JP2015160878A - ポリイミドフィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルムTDの寸法変化を低減させることができ、高温加工時での寸法変化を低減させることができるCOF等のファインピッチ回路用基板に好適なポリイミドフィルムを提供すること。【解決手段】パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上の芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1以上の芳香族酸無水物成分とを使用して製造されるポリイミドフィルムを300℃以上450℃以下の温度でアニール処理することによって得られる、島津製作所製TMA−50を使用し、測定温度範囲:50〜200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定したフィルムの機械搬送方向(MD)の線熱膨張係数αMDが2ppm/℃以上10ppm/℃以下の範囲にあり、前記条件で測定した幅方向(TD)の線熱膨張係数αTDが−2ppm/℃以上3.5ppm/℃以下の範囲内にあり、|αMD|≧|αTD|?2.0の関係を満たすことを特徴とするポリイミドフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルム及びその製造方法に関する。
フレキシブルプリント基板や半導体パッケージの高繊細化に伴い、それらに用いられるポリイミドフィルムへの要求事項も多くなっており、例えば金属との張り合わせによる寸法変化やカールを小さくすること、およびハンドリング性の高いことなどが挙げられ、ポリイミドフィルムの物性として金属並の熱膨張係数を有すること及び高弾性率であること、さらには吸水による寸法変化の小さいフィルムが要求され、それに応じたポリイミドフィルムが開発されてきた。
例えば、弾性率を高めるためにパラフェニレンジアミンを使用したポリイミドフィルムの例が知られている(特許文献1〜3)。また、高弾性を保持しつつ吸水による寸法変化を低減させるためパラフェニレンジアミンに加えビフェニルテトラカルボン酸二無水物を使用したポリイミドフィルムの例が知られている(特許文献4、5)。TAB(Tape Automated Bonding)等の高寸法精度を要する用途において、これらのポリイミドフィルムが使用されてきた。
しかしながら、近年は、例えばCOF(Chip on Film)用途で配線とチップとの接合に高温(例えば、350〜400℃)がポリイミドフィルムに直接かかり、それらの温度による熱収縮が大きいため寸法変化の悪化を招くといった課題を抱えていた。また、接着剤の信頼性が向上しそれに伴って接着温度も上がってきているが、それに対しポリイミドフィルムを高温で加工すると寸法変化が大きくなりファインピッチ化要求への対応が困難であった。
さらに、ポリイミドフィルムと金属の貼り合わせ工程での寸法変化を抑えるため、フィルムの機械搬送方向(以下、MDともいう)の熱膨張係数をフィルムの幅方向(以下、TDともいう)の熱膨張係数よりも小さく設定し異方性を持たせたポリイミドフィルムが開発されている(特許文献6)。これは、通常のFPC工程では金属との貼り合わせをロールトゥロールで加熱して行うラミネーション方式が採用されており、この工程でのフィルムのMDにテンションがかかって伸びが生じ、TDには縮みが生じる現象を相殺させることを目的としている。
近年、配線の微細化への対応で、銅貼り積層体は接着剤を用いない2層タイプ(ポリイミドフィルム上に銅層が直接形成)が採用されており、これはフィルム上へのめっき法により銅層を形成させる方法、銅箔上にポリアミック酸をキャストした後イミド化させる方法があるが、いずれもラミネーション方式のような熱圧着工程ではなく、したがって、フィルムのMDの熱膨張係数をTDより小さくする必要は無くなり、さらには2層タイプで主流をしめるCOF用途では、フィルムのTDに狭ピッチで配線されるパターンが一般的で、逆にTDの熱膨張係数が大きいとチップ実装ボンディング時等で配線間の寸法変化が大きくなり、ファインピッチ化要求への対応が困難であった。これに対応するにはフィルムの熱膨張係数をシリコンに近似させるほどに小さくさせるのが理想であるが、銅との熱膨張差異が生じるのでチップ実装のボンディング時をはじめとする加熱される工程によりひずみが生じるという問題があった。
特開昭60−210629号公報 特開昭64−16832号公報 特開平1−131241号公報 特開昭59−164328号公報 特開昭61−111359号公報 特開平4−25434号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果なされたものであり、フィルムTDの寸法変化を低減させることができ、高温加工時での寸法変化を低減させることができるCOF等のファインピッチ回路用基板に好適なポリイミドフィルムの提供を目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上の芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1以上の芳香族酸無水物成分とを使用して製造されるポリイミドフィルムを300℃以上450℃以下の温度でアニール処理することによって、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上の芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1以上の芳香族酸無水物成分とを使用して製造されるポリイミドフィルムを300℃以上450℃以下の温度でアニール処理することによって得られる、島津製作所製TMA−50を使用し、測定温度範囲:50〜200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定したフィルムの機械搬送方向(MD)の線熱膨張係数αMDが2ppm/℃以上10ppm/℃以下の範囲にあり、前記条件で測定した幅方向(TD)の線熱膨張係数αTDが−2ppm/℃以上3.5ppm/℃以下の範囲内にあり、|αMD|≧|αTD|×2.0の関係を満たすことを特徴とするポリイミドフィルム。
[2]アニール処理幅が0.5m以上であって、フィルムの幅方向5cm間隔で測定する全ての点において、幅方向(TD)の寸法が、前記TMA−50を使用して初期温度50℃での寸法を初期長として、昇温速度5℃/分で300℃まで昇温後、降温速度5℃/分で冷却し、50℃に戻ったときの寸法が初期長に対して0.02%以下の収縮量であることを特徴とする前記[1]記載のポリイミドフィルム。
[3]アニール処理幅が1m以上であって、フィルムの幅方向5cm間隔で測定する全ての点において、幅方向(TD)の寸法が、前記TMA−50を使用して初期温度50℃での寸法を初期長として、昇温速度5℃/分で300℃まで昇温後、降温速度5℃/分で冷却し、50℃に戻ったときの寸法が初期長に対して0.02%以下の収縮量であることを特徴とする前記[1]記載のポリイミドフィルム。
[4]幅方向(TD)の線熱膨張係数αTDが−1.5ppm/℃以上3ppm/℃以下の範囲内にあることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
[5]引張弾性率が、4GPa以上である前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
[6]吸水率が、2.5%以下である前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
[7]ポリイミドフィルムが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンとのモル比が50/50〜70/30である芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とのモル比が90/10〜60/40である芳香族酸無水物成分とからなるポリアミド酸から製造される、芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分とのモル比が40/60〜60/40であるポリアミド酸から製造されることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
[8]前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドの有機溶剤溶液もしくは該熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を塗布・加熱・乾燥することにより得られる接着性ポリイミドフィルム。
[9]前記[8]記載の接着性ポリイミドフィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とするフレキシブル金属積層板。
[10]300〜450℃の温度でアニール処理を行うことを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載されたポリイミドフィルムの製造方法。
本発明のポリイミドフィルムは、フィルムTDの寸法安定性が高く、かつ高温加工時でも幅方向の任意の位置での寸法変化を低減することができ、ファインピッチ回路用基板に好適に用いることができる。また、本発明のポリイミドフィルムは、引張弾性率が4.0GPa以上であるため、ファインピッチ回路用基板に好適に用いることができる。さらに、本発明のポリイミドフィルムは、吸水率が2.5%以下であるため、ファインピッチ回路用基板に好適に用いることができる。
本発明のポリイミドフィルムの幅方向(TD)の寸法収縮量の測定条件の概略図である。
本発明のポリイミドフィルムは、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上の芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1以上の芳香族酸無水物成分とを使用して製造されるポリイミドフィルムを300℃以上450℃以下の温度でアニール処理することによって得られるポリイミドフィルムであって、島津製作所製TMA−50を使用し、測定温度範囲:50〜200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定したフィルムの機械搬送方向(MD)の線熱膨張係数αMDが2ppm/℃以上10ppm/℃以下の範囲にあり、前記条件で測定した幅方向(TD)の線熱膨張係数αTDが−2ppm/℃以上3.5ppm/℃以下の範囲内にあり、|αMD|≧|αTD|×2.0の関係を満たすことを特徴とする。
本発明のポリイミドフィルムの機械搬送方向(MD)の熱膨張係数αMDは、通常2.0ppm/℃以上10.0ppm/℃以下の範囲であり、3.0ppm/℃以上9.5ppm/℃以下の範囲がより好ましく、3.5ppm/℃以上9.0ppm/℃以下の範囲がさらに好ましく、4.0ppm/℃以上8.5ppm/℃以下の範囲が特に好ましい。
本発明のポリイミドフィルムの幅方向(TD)の熱膨張係数αTDは、通常−2.0ppm/℃以上3.5ppm/℃以下の範囲にあり、COF用として特に好適である点から、−1.5ppm/℃以上3.0ppm/℃以下の範囲がより好ましく、−1.0ppm/℃以上2.5ppm/℃以下の範囲がさらに好ましく、−0.5ppm/℃以上2.0ppm/℃以下の範囲が特に好ましい。前記範囲を下回ると、強度(例えば、引張伸度等)が劣り、得られるフィルムが割れやすくなるため、好ましくない。αTDを前記範囲内とし、本発明の各構成要素と組み合わせることにより、COF用として、ポリイミドフィルムが接着する相手を問わず(例えば、フィルムが接着する相手が金属(例えば、銅)であっても、ガラスであっても)優れた寸法安定性を有するので、フィルム側の寸法変化の影響を小さく抑えることができ、高繊細のCOF回路基板を設計することが可能である。
本発明における熱膨張係数αMD及びαTDの測定条件は、島津製作所製TMA−50を使用し、測定温度範囲:50〜200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定した値である。
本発明のポリイミドフィルムは、前記αMDと前記αTDについて、通常、|αMD|≧|αTD|×2.0の関係を満たし、好ましくは、|αMD|≧|αTD|×2.5の関係を満たし、より好ましくは|αMD|≧|αTD|×2.8の関係を満たし、さらに好ましくは|αMD|≧|αTD|×3.0以上の関係を満たす。また、特に限定されないが、|αMD|≦|αTD|×50.0の関係を満たすものが好ましく、|αMD|≦|αTD|×30.0の関係を満たすものがより好ましく、|αMD|≦|αTD|×20.0の関係を満たすものがさらに好ましい。αMDとαTDが前記範囲内にあり、前記式の関係を満たすことによって、従来はポリイミドフィルムと貼り合わせる金属(例えば、銅)との熱膨張係数が相違すると、熱膨張係数の差に起因する熱応力の問題が大きく、金属との貼り合わせで寸法変化が問題となると考えられていたが、ポリイミドフィルムを金属(例えば、銅)と貼り合わせた際に、その金属(例えば、銅の線膨張係数は17ppm/℃)の線膨張係数と相違しても、寸法安定性が問題とならない。
本発明のポリイミドフィルムの幅方向(TD)の寸法は、前記TMA−50を使用して初期温度50℃での寸法を初期長(L)として、昇温速度5℃/分で300℃まで昇温後、降温速度5℃/分で冷却し、50℃に戻ったときの寸法(L)が初期長(L)に対する収縮量(L−L)が0.020%以下であることが好ましい。前記測定条件下、収縮量(L−L)を下記式で求めた。測定条件の概略図を図1に示す。
収縮量(%)=(L−L)/L×100
本発明のポリイミドフィルムは、アニール処理幅が0.5m以上の場合、フィルムの幅方向5cm間隔で測定する全ての点において、幅方向(TD)の寸法が、前記TMA−50を使用して初期温度50℃での寸法を初期長として、昇温速度5℃/分で300℃まで昇温後、降温速度5℃/分で冷却し、50℃に戻ったときの寸法が初期長に対して0.020%以下の収縮量であるものが好ましく、0.015%以下の収縮量であるものがより好ましく、0.010%以下の収縮量であるものがさらに好ましい。また、本発明のポリイミドフィルムは、アニール処理幅が1m以上の場合、フィルムの幅方向5cm間隔で測定する全ての点において、幅方向(TD)の寸法が、前記TMA−50を使用して初期温度50℃での寸法を初期長として、昇温速度5℃/分で300℃まで昇温後、降温速度5℃/分で冷却し、50℃に戻ったときの寸法が初期長に対して0.020%以下の収縮量であるものが好ましく、0.015%以下の収縮量であるものがより好ましく、0.010%以下の収縮量であるものがさらに好ましい。寸法収縮量が0.020%を超えるとフィルム製膜時に生じた内部残存応力が充分に解放されていないので、これらが、加熱を有する工程を通過した際に寸法を悪化させ、寸法変化率を悪化させるので好ましくない。
本発明ポリイミドフィルムを得るに際しては、まず芳香族ジアミン成分及び芳香族酸無水物成分を有機溶媒中で重合させることにより、ポリアミック酸溶液(以下、ポリアミド酸溶液ともいう)を得る。以下、ポリアミック酸溶液について説明する。
前記ポリアミック酸溶液に用いられる芳香族ジアミン成分としては、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル以外に、例えば、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3メチル−5アミノフェニル)ベンゼンおよびこれらのアミド形成性誘導体等を加えてもよいが、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上の化合物が好ましく、フィルムの引張弾性率を高める効果のあるパラフェニレンジアミン、ベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミンの量を調整し、最終的に得られるポリイミドフィルムの引張弾性率を4.0GPa以上にすることが、ファインピッチ基板用として、より好ましく、前記化合物のうち、剛構造の芳香族ジアミン成分(パラフェニレンジアミン等)と柔構造の芳香族ジアミン成分(ジアミノジフェニルエーテル類)を含む組み合わせが、適度な柔軟性が得られかつ寸法変化の小さいフィルムが得られる点で特に好ましい。パラフェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを併用する場合、(i)4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルと、(ii)パラフェニレンジアミンとの配合割合は、50/50〜70/30(モル比)が好ましく、55/45〜70/30(モル比)がより好ましく、55/45〜65/35(モル比)がさらに好ましい。
前記芳香族酸無水物成分としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸以外に、例えば、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸及びこれらのアミド形成性誘導体等の酸無水物等を加えてもよいが、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1以上の化合物が好ましい。ピロメリット酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを併用する場合、ピロメリット酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の配合割合は、90/10〜60/40(モル比)が好ましく、88/12〜65/35(モル比)がより好ましく、85/15〜70/30(モル比)が特に好ましい。
本発明のポリイミドフィルムとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンとのモル比が50/50〜70/30である芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とのモル比が90/10〜60/40である酸無水物成分とからなるポリアミド酸から製造されるものが好適な一態様として挙げられる。
本発明において、ポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等のフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、さらに、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素の使用も可能である。
また、ポリアミック酸分子1単位当たりの分子量が420以下であることが好ましい。420を超えると高温350〜400℃での寸法変化並びに熱収縮が大きくなり好ましくない。ここでポリアミック酸分子1単位当たりの分子量とは、芳香族ジアミン成分:芳香族酸無水物成分=1:1とした時の分子量のことをいい、下記式により計算される。
ポリアミック酸分子1単位当たりの分子量
=A(芳香族ジアミン成分)の分子量×全芳香族ジアミン成分の中でのAのモル比率
+B(芳香族ジアミン成分)の分子量×全芳香族ジアミン成分の中でのBのモル比率
+・・・+・・・
+Z(芳香族酸無水物成分)の分子量×全芳香族酸無水物成分の中でのZのモル比率
+Y(芳香族酸無水物成分)の分子量×全芳香族酸無水物成分の中でのYのモル比率
+・・・+・・・
重合方法は公知のいずれの方法で行ってもよく、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)先に芳香族ジアミン成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族酸無水物成分を芳香族ジアミン成分全量と当量(等モル)になるよう加えて重合する方法。
(2)先に芳香族酸無水物成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族ジアミン成分を芳香族酸無水物成分と当量(等モル)になるよう加えて重合する方法。
(3)一方の芳香族ジアミン成分(例えば、剛構造の芳香族ジアミン成分)を溶媒中に入れた後、反応成分に対して芳香族酸無水物成分が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン成分(例えば、柔構造の芳香族ジアミン成分)を添加し、続いて芳香族酸無水物成分を全芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分とがほぼ当量(等モル)になるよう添加して重合する方法。
(4)芳香族酸無水物成分を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族ジアミン成分(例えば、剛構造の芳香族ジアミン成分)が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、芳香族酸無水物成分を添加し、続いてもう一方の芳香族ジアミン成分(例えば、柔構造の芳香族ジアミン成分)を、全芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分とがほぼ当量(等モル)になるよう添加して重合する方法。
(5)溶媒中で一方の芳香族ジアミン成分(例えば、剛構造の芳香族ジアミン成分)と芳香族酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミド酸溶液(A)を調製し、別の溶媒中でもう一方の芳香族ジアミン成分(例えば、柔構造の芳香族ジアミン成分)と芳香族酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させポリアミド酸溶液(B)を調製する。こうして得られた各ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法。この時ポリアミド酸溶液(A)を調製するに際し芳香族ジアミン成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では芳香族酸無水物成分を過剰に、またポリアミド酸溶液(A)で芳香族酸無水物成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では芳香族ジアミン成分を過剰にし、ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせこれら反応に使用される全芳香族ジアミン成分と全芳香族テトラカルボン酸類成分とがほぼ当量(等モル)になるよう調整する。
なお、重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。
こうして得られるポリアミック酸溶液に含まれる固形分は、通常5〜40重量%であり、好ましくは10〜30重量%である。また、ポリアミック酸溶液の粘度は、ブルックフィールド粘度計による測定値で通常10〜2000Pa・sであり、好ましくは100〜1000Pa・sのものが、安定した送液のために好ましく使用される。また、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
次に、得られたポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを得る方法を説明する。
ポリイミドフィルムを製膜する方法としては、ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし熱的に脱環化脱溶媒させてポリイミドフィルムを得る方法(加熱イミド化方法)、およびポリアミック酸溶液に環化触媒及び脱水剤を混合し化学的に脱環化させてゲルフィルムを作製し、これを加熱脱溶媒することによりポリイミドフィルムを得る方法(化学的イミド化方法)が挙げられるが、後者の方が得られるポリイミドフィルムの熱膨張係数を低く抑えることができるので好ましい。また、化学的イミド化法を行う場合は、ポリアミド酸溶液中に触媒・脱水剤を混合させイミド化した後にこの溶液をコーティングしてポリイミドフィルムを得る方法と、ポリアミド酸溶液をコーティングして薄膜化させた後に触媒・脱水剤の混合中に浸漬してイミド化させることによってポリイミドフィルムを得る方法がある。前者の方が厚み方向に均一なポリイミドフィルムが得られるので好ましい。
また、このポリアミック酸溶液は、フィルムの易滑性を得るため必要に応じて、酸化チタン、微細シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及びポリイミドフィラー等の化学的に不活性な有機フィラー又は無機フィラーを含有することができる。前記化学的イミド化方法であれば、環化触媒及び脱水剤の混合前に、ポリアミック酸溶液にフィラーを添加するのが好ましい。フィラーを含有させたポリイミドフィルムの自動光学検査システムでの検査が問題なく適応できる点を考慮して、粒子径0.01μm〜2.0μmのフィラーを使用するのが好ましく、粒子径0.03〜2.0μmのフィラーを使用するのがより好ましい。フィラー添加量については、良好な機械的強度を保持し、十分な易滑性効果を得られる点から、フィルム樹脂重量当たり0.03〜0.90重量%の割合が好ましく、0.05〜0.50重量%がより好ましい。さらに、フィルムは、易滑性効果を高める点から、フィラーを均一に分散されることによって微細な突起を形成させていてもよい。
フィラーの平均粒子径については、十分な易滑性効果を得られる点から、0.05μm以上が好ましく、フィルム表面にフィラーを局在化させないために、0.90μm以下が好ましく、0.07μm以上0.50μm以下がより好ましい。なお、上記粒子径及び平均粒子径は、レーザー回折式粒度分析測定装置:SALD-2200J(島津製作所製)で測定した値である。
上記ポリアミック酸溶液は、環化触媒(イミド化触媒)、脱水剤及びゲル化遅延剤等を含有することができる。
本発明で使用される環化触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミンなどの脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン及びイソキノリン、ピリジン、ベータピコリン等の複素環第3級アミン等が挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種類のアミンを使用するのが好ましい。
本発明で使用される脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物、及び無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられるが、無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましい。
ポリアミック酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法としては、環化触媒及び脱水剤を含有せしめたポリアミック酸溶液をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う。
上記ポリアミック酸溶液は、スリット状口金を通ってフィルム状に成型され、加熱された支持体上に流延され、支持体上で熱閉環反応をし、自己支持性を有するゲルフィルムとなって支持体から剥離される。
上記支持体とは、金属製の回転ドラムやエンドレスベルトであり、その温度は液体または気体の熱媒により及び/又は電気ヒーター等の輻射熱により液体又は気体の熱媒により及び/又は電気ヒーター等の輻射熱により制御される。
上記ゲルフィルムは、支持体からの受熱及び/又は熱風や電気ヒーター等の熱源からの受熱により30〜200℃、好ましくは40〜150℃に加熱されて閉環反応し、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させる乾燥工程を経ることにより自己支持性を有するようになり、支持体から剥離される。
上記支持体から剥離されたゲルフィルムは、通常、回転ロールにより走行速度を規制しながら走行方向に延伸される。機械搬送方向(MD)への延伸倍率(MDX)は、通常1.01〜1.90倍、好ましくは1.05〜1.60倍、さらに好ましくは1.05〜1.40倍で実施される。MD延伸時の温度は、140℃以下であり、好ましくは130℃以下である。MDに延伸されたゲルフィルムは、テンター装置に導入され、テンタークリップに幅方向両端部を把持されて、テンタークリップと共に走行しながら、幅方法へ延伸される。この時フィルムのMDの延伸倍率に比べ幅方向(TD)の延伸倍率を高く設定することによってフィルムTDに配向が勝ったフィルムすなわちフィルムMDには金属に近似した熱膨張係数を保持しつつ、フィルムTDの熱膨張係数を低く抑えたフィルムを得ることができる。幅方向の延伸倍率として、具体的には、幅方向の延伸倍率を機械搬送方向の延伸倍率の通常1.10〜1.50倍であり、1.15〜1.45倍が好ましく、1.20〜1.40倍がより好ましい。
上記の乾燥工程で乾燥したフィルムは、熱風、電気ヒーター等により、加熱処理に供される。加熱処理温度は、250〜500℃が好ましい。加熱処理時間は、15秒から20分程度である。本工程は、TD延伸と同時に行うのが好ましい。
また、走行速度を調整しポリイミドフィルムの厚みを調整するが、ポリイミドフィルムの厚みとしては3〜250μmが好ましい。これより薄くても厚くてもフィルムの製膜性が著しく悪化するので好ましくない。
このようにして得られたポリイミドフィルムをさらに300〜450℃の温度でアニール処理を行うことが好ましい。そうすることによってフィルムの熱リラックスが起こり同温度帯での工程で使用された時にポリイミドフィルムの寸法変化を小さく抑えることができる。具体的には300〜450℃の炉の中を、低張力下にてフィルムを走行させ、アニール処理を行う。炉の中でフィルムが滞留する時間が処理時間となるが、走行速度を変えることでコントロールすることになり、30秒〜5分の処理時間であることが好ましい。これより短いとフィルムに充分熱が伝わらず、また長いと過熱気味になり平面性を損なうので好ましくない。また走行時のフィルム張力は10〜50N/mが好ましく、さらには20〜30N/mが好ましい。この範囲よりも張力が低いとフィルムの走行性が悪くなり、張力が高いと得られたフィルムの走行方向の熱収縮率が高くなるので好ましくない。また、炉内の温度調整のためにフィルム表面へ吹き付けられるエアーの風速は3.5m/秒未満が好ましく、2.5m/秒以下がより好ましい。風速が3.5m/秒以上であると、吹き付けられたエアーの圧力でタルミによる平面性が悪化しやすくなる。また、かかるエアーの風速は1.5m/秒を超える値であることが好ましい。エアーを循環させることで、雰囲気からの伝熱効率があがり、フィルムが均等に熱処理され、結果として、フィルムの残存応力を幅方向で均一に解放することができる。
また、得られたポリイミドフィルムに接着性を持たせるため、公知の方法を用いて、フィルム表面にコロナ処理やプラズマ処理等の電気処理あるいはブラスト処理等の物理的処理を行ってもよい。プラズマ処理を行う場合の雰囲気の圧力は、特に限定されないが、通常13.3〜1330kPaの範囲であり、13.3〜133kPa(100〜1000Torr)の範囲が好ましく、80.0〜120kPa(600〜900Torr)の範囲がより好ましい。
プラズマ処理を行う雰囲気は、不活性ガスを少なくとも20モル%含むものであり、不活性ガスを50モル%以上含有するものが好ましく、80モル%以上含有するものがより好ましく、90モル%以上含有するものが最も好ましい。前記不活性ガスは、He、Ar、Kr、Xe、Ne、Rn、N2及びこれらの2種以上の混合物を含む。特に好ましい不活性ガスはArである。さらに、前記不活性ガスに対して、酸素、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、四塩化炭素、クロロホルム、水素、アンモニア、テトラフルオロメタン(カーボンテトラフルオリド)、トリクロロフルオロエタン、トリフルオロメタン等を混合してもよい。本発明のプラズマ処理の雰囲気として用いられる好ましい混合ガスの組み合わせは、アルゴン/酸素、アルゴン/アンモニア、アルゴン/ヘリウム/酸素、アルゴン/二酸化炭素、アルゴン/窒素/二酸化炭素、アルゴン/ヘリウム/窒素、アルゴン/ヘリウム/窒素/二酸化炭素、アルゴン/ヘリウム、ヘリウム/空気、アルゴン/ヘリウム/モノシラン、アルゴン/ヘリウム/ジシラン等が挙げられる。
プラズマ処理を施す際の処理電力密度は、特に限定されないが、200W・分/m以上が好ましく、500W・分/m以上がより好ましく、1000W・分/m以上が最も好ましい。プラズマ処理を行うプラズマ照射時間は1秒〜10分が好ましい。プラズマ照射時間をこの範囲内に設定することによって、フィルムの劣化を伴うことなしに、プラズマ処理の効果を十分に発揮することができる。プラズマ処理のガス種類、ガス圧、処理密度は上記の条件に限定されず大気中で行われることもある。
このようにして得られる本発明のポリイミドフィルムは、吸水率が通常2.5%以下であり、好ましくは2.4%以下である。また、本発明のポリイミドフィルムは、引張弾性率が通常4.0GPa以上であり、好ましくは5.0GPa以上である。
このようにして得られるポリイミドフィルム及びそれを基材とした銅張積層体は、フィルムのTDへの配向を進ませることで、この方向の熱膨張係数を低く抑えることができ、かつMDの熱膨張係数は金属に近似した値を持ち、また高い引張弾性率を保持しているので、ファインピッチ回路用基板、特にフィルムのTDに狭ピッチに配線されるCOF(Chip on Film)用に好適である。
銅張積層体の銅の形成方法については、ポリイミドフィルム上にスパッタやメッキによって直接銅を形成する方法、ポリイミドフィルム上に接着剤を介して銅箔を張り合わせる方法があるが前者の方が銅厚みを制御でき、また寸法安定面でも有利で、電気特性面でも信頼性が高いので好ましい。
本発明の接着性ポリイミドフィルムは、上述の連続的に生産された特定のポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けることにより得られる。その具体的な製造方法としては、基材フィルムとなるポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、又は接着層をシート状に成形し、これを上記ポリイミドフィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示される。このうち、前者の方法をとる場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、ポリイミドフィルム上に上記接着層を設けることが困難となる場合がある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する有機溶剤溶液を調製して、これを基材フィルムに塗布し、次いで加熱することによりイミド化した後、乾燥する手順をとった方がより好ましい。熱可塑性ポリイミドは公知のものを使用できる。また、前記有機溶剤溶液の調整方法、塗布、加熱及び乾燥方法は、従来公知の方法を使用することができる。
本発明の接着性ポリイミドフィルムに金属箔を貼り合わせることにより、本発明のフレキシブル金属積層板を得ることができる。該フレキシブル金属積層板の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。
本発明の接着性ポリイミドフィルムに貼り合わせる金属箔の金属としては、銅が好適に挙げられる。本発明のフレキシブル金属積層板は、上記のポリイミドフィルム又は接着性ポリイミドフィルムを基材として、その上に、厚みが1〜10μmの金属を形成させることにより得ることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。なお、実施例中PPDはパラフェニレンジアミン、4,4’−ODAは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、PMDAはピロメリット酸二無水物、BPDAは3,3’−4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、DMAcはN,N−ジメチルアセトアミドをそれぞれ表す。
また、実施例中の各特性は次の方法で評価した。
(1)熱膨張係数
島津製作所製TMA−50を使用し、測定温度範囲:50〜200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定した。サンプルサイズは、5mm幅×10mm(測定方向)とし、荷重は25gに設定した。
(2)幅方向(TD)の寸法収縮量
島津製作所製TMA−50を使用して、幅方向(TD)の寸法を測定した。サンプルサイズは、5mm幅×20mm(測定方向:この場合はTD)とし、荷重は5gに設定した。初期温度50℃での寸法を初期長(L)として測定し、続いて昇温速度5℃/分で300℃まで昇温後、降温速度5℃/分で冷却し、50℃に戻ったときの寸法(L)を測定し、初期長(L)に対する収縮量(L−L)を下記式で求めた。測定点は、幅1.1mのフィルムを用いて、幅方向5cm間隔21ヵ所でそれぞれ測定を行い、表1には21ヵ所中の最大値を記した。
収縮量(%)=(L−L)/L×100
(3)引張弾性率
エー・アンド・デイ製RTM−250を使用し、引張速度:100mm/分の条件で測定した。
(4)粒度分布
島津製作所製SALD−2000Jを用い、極性溶媒に分散させた試料を測定した。
(5)吸水率
98%RH雰囲気下のデシケーター内に2日間静置し、乾燥時重量に対しての増加重量%で評価した。
[実施例1]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で75/25/65/35の割合で用意し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%溶液にして重合し、3500poiseのポリアミド酸溶液を得た。
続いて全粒子の粒子径が0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.35μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中89.9体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記で得たポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.4重量%添加し、十分攪拌、分散させた。このポリアミド酸溶液に無水酢酸(分子量102.09)とβ−ピコリンを、ポリアミド酸溶液に対しそれぞれ17重量%、17重量%の割合で混合、攪拌した。得られた混合物を、T型スリットダイより回転する75℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.05mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、2組のニップロールを経て搬送した。その際ステンレス製ドラム(R1)、最初のニップロール(R2)、2番目のニップロール(R3)それぞれの回転速度を変えることで縦延伸を2段階で行い、それぞれの延伸率が表1になるように行った。縦延伸後両端を把持し、加熱炉にて250℃×50秒、400℃×75秒処理し、幅2.2m、厚さ38μmのポリイミドフィルムを得た。横延伸は溶媒を除去する加熱炉を通過時(250℃×50秒)に最大になるように設定した。前記した加熱炉通過時の延伸倍率を最大延伸率とし、加熱炉通過後は、横延伸倍率は低下していく。横延伸率は最大横延伸率のフィルム幅をドラム引き剥がし後のゲルフィルム幅で割った値として求めた。横延伸率を表1に示す。こうして得たフィルムを幅1.1mに半裁し、続いて370℃に設定された炉の中で20N/mの張力をかけて1分間アニール処理を行った。炉内のエアー風速は2.2m/秒に設定した。得られたポリイミドフィルムの各物性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で75/25/60/40の割合で用意し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%溶液にして重合し、3500poiseのポリアミド酸溶液を得た。
以降は、実施例1と同様に行い、得られたポリイミドフィルムの各物性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
アニール処理時の炉内温度を200℃に設定した以外は、実施例1と同様に行い、得られたポリイミドフィルムの各物性を評価した。結果を表1に示す。
上記結果から、本発明のポリイミドフィルムは、高温加熱後のTDの寸法収縮量を小さくすることができることが確認できた。
本発明のポリイミドフィルムは、上記のような特性を有するため、加工性に優れ寸法安定性が高く、フィルムTDの寸法変化を低減させることができ、高温加工時での寸法変化を低減させることができるCOF等のファインピッチ回路用基板に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上の芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1以上の芳香族酸無水物成分とを使用して製造されるポリイミドフィルムを300℃以上450℃以下の温度でアニール処理することによって得られる、島津製作所製TMA−50を使用し、測定温度範囲:50〜200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定したフィルムの機械搬送方向(MD)の線熱膨張係数αMDが2ppm/℃以上10ppm/℃以下の範囲にあり、前記条件で測定した幅方向(TD)の線熱膨張係数αTDが−2ppm/℃以上3.5ppm/℃以下の範囲内にあり、|αMD|≧|αTD|×2.0の関係を満たすことを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. アニール処理幅が0.5m以上であって、フィルムの幅方向5cm間隔で測定する全ての点において、幅方向(TD)の寸法が、前記TMA−50を使用して初期温度50℃での寸法を初期長として、昇温速度5℃/分で300℃まで昇温後、降温速度5℃/分で冷却し、50℃に戻ったときの寸法が初期長に対して0.02%以下の収縮量であることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. アニール処理幅が1m以上であって、フィルムの幅方向5cm間隔で測定する全ての点において、幅方向(TD)の寸法が、前記TMA−50を使用して初期温度50℃での寸法を初期長として、昇温速度5℃/分で300℃まで昇温後、降温速度5℃/分で冷却し、50℃に戻ったときの寸法が初期長に対して0.02%以下の収縮量であることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム。
  4. 幅方向(TD)の線熱膨張係数αTDが−1.5ppm/℃以上3ppm/℃以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  5. 引張弾性率が、4GPa以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  6. 吸水率が、2.5%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  7. ポリイミドフィルムが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び/又は3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンとのモル比が50/50〜70/30である芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とのモル比が90/10〜60/40である芳香族酸無水物成分とからなるポリアミド酸から製造される、芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分とのモル比が40/60〜60/40であるポリアミド酸から製造されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドの有機溶剤溶液もしくは該熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を塗布・加熱・乾燥することにより得られる接着性ポリイミドフィルム。
  9. 請求項8記載の接着性ポリイミドフィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とするフレキシブル金属積層板。
  10. 300〜450℃の温度でアニール処理を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載されたポリイミドフィルムの製造方法。
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