JP2006291079A - 厚みの均一なポリイミドフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリイミドフィルムの幅方向の厚みムラが1.0μm以下であり、かつ幅10mm以下の範囲内でのスジ状厚みムラが0.7μm以下であることを特徴とする幅500mm以上のポリイミドフィルム。
【選択図】なし
Description
(1) ポリイミドフィルムの幅方向の厚みムラが1.0μm以下であり、かつ幅10mm以下の範囲内でのスジ状厚みムラが0.7μm以下であることを特徴とする幅500mm以上のポリイミドフィルム、
(2) スジ状厚みムラが0.2μm以下である前記(1)記載のポリイミドフィルム、および
(3) 配管を流路として供給されるポリアミド酸溶液を口金から支持体上に流延することによりゲルフィルムを成形し、ついでゲルフィルム中のポリアミド酸をイミド化することによりポリイミドフィルムを製造する方法において、前記配管内壁の表面粗度が1.0μm以下であり、前記口金内壁の表面粗度が0.1μm以下であることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法、
に関する。
また、本発明の製造方法によれば、厚みムラが改良されたポリイミドフィルムを安定して工業的有利に製造することができる。
厚みムラは、端部10mmを除く幅500mm以上のフィルムを、フィルム送り装置により、1.5m/分の送り速度で送り出し、アンリツ株式会社製の広範囲電子マイクロメータK301および日本電子科学株式会社製の卓上型自動平衡記録計を用いて厚みチャートを記録し、記録結果から、フィルムの全幅及び各部位の幅5〜10mmでの最大値と最小値の差を算出して求められる。また、スジ状厚みムラは、幅10mm以下の範囲内(特に幅5〜10mm)での厚みムラをいう。
また、上記端部10mmを除く幅500mm以上の全幅の範囲内での厚みムラは1.0μm以下であり、好ましくは0.8μm以下である。下限は、臨界的ではないが、通常、0.3μmである。
本発明のポリイミドフィルムの製造に使用される配管は、ポリアミド酸溶液が口金に至るまでの流路となる配管であって、配管内壁の表面粗度が1.0μm以下であれば特に限定されない。配管内壁の表面粗度が1.0μm以下である配管は、溶液流延法等で用いられる公知の配管の内壁に、機械研磨等の研磨処理を施して、表面粗度を1.0μm以下とすることにより製造される。なお、「表面粗度」は、MITUTOYO(株)製の表面粗さ測定器サーフテスト401を用いて測定される。
本発明のポリイミドフィルムの製造に使用される口金は、口金内壁の表面粗度が0.1μm以下であれば特に限定されない。口金内壁の表面粗度が0.1μmより越えてしまうと、ポリイミドフィルム表面の幅10mm以下の範囲内でのスジ状厚みムラが0.7μmより越えてしまい、さらに端部10mmを除く幅500mm以上の全幅の範囲内での厚みムラが1.0μmを越えてしまう。また、本発明においては、前記口金内壁の表面粗度が0.01〜0.1μmであるのが好ましい。表面粗度をこの好ましい範囲内にすることにより、ポリマーの異常滞留や付着を防止することができる。
口金内壁の表面粗度が0.1μm以下である口金は、溶液流延法等で用いられる公知のスリット付き口金の内壁を、研磨処理して表面粗度を0.1μm以下とすることにより製造される。研磨処理としては、例えば機械研磨などが挙げられる。
なお、上記「表面粗度」は、MITUTOYO(株)製の表面粗さ測定器サーフテスト401を用いて測定される。
本発明で原料として用いられるポリアミド酸溶液は、ポリアミド酸が有機溶媒に分散・溶解していれば特に限定されない。
上記ポリアミド酸は、ポリイミドの前駆体であり、下記式[I]に示される構成単位を含むものである。
上記の芳香族テトラカルボン酸類の具体例としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸及びこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。ポリアミド酸の製造にあたってはこれらの酸無水物が好ましく使用される。
本発明において芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とはそれぞれのモル数が大略等しくなる割合で重合されるか、その一方が10モル%、好ましくは5モル%の範囲内で他方に対して過剰に配合されてもよい。重合反応は有機溶媒中で攪拌および/または混合しながら0〜80℃の温度の範囲で10分〜30時間連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させたりしてもかまわない。両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸類を添加するのが好ましい。また、重合反応中に真空脱泡してもよく、重合反応中に真空脱泡することは良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また重合反応前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合反応を制御することを行ってもよい。
〔数1〕
0.5< 閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル) <8
〔数2〕
0.1< 脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル) <4
また、フィルムの滑り性付与のために、ポリアミド酸に無機粉体を少量添加してもよいし、ポリアミド酸溶液に閉環触媒や脱水剤に加えて、アセチルアセトン等のゲル化遅延剤を用いてもよい。
上記ゲルフィルム形成工程では、上記配管を流路として供給される上記ポリアミド酸溶液を上記口金から支持体上に流延することにより、ゲルフィルムを成形する。例えば、上記ポリアミド酸溶液をスリット付きの上記口金から所定方向に運動する支持体(例えば回転ドラムやベルト等)上に流延することによりフィルム状とし、ついで該支持体上で加熱乾燥することによりゲルフィルムとする。本工程で製造されるゲルフィルムが、フィルム中のポリアミド酸の一部がイミド化した自己支持性を有するゲルフィルムであるのが好ましい。自己支持性を有するゲルフィルムは、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形する際または成形した後に加熱、乾燥することにより製造され得る。
ポリイミドフィルム形成工程では、ゲルフィルム中のポリアミド酸をイミド化してポリイミドフィルムを製造する。ポリアミド酸をイミド化する方法は、従来十分に確立している技術であるので、これらの公知技術を適宜採用できる。例えば、閉環反応によりイミド化する方法が挙げられ、より具体的には熱による熱閉環法や脱水剤および触媒による化学閉環法などが挙げられる。本発明においては、前記のいずれの閉環方法を採用してもよいが、化学閉環法はポリアミド酸の有機溶媒溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させる設備が必要とするものの、自己保持性を有するゲルフィルムを短時間で得られる点で好ましい。
配管内壁の表面粗度が1.0μm以下の配管を流路として供給されるポリアミド酸溶液を、口金内壁の表面粗度が0.1μm以下であるスリット付き口金を通して所定の方向に運動する支持体(例えば回転ドラムまたはベルト等)上に流延し、ついで支持体上で乾燥することによりポリアミド酸からなるゲルフィルムを製造する。乾燥の際、支持体上でポリアミド酸の一部が熱閉環反応してイミド化し、自己支持性を有するゲルフィルムとなる。より具体的に説明すると、支持体からの受熱および/または熱風や電気ヒーター等の熱源からの受熱により、ゲルフィルムが30〜200℃、好ましくは40〜150℃に加熱されて、フィルム中のポリアミド酸の一部が閉環反応し、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させることにより自己支持性を有するようになる。得られたゲルフィルムは支持体から剥離される。上記支持体は金属製の回転ドラムやエンドレスベルトであり、その温度は液体または気体の熱媒により、および/または電気ヒーター等の輻射熱により制御される。
(1)配管内壁及び口金内壁の表面粗度
MITUTOYO株式会社製の表面粗さ測定器サーフテスト401を用いて測定した。
(2)フィルム厚みムラ
フィルム送り装置により、1.5m/分の送り速度でフィルムを送り出し、アンリツ株式会社製の広範囲電子マイクロメータK301および日本電子科学株式会社製の卓上型自動平衡記録計を用いて厚みチャートを記録し、記録結果から、フィルムの全幅での最大値と最小値の差を算出して求めた。また、スジ状の厚みムラは、幅10mm以下での厚みムラの最大値を求めた。
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド190.6kg中に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.024kg(0.1kmol)を溶解し、20℃で撹拌しながら、精製した粉末状のピロメリット酸二無水物21.812kg(0.1kmol)を少量ずつ添加し、1時間撹拌し続けて、透明なポリアミド酸溶液を得た。この溶液は20℃で350Pa・sの粘度であった。一方、メジアン平均径0.97μmのリン酸水素カルシウムをポリマー固形分に対して、無機粉体が0.2重量%になるように先に調整したポリアミド酸溶液に凝集しないように添加した。このポリアミド酸溶液に、ポリアミド酸単位に対して無水酢酸2.5molを、ポリアミド酸単位に対してピリジン2.0molを−5℃に冷却しながら混合し、ポリアミド酸有機溶媒溶液を得た。このポリアミド酸の有機溶媒溶液を−10℃に冷却して、表面粗さ0.3μmの配管中を定量供給して、口金スリット幅1.3mm、長さ1940mm、表面粗さ0.1μmのコートハンガーダイから押し出して、フィルムを金属エンドレスベルトから剥離して、65℃の温度で、走行方向に1.3倍延伸し、ついでテンターに導入した。テンターで幅方向に1.4倍延伸して、260℃の温度で40秒間乾燥し、ついで430℃で1分間熱処理し、冷却ゾーンでリラックスさせながら30秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、幅2000mm、厚さ25μmのポリイミドフィルム原反を得た。この原反を得る際、オンラインで幅方向にフィルム厚みを測定して、そのデータを前記スリットダイへフィードバックさせスリットダイの間隔を調整する方法を用い、フィルムの厚みムラが2.5%になるように調整した。
得られたフィルムの幅10mm以下でのスジ状厚みムラは0.2μmであり、全幅の厚みムラは1.0μmであった。
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド190.6kg中に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル14.002kg(0.07kmol)とパラフェニレンジアミン3.236kg(0.03kmol)を溶解し、20℃で撹拌しながら、精製した粉末状のピロメリット酸二無水物21.812kg(0.1kmol)を少量ずつ添加し、1時間撹拌し続けて、透明なポリアミド酸溶液を得た。この溶液は20℃で350Pa・sの粘度であった。一方、メジアン平均径0.81μmのリン酸水素カルシウムをポリマー固形分に対して、無機粉体が0.15重量%になるように先に調整したポリアミド酸溶液に凝集しないように添加した。このポリアミド酸溶液に、ポリアミド酸単位に対して無水酢酸2.5mol、およびポリアミド酸単位に対してピリジン2.0molを−5℃に冷却しながら混合し、ポリアミド酸有機溶媒溶液を得た。このポリアミド酸の有機溶媒溶液を−10℃に冷却して、表面粗さ0.3μmの配管中を定量供給して、口金のスリット幅1.3mm、長さ1940mm、表面粗さ0.1μmのコートハンガーダイから押し出して、90℃の金属エンドレスベルトに流延し、自己支持性のあるゲルフィルムを得た。ゲルフィルムを金属エンドレスベルトから剥離して、65℃の温度で、走行方向に1.3倍延伸し、ついでテンターに導入した。テンターで幅方向に1.4倍延伸して、260℃の温度で40秒間乾燥し、ついで430℃で1分間熱処理し、冷却ゾーンでリラックスさせながら30秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、幅2000mm、厚さ12.5μmのポリイミドフィルム原反を得た。この原反を得る際、オンラインで幅方向にフィルム厚みを測定して、そのデータを前記スリットダイへフィードバックさせスリットダイの間隔を調整する方法を用い、フィルムの厚みムラが4.5%になるように調整した。
得られたフィルムの幅10mm以下でのスジ状厚みムラは0.2μmであり、全幅の厚みムラは0.8μmであった。
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド190.6kg中に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0024kg(0.1kmol)を溶解し、20℃で撹拌しながら、精製した粉末状のピロメリット酸二無水物21.812kg(0.1kmol)を少量ずつ添加し、1時間撹拌し続けて、透明なポリアミド酸溶液を得た。この溶液は20℃で350Pa・sの粘度であった。一方、メジアン平均径0.97μmのリン酸水素カルシウムをポリマー固形分に対して、無機粉体が0.2重量%になるように先に調整したポリアミド酸溶液に凝集しないように添加した。このポリアミド酸溶液に、ポリアミド酸単位に対して無水酢酸2.5mol、ポリアミド酸単位に対してピリジン2.0molを−5℃に冷却しながら混合し、ポリアミド酸有機溶媒溶液を得た。このポリアミド酸の有機溶媒溶液を−10℃に冷却して、表面粗さ0.3μmの配管中を定量供給して、口金のスリット幅1.3mm、長さ1940mm、表面粗さ0.1μmのコートハンガーダイから押し出して、90℃の金属エンドレスベルトに流延し、自己支持性のあるゲルフィルムを得た。ゲルフィルムを金属エンドレスベルトから剥離して、65℃の温度で、走行方向に1.3倍延伸し、ついでテンターに導入した。テンターで幅方向に1.4倍延伸して、260℃の温度で40秒間乾燥し、ついで430℃で1分間熱処理し、冷却ゾーンでリラックスさせながら30秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、幅2000mm、厚さ10μmのポリイミドフィルム原反を得た。この原反を得る際、オンラインで幅方向にフィルム厚みを測定して、そのデータを前記スリットダイへフィードバックさせスリットダイの間隔を調整する方法を用い、フィルムの厚みムラが3.5%になるように調整した。
得られたフィルムの幅10mm以下でのスジ状厚みムラは0.2μmであり、全幅の厚みムラは1.0μmであった。
コートハンガーダイに代えて、口金の表面粗さが0.2μmのTダイを用いたこと以外、実施例1と同様にしてフィルムを成形した。得られたフィルムの幅10mm以下でのスジ状厚みムラは0.2μmであり、全幅の厚みムラは1.2μmであった。
コートハンガーダイに代えて、口金の表面粗さが0.4μmのTダイを用いたこと以外、実施例1と同様にしてフィルムを成形した。得られたフィルムの幅10mm以下でのスジ状厚みムラは0.5μmであり、全幅の厚みムラは1.2μmであった。
得られたポリアミド酸の有機溶媒溶液を定量供給する配管内壁の表面粗さが1.2μmの配管を用いたこと以外、実施例1と同様にしてフィルムを成形した。得られたフィルムの幅10mm以下でのスジ状厚みムラは0.8μmであり、全幅の厚みムラは1.3μmであった。
Claims (3)
- ポリイミドフィルムの幅方向の厚みムラが1.0μm以下であり、かつ幅10mm以下の範囲内でのスジ状厚みムラが0.7μm以下であることを特徴とする幅500mm以上のポリイミドフィルム。
- スジ状厚みムラが0.3μm以下である請求項1記載のポリイミドフィルム。
- 配管を流路として供給されるポリアミド酸溶液を口金から支持体上に流延することによりゲルフィルムを成形し、ついでゲルフィルム中のポリアミド酸をイミド化することによりポリイミドフィルムを製造する方法において、前記配管内壁の表面粗度が1.0μm以下であり、かつ前記口金内壁の表面粗度が0.1μm以下であることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
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