JP2006289688A - 射出成形用金型および射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 型閉め時に成形用のキャビティ40を形成する固定型20および可動型30と、キャビティ40内で成形される成型品(プラグ90)にアンダーカット(鏃形状94)を形成する成形面52を有しかつキャビティ40内に進退可能に設置されたスライドコア50と、スライドコア50をアンダーカットの奥行き方向へ変位させる変位機構60とを設ける。
【選択図】 図3
Description
通常の射出成型では、固定型に対して可動型を型閉めし、内部のキャビティに溶融した合成樹脂材料を射出し、再び型開きして成型品を取り出す。
このような通常の射出成形では、型閉めおよび型開きの方向には成型品の凹凸が作りやすいが、これに交差する方向の凹凸(アンダーカット)は形成が難しかった。これは、アンダーカットがあると、その部分が型開き時にひっかかり、成型品の取出しが困難になるからである。
このようにスライドコアの方向が限定されるため、スライドコアの駆動機構が簡略化できない等の問題があるとともに、成型品にアンダーカットと向かい合う部分がある場合にはスライドコアの配置が困難になるという問題があった。
このようにすれば、スライドコアの進退駆動に型締め型開き動作を流用することができ、スライドコアの駆動機構の簡略化が可能である。
このようにすれば、スライドコアの進退駆動にイジェクタピンの駆動機構を流用することができ、スライドコアの駆動機構の簡略化が可能である。
このようにすれば、スライドコアを変位させる変位機構としてスライドコアの進退動作を流用することができ、駆動源を有する専用の変位機構を省略することが可能である。
なお、本発明は、油圧装置あるいはモータ等を用いた専用の変位機構を用いることを妨げない。
このようにすれば、スライドコアの設置姿勢とアンダーカットを分離することができ、スライドコアの進退方向とアンダーカットの奥行き方向とを全く別にすることができる。
前記固定型および可動型を型閉めして成形用のキャビティを形成し、
前記キャビティ内に溶融樹脂を射出し、
前記溶融樹脂が固化した後、前記固定型および可動型を型開きするとともに、前記スライドコアを前進させ、かつ変位機構で前記スライドコアを前記アンダーカットの奥行き方向へ変位させ、これにより成型品を取り出すことを特徴とする射出成形方法。
このような本発明によれば、前述した本発明の射出成型用金型と同様な効果を得ることができる。
本発明の射出成形用金型において、前記固定型および可動型の何れかにイジェクタピンを設けておき、前記スライドコアと前記イジェクタピンとを同期して進出させることが望ましい。
本発明の射出成形用金型において、前記スライドコアとして、先端近傍に前記アンダーカットを形成する成形面を有し、型閉め状態では前記スライドコアのうち成形面だけが前記キャビティ内に露出するものを用いることが望ましい。
図1〜図3において、本実施形態の射出成型用金型10は固定型20および可動型30を有し、これらの内部には成型用のキャビティ40が形成される。
射出成型用金型10は、既存の射出成形機(図示省略)に装着されて使用される。固定型20は射出成型機の固定側に装着され、可動型30は同じく可動側に装着され、射出成型機の型締め機構により互いに型締めされる。そして、型締め状態(図1参照)において、キャビティ40内部に射出成型機の射出装置から溶融樹脂が射出され、冷却に伴って固化したものが成型品(後述するプラグ90)として得られるようになっている。
プラグ90は、図4または図5に示すように、ベルトが装着される本体91を有し、その一端側には一対のロックアーム92およびガイドバー93を有する。ガイドバー93は、バックルの雌側であるソケット(図示省略)にプラグ90を挿入する際に、その挿入姿勢を適切にガイドするためのものであり、ロックアーム92はソケットに挿入された状態でソケットと係合し、接続状態を維持するものである。
以上のような鏃形状94は、プラグ90の成形にあたってアンダーカットとなっており、このアンダーカットはプラグ90の縦方向および横方向の何れとも交差する方向になる。すなわち、アンダーカットである鏃形状94の奥行き方向はプラグ90のロックアーム92の先端向きとなる。
このような金型10において、前述したアンダーカットとしての鏃形状94があると、成型品であるプラグ90を単純に抜き出すことができない。そこで、本実施形態の金型10は、アンダーカット形成を行うために、キャビティ40内に進退可能に設置されたスライドコア50と、このスライドコア50をアンダーカットの奥行き方向へ変位させる変位機構60とを備えている。
スライドコア50は、最も後退した状態(図1参照)でもその先端がキャビティ40内に突出する状態とされる。この先端部分はプラグ90のロックアーム92の外側で鏃形状94に隣接した空間とされ、成型品であるプラグ90と干渉するものではない。
この成形面52には、前述したプラグ90のアンダーカット部分(鏃形状94)に対応した成型用の輪郭形状(アンダーカット奥行き方向の凹凸)が与えられ、型閉め状態ではスライドコア50で唯一キャビティ40内面に露出する部分となり、周囲に配置されるキャビティ40の他の内面に連続した成形面となり、全体としてプラグ90の輪郭表面を形成する。
このために、変位機構60は、スライドコア50の中間部分に形成された傾斜面61,63と、スリーブ51の各開口部に形成された当接部62,64とを備えている。ここで、傾斜面61は当接部62と摺接するカム形状とされ、傾斜面63は当接部64と摺接するカム形状とされている。
スライドコア50がキャビティ40内に進出すると、当接部62との当接部分は傾斜面61に沿って移動し、傾斜面61の変位分だけスライドコア50はアンダーカット奥行き方向と反対側へ移動が許容される状態になる(図2の状態)。
一方、スライドコア50の傾斜面63より基端側の部分はアンダーカット奥行き方向に寸法が大きく形成されている。このため、スライドコア50がキャビティ40内に進出する際に、当接部64との当接が傾斜面63にさしかかると、スライドコア50がこの傾斜面63によりアンダーカット奥行き方向と反対側へ変位される(図3の状態)。
これにより、前述したように成形面52をアンダーカットである鏃形状94から待避させるような変位が行われる。
先ず、固定型20および可動型30を型閉めし、イジェクタピン21およびスライドコア50を後退させ、キャビティ40内に所定の成形用の輪郭形状を準備する(図1の状態)。
この状態で、キャビティ40内に溶融樹脂を射出し、そのまま内部で冷却させ、成型品であるプラグ90として固化させる。この際、プラグ90には、スライドコア50の成形面52によりアンダーカットである鏃形状94が形成される。
この際、アンダーカットである鏃形状94とスライドコア50の成形面52とは、アンダーカット奥行き方向に凹凸嵌合した状態であり、スライドコア50とプラグ90とはそのままでは分離できない(図2の状態)。
しかし、イジェクタピン21およびスライドコア50を更に進出させると、スライドコア50は変位機構60によりアンダーカット奥行き方向と反対側へ変位され、前述した鏃形状94と成形面52との凹凸嵌合状態が解除され、プラグ90は自由に取り出せる状態となる(図3の状態)。
すなわち、スライドコア50の側面にアンダーカットの凹凸形状に対応した成形面52を設け、変位機構60によりスライドコア50をアンダーカット奥行き方向と反対側へ変位させるようにしたので、成形面52でアンダーカットである鏃形状94が成型できるとともに、型開き状態ではアンダーカット部分から逃げることができ、成型品であるプラグ90の取出しを妨げることがない。
また、スライドコア5および変位機構60は、型締め状態ではスライドコア50の先端部分が移動規制されるようにしたため、溶融樹脂の射出圧をも確実に受けることができ、正確な成形を確保することができる。
また、前述した方向性の自由度により、本実施形態のプラグ90のように成型品にアンダーカットと向かい合う部分がある場合(鏃形状94に向かい合うようにプラグ本体91がある)でも、変位機構による変位代を確保でき、スライドコア50およびその進退方向は自由に配置することができる。
例えば、前記実施形態では、イジェクタピン21、スライドコア50および変位機構60を、それぞれ固定型20側に設置したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、イジェクタピン21およびスライドコア50および変位機構60は可動型30に設置してもよい。但し、駆動機構の設置は固定側のほうが望ましいといえる。
イジェクタピン21およびスライドコア50は必ずしも同方向に進退するものでなくてもよく、スライドコア50はアンダーカットの配置に応じて適宜な部位に配置することが望ましい。この場合には駆動機構の共用は難しくなるが、互いの方向や設置部位が異なっても適宜なリンク機構等を用いて共用することは可能である。
更に、変位機構60はスライドコア50に形成されるカム形状に限らず、独立した駆動機構により例えばガイドスリーブ51ごとスライドコア50を変位させるもの等であってもよい。
20 固定型
21 イジェクタピン
30 可動型
40 キャビティ
50 スライドコア
51 ガイドスリーブ
52 成形面
60 変位機構
61,63 傾斜面
62,64 当接部
90 プラグ
91 プラグ本体
92 ロックアーム
93 ガイドバー
94 鏃形状
Claims (9)
- 型閉め時に成形用のキャビティ(40)を形成する固定型(20)および可動型(30)と、前記キャビティ(40)内で成形される成型品(90)にアンダーカット(94)を形成するために前記キャビティ(40)内に進退可能に設置されたスライドコア(50)と、前記スライドコア(50)を前記アンダーカット(94)の奥行き方向へ変位させる変位機構(60)とを有することを特徴とする射出成形用金型(10)。
- 前記スライドコア(50)は前記固定型(20)および可動型(30)の型閉め方向に進退可能であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型(10)。
- 前記固定型(20)および可動型(30)の何れかはイジェクタピン(21)を有し、前記スライドコア(50)は前記イジェクタピン(21)と同期して進退されることを特徴とする請求項2に記載の射出成形用金型(10)。
- 前記変位機構(60)は、前記固定型(20)および可動型(30)の何れかに形成されて前記スライドコア(50)の進退をガイドするガイドスリーブ(51)と、前記ガイドスリープ(51)およびスライドコア(50)の互いに摺接する部分(61,62,63,64)の何れかに形成されて前記スライドコア(50)の進退方向に対して傾斜したカム形状(61,63)とを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の射出成形用金型(10)。
- 前記スライドコア(50)は先端近傍に前記アンダーカット(94)を形成する成形面(52)を有し、型閉め状態では前記スライドコア(50)のうち成形面(52)だけが前記キャビティ(40)内に露出することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の射出成形用金型(10)。
- 型閉め時に成形用のキャビティ(40)を形成する固定型(20)および可動型(30)と、前記キャビティ(40)内で成形される成型品(90)にアンダーカット(94)を形成するために前記キャビティ(40)内に進退可能に設置されたスライドコア(50)と、前記スライドコア(50)を前記アンダーカット(94)の奥行き方向へ変位させる変位機構(60)とを有する射出成形用金型(10)を用い、
前記固定型(20)および可動型(30)を型閉めして成形用のキャビティ(40)を形成し、
前記キャビティ(40)内に溶融樹脂を射出し、
前記溶融樹脂が固化した後、前記固定型(20)および可動型(30)を型開きするとともに、前記スライドコア(50)を前進させ、かつ変位機構(60)で前記スライドコア(50)を前記アンダーカット(94)の奥行き方向へ変位させ、これにより成型品(90)を取り出すことを特徴とする射出成形方法。 - 前記スライドコア(50)を前記固定型(20)および可動型(30)の型閉め方向に進退させることを特徴とする請求項6に記載の射出成形方法。
- 前記固定型(20)および可動型(30)の何れかにイジェクタピン(21)を設けておき、前記スライドコア(50)と前記イジェクタピン(21)とを同期して進出させることを特徴とする請求項7に記載の射出成形方法。
- 前記スライドコア(50)として、先端近傍に前記アンダーカット(94)を形成する成形面(52)を有し、型閉め状態では前記スライドコア(50)のうち成形面(52)だけが前記キャビティ(40)内に露出するものを用いることを特徴とする請求項6〜請求項8の何れかに記載の射出成形方法。
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