JP2007207912A - 金属箔及び接着補助剤付金属箔、及びこれらを用いた金属箔張積層板及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】公知の方法の不具合点を解消し、高い耐電圧特性を保持する配線板を提供するものであり、尚且つ絶縁層との密着性が高い配線板を提供するものである。
【解決手段】絶縁層と金属箔とを備え、前記金属箔は、前記絶縁層と接する面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下であるプリプレグである。
【選択図】なし
【解決手段】絶縁層と金属箔とを備え、前記金属箔は、前記絶縁層と接する面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下であるプリプレグである。
【選択図】なし
Description
本発明は、金属箔及び接着補助剤付金属箔、及びこれらを用いた金属箔張積層板及びプリント配線板に関する。また、本発明は、積層板及びプリント配線板の製造方法に関する。さらに、本発明は、多層配線板、半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージ基板に関する。
従来、プリント配線板の基板として用いられる積層板は、電気絶縁性を有する樹脂をマトリックスとするプリプレグ層等の絶縁体層を所定層数積層し、その片面または両面に金属箔(銅箔)等の導体箔を積層し、加熱圧着して一体化することにより得られる。この金属箔張積層板は、銅箔をエッチングして回路パターンを形成した後に電子部品を搭載して使用していた。このようなプリント配線板に用いられている銅箔は、絶縁体層との接着力を向上させるため、表面に、銅の微細な粒子を析出させる電解析出法によって粗化処理を施して凹凸をつけたものが用いられている。この粗化処理で得られる粗度は、一般箔で十点平均粗さ(Rz)が約6μm以上であり、高密度配線用のエッチング精度の向上を目的として、粗化を小さくしたロープロファイル銅箔でもRzが約2〜4μmである。
近年、電子機器の小型化、軽量化、高速化の要求が高まり、プリント配線板は、薄型化、高密度化が進んでいる。この流れに伴い、厚さが100μm以下と薄い金属箔張積層板も使用されるようになってきた。しかし、金属箔張積層板の絶縁層が薄くなると、銅箔間の絶縁性(耐電圧性)が問題となってくる。絶縁層を薄くした場合は、銅箔の密着力を向上させるために施されている銅箔の微少な凹凸の突起への電解の集中に起因する絶縁破壊に至り易い。また最近、この微少な凹凸を小さくしたロープロファイル銅箔が市販されている。しかし、測定点の平均を表すRzは小さいものの、最大表面粗さRmaxは未だ大きく、この部分に電解の集中が起こり絶縁破壊に至る場合がある。
このような問題を解決するために、従来の方法では、例えば、金属箔表面の粗度の小さいロープロファイル箔を使用したり、低粗度の銅箔にさらに黒化処理を施してさらに細かい凹凸にすることによって、耐電圧特性の向上と絶縁層との密着性を向上させる方法が考えられてきた(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの方法では、粗度は小さく出来るが、表面の細かな凹凸は残存することになり、依然凹凸部による電界の集中は避けられない。また、粗度が小さくなるため、絶縁層との密着性は、従来の金属箔よりも低下してしまうといった問題があった。
特開平6-152087
本発明は公知の方法の不具合点を解消し、高い耐電圧特性を保持する配線板を提供するものであり、尚且つ絶縁層との密着性が高い配線板を提供するものである。
本発明の一実施態様は、表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である金属箔に関する。この金属箔を用いて金属箔張積層板及びプリント配線板としてもよい。また、本願発明の一実施態様は、この金属箔を用いる積層板の製造方法又はプリント配線板の製造方法に関する。
さらに、本願発明の一実施態様によると、金属箔及びこれに接する接着補助剤の層を備え、前記金属箔は表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である接着補助剤付金属箔に関する。この接着補助剤の層は厚さ0.1〜10μmが好ましい。この接着補助剤付金属箔を用いて金属箔張積層板またはプリント配線板としてもよい。また、本発明の一実施態様は、この接着補助剤付金属箔を用いる積層板の製造方法又はプリント配線板の製造方法に関する。
本発明は、金属箔として粗化処理を施していない金属箔、好ましくは、絶縁層と接する面の十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下かつ最大表面粗さ(Rmax)が5μm以下の金属箔を用いる。この金属箔は粗化処理を施さないため、従来の表面の細かな凹凸が存在しない。また、絶縁層との密着力が低いものには、接着補助剤を金属箔と絶縁層の間に付与してもよい。
本発明によると、耐電圧が高く、絶縁層との密着性に優れた積層板及びプリント配線板を作製することができる。また、厚みが100μm以下の薄物金属箔張積層板における耐電圧試験にて不良率を低減し、かつ絶縁層との高い密着性を実現することが可能である。
本発明に用いる金属箔としては、特に限定されるものではないが、例えば銅箔、ニッケル箔、アルミ箔などを用いることができ、通常は銅箔を使用する。銅箔の種類は電解銅箔、圧延銅箔など特に限定されるものではない。また、使用する金属箔の厚みについても、特に限定されるものではない。一般にプリント配線板に用いられている、厚み105μm以下の金属箔で構わないし、ピーラブルタイプの金属箔を用いることもできる。尚、ピーラブルタイプの代わりに、アルミキャリアやニッケルキャリアを有するようなエッチャブルタイプの金属箔を用いることもできる。使用する金属箔の絶縁層と接する面の粗さは、凹凸に起因する電界の集中を避けるため、十点平均粗さ(Rz)が2.0μm以下かつ最大表面粗さ(Rmax)が5μm以下である必要がある。粗さがこれ以上粗くなると、電界の集中が起こる可能性が高くなり、絶縁破壊引き起こしやすくなる。さらに、一般にプリント配線板に用いられる金属箔には、粗化処理が施されているが、より平滑な面にするために、本発明では実質的な粗化処理を行わず、金属箔が足を有さないことを特徴とする。「金属箔が足を有さない」とは、密着性向上を目的とした金属箔の凹凸がないことを意味する。
市販品としては、電解銅箔では古河サーキットフォイル株式会社製のF0-WS箔、株式会社日鉱マテリアルズのHLPB箔、圧延銅箔ではマイクロハード株式会社のZSPC箔などが挙げられる。
本発明に用いる金属箔には、一般的な金属箔の絶縁層接着面に行う防錆処理がなされていることが好ましい。防錆処理は、ニッケル、錫、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルト及びこれらの酸化物のいずれか、若しくはそれらの合金を用いて行うことができるが、亜鉛及びクロムから選択される少なくとも一種により行われることが好ましい。防錆処理金属の量は、金属の種類によって異なるが、合計で10〜2000μg/dm2が好適である。防錆処理が厚すぎるとエッチング阻害と電気特性の低下を引き起こし、薄すぎると樹脂とのピール強度低下の要因となりうる。
さらに、防錆処理上にクロメート処理層が形成されていると樹脂とのピール強度低下を抑制できるため有用である。具体的には六価クロムイオンを含む水溶液を用いて行われる。クロメート処理は単純な浸漬処理でも可能であるが、好ましくは陰極処理で行う。重クロム酸ナトリウム0.1〜50g/L、pH1〜13、浴温0〜60℃、電流密度0.1〜5A/dm2、電解時間0.1〜100秒の条件で行うのが良い。重クロム酸ナトリウムの代わりにクロム酸或いは重クロム酸カリウムを用いて行うことも出来る。
本発明においては、銅箔の最外層にさらにシランカップリング剤が吸着していることが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性シラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ官能性シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のオレフィン官能性シラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル官能性シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル官能性シラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性シランなどが用いられる。後に塗工する接着補助剤との相性を考えると、分子内にエポキシ基あるいはアミノ基を有することが望ましい。これらは単独で用いることもできるし、複数を混合して用いても良い。
本発明の接着補助剤は、熱硬化性樹脂組成物であることが望ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)高分子成分、(C)エポキシ樹脂硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含むことが好ましい。
(A)成分はノボラック型エポキシ樹脂からなるか、又はノボラック型エポキシ樹脂を含むことが望ましい。本発明におけるノボラック型エポキシ樹脂は、ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル誘導体の芳香族環を含有したノボラック型のエポキシ樹脂をいい、例えば、式(1):
(式中、pは、1〜5を示す)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。
市販品としては、日本化薬株式会社製のNC-3000S(pが1.7の式(1)のエポキシ樹脂)、NC-3000S-H(pが2.8の式(1)のエポキシ樹脂)が挙げられる。
(A)成分のエポキシ樹脂は、ゴム変性エポキシ樹脂を併用して使用することも出来る。ゴム変性エポキシ樹脂は、接着剤用または塗料用として市販されている製品であれば、とくに制限なく使用することができる。
市販品としては、大日本インキ株式会社製のEPICLON TSR-960や、東都化成株式会社製のEPOTOHTO YR-102や、スミエポキシ ESC-500などが挙げられる。
併用するゴム変性エポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂の10〜80重量%がよい。ゴム変性エポキシ樹脂を配合すると、硬化時の伸びが大きくなる他、金属箔表面への接着性が向上する。しかしながら、10重量%未満では、その効果を十分に発揮することができず、80重量%を超えるとでは、耐熱性に劣る。30〜70重量%の範囲がより好ましい。
また、ゴム変性エポキシ樹脂は、2種類以上を使用しても良いが、その総量は前述の重量%以内でなければならない。
(B)成分としてポリビニルアセタール樹脂、カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂から選択される少なくとも一種からなることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂及びカルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂の種類、水酸基量、アセチル基量は特に限定されないが、重合度は1000〜2500のものが好ましい。この範囲にあると、はんだ耐熱性が確保でき、また、ワニスの粘度、取り扱い性も良好である。ここでこれらの数平均重合度は、たとえば、その原料であるポリ酢酸ビニルの数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定する)から決定することができる。また、カルボン酸変性品などを用いることもできる。
ポリビニルアセタール樹脂は、たとえば、積水化学工業(株)製の商品名、エスレックBX-1、BX-2、BX-5、BX-55、BX-7、BH-3、BH-S、KS-3Z、KS-5、KS-5Z、KS-8、電気化学工業(株)製の商品名、電化ブチラール4000-2、5000A、6000C等を使用することができる。これらの樹脂は単独で、または2種類以上混合して用いることもできる。
カルボン酸変性ビニルポリアセタール樹脂は、たとえば、積水化学工業(株)製の商品名、エスレックKS-23Z、電化ブチラール6000EP等を使用することができる。
(A)成分の100重量部に対し、(B)成分が0.5〜25重量部であることが好ましい。(B)成分が0.5重量部より少ないと、ピール強度や化学粗化後の無電解めっきのピール強度が低下する場合があり、25重量部を超えるとはんだ耐熱性等や絶縁信頼性が低下する場合がある。特に架橋ゴム粒子とポリビニルアセタール樹脂がそれぞれ1重量部以上であると、金属箔の引き剥がし強さや化学粗化後の無電解めっきの引き剥がし強さが向上し、さらに好ましい。
(C)成分はノボラック型フェノール樹脂であることが好ましく、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂であると金属箔の引き剥がし強さや化学粗化後の無電解めっきの引き剥がし強さが向上し、さらに好ましい。
本発明における、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂とは、ノボラック型フェノール樹脂の主鎖にトリアジン環を含むノボラック型フェノール樹脂を示し、トリアジン環を含むクレゾールノボラック型フェノール樹脂でも構わない。窒素含有量は、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂中、10〜25重量%が好ましく、より好ましくは12〜19重量%である。分子中の窒素含有量がこの範囲であると、誘電損失が大きくなりすぎることもなく、接着補助剤をワニスとする場合に、溶剤への溶解度が適切で、未溶解物の残存量が抑えられる。トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂は、数平均分子量が、500〜600であるものを用いることができる。これらは単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
なお、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂は、フェノールとアデヒドとトリアジン環含有化合物を、pH5〜9の条件下で反応させて得ることができる。フェノールに換えクレゾールを用いるとトリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂となる。クレゾールは、o−、m−、p−クレゾールのいずれも使用することができ、トリアジン環含有化合物としてはメラミン、グアナミン及びその誘導体、シアヌル酸及びその誘導体を使用することができる。
市販品としては、大日本インキ化学工業(株)製のトリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂フェノライトLA-3018(窒素含有量18重量%)が挙げられる。
(D)成分の反応促進剤として、どのようなものを用いても構わないが、潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBF3アミン錯体を配合することが好ましい。接着補助剤の保存安定性、Bステージにした際の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテートが好ましい。
(D)成分の配合量は、接着補助剤中の(A)エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲が好ましく、0.3〜1重量部の範囲がより好ましい。これらの範囲にあると、十分なはんだ耐熱性、良好な接着補助剤の保存安定性及びBステージにした際の良好な取り扱い性が得られる。
本発明の接着補助剤には難燃性を向上させるため、(E)フェノール性水酸基含有リン化合物を含有させても良い。
(式中、nが、1の場合、R4は、水素原子、直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、nが2の場合、それぞれのR4は独立して、水素原子、直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基であるか、2つのR4は、それぞれが結合している炭素原子と一緒になって、非置換又はアルキル基若しくはシクロアルキル基で置換されているベンゼン環を形成し、xは、2以上の自然数である)で示されるような、フェノール性水酸基を含有するリン化合物である。これらは、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
式(2)において、R4が直鎖状若しくは分枝状のアルキル基の場合、C1〜C6アルキル基が好ましく、シクロアルキル基の場合は、C6〜C8シクロアルキル基が好ましい。アリール基の場合、フェニル基が好ましく、アラルキルの場合、C7〜C10アラルキル基が好ましい。xは、2が好ましい。また、式(2)において、nが2であり、2つのR4が、それぞれが結合している炭素原子と一緒になって、非置換又はアルキル基若しくはシクロアルキル基で置換されているベンゼン環を形成する場合は、非置換又はC1〜C4アルキル基若しくはC6〜C8シクロアルキル基で置換されているベンゼン環が好ましい。
(式中、R5は、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基、シクロヘキシル基を表す)で示されるリン化合物が挙げられる。
特に、10−(2、5−ジヒドロキシフェニル)−9、10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド及びそれらの誘導体が好ましい。
市販品としては、三光株式会社製のHCA-HQが挙げられる。
難燃性を付与する場合、本発明の接着補助剤における、(E)フェノール性水酸基含有リン化合物の配合量は、(A)〜(D)成分の重量の合計中、リン原子換算で、1.5〜3.5重量%の範囲であり、より好ましくは1.8〜2.5重量%の範囲である。配合量がこの範囲にあると、難燃性が良好で、絶縁信頼性に優れ、かつ硬化塗膜のTgが低すぎることもない。
本発明における接着補助剤には信頼性向上のため、(F)無機フィラーを含有していても良い。
本発明における、(F)無機フィラーは、特に限定されないが、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、アエロジル及び炭酸カルシウムが挙げられる。無機フィラーには、分散性を高める等の目的で、これらをシランカップリング剤等の各種カップリング剤で処理したものを含む。これらは、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。なお、誘電特性や低熱膨張の点からシリカが好ましい。
(F)成分である無機フィラーの配合量は、(A)〜(E)成分の容積の合計中、5〜35容積%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、10〜30容積%である。配合量がこの範囲にあると、熱膨張係数と誘電損失が大きくなることもなく、絶縁層を内層回路上に形成するのに、十分なフローが得られる。なお、本発明の接着補助剤に無機フィラーを分散させるには、例えば、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練方法を用いることができる。
本発明の接着補助剤には、必要に応じて、顔料、レベリング剤、消泡剤、イオントラップ剤等の添加剤を配合してもよい。
以上のように作製した接着補助剤は溶剤に希釈してワニスにして、銅箔に塗工する。溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、エチルエトキシプロピオネート等のエステル類、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が挙げられる。これらの溶剤は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。接着補助剤に対する溶剤の使用量は、特に限定されず、従来から使用されている量とすることができる。
本発明の接着補助剤、及び上記のワニスを、金属箔の片面に塗工し、半硬化させることにより、接着剤つき金属箔が完成する。
このときの樹脂層の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましい。0.1μm未満では、樹脂層の伸びが発揮されず絶縁層との接着力が著しく低下する。また、10μmを超える場合には、成形時に用いるプリプレグの特性、例えば、加熱加圧後の基板としての弾性率や、Tgなどを著しく低下させる恐れがある。プリプレグの特性を十分に発揮するためには、樹脂層が1〜5μmの範囲内にあることがより好ましい。
本発明の接着補助剤をワニスとして、コンマコータやグラビアコータで金属箔やフィルムに塗布する場合は、接着補助剤の全固形分量が、10〜30重量%となるように溶剤の使用量を調節することが好ましいが、またフィルム形成用の設備にあわせて量を調整することもできる。
以上のような金属箔、及び接着剤つき金属箔を用いた基板の製造方法は、金属箔、接着剤付金属箔とプリプレグとは従来公知の方法により積層一体化され、積層板を得ることができる。また、公知の方法により回路を形成してプリント配線板を得ることができる。
(実施例1)
日立化成工業株式会社製ガラス布基材高Tgエポキシ樹脂プリプレグGEA-679F(厚み0.1mm)1枚とその上下に、幅510mm、厚み12μmの電解銅箔(製品名F0-WS12:古河サーキットフォイル社製。Rz=1.2μm)を積層し、180℃、3.0MPaの条件で1時間プレス成形し、銅張積層板を作製した。
日立化成工業株式会社製ガラス布基材高Tgエポキシ樹脂プリプレグGEA-679F(厚み0.1mm)1枚とその上下に、幅510mm、厚み12μmの電解銅箔(製品名F0-WS12:古河サーキットフォイル社製。Rz=1.2μm)を積層し、180℃、3.0MPaの条件で1時間プレス成形し、銅張積層板を作製した。
(実施例2)
下記に示す樹脂組成物Aを作製した。
下記に示す樹脂組成物Aを作製した。
<樹脂組成物Aの作製>
・ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂、NC3000S-H(日本化薬株式会社製) 65重量部
・カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂、KS-23Z(積水化学工業株式会社製)
15重量部
・トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂、フェノライトLA-3018
(窒素含有量18%、水酸基当量151、大日本インキ化学工業株式会社製) 20重量部
・イミダゾール誘導体化合物、1−シアノエチル−2フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2PZ-CNS (四国化成工業株式会社製) 0.3重量部
・溶剤、メチルエチルケトン
<銅箔Aの作製>
実施例1で使用した電解銅箔の光択面に、上記樹脂組成物Aを塗工し金属箔Aを作製した。塗工後は残溶剤が5%以下になるように160℃で10分程度の乾燥を行った。塗工した樹脂組成物Aの厚みは、3.0μmであった。
・ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂、NC3000S-H(日本化薬株式会社製) 65重量部
・カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂、KS-23Z(積水化学工業株式会社製)
15重量部
・トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂、フェノライトLA-3018
(窒素含有量18%、水酸基当量151、大日本インキ化学工業株式会社製) 20重量部
・イミダゾール誘導体化合物、1−シアノエチル−2フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2PZ-CNS (四国化成工業株式会社製) 0.3重量部
・溶剤、メチルエチルケトン
<銅箔Aの作製>
実施例1で使用した電解銅箔の光択面に、上記樹脂組成物Aを塗工し金属箔Aを作製した。塗工後は残溶剤が5%以下になるように160℃で10分程度の乾燥を行った。塗工した樹脂組成物Aの厚みは、3.0μmであった。
日立化成工業株式会社製ガラス布基材高Tgエポキシ樹脂プリプレグGEA-679F(厚み0.1mm)1枚とその上下に樹脂組成物Aが塗工された面がプリプレグに接するように金属箔Aを積層し、180℃、3.0MPaの条件で1時間プレス成形し、銅張積層板を製造した。
(比較例1)
実施例1において、F0WS-12を積層する代わりにF3WS-12箔(古河サーキットフォイル社製。Rz=3.5μm、厚み12μm、電解銅箔)を積層したこと以外は実施例1と同様に基板を作製した。
実施例1において、F0WS-12を積層する代わりにF3WS-12箔(古河サーキットフォイル社製。Rz=3.5μm、厚み12μm、電解銅箔)を積層したこと以外は実施例1と同様に基板を作製した。
(比較例2)
実施例2において、上記樹脂組成物AをF3WS-12箔(古河サーキットフォイル社製。Rz=3.5μm、厚み12μm、電解銅箔)に塗工し、実施例2と同様に基板を作製した。
実施例2において、上記樹脂組成物AをF3WS-12箔(古河サーキットフォイル社製。Rz=3.5μm、厚み12μm、電解銅箔)に塗工し、実施例2と同様に基板を作製した。
(耐電圧試験)
実施例1,2、比較例1、2用の評価サンプル各々100枚について、IPC-TM-650規格(パラグラフ2.5.7)に準拠し、耐電圧試験を行った結果、表1のようになった。
実施例1,2、比較例1、2用の評価サンプル各々100枚について、IPC-TM-650規格(パラグラフ2.5.7)に準拠し、耐電圧試験を行った結果、表1のようになった。
(導体引き剥がし強さの測定)
実施例1,2、比較例1、2用の評価サンプルの導体引き剥がし強さを測定した。引き剥がしは垂直引き剥がし強さを測定した。測定は常に20℃で行った。測定方法は、JIS-C-6481に準じた。
(吸湿耐熱試験)
実施例1,2、比較例1、2用基板及び評価用サンプルの吸湿耐熱試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃, 湿度100%, 2気圧の条件で2時間処理し、その後260℃のはんだ浴に20秒浸漬して、基板に膨れ等が発生しないかどうかの確認を行った。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC-242を用いた。
実施例1,2、比較例1、2用の評価サンプルの導体引き剥がし強さを測定した。引き剥がしは垂直引き剥がし強さを測定した。測定は常に20℃で行った。測定方法は、JIS-C-6481に準じた。
(吸湿耐熱試験)
実施例1,2、比較例1、2用基板及び評価用サンプルの吸湿耐熱試験を行った。基板の試験は各サンプルを121℃, 湿度100%, 2気圧の条件で2時間処理し、その後260℃のはんだ浴に20秒浸漬して、基板に膨れ等が発生しないかどうかの確認を行った。試験には平山製作所製飽和型PCT装置PC-242を用いた。
Claims (11)
- 表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である金属箔。
- 請求項1の金属箔を備える金属箔張積層板。
- 請求項1の金属箔を備えるプリント配線板。
- 金属箔の表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である金属箔を用いる工程を備える積層板の製造方法。
- 表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である金属箔を用いる工程を備えるプリント配線板の製造方法。
- 金属箔及びこれに接する接着補助剤の層を備え、前記金属箔は表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である接着補助剤付金属箔。
- 前記接着補助剤の層は厚さ0.1〜10μmである請求項6の接着補助剤付金属箔。
- 請求項6又は7の接着補助剤付金属箔を備える金属箔張積層板。
- 請求項6又は7の接着補助剤付金属箔を備えるプリント配線板。
- 金属箔の表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である接着補助剤付金属箔、または表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である金属箔を用いる工程を備える積層板の製造方法。
- 金属箔の表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である接着補助剤付金属箔、または表面の十点平均粗さが2.0μm以下であってかつ最大表面粗さが5μm以下である金属箔を用いる工程を備えるプリント配線板の製造方法。
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JP2006023233A JP2007207912A (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 金属箔及び接着補助剤付金属箔、及びこれらを用いた金属箔張積層板及びプリント配線板 |
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Cited By (1)
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CN115881974A (zh) * | 2023-02-23 | 2023-03-31 | 广州方邦电子股份有限公司 | 一种复合金属箔、电极材料和电池 |
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2006
- 2006-01-31 JP JP2006023233A patent/JP2007207912A/ja active Pending
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