JP3618700B2 - 射出成形金型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンダーカット部を有した製品(成形品)をその材料の弾性を利用して金型から無理抜き(強制離型)できるようにした射出成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の射出成形金型として、図6及び図7に示すものがある。この射出成形金型1は、固定金型2上に可動金型3を型閉じ・型開き自在に配置してある。これら固定金型2と可動金型3との間には製品(成形品)8を射出成形するキャビティ4を形成してある。また、このキャビティ4の一側部には、製品8の外側アンダーカット部9を射出成形する凹部6を有したスライドコア5をアンギュラーピン(傾斜ピン)7等を介して斜め上下方向に移動自在にしてある。
【0003】
そして、図6に示すように、固定金型2と可動金型3との間のキャビティ4及びスライドコア5の凹部6間で射出成形された外側アンダーカット部9を有した製品8は、可動金型3を型開き(離型)した後で、図7に示すように、アンギュラーピン7等を介してスライドコア5を離型方向の斜め上方へ移動させることにより、固定金型2から抜き取られるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の射出成形金型1では、アンギュラーピン7等を介してスライドコア5を斜め上方へ移動させることにより外側アンダーカット部9を有した製品8を固定金型2から抜き取る構造であるため、製品(成形品)の内部の狭い空間にアンダーカット部(内側アンダーカット部)がある場合には対処することが難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、成形品の内側アンダーカット部を簡単且つ確実に無理抜き処理することができる射出成形金型を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、固定金型と可動金型との間に成形品を射出成形するキャビティを形成すると共に、前記固定金型と該固定金型に貫通自在に設けられたピン状のアンダーカットコアとの間に前記成形品のアンダーカット部を射出成形する凹部を形成し、このアンダーカット部を有した前記成形品を無理抜きする突き出しピンを前記アンダーカットコアに対して平行に設ける一方、前記固定金型に前記成形品の内側を成形する凸状のキャビティ形成面を形成すると共に内側アンダーカット部を成形する凹状のアンダーカット形成面を形成し、前記可動金型の前記固定金型の凸状のキャビティ形成面に対向する位置に前記成形品の外側を成形する凹状のキャビティ形成面を形成し、前記固定金型の凹状のアンダーカット形成面に前記アンダーカットコアが貫通して摺動する貫通孔を設けると共に、該固定金型の凸状のキャビティ形成面に前記突き出しピンが貫通して摺動する貫通孔を設け、この突き出しピンに、前記成形品の内側アンダーカット部の無理抜き時に前記可動金型の離型方向に該突き出しピンを移動させる作動体を連結し、且つ前記アンダーカットコアに、前記成形品の内側アンダーカット部が前記固定金型の凹状のアンダーカット形成面から離型するまで前記突き出しピンの移動に連動して該アンダーカットコアの移動を許容する規制部を設けた射出成形金型において、前記アンダーカットコアの規制部が前記固定金型の貫通孔の回りの一部に当たって該アンダーカットコアの移動が規制された際に、前記成形品の内側を保持する成形品保持部を前記固定金型の凸状のキャビティ形成面に設け、この成形品保持部で前記成形品の内側を保持した状態で前記突き出しピンを前記可動金型の離型方向に更に移動自在にしたことを特徴とする。
【0007】
この射出成形金型では、作動体により突き出しピンを可動金型の離型方向へ移動させるだけで、成形品の内側アンダーカット部の無理抜きが簡単且つ確実に行われる。特に、アンダーカットコアから成形品の内側アンダーカット部を無理抜きする際に、固定金型の凸状のキャビティ形成面に設けられた成形品保持部で成形品の内側を保持するようにしたので、成形品の傾きやガタ付きによる内側アンダーカット部の破損が確実に防止される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態の射出成形金型を示す断面図、図2(a)は同射出成形金型の型開き前の状態を示す断面図、図2(b)は同射出成形金型の型開き後で無理抜き前の状態を示す断面図、図2(c)は同射出成形金型の製品が離型された状態を示す断面図、図3は同射出成形金型の型開き前の状態の要部を示す拡大断面図、図4は同射出成形金型の型開き後で無理抜き前の状態の要部を示す拡大断面図、図5は同射出成形金型の製品が離型された状態の要部を示す拡大断面図である。
【0012】
図1に示すように、射出成形金型10は、金属製の固定金型11上に金属製の可動金型12を型閉じ・型開き自在に配置してあり、これら固定金型11と可動金型12との間に製品(成形品)20を射出成形するキャビティ13を形成してある。また、固定金型11と該固定金型11に貫通自在に設けられた無理抜きコアとしての金属製でピン状のアンダーカットコア14との間に製品20の内側アンダーカット部21を射出成形する凹部15を形成してある。また、内側アンダーカット部21を有した製品20を無理抜きする金属製の突き出しピン16を、アンダーカットコア14に対して平行になるように固定金型11に貫通自在に設けてある。
【0013】
固定金型11の上面11a側には製品20の内側を成形する凸状のキャビティ形成面11bを形成してあると共に、可動金型12の下面12a側の凸状のキャビティ形成面11bに対向する位置には製品20の外側を成形する凹状のキャビティ形成面12bを形成してある。これら固定金型11の凸状のキャビティ形成面11bと可動金型12の凹状のキャビティ形成面12bとの間で上記キャビティ13が形成されるようになっている。また、固定金型11の凸状のキャビティ形成面11bの上面側の略中央には内側アンダーカット部21を成形する凹状のアンダーカット形成面11cを形成してある。
【0014】
固定金型11の凹状のアンダーカット形成面11cの底面にはアンダーカットコア14が垂直に貫通して摺動する貫通孔11dを穿設してあると共に、該固定金型11の凸状のキャビティ形成面11bの上面の一側部寄りの位置には突き出しピン16が垂直に貫通して摺動する貫通孔11eを穿設してある。また、突き出しピン16の下端部16bには、製品20の内側アンダーカット部21の無理抜き時に可動金型12の離型方向Aに該突き出しピン16を移動させる一対の作動体17,17を連結してある。
【0015】
また、アンダーカットコア14の上部14aの周面には内側アンダーカット部21を成形する凹状のアンダーカット形成面14cを形成してある。これらアンダーカットコア14の凹状のアンダーカット形成面14cと固定金型11の凹状のアンダーカット形成面11cとで内側アンダーカット部21を成形するキャビティとしての凹部15が形成されるようになっている。
【0016】
さらに、アンダーカットコア14の略中央には、製品20の内側アンダーカット部21が固定金型11の凹状のアンダーカット形成面11cから離型するまで突き出しピン16の移動に連動して該アンダーカットコア14の移動を許容する環状の段差部(規制部)14bを一体形成してある。即ち、このアンダーカットコア14の段差部14bが固定金型11の貫通孔11dの回りの下面(一部)11fに当たって該アンダーカットコア14の離型方向Aへの移動が停止(規制)されるようになっている。この際に、図2(b)及び図4に示すように、固定金型11の凸状のキャビティ形成面11bの上部11b′側が製品20の内側を保持する成形品保持部になっている。この固定金型11の凸状のキャビティ形成面11bの上部(成形品保持部)11b′で製品20のフード部22の内側を保持した状態で突き出しピン16が可動金型12の離型方向Aに更に移動するようになっている。
【0017】
尚、アンダーカットコア14の大径側の下部14dは各作動体17を貫通して摺動自在になっている。また、下側の作動体17にはエアシリンダ18のピストンロッド19を連結してあり、該エアシリンダ18により各作動体17を介して突き出しピン16が上下方向に移動するようになっている。また、可動金型12の凹状のキャビティ形成面12bの略中央にはSPVC,PE,PP等の成形材料をキャビティ13内に充填するゲート12cを形成してある。さらに、固定金型11の上面11aと可動金型12の下面12aの接合面がパーティングライン(PL)になっている。
【0018】
以上実施形態の射出成形金型10によれば、図1に示すように、固定金型11と可動金型12を型締め(型閉じ)した後でゲート12cより図示しない溶融した熱硬化性樹脂材をキャビティ13及び凹部15内に充填すると、図2(a)及び図3に示すように、フード部22の内部の狭い空間に内側アンダーカット部21を一体突出形成させた製品20が射出成形される。
【0019】
この状態より、図2(b)及び図4に示すように、製品20の内側アンダーカット部21が固定金型11の凹状のアンダーカット形成面11cから離型するまで突き出しピン16を作動体17及びエアシリンダ18を介して可動金型12の離型方向Aへ上昇させる。この際に、アンダーカットコア14が内側アンダーカット部21に保持されているため、上記突き出しピン16の上昇動に連動してアンダーカットコア14の段差部14bが固定金型11の下面11fに当たるまで該アンダーカットコア14も上昇する。
【0020】
この製品20の内側アンダーカット部21が固定金型11の凹状のアンダーカット形成面11cから離型し、アンダーカットコア14の凹状のアンダーカット形成面11cから製品20の内側アンダーカット部21が無理抜きされる前の状態では、図2(b)及び図4に示すように、固定金型11の凸状のキャビティ形成面11bの上部に設けられた成形品保持部11b′で製品20のフード部22の内側が確実に保持されている。
【0021】
この状態より、図2(c)及び図5に示すように、作動体17及びエアシリンダ18を介して突き出しピン16を可動金型12の離型方向Aへ更に上昇させると、製品20の内側アンダーカット部21がその材料の弾性により撓んでアンダーカットコア14の凹状のアンダーカット形成面11cから簡単且つ確実に外れる。この無理抜きの際に、上述したように、固定金型11の凸状のキャビティ形成面11bの成形品保持部11b′で製品20のフード部22の内側を保持するようにしたので、製品20の内側アンダーカット部21が傾いたり、ガタ付くことなく無理抜きされて該内側アンダーカット部21の損傷等の破損を確実に防止することができる。このように、同一抜き方向でアンダーカットの処理を行うことができるため、高品質の内側アンダーカット部21を有した製品20を大量に低コストで製作することができる。
【0022】
尚、前記実施形態によれば、突き出しピンの駆動源としてエアシリンダを用いたが、油圧シリンダ等の他の駆動手段でも良いことは勿論である。また、製品の内側アンダーカット部として樹脂製の防水コネクタのホルダー係止ロック部等に適用する場合について説明したが、ゴム製のパッキン等に適用できることは勿論である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、固定金型の凹状のアンダーカット形成面にアンダーカットコアが貫通して摺動する貫通孔を設けると共に、該固定金型の凸状のキャビティ形成面に突き出しピンが貫通して摺動する貫通孔を設け、この突き出しピンに、成形品の内側アンダーカット部の無理抜き時に可動金型の離型方向に該突き出しピンを移動させる作動体を連結し、且つ、アンダーカットコアに、成形品の内側アンダーカット部が固定金型の凹状のアンダーカット形成面から離型するまで突き出しピンの移動に連動して該アンダーカットコアの移動を許容する規制部を設けたので、作動体により突き出しピンを可動金型の離型方向へ移動させるだけの簡単な動作で、成形品の内側アンダーカット部の無理抜きを容易且つ確実に行うことができる。特に、アンダーカットコアから成形品の内側アンダーカット部を無理抜きする際に、固定金型の凸状のキャビティ形成面に設けられた成形品保持部で成形品の内側を保持するようにしたので、成形品の傾きやガタ付きによる内側アンダーカット部の破損を確実に防止することができ、高品質の内側アンダーカット部を有した成形品を製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の射出成形金型を示す断面図である。
【図2】(a)は上記射出成形金型の型開き前の状態を示す断面図、(b)は同射出成形金型の型開き後で無理抜き前の状態を示す断面図、(c)は同射出成形金型の製品が離型された状態を示す断面図である。
【図3】上記射出成形金型の型開き前の状態の要部を示す拡大断面図である。
【図4】上記射出成形金型の型開き後で無理抜き前の状態の要部を示す拡大断面図である。
【図5】上記射出成形金型の製品が離型された状態の要部を示す拡大断面図である。
【図6】従来例の射出成形金型の断面図である。
【図7】上記従来例の射出成形金型の製品が離型された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 射出成形金型
11 固定金型
11b 凸状のキャビティ形成面
11b′ 上部(成形品保持部)
11c 凹状のアンダーカット形成面
11d 貫通孔
11e 貫通孔
11f 下面(一部)
12 可動金型
12b 凹状のキャビティ形成面
13 キャビティ
14 アンダーカットコア
14b 環状の段差部(規制部)
15 凹部(キャビティ)
16 突き出しピン
17 作動体
20 製品(成形品)
21 内側アンダーカット部
A 可動金型の離型方向

Claims (1)

  1. 固定金型と可動金型との間に成形品を射出成形するキャビティを形成すると共に、前記固定金型と該固定金型に貫通自在に設けられたピン状のアンダーカットコアとの間に前記成形品のアンダーカット部を射出成形する凹部を形成し、このアンダーカット部を有した前記成形品を無理抜きする突き出しピンを前記アンダーカットコアに対して平行に設ける一方、
    前記固定金型に前記成形品の内側を成形する凸状のキャビティ形成面を形成すると共に内側アンダーカット部を成形する凹状のアンダーカット形成面を形成し、前記可動金型の前記固定金型の凸状のキャビティ形成面に対向する位置に前記成形品の外側を成形する凹状のキャビティ形成面を形成し、前記固定金型の凹状のアンダーカット形成面に前記アンダーカットコアが貫通して摺動する貫通孔を設けると共に、該固定金型の凸状のキャビティ形成面に前記突き出しピンが貫通して摺動する貫通孔を設け、この突き出しピンに、前記成形品の内側アンダーカット部の無理抜き時に前記可動金型の離型方向に該突き出しピンを移動させる作動体を連結し、且つ前記アンダーカットコアに、前記成形品の内側アンダーカット部が前記固定金型の凹状のアンダーカット形成面から離型するまで前記突き出しピンの移動に連動して該アンダーカットコアの移動を許容する規制部を設けた射出成形金型において、
    前記アンダーカットコアの規制部が前記固定金型の貫通孔の回りの一部に当たって該アンダーカットコアの移動が規制された際に、前記成形品の内側を保持する成形品保持部を前記固定金型の凸状のキャビティ形成面に設け、この成形品保持部で前記成形品の内側を保持した状態で前記突き出しピンを前記可動金型の離型方向に更に移動自在にしたことを特徴とする射出成形金型。
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