JP2006278944A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ゲート電極の空乏化や、ゲート絶縁膜の信頼性低下を招くことなく、極浅い接合を有する不純物拡散層を形成することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体表面を有する基板の上に、両側の縁が相互に平行なゲート電極を形成する。ゲート電極の両側の、基板の表層部をアモルファス化する。ゲート電極をマスクとして、基板の表層部に、イオンビームの進行方向を基板表面に垂直投影した線像と、ゲート電極の両側の縁との成す角度が7°以下になる条件で、不純物をイオン注入する。この角度が7°よりも大きくなる方向からはイオン注入を行わない。熱処理を行うことにより、アモルファス化された領域を、固相状態で再結晶化させるとともに、アモルファス化されていた領域に注入されている不純物を活性化させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にソース及びドレインのエクステンション領域を浅くし、かつ不純物濃度分布の傾きを急峻にする半導体装置の製造方法に関する。
短チャネル効果を抑制し、高性能なCMOSデバイスを作製する上で、ソース及びドレインのエクステンション部を低抵抗化し、浅くし、かつ不純物濃度分布の傾きを急峻にする技術がますます重要になってきている。
下記の特許文献1に、ソース及びドレインの接合の深さを制御し、容易に浅い接合を得ることができる技術が開示されている。
以下、図9(A)〜図9(D)を参照して、特許文献1に記載された半導体装置の製造方法について説明する。
図9(A)に示すように、シリコン基板100の表面の一部の領域上に、ゲート絶縁膜101を介してゲート電極102が形成されている。図9(B)に示すように、ゲート電極102をマスクとしてゲルマニウムイオン(Ge)を注入することにより、ゲート電極102の両側の基板の表層部103の結晶状態を乱す(アモルファス化する)。
図9(C)に示すように、ゲート電極102をマスクとして不純物をイオン注入し、不純物注入層104を形成する。この後、500〜650℃程度で、低温熱処理を行う。アモルファス化された表層部103が再結晶化するときに、注入されている不純物が結晶格子位置に取り込まれて活性化する。結晶状態が乱されていない領域に注入されている不純物は活性化しない。また、低温の熱処理で活性化が行われるため、注入された不純物はほとんど拡散しない。このため、図9(D)に示すように、浅い接合を有するソース及びドレイン拡散層105が形成される。
特開2000−260728号公報
図10(A)に示すように、アモルファス化するため及び不純物を注入するためイオンビーム110の進行方向を基板100の表面に対してほぼ垂直に設定すると、不純物注入領域104は、ゲート電極102とほとんど重ならなくなる。高温熱処理を行って活性化する場合には、不純物が横方向に拡散するため、最終的に形成されるソース及びドレイン拡散層の先端(接合位置)が、ゲート電極102と重なる。ところが、500〜650℃程度の低温熱処理では、不純物がほとんど拡散しないため、最終的に形成されるソース及びドレイン拡散層が、ゲート電極とほとんど重ならない。このため、チャネル抵抗が高くなってしまう。
図10(B)に示すように、イオンビーム111を、ソースとドレインとが並ぶ方向(ゲート長方向)に傾けてイオン注入を行うと、イオンが、ゲート電極102の側面の下端近傍を貫通して、ゲート電極102の下の基板表層部まで到達する。このため、アモルファス化を行うためのイオン注入、及び不純物を添加するためのイオン注入を、斜め方向から行うことにより、ゲート電極102の縁近傍と、ソース及びドレイン拡散層の先端とを重ねることができる。
ところが、ゲート電極102の端面の下端近傍をイオンが貫通することにより、ゲート絶縁膜101がダメージを受け、その信頼性が低下してしまう。さらに、ゲート電極102の端面の下端近傍に不純物が添加されるため、ゲート電極102の下端近傍が空乏化してしまう場合がある。
本発明の目的は、ゲート電極の空乏化や、ゲート絶縁膜の信頼性低下を招くことなく、極浅い接合を有する不純物拡散層を形成することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明の一観点によると、(a)半導体表面を有する基板の上に、両側の縁が相互に平行なゲート電極を形成する工程と、(b)前記ゲート電極の両側の、基板の表層部をアモルファス化する工程と、(c)前記ゲート電極をマスクとして、前記基板の表層部に、イオンビームの進行方向を基板表面に垂直投影した線像と、前記ゲート電極の両側の縁との成す角度が7°以下になる条件で、不純物をイオン注入し、該角度が7°よりも大きくなる方向からはイオン注入を行わない工程と、(d)熱処理を行うことにより、前記工程bでアモルファス化された領域を、固相状態で再結晶化させるとともに、アモルファス化されていた領域に注入されている不純物を活性化させる工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
イオンビームの進行方向を基板表面に垂直投影した線像と、ゲート電極の両側の縁との成す角度が7°よりも大きくなる方向からはイオン注入しないため、イオンビームが、ゲート電極の側面の下端近傍をほとんど貫通しない。このため、ゲート絶縁膜の信頼性の低下や、ゲート電極の空乏化を防止することができる。斜め方向からイオン注入すると、浅い領域に注入する場合でも、イオンの飛程が長くなる。このため、イオンが散乱される確率が高まり、ゲート電極の下に、注入されたイオンを回りこませることができる。
図1(A)〜図1(C)を参照して、第1の実施例による半導体装置の製造方法について説明する。
図1(A)〜図1(C)に示すように、シリコンからなる表層部を有する基板1の表面に平行な面をXY面とし、表面の法線方向をZ軸とするXYZ直交座標系を定義する。基板の表面の一部の領域に、酸化シリコン等からなるゲート絶縁膜2が形成され、その上に、ポリシリコン等からなるゲート電極3が形成されている。ゲート電極3の両側の側面は、Y軸方向に延在し、ゲート電極3の両側に、ソース及びドレイン領域5が配置される。
ゲート電極3をマスクとして、基板1の表層部にゲルマニウムイオン(Ge)を斜め方向から注入することにより、表層部をアモルファス化させる。Geイオンの注入条件は、加速エネルギ8keV、ドーズ量2×1015cm−2である。イオンビームの進行方向は、基板法線方向(Z軸)からゲート電極の側面の延在する方向(Y軸方向)へ傾けられている。イオンビームの進行方向と基板法線との成す角度αは、例えば60°である。角度αを「チルト角」と呼ぶこととする。次の不純物注入工程で重い元素を用いる場合には、次の不純物注入工程が、このアモルファス化のためのイオン注入を兼ねることも可能である。
次に、ゲート電極3をマスクとして、砒素イオン(As)を斜め方向から注入することにより、不純物注入領域5を形成する。Asイオンの注入条件は、加速エネルギ10keV、ドーズ量1.6×1015cm−2である。Asイオンのビームの進行方向は、Ge注入時のGeイオンのビームの進行方向と同一である。Geイオン及びAsイオンの注入は、進行方向を、Y軸の正方向及び負方向の一方に傾けたビームを用いて行ってもよいし、Y軸の正方向に傾けたビームと、負方向に傾けたビームとの両方を用いて行ってもよい。
窒素雰囲気中において、600℃で2分間の熱処理を行う。この熱処理により、アモルファス化された表層部が再結晶化されると同時に、注入されているAsが活性化される。
600℃程度の低温の熱処理では、注入されたAsがほとんど拡散しないため、極浅く、かつ不純物濃度分布が急峻に変化する不純物拡散層が得られる。
第1の実施例では、Geイオン及びAsイオンを注入するときのイオンビームを、基板法線方向から傾けている。同じ深さまで到達したイオンに着目すると、法線方向からイオン注入する場合に比べて、斜め注入する場合には、イオンが基板1内を進行する距離(飛程)が長くなる。例えば、チルトαを60°とすると、基板法線方向から注入する場合に比べて、イオンの飛程が2倍になる。イオンの飛程が長くなると、イオンが散乱されて、ゲート電極3の下方にもぐり込む確率が高くなる。このため、ソース及びドレイン領域5が、ゲート電極3の側面からゲート電極3の中心に向かって横方向に侵入する長さが長くなる。
第1の実施例では、イオンビームを、ゲート長方向(X軸方向)ではなく、ゲート幅方向(Y軸方向)に傾けているため、ゲート電極3の両側の側面の下端近傍をイオンが貫通しない。このため、ゲート電極3の空乏化や、ゲート絶縁膜2の信頼性の低下を防止することができる。
第1の実施例では、イオンビームの進行方向をY軸方向に傾けたが、Y軸からややずれた方向に傾けてもよい。図1(D)に示すように、Ge及びAsのイオンビームの進行方向を基板面に垂直投影した線像7と、ゲート電極3の両側の縁が延在する方向(Y軸方向)との成す角βを、7°以下にすることが好ましい。
図2に、チルト角αと、注入の深さと、深さ方向に関する不純物濃度分布の標準偏差との関係を示す。注入したイオンはAsイオンであり、加速エネルギを40keVとした。なお、注入対象の基板は、シリコン基板上に化学気相成長(CVD)によりアモルファスシリコン膜を形成したものである。図2の横軸は、チルト角αを単位「度」で表し、左縦軸は、不純物濃度が最大値を示す位置の深さRpeffを単位「nm」で表し、右縦軸は、不純物濃度分布の標準偏差ΔRpeffを単位「nm」で表す。
図中の白丸記号及び実線は、それぞれ不純物濃度が最大値を示す位置の深さの測定値及び理論計算値を示す。図中の三角記号及び破線は、それぞれ不純物濃度分布の標準偏差の測定値及び理論計算値を示す。チルト角αを大きくするに従って、注入の深さが浅くなることがわかる。また、注入深さが浅くなるに従って、不純物濃度分布の標準偏差も小さくなっている。
図3に、深さ方向の不純物濃度の分布と、横方向の不純物濃度分布との関係を示す。横軸は、Asイオンの注入エネルギを単位「keV」で表し、縦軸は、不純物濃度が最大になる深さRp、深さ方向の不純物濃度分布の第1の標準偏差ΔRp1、第2の標準偏差ΔRp2、及び横方向の不純物濃度分布の標準偏差ΔRpt0を、単位「nm」で表す。なお、イオン注入時のチルト角αは0°とした。ここで、第1の標準偏差ΔRp1及び第2の標準偏差ΔRp2は、それぞれ深さ方向の不純物濃度分布のうち、不純物濃度が最大値を示す位置よりも浅い領域及び深い領域における分布の標準偏差を示す。
図4を参照して、横方向の不純物濃度分布の標準偏差ΔRpt0の定義について説明する。基板1の表層部に、不純物拡散層5が形成されている。不純物拡散層5は、ゲート電極3の側面からゲート電極3の中心に向かって横方向に、ある距離だけもぐり込んでいる。図4の下のグラフは、不純物濃度分布が最大となる深さ(ほぼRp位置)における横方向(X軸方向)の不純物濃度分布を示す。ゲート電極3が形成されていない領域においては、不純物濃度はほぼ一定である。ゲート電極3の下方の領域においては、ゲート電極3の側面からゲート電極3の中心に向かって横方向に進むに従って、不純物濃度が低下する。ゲート電極3の下方の領域の不純物濃度分布を、ゲート電極3の縁を中心とするガウス分布で近似したときの標準偏差を、ΔRpt0とする。すなわち、標準偏差ΔRpt0は、不純物拡散層5がゲート電極3の下方にもぐり込んだ横方向の長さを現す指標となる。標準偏差ΔRpt0を、「横方向侵入長」と呼ぶこととする。
図3に戻って説明を続ける。加速エネルギを増加させると、注入の深さ、及び深さ方向の標準偏差が増加する。同様に、横方向侵入長ΔRpt0も増加する。加速エネルギを一定にして、チルト角αを大きくしていくと、図2に示したように、注入深さRpが浅くなる。横方向侵入長ΔRpt0は、注入されるイオンの飛程に依存すると考えられる。チルト角αを大きくしても、加速エネルギが一定であれば、イオンの飛程はほとんど変化しない。このため、横方向侵入長ΔRpt0もほとんど変化しないと考えられる。すなわち、チルト角αを大きくすると、不純物拡散層の接合の深さは浅くなるが、横方向侵入長はほとんど変化しない。従って、所望の横方向侵入長を維持しつつ、浅い接合を形成することが可能になる。
図5に、チルト角αを変化させて、加速エネルギ20keVの条件で、Asイオンを注入したときの深さ方向に関する不純物濃度分布を示す。横軸は深さを単位「μm」で表し、縦軸は不純物濃度を単位「cm−3」で表す。図中の9本の実線は、上から下に向かって、チルト角αを0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、及び80°としたときの不純物濃度分布を示す。チルト角αを大きくするに従って、最大濃度を示す位置が浅くなっていることがわかる。このように、チルト角αを大きくすることにより、容易に浅い接合を形成することが可能になる。
図6に、チルト角αと、横方向侵入長ΔRpt0との関係を示す。横軸はチルト角αを単位「度」で表し、縦軸は横方向侵入長ΔRpt0を単位「nm」で表す。なお、深さ50nmの位置において、As濃度が1×1018cm−3となるように加速エネルギを調整した。チルト角αを大きくするに従って、横方向侵入長が長くなっている。このように、チルト角αを大きくすることにより、接合の深さを一定に維持しつつ、横方向侵入長を長くすることができる。
イオンビームの進行方向を傾ける効果を得るためには、チルト角αを40°以上にすることが好ましい。また、チルト角αが70°以上になると、グラフの傾きが急激に大きくなる。従って、侵入長を高精度に制御したい場合には、チルト角αを70°以下にすることが好ましい。逆に、侵入長を長くしたい場合には、チルト角αを70°以上90°未満にすることが好ましい。
図7(A)〜図7(J)を参照して、上記第1の実施例による方法を適用してNMOSトランジスタを製造する第2の実施例について説明する。
図7(A)に示すように、シリコンからなる半導体基板10の表層部に、素子分離絶縁膜11を形成する。素子分離絶縁膜11は、例えば、シャロートレンチアイソレーション(STI)技術により形成することができる。素子分離絶縁膜11に囲まれた活性領域が画定される。図7(B)に示すように、ウェル12を形成するためのリンイオン(P)の注入、及びしきい値制御用のボロンイオン(B)の注入を行う。
図7(C)に示すように、半導体基板10の活性領域の表面を熱酸化し、さらに熱窒化することにより、厚さ約1nmのSiON膜15aを形成する。基板全面に、厚さ約100nmのポリシリコン膜16aを化学気相成長(CVD)により形成する。
図7(D)に示すように、ポリシリコン膜16a及びSiON膜15aをパターニングすることにより、SiONからなるゲート絶縁膜15及びポリシリコンからなるゲート電極16を形成する。ゲート長(ゲート電極16の一方の側面から他方の側面までの距離)は、例えば30nm程度にする。
図7(E)に示すように、ゲート電極16の側面に、酸化シリコンからなる第1のサイドウォールスペーサ18を形成する。第1のサイドウォールスペーサ18は、基板全面に厚さ約50nmの酸化シリコン膜を堆積させた後、異方性エッチングを行うことにより形成される。
図7(F)に示すように、ゲート電極16及び第1のサイドウォールスペーサ18からなるゲート構造体をマスクとして、加速エネルギ15keV、ドーズ量6×1015cm−2の条件で、基板表層部にリンイオン(P)を注入する。このとき、チャネリングを防止するために、イオンビームの進行方向を基板法線方向から7°傾ける。ゲート構造体の両側の基板表層部に、リンの注入領域20aが形成される。
図7(G)に示すように、第1のサイドウォールスペーサ18を、希フッ酸溶液でウェットエッチングする。窒素雰囲気中において、1025℃でスパイクラピッドサーマルアニール(スパイクRTA)を行う。これにより、不純物が活性化し、ゲート電極16の両側に、深いソース及びドレイン領域20が形成される。
図7(H)に示すように、ゲート電極16の両側に、ソース及びドレインのエクステンション部20eを形成する。エクステンション部20eは、図1を参照して説明した第1の実施例による方法を用いて形成される。基板表層部のアモルファス化は、ゲルマニウムイオン(Ge)を、加速エネルギが8keV、ドーズ量が2×1015cm−2、チルト角αが60°の条件で注入することにより行う。n型導電性を付与するための砒素イオン(As)の注入は、加速エネルギが10keV、ドーズ量が1.6×1015cm−2、チルト角αが60°の条件で行う。
さらに、ポケット領域を形成するために、ボロンイオン(B)の注入を行う。ボロンイオンの注入は、基板法線方向からゲート長方向の2方向、及びゲート幅方向の2方向にイオンビームの進行方向を傾けて、合計4回行う。加速エネルギは5keV、1回あたりのドーズ量は1.5×1013cm−2とする。また、イオンビームの進行方向の、法線からの傾き角は30°とする。
活性化のための熱処理は、窒素雰囲気中において、600℃で2分間行う。これにより、エクステンション部20eが形成される。
図7(I)に示すように、ゲート電極16の側面上に、酸化シリコンからなる第2のサイドウォールスペーサ22を形成する。第2のサイドウォールスペーサ22は、基板全面に厚さ約70nmの酸化シリコン膜を堆積させた後、異方性エッチングを行うことにより形成される。図7(F)に示した第1のサイドウォールスペーサ18の厚さが50nmであったため、第2のサイドウォールスペーサ22は、エクステンション部20eを完全に覆い、深いソース及びドレイン領域20まで達する。
図7(J)に示すように、深いソース及びドレイン領域20の上面に、ニッケルシリサイド(NiSi)膜24を形成し、ゲート電極16の上面に、ニッケルシリサイド膜26を形成する。ニッケルシリサイド膜24及び26は、自己整合シリサイド技術(サリサイド技術)を用いて形成することができる。なお、ニッケルシリサイド膜の代わりに、チタンシリサイドやコバルトシリサイド等からなる金属シリサイド膜を形成してもよい。
第2の実施例では、図7(H)に示した工程で、第1の実施例による方法を用いてエクステンション部20eが形成される。このため、浅く、かつ低抵抗で、しかもゲート電極16との重なりを持つエクステンション部20eを形成することができる。さらに、ゲート電極16の両側の下端近傍が空乏化されることを防止し、かつゲート絶縁膜15の信頼性の低下を防止することができる。
なお、図7(H)の工程で、ポケット領域形成のためのボロンの注入が、4方向から行われる。ボロンは、ゲート電極16にドープされている不純物と同一導電型であるため、ゲート電極16を空乏化させることはない。また、Asイオンのドーズ量に比べて、ボロンイオンのドーズ量が著しく少ないため、ボロンイオンの斜め注入によってゲート絶縁膜15がダメージを受けることはない。
次に、図8(A)〜図8(E)を参照して、上記第1の実施例による方法を適用してPMOSトランジスタを製造する第3の実施例について説明する。
図8(A)に示した基本構造は、第2の実施例による製造方法の図7(G)に示した製造途中の状態と同一である。ただし、ウェル12を形成するために注入されるイオンはボロンイオン(B)であり、しきい値制御用に注入されるイオンは、砒素イオン(As)である。また、深いソース及びドレイン領域20を形成するために注入されるイオンはボロンイオン(B)であり、加速エネルギが4keV、ドーズ量が5×1014cm−2、法線からの傾き角が7°の条件で注入される。その他の工程は、第2の実施例の場合と同じである。
図8(B)に示すように、ゲート電極16の側面に、酸化シリコンからなるオフセットスペーサ30を形成する。オフセットスペーサ30は、基板全面に厚さ約5nmの酸化シリコン膜を堆積させた後、異方性エッチングを行うことにより形成される。
図8(C)に示すように、ゲート電極16の両側の基板表層部に、ソース及びドレインのエクステンション部20eを、上記第1の実施例による方法を用いて形成する。基板表層部のアモルファス化は、ゲルマニウムイオン(Ge)を、加速エネルギが8keV、ドーズ量が2×1015cm−2、チルト角αが60°の条件で注入することにより行う。p型導電性を付与するためのボロンイオン(B)の注入は、加速エネルギが1keV、ドーズ量が1.6×1015cm−2、チルト角αが60°の条件で行う。
さらに、ポケット領域を形成するために、砒素イオン(As)の注入を行う。砒素イオンの注入は、基板法線方向からゲート長方向の2方向、及びゲート幅方向の2方向にイオンビームの進行方向を傾けて、合計4回行う。加速エネルギは60keV、1回あたりのドーズ量は4×1012cm−2とする。また、イオンビームの進行方向の、法線からの傾き角は30°とする。
活性化のための熱処理は、窒素雰囲気中において、600℃で2分間行う。これにより、エクステンション部20eが形成される。
図8(D)に示すように、ゲート電極16とオフセットスペーサ30とからなるゲート構造体の側面上に、第2のサイドウォールスペーサ22を形成する。第2のサイドウォールスペーサ22は、第2の実施例の図7(I)に示した第2のサイドウォールスペーサ22と同じ方法で形成される。第2のサイドウォールスペーサ22は、エクステンション部20eを完全に覆い、深いソース及びドレイン領域20まで達する。
図8(E)に示すように、深いソース及びドレイン領域20の表面にニッケルシリサイド膜24を形成し、ゲート電極16の上面にニッケルシリサイド膜26を形成する。ニッケルシリサイド膜24及び26は、第2の実施例の図7(J)に示したニッケルシリサイド膜24及び26と同じ方法で形成される。
第3の実施例では、図8(C)に示したように、エクステンション部20eを形成するためのアモルファス化及び不純物注入時に、ゲート電極16の側面上にオフセットスペーサ30が形成されている。このため、第2の実施例の場合に比べて、エクステンション部20eとゲート電極16とが重なる領域の長さが、オフセットスペーサ30の厚さ分だけ短くなる。オフセットスペーサ30の外側の表面を基準としたエクステンション部20eの横方向侵入長は、図6に示したように、イオンビームのチルト角αに依存する。オフセットスペーサ30の厚さの調節とイオンビームのチルト角αの調節とを組み合わせることにより、ゲート電極16とエクステンション部20eとの重なりの長さを、より制御しやすくなる。
上記第2の実施例によるオフセットスペーサを用いない方法でPMOSトランジスタを作製してもよいし、上記第3の実施例によるオフセットスペーサを用いる方法でNMOSトランジスタを作製してもよい。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
上記実施例から、以下の付記に示す発明が導出される。
(付記1)
(a)半導体表面を有する基板の上に、両側の縁が相互に平行なゲート電極を形成する工程と、
(b)前記ゲート電極の両側の、基板の表層部をアモルファス化する工程と、
(c)前記ゲート電極をマスクとして、前記基板の表層部に、イオンビームの進行方向を基板表面に垂直投影した線像と、前記ゲート電極の両側の縁との成す角度が7°以下になる条件で、不純物をイオン注入し、該角度が7°よりも大きくなる方向からはイオン注入を行わない工程と、
(d)熱処理を行うことにより、前記工程bでアモルファス化された領域を、固相状態で再結晶化させるとともに、アモルファス化されていた領域に注入されている不純物を活性化させる工程と
を有する半導体装置の製造方法。
(付記2)
前記工程cにおいて、イオンビームの進行方向と基板の法線との成す角度が40°以上であり、かつ90°未満である付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記工程bにおいて、前記ゲート電極をマスクとして、前記基板の表層部に、イオンビームの進行方向を基板表面に垂直投影した線像と、前記ゲート電極の両側の縁との成す角度が7°以下になる条件で、前記基板の表層部に導電性を付与しない元素をイオン注入することにより、アモルファス化を行う付記1または2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)
前記工程bにおいて、イオンビームの進行方向と基板の法線との成す角度が40°以上であり、かつ90°未満である付記3に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記工程aと工程bとの間に、さらに、
(e)前記ゲート電極の側面上に第1のサイドウォールスペーサを形成する工程と、
(f)前記ゲート電極及び前記第1のサイドウォールスペーサをマスクとして、前記基板の表層部に不純物を注入する工程と、
(g)前記第1のサイドウォールスペーサを除去し、前記工程fで注入された不純物を活性化させる工程と
を有する付記1〜4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記工程gの後、前記工程bの前に、さらに、
(h)前記ゲート電極の側面上に、前記第1のサイドウォールスペーサより薄いオフセットスペーサを形成する工程を有し、
前記工程bにおいて、前記ゲート電極及び前記オフセットスペーサを含むゲート構造体の両側の基板の表層部をアモルファス化し、前記工程cにおいて、該ゲート構造体をマスクとして、イオン注入を行う付記5に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)
前記工程bにおいて、前記基板の表層部のうち、前記オフセットスペーサの外側の側面から、少なくとも前記ゲート電極と前記オフセットスペーサとの界面まで達する領域をアモルファス化し、前記工程cにおいて、前記基板の表層部のうち、前記オフセットスペーサの外側の側面から、少なくとも前記ゲート電極と前記オフセットスペーサとの界面まで達する領域に不純物が注入される条件でイオン注入を行う付記6に記載の半導体装置の製造方法。
(A)及び(B)は、第1の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための装置の断面図であり、(C)及び(D)は平面図である。 イオン注入した不純物の濃度が最大となる深さ、及び深さ方向に関するの不純物濃度分布の標準偏差と、イオンビームのチルト角との関係を示すグラフである。 イオン注入した不純物の濃度が最大となる深さ、深さ方向に関する不純物濃度分布の標準偏差、及び横方向に関する不純物濃度分布の標準偏差と、加速エネルギとの関係を示すグラフである。 横方向に関する不純物濃度分布の標準偏差の定義を説明するための装置の関連部分の断面図、及び横方向に関する不純物濃度分布を示すグラフである。 砒素イオンを注入したときの深さ方向に関する不純物濃度分布を、チルト角ごとに示すグラフである。 砒素イオンを注入したときの、横方向への侵入長とチルト角との関係を示すグラフである。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その1)である。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その2)である。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その3)である。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その4)である。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その5)である。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その6)である。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その7)である。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その8)である。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その9)である。 第2の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その10)である。 第3の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その1)である。 第3の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その2)である。 第3の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その3)である。 第3の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その4)である。 第3の実施例による半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図(その5)である。 従来の半導体装置の製造方法を説明するための製造途中の装置の断面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ法線方向及び斜め方向からのイオン注入の様子を示す断面図である。
符号の説明
1 半導体基板
2 ゲート絶縁膜
3 ゲート電極
5 ソース及びドレイン領域
7 イオンビームの進行方向の線像
10 基板
11 素子分離絶縁膜
12 ウェル
15 ゲート絶縁膜
16 ゲート電極
18 第1のサイドウォールスペーサ
20 深いソース及びドレイン領域
20e エクステンション部
22 第2のサイドウォールスペーサ
24、26 ニッケルシリサイド膜
30 オフセットスペーサ

Claims (5)

  1. (a)半導体表面を有する基板の上に、両側の縁が相互に平行なゲート電極を形成する工程と、
    (b)前記ゲート電極の両側の、基板の表層部をアモルファス化する工程と、
    (c)前記ゲート電極をマスクとして、前記基板の表層部に、イオンビームの進行方向を基板表面に垂直投影した線像と、前記ゲート電極の両側の縁との成す角度が7°以下になる条件で、不純物をイオン注入し、該角度が7°よりも大きくなる方向からはイオン注入を行わない工程と、
    (d)熱処理を行うことにより、前記工程bでアモルファス化された領域を、固相状態で再結晶化させるとともに、アモルファス化されていた領域に注入されている不純物を活性化させる工程と
    を有する半導体装置の製造方法。
  2. 前記工程cにおいて、イオンビームの進行方向と基板の法線との成す角度が40°以上であり、かつ90°未満である請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記工程bにおいて、前記ゲート電極をマスクとして、前記基板の表層部に、イオンビームの進行方向を基板表面に垂直投影した線像と、前記ゲート電極の両側の縁との成す角度が7°以下になる条件で、前記基板の表層部に導電性を付与しない元素をイオン注入することにより、アモルファス化を行う請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記工程aと工程bとの間に、さらに、
    (e)前記ゲート電極の側面上に第1のサイドウォールスペーサを形成する工程と、
    (f)前記ゲート電極及び前記第1のサイドウォールスペーサをマスクとして、前記基板の表層部に不純物を注入する工程と、
    (g)前記第1のサイドウォールスペーサを除去し、前記工程fで注入された不純物を活性化させる工程と
    を有する請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記工程gの後、前記工程bの前に、さらに、
    (h)前記ゲート電極の側面上に、前記第1のサイドウォールスペーサより薄いオフセットスペーサを形成する工程を有し、
    前記工程bにおいて、前記ゲート電極及び前記オフセットスペーサを含むゲート構造体の両側の基板の表層部をアモルファス化し、前記工程cにおいて、該ゲート構造体をマスクとして、イオン注入を行う請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
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