JP2006290981A - 難燃性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Junichi Yoshioka
淳一 吉岡
Nobuyuki Uchida
信幸 内田
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Abstract

【課題】 長期間の耐候性に優れ、表面にブリードが生じない難燃性樹脂組成物及び成形品を提供すること。
【解決手段】 ポリオレフィン、ポリスチレン、ABS樹脂から選ばれた少なくとも1種類の樹脂(A)65〜98.9重量%、ハロゲン系難燃剤(B)1〜30重量%、ピペリジン骨格と炭素数15〜25の直鎖アルキル基を有する光安定剤(C)0.1〜5重量%とを含む難燃性樹脂組成物。上記難燃性樹脂組成物を用いて得られる成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物及びこれを用いて得られる成形品に関する。更に詳しくは、優れた難燃性と耐候性を発現する成形品に関する。
熱可塑性樹脂に難燃剤を溶融混練し、成形品に難燃機能を持たせることは過去にいくつか試みられている。最も一般的にはハロゲン化合物、例えば芳香族含ハロゲン化合物に三酸化アンチモンを併用して難燃剤として使用することにより、樹脂の燃焼時に発生するハロゲン化アンチモンにより火点から酸素を遮蔽し、燃焼を食い止める方法がある。この方法は少量の難燃剤により比較的高い難燃効果が得られることから、家電製品を始め、自動車内装用シート、難燃ポリエチレン電線などに広く使用されている。
また、難燃性樹脂成形品が直射日光に晒される用途、例えばエアコンの室外機部品や洗濯機部品等に使用される場合、樹脂の劣化による成形品の割れ、表面のクラック発生が生じることがあり、適宜紫外線吸収剤や光安定剤を添加する必要がある。
しかしながら一般的に使用されている光安定剤は構造中にN−H基を有しており、難燃剤の分解物として放出された酸性物であるハロゲン化水素が塩基性であるN−H基にトラップされ、光安定剤が本来有しているラジカルトラップ能を著しく低下させてしまい、成形品の耐候性を悪化させてしまうという問題があった。
特許文献1にはポリオレフィン樹脂の難燃性、耐候性向上のため、芳香族臭素化難燃剤に三酸化アンチモンならびに構造中にN−CH3基を有する光安定剤を含有させた技術が開示されている。これは、難燃剤から放出される臭化水素を光安定剤がトラップすることがないため、光安定剤が本来有している性能を低下させることがない。
しかしながら当該光安定剤はN−H基を有している光安定剤に比べるとその耐候性向上効果は低く、より多くの添加が必要となり、組成物ならびに成形品のコストアップや、成形品表面における光安定剤のブリードを招くおそれがある。
特開平11−140236号公報
本発明は、良好な難燃性と共に長期間の耐候性を有する成形品を得ることを課題とする。
即ち、本発明の第1の発明は、ポリオレフィン、ポリスチレン、ABS樹脂から選ばれた少なくとも1種類の樹脂(A)65〜98.9重量%、ハロゲン系難燃剤(B)1〜30重量%、ピペリジン骨格と炭素数15〜25の直鎖アルキル基を有する光安定剤(C)0.1〜5重量%とを含む難燃性樹脂組成物である。
第2の発明は、光安定剤(C)が下記式(1)で表される第1の発明に記載の難燃性樹脂組成物である。
式(1)
Figure 2006290981
(nは1以上の自然数であり、好ましくは6である。)
第3の発明は、第1又は第2の発明に記載の難燃性樹脂組成物を用いて得られる成形品である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン、ポリスチレン、ABS樹脂から選ばれた少なくとも1種類の樹脂(A)65〜98.9重量%、ハロゲン系難燃剤(B)1〜30重量%、ピペリジン骨格と炭素数15〜25の直鎖アルキル基を有する光安定剤(C)0.1〜5重量%とを含むので、生じた難燃剤分解物による影響を抑えてラジカルトラップ能を保てる。よって成形品としたときに難燃性だけでなく長期の耐候性にも優れる。
また、光安定剤(C)が式(1)で表されるので、成形品としたときに更に難燃性だけでなく長期の耐候性にも優れる。
本発明の成形品は、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて得られるので、難燃性だけでなく長期の耐候性にも優れる。
本発明に用いられる樹脂(A)はポリオレフィン、ポリスチレン、ABS樹脂から選ばれた、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂である。
ポリオレフィンとしてはポリプロピレンが好ましく挙げられる。
本発明の難燃性樹脂組成物におけるポリオレフィン、ポリスチレン、ABS樹脂から選ばれた少なくとも1種類の樹脂(A)の配合量は65〜98.9重量%である。
本発明に用いられるハロゲン系難燃剤(B)とは、塩素、臭素、フッ素等のハロゲンを含む難燃剤である。具体的にはヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキサイド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス・ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、エチレンビス・テトラブロモフタルイミド、ジブロモエチル・ジブロモシクロヘキサン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモ・ジフェノキシベンゼン、トリス―(2,3ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレート、ペンタブロモフェノール、ペンタブロモトルエン、ペンタブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルオキシド、含ハロゲンホスフェート、テトラブロモビスフェノールA(以下TBAと略す)ならびにエポキシオリゴマーないしはポリマー、TBAカーボネートオリゴマー、TBA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、TBA−ビス(2,3ジブロモプロピルエーテル、臭素化ポリスチレン、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、塩素化ポリエチレン、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン等が挙げられる。また、これら難燃剤に難燃助剤として三酸化アンチモン、メラミン誘導体、ポリリン酸塩等を使用しても良い。
本発明の難燃性樹脂組成物におけるハロゲン系難燃剤(B)の配合量は1〜30重量%である。
本発明で用いられる光安定剤(C)は、その構造中にピペリジン骨格と炭素数15〜25の直鎖アルキル基を有する。
好ましくは下記式(1)で表される。
式(1)
Figure 2006290981
(nは1以上の自然数であり、好ましくは6である。)
光安定剤(C)のようなN−H型光安定剤は、ピペリジル基を有しないN−CH3型光安定剤に比べ塩基性が強いため、光安定剤としての性能はN−CH3型光安定剤より優れていると考えられる。
光安定剤(C)のようなN−H型光安定剤は、炭素数15〜25の直鎖アルキル基を有していることから、ハロゲン系難燃剤(B)の分解物であるハロゲン化水素が光安定剤に接近しても直鎖アルキル基が立体障害となりN−H基にトラップされない。したがって光安定剤が本来有している塩基性を温存できるものと考えられる。
ピペリジン骨格を有するN−H型光安定剤であってもビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等は、炭素数15〜25の直鎖アルキル基を有しないため、上記のような塩基性を温存できない。
本発明の難燃性樹脂組成物における、光安定剤(C)の配合量は0.1〜5重量%である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に各種フィラーを混練させる方法を用いて製造することが可能である。例えばバンバリーミキサー等のバッチ式混練機や単軸および2軸押出機、タンデム型混練機、コニーダー等の連続式混練機を用いることで達成される。
本発明の難燃性樹脂組成物は、マスターバッチでもコンパウンドでもよい。
混練の際には顔料を始めとし、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等の普遍的用いられるプラスチック添加剤や、無機フィラーを含有させることも可能である。
顔料としては、チタンホワイト、チタンイエロー、ジスアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、ポリアゾイエロー、ポリアゾレッド、キナクリドンレッド、DPPレッド、ペリレンレッド、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、弁柄、群青、ジオキサジンバイオレット、カーボンブラック、鉄黒等を1種乃至はそれ以上用いることができる。
酸化防止剤としては樹脂加工時の熱劣化防止のためフェノール系、リン系、硫黄系、ラクトン系からなる酸化防止剤を単独または複合化して添加することができる。
また、前述の光安定剤の他、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン、ヒンダートアミン、ベンゾトリアゾール、ニッケルクエンチャーからなる化合物を用いることができる。
帯電防止剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系があるが、一般的には耐熱性の良いノニオン系の帯電防止剤が好んで使用される。また、近年開発されたポリマー型の永久帯電防止剤を用いることも可能である。
無機フィラーを含有させることにより、成形品の剛性や耐熱性を向上させることが可能である。具体的にはタルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、シリカ等が挙げられ、成形品の剛性や耐熱変形性の向上を主目的として添加することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物を成形することにより本発明の成形品が得られる。
以下に実施例、比較例を記す。材料については表1、組成と評価試験の結果は表2〜4に記載した。
[実施例1、比較例1〜2]
ポリプロピレン、難燃剤を主成分とした表2に示す組成の各配合物をヘンシェルミキサーで3分間混合し、シリンダー温度200℃に設定したL/D=32のベント口付き2軸押出機にて溶融混練した。
押出機出口には直径3mmの穴のあいたダイを装填し、ストランド状の混練物をロータリーカッターで長さ3mmのペレットに造粒し、難燃コンパウンドを製造した。
難燃コンパウンドを、設定温度200℃の射出成形機を用いて厚さ3mmの平板を製造した。
平板をUL−94垂直燃焼試験で規定された試験片に切削し、難燃性を測定しランキングした。
また、JIS K7110に準拠したアイゾット衝撃試験を実施した。
更に、ブラックパネル温度63℃、スプレー時間/全照射時間=18分/120分の条件のサンシャイン・ウエザー・オ・メーターにて4000時間曝露した試験片についてもアイゾット衝撃試験を実施した。
Figure 2006290981
Figure 2006290981
Figure 2006290981
Figure 2006290981
[表2〜4の説明]
実施例、比較例を対比すると、いずれの樹脂系においても光安定剤−1を配合した成形品が、同量の他の光安定剤配合系に比べ高い耐候性を示すことがわかる。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン、ポリスチレン、ABS樹脂から選ばれた少なくとも1種類の樹脂(A)65〜98.9重量%、ハロゲン系難燃剤(B)1〜30重量%、ピペリジン骨格と炭素数15〜25の直鎖アルキル基を有する光安定剤(C)0.1〜5重量%とを含む難燃性樹脂組成物。
  2. 光安定剤(C)が下記式(1)で表される請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
    式(1)
    Figure 2006290981
    (nは1以上の自然数であり、好ましくは6である。)
  3. 請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物を用いて得られる成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014240463A (ja) * 2013-06-12 2014-12-25 東洋スチレン株式会社 スチレン系難燃性樹脂組成物及びそれを用いた成形体

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