JP5770125B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミドフィルムの製造方法、及びその製造方法によって得られるポリイミドフィルムに関する。
ポリイミドは、プラスチック材料の中でも、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性、及び耐低温特性に優れた特性を備えており、電気及び電子部品材料として用いられ、特に、フレキシブルプリント配線板、TAB用キャリアテープのベースフィルム、航空機等の電線被覆剤、磁気記録用テープのベースフィルム、超伝導コイルの線材被覆剤等が挙げられる。これらの各種用途には、それぞれの用途に適したポリイミドフィルムが適宜選択される。特に、ポリイミドフィルムの上に直接、あるいはエポキシ樹脂やアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの接着剤を介して銅層を形成する銅張り板(CCL)に使用されている。
ポリイミドフィルムを製造する場合、まず極性溶媒中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)を得た後、化学閉環の場合は更にイミド化触媒と脱水剤を混合し、ポリアミド酸混合溶液を製造する。このポリアミド酸混合溶液を金属表面等の支持体上に流延してイミド化を一部進行させることによって得られる自己支持性を有したゲルフィルムを延伸及び乾燥させた後、熱処理工程を経て製造する方法(化学イミド化)が知られている。前記製造方法には、例えば、特許文献1の図1に記載される装置等の一般的に用いられる製膜装置が用いられる。
しかしながら、前記金属表面等の支持体上に、ポリアミド酸混合溶液を流延した際に、支持体、スリットダイ等の搬送設備が溶媒、ポリアミド酸混合溶液で汚れてくるため、頻繁に、製造を止めて清掃する必要があり、効率的にポリイミドフィルムを製造できなかった。
また、製造を止めて清掃を実施したとしても、完全にポリアミド酸混合溶液による汚れは除去できず、結果としてこのようなポリイミドフィルムを用いた銅張り板に不良を発生させ、収率を低下させる問題が発生していた。
そのため、効率的なポリイミドフィルムの製造方法の開発が望まれていた。
特開2001−113525号公報
本発明は、効率的で、工業的に有利なポリイミドフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリイミドフィルムを搬送する設備に溶媒を吹き付けることによって、効率的にポリイミドフィルムを製造できることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]ポリイミドフィルムを搬送する設備に溶媒を吹き付ける工程を有することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
[2]ポリアミド酸混合溶液を回転する支持体に口金から連続的に押し出す、又は塗布することによりシート状のフィルムを得る工程を有し、前記工程で得られたフィルムに溶媒を吹き付けることを特徴とする前記[1]記載の製造方法。
[3]溶媒の吹き付けを、スプレー噴霧により行うことを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]ポリイミドフィルムを搬送する設備及び/又はフィルムに吹き付ける溶媒が、ポリアミド酸を製造する際に用いる溶媒と同じであることを特徴とする前記[3]記載の製造方法。
[5]溶媒が、極性溶媒であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の製造方法。
[6]極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ヘキサメチルスルホルアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール及びヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記[5]記載の製造方法。
[7]前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の製造方法によって得られることを特徴とするポリイミドフィルム。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法を用いることにより、効率的にポリイミドフィルムを製造することができ、工業的に有利である。
図1は、本発明のポリイミドフィルムの製造方法に用いる製造ラインの一例(サポートロールがある場合)を示す。 図2は、本発明のポリイミドフィルムの製造方法に用いる製造ラインの一例(サポートロールがない場合)を示す。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、ポリイミドフィルムを搬送する設備に溶媒を吹き付ける工程を有することを特徴とする。前記設備に溶媒を塗布してもよいが、効率的に洗浄することができるため、前記設備に溶媒を吹き付ける方法が好ましい。吹き付け方法は、特に限定されないが、フィルムを連続搬送しながら実施でき、効率的である点から、スプレーで噴霧する方法が好ましい。霧状の溶媒を噴霧することにより、ポリイミドフィルム搬送設備を、効率的に洗浄することができる。ポリイミドフィルムを搬送する設備に溶媒を吹き付ける際の温度は、特に限定されないが、5〜100℃が好ましく、10〜80℃が更に好ましい。噴霧する溶媒の濃度は、通常60%以上100%以下であり、洗浄効率の点から、80%以上100%以下が好ましい。スプレーの流量については、例えば、フィルム幅1mあたり1〜100L/hrくらいであり、好ましくはフィルム幅1mあたり10〜80L/hrである。また、フィルム全幅としては1〜200L/hr・mであることが好ましく、更に好ましくは10〜100L/hrであるが、これらに限定されるものではない。スプレーの噴霧時間も特に限定されないが、フィルム製造中は連続して絶え間なく噴霧することが好ましい。スプレー噴霧の方法は、塗布ヘッド(例、ファウンテンコーター、フロッグマウスコーター)を用いる方法、タンクの自動洗浄に利用されるスプレーノズルを用いる方法で実施できる。本工程により、搬送設備の溶媒又はポリアミド酸混合溶液に起因する汚れを防止できる。市販のスプレーノズルを用いてもよい。市販のスプレーノズルとしては、特に限定されないが、例えば、(株)いけうち製、スプレーイングシステムスジャパン社製のスプレーノズルが挙げられる。使用するスプレーの個数についても特に限定されないが、1m以上のフィルム幅にまんべんなく噴霧するためには、最低でも5個以上、好ましくは10個以上を設置するのがよい。
ポリイミドフィルム搬送設備に吹き付ける溶媒は、有機溶媒であれば特に限定されないが、工業的に有利な点から、極性溶媒が好適である。極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、ヘキサメチルスルホルアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン等のスルホン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、或いはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。ポリイミドフィルム搬送設備に吹き付ける溶媒は、ポリアミド酸を製造する際に用いる溶媒と同じとすることが、フィルム搬送設備の汚れを顕著に防止できる点から、特に好ましい。
本発明に用いるポリイミドフィルムを搬送する設備は、公知のフィルムの製造に用いられる設備を使用することができ、特に限定されないが、例えば、図1に記載される設備の流延ダイ(口金、ダイともいう。)以降の設備が挙げられる。具体的には、口金(ダイ)、ポリアミド酸混合溶液を流延する際に使用する支持体、ニップロール、ピンクリップ、サポートロール等が挙げられる。
以下、本発明の製造方法について、図1又は図2に例示されるポリイミドフィルムの製造ラインの一態様を参酌しながら説明する。図1又は図2に例示されるポリイミドフィルムの製造ラインにおいて、スタティックミキサー10は、30〜80枚のエレメント11が設けられた混合分散部12と、この混合分散部12の上流側に設けられ被添加液(イミド化触媒及び脱水剤)が導入される被添加液導入部13とからなり、これら混合分散部12と被添加液導入部13とは一体の円筒状に形成されているものであってもよい。
被添加液導入部13は、端部において、被添加液(ポリアミド酸溶液)を送り込むための被添加液導入手段20が設けられるとともに、中間部分において、添加液を送りこむための添加液導入手段30が設けられている。被添加液導入手段20は、被添加液を貯蔵する貯蔵タンク21、送液ポンプ22及び送液管23からなっており、送液管23が被添加液導入部13の端部に連結されている。添加液導入手段30は、添加液を貯蔵する貯蔵タンク31、送液ポンプ32、送液管33及び添加ノズル34からなっている。そして、この送液管33が被添加液導入部13の側面から内部に挿入されており、この送液管33の先端は被添加液導入部13の略中心軸まで伸び、続いて添加ノズル34が被添加液導入部13の中心軸方向に形成されている。
スタティックミキサー10の混合分散部12の端部には、排出管41を介してフィルター42及び流延ダイ43が連結されており、この流延ダイ43の下方には流延支持体44が設けられている。また、流延支持体44に続いてフィルムを乾燥させる乾燥工程、加熱工程等が設けられ、最後に完成したポリイミドフィルムを巻き取る巻取り工程が設けられている。
ポリイミドの製造方法は、二段階合成方法が一般的であり、一段階目でまずポリイミド前駆体を合成し、しかる後に二段階目でポリイミド前駆体をポリイミドに変換する。より具体的には、熱イミド化法と、化学イミド化法が挙げられ、本発明のポリイミドフィルムの製造方法としては、特に限定されず、いずれを用いてもよいが、得られるフィルムがより均質である点から、化学イミド化法が好適である。前記化学イミド化法は、(a)極性溶媒中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)を得る工程、(b)前記ポリアミド酸溶液に、イミド化触媒及び脱水剤を混合する工程、及び(c)ポリアミド酸混合溶液を回転する支持体に口金(ダイ)から連続的に押し出す、又は塗布することによりシート状のフィルムを得る工程を有する。さらに、必要に応じて、(d)前記ゲルフィルムを延伸する工程、(e)アニール処理工程を有していてもよい。
本発明のポリイミドフィルムを搬送する設備に溶媒を吹き付ける工程は、(c)工程の完了後が好ましい。(c)工程の完了後とは、特に限定されないが、吹き付けた溶媒が完全に乾燥してしまわないように、(c)工程に続いて行うのが好ましい。
工程(a)は、芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とを有機溶媒中で重合させ、ポリアミド酸溶液を得る工程である。工程(a)に関し、以下に詳細に説明する。
前記芳香族ジアミンの具体例としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3−メチル−5−アミノフェニル)ベンゼン又はこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。これらの芳香族ジアミンは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの芳香族ジアミンのうち、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。パラフェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを併用する場合、(i)4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルと、(ii)パラフェニレンジアミンとを60/40〜100/0(モル比)で用いることがより好ましく、70/30〜90/10(モル比)で用いることがとりわけ好ましい。
前記酸無水物成分の具体例としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、又はこれらのアミド形成性誘導体等の酸無水物が挙げられ、芳香族テトラカルボン酸の酸二無水物が好ましく、ピロメリット酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。これらの酸無水物成分は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらのうち、ピロメリット酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを100/0〜60/40(モル比)で用いることがより好ましく、95/25〜65/35(モル比)で用いることが更に好ましい。
本発明において、ポリアミド酸溶液の形成に使用される有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、ヘキサメチルスルホルアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン等のスルホン系溶媒、
芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒エステル系溶媒、エーテル系溶媒或いはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
重合方法は公知のいずれの方法で行ってもよく、特に限定されないが、例えば、(i)先に芳香族ジアミン成分全量を有機溶媒中に入れ、その後酸無水物成分を芳香族ジアミン成分全量と略等モルになるように加えて重合する方法、(ii)先に酸無水物成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族ジアミン成分を酸無水物成分と略等モルになるように加えて重合する方法、(iii)一方の芳香族ジアミン成分を溶媒中に入れた後、反応成分に対して酸無水物成分が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン成分を添加し、続いて酸無水物成分を全芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とが略等モルになるよう添加して重合する方法、(iv)酸無水物成分を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族ジアミン成分が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、酸無水物成分を添加し、続いてもう一方の芳香族ジアミン成分を全芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とが略等モルになるように添加して重合する方法、(v)溶媒中で一方の芳香族ジアミン成分と酸無水物成分をどちらかが過剰になるように反応させてポリアミド酸溶液(A)を調製し、別の溶媒中でもう一方の芳香族ジアミン成分と酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させポリアミド酸溶液(B)を調製し、次いで、得られた各ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法、(vi)(v)において、ポリアミド酸溶液(A)を調製するに際し芳香族ジアミン成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では酸無水物成分を過剰に、またポリアミド酸溶液(A)で酸無水物成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では芳香族ジアミン成分を過剰にし、ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせ、これら反応に使用される全芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とが略等モルになるよう調製する方法等が挙げられる。
こうして得られるポリアミド酸溶液は、固形分を5〜40重量%含有しているものが好ましく、10〜30重量%含有しているものがより好ましい。また、ポリアミド酸溶液の粘度は、JIS K6726(1994)に従い、ブルックフィールド粘度計を用いた回転粘度計法による測定値であり、特に限定されないが、10〜2000Pa・s(100〜20000poise)のものが好ましく、安定した送液の供給という点から、100〜1000Pa・s(1000〜10000poise)のものがより好ましい。また、有機溶媒溶液中のポリアミド酸は部分的にイミド化されていてもよい。
本発明のポリアミド酸溶液は、フィルムの易滑性を得るため必要に応じて、酸化チタン、微細シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ポリイミド粒子等の有機フィラー或いは無機フィラー等を含有していてもよく、このようなフィラーとしては、リン酸水素カルシウム、シリカ、酸化チタンが好ましい。
本発明に用いる無機フィラー(無機粒子)は、特に限定されないが、全粒子の粒子径が0.005μm以上2.0μm以下の無機フィラーが好ましく、全粒子の粒子径が0.01μm以上1.5μm以下の無機フィラーがより好ましい。粒度分布(体積基準)に関して、特に限定されないが、粒子径0.10μm以上0.90μm以下の粒子が全粒子中80体積%以上を占める無機フィラーが好ましく、より易滑性に優れる点から、粒子径0.10μm以上0.75μm以下の粒子が全粒子中80体積%以上を占める無機フィラーがより好ましく、特に易滑性に優れるため、粒子径0.10μm以上0.60μm以下の粒子が全粒子中80体積%以上を占める無機フィラーが特に好ましい。また、本発明の無機フィラーの平均粒子径は、特に限定されないが、0.05μm以上0.70μm以下が好ましく、0.10μm以上0.60μm以下がより好ましく、0.30μm以上0.50μm以下が特に好ましい。平均粒子径が0.05μm以下になると、フィルムの易滑性効果が低下するので好ましくなく、0.70μm以上になると局所的に大きな粒子となって存在するので好ましくない。前記の粒度分布、平均粒子径及び粒子径範囲は、堀場製作所のレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用いて測定することができる。前記平均粒子径は、体積平均粒子径を指す。
本発明に用いる無機フィラーは、特に限定されないが、ポリアミド酸溶液の重量に対して0.03重量%以上1.0重量%未満の割合で、フィルム中に均一に分散されていることが好ましく、易滑性効果の点から0.30重量%以上0.80重量%以下の割合がより好ましい。1.0重量%以上では機械的強度の低下が見られ、0.03重量%以下では十分な易滑性効果が見られず好ましくない。これらのうち、全粒子の粒子径が0.01μm以上1.5μm以下であって、0.10μm以上0.90μm以下の粒子径を有する粒子が全粒子中80体積%以上を占める微細シリカをフィルム樹脂重量当たり0.30重量%以上0.80重量%以下の割合でフィルムに均一に分散されているポリイミドフィルムが特に好ましい。
工程(b)は、前記ポリアミド酸溶液に、イミド化触媒(環化触媒)及び脱水剤を混合する工程である。工程(b)に関し、以下に詳細に説明する。
前記イミド化触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン;ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン;イソキノリン、ピリジン、β−ピコリン等の複素環第3級アミン等が挙げられ、イソキノリン、ピリジン及びβ−ピコリンからなる群から選ばれる1以上の複素環式第3級アミンが好適に挙げられる。前記脱水剤としては、特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物;無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられ、無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましい。これらのイミド化触媒及び脱水剤の含有量は、特に限定されないが、ポリアミド酸溶液100重量%に対して、それぞれ10〜40重量%程度が好ましく、15〜30重量%程度がより好ましい。
イミド化触媒及び脱水剤の混合により環化反応の速度が速まることから、ゲル化防止のために、必要に応じて、ゲル化遅延剤を含有させてもよい。ゲル化遅延剤としては、特に限定されず、アセチルアセトン等を使用することができる。
工程(c)は、ポリアミド酸溶液を回転する支持体に口金(ダイ)から連続的に押し出す、又は塗布することによりシート状のフィルムを得る工程である。工程(c)に関し、以下に詳細に説明する。
前記ポリアミド酸溶液又はポリアミド酸溶液にイミド化触媒及び脱水剤を混合した混合溶液は、スリット状口金43を通ってフィルム状に成形され、加熱された支持体44上に流延され、支持体上で閉環反応をし、自己支持性を有するゲルフィルム49となって該支持体から剥離される。
前記支持体としては、特に限定されないが、金属(例えばステンレス)製の回転ドラム、エンドレスベルト等が例として挙げられ、支持体の温度は(i)液体又は気体の熱媒体、(ii)電気ヒーター等の輻射熱等により制御され、特に限定されない。
前記ゲルフィルム49は、前記ポリアミド酸混合溶液を支持体からの受熱、又は、熱風、電気ヒーター等の熱源からの受熱により好ましくは30〜200℃、より好ましくは40〜150℃に加熱する乾燥処理工程に付して、閉環反応させ、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させることによりイミド化を進行させて自己支持性を有するようになり、支持体から剥離されることにより得られる。前記乾燥処理は、延伸処理後に乾燥室47において行ってもよい。
さらに、本発明では、フィルム搬送設備の汚れを防止するために、前記(c)工程で得られたフィルムに溶媒を吹き付けることが好ましい。フィルムに溶媒を吹き付ける場合、吹き付ける順序は、ポリイミドフィルムを搬送する設備に溶媒を吹き付ける工程と同時であってもよく、前記設備に溶媒を吹き付ける工程の後に行ってもよい。
ここで使用する溶媒は、ポリアミド酸を製造する際に用いる溶媒と同じとすることが、フィルム搬送設備の汚れを防止できる点から、特に好ましい。噴霧方法は、特に限定されないが、フィルムを連続搬送しながら実施でき、効率的である点から、スプレーで噴霧する方法がより好ましい。
本発明の製造方法は、さらに、(d)前記工程(c)得られたゲルフィルムを延伸する工程を有していてもよい。以下、MDは機械搬送方向を、TDは幅方向を表し、MD延伸は機械搬送方向への延伸を、TD延伸は幅方向への延伸を表す。
前記工程(d)における延伸は、MDとTDの2軸延伸であるのが好ましい。前記2軸延伸処理における延伸の順番は、特に限定されないが、MDへ延伸を行ったのち、幅方向(TD)へ延伸を行うのが好ましい。また、MDへ延伸を行い、次いで加熱処理をしたのちTDへ延伸を行う工程、又はMDへ延伸を行い、次いで加熱処理と並行してTDへ延伸を行う工程がより好ましい。
MD延伸は、ニップロール45,46及びピンクリップで行うのが好ましい。ニップロールによる延伸とピンクリップによる延伸の順序は特に限定されない。
前記2軸延伸処理におけるMD延伸は、特に限定されないが、2段階又は3段階以上の多段階にわけて行うのが好ましい。該延伸は、特に限定されないが、2段階又は3段階延伸が好ましい。多段階延伸を行う場合、その方法は特に限定されないが、例えば、ニップロールを複数設けることによって行うことができる。
MD延伸が、例えば2段階延伸の場合、第1段階目の延伸倍率は、特に限定されないが、1.02倍以上1.3倍以下が好ましく、1.04倍以上1.2倍以下がより好ましい。第2段階目の延伸倍率は、特に限定されないが、1.02倍以上1.3倍以下が好ましく、1.04倍以上1.25倍以下がより好ましい。
MD延伸が、例えば3段階延伸の場合、第1段階目の延伸倍率は、特に限定されないが、1.02倍以上1.3倍以下が好ましく、1.04倍以上1.25倍以下がより好ましい。第2段階目の延伸倍率は、特に限定されないが、1.03倍以上1.3倍以下が好ましく、1.04倍以上1.28倍以下がより好ましい。第3段階目の延伸倍率は、特に限定されないが、1.04倍以上1.4倍以下が好ましく、1.05倍以上1.35倍以下がより好ましい。なお、本発明において、延伸倍率は、すべて支持体を基準(1.0倍)とする。例えば、MD延伸の第2段階目の延伸倍率が、1.3倍とは、第1段階目の延伸後ではなく、支持体を基準として1.3倍延伸していることを意味し、MDに3段階延伸をした場合、MD延伸の第2段階目の延伸倍率が、1.24倍とは、支持体を基準として1.24延伸し、総延伸倍率が1.24倍であることを意味する。
また、MD延伸が2段階以上の多段階延伸である場合、MD延伸の総延伸倍率に対する第1段階目の延伸倍率の割合は、40%以上が好ましく、50%以上80%以下であることがより好ましい。ここで、MD延伸の総延伸倍率に対する第1段階目の延伸倍率の割合の算出方法は、下記の通りである。
Figure 0005770125
例えば、延伸倍率1.1倍というのは基本長(延伸前の長さ)1に対して0.1倍延ばした状態である。したがって、延伸倍率から1を引いて算出する。
MD延伸の総延伸倍率は、特に限定されないが、1.03倍以上1.5倍以下が好ましく、1.04倍以上1.4倍以下がより好ましい。MD延伸の温度は、特に限定されないが、60〜100℃程度が好ましく、65℃〜90℃程度がより好ましい。MD延伸における延伸速度は、目的とする線熱膨張係数が得られる条件を適宜選択すればよく、特に限定されない。
MD延伸を行った後、加熱処理を行う場合、加熱温度は、特に限定されないが、MD延伸時の温度より高い温度が好ましく、通常80℃〜550℃程度であり、180℃〜500℃程度が好ましく、200℃〜450℃程度がより好ましい。加熱温度が80℃未満では、加熱処理中にTDの延伸を行う際に、フィルムが硬くて脆い場合があり延伸が困難になるおそれがある。加熱処理時間は、30秒〜20分が好ましく、50秒〜10分がより好ましい。また、加熱処理は、異なる温度で多段階(2段階、3段階等)的に行ってもよい。
例えば、多段階で加熱処理を行う場合の第1段階の加熱温度は、特に限定されないが、溶媒を十分に除去するために、80℃以上300℃以下が好ましく、100℃以上290℃以下がより好ましく、120℃以上285℃以下がさらに好ましい。多段階で加熱処理を行う場合の最終段階の加熱温度は、第1段階の加熱温度より高い温度であって、第1段階の加熱温度の設定と異なれば特に限定されず、例えば、300℃を超えて550℃以下が好ましく、320℃以上500℃以下がより好ましく、350℃以上450℃以下がさらに好ましい。第1段階の加熱温度が最終段階の加熱温度より高いと、溶媒が急激に蒸発してしまい、得られるフィルムが脆くなり、実用的でない。多段階加熱処理の場合の各段階の処理時間は、前記と同様である。
加熱処理には、温度の異なる複数のブロック(ゾーン)を有するキャスティング炉又は加熱炉(加熱処理室48)等の加熱装置等を用いることができる。加熱処理は、ピン式テンター装置、クリップ式テンター装置、チャック等によりフィルムの両端を固定して行うことが好ましい。当該加熱処理により、溶媒を除去することができる。
前記工程(d)において、TDの延伸は、前記ピンクリップの幅を広げて行うことができる。
MD延伸の後、TD延伸が行われる場合、MD延伸されたゲルフィルムは、テンター装置に導入され、テンタークリップに幅方向両端部を把持されて、テンタークリップと共に走行しながら、TD延伸される。TDの延伸における延伸倍率(以下、TD延伸率ともいう)としては、特に限定されないが、1.35倍以上2.0倍以下が好ましく、1.40倍以上1.8倍以下がより好ましい。
TD延伸率は、MD延伸の総延伸倍率より高く設定することが好ましく、具体的には、通常のMD延伸の総延伸倍率の1.10倍以上1.50倍以下であり、フィルム幅方向の配向の均一性をより高めることができる点から、1.15倍以上1.45倍以下が好ましい。MD延伸が前記二段階延伸であり、MD延伸の総延伸倍率に比べTD延伸率を高く設定することによって、フィルムの幅方向の均一な物理特性(例えば、TDの熱膨張係数が幅方向に均一である)を有するフィルムを得ることができる。
TD延伸は、前記加熱処理後に行ってもよく、前記加熱処理前に行ってもよいが、前記加熱処理と並行して行うのがより好ましい。該TD延伸の延伸時間は、特に限定されないが、5秒以上10分以下程度であり、10秒以上5分以下が好ましい。該TD延伸のパターンとしては、延伸倍率1から上記TD延伸倍率まで、一気に延伸する方法、逐次に延伸する方法、少しずつ不定率な倍率で延伸する方法、少しずつ定率な倍率で延伸する方法、又はこれらを複数組合せた方法等を挙げることができる。特に、TD延伸と多段階加熱処理を並行して行う場合、第1段階の加熱処理時に、該TD延伸の延伸倍率が最大延伸率となるように設定し、少しずつ延伸倍率を低下させることが好ましい。また、第1段階の加熱処理後もさらに該延伸倍率を少しずつ上げ、第2段階或いは最終段階の加熱処理時に該延伸倍率が最大延伸率となるように設定することも好ましい。
延伸処理を行わない場合、前記乾燥処理に次いで、加熱処理を行い、イミド化を完了させ、ポリイミドフィルムを得ることができる。加熱温度は、特に限定されないが、通常80℃〜550℃程度であり、180℃〜500℃程度が好ましく、200℃〜450℃程度がより好ましい。加熱処理時間は、30秒〜20分が好ましく、50秒〜10分がより好ましい。また、加熱処理は、異なる温度で多段階(2段階、3段階等)的に行ってもよい。
本発明の製造方法によって得られるポリイミドフィルムの厚さとしては特に限定されないが、通常は1〜200μmであり、3〜175μmが好ましく、5〜125μmが更に好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。実施例中PPDはパラフェニレンジアミン、4,4’−ODAは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ODAは3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、PMDAはピロメリット酸二無水物、BPDAは3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、DMAcはN,N−ジメチルアセトアミドをそれぞれ表す。
[実施例1]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で65/35/82/18の割合で用意し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%溶液にして重合し、3500poiseのポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液を図1に示される貯蔵タンク21に入れた。続いて粒径0.08μm未満及び2μm以上が排除された平均径0.30μm(測定装置:レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910、堀場製作所製)のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.03重量%添加し、十分攪拌、分散させた。その後このポリアミド酸溶液をマイナス5℃で冷却した後、ポリアミド酸溶液100重量%に対して無水酢酸15重量%とβ−ピコリン15重量%を貯蔵タンク31から送液し、ポリアミド酸溶液と混合して、ポリアミド酸混合液を得た。得られた混合液を、90℃の回転ドラムに30秒流延させ、次いで、スプレー角度65°(0.3MPa時)で3.6L/hr噴射するノズル(相当オリフィス径;0.28mm、流量サイズ:0017、スプレーイングシステムスジャパン社)を使用して、口金43、支持体(回転ドラム)44、ニップロール45、46、エッジカッター55の各箇所に、N,N−ジメチルアセトアミド(100%)を、フィルム製造時間中は継続してスプレー噴霧を行った。スプレー噴霧は、前記ノズルをポリイミドフィルムの製造ラインに20本とりつけてフィルム幅方向全幅の設備に対して行った。
流延させて得られたゲルフィルムを100℃で5分間加熱しながら、走行方向に1.1倍延伸した。次いで幅方向両端部を把持して、270℃で2分間加熱しながら幅方向に1.5倍延伸した後、380℃にて5分間加熱し、38μm厚のポリイミドフィルムを得た。この方法では、製膜250時間を経過しても、清掃の実施する必要がなかった。
このようにして得られたポリイミドフィルムを220℃に設定された炉の中で20N/mの張力をかけて1分間アニール処理を行った。アニール処理後、このポリイミドフィルムにスパッタリングにてニッケル(Ni)/クロム(Cr)=95/5の合金を0.04μm形成し、その後にスパッタリングにて銅(Cu)を0.1μm形成し、銅張り板(CCL)を得た。
このようにして得られた銅張り板を、最小サイズ40μmの表面異物を検出できるカメラにて検査したところ、検出される異物は1m幅×3000m長で平均10個以下であった。
[比較例1]
ポリアミド酸混合液を回転ドラムに30秒流延させた後、ポリイミドフィルムを搬送する設備に溶媒を吹き付けなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを製造した。この方法では、製膜5時間毎に1回の頻度で製膜を中断してキャスト工程の設備の清掃を実施する必要があった。
また、実施例1と同様にして銅張り板を形成し、実施例1と同様の方法で検査を実施したところ、検出される異物は1m幅×3000m長で平均1000個以上であった。
[実施例2]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で75/25/70/30の割合で用意し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中22重量%溶液にして重合し、3700poiseのポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液を図1に示される貯蔵タンク21に入れた。続いて粒径0.07μm未満及び1.5μm以上が排除された平均径0.25μm(測定装置:レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910、堀場製作所製)のシリカのN,N−ジメチルホルムアミドスラリーを前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.05重量%添加し、十分攪拌、分散させた。その後このポリアミド酸溶液をマイナス3℃で冷却した後、ポリアミド酸溶液100重量%に対して無水酢酸10重量%とβ−ピコリン10重量%を貯蔵タンク31から送液し、ポリアミド酸溶液と混合して、ポリアミド酸混合液を得た。得られた混合液を、90℃の回転ベルトに40秒流延させ、次いで、スプレー角度65°(0.3MPa時)で3.6L/hr噴射するノズル(相当オリフィス径;0.28mm、流量サイズ:0017、スプレーイングシステムスジャパン社)を使用して、口金43、支持体(回転ドラム)44、ニップロール45、46、エッジカッター55の各箇所に、N,N−ジメチルホルムアミド(99%)を、フィルム製造時間中は継続してスプレー噴霧を行った。スプレー噴霧は、前記ノズルをポリイミドフィルムの製造ラインに15本とりつけてフィルム幅方向全幅の設備に対して行った。
流延させて得られたゲルフィルムを100℃で5分間加熱しながら、走行方向に1.1倍延伸した。次いで幅方向両端部を把持して、270℃で2分間加熱しながら幅方向に1.5倍延伸した後、380℃にて5分間加熱し、7.5μm厚のポリイミドフィルムを得た。この方法では、製膜200時間を経過しても、清掃の実施する必要がなかった。
このようにして得られたポリイミドフィルムを220℃に設定された炉の中で20N/mの張力をかけて1分間アニール処理を行った。アニール処理後、このポリイミドフィルムにスパッタリングにてニッケル(Ni)/クロム(Cr)=95/5の合金を0.02μm形成し、その後にスパッタリングにて銅(Cu)を0.1μm形成し、銅張り板(CCL)を得た。
このようにして得られた銅張り板を、最小サイズ40μmの表面異物を検出できるカメラにて検査したところ、検出される異物は1m幅×3000m長で平均15個以下であった。
[比較例2]
ポリアミド酸混合液を回転ベルトに40秒流延させた後、ポリイミドフィルムを搬送する設備に溶媒を吹き付けなかった以外は、実施例2と同様にして、ポリイミドフィルムを製造した。この方法では、製膜4時間毎に1回の頻度で製膜を中断してキャスト工程の設備の清掃を実施する必要があった。
また、実施例2と同様にして銅張り板を形成し、実施例1と同様の方法で検査を実施したところ、検出される異物は1m幅×3000m長で平均1500個以上であった。
[実施例3]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で75/25/75/25の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中21重量%溶液にして重合し、3600poiseのポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液を図1に示される貯蔵タンク21に入れた。続いて粒径0.04μm未満及び2.5μm以上が排除された平均径0.25μm(測定装置:レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910、堀場製作所製)のリン酸水素カルシウムのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.05重量%添加し、十分攪拌、分散させた。その後このポリアミド酸溶液をマイナス5℃で冷却した後、ポリアミド酸溶液100重量%に対して無水酢酸13重量%とβ−ピコリン13重量%を貯蔵タンク31から送液し、ポリアミド酸溶液と混合して、ポリアミド酸混合液を得た。得られた混合液を、70℃の回転ベルトに50秒流延させ、次いで、スプレー角度65°(0.3MPa時)で3.6L/hr噴射するノズル(相当オリフィス径;0.28mm、流量サイズ:0017、スプレーイングシステムスジャパン社)を使用して、口金43、支持体(回転ドラム)44、ニップロール45、46、エッジカッター55の各箇所に、N,N−ジメチルアセトアミド(99.9%)を、フィルム製造時間中は継続してスプレー噴霧を行った。スプレー噴霧は、前記ノズルをポリイミドフィルムの製造ラインに25本とりつけてフィルム幅方向全幅の設備に対して行った。
流延させて得られたゲルフィルムを100℃で5分間加熱しながら、走行方向に1.1倍延伸した。次いで幅方向両端部を把持して、270℃で2分間加熱しながら幅方向に1.5倍延伸した後、380℃にて5分間加熱し、50μm厚のポリイミドフィルムを得た。この方法では、製膜250時間を経過しても、清掃の実施する必要がなかった。
このようにして得られたポリイミドフィルムを200℃に設定された炉の中で15N/mの張力をかけて1.5分間アニール処理を行った。アニール処理後、このポリイミドフィルムにスパッタリングにてニッケル(Ni)/クロム(Cr)=97/3の合金を0.04μm形成し、その後にスパッタリングにて銅(Cu)を0.1μm形成し、銅張り板(CCL)を得た。
このようにして得られた銅張り板を、最小サイズ45μmの表面異物を検出できるカメラにて検査したところ、検出される異物は1m幅×3000m長で平均10個以下であった。
[実施例4]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で95/5/90/10の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中21重量%溶液にして重合し、3500poiseのポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液を図1に示される貯蔵タンク21に入れた。続いて粒径0.04μm未満及び2.0μm以上が排除された平均径0.30μm(測定装置:レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910、堀場製作所製)のリン酸水素カルシウムのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.05重量%添加し、十分攪拌、分散させた。その後このポリアミド酸溶液をマイナス5℃で冷却した後、ポリアミド酸溶液100重量%に対して無水酢酸13重量%とβ−ピコリン13重量%を貯蔵タンク31から送液し、ポリアミド酸溶液と混合して、ポリアミド酸混合液を得た。得られた混合液を、70℃の回転ベルトに50秒流延させ、次いで、スプレー角度65°(0.3MPa時)で3.6L/hr噴射するノズル(相当オリフィス径;0.28mm、流量サイズ:0017、スプレーイングシステムスジャパン社)を使用して、口金43、支持体(回転ドラム)44、ニップロール45、46、エッジカッター55の各箇所に、N,N−ジメチルアセトアミド(100%)を、フィルム製造時間中は継続してスプレー噴霧を行った。スプレー噴霧は、前記ノズルをポリイミドフィルムの製造ラインに22本とりつけてフィルム幅方向全幅の設備に対して行った。
流延させて得られたゲルフィルムを100℃で5分間加熱しながら、走行方向に1.1倍延伸した。次いで幅方向両端部を把持して、270℃で2分間加熱しながら幅方向に1.5倍延伸した後、380℃にて5分間加熱し、25μm厚のポリイミドフィルムを得た。この方法では、製膜500時間を経過しても、清掃の実施する必要がなかった。
このようにして得られたポリイミドフィルムを200℃に設定された炉の中で15N/mの張力をかけて1.5分間アニール処理を行った。アニール処理後、このポリイミドフィルムにスパッタリングにてニッケル(Ni)/クロム(Cr)=97/3の合金を0.04μm形成し、その後にスパッタリングにて銅(Cu)を0.1μm形成し、銅張り板(CCL)を得た。
このようにして得られた銅張り板を、最小サイズ35μmの表面異物を検出できるカメラにて検査したところ、検出される異物は1m幅×3000m長で平均10個以下であった。
上記実施例1〜4の結果から、本発明では、製造を中断して、製造設備を清掃する必要がなく、連続的にポリイミドフィルムを製造することができ、効率よくポリイミドフィルムを製造できることが確認できた。
本発明は、電気及び電子部品材料として用いられるポリイミドフィルムの効率的な製造に有用である。
10 スタティックミキサー
11 混合分散部
12 エレメント
13 被添加液導入部
20 被添加液導入手段
21 貯蔵タンク
22 送液ポンプ
23 送液管
30 添加液導入手段
31 貯蔵タンク
32 送液ポンプ
33 送液管
34 添加ノズル
42 フィルター
43 ダイ(口金)
44 流延支持体
45 ニップロール
46 ニップロール
47 乾燥室
48 熱処理室
49 ゲルフィルム
55 エッジカッター
56 巻き取りロール
57 サポートロール
a 被添加液導入部13の中心軸
b 添加ノズル34の中心軸
c 芯ずれ
d 被添加液導入部13の直径
e 添加ノズル34の長さ
f 添加ノズル34の吐出口の直径

Claims (7)

  1. リアミド酸混合溶液を回転する支持体に口金から連続的に押し出す、又は塗布することによりシート状のフィルムを得る工程(B)を有し工程(B)の完了後にポリイミドフィルムを搬送する設備に溶媒を吹き付ける工程()を含むことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 工程()において、ポリイミドフィルムを搬送する設備が、ニップロール、ピンクリップ及び/又はサポートロールを含む請求項1記載の製造方法。
  3. 記工程(B)で得られたフィルムに溶媒を吹き付けることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 溶媒の吹き付けを、スプレー噴霧により行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. ポリイミドフィルムを搬送する設備及び/又はフィルムに吹き付ける溶媒が、ポリアミド酸を製造する際に用いる溶媒と同じであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 溶媒が、極性溶媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ヘキサメチルスルホルアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール及びヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6記載の製造方法。
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