JP2006289834A - 記録装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 効率よく、適切な予測処理を選択することで最低限の処理時間でプリント実行できるようにする。
【解決手段】 現在のサブインクタンク内インク残量の保持手段と、これから行う印字又は回復動作における使用インク量を予測する一つ又は複数のそれぞれに予測誤差精度の異なる使用インク量予測手段と、前記サブタンク内インク残量と前記予測インク量とから導き出される予測誤差に関する要求精度を求める手段と、前記予測精度を満たす予測手段を漸次選択する手段とを備え、予測されたインク使用量がサブタンク内インク残量を超える場合には、メインタンクにサブタンクを接続してインクの補給を行うことを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、記録剤の供給タイミングを制御する記録装置及びその制御方法に関する。
記録装置は、記録媒体に対して記録を行うため、インク等の記録剤が必要となるが、その供給方式として、インク供給が必要な場合のみ、本体内のタンク(メインタンク)とキャリッジ上のタンク(サブタンク)を結合し供給を行うオンデマンド供給方式がある。
一般に実用に供する場合にはサブタンクにある程度の容量(たとえば降るアドレスのデータで1〜2ページ以上)を保持し、インクの現象に伴ってメインタンクから適宜補給するという方法がとられる。
このようなインクジェット記録装置でのインク補充タイミングの制御方法として、次回印刷するデータを先読みし、カウントしたドロップ数と現在サブタンクに残っているインク量を比較し、サブタンクのインク量が少ない場合に供給を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、この際の画像展開の処理にかかる時間をさらに節約し、より簡単な処理によって使用するインクドロップ数を予測する方法として、プリント時にあらかじめ指定される画像内容に関する属性情報を参照して、ここからあらがね予測されるドロップ数を用いてインクの供給の要否判断を行うという技術がさらに提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平7−32606号公報 特開2002−59569号公報
しかしながら、近年のプリンタの処理機能向上やプリンタが処理可能なデータフォーマットの多様化においては、これらの技術が想定していたものよりもさらに複雑なレイアウトのプリント処理を行うことが近年多くなりつつある。
例えば、デジタルカメラや携帯電話等と接続してさまざまな画像ソースを用いてプリント行う際には、インデックスレイアウトやシールレイアウト、さらにはホームページレイアウトなどのように任意のレイアウトに従ってプリントを行わなければならないケースも増えてきており、この場合には特にページ上に複数の画像・文字・図形オブジェクトが配置されることから単純に画像の属性情報のみによって印刷される画像内容を推定することが困難となってきている。
当然のことながら、こうした複数のオブジェクトをページ内に配置するレイアウトに於いてこれらのオブジェクト全てを展開して先読み処理を行い、より正確な予測使用インク量を算出する処理については、通信インタフェースの速度などの問題から、大幅にプリント時間を増大させる結果を招くことになり、プリント動作自体が実用に耐えない時間にわたって行われてしまう可能性が生まれてしまう。
特にデジタルカメラなどの画像ソース作成機器の記録解像度の増大と画像品質の向上によって、画像データ等のデータサイズも増大の一途をたどっており、これを複数配置するインデックスレイアウトなどに於いては、画像データの読み込みだけでも膨大な時間を必要としてしまうなどの問題が発生してきている。
一方で、通常のプリントにおいて、1ページの印刷にかかる時間は短縮の傾向をたどっており、単にインクの節約やサブタンク内のインク量の確保のために、このように長時間の処理を必要とする処理を行うことはユーザにとってデメリットであり、製品仕様として採用することができない状況となってきている。
さらに近年のインクジェットプリンタ製品における高画質化、多色化の動きは、プリンタ制御におけるインク管理のための吸引、ワイピングなどのヘッドノズルのメニスカスコントロールやヘッドフェース面の状態管理、およびインクの蒸発や固着などを防ぐための回復動作を複雑なものとしつつあり、こうした動作におけるインク消費量の計算・計測は個々の回復処理ごとに独立に行われている。
こうしたことは、サブタンク内部のインク残量の予測または計測が、多くのモジュール化された回復動作にまたがって行われなければならないことを示しており、これらのインクを消費する多くの動作を加味した上での高精度なサブタンク内インク残量の推定・計測方法の確立が困難となっている状況を作り出している。
そこで、本発明の目的は、プリント時間の増大を防ぎながら効率的なインクの供給処理のスケジューリングを行うことにある。
本発明の記録装置は、印刷記録剤であるインクを保持するメインインクタンクと、印刷記録ヘッド上に搭載された小容量のインクを保持するサブインクタンクとを有し、前記サブインクタンクは必要に応じて前記メインインクタンクに接続し、インクの補給を行う機構をもつ記録装置であって、現在のサブインクタンク内インク残量の保持手段と、これから行う印字又は回復動作における使用インク量を予測する一つ又は複数のそれぞれに予測誤差精度の異なる使用インク量予測手段と、前記サブタンク内インク残量と前記予測インク量とから導き出される予測誤差に関する要求精度を求める手段と、前記予測精度を満たす予測手段を漸次選択する手段とを備え、予測されたインク使用量がサブタンク内インク残量を超える場合には、メインタンクにサブタンクを接続してインクの補給を行うことを特徴とする。
本発明の記録装置の制御方法は、印刷記録剤であるインクを保持するメインインクタンクと、印刷記録ヘッド上に搭載された小容量のインクを保持するサブインクタンクとを有し、前記サブインクタンクは必要に応じて前記メインインクタンクに接続し、インクの補給を行う機構をもつ記録装置の制御方法であって、これから行う印字又は回復動作における使用インク量を予測する一つ又は複数のそれぞれに予測誤差精度の異なる使用インク量予測ステップと、現在のサブタンク内インク残量と前記予測インク量とから導き出される予測誤差に関する要求精度を求めるステップと、前記予測精度を満たす予測手段を漸次選択するステップとを含み、予測されたインク使用量がサブタンク内インク残量を超える場合には、メインタンクにサブタンクを接続してインクの補給を行うことを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記記録装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記プログラムを記録したことを特徴とする。
本発明によれば、プリント時間の増大を防ぎながら効率的なインクの供給処理のスケジューリングを行うことが可能となる。
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタのハードウェア構成を示す図である。ここで用いた記録装置はいわゆるシリアルスキャン型の記録装置であり、記録媒体の送り方向に対して直行する方向(主操作方向)に記録ヘッドスキャンして操作画像を形成する。まず印字時の動作の概略を説明する。まず給紙モータ5によりギヤを介して駆動される給紙ローラ6によって記録媒体が搬送される。キャリッジモータ3によりキャリッジユニット2を紙送りと直行方向にスキャンさせ一定のバンド幅を印字し、紙送りを行い、さらに次のバンド幅に付いて印字を行う構成となっている。ただしこのようなシリアルスキャン印字の場合には必要に応じて1スキャンでの紙送りを行わず、複数スキャン印字を行ってから紙送りを行う場合もあるし、1スキャンごとに所定のマスクによって間引かれたデータを印字し1/nバンド前後の紙送りを行い再度印字を行うことによって複数回の印字スキャンと紙送りによって画像を完成させる方法も実現されている。
図2において、122は外部デバイスとの通信インタフェースであり、123に示すデジタルカメラやPCホストとの通信を行って画像などのデータの送受信を行う。MPU102はこのインタフェースを介してデバイスの制御のほかに主にプリント時に参照するオブジェクト情報の受信を行うとともに、コンソール106の制御、及びキャリッジがホーム位置にあることを検出するホーム位置センサ107よりの信号を入力している。MPU(マイクロプロセッシングユニット)102は、制御用ROM105に記憶された制御プログラムに従って、このインクジェットプリンタ装置内の各部を制御する。103は受信した信号を蓄えたり、或いはMPU102のワークエリアとして使用され、各種データを一時的に記憶するためのRAMである。104はフォント発生用ROMで、コード情報に対応して文字や記録等のパターン情報を記憶しており、入力したコード情報に対応して各種パターン情報を出力する。又、121はROM104等により展開されたデータを記憶するためのプリントバッファメモリであって、m行分の容量を持つ。105はMPU2が実行する処理手順が格納されている制御用ROMである。これらの各部は、アドレスバス117およびデータバス118を介して、MPU102によりそれぞれ制御される。
108はキャリッジモータで、記録ヘッド112を搭載したキャリッジを移動させて往復走査している。110は、紙等の被記録材をキャリッジの移動方向に対して垂直方向に搬送するための紙送りモータ、113はキャップ部材を駆動して、後述の記録ヘッド112のインク吐出口(図示せず)に当接し、インク吐出口を外気より遮断して、ノズルの乾燥を防止するためのキャッピングモータをそれぞれ示す。115はキャリッジモータ108を駆動するためのモータドライバ、116は紙送りモータ110を駆動するためのモータドライバ、114はキャッピングモータ113を駆動するためのモータドライバである。尚、コンソール116には、キーボードスイッチ及び表示ランプなどが設けられている。また、ホーム位置センサ107は、キャリッジのホーム位置近傍に設けられ、記録ヘッド112を搭載したキャリッジがホーム位置に到達したことを検知するものである。
109はシートセンサで、記録用紙等の被記録材の有無、即ち、記録部に供給されたか否かを検知している。112は熱エネルギーを用いてインクに膜沸騰による状態変化を生起させてインク滴を吐出する方式のインクジェット記録ヘッドであり、この記録ヘッド112にはm個(例えば64)の吐出口(図示せず)、各吐出口に対応したm個の吐出用ヒータ(図示せず)などが設けられている。111は記録情報信号に応じて記録ヘッド112の吐出用ヒータを駆動するためのドライバを示している。120は上記各部へ電源を供給する電源部であり、駆動電源装置としてACアダプタと電池を有している。
以上の構成において、MPU102は122の外部デバイスとの通信インタフェースや124のメモリカードインタフェースを介してデジタルカメラやコンピュータ、メモリカードドライバなどのデータホスト装置に接続されており、パネル106からのユーザ指示等に従ってこれらの機器との通信を制御し、制御用ROM106に格納されているプログラムの処理手順およびRAM106内に蓄えた記録情報とに基づいて、プリントに必要なオブジェクト情報などを収集する。
また一方で、これらのホスト装置から送られてくるコマンドおよび記録情報信号とを受けてその指示に従いつつ受信した情報の記録動作を制御する。
本発明が使用される分野で従来用いられている通常の記録装置においては、記録データを送信するホスト123よりインタフェース122を介して印字に必要なデータ送信する際、ホストがPCである場合は、通常データ中の先頭部分に記録の行われるメディアの種類(普通紙・OHP・光沢紙等のメディア、および転写フィルム・厚紙・バナー紙等の特殊なメディアの種別)、メディアサイズ(A4・A4レター・A3・B4・B5・または封筒・はがき)、印字品位(ドラフト・高品位・中品位・特定色の強調・モノクロ/カラーの種別等)、給紙カセット(ASF・手差し・ビン1・ビン2等)、オブジェクトの自動判別の有り無しを記載したコマンドを送信し、本体ではそのコマンドを受け付けることによって通常ROMと呼ばれるメモリ領域に収納された各種のデータに基づいて記録を行う。
また場合によっては処理液を塗布する・しない、等の情報をコマンドとして送信することもある。これらの情報にしたがって、記録装置側では前述したROMから記録に必要なデータを読み込みそれらのデータにしたがって記録を行うが、これらのROMから読み出すデータには記録を行う際のマルチパスのパス数、各パスを記録する際の記録に使用するマスク種類、記録ヘッドの駆動条件(たとえば印可するパルス形状・印可時間)やドロップレットのサイズ、紙送りの条件、キャリッジ速度等がある。
また、ホストがPCではなくデジタルカメラなどのデバイスである場合や、メモリカード125に記録されたオブジェクトの情報をレイアウトしてプリントする動作を行う場合には、前述したROMから読み出した手順に従って、コンソール106を介して与えられるユーザの指示に従って決定されたレイアウト情報をやはりROMから読み出して解析し、印刷画像を生成しながら記録動作を実行する。
図3は、本実施形態における処理手順を示したものである。この処理手順に係るプログラムは制御用ROMに記憶されており、MPUによって実行される。
印刷や回復など、プリンタエンジンの動作が開始されると、ステップS1においてまずこれから行う動作のシーケンスが読み出され、そこで必要な動作についてのモード設定などが行われる。ステップS2において、動作モードに応じた予測インク使用処理が行われ、必要があればサブタンクへのインク補充動作が行われる。その後、ステップS3において実際の印字又は回復動作が行われる。動作が終了すると、ステップS4において、前記ステップS3で実際に使用されたサブタンク内のインク量の計測結果に基づいてサブタンク内インク残量を更新する処理を行う。その後、ステップS4において、動作終了であるかどうかの判断が行われ、連続して動作が行われる場合には再びステップS1に戻って処理を行い、終了である場合には動作終了する。
図4は、本実施形態のインク使用量予測処理ならびにインク補充動作についての処理手順を示したものである。この処理手順に係るプログラムは制御用ROMに記憶されており、MPUによって実行される。本シーケンスは図3におけるステップS2の詳細を示したものでもある。
本処理ブロックの処理が開始されると、まずステップS201においてサブタンク内のインク残量の読み出しが行われ、ステップS202においてサブタンク内インク残量マージンパラメータの読み出しが行われる。続いてステップS203において、複数あるインク使用量予測処理の数Nが読み出され、ステップS204において、その中の最初の予測処理がエントリされる。ステップS205において、指定された予測処理を行い、ステップS206において予測されたインク使用量と、前記ステップS201およびステップS202において読み出されたパラメータ、および行った予測処理における予測誤差などを基に、要求予測誤差精度を算出する。ステップS207において予測処理が要求予測誤差精度を満たしているかどうかを判別し、満たしている場合には予測処理を終了してステップS209へ進む。満たしていない場合には、ステップS208においてより高精度な予測処理をエントリして、ステップS205へ戻る。
ステップS209において、予測インク量とサブタンク内インク残量とを比較し、ステップS210において予測インク量がサブタンク内インク残量を上回っている場合には、ステップS211においてサブタンクへのインク補給動作が行われ、下回っている場合には補給動作をスキップして処理を終了する。
図5は、本実施形態における最も基本的なインク残量と予測誤差精度の関係を示したものである。501に、サブタンク容量のほぼ100%である状態を示す。サブタンクの容量が、全ての印字又は回復動作におけるインク量をまかなうことが可能であるように設計されている場合には、サブタンクへのインク補充動作直後などにおいては、そもそも画像分析が不要なFULLインク残量レベルが定義できる。さらに、アプリケーションによる用紙指定により、用紙サイズが決定する場合には、用紙サイズおよび種別の決定タイミングによって、この値はそれぞれに適切な値が決まる。
502に、画像分析不要強制サブタンクへのインク補充動作インク残量の状態を示す。503は、本来サブタンクが保持できるインク容量であり、504が現在サブタンク内に残っているインク容量を示している。この値は、0と正・負の値を含むある一定の値に於いて、予測処理なしに無条件にサブタンクへのインク補充動作を行わなければならない状態を示している。これは、例えば全てのプリンタ動作の中で最小のインク使用量を伴う動作における使用量などから決定される。また、あるいはサブタンク内のスポンジなどのインク保持体の経年変化などによる、最低インク保持量の経年変化などの見積もりから、吸い出せない最低インク量の仕様などから求められることもある。
505に、サブタンク内のインク残量が最大と最低の間のある値を示している場合の例を示す。506は、サブタンクが最大保持できるインク量、507は、現在のサブタンク残量として示されている値に相当する量であり、508は諸々のインク使用量累積における誤差などを加味したマージンを引いたインク残量を示している。
インクタンク内に実際にどの程度インクが残っているかを検知する方法としては、様々な方法が既に提案されており、例えばメカニカルな機構により検知する方法(特公昭63−26707)、インク保持袋の形状変化により検出する方法(特公平3−60670)、インク保持体とインク導出針との間での電気的特性により検知するもの(特公平6−3916)、光学的な反射濃度の測定により検知するもの(特許第3138359号)、および、徒手使い数と単位吐出量の累積によって算出するもの(特公平5−19467号公報、特開平4−316856号公報、特開平5−88552号公報)などが提案されている。
しかし、これらの検知方法はいずれも誤差を含むものであり、正確なインク残量を求める方法は確立されていないのが現状である。さらにサブタンクを持つ機構に於いては、その容量が小さいことなどから余計に誤差に対する感度が高く、正確にインク残量を測定することは困難となっており、その容量管理は誤差を加味した形で行わざるを得ない。
本実施形態に於いては、誤差をあらかじめ存在するものとして処理するため、上で参照したような各検知技術のいずれの方式であっても有効に適用できる技術を提案している。このような誤差を加味するために、本発明の技術に於いては、単にサブタンク内のインク残量のみならず、インク残量をパラメータとするインク残量の誤差を見込むマージンパラメータを式に組み込んでいる。
以下にこのマージンパラメータについて説明する。本実施形態に於いて、サブタンクのインク残量をL(Lasting ink volume)、画像分析処理による予測インク使用量をPとした場合、予測インク使用量P(Prediction ink volume)に対する要求精度R(Required accuracy)は、P<Lにおいて、式4で表される。
R=((L−P)÷P)*100%・・・(式4)
53に示す例のように、例えばLが80でPが40である場合、R=((80−40)÷40)*100=100%となり、予測値には2倍のマージンがある状態となっていることが分かる。もし、このときに本当は実際のインク使用量U(Used Ink)が80であったとすると、U80−P40=E40の誤差があることになり、予測値40に対して誤差40、すなわち100%の予測誤差があることになるが、実際にインク残量が80であったため、この誤差は結局不問に付されることとなり動作上障害はない。
しかし、54に示す例のように、もしLが80でPが75である場合には、R=((80−75)÷75)*100=6.66%となり、この場合、もし本当は実際のインク使用量が80を越えるとすると、印刷がかすれてしまうため、実動作に問題が発生してしまう。
このような問題を未然に回避するためには、予測誤差Eの絶対値P*Eは5未満でなければならないことになる。よって、75の予測値に対して6.66%、つまり5の予測誤差しか許されないということになることがわかる。
このように、予測誤差精度は、インク残量と予測インク量とから求められるが、実際には、サブタンク内残り容量が80ある場合に80全てを使い切ることを前提にはできないことが多い。なぜなら、そもそもインクタンク内に配置されたインク吸収体から100%インクを吸い出して利用することは困難であることや、インク補充動作の誤差、ヘッドならびにサブタンクの経年変化、およびインクの流路における流路抵抗の個体差などによって、ある低のマージンを見込まなければならないからである。
したがって、実際にサブタンク内のインク残量を元になんらかの処理を行う際には、必ずこれらのリスクや変動要因を見込んで、80−αの値をベースに要求予測精度を求めておく必要があるのである。このαが、予測誤差精度算出のためのマージンパラメータでの基本的な考え方であり、そのマージンはインク残量の計測誤差のみならず、実際に運用される様々なインク経路における誤差をトータルに加味したものとして、式の中に組み込まれなければならない計数として導入されている。
図6は、マージン関数の使用方法の概念図である。601は、サブタンク内インク残量に対するマージンパラメータの値を概念的に示している。602は、いずれかの検知方法によって検知され保持されているサブタンク内のインク残量を示している。603は、特定の予測手段によって予測した、予測インク使用量の、正の誤差である。誤差は当然のことならがプラスマイナス両方の値をとりうるが、本発明の適用分野であるインク残量における使用量の危険度を測る場合には、使用インク予測量が多いほど危険度が増すため、ここでは正の誤差を採用している。604は、特定の予測手段によって予測した、予測インク使用量を表しており、605は、前記インク残量、インク残量マージンパラメータ、予測インク使用量、ならびに予測誤差の正の値から求められる、予測誤差の許容範囲を表すインク量を表している。簡単には、この許容範囲が大きければ大きいほど、求められる予測誤差精度は低くてよいことになる。
このように考えると、サブタンク内インク残量についての要求予測誤差精度Rは、サブタンクのインク残量をL、画像分析処理による予測インク使用量をPとし、マージンパラメータをαとした場合、ひとつの式で表され、式5のようになると考えられる(αは残量Lの値によって変動するため、Lの関数であることからα(L)としてある)。
R={(L−α(L))−P}/P×100[%]・・・(式5)
・サブタンク内インク残量:L
・予測インク使用量:P
・サブタンク内インク残量マージンパラメータ:α
この要求予測誤差精度R[%]と、画像分析方法ごとに求められる予測誤差E[%]ならびに、マージン等を含まない設計上のサブタンクインク容量FULLを用いて、例えば予測処理の選択判断は式6のように行われる。
(L−α(L))≧FULL・・・(式6)
これは図中606に示した状態であり、インク残量が最大対応サイズ用紙を打ち切るインク量よりも多くある場合であり、もちろんこの場合もインク使用量の予測を行う必要はなく、サブタンクへのインク補充動作の必要もない。
P×E≦P×R・・・(式7)
式7の関係は、図中607に示した状態であり、予測インク使用量Pが、インク残量Lに比べて十分に少ない場合である。この場合には、これ以上精度の高いインク使用量予測を行う必要はなく、もちろんサブタンクへのインク補充動作を行う必要もない。
P×E>P×R・・・(式8)
式8の関係は、図中608に示した状態であり、要求予測誤差精度Rよりも、予測処理精度Eが下回っており、予測誤差が正である場合に許容誤差範囲外にかかってしまっている状態を示している。この場合は、より精度の高い画像分析によるインク使用量を算出するか、サブタンクへのインク補充動作をしなければならないことを示している。
より精度の高い予測誤差E'の画像分析・予測インク量算出処理を行う場合は、その結果求められる高精度予測インク使用量P'によって要求予測誤差精度R'を再算出した上で、再びこの判断を行い、その結果がOKである(本条件に当てはまらない)場合はサブタンクへのインク補充動作を行う必要はない。
(L−α(L))≦P・・・(式9)
式9の関係は、図中609に示した状態であり、予測インク使用量Pがインク残量からマージンを差し引いた値を超えている場合である。この場合もサブタンクへのインク補充動作を行わなければならない。
(L−α(L))≦0・・・(式10)
式10の関係は、図中610に示した状態であり、インク残量がマージンパラメータαより少ない場合で、最低基準インク量を下回っている状態に相当する。この場合はサブタンクへのインク補充動作を行わなければならない。
図7は、本実施形態におけるマージンパラメータの値の例を示す図である。先に説明した通り、インク残量が100%のときは、αは限りなく0に近くなり、一方で、インク残量が強制サブタンクへのインク補充動作レベルに近いときには、αはインク残量と同じ程度の値となるというのが、マージンパラメータが基本的に満たさなければならない条件である。
このように考えると、マージンパラメータαは、インク残量の関数α(L)であると考えられ、701に示すような値を持つ関数となることが考えられる。このほかに、マージンパラメータは他の要件を盛り込んで様々な値の変化を取りうる可能性がある。
例えば702に示すように、FULL付近のマージンと、Limit付近のマージンのみを定義し、その他の部分ではマージンを考慮しないようにゼロとしても良い。このようなマージンをとった場合は、この区間では特にマージンによる意図的な補正を行わずに単に計算値のみで判断を行っても良いため、計算処理ではなく、閾値処理によって実現することも可能になる。
また、703に示すように、そもそもマージンパラメータ関数を使用せず、FULL付近の許容レベルとLimitレベルのみによって単純に判断を切り替えても良い。この場合も、FULL付近の許容レベルおよびLimitレベルと、インク残量Lとを比較する比較処理によって実施することが可能となる。このような処理は、インク残検機能などが載っていないシステムに於いて有効であり、FULLからLimitまでの間のインク残量検知の精度が低い場合などにはこの程度の判断でもよい。
ここで例示したような、単なる比較処理のみによるインク補充動作の要否判断については、既に提案されているインク残量と使用予測量との単純比較による技術(特開平11−5300)と等価な動作となる。本発明に於いては、より実際の動作条件などを加味して、前記提案のように単純な比較のみでは実際のインク残量に対する動作保証が不可能であることを指摘するとともに、実運用上必要最低限のパラメータを加味して、定式化したところに、前記技術を超え、なおかつそれを包含する技術として提供できることを示すものである。
本発明の理論を背景とした上で、その処理を関数式に寄らず判断処理のみによって構成することは可能であるが、本発明の技術はそれにとどまらず、さらに多くの誤差要因を、マージンパラメータという関数によって考慮することが可能であり、この関数を個々のシステムの設計にあわせて変更することで、様々な装置に適用可能である。その例として、704に、マージンパラメータをより詳細に設定して運用する例を示す。
もしインクタンクの50%近辺に、他のより精度の高い手段によるインク残量検知手段が設けられる場合には、その点での誤差は非常に小さくなることが考えられる。例えば、液室を二つに分割し、片方の液室が空になったかどうかのみを検知することで、あるポイントでのインク残量の変化を高精度に判別する技術が、提案されている(特許第2840513号公報)。
このようなあるポイントでのインク残量検知を高精度に行うことが可能な構成の検知手段を組み合わせることで、インク残量の測定精度がインク残量のある時点に於いて非常に高くなることがある。このような場合、精度が高くなる点に於いてはマージンを考慮する必要が無くなるため、マージンパラメータの値の変化にもこの構成に特有のものを用意することができるのである。このような場合には、704に示したようなマージンパラメータを途中でリセットするような値の変化として設計することが可能になる。
図8は、本発明に於いて使用する可能性のある、それぞれ予測精度に差のある複数の使用インク量予測処理に付いて例示する。本発明に限らず、多くの記録装置の処理に於いては必要不可欠な処理を行いつつ、高速に処理を完了したいという要求がある。ここに列挙した方法は、番号の若い方から順に処理負荷の重くなる方向に並べてある。処理を終了する番号が若ければ若いほど、予測処理にかかる時間および実行リソースは少なくて済むため、より高速な動作が可能となる。
図8の1番目に示した用紙サイズによる使用インク予測は、例えばユーザ操作などによって与えられた印刷対象用紙のサイズ全面に、全てのインクを吐出した場合の使用インク量を算出またはテーブル参照によって与える予測処理などが該当する。
この処理では、用紙サイズに比例して使用インク量が増えていくことになり、そこに描画される印刷画像のレイアウトや画像内容、グラフィックスなどの要素については全く考慮しない精度の低い予測手段である。しかし、先に説明した通り、サブタンクへのインク補充動作直後などに於いてはこのような予測処理で十分であり、また、インク残量がサブタンク容量の半分である場合でも、本来のサブタンク容量設計時の最大印刷可能用紙サイズの半分以下の用紙がセットされた場合にはやはりこの程度の予測処理で十分であることが分かる。
図8の2番目に示したように、レイアウト情報によって描画する領域を加算する予測処理は、例えば写真の一覧印刷などのように余白が比較的多いレイアウトを印刷するような場合には、有効な予測手段である。この予測手段は、レイアウトされる画像内容については処理せず、例えば画像領域には全てのインクを吐出すると仮定して計算するなどの処理が行われる。この場合でも、例えばサブタンク内の残り容量が、最大印刷可能用紙全面印刷の半分である場合などにも、余白を総合した面積が、最大用紙サイズの半分以上である場合などは、この予測処理の制度で十分である。
以降、図8の3番目より後は、画像・グラフィックス・文字列などの描画要素をより詳細に処理するため、その予測制度が飛躍的に向上していくが、反面画像データのロードや描画処理のために処理能力と処理時間は多く必要とすることになっていく。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。予測処理の終了判断は、単に予測誤差精度による判断のみではなく、予測処理時間によるタイムアウトなどの処理を組み合わせても良い。
図8は、本発明の他の実施形態におけるインク使用量予測処理ならびにインク補充動作についての処理手順を示したものである。この処理手順に係るプログラムは制御用ROMに記憶されており、MPUによって実行される。本シーケンスは前記図3におけるステップS2の詳細を示したものでもある。
本処理ブロックの処理が開始されると、まずステップS901においてサブタンク内のインク残量の読み出しが行われ、ステップS902においてサブタンク内インク残量マージンパラメータの読み出しが行われる。
続いてステップS903において、複数あるインク使用量予測処理の数Nが読み出され、ステップS904において、その中の最初の予測処理がエントリされる。ステップS905において、指定された予測処理を行い、ステップS906において予測されたインク使用量と、前記ステップS901およびステップS902において読み出されたパラメータ、およびおこなった予測処理における予測誤差などを基に、要求予測誤差精度を算出する。
ステップS907において、予測処理にかかった時間が制限時間を超えているかどうかを判別し、もし超えている場合には、最後におこなった処理結果を採用することとして予測処理を終了してステップS910へ進む。
ステップS908において予測処理が要求予測誤差精度を満たしているかどうかを判別し、満たしている場合には予測処理を終了してステップS910へ進む。満たしていない場合には、ステップS909においてより高精度な予測処理をエントリして、ステップS905へ戻る。
ステップS910において、予測インク量とサブタンク内インク残量とを比較し、ステップS911において予測インク量がサブタンク内インク残量を上回っている場合には、ステップS912においてサブタンクへのインク補給動作が行われ、下回っている場合には補給動作をスキップして処理を終了する。
次に、本発明の更に他の実施形態について説明する。予測処理の開始判断に於いて、そもそもインクがない場合や、サブタンク容量いっぱいにインクが充填されている場合などの特別なケースに於いては、予測処理自体をスキップするなどの処理を加えても良い。
図10は、本実施形態のインク使用量予測処理ならびにインク補充動作についての処理手順を示したものである。この処理手順に係るプログラムは制御用ROMに記憶されており、MPUによって実行される。本シーケンスは前記図3におけるステップS2の詳細を示したものでもある。
本処理ブロックの処理が開始されると、まずステップS1001においてサブタンク内のインク残量の読み出しが行われ、ステップS1002においてサブタンク内インク残量マージンパラメータの読み出しが行われる。
ここで、ステップS1003において、そもそもサブタンク内のインク残量が最低基準値を下回っていたり、サブタンク内のインク残量がほぼ完全に充填された状態にあるような特別な場合であるときには、予測処理不要であると判断する処理を行って、条件に合致する場合には即座にステップS1010に進む。
続いて、ステップS1004にてインク使用量予測処理の数Nが読み出され、ステップS1005において、その中の最初の予測処理がエントリされる。ステップS1006において、指定された予測処理を行い、ステップS1007において予測されたインク使用量と、前記ステップS1001及びステップS1002において読み出されたパラメータ、及び行った予測処理における予測誤差などを基に、要求予測誤差精度を算出する。
ステップS1008において予測処理が要求予測誤差精度を満たしているかどうかを判別し、満たしている場合には予測処理を終了してステップS1010へ進む。満たしていない場合には、ステップS1009においてより高精度な予測処理をエントリして、ステップS1005へ戻る。
ステップS1010において、予測インク量とサブタンク内インク残量とを比較し、ステップS1011において予測インク量がサブタンク内インク残量を上回っている場合には、ステップS1012においてサブタンクへのインク補給動作が行われ、下回っている場合には補給動作をスキップして処理を終了する。
次に、本発明の更に他の実施形態について説明する。予測処理のマージンパラメータは、例えば個々の印字・回復動作Fiごとに設定されたインク使用量の計測誤差β(Fi)を用いてより高精度に構成して使用しても良い。図11にこの実施形態におけるマージンパラメータの算出方法の概要を示す。
横軸にサブタンク内インク残量Lをとり、縦軸にマージンパラメータα(L)の値をとる。前記の実施形態などに於いて使用されたα(L)を初期値として使用してもよいので、この図においては、α(L)をマージンパラメータの初期値として使用した場合について説明する。
サブタンク内インク残量がフルであるところから、最初に行った印刷又は回復動作F1におけるインク使用量と、その使用量測定における誤差β(F1)を用いると、動作F1終了後にはインク残量はF1における実測使用量ΔL1が減算される。このときに、誤差を加味するためのマージンパラメータには、先に説明した理由により、β(F1)の正の誤差が加算され、実使用インク量の測定に際して発生した可能性のある測定誤差が、マージンとして考慮される。
このようなことは、キャップなどを介してヘッドおよびインクタンク内のインクをポンプ吸引するような際に、特に有効な誤差考慮方式として提案する。ポンプによる吸引の場合、ノズルのつまり、インクタンク内のインク残量による負圧の変化、インク流路におけるインクの固着や泡の発生による流路抵抗の変化などによって、同じだけポンプを駆動したとしても実際に消費されるインク量は変化してしまうことが容易にありうる。さらに、ポンプを使用するヘッド回復動作には、別々の消費量を設定した複数のモードが存在することが一般的であり、小吸引、大吸引などと呼ばれて区別されている。当然のことながら、圧力のかかり方や駆動方法の異なる回復動作に於ける誤差の発生の仕方は一律ではなく、個々の動作ごとにその誤差値は別々に設定されると考えられる。
同様に、印字動作F2が実行されると、印字動作に於いて使用された画像などによって変動するインク使用量と、ドットカウントなどによって算出されるインク使用量と、その誤差がそれぞれインク残量Lと、マージンパラメータα(L,Fi)に対して反映される。この場合は、基準単位インク量(1吐出分のインク量)のばらつきによって生じる実インク使用量の誤差ヘッドの状態やヘッドのランク、動作温度などによってその誤差値が変動することが考えられ、またその誤差の絶対値は、印字された印字画像の内容にも影響を受けることが明らかである。よって、同じ印刷動作でも、印刷するものの内容に応じてΔLiおよびβ(Fi)の値は変化する。
このように、前記の実施形態においては、動作シーケンスによる誤差の変動を考慮することができなかったのに対して、個々の動作シーケンスごとのインク使用量の誤差β(Fi)を加味することでより高精度にインク残量の計測と、インク補充タイミングの決定処理を行うことが可能になるのである。
図11に示すように、このような実施形態に於いては、個々の動作シーケンスごとのインク使用量誤差β(Fi)をα(L)に加算していくことで求められるα(L,Fi)という新たなマージンパラメータを用いることになる。従って、最終的な最低基準インク量は、動作シーケンスの組み合わせによって毎回変わることになるため、インク補充のタイミングは前記実施例よりも早いタイミングとなることが考えられる。そのタイミングを示したのが図中のLlimitPracticalである。
数式上は当然のことながら、誤差β(Fi)をインク残量Lから減算していく方法をとることも可能であり、そのような実施を行っても良い。しかし、本発明の式に照らす場合には、誤差を加味するのはあくまでマージンパラメータα(L,Fi)であり、こちらにβ(Fi)を加算するのが正しい考え方である。
本発明の技術では、従来提案されている先読み処理による消費インク量予測や、ホストから転送されるプリントイメージの属性情報などの解析や、レイアウト情報のみの解析による処理ごとの予測処理のみではなく、さらに全体の、サブインクタンク内のインク残量に関するシュミレーション手段を設けることにより、実印字制御システムが管理する個々のヘッド・ノズル回復動作を含めたトータルのインク使用量を、個々の処理の統計的ばらつきを考慮して加味することで、より高速かつ正確に予測インク量と実際に使用可能なサブタンク内のインク量の比較を可能にしている。
これによって、プリント時間の増大を防ぎながら効率的なインクの供給処理のスケジューリングを行うことを可能としている。
サブタンク内のインクを消費する要因は、単に印刷時に画像形成のために使用するインク吐出のみではなく、ヘッドノズル内の不要なインクや泡、ごみなどを除去するための吸引動作や、微量のインクリフレッシュを行う予備的な吐出動作(以後予備吐と呼ぶ)、また放置時間中の蒸発などがあり、これらは画像形成時に使用するインク量に対して無視できない量となることがある。
例えば、数週間前にサブタンクにインクを補充し、その後電源をOFFしたまま放置した場合などは、ヘッドノズル内のインクが温度によって変性したり、蒸発したりしてその濃度が変化してしまうため、画像形成前にそれらの使用不可能なインクを取り除くために回復動作を行わなければならない。この回復動作は、主タンク内のインク残量や、流路抵抗、インクの粘性などによってばらつきがあることが知られていることから、毎回必ず同じ量のインクを消費するとは限らない。
同様に、印字前、および印字中のスキャンごとなどに行われる微量の予備吐動作に於いても、ノズル内の泡の存在などによって、その消費するインク量はばらつきを持っている。
このように、個々の動作におけるインク消費量のばらつきや典型的な動作時の消費量などは、予備実験等によってあらかじめ測定され、定式化することが可能である。こうした個々の動作の累積値と、累積誤差値を利用して、印刷画像の使用するインク量の予測値に加味することによってより高精度にサブタンク内の容量の推定と、インク供給動作の要否判断を行うことが可能になるのである。
そもそも、これから行う画像形成動作に於いて使用されるインク量を先取りして推定する処理(以下先読み処理と呼ぶ)は、そのシステムに於いて適当とみなされるなんらかの予測誤差精度の要求をクリアしたものでなければならない。予測誤差の要求精度が高い場合には、非常に精密にインク使用量を予測しなければならない反面、予測誤差に関する要求精度が低い場合には大まかな予測値が得られればよく、このことを加味することによって予測処理にかける処理能力・メモリ、処理時間などのリソースを適切に節約することが可能となる。本発明では、より実践的なシステムの実現に於いて、このような予測誤差制度に関する要件を加味した形で、より高速に先読み処理を行うことを可能にする技術を提示している。
この先読み処理に求められる予測誤差精度とは、当然サブタンク内の残りインク容量をパラメータとする関数である。以下に、例として、サブタンクの容量設計が、そのプリンタが対応する最大の用紙に対してフルデューティー以上の印字分のインク量をもてる設計になっている場合について説明する。
まず、先読み処理は、インク補充動作直後の、サブインクタンクが満タンであるときは不要であることから、インク補充動作直後で、サブインクタンクが満タンであるときは予測誤差無限大でもよいといえる。プリンタが対応する最大の用紙サイズにおけるフルデューティー印字を保証するサブタンク容量設計がなされている場合、サブインクタンクが満タンであれば、他の要因となる変数は全て無視することが可能だからである。
このような場合、そもそもこれから行う画像形成動作におけるインク使用量の推定処理に求められる予測誤差の精度に対する要件は無いことになる。なぜならこの場合は誤差については考慮しないからである。
次に、サブインクタンクのインク残量が例えば90%である場合で、用紙サイズがL判などの小さい用紙である場合も、先読み処理は不要であることから、サブインクタンク内インク残量が、用紙サイズ・種別による最大使用量よりも多い場合には、予測誤差は無限大でも良い(予測誤差精度に制限は無い)ということもいえる。よって、この場合にも、これから印字する画像の内容は無視されることになるということになる。
次に、サブインクタンクの残り容量が、対応する用紙サイズ・種別のなかで、最も最大インク使用量が少ないものよりも少ない場合には、サブインクタンク内インク残量と、これから印字する画像の使用するインク量の予測値を比較し、予測値がインク残量よりも少なく、その差が大きい場合は、予測誤差精度は低くてよい予測値がインク残量よりも少なく、その差が小さい場合は、予測誤差精度は高くなければならない。予測値がインク残量よりも大きい場合は、予測誤差が多少あっても安全のためサブタンクへのインク補充動作を選択するということになり、先読み画像分析処理の予測誤差精度は、一定に定まるものではなく、いくつかの状況要因によって変動するものであると考えられることがわかる。
以上をまとめると、先読み処理における予測精度は、以下の変数をとる関数であることが分かってくる。
・サブタンク容量設計が許容する最大インク量
・用紙サイズ・種別による最大インク使用量
・サブインクタンク内の残りインク量
・これから印字する画像の予測インク使用量
・予測インク量算出処理の誤差精度
こうしたことから、状況によって変動する予測誤差精度を加味した画像分析処理ならびにサブタンクへのインク補充動作判断処理は、これらの条件を加味することによって適切にスキップしたり、分析画像サイズをコントロールするなどしてより簡便で高速な予測処理に代替することが可能となることが分かった。
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
本発明の実施形態に係る記録装置の例を示す図である。 本発明の実施形態における処理系の構成例を示す図である。 本発明の実施形態における処理の流れを示すフローチャートである 本発明の実施形態における処理の流れを示すフローチャートである インク残量の値に対するマージンを説明するための図である。 マージン関数の概念図である。 マージン関数の例を示す図である。 複数の予測インク使用量推定処理の例を示す図である。 本発明の他の実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態におけるマージンパラメータの例を示す図である。
符号の説明
601 インク残量マージンパラメータ
602 インク残量
603 正の予測誤差相当インク量
604 予測インク使用量
605 予測誤差許容範囲

Claims (7)

  1. 印刷記録剤であるインクを保持するメインインクタンクと、印刷記録ヘッド上に搭載された小容量のインクを保持するサブインクタンクとを有し、前記サブインクタンクは必要に応じて前記メインインクタンクに接続し、インクの補給を行う機構をもつ記録装置であって、
    現在のサブインクタンク内インク残量の保持手段と、
    これから行う印字又は回復動作における使用インク量を予測する一つ又は複数のそれぞれに予測誤差精度の異なる使用インク量予測手段と、
    前記サブタンク内インク残量と前記予測インク量とから導き出される予測誤差に関する要求精度を求める手段と、
    前記予測精度を満たす予測手段を漸次選択する手段とを備え、
    予測されたインク使用量がサブタンク内インク残量を超える場合には、メインタンクにサブタンクを接続してインクの補給を行うことを特徴とする記録装置。
  2. 複数の使用インク量予測手段を、その予測誤差の低い方から順に行いつつ、予測誤差に関する要求精度と比較を行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記サブタンク内インク残量L及びサブタンク内インク残量誤差マージン計数α(L)と予測インク使用量Pとから要求予測誤差精度Rを求める手段として、
    R={(L−α(L))−P}/P×100[%]・・・(式1)
    式1を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
  4. サブタンク内インク残量Lは、ある動作ステップiにおけるインクを使用する動作をFiとし、その動作Fiによるインク残量Lの減少分をΔLi(Fi)とし、ΔLi(Fi)は、動作Fiごとの誤差マージンをβi(Fi)とした場合に、N回の印字・回復動作ステップ実行後には式2のように表され、
    Figure 2006289834
    同時にN回の動作ステップ後のマージンαの値は、動作ごとのマージン関数βを用いて式3のように表される値を用いて、
    Figure 2006289834
    インク補給動作の要否を判断することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録装置。
  5. 印刷記録剤であるインクを保持するメインインクタンクと、印刷記録ヘッド上に搭載された小容量のインクを保持するサブインクタンクとを有し、前記サブインクタンクは必要に応じて前記メインインクタンクに接続し、インクの補給を行う機構をもつ記録装置の制御方法であって、
    これから行う印字又は回復動作における使用インク量を予測する一つ又は複数のそれぞれに予測誤差精度の異なる使用インク量予測ステップと、
    現在のサブタンク内インク残量と前記予測インク量とから導き出される予測誤差に関する要求精度を求めるステップと、
    前記予測精度を満たす予測手段を漸次選択するステップとを含み、
    予測されたインク使用量がサブタンク内インク残量を超える場合には、メインタンクにサブタンクを接続してインクの補給を行うことを特徴とする記録装置の制御方法。
  6. 請求項5に記載の記録装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  7. 請求項6に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008162209A (ja) * 2006-12-29 2008-07-17 Brother Ind Ltd 記録装置
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