられた撮像装置1aのカメラ2の撮影方向を示している。図11〜図17に示す各車両は、車両60の走行状態や道路上の位置を具体化したものであって、それらは車両60そのものである。
まず、方向指示器62の状態が「指示なし状態」である場合を考える(図9参照)。「指示なし状態」において走行速度が「ゼロ」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、駐車している、直進中において信号待ち等で停車している、或いは各種ゲートを通過するために停車している等が考えられる。また、「指示なし状態」において走行速度が「低速」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、直進中において発車直後である、或いは渋滞の中を走行している等が考えられる。これらの場合、左右の何れの方向に着目すべきかに優劣をつけ難い。従って、「指示なし状態」において走行速度が「ゼロ」及び「低速」のとき、目標方向B(及びA)は車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。
一方、「指示なし状態」において走行速度が「中速」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、直進している、比較的緩やかなカーブ状の道路に沿って走行している、或いは比較的急なカーブ状の道路に沿って走行している(例えば、図11の車両C50に対応)等が考えられる。ステアリング情報及び/又は位置情報(地図/現在地情報)に基づくことにより、車両60が比較的急なカーブ状の道路に沿って走行していると推定される場合、目標方向Bは、そのカーブの方向側に設定される。
具体的には、ステアリング情報を用いて目標方向Bを設定する場合は以下のように動作する。ステアリング情報によって特定されるステアリング角度の絶対値が所定の角度閾値Ath1以上になったとき、目標方向Bは、そのカーブの方向側に設定される。例えば、角度閾値Ath1を10°とした場合、ステアリング角度が10°以上となると、車両60が左方向に曲がる急カーブを走行中であると推定され、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。逆に、例えば、ステアリング角度が−10°以下(例えば、−11°)となると、車両60が右方向に曲がる急カーブを走行中であると推定され、角度θを負の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。一方、ステアリング情報によって特定されるステアリング角度の絶対値が所定の角度閾値Ath1より小さいとき、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。
また、位置情報(地図/現在地情報)を用いて目標方向Bを設定する場合は以下のように動作する。例えば、図11に示す如く、車両C50が左方向に曲がるカーブ状の道路を走行している場合、車両C50に対応する目標方向設定部10aは、その道路の中心を通る曲線の曲率半径r1を位置情報に基づいて算出する。そして、この曲率半径r1が所定の曲率閾値Rth1以下である場合、車両C50が左方向に曲がる急カーブを走行中であると推定され、目標方向Bは、そのカーブの方向側に設定される。具体的には、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。一方、曲率半径r1が曲率閾値Rth1より大きい場合、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。
また、「指示なし状態」において走行速度が「高速」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、直進している、或いは比較的緩やかなカーブ状の道路に沿って走行している等が考えられる。これらの場合、左右の何れの方向に着目すべきかに優劣をつけ難い。従って、「指示なし状態」において走行速度が「高速」のとき、目標方向B(及びA)は車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。
次に、方向指示器62の状態が「左折指示状態」である場合を考える。
「左折指示状態」において走行速度が「ゼロ」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、左折を行う交差点で信号待ち或いは交差点への進入直前で一時的に停車している(例えば、図12の車両C1やC4に対応)、交差点に進入し左折を開始した直後或いは左折直前で一時的に停車している(例えば、車両C2に対応)、或いは左折中において歩行者が横断歩道を渡るのを待機している(例えば、車両C3に対応)等が考えられる。
「左折指示状態」において走行速度が「低速」又は「中速」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、左折ポイントへ接近している(例えば、図12の車両C1やC4に対応)、交差点に進入し左折を開始した直後或いは左折直前である(例えば、車両C2に対応)、左折中である(例えば、車両C3に対応)、或いは左折の完了直後である(例えば、車両C5に対応)等が考えられる。
また、「左折指示状態」且つ走行速度が「低速」、「中速」又は「高速」のとき、高速道路等の分岐点において、車両が幹道路から左側の分岐道路に進路を変更していることも考えられる。幹道路と分岐道路との接続角は、比較的小さい場合と比較的大きい場合がある。図13は、その接続角が小さい場合を示しており、車両C21が幹道路R11から分岐道路R12へ進路を変更している様子を示している。図14は、その接続角が大きい場合を示しており、車両C25が幹道路R13から分岐道路R14へ進路を変更している様子を示している。幹道路R11と分岐道路R12との接続角α1は、幹道路R11の左端を通る線L1と分岐道路R12の中央を通る線L2との交差角に相当する。幹道路R13と分岐道路R14との接続角α2は、幹道路R13の左端を通る線L3と分岐道路R14の中央を通る線L4との交差角に相当する。
また更に、「左折指示状態」且つ走行速度が「低速」、「中速」又は「高速」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、直線上の道路或いは緩やかなカーブ状の道路において左車線(左側の車線)に車線変更をしている(例えば、図12の車両C6や図15の車両C31に対応)、或いは左方向に曲がる比較的急なカーブ状の道路においてカーブしながら左車線に車線変更している(例えば、図16の車両C35に対応)ことも考えられる。また、「左折指示状態」且つ走行速度が「高速」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、左折ポイントへ接近している(例えば、図12の車両C1やC4に対応)ことも考えられる。
車両C2及びC3における撮影方向は、左折方向に向けられることが望ましい。それらの位置において衝突事故等が発生した場合、左折方向側に事故原因究明のために有用な映像情報が含まれる可能性が高いと考えられるからである。撮像装置1aが取付けられた車両が車両C2やC3の位置にあるか否かは、ステアリング情報を参照することにより推定可能である。車両C2やC3のステアリング角度は車両C1等のそれと比べて比較的大きな正の角度を有するからである。
例えば、「左折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、ステアリング情報によって特定されるステアリング角度の絶対値が所定の角度閾値Ath2以上になっているとき、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C2やC3等の位置にあると推定され、目標方向Bは左折方向側に設定される。具体的には、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θがその正の角度になるようにカメラ2の撮影方向が調整される(つまり、撮影方向が左折方向に向く)。この場合において、目標方向Bにて特定される角度θの具体的な値を、走行速度やステアリング角度に応じて変化させても良い。また、角度閾値Ath2を、走行速度に応じて変化させても良い。
一方、「左折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、ステアリング情報によって特定されるステアリング角度の絶対値が所定の角度閾値Ath2未満であるとき、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C1、C4、C5等の位置にあると推定され、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。より具体的には、角度θを0°とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θが0°となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。
また、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C2やC3の位置にあるか否かは、位置情報を参照することによっても推定可能である。例えば、車両は左折ポイントP1(交差点を形成する4隅の1つであって、左折を行う道路の角)を中心として左向きに旋回するように左折することになるが、その左折ポイントP1と撮像装置1aが取付けられた車両との距離に基づいて、その推定を行うようにするとよい。
例えば、「左折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、左折ポイントP1と撮像装置1aが取付けられた車両との距離が所定の距離閾値Dth1より小さいとき、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C2やC3等の位置にあると推定され、目標方向Bは左折方向側に設定される。具体的には、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θがその正の角度になるようにカメラ2の撮影方向が調整される(つまり、撮影方向が左折方向に向く)。この場合において、目標方向Bにて特定される角度θの具体的な値を、左折ポイントP1と撮像装置1aが取付けられた車両との距離や走行速度に応じて変化させても良い。
一方、その距離が上記距離閾値Dth1以上の場合は、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C1、C4、C5等の位置にあると推定され、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。より具体的には、角度θを0°とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θが0°となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。また、上記左折ポイントP1とは異なるポイント(例えば、図12に示す交差点の中央ポイントP2)と撮像装置1aが取付けられた車両60との距離に基づいて目標方向Bを設定しても構わない。
尚、「左折指示状態」且つ走行速度が「高速」の状態において、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C1やC4の位置にくることもあるが、その場合は、目標方向Bを車両の進行方向(即ち、前方)と一致させる。
また、ステアリング情報や位置情報に加え、更に車両60の前方(進行方向側)に位置する物体(例えば他の車両)と車両60との距離を測定可能なレーダ(ミリ波レーダ等;不図示)の測定結果を利用して目標方向Bの設定を行っても良い。そのようなレーダは、例えば車両60の前照灯(不図示)の近傍に配置され、そのレーダの測定結果は車両側制御部64を介して目標方向設定部10aに伝達される。上記レーダの測定結果を利用すれば、車両60が信号待ち等における先頭の車両であるか否かが判断できる。
具体的には、車両60の前方(進行方向側)に位置する物体と車両60との距離が所定の距離閾値Dth2(例えば、10メートル)より大きい場合、車両60が信号待ち等における先頭の車両であると推定でき、距離閾値Dth2より小さい場合、車両60が信号待ち等における先頭の車両でないと推定できる。
そして、例えば、「左折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」又は「低速」(又は「中速」)の状態において、位置情報と上記レーダを併用することにより、撮像装置1aが取付けられた車両が、左折ポイントP6へ接近中の先頭車両(例えば、図17の車両C41)であると判断される場合、目標方向Bを左折方向とする。具体的には、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bを設定する。
一方、「左折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」又は「低速」(又は「中速」)の状態において、車両60が左折ポイントP6へ接近中ではあるものの先頭車両ではないと判断される場合(例えば、図17の車両C42)、目標方向Bを車両60の進行方向(即ち、前方)とする。
撮像装置1aが取付けられた車両60が、左折ポイントP6へ接近中であるか(或いは左折前の信号待ち等であるか)否かは、位置情報を用いることによって推定可能である。図17に示す如く、車両C41やC42が、左折前に走行する道路R21から左折ポイントP6を中心に左折して、左折後に走行する道路R22に至る場合を考える。左折ポイントP6は、道路R21と道路R22が形成する交差点の4隅の1つであって、左折を行う道路の角である。図17中、下側から左折ポイントP6へ接近する場合、車両C41や車両C42の位置は、左折ポイントP6や道路R22よりも下側にある。位置情報には、車両C41、C42、左折ポイントP6及び道路R22との位置関係(上下関係や左右関係)が含まれているため、上記推定が可能である。
次に、車線変更等における動作を説明する。車両C25及びC35(図14及び図16参照)における撮影方向は、カーブ方向(左方向)に向けられることが望ましい。それらの位置において衝突事故等が発生した場合、カーブ方向側に事故原因究明のために有用な映像情報が含まれる可能性が高いと考えられるからである。撮像装置1aが取付けられた車両が車両C25やC35の位置にあるか否かは、ステアリング情報を参照することにより推定可能である。車両C25やC35のステアリング角度は車両C21等のそれと比べて比較的大きな正の角度を有するからである。
例えば、「左折指示状態」且つ走行速度が「低速」、「中速」又は「高速」の状態において、ステアリング情報によって特定されるステアリング角度の絶対値が所定の角度閾値Ath3以上になっているとき、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C25やC35等の位置にあると推定され、カメラ2の撮影方向がカーブ方向を向くような目標方向Bが設定される。具体的には、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θがその正の角度になるようにカメラ2の撮影方向が調整される(つまり、撮影方向がカーブ方向に向く)。この場合において、目標方向Bにて特定される角度θの具体的な値を、走行速度やステアリング角度に応じて変化させても良い。また、角度閾値Ath3を、走行速度に応じて変化させても良い。
一方、「左折指示状態」且つ走行速度が「低速」、「中速」又は「高速」の状態において、ステアリング情報によって特定されるステアリング角度の絶対値が所定の角度閾値Ath3未満であるとき、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C6、C21、C31等(図12、図13及び図15参照)の位置にあると推定され、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。より具体的には、角度θを0°とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θが0°となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。
また、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C25やC35の位置にあるか否かは、位置情報を参照することによっても推定可能である。
まず、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C21の位置にあるか或いは車両C25の位置にあるかを区別する手法について説明する。目標方向設定部10aは、位置情報に基づいて上記接続角(α1、α2)を算出する。そして、例えば、「左折指示状態」且つ走行速度が「低速」、「中速」又は「高速」の状態において、接続角(α1、α2)が所定の角度閾値Ath4より大きいとき、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C25の位置にあると推定され、カメラ2の撮影方向がカーブ方向を向くような目標方向Bが設定される。具体的には、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θがその正の角度になるようにカメラ2の撮影方向が調整される(つまり、撮影方向がカーブ方向に向く)。この場合において、目標方向Bにて特定される角度θの具体的な値を、接続角(α1、α2)や走行速度に応じて変化させても良い。
一方、接続角(α1、α2)が角度閾値Ath4より小さいの場合は、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C21の位置にあると推定され、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。より具体的には、角度θを0°とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θが0°となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。尚、図13及び図14は、不等式:α1<Ath4<α2、が成立する状況を示している。
撮像装置1aが取付けられた車両が車両C31の位置にあるか或いは車両C35の位置にあるかを区別するには、位置情報から得られるカーブの曲率半径に着目する。例えば、図16の車両C35のように、撮像装置1aが取付けられた車両が左方向に曲がるカーブ状の道路を走行しながら「左折指示状態」となって左車線に車線変更する場合、目標方向設定部10aは、そのカーブ状の道路の中心を通る曲線の曲率半径r2を位置情報に基づいて算出する。
そして、この曲率半径r2が所定の曲率閾値Rth2以下である場合、撮像装置1aが取付けられた車両が左方向に曲がる急カーブを走行中において左車線に車線変更していると推定され、カメラ2の撮影方向がカーブ方向に向けられるような目標方向Bが設定される。具体的には、例えば、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。一方、曲率半径r2が曲率閾値Rth2より大きい場合、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。
次に、方向指示器62の状態が「右折指示状態」である場合を考える。
「右折指示状態」において走行速度が「ゼロ」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、右折を行う交差点で信号待ち或いは交差点の中央付近への接近時において一時的に停車している(例えば、図12の車両C8やC9に対応)、交差点の中央付近において右折を行うべく対向車両の通過待ちのために一時的に停車している(例えば、車両C10に対応)、或いは右折中において歩行者が横断歩道を渡るのを待機している(例えば、車両C11に対応)等が考えられる。
「右折指示状態」において走行速度が「低速」又は「中速」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、右折するために交差点の中央へ接近している(例えば、図12の車両C8やC9に対応)、右折中であって交差点の中央付近に位置している(例えば、車両C10に対応)、右折中であって右折後の道路に移行する直前である(例えば、車両C11に対応)、或いは右折の完了直後である(例えば、車両C12に対応)等が考えられる。
また、「右折指示状態」且つ走行速度が「低速」、「中速」又は「高速」のとき、高速道路等の分岐点において、車両が幹道路から右側の分岐道路に進路を変更していることも考えられる。幹道路と分岐道路との接続角は、図13と図14とで示したものと同様、比較的小さい場合と比較的大きい場合がある。
「右折指示状態」において車両が幹道路から右側の分岐道路に進路を変更する際における目標方向Bの設定法は、「左折指示状態」において車両が幹道路から左側の分岐道路に進路を変更する際における目標方向Bの設定法と同様である。「左折指示状態」における該設定法を「右折指示状態」に適用する場合は、図13及び図14を用いた説明における「左」を「右」に読み替えると共に角度θの極性を反転すればよい。
また更に、「右折指示状態」且つ走行速度が「低速」、「中速」又は「高速」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、直線上の道路或いは緩やかなカーブ状の道路において右車線(右側の車線)に車線変更をしている(例えば、図13の車両C22に対応)、或いは右方向に曲がる比較的急なカーブ状の道路においてカーブしながら右車線に車線変更していることも考えられる。
このような「右折指示状態」にて車線変更する際における目標方向Bの設定法は、「左折指示状態」にて車線変更する際における目標方向Bの設定法と同様である。「左折指示状態」における該設定法を「右折指示状態」に適用する場合は、図15及び図16を用いた説明における「左」を「右」に読み替えると共に角度θの極性を反転すればよい。
また、「右折指示状態」且つ走行速度が「高速」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、右折するために交差点の中央へ接近している(例えば、図12の車両C8やC9に対応)ことも考えられる。
「右折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」又は「低速」(更に又は「中速」)の状態において、撮像装置1aが取付けられた車両が図12の車両C10に位置しているとき、その撮影方向は対向車方向に向けられることが望ましく、撮像装置1aが取付けられた車両が図12の車両C11に位置しているとき、その撮影方向は右折方向に向けられることが望ましい。対向車方向とは、図12中、車両C10を基準として上側の方向を指す。交差点の中央付近で右折車が起こす事故は対向車との衝突事故が多く、対向車方向側に事故原因究明のために有用な映像情報が含まれる可能性が高いからである。また、車両C11が衝突事故等を起こした場合、右折方向側に事故原因究明のために有用な映像情報が含まれる可能性が高いからである。
撮像装置1aが取付けられた車両が車両C10やC11の位置にあるか否かは、ステアリング情報を参照することにより推定可能である。車両C10やC11のステアリング角度は車両C8等のそれと比べて比較的大きな負の角度を有するからである。
例えば、「右折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、ステアリング情報によって特定されるステアリング角度の絶対値が所定の角度閾値Ath5以上になっているとき、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C10の位置にあると推定され、目標方向Bは対向車方向側に設定される。具体的には、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θがその正の角度になるようにカメラ2の撮影方向が調整される(つまり、撮影方向が対向車方向に向く)。この場合において、目標方向Bにて特定される角度θの具体的な値を、走行速度やステアリング角度に応じて変化させても良い。また、角度閾値Ath5を、走行速度に応じて変化させても良い。
また、「右折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、ステアリング情報によって特定されるステアリング角度の絶対値が角度閾値Ath5未満であるが所定の角度閾値Ath6以上となっているとき(但し、0°<Ath6<Ath5)は、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C11の位置にあると推定され、目標方向Bは右折方向に設定される。具体的には、角度θを負の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θがその負の角度になるようにカメラ2の撮影方向が調整される(つまり、撮影方向が右折方向に向く)。この場合において、目標方向Bにて特定される角度θの具体的な値を、走行速度やステアリング角度に応じて変化させても良い。また、角度閾値Ath6を、走行速度に応じて変化させても良い。
そして、「右折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、ステアリング情報によって特定されるステアリング角度の絶対値が角度閾値Ath6未満となっているとき、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C8、C9、C12等の位置にあると推定され、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。より具体的には、角度θを0°とすべきことを示す目標方向Bが設定される。これにより、角度θが0°となるようにカメラ2の撮影方向が調整される。
また、「右折指示状態」であり、且つステアリング角度の絶対値が所定の角度閾値Ath5以上になっていて、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C10の位置にあると推定されるときであっても、走行速度が「中速」である場合は、目標方向Bを右折方向に設定するようにしてもよい。具体的には、角度θを負の角度とすべきことを示す目標方向Bを設定してもよい。
また、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C10やC11の位置にあるか否かは、位置情報を参照することによっても推定可能である。例えば、交差点の中央である中央ポイントP2と、右折ポイントP3と、撮像装置1aが取付けられた車両との位置関係に基づいて上記推定は行われる。右折ポイントP3は、図12に示す如く、右折すべき交差点を形成する4隅の1つであって、左折ポイントP1と対角関係にある道路の角を指す。尚、中央ポイントP2は、左折ポイントP1、右折ポイントP3、ポイントP4及びポイントP5を4つの角として構成される交差点(4差路の交差点)の中央に位置しており、また、その交差点を構成する2本の道路の中央を通る線同士が交差する点である。
より具体的には、例えば、「右折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、撮像装置1aが取付けられた車両と中央ポイントP2との距離(以下、距離dis1という)が所定の距離閾値Dth3より小さい場合、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C10の位置にあると推定され、目標方向Bは対向車方向側に設定される。具体的には、角度θを正の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。この場合において、目標方向Bにて特定される角度θの具体的な値を、距離dis1や走行速度に応じて変化させても良い。また、距離閾値Dth3を、走行速度に応じて変化させても良いし、右折すべき交差点の形状や大きさに応じて変化させても良い。
また、例えば、「右折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、撮像装置1aが取付けられた車両と右折ポイントP3との距離(以下、距離dis2という)が所定の距離閾値Dth4より小さい場合、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C11の位置にあると推定され、目標方向Bは右折方向に設定される。具体的には、角度θを負の角度とすべきことを示す目標方向Bが設定される。この場合において、目標方向Bにて特定される角度θの具体的な値を、距離dis2や走行速度に応じて変化させても良い。また、距離閾値Dth4を、走行速度に応じて変化させても良いし、右折すべき交差点の形状や大きさに応じて変化させても良い。
また、「右折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、“dis1<Dth3、且つ、dis2<Dth4”である場合、“dis1<dis2”のときに目標方向Bを対向車方向側に設定し(即ち、θ>0°)、“dis1>dis2”のときに目標方向Bを右折方向側に設定(即ち、θ<0°)するとよい。そして、「右折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」、「低速」又は「中速」の状態において、“dis1≧Dth3、且つ、dis2≧Dth4”である場合、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C8、C9、C12等の位置にあると推定され、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる(即ち、θ=0°とされる)。
また、「右折指示状態」であり、“dis1<Dth3、且つ、dis1<dis2”が成立していて、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C10の位置にあると推定されるときであっても、走行速度が「中速」である場合は、目標方向Bを右折方向に設定するようにしてもよい。具体的には、角度θを負の角度とすべきことを示す目標方向Bを設定してもよい。
尚、「右折指示状態」且つ走行速度が「高速」の状態において、撮像装置1aが取付けられた車両が車両C8やC9の位置にくることもあるが、その場合は、目標方向Bを車両の進行方向と一致させる(即ち、θ=0°とする)。
また、「左折指示状態」と同様、ステアリング情報や位置情報に加え、上記レーダの測定結果を利用して目標方向Bの設定を行っても良い。この場合、「左折指示状態」で説明したものと同様の動作により、レーダの測定結果に基づいて、撮像装置1aが取付けられた車両が中央ポイントP2へ接近中の先頭車両(例えば、車両C10がないと仮定した場合における図12の車両C9に対応)であるか否かを判断する。
例えば、「右折指示状態」且つ走行速度が「ゼロ」の状態を考える。上記位置情報に加えて上記レーダの測定結果を用いることにより、撮像装置1aが取付けられた車両が右折を行う交差点で信号待ちをしており且つその信号待ちの先頭車両(例えば、車両C9及びC10がないと仮定した場合における図12の車両C8に対応)であると判断される場合、目標方向Bを右折方向とする(即ち、θ<0°にする)。一方、先頭車両でないと判断される場合は、目標方向Bを車両の進行方向とする(即ち、θ=0°とする)。
また、例えば、「右折指示状態」且つ走行速度が「低速」の状態を考える。上記位置情報に加えて上記レーダの測定結果を用いることにより、撮像装置1aが取付けられた車両が中央ポイントP2へ接近している先頭車両(例えば、車両C10がないと仮定した場合における図12の車両C9に対応)であると判断される場合、目標方向Bを対向車方向とする(即ち、θ>0°にする)。一方、先頭車両でないと判断される場合は、目標方向Bを車両の進行方向とする(即ち、θ=0°とする)。
撮像装置1aが取付けられた車両が右折を行う交差点で信号待ちをしているかや、中央ポイントP2へ接近しているかは、位置情報から得られる車両と中央ポイントP2との距離や走行速度情報に基づいて推定可能である。
また、方向指示器62が「一時停止状態」となっている場合、目標方向Bは車両の進行方向(即ち、前方)と等しいものとされる。尚、方向指示器62が「一時停止状態」となっているとき、走行速度は、通常「ゼロ」又は「低速」となっている。「一時停車状態」のとき、撮像装置1aが取付けられた車両の状況として、駐停車している、駐停車を行う直前である等が考えられる。また、上述の説明にない条件下においては、目標方向Bは、例えば、車両の進行方向と等しいものとされる(即ち、θ=0°)。
第2実施形態におけるカメラ2の駆動に関する動作は、第1実施形態におけるもの(図7)に類似している。上述の如く、目標方向設定部10aが方向指示器情報及び走行速度情報だけでなくステアリング情報又は位置情報(更に、場合によっては上記レーダの測定結果)にも基づいて、車両60の状態を推定し、カメラ2の撮影方向が追従すべき目標方向B(即ち、角度θの値)を決定する。そして、決定された目標方向Bと現在のカメラ2の撮影方向が異なる場合、カメラ2の撮影方向が決定された目標方向Bに追従するようにカメラ2が回転駆動される。
目標方向Bにて特定される角度θの具体的な値は、5°や10°等、予め設定された固定角度であってもよいし、ステアリング角度や位置情報(例えば、図11の曲率半径r1の値)に応じて変化する値であってもよい。但し、目標方向Bにて特定される角度θの絶対値は、ステアリング角度の絶対値以下とすることが望ましい。
また、目標方向Bを定めるために用いる情報は、如何様にも組み合わせ可能である。即ち、方向指示器情報、走行速度情報、ステアリング情報、位置情報及び上記レーダの測定結果に関する情報の内、幾つの情報をどのように組み合わせて用いるかは任意である。特に、方向指示器情報、走行速度情報、ステアリング情報及び位置情報の4つの情報を組合わせれば、より有用な映像情報を撮影及び記録することが可能となる。
<<変形等>>
上述の実施形態においては、走行速度を「ゼロ」、「低速」、「中速」及び「高速」の4つに区分する例を示したが、走行速度を4以外の区分に区分けするようにしても構わない。また、区分け自体を行わず、具体的な走行速度の値に応じて目標方向Aや目標方向Bを決定するようにしても構わない。
また、上述した角度閾値Ath1、Ath2、Ath3、Ath4、Ath5及びAth6は、全て0°より大きな角度(値)に設定される。上述した曲率閾値Rth1及びRth2は、全て0より大きな値に設定される。上述した距離閾値Dth1、Dth2、Dth3及びDth4は、全て0より大きな値に設定される。
また、左側通行を交通規則とする日本国における動作を例示したが、右側通行の場合にも勿論、本発明は適用可能である。