JP2006291128A - 共重合体組成物及びそのフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 塩化ビニル樹脂に匹敵するしなやかな感触(応力をかけた時に降伏が生ぜず、応力緩和し易い)を有する重合体組成物であり、且つ異方性の少ないフィルムを提供する。
【解決手段】 粘弾性測定チャートにおいて、tanδ(損失正接)のピークが−20℃以上20℃未満に少なくとも1つ存在するスチレン系重合体(I)とtanδのピークが25℃以上60℃未満に少なくとも1つ存在するスチレン系重合体(II)を含有する共重合体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘弾性測定において特定の低温領域にtanδピーク(損失正接)温度を有するスチレン系共重合体と特定の高温領域にtanδピーク温度を有するスチレン系共重合体を含有する重合体組成物、及びそれを用いたフィルムに関する。本発明の組成物は、塩化ビニル樹脂に類似した引張特性と応力緩和特性を有することから、家電・工業部品等の包装材料をはじめ、食品包装ストレッチフィルム、シュリンクラベル、電子材料や建築材料等の保護フィルムなど、種々の用途に用いられる材料を提供する。
プラスチック容器等のラベルに用いられる熱収縮性フィルムや建築材料等の保護フィルムに用いられる材料としては、塩化ビニル樹脂が最もよく知られている。しかしながら、塩化ビニル樹脂には、燃焼時におけるハロゲンの問題、可塑剤による環境ホルモンの環境問題等が懸念されている。このように、様々な環境上の問題が懸念されている塩化ビニル樹脂の代替材料の開発が急務であるにも関わらず、塩化ビニル樹脂に匹敵するしなやかな感触の特性の材料が得られないのが現実であった。
我々は、軟質塩化ビニル樹脂の代替材料の開発を行い、同樹脂に匹敵する柔軟性や耐磨耗性を有する共重合体(例えば、特許文献1参照)をさきに開発した。しかしながら、フィルム用途等において、さらに異方性や応力緩和特性の優れた材料の出現が望まれていた。
また、塩化ビニル樹脂に代わる熱収縮性フィルムとして、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を主たる材料とするポリスチレン系熱収縮性フィルムが用いられることがあり、特定の損失弾性率のピーク温度を有するスチレン系ブロック共重合体のフィルム(例えば、特許文献2参照)が開示されている。しかしながら、ここに開示されているフィルムでは、塩化ビニル樹脂に匹敵するしなやかな感触が得られない。この塩化ビニル樹脂特有のしなやかな感触は、応力をかけた時に降伏が生じないことと、その独特の緩和特性に起因していると考えられる。
WO 03/35705 特開2003−292637号公報
本発明は、塩化ビニル樹脂に匹敵するしなやかな感触(基本物性で表現すると、引張試験において応力をかけた時に降伏が生ぜず、応力緩和し易い)を有する重合体組成物であり、且つ異方性の少ないフィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、低温領域にtanδのピークを有するスチレン系共重合体と高温領域にtanδのピークを有するスチレン系共重合体を含有する重合体組成物が上記課題を効果的に解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、粘弾性測定チャートにおいて、tanδ(損失正接)のピークが−20℃以上20℃未満に少なくとも1つ存在するスチレン系重合体(I) 10〜90重量%、tanδのピークが25℃以上60℃未満に少なくとも1つ存在するスチレン系重合体(II) 90〜10重量%を含有する共重合体組成物。
あるいは、該共重合体組成物からなるフィルムを提供するものである。
本発明の共重合体組成物は、塩化ビニル樹脂に匹敵するしなやかな感触を有する。従って、塩化ビニル樹脂の代替材料として、家電・工業部品等の包装材料をはじめ各種用途に展開できる材料を提供する。特に、異方性にも優れることから、食品包装ストレッチフィルム、シュリンクラベル、電子材料や建築材料等の保護フィルムなどのフィルム用途に好適に用いることができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、tanδ(損失正接)のピークが−20℃以上20℃未満に少なくとも1つ存在するスチレン系共重合体(I)とtanδのピークが25℃以上60℃未満に少なくとも1つ存在するスチレン系共重合体(II)を含有する共重合体組成物である。
本発明のスチレン系共重合体(I)は、粘弾性測定チャートにおいて、tanδ(損失正接)のピークが−20℃以上20℃未満に少なくとも1つ存在する重合体である。このtanδのピークは、共役ジエン重合体ブロック、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロック、該共重合体の水添ブロック等(以下、これらをBブロックと称する)に起因する。tanδのピークが−20℃未満の重合体は、室温での応力緩和特性が劣り、塩化ビニル樹脂に類似した感触のものが得られない。tanδのピーク温度は、後述する共役ジエンの種類、ランダム共重合体ブロック中のビニル芳香族化合物の含有量、水添の有無等で変化させることができる。耐候性や感触の点からは、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体を水添したブロックを有する共重合体が最も好ましい。その場合、共役ジエンとして1,3−ブタジエン、ビニル芳香族化合物としてスチレンを用いると、Bブロック中のスチレンの含有量は、約40重量%〜65重量%である。
本発明のスチレン系共重合体(II)は、粘弾性測定チャートにおいて、tanδ(損失正接)のピークが25℃以上60℃未満に少なくとも1つ存在する共重合体である。このtanδのピークは、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロック、該共重合体の水添ブロック等(以下、これらをBブロックと称する)に起因する。tanδのピークが60℃以上の重合体では、室温での応力緩和特性が劣り、塩化ビニル樹脂に類似した感触のものが得られない。tanδのピーク温度は,スチレン系共重合体(I)と同様に、後述する共役ジエンの種類、ランダム共重合体ブロック中のビニル芳香族化合物の含有量、水添の有無等で変化させることができる。耐候性や感触の点からは、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体を水添したブロックを有する重合体が最も好ましい。その場合、共役ジエンとして1,3−ブタジエン、ビニル芳香族化合物としてスチレンを用いると、Bブロック中のスチレンの含有量は、約65重量%〜85重量%である。
本発明で用いるスチレン系共重合体(I)あるいは(II)の構造は特に制限はなく、いかなる構造のものでも使用できる。但し、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(以下、これらをAブロックと称する)を少なくとも1個有する共重合体が好ましく、その例としては、下記一般式で表されるような構造を有するものが挙げられる。(A−B)n,A−(B−A)n,B−(A−B)n,[(A−B)n]m−X,[(B−A)n−B]m−X, [(A−B)n−A]m−X(上式において、Aはビニル芳香族化合物重合体ブロックであり、Bは共役ジエン、あるいは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体、またはその水添共重合体ブロックである。各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。ランダム共重合体中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。またブロックBには、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。またブロックBには、ビニル芳香族炭化水素含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。又、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。共重合体中にブロックA、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は同一でも、異なっていても良い。また、Xに結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)ビニル芳香族化合物重合体ブロックAは、表面特性(粘着感が無い)の点で重要である。その含有量は、表面特性の点で10重量%以上が好ましい。なお、本発明において、共重合体の重合体鎖中に結合しているビニル芳香族化合物重合体ブロックAに起因するtanδのピークの存在位置は特に制限はないが、一般に80℃を超え、150℃の温度範囲内に存在する。
本発明において共役ジエンは1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。また、ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられ、これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
本発明において、重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。炭化水素溶媒としては、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素である。
また、開始剤としては、一般的に共役ジエン化合物やビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が含まれ、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等である。好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等があげられる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合する際に、重合体に組み込まれる共役ジエン化合物に起因するビニル結合(1,2または3,4結合)量の調整や共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するために、調整剤として第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することができる。第3級アミン化合物としては一般式R1R2R3N(ただしR1、R2、R3は炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)の化合物が挙げられる。たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等である。
またエーテル化合物としては、直鎖状エーテル化合物および環状エーテル化合物から選ばれ、直鎖状エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。また、環状エーテル化合物としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物やビニル芳香族化合物を共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。重合温度は、一般に0℃乃至180℃、好ましくは30℃乃至150℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には0.1乃至10時間である。又、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。更に、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガスなどが混入しないように留意する必要がある。
本発明において、前記重合終了時に2官能以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行うことができる。2官能カップリング剤としては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。また、3官能以上の多官能カップリング剤としては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物、一般式R4−nSiXn(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3から4の整数を示す)で示されるハロゲン化珪素化合物、例えばメチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素およびこれらの臭素化物等、一般式R4−nSnX(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3から4の整数を示す)で示されるハロゲン化錫化合物、例えばメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用できる。
本発明において、重合体ブロックBにおける共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、前述した極性化合物等の使用により任意に変えることができ、一般的に共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量は5〜50%、好ましくは10〜40%であることが推奨される。なお、本発明においては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)を以後ビニル結合量と呼ぶ。ビニル結合量は、共重合体を検体とした赤外分光光度計による測定(例えば、ハンプトン法)により把握することができる。
本発明で用いるスチレン系共重合体(I)あるいは(II)において、共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量は、ブロックBのtanδピーク温度が発明の範囲にあれば特に制限はないが、感触、表面特性等の点で、50重量%を越え、95重量%未満、好ましくは52重量%〜90重量%未満であることが推奨される。尚本発明において、共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有量は、紫外分光光度計を用いて知ることができる。 本発明で用いるスチレン系共重合体(I)あるいは(II)において、共重合体の重量平均分子量は、機械的強度、表面特性等と成形加工性とのバランスの点で、5万〜100万、好ましくは10万〜70万、更に好ましくは15万〜50万であることが推奨される。
本発明で用いるスチレン系共重合体(I)あるいは(II)において、分子量分布は10以下、一般に1〜8、好ましくは1.1〜5であることが推奨される。共重合体の分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。共重合体の分子量分布は、同様にGPCによる測定から求めることができ、重量平均分子量と数平均分子量の比率である。
本発明で用いるスチレン系共重合体(I)あるいは(II)は、耐候性、感触、表面特性の点から、共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上が水添されていることが推奨される。なお、水添共重合体におけるビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、水添率を50%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下にすることが好ましい。水添共重合体の水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。
上記で得られた共重合体を水素添加することにより、水添共重合体は得られる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニュウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等があげられる。本発明において、水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜5MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
また、本発明で用いるスチレン系共重合体(I)あるいは(II)は、上述した共重合体に官能基を有する原子団が結合した変性共重合体も含む。官能基含有原子団としては、例えば水酸基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等から選ばれる官能基を少なくとも1種含有する原子団が挙げられる。
官能基を有する変性剤の例としては、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、4−メトキシベンゾフェノン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N−メチルピロリドン、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステルなどが挙げられる。
上記のようにして得られた共重合体の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、共重合体を溶液から分離することができる。溶媒の分離の方法としては、例えば反応液にアセトンまたはアルコール等の共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。尚、本発明で用いる共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
本発明で用いる共重合体組成物は、スチレン系共重合体(I)10〜90重量%、スチレン系共重合体(II)10〜90重量%を含有する。この配合比率にすることにより、塩化ビニル樹脂に匹敵するしなやかな感触で、異方性の少ないフィルムが得られる。
スチレン系共重合体(II)を10重量%以上用いることにより、本願の目的とするしなやかな感触で、異方性の少ない優れたフィルムが得られる。また90重量%を越えると、応力をかけた時に降伏が生じ、塩化ビニル樹脂のような感触が低減する傾向にある。 本発明の共重合体組成物は、他の熱可塑性樹脂やゴム状重合体を配合することができる。
熱可塑性樹脂としては、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合樹脂及びその水添添加物(但し、本発明の共重合体とは異なる)、前記のビニル芳香族化合物の重合体、前記のビニル芳香族化合物と他のビニルモノマー、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸及びアクリルメチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等との共重合樹脂、ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS)などが挙げられる。また、ポリエチレン、エチレンを50重量%以上含有するエチレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物、エチレン−アクリル酸アイオノマーや塩素化ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体や塩素化ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、エチレン−ノルボルネン樹脂等の環状オレフィン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂及びその加水分解物などが挙げられる。また、アクリル酸及びそのエステルやアミドの重合体、ポリアクリレート系樹脂、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルの重合体、これらのアクリロニトリル系モノマーを50重量%以上含有する他の共重合可能なモノマーとの共重合体であるニトリル樹脂、ナイロン−46、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6ナイロン−12共重合体などのポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリ−4、4’−ジオキシジフェニル−2、2’−プロパンカーボネートなどのポリカーボネート系重合体、ポリエーテルスルホンやポリアリルスルホンなどの熱可塑性ポリスルホン、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリ(2、6−ジメチル−1、4−フェニレン)エーテルなどのポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリ−4、4’−ジフェニレンスルフィドなどのポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルケトン重合体又は共重合体、ポリケトン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオキシベンゾイル系重合体、ポリイミド系樹脂、1、2−ポリブタジエン、トランスポリブタジエンなどのポリブタジエン系樹脂などが挙げられる。
ゴム状重合体としては、ブタジエンゴム及びその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム及びその水素添加物(但し本発明の共重合体とは異なる)、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びその水素添加物、1、2−ポリブタジエン、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチエン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴムなどが挙げられる。また、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水素添加物(但し本発明の共重合体とは異なる)、スチレン−イソプレンブロック共重合体及びその水素添加物等のスチレン系エラストマー、天然ゴムなどが挙げられる。
本発明の共重合体組成物には、必要に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は、熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。
例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン等の無機充填剤、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、パラフィンオイル、ポリブテン等のゴム用軟化剤、離型剤、有機ポリシロキサン、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、その他「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)などに記載された添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の共重合体組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。本発明においては押出機による溶融混合法が生産性、良混練性の点から好ましい。
本発明の共重合体組成物を、所望により各種添加剤を配合して様々な用途に用いることができる。特に、塩化ビニル樹脂に類似した引張特性と応力緩和特性を有することから、家電・工業部品等の包装材料をはじめ、食品包装ストレッチフィルム、シュリンクラベル、電子材料や建築材料等の保護フィルムなどに好適に用いることができる。
以下製造例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
また以下の製造例において、共重合体の特性の測定は次のようにして行った。
I.共重合体の調製と特性
I−1)水添共重合体のスチレン含有量 水添前の共重合体を用い、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて測定した。
I−2)水添共重合体のポリスチレンブロックA含有量 水添前の共重合体を用い、I.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム酸法で測定した。共重合体の分解にはオスミウム酸0.1g/125ml第3級ブタノール溶液を用いた。
I−3)水添共重合体のビニル結合量 水添前の共重合体を使用し、赤外分光光度計(日本分光社製、FT/IR−230)を用いて測定した。共重合体のビニル結合量はハンプトン法により算出した。
I−4)水添共重合体の分子量及び分子量分布
GPC〔装置は、ウォーターズ製〕で測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。重量平均分子量と数平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、重量平均分子量を求めた。また、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である。
I−5)水添共重合体の共役ジエン単量単位の二重結合の水素添加率(水添率) 水添後の水添共重合体を用い、核磁気共鳴装置(装置名:DPX−400;ドイツ国、BRUKER社製)で測定した。I−6)tanδ(損失正接)のピーク温度 粘弾性測定解析装置((株)レオロジ社製 型式DVE−V4を使用)を用い、粘弾性スペクトルを測定して求めた。測定周波数は、10Hzである。
<水添共重合体の調製>
製造例1
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を2基使用して連続重合を行った。1基目の反応器の底部から、ブタジエン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を4.51L/hrの供給速度で、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を5.97L/hrの供給速度で、またn−ブチルリチウムをモノマー100gに対して0.077gになるような濃度に調整したシクロヘキサン溶液を2.0L/hrの供給速度で、更にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下TMEDAと称する)のシクロヘキサン溶液をn−ブチルリチウム1モルに対して0.44モルになるような供給速度でそれぞれ供給し、90℃で連続重合した。反応温度はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の温度は約88℃、反応器の上部付近の温度は約90℃であった。重合反応器における平均滞留時間は、約45分であり、ブタジエンの転化率はほぼ100%、スチレンの転化率は99%であった。
1基目から出たポリマー溶液を2基目の底部から供給、また同時に、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を2.38L/hrの供給速度で2基目の底部に供給し、90℃で連続重合した。2基目出口でのスチレンの転化率は98%であった。
連続重合で得られたポリマーを分析したところ、スチレン含有量は67重量%、ポリスチレンブロック含有量が20重量%、ランダムブロック部のブタジエン部のビニル結合量は14重量%、重量平均分子量は20万、分子量分布は1.9であった。
次に、得られたポリマーに、下記水添触媒をポリマー100重量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(ポリマー1)を得た。得られた水添共重合体の水素添加率は98%であリ、tanδピーク温度は10℃であった。
<水添触媒の調製:窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン2リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−(p−トリル)40ミリモルと分子量が約1000の1、2−ポリブタジエン(1、2−ビニル結合量約85%)150グラムを溶解した後、n−ブチルリチウム60ミリモルを含むシクロヘキサン溶液を添加して、室温で5分間反応させ、直ちにn−ブタノール40ミリモルを添加攪拌して室温で保存した。>
製造例2
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、バッチ重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.076重量%、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.4モル添加し、その後モノマーとしてスチレン8重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
次に、ブタジエン48重量部とスチレン36重量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その後、30分間反応させた。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
その後、更にモノマーとしてスチレン8重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させ、共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は52重量%であり、ポリスチレンブロックの含有量は16重量%、ブタジエン部のビニル結合量は21重量%、重量平均分子量は16.5万、分子量分布は1.2であった。
次に、得られたポリマーを製造例1と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(ポリマー2)を得た。ポリマー2の水添率は99%であり、tanδピーク温度は−15℃であった。
製造例3
製造例2と同様にポリマーを作成した。但し、2段目に供給するモノマーの量をブタジエン20重量部とスチレン72重量部に変更し、且つ3段目の重合を行わなかった。得られたポリマーは、スチレン含有量80重量%、ポリスチレンブロック含有量16重量%、ポリブタジエンブロック部のビニル結合量11重量%、分子量18.2万、分子量分布1.2であった。
次に、得られたポリマーを製造例1と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(ポリマー3)を得た。ポリマー3の水添率は98%であり、tanδピーク温度は51℃であった。
製造例4
製造例2と同様にバッチ重合を行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.08重量%、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、その後モノマーとしてスチレン30重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
次に、ブタジエン24重量部とスチレン46重量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その後、30分間反応させた。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
その後、安息香酸エチルを0.6モル/Li添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間カップリング反応させ、共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は76重量%であり、ポリスチレンブロックの含有量は15重量%、ブタジエン部のビニル結合量は11重量%、重量平均分子量は21.2万、分子量分布は1.5であった。
次に、得られたポリマーを製造例1と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(ポリマー4)を得た。ポリマー4の水添率は99%であり、tanδピーク温度は44℃であった。
ポリマー1〜4の特性を次の表−1に示す。
Figure 2006291128
II.共重合体組成物の物性
実施例1〜4、比較例1において、共重合体組成物のフィルムを作製した。
評価方法を下記に示す。
II−1)引張強度<40%伸び時>、降伏強度
製造したフィルムをMD方向とTD方向に10mm×90mm(幅×長さ)で切り出し、23℃の恒温室で、引張速度200mm/min、チャック間距離40mmで引張試験を行い、チャック間が40%伸ばした時の強度を測定した。
また、この際、同じ試験条件で図1に示す様に応力ひずみ伸び曲線を描かせ降伏点(降伏強度)の有無を測定した。
II−2)異方性
II−1で得られたTD方向の強度に対するMD方向の強度として表した。数値が1に近い程、優れていると判断した。
II−3)応力緩和特性
上記引張強度測定後、そのまま1分間40%伸ばした状態を維持し、1分後における引張強度を測定し、上記II−1)引張強度<40%伸び時>に対する割合(%)として表した。応力の保持率(%)として表現しており、数値が低いほど保持率が低く、緩和率が高いと判断した。
実施例1〜4
得られた水添共重合体(ポリマー1〜4)をペレット化し、表−2の組成で混合した。その後、ラボプラストミル(東洋精機社製)で混練押出し、Tダイにてフィルム化した。押出条件は、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数50rpmであった。
尚、フィルムの厚みが100μmとなるように引き取り速度を調整した。
得られたフィルムをMD方向とTD方向に切り出し、物性測定片を作製した。
各試験片の物性を測定し、その結果を表−2に示した。
尚、引張試験の結果、どのサンプルも降伏点は無かった。
比較例1
ポリマー1のみを用いてフィルムを作製し、物性を測定した。
Figure 2006291128
本発明の共重合体組成物は、塩化ビニル樹脂に匹敵するしなやかな感触を有する。従って、塩化ビニル樹脂の代替材料として、家電・工業部品等の包装材料をはじめ各種用途に展開できる材料を提供する。特に、異方性が小さく優れることから、食品包装ストレッチフィルム、シュリンクラベル、電子材料や建築材料等の保護フィルムなどのフィルム用途に好適に用いることができる。
製造したフィルムのMD方向の応力ひずみ(伸び)曲線を示す図である。

Claims (4)

  1. 粘弾性測定チャ−トにおいて,tanδ(損失正接)のピ−クが−20℃以上20℃未満に少なくとも1つ存在するスチレン系共重合体(I)10〜90重量%,tanδのピ−クが25℃以上60℃未満に少なくとも1つ存在するスチレン系共重合体(II)90〜10重量%を含有する共重合体組成物。
  2. スチレン系重合体(I)及び又は(II)が共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物であることを特徴とする請求項1に記載の共重合体組成物。
  3. スチレン系重合体(I)及び又は(II)が、下記の(1)〜(4)の特性を有することを特徴とする請求項2に記載の共重合体組成物。
    (1)下記a,bの重合体ブロックをそれぞれ少なくとも1個有する。
    a.ビニル芳香族化合物重合体ブロックA
    b.共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体の水添重合体ブロッ クB
    (2)該ビニル芳香族化合物の含有量が50重量%越え、95重量%未満、
    (3)重量平均分子量が5万〜100万、
    (4)該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が75%以上。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体組成物からなるフィルム。
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