JP2006290300A - ワイパピボット - Google Patents

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Abstract

【課題】 ピボットレバーのリンク機構との連結部分に対する被水を防止又は効果的に軽減でき、しかも、ピボット孔からの異物の侵入を防止又は効果的に軽減できるワイパピボットを得る。
【解決手段】 本ワイパピボット10では、ピボット孔からの枯葉等の異物の侵入を防止するために防水カバー60に設けられた円板部68が、ピボットシャフトの回転半径方向に沿ってピボットレバーを被覆する平板部70の側方で平板部70に連続して形成されている。このため、ピボット孔からピボットレバーへ向けて落下した雨水が、円板部68に干渉されることなく平板部70に到達し、平板部70上をつたって排水ゲート88から排水される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、車両のウインドシールドガラス等を払拭するワイパ装置を構成するワイパピボットに関する。
車両に搭載されるワイパ装置は、ワイパピボットを構成するピボットホルダに回動自在に軸支されていると共に、車両のカウルトップパネルに形成されたピボット孔を貫通した先端側にアームヘッドやワイパアームを介してワイパブレードが機械的に連結されている。
モータの駆動力がピボットシャフトに伝えられることで、ピボットシャフトが自らの軸周りに往復回動すると、ワイパブレードに設けられたブレードラバーが車両のウインドシールドガラス等の被払拭面上を往復回動して被払拭面を払拭する。
一方で、このようなワイパピボットでは、雨天時に雨水がピボット孔から浸入するが、この水がワイパ装置の駆動源やピボットシャフトを往復回動させるためのリンク機構の連結部分(ボールジョイント部)に飛水すると電気的トラブルやグリス切れ等の不具合が発生する可能性がある。
このため、下記特許文献1や特許文献2では、ピボットシャフトを回動自在に軸支するピボットホルダ(特許文献1では軸ステーと称している)の上端側と、このピボットホルダの上端側でピボットシャフト(特許文献1ではワイパ軸と称している)に固定されてピボットシャフトと上記のリンク機構とを連結するピボットレバー(特許文献1では揺動アームと称している)とを防水カバーによって被覆している。
防水カバーのピボットレバー側の端部からはピボットシャフトの軸方向上方へ向けて案内リブや案内部と称される壁部が立設されており、ピボット孔から防水カバー上に落下した雨水が、ピボットレバーへ向けて流れると、案内リブや案内部に干渉されてピボットレバーの幅方向外方(すなわち、ピボットシャフトからリンク機構との連結部分への向きに対して交差した方向)へ雨水の向きが変えられて排水される。これにより、雨水がリンク機構との連結部分に到達することを防止している。
一方で、上記のピボット孔からは、枯葉等の異物が侵入する可能性もあり、しかも、このようにピボット孔から侵入した異物は侵入してカウルパネル上で腐敗することがある。カウルパネルの近傍には、車両のエアコンディショナの吸気口が設けられており、この吸気口の近傍で上記のように異物が腐敗すると、異臭が車両の室内に取り込まれてしまい、車両の乗員に不快感を与える可能性がある。
そこで、下記特許文献3に開示された技術では、異物侵入防止用のプレートをピボット孔の下側近傍でピボットシャフトに設けている。
実開平4−24860号公報 特開2000−225925公報 特開平11−301419号公報
しかしながら、特許文献3に開示されているようなプレートを、特許文献1や特許文献2に開示されているような防水カバーよりもピボットシャフトの軸方向先端側に設けると、ピボット孔から落下した雨水は防水カバーに到達する前にプレートに到達してしまう。
このように雨水がプレートに到達した状態でピボットシャフトと共にプレートが回動すると、遠心力で雨水がプレートの回転半径方向外方へ撒き散らされてしまい、これによって、ピボットレバーのリンク機構との連結部分が被水する可能性がある。
本発明は、上記事実を考慮して、ピボットレバーのリンク機構との連結部分に対する被水を防止又は効果的に軽減でき、しかも、ピボット孔からの異物の侵入を防止又は効果的に軽減できるワイパピボットを得ることが目的である。
請求項1に記載の本発明に係るワイパピボットは、車体を構成するパネル部材に形成されたピボット孔を前記車体の内側から貫通し、前記パネル部材の表側へ突出した先端側にワイパアームが固定されるピボットシャフトと、前記車体に固定されて前記ピボットシャフトを回動自在に支持するピボットホルダと、前記ピボットホルダの軸方向先端側で前記ピボットシャフトに一端が固定されると共に、駆動手段の駆動力を受けて揺動するリンク部材の連結部が他端に連結されて前記リンク部材の揺動を前記ピボットシャフトに伝えるピボットレバーと、前記ピボットレバーの前記ピボット孔側に装着されて前記ピボットレバーを被覆する被覆部を有すると共に、当該被覆部をつたって流れる水を前記連結部とは別の位置へ案内して排水する排水案内部が形成され、且つ、前記ピボットシャフトの軸線方向を軸方向とした半径方向外側へ向けて前記被覆部から延出され、前記ピボット孔から侵入しようとする異物に干渉して前記異物の侵入を規制する異物侵入阻止部を有する防水カバーと、を備えている。
請求項1に記載の本発明に係るワイパピボットによれば、ピボットホルダの先端側は、防水カバーの被覆部によって被覆される。雨天時や洗車時等、車体を構成するパネル部材に形成されたピボット孔から浸入し被覆部に付着した水滴は被覆部をつたって流れる。このように被覆部をつたって流れる水は、防水カバーの排水案内部によってピボットレバーとリンク部材との連結部とは別の位置に案内されて排水される。これにより、この連結部への被水が防止又は効果的に軽減される。
ところで、本発明に係るワイパピボットでは、ピボットホルダの先端側でピボットレバーがピボットシャフトに固定される構造であるため、ピボット孔に対してピボットレバーが比較的近接配置される。したがって、ピボットレバーのピボット孔側を被覆する防水カバーもピボット孔に対して近接配置される。
このようにピボット孔に対して近接配置される防水カバーに着目し、防水カバーの被覆部からは、ピボットシャフトの軸線を中心とした半径方向外側へ向けて異物侵入阻止部が延出されており、枯葉等の異物がピボット孔からパネル部材の内側へ侵入しようとすると、異物が異物侵入阻止部に干渉され、これにより、異物に進入が阻止される。
また、防水カバーは、上記のように、ピボットシャフトの軸線を中心とした半径方向外側へ向けて被覆部から異物侵入阻止部が延出された構造であるので、従来のようにピボット孔からピボットレバーへ向かって流れ落ちた水が、被覆部よりも先に異物侵入阻止部に到達してしまいピボットレバーの回動によって周囲に撒き散らされて、ピボットレバーとリンク部材との連結部位が被水してしまうといったことが防止される。このようにピボットレバーへ向かって流れ落ちた水は円滑に被覆部上をつたって排水案内部に案内されて排水される。
しかも、上記のように、異物侵入阻止部が被覆部から延出形成されている構造であるため、部品点数が増加することがない。
請求項2に記載の本発明に係るワイパピボットは、請求項1に記載の本発明において、前記異物侵入阻止部の外周縁から前記ピボットシャフトの軸方向先端側へ向けて干渉壁を立設した、ことを特徴としている。
請求項2に記載の本発明に係るワイパピボットでは、防水カバーの異物侵入阻止部に干渉されて侵入が阻止された異物が、例えば、車両走行時の振動等で異物侵入阻止部の外側へ移動して異物侵入阻止部の外周縁に到達すると、この異物侵入阻止部の外周縁から立設された干渉壁に干渉される。
これにより、これ以上異物侵入阻止部の外側へ異物が移動することが規制される。このため、異物の侵入を更に効果的に防止又は軽減できる。
請求項3に記載の本発明に係るワイパピボットは、請求項2に記載の本発明において、 前記異物侵入阻止部の外周縁に沿って前記干渉壁を連続して形成すると共に、前記連結部側で前記干渉壁を部分的に切り欠き若しくは前記干渉壁に開口を形成することで形成した開放部を介して前記干渉壁の半径方向内側を前記排水案内部に連通させた、ことを特徴としている。
請求項3に記載の本発明に係るワイパピボットでは、干渉壁が開放部を除いて異物侵入阻止部の外周縁に沿って連続して形成される。このため、ピボット孔を通過して異物侵入阻止部に到達した水(雨水等)が異物侵入阻止部の外側へ流れ出ずに干渉壁の内側に留まる。このため、防水カバーがピボットシャフトと共に回動しても、遠心力で異物侵入阻止部上の水が回動半径方向外方へ撒き散らされることがない。
一方で、干渉壁には開放部が形成される。開放部はピボットレバーとリンク部材との連結部側で干渉壁を切り欠き若しくは干渉壁に開口を形成することで形成され、この開放部を介して干渉壁の半径方向内側と外側とが連通している。したがって、干渉壁の内側に留まった水は開放部から干渉壁の外側に流れる。
さらに、開放部は干渉壁の半径方向内側と排水案内部とが連通しているため、開放部から干渉壁の外側に流れた水は排水案内部によってピボットレバーとリンク部材との連結部とは別の位置に案内されて排水される。これにより、この連結部への被水が防止又は効果的に軽減される。
請求項4に記載の本発明に係るワイパピボットは、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の本発明において、前記ピボットホルダに対して前記ピボットレバーの前記連結部が下側に位置するように前記ピボットホルダの軸線が傾斜した状態で前記ピボットホルダを前記車体に固定すると共に、前記ピボットシャフトの側から前記連結部の側へ流れる前記水に干渉して前記水の流速を減速させる堰部を前記防水カバーに設けた、ことを特徴としている。
請求項4に記載の本発明に係るワイパピボットによれば、ピボットホルダは軸線が傾斜した状態で車体に固定される。さらに、本発明に係るワイパピボットにでは、このように固定されたピボットホルダに対してピボットレバーのリンク部材との連結部が下側に位置する。したがって、防水カバー上ではピボットシャフト側からピボットレバーとリンク部材との連結部側へ向けて水が流れようとする。
ここで、防水カバーには堰部が設けられており、上記のようにピボットシャフト側からピボットレバーとリンク部材との連結部側へ向けて防水カバー上を流れる水に堰部が干渉する。このように水が堰部に干渉されることで水の流速が減速される。
これにより、過剰な勢いで水が流れても、上記のように水が減速されることで、水を排水案内部に向かわせることができ、勢いで水がピボットレバーとリンク部材との連結部へ向かい、連結部が被水することを防止又は効果的に軽減できる。
請求項5に記載の本発明に係るワイパピボットは、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の本発明において、前記ピボットホルダの先端よりも前記ピボットシャフトの先端側で前記ピボットシャフトの外周面に液密に密着して被覆部内部との間をシールするシール部を前記防水カバーに設けた、ことを特徴としている。
請求項5に記載の本発明に係るワイパピボットによれば、防水カバーに設けられたシール部が、ピボットホルダの先端よりもピボットシャフトの先端側でピボットシャフトの外周面に密着しているため、ピボットシャフトをつたって流れる水が、シール部により被覆部内部に浸入することが防止される。これにより、被覆部内部に水が浸入して更にピボットシャフトとピボットホルダとの間に浸入することが防止される。
請求項6に記載の本発明に係るワイパピボットは、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の本発明において、前記ピボットレバーの一端から他端への向きに沿った前記ピボットレバーの中心線を軸に、前記防水カバーを線対称形状に形成した、ことを特徴としている。
請求項6に記載の本発明に係るワイパピボットでは、防水カバーがピボットレバーの一端から他端への向きに沿ったピボットレバーの中心線を軸に線対称に形成される。このため、排水案内部もピボットレバーの中心線を軸として両側に線対称に設けられる。
防水カバーがピボットシャフトやピボットレバーと共にピボットシャフト周りに往復回動した際には、往動時において排水案内部の一方の側から水が案内排水され、復動時には排水案内部の他方の側から水が案内排水される。
請求項7に記載の本発明に係るワイパピボットは、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の本発明において、前記被覆部よりも下側で前記ピボットホルダを囲繞するスカート部を、前記被覆部から下方へ延出して形成した、ことを特徴としている。
請求項7に記載の本発明に係るワイパピボットでは、防水カバーの被覆部の下側からスカート部が延出され、ピボットホルダがスカート部によって囲繞される。このため、スカート部の外側から水がピボットホルダ先端部へ滴り落ちることが防止され、ピボットホルダとピボットシャフトとの間に水が浸入することを防止する。
<本実施の形態の構成>
図1には本発明の一実施の形態に係るワイパピボット10を適用した車両12の要部の構成が断面図によって示されている。
なお、この図1において矢印UP方向は水平面に車両12を載置した際の車両上方(鉛直上方)を示し、矢印DW方向は水平面に車両12を載置した際の車両下方(鉛直下方)を示す。また、矢印LE方向は水平面に車両12を載置した際の水平方向を示す。
図1に示されるように、本ワイパピボット10は、ピボットホルダ14を備えている。ピボットホルダ14は全体的にアルミニウム合金や亜鉛合金等をダイカスト成形することで形成されている。
ピボットホルダ14は固定片16を備えている。固定片16は車両12の表面側で車体を構成するパネル部材としての車両パネル18と、この車両パネル18の下側で車体を構成するカウルパネル20との間に配置されている。固定片16はその長手方向中間部にて厚さ方向にクランク状に屈曲されており、その一端には図示しない透孔が固定片16の厚さ方向に貫通している。
この透孔に対応してカウルパネル20には図示しない透孔が形成されている。これらの透孔の貫通方向(図1の矢印L1方向)はその車両12の上下方向(図1の矢印UP方向及び矢印DW方向)に対して水平方向(図1の矢印LE方向)に所定角度θ1だけ傾斜しており、互いに同軸的に対向している。
また、固定片16の透孔22には筒状のゴムマウント26が貫通した状態で設けられており、更に、ゴムマウント26には固定ボルト28が貫通している。
固定ボルト28は上記のカウルパネル20側の透孔を貫通しており、固定ボルト28の先端(下端)にナット30が螺合することで、固定片16がカウルパネル20に固定されている。固定片16の他端部にはピボットホルダ14のホルダ本体32が形成されている。
ホルダ本体32は略円筒状に形成されており、その軸方向(図1のL2方向)は車両12の上下方向(図1の矢印UP方向及び矢印DW方向)に対して水平方向(図1の矢印LE方向)に所定角度θ2だけ傾斜している。ホルダ本体32にはピボットシャフト36が挿通されており、ピボットシャフト36はその軸線L2周りにホルダ本体32に回転自在に軸支されている。
ピボットシャフト36はその先端側がホルダ本体32の先端(上端)から突出しており、更に、ホルダ本体32の上方で車両パネル18に形成されたピボット孔38を貫通して車両の外側へ突出している。ピボット孔38から突出したピボットシャフト36の先端にはワイパアーム40の長手方向基端側を貫通しており、ピボットシャフト36の先端に装着されたナット42によってワイパアーム40がピボットシャフト36に固定されている。
ワイパアーム40の先端側にはワイパブレード(図示省略)が機械的に連結されており、ワイパアーム40がピボットシャフト36と共に回動することでワイパブレードに設けられたブレードラバーが被払拭面としてのウインドシールドガラス44のガラス面上を回動し、ウインドシールドガラス44のガラス面を払拭する。
一方、ピボットシャフト36にはピボットレバー46が一体的に固定されている。ピボットレバー46はホルダ本体32の先端と車両パネル18との間に設けられている。
ピボットレバー46の先端側下面には連結部を構成する連結ピン48が設けられている。連結ピン48にはボール軸受50がピボットシャフト36の軸方向と略同方向を軸方向とする軸周りに回転自在に装着されている。ボール軸受50には本ワイパピボット10と共にワイパ装置を構成するリンク部材(図示省略)に連結されている。
また、ピボットレバー46の先端側上面には連結部を構成する連結ピン52が設けられている。連結ピン52にはボール軸受54がピボットシャフト36の軸方向と略同方向を軸方向とする軸周りに回転自在に装着されている。ボール軸受54には本ワイパピボット10と共にワイパ装置を構成するリンク部材(図示省略)に連結されている。
ボール軸受50、54の何れかに連結されたリンク部材は、直接又は間接的に駆動手段としてのワイパモータ(図示省略)に機械的に連結されており、ワイパモータの駆動力によりリンク部材が揺動すると、このリンク部材の揺動がボール軸受50又はボール軸受54を介してピボットレバー46の先端側へ伝えられ、ピボットレバー46がピボットシャフト36の軸心L2周りに揺動し、更に、ピボットシャフト36が往復回動する。
このように、ピボットレバー46は、ピボットシャフト36側から先端部(連結部)側へ向けて下り勾配となるように延出されている。
一方、ピボットホルダ14の先端(上端)側には防水カバー60が装着されている。ここで、図2には防水カバー60の斜視図が示されており、図3には図1とは異なる方向からの防水カバー60の斜視図が示されている。
図2及び図3に示されるように、防水カバー60は筒状部62を備えている。筒状部62は内径寸法がピボットシャフト36の外径寸法よりも大きな円筒形状に形成されており、ピボットレバー46よりもピボットシャフト36の先端側でピボットシャフト36に被嵌されている。
ピボットシャフト36の先端(上端)側を向いた筒状部62の上端部には上底壁64が形成されている。上底壁64はピボットシャフト36の先端(上端)側へ向けて漸次外径寸法が小さくなる円錐台形状で、筒状部62に対して同軸的に形成されている。上底壁64は少なくとも最大外径寸法が筒状部62の外径寸法よりも大きく、上底壁64は筒状部62の半径方向外方へフランジ状に張り出している。
上底壁64には内径寸法がピボットシャフト36の外径寸法に略等しい円形の透孔66が、筒状部62の内外周に対して同軸的に形成されており、透孔66の内周部にピボットシャフト36の外周部が接した状態(密着した状態)で透孔66をピボットシャフト36が貫通している。
一方、上底壁64とは反対側の筒状部62の下端部には異物侵入阻止部としての円板部68が形成されている。円板部68は全体的に外径寸法が筒状部62の外径寸法よりも十分に大きな円板状で、筒状部62に対して同軸的に形成されている。
円板部68の外周一部からは、被覆部としての平板部70が連続して形成されている。平板部70は防水カバー60をピボットシャフト36及びピボットホルダ14に装着した際に、ピボットシャフト36の回転半径方向に沿ってピボットレバー46の延出方向へ向けて円板部68の外周部から延出されており、防水カバー60をピボットシャフト36及びピボットホルダ14に装着した状態では、少なくとも、ピボットレバー46のピボット孔38との対向側を、円板部68と平板部70が覆っている。
円板部68及び平板部70の下面(ピボット孔38とは反対側の面)にはスカート72が形成されている。スカート72は、筒状部62の軸方向に沿って高さ方向とされた壁部で、図5の底面図に示されるように、円板部68に対する平板部70の延出方向へ向けて開口した略U字形状に形成されている。
スカート72の内幅寸法D1は、円板部68の外径寸法D2よりも十分に小さいが、ホルダ本体32の外径寸法D3以上とされている。防水カバー60をピボットシャフト36及びピボットホルダ14に装着した状態では、スカート72は、ホルダ本体32の上端部近傍でホルダ本体32の外周部を覆うと共に、ピボットレバー46の基端側の周囲を覆っている。
スカート72の平板部70側には一対の規制片74が形成されている。これらの規制片74は、スカート72の底面視形状をU字形状とみなした場合のスカート72の開口端で、ピボットレバー46の幅方向に互いに対向するように設けられている。図7の背面図に示されるように、これらの規制片74の間隔D4はピボットレバー46の幅寸法D5よりも僅かに大きく設定されている。
また。規制片74の下端部(規制片74の平面部76とは反対側の端部)からは、両規制片74の対向方向に沿った内方側へ向けて爪部75が延出されている。これらの爪部75の間隔D6は、ピボットレバー46の幅寸法よりも小さく、防水カバー60がピボットレバー46に装着された状態では規制片74の間でピボットレバー46が位置し、両爪部75によってピボットレバー46の下面側に係合することで防水カバー60が係止される。これにより、防水カバー60、特に平板部70側がピボットレバー46から外れようとするのを防止する。
一方、図4に示されるように、円板部68には平面部76が形成されている。平面部76は、円板部68の一部を構成している。平面部76は円板部68の半径方向に沿って平板部70とは反対側では、曲率中心が筒状部62と略同心の半円形状に形成されている。
また、平板部70は、平面視においてその延出方向に長手の矩形状(長方形状)に形成され、その短手方向の幅寸法D7は平面部76の半円形状部分の直径寸法となっている。
平板部70は、この平面部76の矩形状の部分から連続して形成されており、平面部76と面一とされている。
円板部68の半径方向に平面部76の外側には斜面部78が形成されている。円板部68において斜面部78は、筒状部62から円板部68の半径方向外側へ傾斜した下り勾配の斜面とされており、この斜面部78では円板部68の肉厚が漸次薄くなっている。
また、図4の平面図に示されるように、斜面部78は、平板部70の幅方向中央部を通過する仮想線S1を軸とした線対称形状に形成されている。
さらに、円板部68の外周縁には干渉壁としての周壁80が一体に形成されている。周壁80は円板部68に対して同心のリング状で、円板部68の外周部から、より詳しくは、斜面部78の更に外周部から筒状部62の軸方向上端側へ向けて立設されている。
周壁80には開放部82が形成されている。開放部82は周壁80の平板部70の側に形成されており、この開放部82が形成された部分では周壁80がその周方向に連続していない(すなわち、周壁80は、平板部70の側で部分的に切り欠かれた欠円環状に形成されている)。
さらに、周壁80の周方向に沿った開放部82側の両端部の間隔D8は、平板部70の幅寸法D7よりも小さく設定されており、更に、周壁80の周方向両端は、平板部70の幅方向中央から等間隔となるように設定されている(すなわち、周壁80は、仮想線S1を軸とする線対称に形成されている)。
図6の側面図に示されるように、周壁80は、所定の部位、例えば、筒状部62の軸方向及び上記の仮想線S1双方に対して直交する方向に沿った仮想線S2との交差位置Pの近傍から、開放部82へ向けて漸次高さ寸法(すなわち、筒状部62の軸方向に沿った)寸法が増大している。
また、円板部68の外周部のうち、斜面部78の外周部が占める部分では、周壁80の内周部と斜面部78との間の空間は遊水部84とされている。
一方、平板部70の先端部(すなわち、円板部68とは反対側の端部)は、円板部68とは反対側へ張り出すように湾曲しており、この平板部70の先端部からは、排水案内部を構成するガイド壁86が筒状部62の軸方向に沿った上端側へ向けて立設されている。また、ガイド壁86は、周壁80と同様に仮想線S1を軸する線対称形状に形成されている。
さらに、ガイド壁86の各端部と周壁80の各端部との間は排水案内部を構成する排水ゲート88とされており、ガイド壁86の両側に排水ゲート88が設定されている。
また、周壁80の周方向両端部とガイド壁86との間には、堰部90が平板部70から筒状部62の軸方向上端側へ向けて立設されている。堰部90は平板部70の幅方向に沿って長手の壁部で、その長手方向両端部は平板部70の幅方向中央から略等位置にある(すなわち、堰部90もまた周壁80やガイド壁86と同様に仮想線S1を軸とする線対称形状に形成されている)。
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
例えば、雨天時等にワイパモータを作動させると、上記のように、ボール軸受50、54に連結されたリンク部材のうち、ワイパモータに連結された方が揺動する。このリンク部材の揺動がピボットレバー46の先端側へ伝えられると、ピボットレバー46がピボットシャフト36の軸心周りに揺動し、ピボットシャフト36が往復回動する。
ピボットシャフト36が往復回動することで、ピボットシャフト36の先端に連結されたワイパアーム40が往復回動し、更に、ワイパアーム40に連結されたワイパブレードがウインドシールドガラス44のガラス面上を往復回動する。
このように、ウインドシールドガラス44のガラス面上をワイパブレードが往復回動することで、ワイパブレードに設けられてウインドシールドガラス44のガラス面に圧接されているブレードラバーによってウインドシールドガラス44のガラス面が払拭される。
一方、このような雨天時には、例えば、車両パネル18に付着した雨水が、車両パネル18の表面の傾斜によって車両パネル18の表面上を流れてピボット孔38に到達すると、雨水がピボット孔38の内周縁から落下する。しかしながら、ピボットレバー46には、防水カバー60が装着されてピボットレバー46が被覆されているため、雨水はピボットレバー46に直接降りかかることはない。
また、防水カバー60は、円板部68がピボット孔38に臨んで近接して配置されているので、ピボット孔38から浸入した雨水は円板部68にて大半が受け止められる。そして、この円板部68にて受け止められた雨水は、ピボットレバー46がピボットシャフト36側から先端部(連結部)側に向けて下り勾配となっているため、開放部82から平板部70上をピボットレバー46の先端部に向けて流れる。
平板部70を更に流れると堰部90に到達して、堰部90によって雨水が干渉される。堰部90からの干渉を受けた雨水は、その流れの向きを堰部90によって強制的に平板部70の幅方向外方側へ変えられて排水ゲート88に向かい、排水ゲート88から平板部70の幅方向外方へ排水される。
このように、本実施の形態では、ピボットレバー46へ向けて落下する雨水は、ピボットレバー46と同じ軸方向位置に配置された平板部70及びその平板部70と略面一に形成された円板部68により受け止められて排水ゲート88から排水されるため、不用意に雨水が撒き散らされてピボットレバー46の連結部が被水してしまうことを防止できる。
ところで、防水カバー60は、両規制片74がピボットレバー46に係止されることでピボットレバー46から、特に先端部側が被覆状態から外れてしまうことが防止される。したがって、上記のようにピボットレバー46及びピボットシャフト36が往復回動すると、防水カバー60もまたピボットシャフト36と一体的に往復回動する。
円板部68上の雨水には、防水カバー60が往復回動する際の遠心力が作用し、勢いよく開放部82からガイド壁86へ向かうことがある。しかしながら、このように勢いよくガイド壁86へ雨水が向かったとしても、堰部90に干渉されることで勢いが減衰される。
したがって、仮に、雨水が堰部90を乗り越えても、流速が十分に減速されるので、ガイド壁86によって向きが変えられて排水ゲート88へより確実に向かわせることができ、排水ゲート88から平板部70の幅方向外方へ排水される。
一方、ワイパアーム40の基端部近傍に付着した雨水がピボットシャフト36をつたってピボット孔38から浸入する場合がある。この場合、防水カバー60の筒状部62において上底壁64に形成された透孔66の内周部がピボットシャフト36の外周部に液密に密着しているため、筒状部62の内側への雨水の浸入が防止(シール)され、ピボットシャフト36の先端側から防水カバー60内部のピボットレバー46に雨水が到達して被水してしまうことを防止している。
一方、上記のように、上底壁64の外周部から落下した雨水や、筒状部62の外周部をつたって下降する雨水は円板部68の平面部76上に到達する。また、雨水が車両パネル18に付着することなくそのままピボット孔38を通過した場合にも円板部68の平面部76に雨水が到達することがある。
上記のように、ピボットシャフト36は車両12の上下方向(図1の矢印UP方向及び矢印DW方向)に対して水平方向(図1の矢印LE方向)にθ2の角度で傾斜しているため、筒状部62の軸方向や平面部76の面の向きも同様に傾斜し、ピボットレバー46のリンク部材との連結部(または、開放部82)に向けて傾斜角度θ2の下り勾配が設定される。このため、雨水は自重により流れ、開放部82を通過する。
平板部70に到達した雨水は、平板部70に落下した雨水と同様に堰部90に干渉されることで流速が十分に減速され、ガイド壁86によって確実に流れの方向が平板部70の幅方向外方側へ変えられて排水ゲート88に向かい、排水ゲート88から平板部70の幅方向外方へ排水される。
また、上記のように防水カバー60が回動することにより円板部86上の雨水に遠心力が作用すると、開放部82へ向かわないこともある。このように開放部82へ向かわない雨水は、斜面部78の外周縁に沿って周壁80が形成されているため、周壁80にて受け止められて遊水部84に留まり、遠心力で円板部68の外側へ撒き散らされることが防止される。
さらに、防水カバー60が、車両12の上下方向に対して水平方向にθ2の角度で傾斜しているため、遊水部84に留められた雨水は自重で開放部82へ向かい流れる。
また、雨水が自重で遊水部84から抜け出せなくとも、上記のように防水カバー60がピボットシャフト36と共に回動することで、遊水部84内の雨水は周壁80に沿ってその周方向に移動する。このように、雨水が移動することで遊水部84から雨水が抜け出て自重によって開放部82へ向かう。
さらに、上記のように、排水ゲート88は、平板部70の幅方向中央を通過する仮想線S1を軸に線対称に設けられているため、防水カバー60がピボットシャフト36と共にピボットシャフト36の軸心周りの一方、他方の何れに回動しても、何れかの排水ゲート88から確実に雨水が排水される。
このように、本実施の形態では、平面部76に落ちた雨水は、不用意に撒き散らされることなく、ピボットレバー46と上記の各リンク部材との連結位置、すなわち、連結ピン48、52が設けられている位置とは異なる位置である排水ゲート88から確実に排水される。このため、連結ピン48、52が被水することがない。このため、連結ピン48、52が雨水に被水することで、連結ピン48、52周りに塗布された潤滑油脂が流れ出してリンク部材との連結部位が磨耗してしまうといったことが防止される。
また、上記のように雨水は排水ゲート88からピボットレバー46の長手方向基端部近傍でピボットレバー46の幅方向側方に排水されるが、円板部68や平板部70の下面に形成されたスカート72が、円板部68や平板部70の下側でピボットホルダ14やピボットレバー46を覆っている。このため、排水ゲート88から排水された雨水がピボットホルダ14やピボットレバー46に被水することがない。
一方、車両パネル18上には雨水ばかりでなく枯葉等の異物が落ちることがあり、このように車両パネル18上に落ちた枯葉が風圧等でピボット孔38に到達すると、ピボット孔38を通過して落下しようとする。しかしながら、本実施の形態では、ピボットレバー46はピボットホルダ14の先端側にてピボットシャフト36に固定され、そのピボットレバー46に防水カバー60が装着されているため、車両パネル18のピボット孔38に近接して防水カバー60が配置される。しかも、防水カバー60には、ピボットシャフト36の軸線を中心とする径方向に円板部68が延出形成され、ピボットシャフト36に対向して配置されている。
このため、ピボット孔38を通過しようとする異物は直ちに円板部68によりその侵入が阻まれる。これにより、異物がピボット孔38を通過して車両パネル18の内部に侵入することを防止でき、車両パネル18の表面側からピボット孔38に入り込もうとした異物を容易に摘み上げて除去できる。
また、上記のように円板部68がピボット孔38に接近して設けられるため、車両パネル18の裏面と円板部68との間隔が狭い。このため、ピボット孔38に入り込んだ異物が円板部68の半径方向外方側へ移動して円板部68の外周部に到達することが困難である。しかも、円板部68の外周縁には周壁80が立設形成されているので、例えば、ピボット孔38から侵入しようとして円板部68にその侵入を阻まれた枯葉などの異物が、車両12の走行時の振動などで円板部68の半径方向外方へ移動しても、周壁80にて異物の移動が規制される。このように、雨水の周囲への撒き散らしを効果的に防止する周壁80により、異物の侵入をも効果的に防止することができる。
また、上記のように、防水カバー60は、本実施の形態では、上記のように連結ピン48、52に対する被水を防止するための構成と、カウルパネル20上(車両パネル18の内部)に枯葉等の異物が落下して溜まるのを防止するための構成とが一体となっているため、防水カバーとは別に異物の侵入を阻止するための構成を設ける場合に比べて部品点数を軽減でき、コストも安価にできる。
なお、本実施の形態では、開放部82を除いて周壁80を円板部68の外周縁に沿って連続して形成した。しかしながら、例えば、円板部68の外周縁に沿って周壁80を断続的に形成する構成であっても枯葉等の異物に干渉して円板部68の外側へ落下することを防止又は抑制する点だけを考えるならば、その機能を果たし得る。
本発明の一実施の形態に係るワイパピボットを適用した車両の要部の断面図である。 本発明の一実施の形態に係るワイパピボットの防水カバーの斜視図である。 図2とは異なる向きからの防水カバーの斜視図である。 防水カバーの平面図である。 防水カバーの底面図である。 防水カバーの側面図である。 防水カバーの背面図である。
符号の説明
10・・・ワイパピボット、12・・・車両、14・・・ピボットホルダ、18・・・車両パネル(パネル部材)、20・・・カウルパネル、36・・・ピボットシャフト、38・・・ピボット孔、46・・・ピボットレバー、60・・・防水カバー、68・・・円板部(異物侵入阻止部、被覆部)、70・・・平板部(被覆部)、72・・・スカート、76・・・平面部(異物侵入阻止部、被覆部)、78・・・斜面部(異物侵入阻止部)80・・・周壁(干渉壁)、82・・・開放部、86・・・ガイド壁(排水案内部)、88・・・排水ゲート(排水案内部)、90・・・堰部

Claims (7)

  1. 車体を構成するパネル部材に形成されたピボット孔を前記車体の内側から貫通し、前記パネル部材の表側へ突出した先端側にワイパアームが固定されるピボットシャフトと、
    前記車体に固定されて前記ピボットシャフトを回動自在に支持するピボットホルダと、
    前記ピボットホルダの軸方向先端側で前記ピボットシャフトに一端が固定されると共に、駆動手段の駆動力を受けて揺動するリンク部材の連結部が他端に連結されて前記リンク部材の揺動を前記ピボットシャフトに伝えるピボットレバーと、
    前記ピボットレバーの前記ピボット孔側に装着されて前記ピボットレバーを被覆する被覆部を有すると共に、当該被覆部をつたって流れる水を前記連結部とは別の位置へ案内して排水する排水案内部が形成され、且つ、前記ピボットシャフトの軸線方向を軸方向とした半径方向外側へ向けて前記被覆部から延出され、前記ピボット孔から侵入しようとする異物に干渉して前記異物の侵入を規制する異物侵入阻止部を有する防水カバーと、
    を備えるワイパピボット。
  2. 前記異物侵入阻止部の外周縁から前記ピボットシャフトの軸方向先端側へ向けて干渉壁を立設した、
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイパピボット。
  3. 前記異物侵入阻止部の外周縁に沿って前記干渉壁を連続して形成すると共に、前記連結部側で前記干渉壁を部分的に切り欠き若しくは前記干渉壁に開口を形成することで形成した開放部を介して前記干渉壁の半径方向内側を前記排水案内部に連通させた、
    ことを特徴とする請求項2に記載のワイパピボット。
  4. 前記ピボットホルダに対して前記ピボットレバーの前記連結部が下側に位置するように前記ピボットホルダの軸線が傾斜した状態で前記ピボットホルダを前記車体に固定すると共に、
    前記ピボットシャフトの側から前記連結部の側へ流れる前記水に干渉して前記水の流速を減速させる堰部を前記防水カバーに設けた、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のワイパピボット。
  5. 前記ピボットホルダの先端よりも前記ピボットシャフトの先端側で前記ピボットシャフトの外周面に液密に密着して被覆部内部との間をシールするシール部を前記防水カバーに設けた、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のワイパピボット。
  6. 前記ピボットレバーの一端から他端への向きに沿った前記ピボットレバーの中心線を軸に、前記防水カバーを線対称形状に形成した、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のワイパピボット。
  7. 前記被覆部よりも下側で前記ピボットホルダを囲繞するスカート部を、前記被覆部から下方へ延出して形成した、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のワイパピボット。
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