JP2006290997A - 熱硬化性樹脂組成物および該組成物を用いた接着シート並びに銅箔つき接着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 そりやねじれが少ない配線板を提供するものであり,尚且つ信頼性が高い,配線板を提供すること。
【解決の手段】 銅箔と,少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね,加熱加圧により得られる銅張積層板において,銅箔とプリプレグの間に熱硬化性樹脂組成物を介することを特徴とする銅張り積層板の,該熱硬化性樹脂組成物が,20℃における貯蔵弾性率が3GPa以下,20℃での伸びが8%以上の熱硬化性樹脂組成物および,該熱硬化性樹脂組成物をシート状にした接着シート並びに銅箔つき接着シート、並びにこれを用いて通常の工法により作製したプリント配線板及びその製造方法。
【選択図】 なし
【解決の手段】 銅箔と,少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね,加熱加圧により得られる銅張積層板において,銅箔とプリプレグの間に熱硬化性樹脂組成物を介することを特徴とする銅張り積層板の,該熱硬化性樹脂組成物が,20℃における貯蔵弾性率が3GPa以下,20℃での伸びが8%以上の熱硬化性樹脂組成物および,該熱硬化性樹脂組成物をシート状にした接着シート並びに銅箔つき接着シート、並びにこれを用いて通常の工法により作製したプリント配線板及びその製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は,熱硬化性樹脂組成物および該熱硬化性組成物をシート状にした接着シートならびに接着剤つき金属箔,及びそれを用いたプリント配線板,多層配線板,半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージ基板に関する。
近年,電子機器の小型化,軽量化,高速化の要求が高まり,プリント配線板は,薄型化,高密度化が進んでいる。また,昨今の環境に対する影響を懸念して,業界全体として,鉛フリーはんだの採用が進められてきている。
鉛フリーはんだは,従来のはんだよりも,使用温度が高温になるため,リフロー時に基板にかかる温度も高温化している。さらに,プリント配線板は,高密度化により実装部品面積が増え,はんだの接点数も多くなってきており,実装時に基板が反りやすい状況になってきている。加えて,薄型化により,基板の剛性が低下しやすくなっているため,基板がより反りやすい傾向にある。
鉛フリーはんだは,従来のはんだよりも,使用温度が高温になるため,リフロー時に基板にかかる温度も高温化している。さらに,プリント配線板は,高密度化により実装部品面積が増え,はんだの接点数も多くなってきており,実装時に基板が反りやすい状況になってきている。加えて,薄型化により,基板の剛性が低下しやすくなっているため,基板がより反りやすい傾向にある。
このような問題を解決するために,従来の方法では,例えば,特許文献1のように,プリント配線板に用いるプリプレグに使用する,ガラスクロス自体の弾性率が高いものを使用する方法や,プリプレグの樹脂層に無機の充填剤を付与するなどをして,基板自体を高剛性化する方向で考えられてきた。しかし,これらの方法では,ガラスクロス自体が硬くなりすぎるために,加工性に乏しく,また,充填剤を用いる場合には,銅箔との接着強度が低下してしまうといった問題があった。
本発明は公知の方法の不具合点を解消し,そりやねじれが少ない配線板を提供するものであり,尚且つ信頼性が高い,配線板を提供するものである。
本発明は,20℃における貯蔵弾性率が3GPa以下,20℃での伸びが8%以上の熱硬化性樹脂組成物であり,該熱硬化性樹脂組成物を金属層とプリプレグの間に付与する。本発明によると,本層を,そりやねじれに対する緩和層として機能させることができるため,そり,ねじれの少ない配線板を供することができる。
すなわち本発明は、つぎの発明に関する。
<1> 銅箔と,少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね,加熱加圧により得られる銅張積層板において,銅箔とプリプレグの間に熱硬化性樹脂組成物を介することを特徴とする銅張り積層板の,該熱硬化性樹脂組成物が,20℃における貯蔵弾性率が3GPa以下,20℃での伸びが8%以上の熱硬化性樹脂組成物。
<2> <1>記載の熱硬化性樹脂組成物をシート状にした接着シート並びに銅箔つき接着シート。
<3> <1>記載の熱硬化性樹脂組成物の厚さが,0.5μm以上であることを特徴とする接着シート並びに銅箔付き接着シート。
<4> 前記熱硬化性樹脂組成物が(A)エポキシ樹脂,(B)高分子成分,(C)エポキシ樹脂硬化剤,及び(D)硬化促進剤を含むことを特徴とする<1>記載の熱硬化性樹脂組成物。
<5> (B)成分がポリビニルアセタール樹脂,カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂から選択される少なくとも一種からなり,(A)成分100重量部に対し,(B)成分が0.5〜25重量部であり,かつ(C)成分がノボラック型フェノール樹脂または,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする<4>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<6> <4>または(5)記載の熱硬化性樹脂組成物をシート状にした接着シート並びに銅箔つき接着シート。
<7> <6>に記載の接着シートおよび銅箔付き接着シートを用いて,通常の工法により作製したプリント配線板。
<8> <7>に記載のプリント配線板の製造方法。
<1> 銅箔と,少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね,加熱加圧により得られる銅張積層板において,銅箔とプリプレグの間に熱硬化性樹脂組成物を介することを特徴とする銅張り積層板の,該熱硬化性樹脂組成物が,20℃における貯蔵弾性率が3GPa以下,20℃での伸びが8%以上の熱硬化性樹脂組成物。
<2> <1>記載の熱硬化性樹脂組成物をシート状にした接着シート並びに銅箔つき接着シート。
<3> <1>記載の熱硬化性樹脂組成物の厚さが,0.5μm以上であることを特徴とする接着シート並びに銅箔付き接着シート。
<4> 前記熱硬化性樹脂組成物が(A)エポキシ樹脂,(B)高分子成分,(C)エポキシ樹脂硬化剤,及び(D)硬化促進剤を含むことを特徴とする<1>記載の熱硬化性樹脂組成物。
<5> (B)成分がポリビニルアセタール樹脂,カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂から選択される少なくとも一種からなり,(A)成分100重量部に対し,(B)成分が0.5〜25重量部であり,かつ(C)成分がノボラック型フェノール樹脂または,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする<4>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<6> <4>または(5)記載の熱硬化性樹脂組成物をシート状にした接着シート並びに銅箔つき接着シート。
<7> <6>に記載の接着シートおよび銅箔付き接着シートを用いて,通常の工法により作製したプリント配線板。
<8> <7>に記載のプリント配線板の製造方法。
本発明の熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた,接着剤付き金属箔および,フィルムを使用することにより,そりが生じず,十分な引き剥がし強さを持ち,かつ吸湿耐熱性に優れた積層板を作製することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は,(A)エポキシ樹脂,(B)高分子成分,(C)エポキシ樹脂硬化剤を含む。 20℃の貯蔵弾性率が3.0GPa以下で,かつ伸びが8%以上あると,本熱硬化性樹脂組成物が応力緩和層となり,プレスによる硬化時の残留応力による基材の拘束を,この層によって緩和することが出来る。伸びが8%未満だと,緩和層としての働きが劣り,貯蔵弾性率が3.0GPaを超えると,応力を緩和することが出来ず,保持してしまう可能性がある。
(A)成分はノボラック型エポキシ樹脂,又はノボラック型エポキシ樹脂を含むことが望ましい。本発明におけるノボラック型エポキシ樹脂は(A)ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。(A)ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂とは,分子中にビフェニル誘導体の芳香族環を含有したノボラック型のエポキシ樹脂をいい,例えば,式(1):
(式中,pは,1〜5を示す)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。
市販品としては,日本化薬株式会社製のNC−3000S(pが1.7の式(1)のエポキシ樹脂),NC−3000S−H(pが2.8の式(1)のエポキシ樹脂)が挙げられる。
(A)成分のエポキシ樹脂は,ゴム変性エポキシ樹脂と併用して使用することも出来る。ゴム変性エポキシ樹脂は,接着剤用または塗料用として市販されている製品であれば,とくに制限なく使用することができる。
市販品としては,大日本インキ株式会社製のEPICLON TSR−960や,東都化成株式会社製のEPOTOHTO YR−102や,スミエポキシ ESC−500などが挙げられる。
併用するゴム変性エポキシ樹脂の含有量は,全エポキシ樹脂の10〜80重量%がよい。ゴム変性エポキシ樹脂を配合すると,硬化時の伸びが大きくなる他,金属箔表面への接着性が向上する。しかしながら,10重量%以下では,その効果を十分に発揮することができず,80重量%以上では,耐熱性に劣る。30〜70重量%の範囲がより好ましい。
また,ゴム変性エポキシ樹脂は,2種類以上を使用しても良いが,その総量は前述の重量%以内でなければならない。
また,ゴム変性エポキシ樹脂は,2種類以上を使用しても良いが,その総量は前述の重量%以内でなければならない。
(B)成分としてポリビニルアセタール樹脂,カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂から選択される少なくとも一種からなることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂の種類,水酸基量,アセチル基量は特に限定されないが,重合度は1000〜2500のものが好ましい。この範囲にあると,はんだ耐熱性が確保でき,また,ワニスの粘度,取り扱い性も良好である。ここでポリビニルアセタール樹脂の数平均重合度は,たとえば,その原料であるポリ酢酸ビニルの数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定する)から決定することができる。また,カルボン酸変性品などを用いることもできる。
ポリビニルアセタール樹脂は,たとえば,積水化学工業(株)製の商品名,エスレックBX−1,BX−2,BX−5,BX−55,BX−7,BH−3,BH−S,KS−3Z,KS−5,KS−5Z,KS−8,KS−23Z,電気化学工業(株)製の商品名,電化ブチラール4000−2,5000A,6000C,6000EP等を使用することができる。これらの樹脂は単独で,または2種類以上混合して用いることもできる。
(A)成分の100重量部に対し,(B)成分が0.5〜25重量部であることが好ましい。(B)成分が0.5重量部より少ないと,ピール強度や化学粗化後の無電解めっきのピール強度が低く,25重量部を超えるとはんだ耐熱性等や絶縁信頼性が低下するため,好ましくない。特に架橋ゴム粒子とポリビニルアセタール樹脂をそれぞれ1重量部以上であると,金属箔の引き剥がし強さや化学粗化後の無電解めっきの引き剥がし強さが向上し,さらに好ましい。
(C)成分はノボラック型フェノール樹脂であることが好ましく,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂であると金属箔の引き剥がし強さや化学粗化後の無電解めっきの引き剥がし強さが向上し,さらに好ましい。
本発明における,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂とは,ノボラック型フェノール樹脂の主鎖にトリアジン環を含むノボラック型フェノール樹脂を示し,トリアジン環を含むクレゾールノボラック型フェノール樹脂でも構わない。窒素含有量は,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂中,10〜25重量%が好ましく,より好ましくは12〜19重量%である。分子中の窒素含有量がこの範囲であると,誘電損失が大きくなりすぎることもなく,接着補助剤をワニスとする場合に,溶剤への溶解度が適切で,未溶解物の残存量が抑えられる。トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂は,数平均分子量が,500〜600であるものを用いることができる。これらは単独でも,2種以上を組み合せて用いてもよい。
なお,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂は,フェノールとアデヒドとトリアジン環含有化合物を,pH5〜9の条件下で反応させて得ることができる。フェノールに換えクレゾールを用いるとトリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂となる。クレゾールは,o−,m−,p−クレゾールのいずれも使用することができ,トリアジン環含有化合物としてはメラミン,グアナミン及びその誘導体,シアヌル酸及びその誘導体を使用することができる。
市販品としては,大日本インキ化学工業(株)製のトリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂フェノライトEXB−9829(窒素含有量18重量%)が挙げられる。
(D)成分の反応促進剤として,どのようなものを用いても構わないが,潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBF3アミン錯体を配合することが好ましい。接着補助剤の保存安定性,Bステージにした際の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から,2−フェニルイミダゾール,2−エチル−4−メチルイミダゾール,1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテートが好ましい。
(D)成分の配合量は,接着補助剤中の(A)エポキシ樹脂100重量部に対して,0.1〜5重量部の範囲が好ましく,0.3〜1重量部の範囲がより好ましい。これらの範囲にあると,十分なはんだ耐熱性,良好な接着補助剤の保存安定性及びBステージにした際の良好な取り扱い性が得られる。
本発明の接着補助剤には難燃性を向上させるため,(E)フェノール性水酸基含有リン化合物を含有させても良い。
(式中,nが,1の場合,R4は,水素原子,直鎖状若しくは分枝状のアルキル基,シクロアルキル基,アリール基又はアラルキル基であり,nが2の場合,それぞれのR4は独立して,水素原子,直鎖状若しくは分枝状のアルキル基,シクロアルキル基,アリール基又はアラルキル基であるか,2つのR4は,それぞれが結合している炭素原子と一緒になって,非置換又はアルキル基若しくはシクロアルキル基で置換されているベンゼン環を形成し,xは,2以上の自然数である)で示されるような,フェノール性水酸基を含有するリン化合物である。これらは,単独でも,2種以上を組み合せて用いてもよい。
式(2)において,R4が直鎖状若しくは分枝状のアルキル基の場合,C1〜C6アルキル基が好ましく,シクロアルキル基の場合は,C6〜C8シクロアルキル基が好ましい。アリール基の場合,フェニル基が好ましく,アラルキルの場合,C7〜C10アラルキル基が好ましい。xは,2が好ましい。また,式(2)において,nが2であり,2つのR4が,それぞれが結合している炭素原子と一緒になって,2つのR4は,それぞれが結合している炭素原子と一緒になって,非置換又はアルキル基若しくはシクロアルキル基で置換されているベンゼン環を形成する場合は,非置換又はC1〜C4アルキル基若しくはC6〜C8シクロアルキル基で置換されているベンゼン環が好ましい。
(式中,R5は,水素原子,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル基,シクロヘキシル基を表す)で示されるリン化合物が挙げられる。
特に,10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド及びそれらの誘導体が好ましい。
市販品としては,三光株式会社製のHCA−HQが挙げられる。
難燃性を付与する場合,本発明の接着補助剤における,(E)フェノール性水酸基含有リン化合物の配合量は,(A)〜(D)成分の重量の合計中,リン原子換算で,1.5〜3.5重量%の範囲であり,より好ましくは1.8〜2.5重量%の範囲である。配合量がこの範囲にあると,難燃性が良好で,絶縁信頼性に優れ,かつ硬化塗膜のTgが低すぎることもない。
本発明における接着補助剤には信頼性向上のため,(F)無機フィラーを含有していても良い。
本発明における,(E)無機フィラーは,特に限定されないが,シリカ,溶融シリカ,タルク,アルミナ,水酸化アルミニウム,硫酸バリウム,水酸化カルシウム,アエロジル及び炭酸カルシウムが挙げられる。無機フィラーには,分散性を高める等の目的で,これらをシランカップリング剤等の各種カップリング剤で処理したものを含む。これらは,単独でも,2種以上を組み合せて用いてもよい。なお,誘電特性や低熱膨張の点からシリカが好ましい。
(F)成分である無機フィラーの配合量は,(A)〜(E)成分の容積の合計中,5〜35容積%の範囲であることが好ましく,より好ましくは,10〜30容積%である。配合量がこの範囲にあると,熱膨張係数と誘電損失が大きくなることもなく,絶縁層を内層回路上に形成するのに,十分なフローが得られる。なお,本発明の接着補助剤に無機フィラーを分散させるには,例えば,ニーダー,ボールミル,ビーズミル,3本ロール等既知の混練方法を用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には,必要に応じて,顔料,レベリング剤,消泡剤,イオントラップ剤等の添加剤を配合してもよい。
以上のように作製した熱硬化性樹脂組成物は溶剤に希釈してワニスにして,銅箔に塗工する。溶剤としては,アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン類,ベンゼン,キシレン,トルエン等の芳香族炭化水素類,エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類,エチルエトキシプロピオネート等のエステル類,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が挙げられる。これらの溶剤は,単独でも,2種以上を混合して用いてもよい。接着補助剤に対する溶剤の使用量は,特に限定されず,従来から使用されている量とすることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物,及び上記のワニスを,金属箔の片面に塗工し,半硬化させることにより,接着剤つき金属箔が完成する。または,シート状にすることにより,接着シートにすることもできる。
このときの樹脂層の厚みは,0.5μm以上あることが好ましい。0.5μm以下では,応力緩和効果を発揮することが出来ない。また,10μm以上ある場合には,成形時に用いるプリプレグの特性,例えば,加熱加圧後の基板としての弾性率や,Tgなどを著しく低下させる恐れがある。プリプレグの特性を十分に発揮するためには,樹脂層が1〜5μmの範囲内にあることがより好ましい。
このときに用いる銅箔の厚みは,特に限定されるものではない。一般にプリント配線板に用いられている,厚み105μm以下の銅箔で構わないし,ピーラブルタイプの銅箔を用いることもできる。尚,ピーラブルタイプの代わりに,アルミキャリアやニッケルキャリアを有するようなエッチャブルタイプの銅箔を用いることもできる。さらに,一般にプリント配線板に用いられる銅箔には,粗化処理が施されているが,本発明でも,そのような銅箔を用いることが出来るし,また,粗化処理が施されていなくても特にかまわない。
本発明に用いる銅箔には,一般的な銅箔の樹脂接着面に行う防錆処理がなされていることが好ましい。防錆処理は,ニッケル,錫,亜鉛,クロム,モリブデン,コバルトのいずれか,若しくはそれらの合金を用いて行うことができるが,亜鉛及びクロムから選択される少なくとも一種により行われることが好ましい。防錆処理金属の量は,金属の種類によって異なるが,合計で10〜2000μg/dm2が好適である。防錆処理が厚すぎるとエッチング阻害と電気特性の低下を引き起こし,薄すぎると樹脂とのピール強度低下の要因となりうる。
さらに,防錆処理上にクロメート処理層が形成されていると樹脂とのピール強度低下を抑制できるため有用である。
本発明においては,銅箔の最外層にさらにシランカップリング剤が吸着していることが好ましい。シランカップリング剤としては例えば,3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,2-(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性シラン,3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ官能性シラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルフェニルトリメトキシシラン,ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のオレフィン官能性シラン,3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル官能性シラン,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル官能性シラン,3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性シランなどが用いられる。後に塗工する接着補助剤との相性を考えると,分子内にエポキシ基あるいはアミノ基を有することが望ましい。これらは単独で用いることもできるし,複数を混合して用いても良い。
本発明の熱硬化性樹脂組成物をワニスとして,コンマコータやグラビアコータで金属箔やフィルムに塗布する場合は,熱硬化性樹脂組成物の全固形分量が,10〜30重量%となるように溶剤の使用量を調節することが好ましいが,またフィルム形成用の設備にあわせて量を調整することもできる。
以上のような接着剤つき金属箔,および接着シートを用いた基板の製造方法は,接着剤付金属箔,接着シートとプリプレグとは従来公知の方法により積層一体化され,積層板を得ることができる。
以上示した方法により,2層から成る積層板が完成する。以上のように作製したコア基板は導体回路の表面粗さがRz=2.0μm以下であり,コア基板の絶縁層の表面粗さがRz=2.0μm以下であることが電気特性上望ましい。
(実施例1)
下記に示す樹脂組成物Aを作製した。
(樹脂組成物Aの作製)
・ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂,NC3000S−H(日本化薬株式会社製)65重量部
・カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂,KS−23Z(積水化学工業株式会社製)
15重量部
・トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂,フェノライトLA−3018(窒素含有量18%,水酸基当量151,大日本インキ化学工業株式会社製)20重量部
・イミダゾール誘導体化合物,1−シアノエチル−2フェニルイミダゾリウム
トリメリテート,2PZ−CNS(四国化成工業株式会社製)0.3重量部
・溶剤,メチルエチルケトン
下記に示す樹脂組成物Aを作製した。
(樹脂組成物Aの作製)
・ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂,NC3000S−H(日本化薬株式会社製)65重量部
・カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂,KS−23Z(積水化学工業株式会社製)
15重量部
・トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂,フェノライトLA−3018(窒素含有量18%,水酸基当量151,大日本インキ化学工業株式会社製)20重量部
・イミダゾール誘導体化合物,1−シアノエチル−2フェニルイミダゾリウム
トリメリテート,2PZ−CNS(四国化成工業株式会社製)0.3重量部
・溶剤,メチルエチルケトン
(銅箔Aの作製)
幅510mm,厚み12μmの電解銅箔(製品名F0-WS12:古河サーキットフォイル社製。Rz=1.2μm)の光択面に,上記樹脂組成物Aを塗工し金属箔Aを作製した。塗工後は残溶剤が5%以下になるように160℃で10分程度の乾燥を行った。塗工した樹脂組成物Aの厚みは,3.0μmであった。また,樹脂組成物の,20℃での伸びと貯蔵弾性率を測定したところ,それぞれ10.2%と2.1GPaであった。なお,伸びの測定については,測定方法は,IPC-TM-650のNo.2.4.19に準じた。貯蔵弾性率の測定については,測定機は,Rheogel-E4000(UBM社製)を使用して測定した。
幅510mm,厚み12μmの電解銅箔(製品名F0-WS12:古河サーキットフォイル社製。Rz=1.2μm)の光択面に,上記樹脂組成物Aを塗工し金属箔Aを作製した。塗工後は残溶剤が5%以下になるように160℃で10分程度の乾燥を行った。塗工した樹脂組成物Aの厚みは,3.0μmであった。また,樹脂組成物の,20℃での伸びと貯蔵弾性率を測定したところ,それぞれ10.2%と2.1GPaであった。なお,伸びの測定については,測定方法は,IPC-TM-650のNo.2.4.19に準じた。貯蔵弾性率の測定については,測定機は,Rheogel-E4000(UBM社製)を使用して測定した。
日立化成工業株式会社製 ガラス布基材高Tgエポキシ樹脂プリプレグGEA−679F (厚み0.1mm)4枚とその上下に樹脂組成物Aが塗工された面がプリプレグに接するように金属箔Aを積層し,180℃,2.5MPaの条件で1時間プレス成形し,銅張積層板を製造した。
次に,ドライフィルムフォトレジストであるRY−3325(日立化成工業株式会社製,商品名)を,無電解めっき層の表面にラミネートし,電解銅めっきを行う箇所をマスクしたフォトマスクを介して紫外線を露光し,現像してめっきレジストを形成した。
最小回路導体幅/回路導体間隔(L/S)=30/30μmとなるように回路パターンを形成した。
次に,レジスト剥離液であるHTO(ニチゴー・モートン株式会社製,商品名)でドライフィルムの除去を行った。コア基板の絶縁層の表面粗さRz=1.2μmであり,導体回路の表面粗さRz=1.1μmであった。なお,表面粗さはJIS−B−0601に基づき測定した。
(実施例2)
実施例1において,金属箔Aを作製する際,樹脂組成物Aを8μmの厚みに塗布したこと以外は実施例1と同様に基板を作製した。
実施例1において,金属箔Aを作製する際,樹脂組成物Aを8μmの厚みに塗布したこと以外は実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例1)
実施例1において,金属箔Aを積層する代わりにF3WS-12箔を積層したこと以外は実施例1と同様に基板を作製した。
実施例1において,金属箔Aを積層する代わりにF3WS-12箔を積層したこと以外は実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例2)
実施例1において,樹脂組成物Aを0.3μmの厚みに塗布した以外は,実施例1と同様に基板を作製した。
実施例1において,樹脂組成物Aを0.3μmの厚みに塗布した以外は,実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例3)
実施例1において,ポリビニールアセタール樹脂を用いず,NC-3000Hを80部とした以外は,実施例1と同様に基板を作製した。このときの熱硬化性樹脂組成物の20℃での伸びと貯蔵弾性率を測定したところ,それぞれ2.3%と4.0GPaであった。
実施例1において,ポリビニールアセタール樹脂を用いず,NC-3000Hを80部とした以外は,実施例1と同様に基板を作製した。このときの熱硬化性樹脂組成物の20℃での伸びと貯蔵弾性率を測定したところ,それぞれ2.3%と4.0GPaであった。
(そり量の測定)
実施例1〜3,比較例1〜2用の評価サンプルのそり量を測定した。測定方法は,IPC-TM-650のNo.2.4.22.1に準じた。
実施例1〜3,比較例1〜2用の評価サンプルのそり量を測定した。測定方法は,IPC-TM-650のNo.2.4.22.1に準じた。
(導体引き剥がし強さの測定)
実施例1〜3,比較例1〜2用の評価サンプルの導体引き剥がし強さを測定した。引き剥がしは垂直引き剥がし強さを測定した。測定は常に20℃で行った。測定方法は,JIS-C-6481に準じた。
実施例1〜3,比較例1〜2用の評価サンプルの導体引き剥がし強さを測定した。引き剥がしは垂直引き剥がし強さを測定した。測定は常に20℃で行った。測定方法は,JIS-C-6481に準じた。
(吸湿耐熱試験)
実施例1〜3,比較例1〜2用基板及び評価用サンプルの吸湿耐熱試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃,湿度100%,2気圧の条件で2時間処理し,その後260℃のはんだ浴に20秒浸漬して,基板に膨れ等が発生しないかどうかの確認を行った。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC-242を用いた。
実施例1〜3,比較例1〜2用基板及び評価用サンプルの吸湿耐熱試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃,湿度100%,2気圧の条件で2時間処理し,その後260℃のはんだ浴に20秒浸漬して,基板に膨れ等が発生しないかどうかの確認を行った。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC-242を用いた。
(試験結果)
試験結果を表1に示す。実施例1〜3で作製した基板及び評価用サンプルは反り量が少なく,導体引き剥がし強さはすべて0.6kN/m以上と高い値であった。一方比較例1で得られた基板及び評価用サンプルは,そり量が大きかった。
試験結果を表1に示す。実施例1〜3で作製した基板及び評価用サンプルは反り量が少なく,導体引き剥がし強さはすべて0.6kN/m以上と高い値であった。一方比較例1で得られた基板及び評価用サンプルは,そり量が大きかった。
Claims (8)
- 銅箔と,少なくとも1枚以上のプリプレグを重ね,加熱加圧により得られる銅張積層板において,銅箔とプリプレグの間に熱硬化性樹脂組成物を介することを特徴とする銅張り積層板の,該熱硬化性樹脂組成物が,20℃における貯蔵弾性率が3GPa以下,20℃での伸びが8%以上の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物をシート状にした接着シート並びに銅箔つき接着シート。
- 請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物の厚さが,0.5μm以上であることを特徴とする接着シート並びに銅箔付き接着シート。
- 前記熱硬化性樹脂組成物が(A)エポキシ樹脂,(B)高分子成分,(C)エポキシ樹脂硬化剤,及び(D)硬化促進剤を含むことを特徴とする請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
- (B)成分がポリビニルアセタール樹脂,カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂から選択される少なくとも一種からなり,(A)成分100重量部に対し,(B)成分が0.5〜25重量部であり,かつ(C)成分がノボラック型フェノール樹脂または,トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項4または5記載の熱硬化性樹脂組成物をシート状にした接着シート並びに銅箔つき接着シート。
- 請求項6に記載の接着シートおよび銅箔付き接着シートを用いて,通常の工法により作製したプリント配線板。
- 請求項7に記載のプリント配線板の製造方法。
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