JP2006282807A - 変性(メタ)アクリル系重合体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性に優れた粘着剤を得られる変性(メタ)アクリル系重合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基及びアルコキシシリル骨格を含む官能基を有する変性(メタ)アクリル系重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル系重合体の側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基及びアルコキシシリル骨格を含む官能基を導入した変性(メタ)アクリル系重合体及びその製造方法に関するものである。
(メタ)アクリル系重合体は、樹脂、ゴム、繊維、粘着剤・接着剤、塗料・インキをはじめとする様々な分野で使用されている。そして、これらの分野では、(メタ)アクリル系重合体の優れた性能を維持しつつ、所望の特性を付与するために、(メタ)アクリル系重合体の側鎖中に機能性の官能基を導入することが行われている(このような操作は「変性」と称される)。
例えば、(メタ)アクリル系重合体の側鎖中に重合性二重結合を有する化合物を導入することによって、紫外線を照射すると粘着力が発現する、いわゆるUV硬化性を付与した粘着剤組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−64593号公報
特許文献1には、(メタ)アクリル系重合体の側鎖中に二重結合を有する化合物を導入して変性させた反応性重合体を、(メタ)アクリル酸エステル単量体、それと共重合可能な単官能単量体及び光重合開始剤等を混合して粘着剤組成物を調製することによって、従来のUV硬化型の粘着剤組成物と比較して、塗工適性、接着力、耐熱保持力及び高温時における接着信頼性が改善された旨が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の粘着剤組成物は、被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性が未だ十分に満足できるものではないという課題が残されており、なお改善の余地を残すものであった。
このように、現在のところ、被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性に優れた粘着剤を得るための方策は未だ開示されておらず、そのような方策の創出が産業界から切望されている。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性に優れた粘着剤を得られる変性(メタ)アクリル系重合体及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上述のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、(メタ)アクリル系重合体の側鎖中に(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の変性(メタ)アクリル系重合体及びその製造方法が提供される。
[1] 主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基((メタ)アクリロイル系官能基)及びアルコキシシリル骨格を含む官能基(アルコキシシリル系官能基)を有する変性(メタ)アクリル系重合体。
[2] 重量平均分子量(Mw)が50,000〜1,000,000の範囲内である前記[1]に記載の変性(メタ)アクリル系重合体。
[3] ガラス転移温度(Tg)が0℃〜−55℃の範囲内である前記[1]又は[2]に記載の変性(メタ)アクリル系重合体。
[4] 主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基((メタ)アクリロイル系官能基)及びアルコキシシリル骨格を含む官能基(アルコキシシリル系官能基)を有する変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法であって、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、結合サイトとなる官能基を有する(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとし、前記ベースポリマーの前記官能基に、化学修飾によって前記(メタ)アクリロイル系官能基及び前記アルコキシシリル系官能基を導入する変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
[5] 前記化学修飾が、前記ベースポリマーの前記官能基に、前記(メタ)アクリロイル系官能基を有する化合物((メタ)アクリル系化合物)及び前記アルコキシシリル系官能基を有する化合物(アルコキシシラン系化合物)を結合させるものである前記[4]に記載の製造方法。
[6] 前記化学修飾が、前記ベースポリマーの前記官能基に、多官能性化合物を結合させ、その結合された多官能性化合物の残余の反応性官能基に、前記(メタ)アクリル系化合物及び前記アルコキシシラン系化合物を結合させるものである前記[4]又は[5]に記載の製造方法。
[7] 主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基((メタ)アクリロイル系官能基)及びアルコキシシリル骨格を含む官能基(アルコキシシリル系官能基)を有する変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法であって、下記A成分、下記B成分及び下記C成分を含む単量体混合物を重合反応に供し、側鎖中に前記アルコキシシリル系官能基及び結合サイトとなる官能基を有する第1の変性(メタ)アクリル系重合体を得、前記第1の変性(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとし、前記ベースポリマーの前記B成分に由来する繰り返し単位の前記官能基に、化学修飾によって前記(メタ)アクリロイル系官能基を導入して第2の変性(メタ)アクリル系重合体を得る変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
[A成分]:前記アルコキシシリル系官能基を有する単量体
[B成分]:結合サイトとなる官能基を有する単量体
[C成分]:(メタ)アクリル系単量体
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性に優れた粘着剤を得ることができる。
以下、本発明の変性(メタ)アクリル系重合体及びその製造方法を実施するための最良の形態について具体的に説明する。但し、本発明は、その発明特定事項を備える全ての実施形態を包含するものであり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
[1]変性(メタ)アクリル系重合体:
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基及びアルコキシシリル骨格を含む官能基を有する重合体である。
[1−1]主鎖:
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位(以下、「単量体X由来の繰り返し単位」を単に「X単位」と記す場合がある)を含むものである。換言すれば、本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は(メタ)アクリル系重合体を基本骨格とするものである。主鎖中に(メタ)アクリル系単量体単位を含ませるのは、そのことによって優れた耐候性、光学的性質(透光性、透明性)を発揮させることが可能となるからである。なお、本明細書において「主鎖」というときは、変性(メタ)アクリル系重合体において最も炭素数の多い炭素鎖を意味するものとする。
一般に、「(メタ)アクリル系単量体」とは、アクリル酸やメタクリル酸又はこれらの誘導体を意味する。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸の他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、i−ペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等の(メタ)アクリル酸塩類;(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル類;等を挙げることができる。
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、前記(メタ)アクリル系単量体の中でも、エチルアクリレート、ブチルアクリレート又は2−エチルヘキシルアクリレート由来の繰り返し単位を含むものが好ましく、エチルアクリレート又はブチルアクリレート由来の繰り返し単位を含むものが更に好ましく、エチルアクリレート由来の繰り返し単位を含むものが特に好ましい。これらの繰り返し単位を含ませることによって、良好な粘・接着性能を発揮させることが可能となるからである。
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、1種の(メタ)アクリル系単量体単位のみを含む単独重合体であってもよいし、2種以上の(メタ)アクリル系単量体単位を含む共重合体であってもよい。但し、粘着剤・接着剤とした際に、その塗膜(粘・接着剤層)の物性を精密に調整することが容易であるという理由から、2種以上の(メタ)アクリル系単量体単位を含む共重合体であることが好ましい。
なお、本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系単量体単位を含むものであれば足り、全ての繰り返し単位が(メタ)アクリル系単量体単位であることを要しない。即ち、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、(メタ)アクリル系単量体以外の単量体単位を含むものであってもよい。
「(メタ)アクリル系単量体以外の単量体」の種類については特に制限はないが、例えば、重合性不飽和結合を有する単量体を用いることができる。具体的には、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニルラクタム類;等を挙げることができる。
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体においては、(メタ)アクリル単量体単位の含有率は、変性(メタ)アクリル系重合体の主鎖を構成する単量体単位の合計を100質量%とした場合に、50質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。即ち、主鎖の全てが(メタ)アクリル単量体単位によって構成されていることが好ましい。(メタ)アクリル単量体単位の含有率が50質量%未満であると、粘・接着性能が低下する傾向があるため好ましくない。
[1−2]側鎖:
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基及びアルコキシシリル骨格を含む官能基を有するものである。換言すれば、基本骨格となる(メタ)アクリル系重合体に対して、化学修飾によって(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入し変性させたものと言える。なお、本明細書において「側鎖」というときは、変性(メタ)アクリル系重合体の主鎖(最も炭素数の多い炭素鎖)から分岐している炭素鎖を意味するものとする。
側鎖中に(メタ)アクリロイル系官能基(即ち、重合性の官能基)を有する重合体は、紫外線照射によってその重合体同士が架橋されるため、紫外線硬化性が発現することとなる。また、耐候性が高いことに加えて、粘・接着剤を剥離した際に被着体への糊残りが少なく、被着体を汚染し難いという好ましい効果が発揮される。一方、側鎖中にアルコキシシリル系官能基を有する重合体は、被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性に優れる。具体的には、高温条件下ないしは高温・高湿条件下においても優れた密着性を示し、粘・接着性能が高いという特徴がある。
本明細書において「(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基」というときは、下記表1に示された「アクリロイル骨格」又は「メタクリロイル骨格」を含む官能基を意味し、アクリロイル骨格やメタクリロイル骨格を構成する水素原子の全部又は一部が他の原子や官能基によって置換された置換誘導体も含むものとする。本明細書においては、これらの官能基を「(メタ)アクリロイル系官能基」と称する場合がある。
Figure 2006282807
代表的なものとしては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。アクリロイル基は優れた重合性(ひいては紫外線硬化性)を付与することができる点において好ましく、メタクリロイル基はアクリロイル基と比較して安全性が高い点において好ましい。
また、(メタ)アクリロイル系官能基はアクリロイル骨格やメタクリロイル骨格が直接的に主鎖に結合し得る構造の官能基である必要はなく、アクリロイル骨格やメタクリロイル骨格が何らかの原子や官能基を介して間接的に主鎖に結合し得る構造の官能基であってもよい(例えば、アクリロイルオキシ基等)。
(メタ)アクリロイル系官能基の好ましい含有量は、主鎖の構造、重量平均分子量、ガラス転移温度、粘着物性等によっても異なるが、変性(メタ)アクリル系重合体100g当たり0.1〜100mmolの範囲内であることが好ましく、0.3〜40mmolの範囲内であることが更に好ましく、0.5〜20mmolの範囲内であることが特に好ましい。例えば、重量平均分子量が300,000程度の変性(メタ)アクリル系重合体であれば、(メタ)アクリロイル系官能基を重合体1分子当たり0.33〜330個有しているものが好ましく、1.0〜132個有しているものが更に好ましく、1.65〜66個有しているものが特に好ましい。
含有量が0.1mmol/100g未満であると、(メタ)アクリロイル系官能基による変性効果(具体的には、紫外線硬化性、高耐候性、被着体への糊残りが少ない等の効果)が十分に得られなくなるおそれがあるため好ましくない。一方、100mmol/100gを超えると、重合体組成等によっても異なるが、重合体の不安定化を招く傾向があるため好ましくない。
本明細書において「アルコキシシリル骨格」というときは、前記表1に示されるように、ケイ素原子に少なくとも1つのアルコキシ基が結合された骨格を意味するものとする。従って、「アルコキシシリル骨格を含む官能基」には、ケイ素原子にアルコキシ基の他、何らかの原子やアルコキシ基以外の官能基が結合された官能基も含まれる。本明細書においては、これらの官能基を「アルコキシシリル系官能基」と称する場合がある。
具体的には、トリアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、モノアルコキシシリル基等が挙げられる。中でも、比較的入手が容易なトリアルコキシシラン誘導体を用いて導入することができるという理由から、トリアルコキシシリル基が特に好ましい。
また、アルコキシシリル系官能基はアルコキシシリル骨格が直接的に主鎖に結合し得る構造の官能基である必要はなく、アルコキシシリル骨格が何らかの原子や官能基を介して間接的に結合し得る構造の官能基であってもよい(例えば、トリアルコキシシリルアルキル基等)。
アルコキシシリル系官能基の好ましい含有量は、主鎖の構造、重量平均分子量、ガラス転移温度等によっても異なるが、変性(メタ)アクリル系重合体100g当たり0.1〜100mmolの範囲内であることが好ましく、0.3〜40mmolの範囲内であることが更に好ましく、0.5〜20mmolの範囲内であることが特に好ましい。例えば、重量平均分子量が300,000の変性(メタ)アクリル系重合体であれば、アルコキシシリル系官能基を重合体1分子当たり0.33〜330個有しているものが好ましく、1.0〜132個有しているものが更に好ましく、1.65〜66個有しているものが特に好ましい。
含有量が0.1mmol/100g未満であると、アルコキシシリル系官能基による変性効果(具体的には、被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性に優れる等の効果)が十分に得られなくなるおそれがあるため好ましくない。一方、100mmol/100gを超えると、重合体組成等によっても異なるが、重合体の不安定化を招く傾向があるため好ましくない。
[1−3]平均分子量:
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、その重量平均分子量(Mw)が50,000〜1,000,000の範囲内のものが好ましい。重量平均分子量をこの範囲内とすることによって、希釈剤(単量体ないし溶剤)との混和性が良好となり組成物の調製が容易となる他、粘着剤や接着剤とした際に被着体への糊残りが少なく、被着体を汚染し難いという好ましい効果が発揮される。
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、その重量平均分子量が100,000〜700,000の範囲内であるものが更に好ましく、150,000〜400,000の範囲内であるものが特に好ましい。即ち、重量平均分子量が300,000前後のものが特に好ましい。重量平均分子量が50,000未満であると、粘着剤や接着剤とした際に被着体への糊残りが増加し、被着体を汚染する傾向があるため好ましくない。一方、1,000,000を超えると、希釈剤との混和性が不良となる傾向があるため好ましくない。
重量平均分子量は、主鎖となる(メタ)アクリル系重合体を重合する際の重合条件、例えば、重合開始剤の種類及び量、連鎖移動剤の種類及び量、溶媒の種類及び量、反応温度、反応時間等を適切に制御することによって、上記の範囲内に調整することができる。また、市販の(メタ)アクリル系重合体の中から所望の重量平均分子量を有するものを適宜選択し、これを変性に供してもよい。
なお、本明細書において「重量平均分子量」というときは、GPC−LS法(Gel Permeation Chromatography−Light Scattering Method:GPC−光散乱法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味するものとする。
[1−4]ガラス転移温度(Tg):
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、そのガラス転移温度(Tg)が0℃〜−55℃の範囲内のものが好ましい。ガラス転移温度をこの範囲内とすることによって、粘着剤や接着剤とした際に適度な粘・接着性能が発現される。
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、そのガラス転移温度が0℃〜−55℃の範囲内であることが好ましく、−5℃〜−55℃の範囲内であるものが更に好ましく、−8℃〜−36℃の範囲内であるものが特に好ましい。ガラス転移温度が0℃を超えると、粘着剤や接着剤とした際に粘・接着強度が低下する傾向があるため好ましくない。一方、−55℃未満であると、粘着剤や接着剤とした際に被着体への糊残りが増加し、被着体を汚染する傾向があるため好ましくない。
ガラス転移温度は、主鎖となる(メタ)アクリル系重合体を構成する繰り返し単位の種類及び比率を適切に制御することによって、上記の範囲内に調整することができる。単量体M1,M2,…Mnに由来する繰り返し単位から構成される重合体Pのガラス転移温度(理論値)は、フォックスの式(下記式(1))から算出することができるので、この式を参考に繰り返し単位の種類及び比率を調節すればよい。
1/TgP=r1/TgM1+r2/TgM2… +rn/TgMn …(1)
(但し、TgP:重合体Pのガラス転移温度(K)、TgM1:単量体M1の単独重合体のガラス転移温度(K)、TgM2:単量体M2の単独重合体のガラス転移温度(K)、TgM3:単量体Mnの単独重合体のガラス転移温度(K)、r1:重合体Pにおける単量体M1単位の質量分率、r2:重合体Pにおける単量体M2単位の質量分率、rn:重合体Pにおける単量体Mn単位の質量分率)
より具体的に説明すると、本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、好ましいガラス転移温度が0℃〜−55℃と比較的低いため、重合の際に、単独重合体のガラス転移温度が比較的低い単量体、例えば、ブチルアクリレート(Tg:−55℃)、エチルアクリレート(Tg:−24℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−85℃)等を主成分とする単量体混合物に、単独重合体のガラス転移温度が比較的高い単量体、例えば、メチルメタクリレート(Tg:105℃)、スチレン(Tg:100℃)等を適宜添加して重合反応に供することによって、所望のガラス転移温度を有する重合体を得ることができる。また、市販の(メタ)アクリル系重合体の中から所望のガラス転移温度を有するものを適宜選択し、これを変性に供してもよい。
なお、本明細書において「ガラス転移温度」というときは、JIS K 7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定されたガラス転移温度を意味するものとする。
[2]変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法:
本発明の製造方法は、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を有する重合体の製造方法である。その方法としては、化学修飾法及び重合法が挙げられる。
[2−1]化学修飾法:
化学修飾法は、基本骨格となる(メタ)アクリル系重合体に対して、化学修飾によって(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入する方法である。具体的には、主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、結合サイトとなる官能基を有する(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとし、そのベースポリマーの結合サイトとなる官能基に、化学修飾によって(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入する方法である。
ベースポリマーは、i)主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含む重合体であること(即ち、(メタ)アクリル系重合体であること)、及びii)結合サイトとなる官能基を有する重合体であることが必要である。
「結合サイトとなる官能基」とは、化学修飾によって(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基やアルコキシシリル系官能基を導入する際の反応点となる官能基を意味し、具体的には、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基が挙げられる。中でも、イソシアネート基との反応性が高く、化学修飾が容易である水酸基であることが好ましい。
結合サイトとなる官能基を有する(メタ)アクリル系重合体は、その官能基を有する単量体及び(メタ)アクリル系単量体を共重合させる方法等により得られる。例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類と他の(メタ)アクリル系単量体とを共重合させることにより、水酸基を有する(メタ)アクリル系重合体を得ることができる。
この際の重合方法については特に制限はなく、従来公知の重合方法、例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法等の重合方法を利用することができる。中でも、(メタ)アクリル単量体はラジカル重合性の不飽和結合を有するため、ラジカル重合法により重合させたものが好ましい。
重合の様式についても、従来公知の様式、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を利用することができる。中でも、溶液重合法は、均一系で重合反応が進行するとともに、重合熱の除去が容易であるという特徴があり、分子量の制御が容易であることに加え、ハンドリングに優れた重合体を得られるため好ましい。重合方式は連続式でもよいし、回分式であってもよい。
具体的な重合方法を例示すると、例えば、溶媒中に、所定の比率で単量体を添加して混合し、ラジカル重合開始剤により重合を開始させ、所定の重合転化率に達した後、重合停止剤にて重合を停止する方法等が挙げられる。
「ラジカル重合開始剤」としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のジアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸カリウムにより代表される無機過酸化物;過酸化物−硫酸第一鉄等のレドックス系触媒;等を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
「溶媒」としては、各単量体を溶解し得るものであれば特に制限はない。例えば、トルエン等の芳香族化合物系溶媒;酢酸エチル等の脂肪酸エステル系溶媒;ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの炭化水素溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
反応系には目的に応じて重合反応で用いられる各種添加剤を添加してもよい。例えば、重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤を添加してもよい。「連鎖移動剤」としては、例えば、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;の他、四塩化炭素、チオグリコール類、ジテルペン、ターピノーレン又はγ−テルピネン類等を挙げることができる。
各々の単量体、ラジカル重合開始剤及び連鎖移動剤等は、それらの全量を反応容器に仕込んで重合反応を開始してもよいし、その一部を反応容器に仕込んで重合反応を開始し、その残部を連続的に或いは間欠的に追加しながら重合反応を行ってもよい。
重合反応は酸素を除去した雰囲気下、0〜100℃の温度範囲で行うことが一般的であり、0〜80℃の温度範囲で行うことが好ましい。重合の停止は所定の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加することによって行うことが一般的である。重合停止剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ヒドロキノン等のキノン化合物;等を挙げることができる。重合を停止させた後、反応系から未反応単量体や溶媒等を除去することにより、目的とする重合体を得ることができる。
なお、結合サイトとなる官能基を有する(メタ)アクリル系重合体は、前記のように重合により得ることができるが、市販の(メタ)アクリル系重合体の中から所望の官能基を有するものを適宜選択し、これをベースポリマーとして変性に供してもよい。
化学修飾法においては、ベースポリマーの結合サイトとなる官能基に、化学修飾によって(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入する。その方法としては、直接結合法及び間接結合法が挙げられる。
[2−1A]直接結合法:
直接結合法は、化学修飾の方法として、ベースポリマーの結合サイトとなる官能基に(メタ)アクリロイル系官能基やアルコキシシリル系官能基を有する化合物を直接的に結合させる方法を採る。即ち、ベースポリマーの結合サイトとなる官能基に、(メタ)アクリロイル系官能基を有する化合物及び前記アルコキシシリル系官能基を有する化合物を直接結合させることによって(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入する方法である。なお、本明細書においては、(メタ)アクリロイル系官能基を有する化合物を「(メタ)アクリル系化合物」、アルコキシシリル系官能基を有する化合物を「アルコキシシラン系化合物」と記す場合がある。
直接結合法では、ベースポリマーの結合サイトとなる官能基に(メタ)アクリル系化合物やアルコキシシラン系化合物を結合させる必要がある。従って、(メタ)アクリル系化合物及びアルコキシシラン系化合物として、(メタ)アクリロイル系官能基やアルコキシシリル系官能基の他、ベースポリマーの結合サイトとなる官能基と結合し得る反応性官能基を有する化合物を用いなければならない。
前記のような条件を満たす限り、前記反応性官能基の種類は特に制限されるものではない。例えば、イソシアネート基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、スチリル基、メルカプト基、カルボキシル基等を挙げることができる。但し、ベースポリマーの結合サイトとなる官能基が水酸基である場合には、水酸基との反応性が高いイソシアネート基を有する(メタ)アクリル系化合物やアルコキシシラン系化合物を用いることが好ましい。イソシアネート基を有する化合物を用いることにより、極めて温和な条件の下、ベースポリマーと(メタ)アクリル系化合物等とがウレタン結合によって直接的に結合される。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類のイソシアン酸エステル等を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル類のイソシアン酸エステルは市販されており、比較的容易に入手することができる。2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としては、カレンズMOI(商品名、昭和電工社製)を、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としては、カレンズAOI(商品名、昭和電工社製)を挙げることができる。一方、イソシアネート基を有するアルコキシシラン系化合物としては、例えば、アルキルトリアルコキシシランのイソシアン酸エステル等を挙げることができる(例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)。
[2−1B]間接結合法:
間接結合法は、化学修飾の方法として、ベースポリマーの結合サイトとなる官能基に多官能性化合物を結合させ、その多官能性化合物を介して(メタ)アクリロイル系官能基やアルコキシシリル系官能基を有する化合物を間接的に結合させる方法を採る。即ち、ベースポリマーの結合サイトとなる官能基に、反応性官能基を2以上有する多官能性化合物を結合させ、その結合された多官能性化合物の残余の反応性官能基に、(メタ)アクリル系化合物及びアルコキシシラン系化合物を結合させることによって(メタ)アクリロイル系官能基及びアルコキシシリル系官能基を導入する方法である。
間接結合法では、多官能性化合物の反応性官能基の少なくとも一つはベースポリマーの結合サイトとなる官能基と結合を形成し得る官能基である必要がある。また、多官能性化合物の反応性官能基の少なくとも一つの官能基は(メタ)アクリル系化合物やアルコキシシラン系化合物と結合を形成し得る官能基である必要がある。更に、(メタ)アクリル系化合物及びアルコキシシラン系化合物としては、(メタ)アクリロイル系官能基やアルコキシシリル系官能基の他、多官能性化合物の反応性官能基と結合を形成し得る官能基を有する化合物を用いなければならない。
前記のような条件を満たす限り、多官能性化合物の反応性官能基の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ベースポリマーの官能基が水酸基である場合には、水酸基との反応性が高いイソシアネート基を有する多官能性化合物を用いることが好ましい。
なお、多官能性化合物の反応性官能基は、ベースポリマーの官能基、(メタ)アクリル系化合物の官能基及びアルコキシシラン系化合物の官能基の各々と結合を形成し得るものである限り、官能基の種類が全て同じものである必要はなく、各々の官能基の種類が異なっていてもよい。
但し、本発明の製造方法においては、多官能性化合物として、イソシアネート基を2以上有するポリイソシアネート化合物等を用いることが好ましい。具体的には、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等を挙げることができる。
このような多官能性化合物は、ベースポリマー、(メタ)アクリル系化合物及びアルコキシシラン系化合物として水酸基を有するものを用いることにより、極めて温和な条件の下、ベースポリマーと(メタ)アクリル系化合物等とを間接的に結合させることができる。即ち、ベースポリマーと多官能性化合物、多官能性化合物と(メタ)アクリル系化合物等とが各々ウレタン結合を介して結合される。
水酸基を有する(メタ)アクリル系化合物としては、既に述べた水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。水酸基を有するアルコキシシラン系化合物としては、例えば、ヒドロキシアルキルトリアルコキシシラン等が挙げられる(例えば、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等)。
[2−2]重合法:
重合法は、アルコキシシリル系官能基を有する単量体(A成分)、結合サイトとなる官能基を有する単量体(B成分)及び(メタ)アクリル系単量体(C成分)を含む単量体混合物を重合反応に供し、側鎖中に前記アルコキシシリル系官能基及び結合サイトとなる官能基を有する第1の変性(メタ)アクリル系重合体を得、その第1の変性(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとし、そのベースポリマーのB成分に由来する繰り返し単位の結合サイトとなる官能基に、化学修飾によって(メタ)アクリロイル系官能基を導入して第2の変性(メタ)アクリル系重合体を得る方法である。換言すれば、アルコキシシリル系官能基については、他の単量体との共重合によってベースポリマーの骨格に組み込み、(メタ)アクリロイル系官能基については、そのベースポリマーへの化学修飾によって導入する方法である。
重合法においては、単量体混合物として、少なくともA成分、B成分及びC成分を含む単量体混合物を用いればよい。即ち、単量体混合物にはA成分、B成分及びC成分以外の単量体が含まれていてもよい。このような単量体混合物を重合反応に供し、共重合させることにより、側鎖中に前記アルコキシシリル系官能基及び結合サイトとなる官能基を有する第1の変性(メタ)アクリル系重合体を得ることができる。この第1の変性(メタ)アクリル系重合体には、B成分に由来する結合サイトとなる官能基が導入される。
この第1の変性(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとし、このベースポリマーに対して前記化学修飾法を適用して(メタ)アクリロイル系官能基を導入することによって、(メタ)アクリロイル系官能基とアルコキシシリル系官能基の双方を有する第2の変性(メタ)アクリル系重合体、即ち、本発明の変性(メタ)アクリル重合体を得ることができる。ベースポリマーへの(メタ)アクリロイル系官能基の導入は、既に述べた化学修飾法に準じて行うことができる。
重合法において、A成分としては、メタクリロイルオキシトリアルコキシシラン、アクリロイルオキシトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン等に代表される、重合性不飽和結合とアルコキシシリル系官能基の双方を有する単量体を用いることが好ましい。中でも、重合時の反応性が高い点において、メタクリロイルオキシトリアルコキシシラン又はアクリロイルオキシトリアルコキシシランを用いることが更に好ましく、アクリロイルオキシトリアルコキシシランを用いることが特に好ましい。B成分としては、既に述べた水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類等を、C成分としては、既に述べた(メタ)アクリル系単量体等を挙げることができる。
重合法においては、重合方法等について特に制限はない。例えば、化学修飾法の項で述べた方法等に準じて重合を行えばよい。
以下、本発明の変性(メタ)アクリル系重合体及びその製造方法について実施例を用いて更に具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の一部の実施形態を示すものに過ぎない。従って、本発明がこれらの実施例に限定して解釈されるべきではない。
[比較例1]
市販のアクリル系共重合体(商品名:パラクロンAW4500H、固形分40%、トルエン溶媒、根上工業社製)を比較例1の重合体とした。
[実施例1]
冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた四つ口フラスコ(2L)に、市販のアクリル系共重合体(商品名:パラクロンAW4500H、固形分40%、トルエン溶媒、根上工業社製)586g、溶媒(酢酸エチル)890g、反応触媒(ジブチル錫ラウレート)0.3gを仕込み、撹拌しながら40℃に加熱した。このアクリル系共重合体は、ブチルアクリレート単位、エチルアクリレート単位、メチルメタクリレート単位、ヒドロキシブチルアクリレート単位及びヒドロキシエチルアクリレート単位を含み、重量平均分子量が約330,000、ガラス転移温度が−8℃のものであった。また、このアクリル系共重合体の水酸基含有量は、アクリル系共重合体100g当たり15mmol(共重合体1分子当たり50個)であった。
予め調製しておいた、(メタ)アクリル系化合物(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、商品名:カレンズMOI、昭和電工社製)1.8g及びアルコキシシラン系化合物(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、商品名:KBE−9007、信越化学社製)1.1gを溶媒(酢酸エチル)120gに溶解させた混合液を、前記滴下ロートを通じて前記四つ口フラスコ内に滴下させた。この滴下は、前記四つ口フラスコ内部の温度を40℃に保持しながら、約1時間かけて行った。
滴下終了後も温度40℃で反応を継続し、反応液の滴定分析により、イソシアネート基の消失が確認できた時点で反応終了とし、変性(メタ)アクリル系重合体を得た。反応時間は前記混合液の滴下開始から5時間であった。
[IR]
得られた重合体を赤外分光(IR)により分析した。図1はベースポリマーとした市販のアクリル系共重合体のIRチャート、図2は実施例1で得られた重合体のIRチャートである。
実施例1で得られた重合体とベースポリマーのIRチャートを比較すると、実施例1で得られた重合体では、(メタ)アクリル系化合物やアルコキシシラン系化合物に由来するイソシアネート基を示すピーク(2273〜2000/cm-1)が存在せず、ベースポリマーには存在しなかったウレタン結合の第二級アミドの存在を示すピーク(1570〜1510/cm-1、866〜800/cm-1)及びトリエトキシシリル基の存在を示すピーク(1110/cm-1,950/cm-1付近)が出現している。このことから、実施例1で得られた重合体はメタクリロイル基とトリエトキシシリル基の双方を有するものと認められた。
[重量平均分子量]
実施例1で得られた重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量をGPC−LS法で測定した。その結果、重量平均分子量は335,000であり、50,000〜1,000,000の範囲内であった。また、原料由来の低分子量成分を除き、分子量1,000以下の低分子量成分が検出されていないことから、遊離の(メタ)アクリル系化合物やアルコキシシラン系化合物ないしはこれらに由来する低分子量の化合物は存在しないものと考えられた。即ち、(メタ)アクリル系化合物やアルコキシシラン系化合物は全てベースポリマーと反応し、(メタ)アクリロイル基やトリアルコキシシリル基が確実に導入されたものと認められた。
[ガラス転移温度]
また、ガラス転移温度をJIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定した。その結果、ガラス転移温度は−8℃であり、0℃〜−55℃の範囲内であった。
[メタクリロイル基含有量・トリエトキシシリル基含有量]
更に、実施例1で得られた重合体のメタクリロイル基含有量及びトリエトキシシリル基含有量を酸塩基滴定法により定量した。具体的には、得られた重合体をジn−ブチルアミン(DBA)と混合し、(メタ)アクリル系化合物やアルコキシシラン系化合物の未反応のイソシアネート基をDBAと反応させ、消費されたDBAの量を塩酸を用いた逆滴定によって定量した。その結果、DBAは消費されておらず、(メタ)アクリル系化合物やアルコキシシラン系化合物は仕込み量の全量がベースポリマーと反応したものと考えられた。官能基の含有量に換算すると、メタクリロイル基含有量は3mmol/100g(重合体1分子当たり10個)、トリアルコキシシリル基含有量は3mmol/100g(重合体1分子当たり10個)であった。
[耐熱性]
以下の方法により重合体の耐熱性を評価した。評価対象の重合体50gと光重合開始剤1g(商品名:Irugacure184、チバスペシャリティケミカルズ社製)を溶剤(トルエン)に溶解して塗工液を調製した後、この塗工液をアプリケーターによりPETフィルムの表面に塗布し、乾燥することにより、PETフィルムの表面に厚さ25μmの塗膜(粘着剤層)を形成した。その後、この粘着剤層を有するPETフィルムをアルカリガラス(商品名:一般硬質ガラス)に貼り合わせて積層体を形成した。この積層体を常態(温度:25℃、湿度:50%)、高温(80℃)の各々の条件下で1000時間曝露し、その後のPETフィルムとアルカリガラスとの粘着力を、JIS Z0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)に記載の180°ピール試験にて測定した。また、この際のアルカリガラス表面の糊残りを目視により評価した。
常態で曝露した後の粘着力T1と、高温条件下で曝露した後の粘着力T2とから下記式(2)により算出される粘着力比率R1が70〜150%の範囲内であり、目視により糊残りが認められない場合を「○/良好」、前記粘着力比率R1が70〜150%の範囲を外れているか、目視により糊残りが認められた場合を「×/不良」として評価した。その結果を表2に示す。
1=(T2/T1)×100 …(2)
(但し、T1:常態で曝露した後の粘着力(N/25mm)、T2:高温条件下で曝露した後の粘着力(N/25mm)、R1:粘着力比率(%))
Figure 2006282807
実施例1で得られた重合体は、高温条件下で長時間曝露された後も粘着剤層の粘着力が低下しておらず、また、アルカリガラス表面への糊残りも認められず、良好な耐熱性を示した。同様の試験を比較例1の重合体で実施したところ、高温条件下で曝露した後の粘着力が著しく低下していることに加え、アルカリガラス表面への糊残りが認められた。即ち、実施例1で得られた重合体と比較して耐熱性は不良であった。
[耐湿熱性]
以下の方法により重合体の耐湿熱性を評価した。評価対象の重合体50gと光重合開始剤1g(商品名:Irugacure184、チバスペシャリティケミカルズ社製)を溶剤(トルエン)に溶解して塗工液を調製した後、この塗工液をアプリケーターによりPETフィルムの表面に塗布し、乾燥することにより、PETフィルムの表面に厚さ25μmの塗膜(粘着剤層)を形成した。その後、この粘着剤層を有するPETフィルムをアルカリガラス(商品名:一般硬質ガラス)に貼り合わせて積層体を形成した。この積層体を常態(温度:25℃、湿度:50%)、高温・高湿(温度:60℃、湿度:90%)の各々の条件下で1000時間曝露し、その後のPETフィルムとアルカリガラスとの粘着力を、JIS Z0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)に記載の180°ピール試験にて測定した。
常態で曝露した後の粘着力T1と、高温・高湿条件下で曝露した後の粘着力T3とから下記式(3)により算出される粘着力比率R2が70〜150%の範囲内であり、目視により糊残りが認められない場合を「○/良好」、前記粘着力比率R2が70〜150%の範囲を外れているか、目視により糊残りが認められた場合を「×/不良」として評価した。その結果を表2に示す。
2=(T3/T1)×100 …(3)
(但し、T1:常態で曝露した後の粘着力(N/25mm)、T3:高温・高湿条件下で曝露した後の粘着力(N/25mm)、T2(N/25mm)、R2:粘着力比率(%))
実施例1で得られた重合体は、高温・高湿条件下で長時間曝露された後も粘着剤層の粘着力が低下しておらず、また、アルカリガラス表面への糊残りも認められず、良好な耐湿熱性を示した。同様の試験を比較例1の重合体で実施したところ、高温・高湿条件下で曝露した後の粘着力が著しく低下していることに加え、アルカリガラス表面への糊残りが認められた。即ち、実施例1で得られた重合体と比較して耐湿熱性は不良であった。
本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、被着体としてガラス材料を用いた場合の耐久性、特に、耐熱性や耐湿熱性に優れた粘着剤を得ることができるので、被着体がガラス材料であり、耐熱性や耐湿熱性が要求される粘着剤、例えば、ディスプレイ等の光学機器用粘着剤製造に好適に用いることができる。
また、本発明の変性(メタ)アクリル系重合体は、ガラス以外の材料、例えば、極性を有する樹脂材料(PET等)やコロナ放電処理等により極性を付与した非極性の樹脂材料(PE、PP等)にも良好な粘着性を示すので、ガラス材料とこれらの樹脂材料を貼り合わせる用途等にも好適に用いることができる。
比較例1の重合体(ベースポリマー)のIRチャートである。 実施例1で得られた重合体のIRチャートである。

Claims (7)

  1. 主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基((メタ)アクリロイル系官能基)及びアルコキシシリル骨格を含む官能基(アルコキシシリル系官能基)を有する変性(メタ)アクリル系重合体。
  2. 重量平均分子量(Mw)が50,000〜1,000,000の範囲内である請求項1に記載の変性(メタ)アクリル系重合体。
  3. ガラス転移温度(Tg)が0℃〜−55℃の範囲内である請求項1又は2に記載の変性(メタ)アクリル系重合体。
  4. 主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基((メタ)アクリロイル系官能基)及びアルコキシシリル骨格を含む官能基(アルコキシシリル系官能基)を有する変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法であって、
    主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、結合サイトとなる官能基を有する(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとし、
    前記ベースポリマーの前記官能基に、化学修飾によって前記(メタ)アクリロイル系官能基及び前記アルコキシシリル系官能基を導入する変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  5. 前記化学修飾が、前記ベースポリマーの前記官能基に、前記(メタ)アクリロイル系官能基を有する化合物((メタ)アクリル系化合物)及び前記アルコキシシリル系官能基を有する化合物(アルコキシシラン系化合物)を結合させるものである請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記化学修飾が、前記ベースポリマーの前記官能基に、多官能性化合物を結合させ、その結合された多官能性化合物の残余の反応性官能基に、前記(メタ)アクリル系化合物及び前記アルコキシシラン系化合物を結合させるものである請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 主鎖中に(メタ)アクリル系単量体由来の繰り返し単位を含み、側鎖中に(メタ)アクリロイル骨格を含む官能基((メタ)アクリロイル系官能基)及びアルコキシシリル骨格を含む官能基(アルコキシシリル系官能基)を有する変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法であって、
    下記A成分、下記B成分及び下記C成分を含む単量体混合物を重合反応に供し、側鎖中に前記アルコキシシリル系官能基及び結合サイトとなる官能基を有する第1の変性(メタ)アクリル系重合体を得、
    前記第1の変性(メタ)アクリル系重合体をベースポリマーとし、前記ベースポリマーの前記B成分に由来する繰り返し単位の前記官能基に、化学修飾によって前記(メタ)アクリロイル系官能基を導入して第2の変性(メタ)アクリル系重合体を得る変性(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
    [A成分]:前記アルコキシシリル系官能基を有する単量体
    [B成分]:結合サイトとなる官能基を有する単量体
    [C成分]:(メタ)アクリル系単量体
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