JP4178294B2 - 成形用金型装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縦横に延びる穴、溝又は通路を内部に持つ金属製又は樹脂製の成形品を成形するための成形用金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、縦横に延びる穴等を内包した金属成形品を得るための成形用金型装置として、入駒及び引抜き中子(入れ子とも言う)を備えたダイカスト金型装置が知られている(特許文献1参照)。このダイカスト金型装置では、固定型及び可動型に対し複数の入駒を設け、型締め時には固定型、可動型及び複数の入駒によってキャビティ(成形空間)を構築している。各入駒には、型締め時に引抜き中子の進退方向に対して重なり合うように貫通穴が形成されており、各入駒の貫通穴に棒状の引抜き中子を挿通することで、全ての入駒が引抜き中子によって串刺し状態となる。このキャビティに金属溶湯を充填した後、引抜き中子を引き抜いてから型開きすることで、縦横に延びる穴等を内包した鋳造品を得ている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−144010号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の金型装置では、各入駒は金型の一部となるべく固定型又は可動型に対して固定されているため、金属溶湯の熱によって入駒が熱膨張すると、入駒と引抜き中子との接触部(即ち入駒の貫通穴の内側)に過大な応力が発生して無理な荷重が掛かり易い。このため、引抜き中子が折れる若しくは曲がる、又は、入駒にクラック(割れ)が入る等の金型装置の破損が生じ易いという欠点がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、金型装置を構成する入れ子が熱膨張した場合でも入れ子の破損を防止可能な成形用金型装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、縦横に延びる穴、溝又は通路を内部に持つ成形品を成形するための金型装置であって、相対接近離間可能に設けられると共に型締め時に内部に成形空間を構築する第1及び第2の型と、前記成形空間に対し出没可能に設けられた棒状の第1入れ子と、前記成形空間内に突出配置された棒状の第1入れ子に対して交差状態で接触可能な第2入れ子とを備えており、前記第1及び第2の型のうちの少なくとも一方には、前記第2入れ子の熱による体積膨張を受容するための逃し空間を含んだ入れ子収納室が形成され、その入れ子収納室内に前記第2入れ子が収納保持されており、前記入れ子収納室の傍らには、該収納室内での前記第2入れ子の変位を選択的に禁止又は許容するロック機構が設けられており、当該ロック機構は、型締め時や型開き時には前記第2入れ子をロックして変位不能とし、高温成形材料の充填時、又は充填後であって当該材料の完全凝固前にはロックを解除して前記第2入れ子を変位可能とすることを特徴とする成形用金型装置である。
【0007】
この金型装置によれば、第1及び第2の型の型締め時、成形空間内に第2入れ子が配置されると共に、成形空間内に突出配置された棒状の第1入れ子が第2入れ子に対して交差状態で接触する。このように縦横に交差した第1及び第2入れ子を内包する成形空間に対し、高温の成形材料(例えば金属溶湯や溶融樹脂)を充填した後、第1入れ子を成形空間内から離脱させて型開きすれば、第1及び第2入れ子が占めていた箇所に、縦横に延びる穴、溝又は通路を内部に持つ成形品を得ることができる。
【0008】
この金型装置では、第1及び第2の型のうちの少なくとも一方に形成された逃し空間を含む入れ子収納室に第2入れ子を収納保持しているため、成形空間に充填された高温成形材料の熱によって第2入れ子が膨張しても、その膨張した体積は逃し空間に受容又は吸収される。それ故、第2入れ子の熱膨張に起因して第1及び第2入れ子の交差接触部に過大な応力が発生し無理な荷重がかかる事態が回避され、第1及び第2入れ子の破損が未然に防止される。なお、第2入れ子を保持する入れ子収納室の一部に第2入れ子の熱による体積膨張を受容するための逃し空間を設定したことで、第2入れ子が入れ子収納室内を不必要に変位し、成形空間内での第2入れ子の位置決めが不安定化する等の不都合を生じることが危惧される。その対策として本件金型装置では、入れ子収納室の傍らに第2入れ子の変位を選択的に禁止又は許容するロック機構を設けている。このロック機構の作用により、型締め時や型開き時などの第2入れ子が変位しては困る場合には、第2入れ子をロックして事実上第1又は第2の型と一体化させることができる。他方、高温成形材料の充填時又は充填後であって当該材料の完全凝固前にはロックを解除することで、入れ子収納室内で第2入れ子を変位可能とし、熱膨張した第2入れ子の一部が逃し空間内に受容又は吸収されるのを許容して入れ子の破損を未然防止することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の成形用金型装置において、前記第2入れ子は、第1及び第2の型の型締め時に成形空間内に配置され且つ前記棒状の第1入れ子を挿通させるための挿通穴が形成された先端部と、入れ子収納室に保持される胴部とを有しており、その第2入れ子の胴部には、前記入れ子収納室の一部と係合することで当該第2入れ子の先端部を成形空間内の所定位置に位置決めするための係合部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第2入れ子の胴部に設けられた係合部と、入れ子収納室の一部とが相互係合することで、第2入れ子の先端部が成形空間内の所定位置に位置決めされる。その結果、第2入れ子の先端部に形成された挿通穴に対し、棒状の第1入れ子を正確に挿通して、第1入れ子と第2入れ子との交差接触を確実なものとすることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の成形用金型装置において、前記入れ子収納室の一部である逃し空間は、前記第2入れ子の胴部の後端側に確保されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第2入れ子の先端部に形成された挿通穴に棒状の第1入れ子が挿通されることで、第1入れ子と第2入れ子との交差接触に基づき第2入れ子が進退不自由になるにもかかわらず、第2入れ子の胴部の後端側に逃し空間を確保することで、第2入れ子の熱膨張時にその膨張した体積を逃し空間で受容又は吸収する機能が担保される。尚、第2入れ子の胴部の後端側に逃し空間を確保した結果、第2入れ子が不必要に入れ子収納室内を後退して逃し空間の方へ変位する可能性があるが、かかる不都合な後退変位は、前記ロック機構がその本来のロック機能を発揮することで確実に防止できる。
【0013】
(付記)本発明の更に好ましい態様や追加的構成要件を以下に列挙する。
請求項1〜3において、前記ロック機構はコレットチャックで構成されていること、あるいは、前記ロック機構は前記第2入れ子を選択的にロック可能なストッパーによって構成されていること。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、成形用金型装置の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、成形用金型装置は、第1の型として固定金型1及び第2の型としての可動金型2を備えている。固定金型1は、金型外枠に相当する固定主型11と、その主型11内部に配設された製品成形部としての固定中子型12とから構成されている。同様に、可動金型2は、金型外枠に相当する可動主型21と、その主型21内部に配設された製品成形部としての可動中子型22とから構成されている。可動金型2は、図示しない駆動機構によって固定金型1に対し接近離間可能となっている。
【0015】
図1に示すように、前記固定中子型12には、左方に開口した成形用凹部13が設けられている。図2に示す両金型1,2の接合時(型締め時)には、成形用凹部13の左側開口部が可動中子型22の端面によって閉塞されることで、金型装置内部に単一のキャビティC(成形空間)が構築される。
【0016】
固定金型1は、棒状の第1入れ子としてのスライドピン3と、第2入れ子としての右側の浮動入れ子4とを備えている。具体的には、固定金型1の上部には、ピストン31を内蔵する油圧シリンダ機構32が設けられ、そのピストン31にはロッド33を介してスライドピン3が連結されている。ロッド33及びスライドピン3は、固定金型1によって垂直方向にスライド可能に支持されており、スライドピン3の先端部(下端部)は、ピストン31の上下動に伴ってキャビティC内に出没可能となっている。尚、図1に示す型開き時には少なくとも、スライドピン3は上方待機位置に配置され、その先端部はキャビティCの領域から退いている。
【0017】
また、図1に示す固定金型1の中央下寄り位置には、固定主型11及び固定中子型12を跨いで入れ子収納室14が区画形成されている。この入れ子収納室14の容積は、後述する浮動入れ子4の胴部41の体積よりも若干大きく設定されており、当該入れ子収容室14の右端には、その容積差に相当する大きさの逃し空間14aが確保されている。
【0018】
固定金型1の入れ子収納室14には、浮動入れ子4の胴部41が収納されている。浮動入れ子4は、その胴部41の他に、キャビティC内に配置される二つの先端部42,43を有する。二つの先端部42,43の各々には、前記スライドピン3を挿通させるための挿通穴44が垂直方向に貫通形成されている。
【0019】
浮動入れ子の胴部41には、位置決め用係合部としての段差部45が設けられている。この段差部45が入れ子収納室14の一部に設けられた前記段差部45と対応する段差に係合することで、浮動入れ子4がそれ以上キャビティC側に突出するのを規制されている。浮動入れ子4の段差部45と入れ子収納室14の段差との相互係合の結果、浮動入れ子4の二つの先端部42,43がキャビティC内の所定位置に位置決めされると共に、浮動入れ子の胴部41の後端側には逃し空間14aが確保される。この逃し空間14aが存在することで、浮動入れ子4は入れ子収納室14内をその軸方向(即ち型締め及び型開き方向)に変位可能となっている。尚、このように入れ子4が変位可能な状態を俗に浮動(フローティング)状態といい、これが部材名称「浮動入れ子」の起源となっている。
【0020】
更に、固定主型11の内部であって入れ子収納室14の傍らには、浮動入れ子の胴部41を取り囲むようにロック機構としてのコレットチャック6が配設されている。コレットチャック6は、外部からの動作制御に基づいて浮動入れ子4の胴部41に対し選択的に咬着し又は咬着を解除する。コレットチャック6によって胴部41を咬着された浮動入れ子4は、逃し空間14aの存在にもかかわらず入れ子収納室14内を変位不能(移動不能)となる。
【0021】
同様に、可動金型2は第2入れ子としての左側の浮動入れ子5を備え、図1に示す可動金型2の中央付近には、可動主型21及び可動中子型22を跨いで入れ子収納室24が区画形成されている。この入れ子収納室24の容積は、後述する浮動入れ子5の胴部51の体積よりも若干大きく設定されており、当該入れ子収容室24の左端には、その容積差に相当する大きさの逃し空間24aが確保されている。
【0022】
可動金型2の入れ子収納室24には、浮動入れ子5の胴部51が収納されている。浮動入れ子5は、その胴部51の他に、型締め時にキャビティC内に配置される先端部52を有する。この先端部52には、前記スライドピン3を挿通させるための挿通穴54が垂直方向に貫通形成されている。
【0023】
浮動入れ子5の胴部51には、入れ子収納室24の一部に設けられた段差に係合する位置決め用係合部としての段差部55が設けられている。この段差部55の役割及び機能は、前記右側の浮動入れ子4の段差部45と同じである。また、可動主型21の内部であって入れ子収納室24の傍らには、浮動入れ子の胴部51を取り囲むようにロック機構としてのコレットチャック6が配設されている。このコレットチャック6の役割及び機能も、前記固定主型11に設けられたコレットチャック6と同じである。
【0024】
なお、固定金型1には、型締め時に形成される成形空間としてキャビティC内に高温の金属溶湯を加圧供給するための加圧供給機構(図示略)が設けられている。加圧供給機構の具体例としては、スリーブと、そのスリーブ内を摺動可能なチップ体と、そのチップ体を作動させるロッドとを備え、スリーブ内に導入された金属溶湯をゲートを介してキャビティC内に押し出す機構を例示できる。
【0025】
次に、本実施形態の金型装置を用いた金属成形品の製造手順を説明する。図4のフローチャートは、以下に述べる金属成形品の製造手順(つまり金型装置の操作手順)の概要を示したものである。
【0026】
固定金型1及び可動金型2が相互離間した型開き状態(図1)では、スライドピン3は上方待機位置に配置されている。また、左右の浮動入れ子4,5の段差部45,55がそれぞれ対応する入れ子収納室14,24の段差に係合することで、各浮動入れ子4,5は、図1に示すようにそれぞれ対応する金型1,2に対して位置決めされる。更に、各浮動入れ子4,5は、図1に示す位置から位置ずれしないように、それぞれ対応するコレットチャック6によって移動不能にロックされる。
【0027】
図1の状態から可動金型2を固定金型1に接近させ接合させることで、両金型1,2を型締めする。この型締めによって、右側浮動入れ子4の各先端部42,43の挿通穴44と、左側浮動入れ子5の先端部52の挿通穴54とが、スライドピン3の軸線上(即ち垂直スライド経路上)に揃う。そして、油圧シリンダ機構32を作動させ、ピストン31、ロッド33及びスライドピン3を一体下動させることにより、スライドピン3を各浮動入れ子4,5の挿通穴44,54に挿通する。すると図2に示すように、キャビティC内では、スライドピン3によって各浮動入れ子4,5が串刺しされた状態、つまりスライドピン3及び浮動入れ子4,5が縦横に交差した状態が実現される。
【0028】
スライドピン3の下動完了後、コレットチャック6による浮動入れ子4,5のロックを解除する。コレットチャック6によるロックを解除しても、スライドピン3と各浮動入れ子4,5とが縦横に交差して各挿通穴44,54内で互いに接触係合した状態では、いずれの浮動入れ子4,5も水平方向(即ち型締め及び型開き方向)に移動し得ない。それ故、スライドピン3の下動後にコレットチャック6によるロックを解除しても、キャビティC内におけるスライドピン3及び浮動入れ子4,5の相対位置関係は保持される(下記金属溶湯の充填時においても当該相対位置関係は保持される)。
【0029】
浮動入れ子4,5のロック解除後、前記加圧供給機構によりキャビティCに対して高温の金属溶湯(例えば溶融状態のアルミニウム合金)を供給することで、キャビティC内に金属溶湯Mを充填する(図3参照)。すると、金属溶湯Mに触れた各浮動入れ子4,5は、溶湯により加熱されて熱膨張を起こす。このとき、各浮動入れ子の先端部42,43及び52はスライドピン3と交差接触状態にあるため、当該先端部側では、浮動入れ子4,5の体積膨張を受容又は吸収することができない。これに対し、各浮動入れ子の胴部41,51の後端側にはそれぞれ逃し空間14a,24aが確保されており、しかも前記ロック解除によって浮動入れ子の胴部41,51は変位及び寸法変化可能な状態にあるため、各浮動入れ子4,5は、逃げ場を求めて逃し空間14a,24aの中に体積膨張する。このように各浮動入れ子4,5の膨張部分が、それぞれ対応する逃し空間14a,24aに受容又は吸収されることで、浮動入れ子4,5とスライドピン3との交差接触部(即ち挿通穴44,54の内側)に生じる応力が緩和され、当該交差接触部に無理な荷重がかかる事態が回避される。
【0030】
金属溶湯Mの充填後、所定時間放冷することで、キャビティC内の金属が凝固し金属成形品Mの鋳造が完了する。金属が凝固する過程で浮動入れ子4,5も収縮して型締め直後と同じ体積及び形状を取り戻す。金属凝固が完了した時点でスライドピン3と浮動入れ子4,5との関係は、型締め後のスライドピン下動直後とほぼ同じ関係となり、両者の交差接触部に生じていた応力もほぼ消滅する。
【0031】
その後、各浮動入れ子4,5をそれぞれ対応するコレットチャック6で再びロックする。そして、スライドピン3をキャビティC内から前記上方待機位置に上動退避させ、スライドピン3と各浮動入れ子の先端部42,43及び52との接触係合を解除する。尚、浮動入れ子4,5の再ロック操作と、スライドピン3の上動操作との間で、操作順序が逆になったとしても何ら支障はない。
【0032】
固定金型1から可動金型2を離間させて型開きすることにより、キャビティC内から所望の金属成形品(鋳造品)Mを取り出すことができる。図5に示すように、得られた金属成形品Mの内部には、スライドピン3に対応してできた縦方向に延びる穴(又は溝もしくは通路)71と、浮動入れ子4,5の各先端部42,43及び52に対応してできた横方向に延びる複数の穴(又は溝もしくは通路)72,73及び74とが存在する。このような形状の金属成形品Mは、機械部品(例えばオートマチックトランスミッション用の油圧バルブハウジング)の原型又は粗材となる。鋳造された金属成形品Mは、その後必要に応じて、各穴71〜74に対し穴の内径を拡張する等の後加工(例えば切削加工)を施すことで最終製品にすることができる。
【0033】
(効果)本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
固定金型1及び可動金型2に対し、浮動入れ子4,5の熱膨張を受容又は吸収するための逃し空間14a,24aを含んだ入れ子収納室14,24を形成し、その入れ子収納室14,24内に浮動入れ子4,5を収納保持したことにより、浮動入れ子4,5の熱膨張に起因して、スライドピン3と浮動入れ子4,5との交差接触部に無理な荷重がかかる事態を回避できる。このため、金属疲労等によるスライドピン3及び浮動入れ子4,5の破損(例えば、折れ、曲がり、クラック発生)を未然に防止することができ、ひいては金型装置の寿命を従来よりも延ばすことができる。
【0034】
また、入れ子収納室14,24の傍らに、該収納室内での浮動入れ子4,5の変位を選択的に禁止又は許容するコレットチャック6を設けたので、型締め時や型開き時などの浮動入れ子4,5が変位しては困る場合には、コレットチャック6のロック作用に基づき、浮動入れ子4,5の不必要な変位を確実に防止することができる。例えば、型締め時に浮動入れ子4,5をロック状態とすることで、型締めの衝撃によって各浮動入れ子4,5が入れ子収納室14,24の奧に後退してしまい、その結果、各挿通穴44,54がスライドピン3の軸方向に揃わなくなる事態を防止できる。また、型開き時にも浮動入れ子4,5をロック状態とすることで、製品取出しの衝撃によって各浮動入れ子が位置ずれを起こし、次の型締め動作に支障を来したり、浮動入れ子自体が破損したりする事態を防止できる。その一方で、キャビティCへの金属溶湯Mの充填時にはロックを解除しておくことで、前記逃し空間14a,24aが熱膨張した浮動入れ子4,5の一部を受容又は吸収する作用を阻害しないようにすることができる。
【0035】
尚、本実施形態のようにキャビティC内に複数の入れ子(3,4,5)を配置した状態で鋳造を行うことにより、鋳造品の厚肉化を極力回避し、鋳巣の発生を防止して鋳造品質の向上を図ることができる。また、鋳造時に、製品の内部に、縦横に延びる穴、溝又は通路71〜74を同時形成することができるため、その後の追加加工の負担を減らして製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0036】
(変更例)本発明の実施形態を以下のように変更してもよい。
前記コレットチャック6に代えて、各浮動入れ子4,5を選択的にロック可能なストッパー(例えばくさび形のストッパー機構)をロック機構として採用してもよい。また、本発明の成形用金型装置は、鉄系又は非鉄系の金属鋳造品の成形に使用できるほか、樹脂製品の成形にも使用することができる。
【0037】
図4に示した金属成形品の製造手順に代えて、図6に示すような製造手順を採用してもよい。即ち図6の手順では、スライドピン3の下動完了後に浮動入れ子4,5をロックしたまま、キャビティCに対し高温の金属溶湯Mを供給してキャビティC内を金属溶湯Mで満たす。そして、キャビティCの壁面に接した金属溶湯Mの表面だけが凝固するタイミングを見計らって、コレットチャック6による浮動入れ子4,5のロックを解除する。その後は図4の手順と同様、キャビティCに充填された金属溶湯Mが完全に凝固した後に、各浮動入れ子4,5をそれぞれ対応するコレットチャック6で再びロックする。
【0038】
図6のように、キャビティCに充填された金属溶湯Mが表面凝固した後(であって完全凝固前)に浮動入れ子4,5のロックを解除することの目的は、溶湯充填時におけるスライドピン3の負荷軽減にある。即ち、キャビティC内に金属溶湯Mを加圧充填するときの充填圧力によって各浮動入れ子4,5を逃し空間14a,24aに向けて後退させようとする力が発生し、この力に基づいて各浮動入れ子4,5がスライドピン3を水平方向に強く引っ張ることがあり得る。この変更例のように、水平方向引っ張り力が働く瞬間だけでも各浮動入れ子4,5がロックされていれば、スライドピン3に作用する水平方向引っ張り力を軽減でき、スライドピン3の曲がりや破損を極力防止することができる。なお、図6の手順によれば、金属溶湯Mの表面凝固後直ちに浮動入れ子4,5のロックが解除されるので、金属が完全に凝固するまでの間、逃し空間14a,24aが熱膨張した浮動入れ子4,5の一部を受容又は吸収する作用は阻害されない。
【0039】
【発明の効果】
本発明の成形用金型装置によれば、第1及び第2の型のうちの少なくとも一方に第2入れ子の熱による体積膨張を受容するための逃し空間を含んだ入れ子収納室を形成し、その入れ子収納室内に第2入れ子を収納保持したことにより、第2入れ子の熱膨張に起因して第1及び第2入れ子の交差接触部に無理な荷重がかかる事態を回避し、第1及び第2入れ子の破損を未然に防止することができる。また、入れ子収納室の傍らに該収納室内における第2入れ子の変位を選択的に禁止又は許容するロック機構を設けたことにより、成形空間への高温成形材料の充填時又は充填後であって当該材料の完全凝固前において、前記逃し空間による熱膨張した第2入れ子の受容作用を阻害せずに、型締め時や型開き時などの第2入れ子が変位しては困る場合には、第2入れ子をロックして第2入れ子の不必要な変位を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形用金型装置の型開き時の断面図。
【図2】成形用金型装置の型締め時の断面図。
【図3】成形用金型装置内に金属溶湯を充填したときの断面図。
【図4】成形品の製造手順の概要を示したフローチャート。
【図5】成形品の一例の断面図。
【図6】成形品の製造手順の変更例を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…固定金型(第1の型)、2…可動金型(第2の型)、3…スライドピン(棒状の第1入れ子)、4,5…浮動入れ子(第2入れ子)、6…コレットチャック(ロック機構)、14,24…入れ子収納室、14a,24a…逃し空間、41,51…浮動入れ子の胴部、42,43,52…浮動入れ子の先端部、44,54…挿通穴、45,55…浮動入れ子の段差部(位置決め用係合部)、71,72,73,74…金属成形品内において縦横に延びる穴、溝又は通路、C…キャビティ(成形空間)、M…金属溶湯又は金属成形品。

Claims (3)

  1. 縦横に延びる穴、溝又は通路を内部に持つ成形品を成形するための金型装置であって、
    相対接近離間可能に設けられると共に型締め時に内部に成形空間を構築する第1及び第2の型と、
    前記成形空間に対し出没可能に設けられた棒状の第1入れ子と、
    前記成形空間内に突出配置された棒状の第1入れ子に対して交差状態で接触可能な第2入れ子とを備えており、
    前記第1及び第2の型のうちの少なくとも一方には、前記第2入れ子の熱による体積膨張を受容するための逃し空間を含んだ入れ子収納室が形成され、その入れ子収納室内に前記第2入れ子が収納保持されており、
    前記入れ子収納室の傍らには、該収納室内での前記第2入れ子の変位を選択的に禁止又は許容するロック機構が設けられており、当該ロック機構は、型締め時や型開き時には前記第2入れ子をロックして変位不能とし、高温成形材料の充填時、又は充填後であって当該材料の完全凝固前にはロックを解除して前記第2入れ子を変位可能とすることを特徴とする成形用金型装置。
  2. 前記第2入れ子は、第1及び第2の型の型締め時に成形空間内に配置され且つ前記棒状の第1入れ子を挿通させるための挿通穴が形成された先端部と、入れ子収納室に保持される胴部とを有しており、その第2入れ子の胴部には、前記入れ子収納室の一部と係合することで当該第2入れ子の先端部を成形空間内の所定位置に位置決めするための係合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の成形用金型装置。
  3. 前記入れ子収納室の一部である逃し空間は、前記第2入れ子の胴部の後端側に確保されていることを特徴とする請求項2に記載の成形用金型装置。
JP2003112260A 2003-04-17 2003-04-17 成形用金型装置 Expired - Fee Related JP4178294B2 (ja)

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