以下、本発明に係るインクジェット式プリンタの実施形態として、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式複合機100の外観構成の全体を示す斜視図、図2は、その内部構造を示す斜視図、図3は、その概略側面図である。このインクジェット式複合機(記録装置)100は、例えばJIS規格のL判やA6判からA4判までのサイズの単票紙やハガキに記録することができるプリンタ機能と、JIS規格のA4判までのサイズの原稿及びUS規格のレターサイズまでの原稿を読み取ることができるスキャナ機能と、JIS規格のL判、2L判、B5判、A4判、六切り、ハガキのサイズの用紙に複写することができるコピー機能を備えている。
このインクジェット式複合機100は、図1に示すように、全体が略直方体状のハウジング101で覆われており、下段にプリンタ110が配設され、上段にスキャナ120が配設された構成となっている。そして、背面側に本実施形態の特徴的な媒体給送装置である給紙部(媒体給送装置)130が配設され、前面側に給排紙部140が配設されている。ユーザは、記録前の用紙のセッティング方向として背面側の給紙部130及び前面側の給排紙部140の一方または両方を選択することができるので、インクジェット式複合機100の設置位置の自由度を高めることができる。さらに、記録後の用紙は常に前面側の給排紙部140から排紙されるので、ユーザは用紙を容易に取り出すことができる。
ハウジング101の上面には、図1に示す矩形平板状のスキャナカバー102が配設されている。このスキャナカバー102は、前部に取手103が形成されており、後部の回転軸を中心に図示矢印a方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、スキャナ120を使用するときは取っ手103に指を差し込んでスキャナカバー102を開閉することができるので、原稿の出し入れを容易に行うことができる。
ハウジング101の前面両側には、図2に示す複数のインクカートリッジ10が抜き差しされるカートリッジ収納部104がそれぞれ形成されている。各インクカートリッジ10は、記録用の各色のインクを貯留している。各カートリッジ収納部104は、図1に示す透明もしくは半透明のカートリッジカバー105によって覆われている。カートリッジカバー105は、その下部の回動軸を中心に図示矢印b方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、従来のように重量のあるスキャナ120全体を持ち上げてプリンタ110の内部を開放しなくても、カートリッジカバー105を軽く押して係止部を外しカートリッジ収納部104を開放するのみにより、インクカートリッジ10の交換作業等を行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
ハウジング101の上面のスキャナカバー102の手前には、図1に示すように、プリンタ110、スキャナ120、コピーの各動作を指示する操作部106が配設されている。操作部106は、パワーをオン・オフするパワー系、用紙の頭出し等を操作したりインクのフラッシング等を操作する操作系、画像処理等を行う処理系等の図示しないボタン等と、状態を表示する液晶パネル107等を備えている。ユーザは、液晶パネル107を見て確認しながらボタン等を操作することができる。
ハウジング101内には、図2及び図3に示すように、給排紙部140と、本実施形態の特徴的な媒体給送装置である給紙部130、記録部(記録部)150等が配設されている。給紙部130には、図1に示すように、上方に向かって矩形状に開口したリア給紙口131が形成され、このリア給紙口131の両端縁と後縁に沿ってフレーム132が配設されている。そして、このフレーム132には、図1〜図3に示すように、給紙する用紙を1枚もしくは複数枚サポートするペーパーサポート133と、該ペーパーサポート133にサポートされている用紙を1枚ずつ自動的に給送する背面給紙機構(以下、リアASFという)134、第1ペーパーガイドが配設されている。
図4は、ペーパーサポート133とリアASF134の詳細を示す側面図であり、図1〜図4を参照して説明する。ペーパーサポート133は、用紙の裏面をサポートする第1サポート21及び第2サポート22と、用紙の両サイドエッジをガイドする固定エッジガイド(固定媒体ガイド)23と第1可動エッジガイド(可動媒体ガイド)240と本実施形態の特徴的な部分である第2可動エッジガイド(中間ガイド)241等を備えている。リアASF134は、ペーパーサポート133にサポートされている用紙を給送するために持ち上げるホッパ(媒体トレイ)31、このホッパ31により持ち上げられた用紙を取り出す給紙ローラ(給送ローラ)32、この給紙ローラ32により重送された用紙を1枚のみに分離するリタードローラ33、このリタードローラ33により分離された残りの用紙をホッパ31へ戻すリア紙戻しユニット34等を備えている。また、このホッパ31には、第1可動エッジガイド240と、第2可動エッジガイド241とを摺動可能に係着するために、ホッパ媒体支持面311に第1ガイド係着溝312を2本、第2ガイド係着溝313を1本形成している(図3参照)。
第1サポート21は、平板状に形成されてフレーム132の後壁内側に格納・引出自在に配設され、第2サポート22は、平板状に形成されて第1サポート21に格納・引出自在に配設されている。第1サポート21及び第2サポート22は、給紙方向に伸縮自在に形成されているので、不使用のときはコンパクトに格納しておくことができ、また使用のときは種々のサイズの用紙を確実にサポートすることができる。
また、固定エッジガイド23は、フレーム132の装置前面側から見て右側壁に沿う形状でホッパ31と一体形成され、第1可動エッジガイド240、第2可動エッジガイド241は、フレーム132の装置前面側から見て左側壁に沿う形状に形成され、フレーム132の左側壁と右側壁の間をフレーム132の後壁と略平行に移動可能なようにホッパ31に取り付けられている。この時固定エッジガイド23と第1可動エッジガイド241は、用紙のサイズが異なっても確実に用紙の両側縁をガイドすることができるので、給送を高精度に行うことができる。
ホッパ31は、用紙が載置可能な平板状に形成されてフレーム132の後壁と略平行に配設されており、下端が給紙ローラ32の近傍に位置し、上端がフレーム132の後壁頂部に近接して位置するように配設されている。そして、ホッパ31は、下端側の裏面にフレーム132の後壁に一端が取り付けられた図示しない圧縮バネの他端が取り付けられており、この圧縮バネの伸縮により上端側を中心に下端側が旋回するように配設されている。
給紙ローラ32は、断面の一部が切り欠かれたD字状に形成されてホッパ31の下端近傍に複数並列に配設されており、間欠的に回転してホッパ31により持ち上げられた用紙を摩擦給送するようになっている。リタードローラ33は、給紙ローラ32と当接可能に配設されており、給紙ローラ32により用紙が重送されたときに最上層の用紙のみを下層の用紙から摩擦分離するようになっている。リア紙戻しユニット34は、爪状に形成されて給紙ローラ32の近傍に配設されており、リタードローラ33により分離された下層の用紙を爪に掛けてホッパ31へ戻すようになっている。なお、本実施形態の特徴的な媒体給送装置である給紙部130の詳細について後に図を用いて説明する。
給排紙部140には、図2及び図3に示すように、前方に向かって矩形状に開口したフロント給排紙口141が形成され、このフロント給排紙口141の下側に給紙トレイ142が配設され、給紙トレイ142の上側に排紙トレイ143が配設されている。そして、フロント給排紙口141の奧には、図3に示すように、給紙トレイ142に収納されている用紙を1枚ずつ自動的に給送する前面給紙機構(以下、フロントASFという)144と、排紙トレイ143に用紙を自動的に排送する前面排紙機構(以下、フロントEJという)145が配設されている。
給紙トレイ142は、図2及び図3に示すように、平板状に形成されており、上面に記録前の給紙される用紙が積層収納されるようなっている。排紙トレイ143は、図2及び図3に示すように、第1トレイ143a、第2トレイ143b及び第3トレイ143cを備えている。第1トレイ143aは、平板状に形成されて後部が給排紙部140の奧の本体フレーム108に回動自在に配設され、第2トレイ143bは、平板状に形成されて第1トレイ143aに格納・引出自在に配設され、第3トレイ143cは、平板状に形成されて第2トレイ143bに格納・引出自在に配設されている。
排紙トレイ143は、第2トレイ143b及び第3トレイ143cが引き出された状態で、上面に記録後の排紙される用紙が積層載置されるようなっている。第2トレイ143b及び第3トレイ143cは、排紙方向に伸縮自在に形成されているので、不使用のときはコンパクトに格納しておくことができ、また使用のときは種々のサイズの排紙される用紙を確実に積層載置することができる。なお、この給排紙部140は、給排紙時に折り曲げることが不可能な厚手の用紙や光ディスク等が収納されたトレイを手差しで給紙、供給することが可能なようにも形成されている。
図5は、フロントASF144の詳細を示す側面図であり、図3及び図5を参照して説明する。上記フロントASF144は、給紙トレイ142に収納されている用紙を取り出すピックアップローラユニット41、このピックアップローラユニット41により取り出された用紙の向きを変える土手部42を備えている。さらに、ピックアップローラユニット41により重送された用紙を1枚のみに分離するリタードローラユニット43、このリタードローラユニット43により分離された残りの用紙を給紙トレイ142に戻すフロント紙戻しユニット44、給送される用紙をU字状に反転させる中間ローラ45及びアシストローラ46等を備えている。
ピックアップローラユニット41は、給紙トレイ142の後部上方に配置され給紙トレイ142に対して上下に旋回自在に配設されており、下降して給紙トレイ142に収納されている用紙を摩擦給送するようになっている。土手部42は、給紙トレイ142の後部にて後方に向けて傾斜するように配設されており、ピックアップローラユニット41により給送される用紙の先端を上方に方向変換するようになっている。
リタードローラユニット43は、中間ローラ45と当接可能に配設されており、ピックアップローラユニット41により用紙が重送されたときに最上層の用紙のみを下層の用紙から摩擦分離するようになっている。フロント紙戻しユニット44は、爪状に形成されてリタードローラユニット43の近傍に配設されており、リタードローラユニット43により分離された下層の用紙を爪に掛けて給紙トレイ142へ戻すようになっている。アシストローラ46は、中間ローラ45に対して常時当接するように配設されており、リタードローラユニット43により分離された最上層の用紙を中間ローラ45と挟持してU字状に反転させ、プラテン155へ給送するようになっている。
フロントEJ145は、図3に示すように、第1排紙ローラ51と第1ギザローラ52、第2排紙ローラ53と第2ギザローラ54等を備えている。第1排紙ローラ51は、プラテン155の搬送下流側に配設されており、プラテン155を通過してくる用紙を第1ギザローラ52とともに挟持して排送し、さらに第2排紙ローラ53は、第1排紙ローラ51の搬送下流側に配設されており、その用紙を第2ギザローラ54とともに挟持して排紙トレイ143上へ排送するようになっている。
記録部150には、図3に示すように、記録動作に同期して副走査方向に用紙を送る紙送りローラ151とその従動ローラ152、記録動作に同期して主走査方向に移動するキャリッジ153、記録動作に同期してインクを吐出する記録ヘッド154、記録時の用紙を平坦に保持するプラテン155、用紙の搬送状態を検出する本実施形態の特徴的な紙検センサ(検出装置)200等が配設されている。
紙送りローラ151は、図3に示すように、プラテン155の搬送上流側に配設されており、給紙ローラ32により給送される用紙もしくは中間ローラ45により反転給送される用紙を図2に示す紙送り機構(搬送部)156により従動ローラ152とともに挟持してプラテン155へ送り出すようになっている。キャリッジ153は、プラテン155の上方で図3に示すキャリッジガイド軸157に貫装されて図2に示すキャリッジベルト158に連結されており、図2に示すキャリッジモータ159によってキャリッジベルト158が作動すると、キャリッジベルト158の動きに連行され、キャリッジガイド軸157に案内されて往復移動するようになっている。
記録ヘッド154は、図3に示すように、プラテン155と所定の間隔が空くようにしてキャリッジ153に搭載されており、例えばブラックインクを吐出するブラックインク用記録ヘッドと、イエロー、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタの5色のインクをそれぞれ吐出する複数のカラーインク用記録ヘッドとを備えている。そして、記録ヘッド154は、圧力発生室とそれに繋がるノズル開口が設けられており、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口から用紙に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。
制御部210は、インクジェット式複合機100の駆動を制御する装置である。この制御部210は、インクジェット式複合機100の後部に設けられており、各モータや、キャリッジ153、スキャナ120等の駆動を制御している。
紙検センサ200は、従動ローラ152の手前に複数設けられており、プラテン155に搬送される用紙の端部を検出する装置である。この紙検センサ200は、搬送された用紙Pの端部を検出して検出信号を制御部210へと送信しており、これにより、制御部210は記録部150での記録精度を高めるように指示を出すことが可能となっている。次に、本実施形態の特徴的な媒体給送装置である給紙部130について、図を用いて詳細に説明する。
図6は、本実施形態の特徴的な媒体給送装置である給紙部130の主な構成部材のみを抜き出して図示した斜視図である。そのため、ホッパ(媒体トレイ)31、給紙ローラ(給送ローラ)32等の主な構成部材以外は省略している。この給紙部130は、上述したように、インクジェット式複合機100の背部側に配置されているホッパ31が給送方向に対して平行に支持している用紙(被記録媒体)Pを、記録部150のプラテン155(図9参照)へと向けて給送するための装置である。また、この給紙部130は、ホッパ31、給紙ローラ32、リア給紙モータ159によって略構成されており、さらに媒体給送経路上の給紙ローラ32の給送下流側には、上記紙検センサ200が配設されている。
ホッパ31は、板上の部材であり、図2に示すように、インクジェット複合機100の背部側にあるフレーム132に配設されている。このホッパ31は、後述するホッパ媒体支持面311によって用紙Pを支持している場合、揺動して給紙ローラ32に支持した用紙を押し付けたり離したりすることが可能となっている。また、このホッパ31は、ホッパ媒体支持面311と固定エッジガイド23により略構成され、第1可動エッジガイド(可動媒体ガイド)240と、第2可動エッジガイド(可動媒体ガイド)241を搭載している。またこのホッパ31の側部には、フレーム132に設けられたガイド保持部244が当接するようになっている。
ホッパ媒体支持面311は、ホッパ31の用紙Pと直接当接する面であり、このホッパ媒体支持面311によって用紙Pは、面支持される。また、このホッパ媒体支持面311には、第1ガイド係着溝312と、第2ガイド係着溝313とが形成されており、この第1ガイド係着溝312と、第2ガイド係着身時313によって、第1可動エッジガイド240と第2可動エッジガイド241は、ホッパ31に搭載される。
固定エッジガイド23は、略直方体形状の部材であり、ホッパ媒体支持面311上に該ホッパ媒体支持面311の正面から見て右方側端に設けられている媒体支持部材である。さらに、この固定エッジガイド23は、ホッパ媒体支持面311に支持されている用紙Pの側部と当接して、用紙Pの姿勢を給送方向に対して平行になるように支持する。
第1ガイド係着溝312は、ホッパ媒体支持面311上に形成された溝であり、給送直交方向に対して平行に形成されている。また、第1ガイド係着溝312は、図3に示すように、断面形状が凸型をしており、ホッパ媒体支持面311上の媒体給送経路から見て上流側と下流側に分かれて1本ずつ、計2本形成されている。さらに、第1ガイド係着溝312は、ホッパ媒体支持面311上に設けられた固定エッジガイド23側の他端部から形成されており、該端部には図示しない第1ガイド挿入部が形成されている。また、この第1ガイド係着溝312は、第1可動エッジガイド240を第1ガイド挿入部から嵌め込むことにより、ホッパ媒体支持面311上に給送方向に対して平行な状態で媒体給送直交方向に平行移動可能となる態様で搭載するための溝である。
第2ガイド係着溝313は、ホッパ媒体支持面311上に形成された溝であり、給送直交方向に対して平行に形成されている。また、第2ガイド係着溝313は、図3に示すように、断面形状が凸型をしており、ホッパ媒体支持面311上の上記第1ガイド係着溝312の間に1本形成されている。さらに、第2ガイド係着溝313は、ホッパ媒体支持面311上に設けられた固定エッジガイド23側の他端部から形成されており、該端部には図示しない第2ガイド挿入部が形成されている。また、この第2ガイド係着溝313は、第2可動エッジガイド241を第2ガイド挿入部から嵌め込むことにより、ホッパ媒体支持面311上に給送方向に対して平行な状態で媒体給送直交方向に平行移動可能となる態様で搭載するための溝である。
第1可動エッジガイド240は、断面形状が弓状の略直方体形状の部材であり、ホッパ媒体支持面311上に搭載される媒体支持部材である。この第1可動エッジガイド240は、ホッパ媒体支持面311上を、給送方向に対して平行に移動し、該ホッパ媒体支持面311に支持されている用紙Pの側部を支持する。このとき、第1可動エッジガイド240は、固定エッジガイド23か、後述する第2可動エッジガイド241によって側部を支持されている用紙Pの逆側部と当接して用紙Pを支持する。また、この第1可動エッジガイド240は、背部の上端部と下端部に当たる部分の近傍に、図示しない逆凸型の第1ガイド係着部を一つずつ備えている。そして、この第1可動エッジガイド240は、第1ガイド係着部を上述した第1ガイド挿入部から第1ガイド係着溝312に挿入して嵌め込むことにより、第1可動エッジガイド240をホッパ媒体支持面311上に係着することが可能となっている。そのため、第1可動ガイド240は、給送方向に対して平行な状態で、給送直交方向に平行移動することが可能な態様でホッパ媒体支持面311に搭載することができる。また、この第1可動エッジガイド240は、第1ガイドロック243と、ガイド開口部245とをそれぞれ設けている。
第1ガイドロック243は、第1可動エッジガイド240に設けられたガイド固定機構である。この第1ガイドロック243は、第1可動エッジガイド240上に切り替え機を設けており、第1可動エッジガイド本体内部に図示しないリンク機構を備えている。また、この切り替え機とリンク機構とは連結しており、さらに、上述した第1ガイド係着部と連結している。そして、第1ガイドロック243の切り替え機を作動させることにより、リンク機構が可動し、第1ガイド係着部が第1ガイド係着溝312に押し付けられる。これにより、第1可動エッジガイド240は、ホッパ媒体支持面311上で移動不可能な状態になる。そのため、第1エッジガイド240は、用紙Pを支持した状態で固定することが可能となっているので、支持した用紙Pの給送中に、第1可動エッジガイド240が動いて用紙Pが斜めに給送されることを防止することが可能となっている。
ガイド開口部245は、第1可動エッジガイド240に形成された開口部であり、第2可動エッジガイド(中間ガイド)241が、通過することが可能な態様となっている。これにより、第2可動エッジガイド241は、ホッパ媒体支持面311が用紙Pを1枚支持する場合は、このガイド開口部245へと退避して収納することが可能となっており、ホッパ媒体支持面311が用紙Pを複数枚支持する場合には、第2可動エッジガイド241は、このガイド開口部245を通過してホッパ媒体支持面311へと展開することが可能となっている。また、このガイド開口部245を第2可動エッジガイド241が通過することにより、第1可動エッジガイド240と第2可動エッジガイド241とは、位置を入れ替えることが可能となっている。
第2可動エッジガイド241は、略直方体形状の部材であり、ホッパ媒体支持面311上に搭載される媒体支持部材である。この第2可動エッジガイド241は、ホッパ媒体支持面311上を、給送方向に対して平行に移動し、該ホッパ媒体支持面311に支持されている用紙Pの側部を支持する。このとき、第2可動エッジガイド241は、固定エッジガイド23か、第1可動エッジガイド240によって側部を支持されている用紙Pの逆側部と当接して用紙Pを支持する。さらに、第2可動エッジガイド241は、ホッパ媒体支持面311が複数枚の用紙Pを支持している場合、固定エッジガイド23と第1可動エッジガイド240との間に展開して用紙間の両側部と当接し、該用紙間に隙間を設けた状態で用紙Pの支持することが可能となっている。また、この第2可動エッジガイド241には、後述する第2ガイド摺動部242が設けられている。そして、この第2可動エッジガイド241は、第2ガイド摺動部242を上述した第2ガイド挿入部から第2ガイド係着溝313に挿入して嵌め込むことにより、第2可動エッジガイド241をホッパ媒体支持面311上に係着することが可能となっている。そのため、第2可動ガイド241は、給送方向に対して平行な状態で、給送直交方向に平行移動することが可能な態様でホッパ媒体支持面311に搭載することができる。また、この第2可動エッジガイド241は、上述した第2ガイド摺動部242と第2ガイドロック246とをそれぞれ設けている。
第2ガイド摺動部242は、第2可動エッジガイド241の背部に設けられた略直方体形状の部材であり、上述したように第2ガイド係着溝313に嵌め込まれて、第2可動エッジガイド241をホッパ媒体支持面311上に平行移動可能に係着するための部材である。この第2ガイド摺動部242は、断面形状が第2ガイド係着溝313の凸部に合わせた凸型となっており、該凸部が第2ガイド係着溝313の凸部と当接するように嵌め込むことが可能となっている。
第2ガイドロック246は、第2可動エッジガイド241に設けられたガイド固定機構である。この第2ガイドロック246は、第2可動エッジガイド241上に切り替え機を設けており、第2ガイド摺動部242本体内部に図示しないリンク機構を備えている。また、この切り替え機とリンク機構とは連結している。そして、第1ガイドロック246の切り替え機を作動させることにより、リンク機構が可動し、第2ガイド摺動部242が第2ガイド係着溝313に押し付けられる。これにより、第2可動エッジガイド241は、ホッパ媒体支持面311上で移動不可能な状態になる。そのため、第2エッジガイド241は、用紙Pを支持した状態で固定することが可能となっているので、支持した用紙Pの給送中に、第2可動エッジガイド241が動いて用紙Pが斜めに給送されることを防止することが可能となっている。
ガイド保持部244は、平板上の部材であり、第1可動エッジガイド240、第2可動エッジガイド241が、第1ガイド係着溝312、第2ガイド係着溝313から外れてしまうことがないように保持するための部材である。このガイド保持部244は、ホッパ31の揺動範囲に合わせた形状となっており、該ホッパ31が揺動しても、第1ガイド係着溝312、第2ガイド係着溝313が、ガイド保持部244と常に近接し続けるようになっている。そして、このガイド保持部244は、図2に示すフレーム132に取り付けられている。
給紙ローラ32は、上述したように略D字型のローラであり、ホッパ31の下端近傍に配設され、間欠的に回転してホッパ31により持ち上げられた用紙を摩擦給送するローラである。この給紙ローラ32は、後述する給紙ローラ回動軸320に軸通されており、該給紙ローラ回動軸320が後述するリア給紙モータ159の駆動力を伝達装置160により伝達され回動することによって回動する。また、本実施形態では、2枚の用紙Pを同時給送する態様となっており、給紙ローラ32は、2枚の用紙Pに合わせて2個設けられている。この2個の給紙ローラ32は、図8(A)に示す用紙P1、P1’に合わせてそれぞれ設けられており、固定エッジガイド23側にある用紙P1に対応する給紙ローラ32を給紙ローラ32a、第1可動エッジガイド240側にある用紙P1’に対応する給紙ローラ32を給紙ローラ32bとなっている。そして、給紙ローラ32a、32bは、給紙ローラ回動軸320に軸通されており、全てリア給紙モータ159の駆動力により回動するようになっている。これにより、ホッパ媒体支持面311に並列に2枚の用紙Pが支持された場合でも、給紙ローラ32a、32bが同時に用紙P1、P1’を給送することが可能となっている。
また、紙検センサ200は、用紙P1、P1’が2枚同時に給送された場合に、用紙の搬送状態を検出することが可能となるように、給紙ローラ32a、32bに合わせて2個設けられており、給紙ローラ32aに対応する紙検センサ200を紙検センサ200a、給紙ローラ32bに対応する紙検センサ200を紙検センサ200bとしている。
なお、本実施例では、給紙ローラ32、紙検センサ200の数はそれぞれ2個としているが、本実施形態の媒体給送装置では、給紙ローラ32、紙検センサ200の数は二つでなくてもかまわない。例えば、1個、もしくは3個以上でもかまわない。また、同じ数でなくても構わない。
給紙ローラ回動軸320は、給紙ローラ32a、32bを全て軸通している回動軸である。そして給紙ローラ回動軸は、一端を伝達装置160と連結しており、他端はフレーム132によって支持されている。そして、その状態でホッパ31に対して平行に配設されている。また、リア給紙モータ159は、この給紙部130の駆動源であり、その駆動力を第1伝達装置160に伝達している。さらに、第1伝達装置160は、リア給紙モータ159の駆動力を給紙ローラ回動軸320に伝達するために歯車機構である。これらにより、給紙ローラ32a、32bは、常に同じ速度、同じタイミングで回動するようになり、用紙の給送制度を高めることが可能となっている。
なお、本実施例では、伝達装置160は歯車機構としているが、本実施形態の媒体給送装置では、別に歯車機構でなくても構わない。例えば、ベルトとベルト車を用いた伝達装置でも構わない。この場合、ベルトによる滑りが発生するので、給紙ローラ32a、32bに強い負荷が発生した場合に、ベルトが滑って装置の破損を防ぐことが可能となる。次に、本実施形態の特徴的な部分である第1可動エッジガイド240と第2可動エッジガイド241の動作について図7を用いて説明する。
図7(A)、図7(B)は、ホッパ31を正面から見た図である。図7(A)に示すように、この第1可動エッジガイド240、第2可動エッジガイド241は、共にホッパ媒体支持面311上を、X方向、Y方向、どちらにも自由に平行移動することが可能となっている。なお、図7(A)の正面から見て左をX方向、右をY方向とする。また、第1可動エッジガイド240は、図6に示すようにガイド開口部245を設けており、そのガイド開口部245は、第2可動エッジガイド241が通り抜けることが可能な形状になっている。これにより、第1可動エッジガイド240をY方向へ、第2可動エッジガイド241をX方向へと移動させた場合、第1可動エッジガイド240と第2可動エッジガイド241は当接せずに、図7(B)のような状態にすることが可能となっている。これにより、ホッパ31は、ホッパ媒体支持面311の態様を、1枚の用紙Pを給送する場合と2枚の用紙Pを給送する場合とで変更することが可能となっている。また、第1可動エッジガイド240の、ガイド開口部245の内部に第2可動エッジガイド241を収納して置くことも可能となっている。このため、第1可動エッジガイド240と第2可動エッジガイド241とを合わせて一つのエッジガイドとして使用することも可能となる。次に、第1可動エッジガイド240と第2可動エッジガイド241の用紙Pの支持状態について図8を用いて説明する。
図8(A)は、ホッパ媒体支持面311に小さいサイズの用紙P1、P1’を2枚並列に並べて支持している状態の図であり、図8(B)は、大きいサイズの用紙P2を1枚支持している状態の図である。なお、図8(B)の第1可動エッジガイド240は、第2可動エッジガイド241と重ねあっている状態を示すために一部を取り除いた状態となっている。
図8(A)に示すように、小さいサイズの用紙P1、P1’を支持する場合、まず用紙P1は、用紙の側部を固定エッジガイド23によって支持され、逆側部を第2可動エッジガイド241の図8(A)の正面から見て右側面によって支持される。次に、用紙P1’は、用紙の側部を第2可動エッジガイド241の左側面によって支持され、逆側部を第1可動エッジガイド240の右側面によって支持される。このように、用紙P1と用紙P1’は、間に第2可動エッジガイド241を挟んだ状態で支持されるので、用紙P1と、P1’は両側端を支持された状態で給送することが可能となっている。さらに、第1可動エッジガイド240は第1ガイドロック243、第2可動エッジガイド241は第2ガイドロック246により、それぞれ用紙P1、P1’を支持した状態で移動不可能な状態で固定することが可能となっている。これらにより用紙P1、用紙P1’両用紙の斜め給送を防止することが可能となっている。
さらに、用紙P1と用紙P1’は第2可動エッジガイド241によってある程度の隙間を設けた状態で支持され、その状態で記録部150へと給送されるので、用紙P1と用紙P1’の間に隙間を設けた状態で記録を行うことが可能となっている。これにより、この第2可動エッジガイド241が用紙P1と用紙P1’を両用紙の間で支持している場合、用紙P1と用紙P1’を同時に縁無し記録を行うことが可能となっている。なお、この図8(A)では、第2可動エッジガイド241を挟んだ状態で給送を行う場合を説明したが、第1可動エッジガイド240と第2可動エッジガイド241を入れ替えても同等の効果を得ることが可能である。
さらに、本実施形態のホッパ媒体支持面311は、用紙P1、P1’を固定エッジガイド23側に寄せて複数枚並べるので、ホッパ媒体支持面311に、左右の側部へと分けて複数枚の用紙を並べ同時印刷を行う場合に比べて、キャリッジ153の走査距離が短くなり、記録速度を向上させることが可能となっている。
一方、図8(B)に示すように、大きいサイズの用紙P2を支持している場合、用紙P2の側部は固定エッジガイド23によって支持され、逆側部は、第1可動エッジガイド240によって支持される。また、第2可動エッジガイド241は、ガイド開口部245に収納されており、第1可動エッジガイド240と共に用紙P2の側部を支持する。これにより、第2可動エッジガイド241は、用紙P2をホッパ媒体支持面311上で支持する場合、ホッパ媒体支持面311上から退避して用紙P2を支持する妨げになることがない。さらに、第1可動エッジガイド240と第2可動エッジガイド241とを合わせて一つのエッジガイドとして使用することも可能となっており、腰の強い用紙Pを給送する際等にも、用紙をしっかりと支持することが可能となっている。
なお、本実施例では、第1可動エッジガイド240と第2可動エッジガイド241とで用紙P2の左側部を支持する場合を説明したが、第1可動エッジガイド240か、第2可動エッジガイド241のどちらか一つの可動エッジガイドで支持しても良い。次に、本実施形態の特徴的な媒体給送装置である給紙部130が給紙する用紙Pの経路について図9を用いて説明する。
図9(A)は、用紙Pが、ホッパ31から給送された状態を示す概略断面図であり、図9(B)は、用紙Pが、記録部150へと搬送された状態を示す概略断面図であり、図9(C)は用紙Pが、排紙トレイ143へと排紙された状態を示す概略断面図である。
給紙部130は、まず、図9(A)に示すように、ホッパ媒体支持面311に支持されている用紙Pを、ホッパ31の揺動と給紙ローラ32a、32bの駆動により紙送りローラ151と従動ローラ152とに向かって給送する。この時、重送された用紙はリタードローラ33によってホッパ媒体支持面311へと戻される。また給送された用紙Pの状態は、本実施形態の特徴的な紙検センサ200a、200bによって検知される。なお、この紙検センサ200a、200bによる検知態様については、後に図を用いて詳細に説明する。
次に、紙送りローラ151と従動ローラ152へと給送された用紙Pは、図9(B)に示すように、記録部150の本実施形態の特徴的なプラテン155へと搬送され、キャリッジ153に搭載された記録ヘッド154によって記録が行われる。
その後、記録部150にて記録された用紙Pは、図9(C)に示すように、フロントEJ145へと搬送され、第1排紙ローラ51と、第1ギザローラ52によって排紙され、次に第2排紙ローラ53と第2ギザローラ54とによって排紙トレイ143へと排紙される。以上のような経路により用紙Pは給送され、記録されて排紙される。次に、図9(A)の状態での紙検センサ200a、200bの検出信号に基づく制御部210によるインクジェット式複合機100の制御動作について図10を用いて説明する。
図10(A)は、用紙P1、P1’が同時に給送されている状態を示した図であり、図10(B)は、用紙P1、P1’がずれて給送された状態を示した図であり、図10(C)は、用紙P2が給送されている状態を示した図である。なお、本実施形態では、紙検センサ200a、200bは、図10(A)に示すように2個設けられており、用紙P1、P1’の用紙給送経路上にそれぞれ一つずつ設けられている。
図10(A)に示すように、紙検センサ200a、200b、それぞれに1枚ずつ接触する用紙P1、P1’を、ずれのない状態で給送した場合、紙検センサ200a、200bは、ほぼ同時に用紙P1、P1’の端部を検出し、制御部210(図3参照)へと検出信号を送信する。その後、制御部210は、紙検センサ200a、紙検センサ200bから検出信号を受け取り、検出信号を受け取った時間の差を比較して、その差が一定の範囲内であれば、そのまま用紙P1、P1’を、図9(B)に示すように、記録部150へと給送して記録を行わせる。
一方、図10(B)に示すように、紙検センサ200a、200b、それぞれに1枚ずつ接触する用紙P1、P1’のうち、用紙P1’の給送が、給紙ローラ32bの滑り等によって遅れた場合、紙検センサ200bは、紙検センサ200aより遅れて制御部210(図3参照)へと検出信号を送信する。その後、制御部210は、紙検センサ200a、紙検センサ200bから検出信号を受け取り、検出信号を受け取った時間の差を比較する。そして、図10(B)のように、その差が一定の範囲内を超えてしまった場合、制御部210は、用紙P1と用紙P1’とが、ずれて給送されたと判定して、用紙P1と用紙P1’に記録を行わずに排紙トレイ143へと排出させる。これにより、用P1、P1’が、ずれた状態で給送され記録が行われてしまい、記録精度が低下することを防止することが可能となっている。
次に、図10(C)に示すように、紙検センサ200a、200bの両方に接触する幅を持つ用紙P2を給送した場合、紙検センサ200a、200bは、双方で用紙P2の給送を検知し、検出信号を制御部210へと送信する。そして、制御部210は、用紙P1、P1’を同時に給送した場合と同様に、検出信号を受け取った時間の差を比較する。その後、その差が一定の範囲内かどうかを判定することにより、用紙P2がスキューのある状態で給送されているかどうかを判定することが可能となっている。また、スキューのある状態で用紙P2を給送したと判定した場合、制御部210は、給紙ローラ32a、32bを逆転させて用紙P2をホッパ媒体支持面311へと逆送する。その後、用紙P2のスキューを取り除いてから、給紙ローラ32a、32bを再び正転させて給送を行う。これにより用紙P2を1枚給送する場合には、スキューを防止することが可能となっており、記録精度を向上させることが可能となっている。
なお、本実施形態では、用紙Pを逆送する操作は、用紙P2を1枚給送しているときだけ適応し、用紙Pを2枚給送している状態で用紙P1、P1’がずれて給送された場合は、用紙Pを排出するようになっている。しかし、本実施形態の給紙部130は、この態様に限定されるものではなく、複数枚の用紙が斜めに給送された際に、用紙Pを逆送しても構わない。さらに、本実施形態では、図10に示すように紙検センサ200a、200bを給紙ローラ32a、32bの下流側の近傍に2個設けている。しかし、これは、本実施形態に係る紙検センサ200の数や位置を限定するものではない。例えば、紙検センサ200の数は三つ以上でも構わない。また、設けられる位置も、キャリッジ153であっても構わない。次に、インクジェット式複合機100に2枚の用紙が同時に給送される場合の動作について図11のフローチャートを用いて説明する。
図11は、本実施形態のインクジェット式複合機100が2枚の用紙Pを同時に給送して記録を行う場合について説明したフローチャートである。図11に示すように、まず使用者は、記録を行う前の下準備として、図8(A)のようにホッパ媒体支持面311に用紙P1、P1’をセットする(ステップS1)。次に使用者は、1枚分の画像データを作成した後、ホッパ媒体支持面311にセットした用紙に合わせてインクジェット式複合機100の割り付け記録機能を利用し2枚分の画像データを成形する。そして、記録を行う用紙Pの枚数を決定する(ステップS2)。その後、使用者は、成形した画像データをインクジェット式複合機100に転送する(ステップS3)。
次に、制御部210は、使用者が転送した画像データを基に、各色毎のラインメモリ上に、ラスタデータを展開する(ステップS4)。そして、記録を行う準備が整った所で、制御部210は、用紙P1、P1’の給送を開始する(ステップS5)。この用紙P1、P1’の給送が開始されると、制御部210は、内部のタイマを0にする(ステップS6)。次に、制御部210は、紙検センサ200a、200bからの検出信号を受け取った時間をセンサ検出タイムT1、T2として取得する(ステップS7)。その後、制御部210は、T2からT1を引いた時間を算出して、その結果、算出した時間差が予め定められた基準値以内かどうかを判定する(ステップS8)。ステップS8の結果、時間差が基準値以内であった場合、制御部210は、図10(A)に示すように、用紙P1と用紙P1’が、ほぼ平行な状態で給送されてきたと判定し、用紙P1、P1’の給送を継続させる(ステップS9)。その後、図9(B)に示すように、制御部210は、用紙P1、P1’を記録部150へと給送し、ステップS2で形成したデータを基に用紙P1と用紙P1’との両方に同時に記録を行う(ステップS10)。その後、制御部210は、ステップS2で設定された枚数の用紙に記録が行われたかをチェックし(ステップS11)、設定された枚数分記録が終了している場合は、記録を終了する。また、設定された枚数分記録が終了していない場合、制御部210は、ステップS5に戻って上述した処理を繰り返す。
一方、ステップS7で、制御部210が、センサ検出タイムT1、T2のいずれか一方のタイムを取得できなかった場合、これを用紙無しエラーとして検出する。また、ステップS8で算出した時間差が予め定められた基準値を超えてしまった場合、制御部210は、図10(B)に示すように、用紙P1と用紙P1’が、ずれた状態で給送されたと判定し、これを用紙のズレエラーとして検出する(ステップS12)。そして、制御部210は、エラーが発生したことを液晶パネル107(図1参照)により使用者に報知する(ステップS13)。その後、制御部210は、記録を行わずに用紙P1、用紙P1’を排紙トレイ143に排出する(ステップS14)。そして、制御部210は、使用者に対し記録を続行するか、記録を終了するかを選択させ、記録を続行する場合は、使用者にステップS1から再設定を行うように報知する(ステップS15)。以上が、用紙P1と用紙P1’の2枚を同時に給送した場合のフローチャートである。次に、本実施形態の特徴的な形状のプラテン155について図12を用いて説明する。
図12は、本実施形態のプラテン155のみを抜き出した斜視図である。プラテン155は、図12に示すように、略矩形状の板状部材であり、図9(B)に示す記録部150に給送されてきた用紙Pを、記録が行われている間支持する部材である。そして、図9(B)に示すように、記録ヘッド154の直下に設けられている。また、このプラテン155には、上流リブ部551、下流リブ部552、本実施形態の特徴的な部分であるインク打ち捨て溝554a〜jが設けられている。
上流リブ部551は、プラテン155の上面に複数形成された細い直方体形状の部材であり、用紙Pと記録中に直接支持する部材である。この上流リブ部551は給送方向に対して平行に形成されており、記録される用紙Pが、給送されている間プラテン155の上面に接触することを防止している。これによりプラテン155上面にインク材(記録材)が付着していた場合でも、用紙Pにそのインク材に接触し付着することを防ぐことが可能となっている。また、この複数ある上流リブ部551には、それぞれ用紙吸引孔553が一つずつ設けられている。
用紙吸引孔553は、複数ある上流リブ部551にそれぞれ一つずつ設けられた孔であり、プラテン155の下に備えられた図示しない減圧室によって吸引力が与えられる。そして、この吸引力により、用紙吸引孔553は、上流リブ部551上に給送されてきた用紙Pを、該上流リブ部551上に吸引する。これにより、給送されてきた用紙Pは、該用紙Pの平面形状を矯正されるので、記録ヘッド154から突出するインク材の打ち出し距離が一定となり、記録精度を向上させることが可能となっている。
下流リブ部552は、プラテン155の媒体給送流路の下流側に複数設けられた略直方体形状の部材であり、記録が終了した直後の用紙Pを支持する部材である。この下流リブ部552は給送方向に対して平行に形成されており、記録が終了している用紙Pを、給送されている間プラテン155の上面に接触させることがないようにしている。これによりプラテン155上面にインク材が付着していた場合でも、用紙Pがそのインク材に接触し付着することを防ぐことが可能となっている。
インク打ち捨て溝554a〜jは、プラテン155上に設けられた略矩形状の溝であり、インク材を打ち捨てるための溝である。このインク打ち捨て溝554a〜jは、プラテン155の全域に亘って形成されており、上流リブ部551と下流リブ部552とを分けている。そして、このインク打ち捨て溝551a〜jにインク材を打ち捨てることが可能となっているので、用紙Pに対して縁無し記録を行うことが可能となっている。
インク打ち捨て溝554aは、用紙Pの媒体給送直交方向に形成された溝であり、プラテン155の横幅に合わせて形成されている。そしてこのインク打ち捨て溝554aには、用紙Pの先端部と後端部に記録を行うインク材が、打ち捨てられる。また、底部に図示しないインク材排出経路を有しており、ここから打ち捨てられたインク材が排出される。
インク打ち捨て溝554bは、用紙Pの媒体給送方向に平行に形成された溝であり、プラテン155上の図8(B)に示す固定エッジガイド23に対応して形成されている。そして、このインク打ち捨て溝554bには、用紙Pの固定エッジガイド23と当接する側部に対し記録を行うインク材が打ち捨てられる。また、インク打ち捨て溝554bは、インク打ち捨て溝554aと連結しており、打ち捨てられたインク材は554aの図示しないインク排出経路から排出される。
インク打ち捨て溝554g〜jは、用紙Pの媒体給送方向に平行に形成された溝であり、プラテン155上の図8(A)、(B)に示す第1可動エッジガイド240と対応して形成されている。そして、このインク打ち捨て溝554g〜jには、用紙Pの第1可動エッジガイド240と当接する側部に対し記録を行うインク材が打ち捨てられる。また、インク打ち捨て溝554g〜jは、インク打ち捨て溝554aと連結しており、打ち捨てられたインク材は554aの図示しないインク排出経路から排出される。
インク打ち捨て溝554c〜fは、用紙Pの媒体給送方向に平行に形成された溝であり、プラテン155上の図8(A)に示す第2可動エッジガイド241と対応して形成されている。そして、このインク打ち捨て溝554c〜fには、用紙Pの第2可動エッジガイド241と当接する側部に対し記録を行うインク材が打ち捨てられる。また、インク打ち捨て溝554c〜fは、インク打ち捨て溝554aと連結しており、打ち捨てられたインク材は554aの図示しないインク排出経路から排出される。
さらに、インク打ち捨て溝554c〜fは、図8(A)に示すように用紙P1、P1’が2枚同時に給送された場合に、その用紙Pに対して2枚同時に縁無し記録が可能な態様となっていることを特徴としている。例えば、図8(A)に示すように用紙P1と用紙P1’が2枚同時に給送され縁無し記録が行われる場合、用紙P1と用紙P1’の先端部と後端部に対する縁無し記録用のインク材は、インク打ち捨て溝554aに打ち捨てられる。また、用紙P1の固定エッジガイド23側に対応する縁無し記録用のインク材は、インク打ち捨て溝554bに打ち捨てられる。一方、用紙P1’の第1可動エッジガイド240側に対応する縁無し記録用のインク材は、第1可動エッジガイド240の側部が、インク打ち捨て溝554fと対応し、該インク打ち捨て溝554fに打ち捨てられる。そして、第2可動エッジガイド241によって支持されている用紙P1と用紙P1’の側部は、インク打ち捨て溝554dと対応し、ここに縁無し記録用の打ち捨てインクが打ち捨てられる。これにより、本実施形態の特徴的な部分であるプラテン155では、用紙P1と用紙P1’とを2枚同時に給送した場合でも、2枚同時に縁無し記録を行うことが可能となっており、さらに、用紙P1と用紙P1’の間は第2可動エッジガイド241によって十分隙間を設けられているため、用紙P1と用紙P1’それぞれが、お互いの打ち捨てインクによって記録精度に影響を及ぼさないようになっている。
なお、インク打ち捨て溝554c〜jは、インク打ち捨て溝554bよりも幅が広くなっており、用紙P1と用紙P1’の端部が2枚同時に給送された場合でも、確実に用紙の両側部にインク打ち捨て溝554c〜jのどれかが対応することが可能となっている。これにより、どのような大きさの用紙が2枚給送された場合でも、縁無し記録を行うことが可能となっている。次に、本実施形態のプラテン155の別例であるプラテン256について図13を用いて説明する。
図13は、本実施形態のプラテン155の別例であるプラテン256のみを抜き出した斜視図である。プラテン256は、プラテン155と同じく、プラテン256上に上流リブ部561、下流リブ部562が形成されており、上流リブ部561にはそれぞれ、第1用紙吸引孔563が形成されている。また、プラテン256にはインク打ち捨て溝564a、564bが形成されている。なお、これらの部材は、プラテン155に形成されている同一名称の部材と同等の機能を有しているだけなので、説明を省略する。そして、プラテン256は、可動リブ570a、570bが備えられており、この可動リブ570a、570bに対応する可動リブ抑制部565、第2上流リブ部566、第2用紙吸引孔567、可動リブ移動溝568がそれぞれ形成されていることを特徴としている。
可動リブ抑制部565は、プラテン256に形成された抑制部であり、この可動リブ抑制部565は、後述する可動リブ570aと当接することによって該可動リブ570aの移動を抑制する部材である。この可動リブ抑制部565は、上流リブ部561の固定エッジガイド23と対応する側に、後述する可動リブ移動溝568とインク打ち捨て溝564bとを隔てるように形成されている。そして、可動リブ抑制部565は、可動リブ570aが当接した際に、該可動リブ570aとインク打ち捨て溝564bとの間にある程度の間を設けることが可能となるように、給送直交方向に幅を有している。なお、可動リブ抑制部565の幅は本実施形態では、名刺サイズの用紙Pを可動リブ570aと後述する第2上流リブ部566とで支持可能となるような態様になっている。
第2上流リブ部566は、可動リブ抑制部565上に設けられた直方体形状の部材であり、該可動リブ抑制部565上を給送される用紙Pを支持するための部材である。この第2上流リブ部566は、固定エッジガイド23側の上流リブ部561と一体に形成されており、用紙Pが可動リブ抑制部565の上面と接触することを防ぐことが可能となっている。そして、この第2上流リブ部566には、第2用紙吸引孔567が形成されており、第1用紙吸引孔563と同じく給送された用紙Pを吸引し、該用紙Pの姿勢を矯正する。
第2用紙吸引孔567は、第2上流リブ部566上に形成された孔であり、プラテン256の下に備えられた図示しない減圧室によって吸引力が与えられる。そして、この吸引力により、第2用紙吸引孔563は、第2上流リブ部566上に給送されてきた用紙Pを、該第2上流リブ部566上に吸引する。これにより、給送されてきた用紙Pは、該用紙Pの平面形状を矯正されるので、記録ヘッド154から突出するインク材の打ち出し距離が一定となり、記録精度を向上させることが可能となっている。
可動リブ移動溝568は、プラテン256に設けられた溝であり、可動リブ570a、570bがプラテン256上を移動するための溝である。可動リブ移動溝568は、プラテン256上の、可動リブ抑制部565から逆端部まで形成されており、給送方向に対する幅は、可動エッジガイド570a、570bと同じ大きさとなっている。これにより、可動エッジガイド570a、570bは、プラテン256上を安定した状態で移動することが可能となっており、さらに、プラテン256上のどの位置に用紙Pが給送された場合でも、その用紙Pに合わせて移動することが可能となっている。
可動リブ570a、570bは、図14に示すように、プラテン256に設けられたリブ部材であり、図6に示す第1可動エッジガイド240には可動リブ570aが、第2可動エッジガイド241には可動リブ570bが、それぞれ図示しないリンク機構で接続されている。そして、第1可動エッジガイド240、第2可動エッジガイド241がそれぞれ移動することによって可動リブ570a、570bも連動することが可能となっている。これにより、第1可動エッジガイド240、第2可動エッジガイド241に支持された用紙Pの側部に可動リブ570a、570bが自動的に移動するようになる。また、この可動リブ570a、570bにはそれぞれ、可動上流リブ部571a、571b、可動打ち捨て溝573a、573bが形成されており、該可動上流リブ571a、571bの間には可動打ち捨て溝573a、573bが形成されている。
可動上流リブ部571a、571bは、それぞれ可動リブ570a、570bの給送直交方向の左右両端に一つずつ、計4個設けられた略直方体形状の部材であり、該可動リブ570a、570b上へと給送された用紙Pを直接支持する部材である。また、可動上流リブ571a、571bには、それぞれ一つずつ可動用紙吸引孔572a、572bが、計4個形成されている。
可動用紙吸引孔572a、572bは、可動上流リブ部571a、571bにそれぞれ一つずつ、計4個設けられた孔であり、可動リブ570a、570bが、それぞれ直下に一つずつ設けている図示しない可動減圧室によって吸引力を与えられ、可動上流リブ部571a、571b上に給送されてきた用紙Pを、該可動上流リブ部571a、571b上に吸引する。これにより、上流リブ部571a、571b上に給送されてきた用紙Pは、矯正されて平面状態にすることが可能となっている。そして、インク材の打ち出し距離が一定となるので、記録精度を向上させることが可能となっている。なお、図示しない可動減圧室は、可動リブ570a、570bと一体に形成されており、共に移動する態様となっている。
可動打ち捨て溝573a、573b(打ち捨て溝)は、可動リブ570a、570bに形成された溝であり、可動エッジガイド570a、570bそれぞれに二つずつ形成されている可動上流リブ部571a、571bの間にそれぞれ形成されている。また、可動打ち捨て溝573a、573bはそれぞれ底部に図示しない吸引孔が形成されており、該吸引孔は上述した図示しない可動減圧室と連通している。これにより、上記吸引孔は、上記可動減圧室から吸引力を与えられる。そして、可動上流リブ部571a、571bによって支持された用紙Pに縁無し記録が行われ、インク材が打ち捨てられた場合、可動打ち捨て溝573a、573b内のインク材を素早く吸引することが可能となっている。これにより、可動打ち捨て溝573a、573b内部にインク材が留まらず素早く取り除くことが可能となっている。
上述したプラテン256を設けることにより、本実施形態のインクジェット式複合機100は、第1可動エッジガイド240、第2可動エッジガイド241に連動して、可動エッジガイド570a、570bが移動するような態様となっている。これにより、可動打ち捨て溝573a、573bが常に用紙Pの側部に移動するようになるので、多様なサイズの用紙Pに対して縁無し記録を行うことが可能となる。次に、本実施形態の給紙トレイ542(媒体トレイ)について図14を用いて説明する。
図14(A)は、給紙トレイ542を正面からみた図であり、図14(B)は、給紙トレイ542の後述する第2用紙ガイド510の拡大斜視図である。給紙トレイ542は、図2に示すインクジェット式複合機100のフロント給排紙口141に装着される略直方体形状の箱型部材である。この給紙トレイ542は、底部にトレイ媒体支持面520が形成され、該トレイ媒体支持面520の上には、第1用紙ガイド係着溝501と第2用紙ガイド係着溝511が形成されている。そして、トレイ媒体支持面520の上には土手部42と、第1用紙ガイド500(可動媒体ガイド)と、本実施形態の特徴的な部分である第2用紙ガイド510(中間ガイド)とが搭載されている。
トレイ媒体支持面520は、給紙トレイ542に積載される用紙Pを直接支持する板状の部材であり、給紙トレイ542の底面に取り付けられている。また、トレイ媒体支持面520には、第1用紙ガイド係着溝501と第2用紙ガイド係着溝511が形成されており、このトレイ媒体支持面520を給紙トレイ542に装着する時に、第1用紙ガイド500と第2用紙ガイド510をそれぞれ取り付けてから給紙トレイ542に取り付けられる。
第1用紙ガイド係着溝501は、トレイ媒体支持面520上に形成された溝であり、媒体給送直交方向に対して平行に形成されている。また、第1用紙ガイド係着溝501は、図3に示すように、断面形状が凸型をしており、トレイ媒体支持面520上の媒体給送経路から見て上流側と下流側に分かれて1本ずつ、計2本形成されている。さらに、第1用紙ガイド係着溝501は、トレイ媒体支持面520の端部から形成されており、該端部には図示しない第1用紙ガイド挿入部が形成されている。また、この第1ガイド係着溝501は、第1用紙ガイド500を第1用紙ガイド挿入部から嵌め込むことにより、トレイ媒体支持面520上に媒体給送方向に対して平行な状態で給送直交方向に平行移動可能となる態様で搭載するための溝である。
第2用紙ガイド係着溝510は、トレイ媒体支持面520上に形成された溝であり、媒体給送直交方向に対して平行に形成されている。また、第2用紙ガイド係着溝511は、第1用紙ガイド係着溝501と同様に断面形状が凸型をしており、トレイ媒体支持面520上の上記第1用紙ガイド係着溝501の間に1本形成されている。さらに、第2用紙ガイド係着溝511は、トレイ媒体支持面520上の端部から形成されており、該端部には図示しない第2用紙ガイド挿入部が形成されている。また、この第2用紙ガイド係着溝511は、第2用紙ガイド510を第2用紙ガイド挿入部から嵌め込むことにより、トレイ媒体支持面520上に媒体給送方向に対して平行な状態で媒体給送直交方向に平行移動可能となる態様で搭載するための溝である。
第1用紙ガイド500は、図14に示すように、断面が略L字状の部材であり、トレイ媒体支持面520上に搭載される媒体支持部材である。そして、この第1用紙ガイド500は、トレイ媒体支持面520上を、媒体給送直交方向に対して垂直に摺動しながら図13(A)に示すX’方向、Y’方向どちらにも自由に移動し、該トレイ媒体支持面520に支持されている用紙Pの側部と当接する。そして、第1用紙ガイド500は、給紙トレイ542の側面か、後述する第2用紙ガイド510によって側部を支持されている用紙Pの逆側部から当接して用紙Pを支持する。また、この第1用紙ガイド500は、底部の給送上流側と給送下流側に、図示しない逆凸型の第1用紙ガイド係着部を一つずつ設けており、この第1用紙ガイド係着部をトレイ媒体支持面520に形成されている第1用紙ガイド係着溝501に挿入することによって、トレイ媒体支持面520上に係着して搭載する。また、第1用紙ガイド500は、トレイ媒体支持面520との接触面が大きいため、用紙Pを支持している間はトレイ媒体支持面520との摩擦によって固定された状態になり、支持した用紙Pの給送中に、第1可動エッジガイド240が動いて用紙Pが斜めに給送されることを防止することが可能となっている。
第2用紙ガイド510は、図13(B)に示すように、断面が略矩形状の部材であり、トレイ媒体支持面520に搭載される媒体支持部材である。そして、この第2用紙ガイド510は、トレイ媒体支持面520上を、給送直交方向に対して垂直に摺動しながら移動し、該トレイ媒体支持面500に支持されている用紙Pの側部と当接する。そして、第2用紙ガイド510は、給紙トレイ542の側面か、第1用紙ガイド500によって側部が支持されている用紙Pの逆側部から当接して用紙Pを支持する。また、この第2用紙ガイド510は、第2用紙ガイド摺動部512と基礎部材とし、これに第2用紙ガイド当接部513と、第2用紙ガイド収納部514とが形成されている。
第2用紙ガイド摺動部512は、断面形状が凸型をした第2用紙ガイド510の基礎部材であり、第2用紙ガイド係着溝511に直接嵌め込まれる部材である。そして、第2用紙ガイド摺動部512は、トレイ媒体支持面520に平行移動可能に係着して搭載するための部材である。これにより、第2用紙ガイド510は、媒体給送直交方向、つまり図13(A)に示すX’方向、Y’方向どちらでも自由に平行移動することが可能となっている。
第2用紙ガイド当接部513は、略半円形の板状部材であり、第2用紙ガイド摺動部512に設けられている支持部材である。そして、トレイ媒体支持面520に用紙Pが2枚支持された場合、第2用紙ガイド当接部513は、その用紙Pと用紙Pの間に入って双方の側部を支持し、用紙P間に隙間を与えることが可能となっている。また、この第2用紙ガイド当接部513は、第2用紙ガイド摺動部512に図13(B)に示すV’方向若しくはZ’方向へと回動可能に設けられており、後述する第2用紙ガイド収納部514へと収納することが可能となっている。これにより、第2用紙ガイド当接部513は、使用するときは展開し、使用しない時は、収納して、第1用紙ガイド500の移動や支持の妨げにならないようになっている。
また、この第2用紙ガイド当接部513は、第2用紙ガイド摺動部512の内部に設けている図示しないリンク機構と連結しており、その先には図示しない第2用紙ガイドロックが設けられている。そして第2用紙ガイド当接部513を展開すると、連結しているリンク機構を介して第2用紙ガイドロックが作動し、第2用紙ガイド510を固定する。これにより、第2用紙ガイド510が用紙Pを支持している状態で動いてしまうことがないので、用紙Pが斜めに給送されることを防止することが可能となっている。
第2用紙ガイド収納部514は、第2用紙ガイド摺動部512に設けられた半円状の穴であり、第2用紙ガイド当接部513を収納するための穴である。そのため、この第2用紙ガイド収納部514は、大きさ、深さ、位置が第2用紙ガイド当接部513に合わせて設けられている。
次に、本実施形態の給紙トレイ542に支持される用紙Pを給送するピックアップローラユニット41(給送ローラ)について説明する。ピックアップローラユニット41は、図3に示す給紙トレイ542の上方に取り付けられており、給紙トレイ542に支持されている用紙Pに対して、当接、離間することが可能な態様となっている。そして、このピックアップローラユニット41は、先端部にローラを二個設けており、給紙トレイ542に用紙Pが2枚支持された時に、それぞれの用紙Pと当接して、同時に用紙Pを給送することが可能な態様となっている。
以上、上述した各装置を備えることによって、本実施形態の給紙部130では、ホッパ31、給紙トレイ542を交換すること無く、第2可動エッジガイド241を進退させたり、第2用紙ガイド510を収納することによって、用紙Pを2枚同時に給送する場合と、用紙Pを1枚給送する場合とのどちらにも対応することが可能となっている。さらに、用紙Pを2枚同時に給送する場合、第2可動エッジガイド241、第2用紙ガイド510によってある程度の隙間が間に設けられた状態で用紙Pは2枚同時に給送される。そして、プラテン155、256には、どのサイズの用紙Pが2枚同時に給送された場合にも側部に対応することが可能なインク打ち捨て溝554a〜j、可動打ち捨て溝573a、bが設けられている。このため、2枚同時に縁無し記録を行うことが可能となっている。また、紙検センサ200a、200bによって、2枚同時に給送された用紙Pにそれぞれ検出を行うため、用紙Pが2枚同時に給送されているかどうかを制御部210で判断し、記録精度を向上させることも可能となっている。
なお、第1、第2、第3の実施形態では、本発明を複合機に使用する場合について説明したが、本発明の媒体給送装置は、プラテン等の形状を合わせて変更することにより、大判用プリンタにも利用することが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態の給紙部130では、給送される用紙Pを支持するホッパ31、給紙トレイ542と、上記ホッパ31、給紙トレイ542に固定され、上記用紙Pの幅方向の一方を規制する固定エッジガイド23、給紙カセット542の側部と、上記用紙Pの幅方向の他方を規制し、上記ホッパ31、給紙トレイ542上を媒体搬送直交方向に移動可能な第1可動エッジガイド240、第1用紙ガイド500と、上記ホッパ31、給紙トレイ542上に支持された上記用紙Pを給送する給紙ローラ32と、を備えた給紙部130であって、上記固定エッジガイド23、給紙トレイ542の側部と上記第1可動エッジガイド240、第1用紙ガイド500との間に、上記用紙の幅方向の一方、及び他方を規制する媒体搬送直交方向に移動可能な第2可動エッジガイド241、第2用紙ガイド510を備えたことを特徴としている。これにより、ホッパ31、給紙トレイ542に複数の用紙Pが支持された場合、第2可動エッジガイド240、第2用紙ガイド510によって用紙Pの間が支持されるので、一つのホッパ31、給紙トレイ542で複数の用紙Pを支持可能な構成となる。そのため、ホッパ31、給紙トレイ542の数を低減できるので、省スペース化やコストダウンにつながる。
また、本発明の給紙部130では、上記第2可動エッジガイド240、第2用紙ガイド510は、上記ホッパ31、給紙トレイ542に複数の上記用紙Pを並列に支持させて給送するときに、隣り合う上記用紙Pの間に位置して各用紙Pの幅方向に規制することを特徴としている。これにより、ホッパ31、給紙トレイ542に支持された複数の用紙Pは、第2可動エッジガイド240、第2用紙ガイド510により、媒体給送方向に対して平行な状態で給送することが可能な構成となっている。そのため、複数の用紙P全てを媒体給送方向に対し平行状態を保ったままで給送することが可能となる。
また、本発明の給紙部130では、上記第2可動エッジガイド240、第2用紙ガイド510は、上記ホッパ31、給紙トレイ542に単数の上記用紙Pを支持させて給送するときは、上記ホッパ31、給紙トレイ542の支持面上より退避し、上記ホッパ31、給紙トレイ542に複数の用紙Pを並列に支持させて給送するときは、上記ホッパ31、給紙トレイ542の支持面上に進出するように、進退可能に構成されていることを特徴としている。これにより、ホッパ31、給紙トレイ542は、第2可動エッジガイド240、第2用紙ガイド510を進退させるだけで、複数の用紙Pを支持する態様と単数のホッパ31、給紙トレイ542と同じ大きさまでの用紙Pを支持する態様とに切り替えることが可能な構成となる。そのため、ホッパ31、給紙トレイ542を、給送する用紙Pに合わせて交換する必要がなくなり、また、交換するための機構も必要としないため、作業性の向上や、省スペース化に繋がる。
また、本発明の給紙部130では、上記給紙ローラ32は、複数備えられており、当該給紙ローラ32は、一つのリア給紙モータ159によって駆動し、上記ホッパ31、給紙トレイ542にて媒体給送直交方向に平行に支持された複数の上記用紙Pを、平行な状態のまま同時に給送することを特徴としている。これにより、複数の給紙ローラ32が同期して回動する構成となる。そのため、用紙Pに支持されている複数の用紙Pを、同時に給送を開始することが可能となり、用紙P同士を高い精度で並列状態に給送することが可能となる。
上記目的達成のため、本発明に係るインクジェット式複合機100では、給送される用紙Pを搬送する紙送り機構156と、上記紙送り機構156によって搬送される上記用紙Pに記録する記録部150と、を有するインクジェット式複合機100であって、上述した各給紙部130を有することを特徴としている。これにより、このインクジェット式複合機100は、給送された複数の用紙Pを、記録部150へと平行な状態で同時に搬送して記録を行うことが可能となっている。そのため、高い精度で複数の用紙Pに記録を行うことが可能となる。さらに、固定エッジガイド23、給紙トレイ542の側部側に寄せた状態で、用紙Pを支持するので、キャリッジ153の走査距離を短縮することも可能となる。
また、本発明に係るインクジェット式複合機100では、上記第2可動エッジガイド240、第2用紙ガイド510は、上記用紙Pが上記ホッパ31、給紙トレイ542から上記記録部150に向けて複数平行に給送、搬送された場合、上記用紙P外に記録材を打ち捨てることによって形成する縁無し記録を可能にすべく、隣合う上記用紙Pとの間の隙間を十分に確保する程度の幅を有することを特徴としている。これにより、このインクジェット式複合機100では、複数の用紙Pが給送、搬送された際に、その複数の用紙P全てに同時に縁無し記録を行うことが可能となっている。そのため、縁無し記録の記録時間をリア給紙モータ159等の機械的な部分を変更させることなく短縮することが可能となっている。
また、本発明に係るインクジェット式複合機100では、上記記録部150は、上記第2可動エッジガイド240、第2用紙ガイド510に対応する位置に、少なくとも該第2可動エッジガイド240、第2用紙ガイド510の幅以上のインク打ち捨て溝554a〜j、可動打ち捨て溝573a、bを有していることを特徴としている。これによりこのインクジェット式複合機100では、複数の用紙Pに同時に縁無し記録を行った際に、インク材を打ち捨てても記録部150のプラテン155、256を汚すことなく、該インク材を回収することが可能となっている。そのため、用紙Pが、打ち捨てられたインク材によって汚染されることがなく、記録精度を高めることが可能となっている。
また、本発明に係るインクジェット式複合機100では、上記記録部150は、上記用紙Pが上記記録部150に向けて複数平行に給送搬送される場合、上記用紙Pが平行に搬送されているか否かを検出する紙検センサ200を備えていることを特徴としている。また、本発明に係るインクジェット式記録装置100では、上記紙送り機構156は、上記用紙Pを上記記録部150に向けて複数平行に給送搬送する場合、上記記録部150に搬送される前に、上記用紙Pが平行に搬送されているか否かを検出する紙検センサ200を備えていることを特徴としている。
そして、本発明に係る媒体給送方法では、給送される用紙Pを支持する上記ホッパ31、給紙トレイ542と、上記ホッパ31、給紙トレイ542に固定され、上記用紙Pの幅方向の一方を規制する固定エッジガイド23、給紙カセット542と、上記用紙Pの幅方向の他方を規制し、上記固定エッジガイド23、給紙カセット542上を媒体給送直交方向に移動可能な第1可動エッジガイド240、第1用紙ガイド500と、上記ホッパ31、給紙トレイ542上に支持された上記用紙Pを給送する給紙ローラ32と、上記固定エッジガイド23、給紙カセット542と上記第1可動エッジガイド240、第1用紙ガイド500との間に、上記用紙Pの幅方向の一方、及び他方を規制する媒体給送直交方向に移動可能な第2可動エッジガイド241、第2用紙ガイド510と、上記用紙Pが複数平行に給送される場合、上記用紙Pが平行に給送されているか否かを検出する複数の紙検センサ200と、を備えた給紙部130の媒体給送方法であって、上記紙検センサ200から送信される検出信号の時間差を算出し、上記時間差が予め定めた時間内であった場合は給送を続行し、上記時間差が予め定めた時間を越えた場合はエラーとすることを特徴としている。これにより、このインクジェット式複合機100では、給紙ローラ32の滑り等の要因により、用紙Pが媒体給送方向に対して平行な状態で給送されなかった場合、用紙Pの給送状態を確認し、記録を行うか中止するか判定することが可能となる。そのため、用紙Pが並列状態で搬送されなかった場合には記録を行わないので、記録精度を高めると共に、インク材、用紙Pが無駄にならずコスト削減にも貢献することが可能となる。
21 第1サポート、22 第2サポート、23 固定エッジガイド(固定媒体ガイド)、31 ホッパ(媒体トレイ)、32a、b 給紙ローラ(給送ローラ)、41 ピックアップローラユニット(給紙ローラ)、42 土手部、43 リタードローラユニット、44 フロント紙戻しユニット、45 中間ローラ、100 インクジェット式複合機(記録装置)、101 ハウジング、107 液晶パネル、110 プリンタ、120 スキャナ、130 給紙部(媒体給送装置)、131 リア給紙口、132 フレーム、133 ペーパーサポート、134 リアASF、140 給排紙部、141 フロント給排紙口、142 給紙トレイ、143 排紙トレイ、144 フロントASF、150 記録部(記録部)、151 紙送りローラ、153 キャリッジ、154 記録ヘッド、155 プラテン、156 紙送り機構(搬送部)、159 リア給紙モータ(一つの駆動源)、160 伝達装置、200a、b 紙検センサ(検出装置)、210 制御装置、240 第1可動エッジガイド(可動媒体ガイド)、241 第2可動エッジガイド(中間ガイド)、242 第2ガイド摺動部、243 第1ガイドロック、244 ガイド保持部、245 ガイド開口部、246 第2ガイドロック、256 プラテン、311 ホッパ媒体支持面、312 第1ガイド係着溝、313 第2ガイド係着溝、320 給紙ローラ回動軸、500 第1用紙ガイド(可動媒体ガイド)、501 第1用紙ガイド係着溝、510 第2用紙ガイド(中間ガイド)、511 第2用紙ガイド係着溝、512 第2用紙ガイド摺動部、513 第2用紙ガイド当接部、514 第2用紙ガイド収納部、520 トレイ媒体支持面、542 給紙トレイ(媒体トレイ)、551 上流リブ部、552 下流リブ部、553 用紙吸引孔、554a〜j インク打ち捨て溝(打ち捨て溝)、561 上流リブ部、562 下流リブ部、563 用紙吸引孔、564a、b インク打ち捨て溝、565 可動リブ抑制部、566 第2上流リブ部、567 第2用紙吸引孔、568 可動リブ移動溝、570a、b 可動リブ、571a、b 可動上流リブ部、572a、b 可動用紙吸引孔、573a、b 可動打ち捨て溝(打ち捨て溝)、P 記録用紙(被記録媒体)、