このようにレシピ制御オペレーションでは、全ての条件をパッケージ化してスロット毎に予め指定しておく。図9に示したように、指定されたスロットのウエハに対する成膜がスタートすると入力してあるレシピ設定を読み込み、それによりレシピ制御が実行される。しかし、プロセスレシピは予め用意されスロット毎に指定されているので、反応室内の状態が変化している場合には、その変化に対応した処理を実行できない。
例えば、反応室内のクリーニング処理を一回の成膜毎に実行する場合(以下、「1デポ1エッチ」という)は、毎回の成膜条件を変化させる必要はほとんどないが、複数枚のウエハの成膜後にクリーニングを実行する場合(以下、「多デポ1エッチ」という)は、ウエハの成膜処理の枚数が増加するに従って、反応室内の状態が変化するので、同一条件で成膜を続けると個々のウエハの成膜結果にばらつきが生じる。そこで、処理枚数によるばらつきをなくすために、クリーニング処理後のウエハ成膜処理枚数に応じて、成膜ガスを流す時間を調整することが考えられる。
この成膜ガスを流す時間を調整する方法として、例えば、図11のプロセスレシピ画面の「DEPO」欄の「10秒」のステップ時間110の設定をスロット毎に変えることが考えられる。即ち、ステップ、ステップ時間、制御手段などの各項目を特殊なフォーマットで記述したウエハ成膜処理方法のファイルにおいて、成膜ステップのステップ時間を処理枚数に応じてスロット毎に変更することが考えられる。これは、例えば、実験によって得られた膜厚データを基に、各処理ウエハの成膜ステップ時間を指定しておくことで実現できる。ただし、一定枚数のウエハ成膜処理の後にはクリーニング処理が行われるので成膜ステップ時間はクリーニング処理直後から直前までを指定し、それをクリーニング処理毎に繰り返すことで実行できる。図12は成膜処理5枚につき1回クリーニング処理を行う場合のレシピの成膜ステップ時間の指定例である。実際は図11のような画面により操作するが、図12は成膜時間のみを取り出して簡略化して表示したものである。なお、図10で示したように、処理ウエハの順番はスロットにより指定されるが、図12では処理ウエハの順番Aはスロット番号の順としてある。処理ウエハ毎に成膜時間(秒)Bが指定され、クリーニング後何枚目かにより成膜時間を変化させている。
しかし、処理が予定されていたウエハがカセットステージCSに搭載されていなかった場合、あるいはウエハマッピングが何らかの理由で失敗し、ウエハが正しく認識されなかった場合に、一定枚数のウエハ成膜処理後のクリーニング処理の実行が、予定から外れてしまう。この場合、前述したレシピにおける各ウエハの成膜ステップ時間の指定は、意図した時間とは異なるので、期待した成膜結果が得られなくなる。図13は処理が予定されていた3枚目のウエハが無い場合に成膜ステップ時間Bの指定がずれる例を示したものである。図13では、処理ウエハとして25枚処理する予定が何らかの事情によりスロット3のウエハが無い場合を仮定している。この場合においても図8の制御処理プログラムに基づき、クリーニングはウエハ処理5枚ごとに実行される。しかし、スロット3のウエハが無いためにスロット4,5,6の成膜処理が行われた後にクリーニング処理が実行される。そのため、スロット6のウエハのレシピで直接指定された成膜ステップ時間は59.4秒であるが、これは実はクリーニング処理直後のウエハ成膜処理ステップ時間の値であり、クリーニング処理が実行される前にこのステップ時間で成膜されると、意図した成膜結果が得られなくなってしまう。図13では、スロット3以降のウエハ成膜処理ステップ時間が全てずれてしまう様子を示している。
このようなズレは、クリーニング処理開始時期がスロット番号とは関係なく、処理枚数で設定されているために生ずる。このため本来はクリーニング処理直前の成膜時間が61.8秒の設定であるにも拘わらず、実際は59.4秒となり2秒以上のズレが発生する。なお、このような問題は、クリーニング処理に限らず処理条件をウエハ処理枚数により変化させる場合には必ず発生する。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、各処理ウエハに対する成膜時間をレシピで指定するのではなく、クリーニング処理後の処理枚数に対する成膜ステップ時間補正係数を使って制御する方法を提供することにある。本発明は、半導体製造装置、クリーニング処理等に限定されるものではなく、レシピ制御オペレーションに対して広く適用できるものである。また、制御パラメータも時間に限らず、温度、流量、圧力等のレシピ制御にも適用できる。反応室の状態変化に伴うレシピ制御にも効果的に適用できる。
ある態様においては、本発明は、処理装置内の被処理体に対し処理を施す条件を制御パラメータにより指定するレシピを使って、複数の被処理体を連続して処理するレシピ制御処理において、(I)該パラメータのうち少なくとも一つのパラメータの値を被処理体毎に補正する補正係数を該レシピとは別に指定する工程、(II)複数の被処理体に対して該レシピ制御処理を実行し、被処理体毎に該補正係数を適用し該パラメータの値を調節する工程、を包含する該レシピ制御処理におけるオペレーション方法を提供する。
上記の態様には少なくとも更に次の態様を含むことができる。
該補正係数は、被処理体のカウントの関数である。補正係数はレシピ上の設定値に乗算すればよいような係数(たとえば割合や%)とすると他のレシピ制御にも適用することが容易となる。補正係数は例えば、1.1、1.2、1.3のように係数自体を被処理体のカウントに従い増加または減少させてもよいが、それ以外にも、(1+0.1×N)のように被処理体のカウントNによる計算式で表すこともできる。なお、典型的には、補正係数は実験等により予め設定され事前にシステムに入力されるものであるが、一旦入力されればそれをCPU等のメモリーに記憶させ適時適当な補正係数を読み込むようにすることもできる。また、基本的に補正係数は被処理体のカウントと共に変化する。典型的には、処理環境が不連続に変化するまでは補正係数は連続的に変化し、処理環境が不連続に変化した場合(例えばクリーニング処理の前後)は補正係数も不連続的に変化する。
更に、上記の方法は、該処理装置内の状態変化毎にカウントをリセットする工程を包含する。例えば、クリーング処理を実行する場合は、クリーニングカウンタを補正係数のカウンタとすることができる。
また、ある態様では、該被処理体は、半導体基板であり、またある態様では、該処理は、半導体基板の成膜処理である。更に、ある態様では、該少なくとも一つのパラメータは、成膜時間である。一つの実施例としては、該被処理体は半導体基板であり、該処理は該半導体基板の成膜処理であり、該処理装置内の状態変化は、該処理装置内のクリーニング処理である。
別の態様によれば、本発明は、複数回繰り返される一回の処理が複数の処理操作を含み、各処理操作の条件がパラメータにより制御される処理システムにおいて、(I)該パラメータの値を各回の処理操作毎に割付けするレシピを指定する工程、(II)複数回繰り返される該複数の処理操作のうち少なくとも一つの処理操作における少なくとも一つのパラメータの値を回数毎に補正する補正係数を該レシピとは別に指定する工程、(III)該レシピにより処理を開始し、該補正係数を該レシピが実行された回にのみ適用する工程、を包含する前記処理システムのオペレーション方法を提供する。
上記の態様には少なくとも更に次の態様を含むことができる。
該処理工程は、半導体基板の処理工程であり、また、該処理の回数は、半導体基板の枚数に対応する。更に、該少なくとも一つの処理工程は、半導体基板の成膜処理工程である。また、該少なくとも一つのパラメータは、成膜時間である。
また、ある態様では、該補正係数は、反応室の状態変化毎に初期値に戻る。該反応室の状態変化は、例えば、該反応室のクリーニング処理である。
更に、別の態様によれば、本発明は、(I)複数回繰り返されるある処理工程における処理条件を規定する少なくとも一つのパラメータの値を、回数毎に補正する補正係数を事前に指定する工程、(II)該処理工程を開始し、該補正係数を該処理工程が実行された回にのみ適用する工程、を包含する処理工程のオペレーション方法を提供する。
上記の態様には少なくとも更に次の態様を含むことができる。
成膜条件を規定するレシピを半導体基板毎に補正係数を使って補正し成膜を実行する工程を含む。ある態様では、該補正係数は、反応室の状態変化毎に適用される一組の係数であり、該状態変化毎に初期値に戻る。また、ある態様では、該反応室の状態変化は、反応室のクリーニング処理である。該クリーニング処理は、例えば、複数枚の半導体基板を成膜処理した後に実行する。また、ある態様では、該補正係数は、半導体基板の成膜時間に対する補正係数である。
更に、別の態様では、本発明は、複数回繰り返される一回の処理が複数の処理工程を含み、各処理工程の条件がパラメータにより制御される処理システムにおいて、(A)該パラメータの値を各回の各処理工程毎に割付けするレシピを指定するユニット、(B)複数回繰り返される該複数の処理工程のうち少なくとも一つの処理工程における少なくとも一つのパラメータの値を回数毎に補正する補正係数を該レシピとは別に指定するユニット、(C)該レシピにより処理を開始し、該補正係数を該レシピが実行された回にのみ適用するユニット、を包含する前記処理システムを提供する。
上記において、ある態様における各要件は、他の態様における各要件と相互に交換あるいは付加可能であり、それぞれの要件を組み合わせることもできる。本発明は上記の態様に限定されるものではなく、上記した目的またはそれ以外の目的を達成し得る他の態様も含むものである。
本発明は、半導体製造装置やクリーニング処理後の成膜時間に限定されるものではなく、広くレシピ制御オペレーションに対して適用できるものであるが、以下、クリーニング処理後の成膜時間を例にして本発明を説明する。
本発明の目的は、各処理ウエハに対する成膜時間をレシピで指定するのではなく、クリーニング処理後の処理枚数に対する成膜ステップ時間補正係数を入力、保存できる装置制御ソフトウエアを提供することにある。上記目的を達成するひとつの実施例は、クリーニング処理後のウエハ毎の成膜ステップ時間の補正係数が装置制御ソフトウエアに登録されているものであって、レシピ制御時に成膜ステップ時間に補正係数を演算することで、予定されていたウエハが無かった場合でも、各ウエハに正しい成膜ステップ時間の補正が適用されることを特徴とする。ここで、ひとつの実施例において、制御ソフトウエアに登録される補正係数は、成膜ステップ時間そのものではなく、使用されるレシピの元の成膜ステップ時間に対する変更割合(パーセンテージ指定)であり、成膜時間が異なる他のレシピにも補正係数は有効となる。上記の手法により、レシピに依存することなく、また、処理が予定されていたウエハが無い場合でも、各ウエハに正しい成膜ステップ時間が適用され、個々のウエハの成膜結果のばらつきを抑えることができる。
なお、ウエハはカセットに入った状態で最初にカセットステージに搭載され、搭載後レーザーセンサーを使用して各ウエハの有無を検出することができる。また、実際にウエハが無い(以下、「歯抜け」という)、あるいは正しく認識されずに実際にはウエハがあるのに無いと認識されてしまった場合にも本発明を適用することができる。なお、ウエハが検出されなかった場合には成膜処理は実行されず、そのスロットはスキップされる。
レシピ制御のみで反応室内の状態変化に対応した処理を実行することは極めて困難である。ウエハの歯抜けに限らず、反応室が複数ある場合や、クラスタータイプの装置の場合は、スロット処理順に応じてそのウエハが成膜の何枚目になるかを予め予想することはできない。本発明のひとつの実施例では動的に成膜時間を変化させるので常に正しい成膜時間でウエハを処理することが可能となる。
以下、図を参照して本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明を適用することができる半導体製造装置の一例を示す模式図である。この装置では、まず、25枚のウエハが収容可能なカセットがカセット搭載ポート(CS1、CS2)に搭載される。次に、ウエハマッピングにより、カセットのどのスロットにウエハがあるのかが認識される。その後、ウエハはシステムレシピの指定通りに大気ロボット(AR)によりウエハ入出力容器( IOC1、IOC2)に運ばれ、ウエハ搬送容器(WHC)に備えられている真空ロボット(VR)により処理容器(RC1、RC2、RC3)に運ばれ、該処理容器でプロセスレシピが実行される。プロセスレシピ終了後、上記とは逆の順番でウエハは元のスロット位置に戻される。
なお、レシピとは典型的には、ウエハのような被処理体を製造するためにその都度実行されるコンピュータプログラム、規則、仕様、オペレーション、手続を言うが、当業者が理解し得る全てのレシピが包含される。レシピには、上記のようにシステムレシピ、プロセスレシピのほかに、セットアップレシピ等が含まれる。レシピ制御は半導体製造に限らず他への応用が可能である。
図2、図3及び図6は本発明に従う半導体製造装置のウエハ成膜処理のひとつの実施例を示す。図2において制御処理のメインルーチンは以下に説明する8個のステップから構成されている。ステップS1で処理を開始し、ステップS2ではウエハ成膜処理で使用されるカウンタなどの各ローカル変数の初期化を行う。このときに補正係数の設定も行う。ステップS3でウエハ成膜サブルーチンをコールしウエハの成膜を行う。ステップS4では成膜後の各カウンタのインクリメントを行う。ステップS5でロットカウンタが所定処理枚数に達したかどうかを判断する。ここでロット処理枚数に達していなければ次のステップS6へ進む。ステップS6で、クリーニング用のカウンタがクリーニングの所定枚数に達したかどうかを判断する。ここでカウンタが所定枚数に達したら、次のステップS7に進む。所定枚数に達していなければ、ステップS3のウエハ成膜サブルーチンに戻る。ステップS7で、反応室のクリーニング処理を行い、クリーニング用のカウンタを0に戻す。それと同時に補正係数をクリーニング直後のものに設定(初期化)する。ステップS5で、ロットカウンタが所定の処理枚数に達している場合は、ステップS8に進み、クリーニング用のカウンタが0かどうかの判定を行う。例えば、ウエハ処理5枚で1回のクリーニング処理が行われる設定で、全部で23枚のウエハをロット処理したときには、最後の3枚分が余りになってしまう。その場合、クリーニング用カウンタは0ではなく、ステップS9でカウンタの数値に合わせたクリーニング処理を行い、ステップS10で処理を終了する。ステップS8でクリーニング用カウンタが0なら、ステップS10に進み、処理を終了する。
次に図3の成膜処理サブルーチンのひとつの実施例について説明する。これは図2のメインルーチンのステップ3でコールされるサブルーチンである。ステップS110で処理を開始し、ステップS120でレシピの設定を読み込む。これにより装置コントローラの記憶媒体上に存在するレシピの各設定値が処理プログラムに呼び込まれる。ここではレシピの成膜ステップ時間を例にとって説明する。ステップS130で、読み込んだレシピの設定値を必要に応じて再計算する。ここで、レシピの成膜ステップ時間が、制御プログラム上に登録されたウエハ毎の補正係数と図2のクリーニングカウンタの値とを用いて再計算される。ステップS140で、ステップS130で計算された設定値を使用して、実際のレシピ制御を行う。反応室内の圧力、温度、ガス流量を制御し、ウエハに成膜処理する。ステップS150でサブルーチンが終了する。
図4は、半導体製造装置制御系の構成の一例を示す模式図である。補正係数(Co)38の設定はMMI PC(Man Machine Interface、表示用のPC)47で行われる。また、この他、システムレシピ(Sr)35の設定、クリーニングレシピ(Cr)36の設定、プロセスレシピ(Pr)37の設定がMMI PC47を介して行われる。MMI PC47からの情報はCPUボード(MMI PCとの通信用)(OS9)46に送られ、そこからCPUボード(メインコントローラ)(iTron)48に入力される。iTron48では、入力されたCl33、Pr32、Co31をサブルーチンとしてシステムレシピ34によりスレーブボード41〜45に対してレシピ実行が指示される。それと同時に、ステップ時間の補正係数がスレーブボート41〜43に対して指定される。なお、ここでスレーブ#1(41)は反応室1(RC1)、スレーブ#2(42)は反応室2(RC2)、スレーブ#3(43)は反応室3(RC3)、スレーブ#4(44)は大気ロボット(AR)、スレーブ#5(45)はウエハ搬送容器・真空ロボット(WHC・VR)である。
図4に示すように、補正係数はプロセスレシピの一部ではなく、スロットに割り当てられるものではない。補正係数はプロセスレシピと別にMMI PC47で指定される。なお、図4のMMI PC47におけるシステムレシピ35は図10に示した画面と同様でよく、また、プロセスレシピ37は図11に示した画面と同様でよい。
図5は、図4のクリーニングレシピ36と補正係数38を指定するMMI PCの画面を示す一例である。PostRecipe51の下の空白の部分をクリックすると、プロセスレシピの候補が現れる。そこでクリーニングに使用するレシピを選択することができる。また、補正係数は反応室毎に25枚までの補正係数を指定することができるようになっている(Pro1〜25)。即ち、最大25デポ1エッチまでが可能である。補正係数はここでは成膜時間(Time)で単位は%で表示されているが、%でなく小数等で表示してもよい。なお、補正係数は最初に手で入力し、そのデータをMMIで記憶させることができる。
図6は、ひとつの実施例において、図3のステップS130のレシピ設定計算を具体的に実行する様子を説明した図である。レシピの設定では複数のパラメータ(温度、圧力、ガス等)が指定され、更に反応室が複数ある場合は、ウエハの処理順が複雑になるが、図6では説明のため、成膜時間のみを取り出し簡略化して表示している。符号Cは25個のスロットを有するウエハ収納容器内でのウエハを示している。各スロットには1枚のウエハが入っている。各ウエハに対し、この半導体製造装置は、レシピ成膜ステップ時間の補正係数(符号D)を有する。補正係数はクリーニング処理後のウエハ成膜処理の回数に応じて適用される。1回のロット処理におけるウエハの最大処理枚数が25枚であるとすれば、25個の補正係数を有していなければならないが、ここでは便宜上5枚の成膜処理ごとにクリーニング処理が行われるという前提で、5個の補正係数のみが指定される場合の例を示す。また、符号Dの補正係数は、順に−0.01、 0、 0.01、 0.02、 0.03となっているが、これらは5枚の成膜処理ごとにクリーニング処理を実行した実験で得られた係数であると仮定する。符号Eのレシピ成膜時間は、装置コントローラの記憶媒体上のもとのレシピの成膜ステップ時間が60秒であると仮定している。もとのレシピのステップ時間に対して、符号Dの補正係数を割合として演算することで、適切なレシピ成膜ステップ時間が得られる。図6の例では、もとのレシピのステップ時間の60秒にそれぞれの補正係数が演算されて、5枚のウエハの適切なレシピ成膜ステップ時間はそれぞれ59.4秒、 60秒、 60.6秒、 61.2秒、61.8秒となる。
なお、図12では、図6で説明された符号Dの補正係数が存在しないために、符号Bのレシピ成膜ステップ時間を直接指定している。5枚のウエハ成膜処理ごとにクリーニング処理が行われるため、5枚ごとに59.4秒、 60秒、60.6秒、61.2秒、61.8秒のステップ時間を指定する形になっている。
上記したように、図12のレシピ成膜ステップ時間を直接指定した場合に、図13に示すようなウエハの歯抜けがある場合に問題が起こる。ここで図13と図7を比較すると、図7では常に正しい成膜時間をウエハに適用することができることがわかる。
図7は、図13と同様に、符号Cのスロット3のウエハが歯抜けして無いが、補正係数はクリーニング処理後の処理枚数(図3または図8のクリーニングカウンタ)で決まっているため、スロット6のウエハには、クリーニング処理後5枚目の補正係数、すなわち0.03が適用され、レシピ成膜ステップ時間は61.8秒となる。
以上より、クリーニング処理後のウエハ成膜枚数毎に用意されたレシピ成膜ステップ時間の補正係数を用いてステップ時間を補正することにより、処理が予定されていたウエハが存在しない場合でも、正しい成膜時間補正が適用され、ウエハの処理枚数によって反応室内の状態が変化することによる膜特性のばらつきを無くすことができる。
さらに、本発明の他の実施例では、補正係数がもとのステップ時間に対する割合(パーセンテージ)の指定であることから、ステップ時間が異なるレシピにもそのまま適用することが可能である。以上の例では、もとのレシピのステップ時間が60秒の場合について説明したが、元のレシピのステップ時間が60秒以外であっても、成膜ステップ時間を問題なく補正することができる。
上記実施例では、レシピの成膜ステップの時間変更を例にとり説明した。しかし、本発明に従う補正係数の適用は、レシピの成膜ステップ時間に限定されるものではない。ガス流量、圧力、温度などのあらゆるプロセス条件に対して、本願発明に係る補正係数を適用できることは当業者にとって明白である。
また、上述の実施例では、反応室のクリーニング後のウエハ処理枚数毎に用意された補正係数を例にとり説明した。しかし、反応室のクリーニング後に限らず、真空引き、大気戻しなどのあらゆる反応室の状態変化後に、本願発明に係る補正係数を適用できることは当業者にとって明白である。また、多デポ1エッチに限らず、1デポ1エッチであっても、圧力状態の変化でステップ時間を変えるような場合は本発明を有効に適用することができる。例えば、圧力5Paのときの成膜速度と圧力100Paのときの成膜速度とは異なるので、圧力状態に応じて成膜ステップ時間を変えることもできる。このような圧力変化に対する補正係数は、例えば予期しない反応室のリーク等が発生したときにも適用できる。
即ち、被処理体を処理するときに、処理の回数に応じて処理時間やパラメータを変更するような装置に対して広く本発明を適用することができる。
以上より、本発明に従うレシピのステップ時間補正係数を使用した半導体製造装置は、処理が予定されていたウエハが無い場合においても、また処理ステップ時間が異なるレシピを使用しても、ウエハ間のばらつきの無い、安定した成膜結果を得ることができる。
本発明は、以下の実施態様を更に包含するものである。
1)ウエハの成膜処理を制御するソフトウエアを備えた半導体製造装置であって、ソフトウエアは、処理ウエハ毎にプロセス条件の補正係数を有することを特徴とする半導体製造装置。
2)ソフトウエアは、反応室の状態変化後の処理ウエハ毎にプロセス条件の補正係数を有することを特徴とする1)に記載の半導体製造装置。
3)ソフトウエアは、反応室のクリーニング処理後の処理ウエハ毎にプロセス条件の補正係数を有することを特徴とする2)に記載の半導体製造装置。
4)ソフトウエアは、処理ウエハ毎にレシピの成膜ステップ時間の補正係数を有することを特徴とする1)に記載の半導体製造装置。
5)ソフトウエアは、反応室のクリーニング処理後の処理ウエハ毎にレシピの成膜ステップ時間の補正係数を有することを特徴とする4)に記載の半導体製造装置。
本発明の思想から離れることなく、さまざまな修正が可能であることは当業者の知るところである。よって、本発明の上記形式はひとつの例示に過ぎず、本発明の態様を限定するものではない。