JP2006278397A - 歪量子井戸構造及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良質な結晶から形成される歪量子井戸構造及びその製法を提供することにある。
【解決手段】 基板1上に形成され、InP基板1の格子定数に対して1.5%以上の圧縮歪を有する井戸層5と、井戸層5とは異なる格子定数を有する障壁層4とを積層し、III−V族混晶からなる歪井戸層構造10であって、井戸層5はSbを有し、その組成を井戸層5中の全V族元素に対して0.01%〜0.2%として、井戸層5の3次元成長およびこれに起因した欠陥の発生を抑制するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧縮歪の大きな井戸層を有する良質な歪量子井戸構造及びその製造方法に関し、特に、半導体レーザ、光変調器および光増幅器などの活性層に用いて好適な歪量子井戸構造及びその製造方法に関する。
従来、圧縮歪を加えた井戸層を有する歪量子井戸構造を、半導体レーザの活性層として用いることによって、発振しきい値電流の低減、発振スペクトル線幅の狭線幅化および変調周波数の高速化など、レーザ特性が著しく改善されることが、数多く報告されている。
井戸層の圧縮歪量をさらに増大させることができれば、オージェ再結合による非発光再結合の低減効果や微分利得の増大効果によって、発振しきい値電流や変調周波数等におけるレーザ特性がさらに向上することが知られている(例えば、非特許文献1、および非特許文献2を参照)。
基板上に、井戸層(例えば、InGaAs、又はInGaAsPなど)を成長させる場合、結晶成長が層状に進行する、いわゆる2次元成長することがデバイス形成のための結晶成長の前提になっているが、基板と成長層との格子定数の差、すなわち歪量が大きい場合、結晶成長が島状に進行する、いわゆる3次元成長することが知られている。成長層の圧縮歪を増加させたときに、結晶成長が2次元成長から3次元成長に変わる圧縮歪量は、インジウムを含むIII−V族混晶の場合、1.5%程度であることが知られている(非特許文献3を参照)。
また、上記圧縮歪を有するインジウムを含むIII−V族混晶の3次元成長には、III族元素であるインジウムの表面拡散(マイグレーション)が大きく影響していることが知られている(例えば、非特許文献4を参照)。
通常、井戸層を成長させる場合、良質な結晶性を得るために、インジウムの表面拡散を促し、表面拡散長を長くすることが望ましい。しかし、成長させる井戸層が基板に対し大きな圧縮歪を有する場合、インジウムの拡散長が長いと、3次元成長の起点となる膜中の欠陥や転位に到達するインジウム数が増加するため、3次元成長が起こりやすい。
圧縮歪を有するInGaAs、又はInGaAsP、又はInGaAsNを井戸層とする歪量子井戸構造を成長させる場合においても、井戸層が上記のように大きな圧縮歪を有すると、上記3次元成長の影響によって、非発光再結合中心となる欠陥が発生するなどの問題が生ずる。
これらの問題に対し、良質な歪半導体結晶を得るために、サーファクタントを用いた製法が検討されており、Bi(ビスマス)やSb(アンチモン)を加えることにより3次元成長が抑制されたとの報告がある。しかしながら、従来報告されている方法では、サーファクタントを結晶中に混入させないことを前提としており、サーファクタントの不本意な混入などにより結晶性が劣化してしまうという問題があった。特に、1.5%以上の圧縮歪を有する歪量子井戸構造においては、3次元成長を抑制した場合でも、サーファクタントの混入に起因した結晶性の劣化によるフォルトルミネッセンス発光強度の低下など、デバイスとして十分な特性が得られないという問題があった。
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上述するように、歪量子井戸構造における1.5%以上の圧縮歪を加えたInGaAs、又はInGaAsP、又はInGaAsNから形成される井戸層においては、3次元的な島状成長が発生し、これに起因して欠陥が発生するという問題があった。さらに、従来のサーファクタントを用いた圧縮歪を有する井戸層の3次元成長を抑制する方法では、3次元成長を抑制した場合でも、サーファクタントの不必要な混入などにより結晶性が劣化し、デバイスとして十分な特性が得られないという問題があった。
したがって、歪量子井戸構造を有する半導体レーザ、光変調器、光増幅器などの活性層に用いられる半導体光素子の素子特性を向上させるために、井戸層の3次元成長及びこれに起因した欠陥の発生が抑制され、デバイスとして十分な特性が得られる良質な結晶となるサーファクタントの混入量を明らかにし、またその結晶を得ることができる製法が強く求められていた。
そこで、本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題を解決し、良質な結晶から形成される歪量子井戸構造及びその製法を提供することを目的とする。具体的には、基板と1.5%以上の圧縮歪量を有する井戸層(例えば、InGaAs、InGaAsP、InGaAsNなどで形成)に、Sb組成を井戸層中の全V族元素に対して0.01%〜0.2%含ませることにより、3次元成長および3次元成長に起因した結晶欠陥の発生を抑えると共に、デバイスとして十分な特性を得ることができる良質な歪量子井戸構造及びその製法を提供することを目的とする。
一般には、前述のように、InGaAs、又はInGaAsP、又はInGaAsNからなる井戸層の圧縮歪量が1.5%以上になると3次元的な島状成長が起こり、さらに結晶欠陥が発生するためにデバイスへの応用が困難であった。
しかし、第1の実施例に詳細を記載するように、1.5%以上の圧縮歪を有する井戸層に、井戸層中の全V族元素に対するSb組成が0.01%〜0.2%となるようにSbまたはSb化合物を加えることにより、Sbのサーファクタント効果が有効に作用し、3次元成長を促進させる原因となるインジウムの表面拡散を抑制することができ、InGaAs、又はInGaAsP、又はInGaAsNからなる井戸層の3次元成長を抑制することができる。その結果、圧縮歪量が増加しても平坦な井戸層と障壁層との界面を有する良質な歪量子井戸構造を得ることができる。
さらに、井戸層中の全V族元素に対するSb組成が0.01%〜0.2%となるようにSbまたはSb化合物を井戸層に加えることにより、3次元成長に起因した結晶欠陥の発生を抑制することができ、1.5%以上の圧縮歪を有した井戸層からなる歪量子井戸構造の発光強度の低下を抑制することができる。
すなわち、上述した課題を解決する第1の発明に係る歪量子井戸構造は、基板上に形成され、上記基板の格子定数に対して1.5%以上の圧縮歪を有する井戸層と、上記井戸層とは異なる格子定数を有する障壁層とを積層し、III−V族混晶からなる歪量子井戸構造であって、上記井戸層がSbを有し、その組成を該井戸層中の全V族元素に対して0.01%〜0.2%としたことを特徴とする。
上述した課題を解決する第2の発明に係る歪量子井戸構造は、第1の発明に記載された歪量子井戸構造であって、上記井戸層が、InGaAsSb、又はInGaAsPSb、又はInGaAsNSbから形成されることを特徴とする。
上述した課題を解決する第3の発明に係る歪量子井戸構造は、第1または第2の発明に記載された歪量子井戸構造であって、上記基板が、InPから形成されることを特徴とする。
上述した課題を解決する第4の発明に係る歪量子井戸構造は、第1乃至第3の発明の何れかに記載された歪量子井戸構造であって、上記井戸層が、有機金属気相エピタキシー法で形成されることを特徴とする。
従来、圧縮歪を有する井戸層の3次元成長を抑制するためにサーファクタントを用いた製法は提案されているが、3次元成長を抑制した場合においても、混入させるべきではないサーファクタントが不本意に混入してしまうことなどによって結晶性が劣化し、フォトルミネッセンス発光強度が低下するなど、デバイスとして十分な特性が得られないという問題があった。
これに対して本発明では、サーファクタントとして作用するSbを積極的に取り込んでその組成を制御し、井戸層中の全V族元素に対して0.01%〜0.2%の範囲でSbを井戸層に含ませることにより、圧縮歪量が1.5%以上の井戸層を有する歪量子井戸構造においても、平坦な井戸層と障壁層との界面を有する(3次元成長が抑制された)結晶を得ることが可能となる。さらに、3次元成長に起因した欠陥も抑制できることで、大きなフォトルミネッセンス発光強度が得られ、デバイスとして十分な特性が得られる歪量子井戸構造を得ることが可能となる。その上、従来作製が困難であった1.5%以上という大きな圧縮歪を有し、かつ3次元成長及びこれに起因した結晶欠陥の発生が抑制された井戸層を有する歪量子井戸構造を容易に作製することができ、当該構造に適用したレーザの発振しきい値電流の低減、変調周波数の高速化などデバイス特性の向上実現に極めて有用となる。
すなわち、上述した課題を解決する第5の発明に係る歪量子井戸構造の製造方法は、基板上に形成され、上記基板の格子定数に対して1.5%以上の圧縮歪を有する井戸層と、上記井戸層とは異なる格子定数を有する障壁層とを積層し、III−V族混晶からなる歪量子井戸構造の製造方法であって、上記井戸層を結晶成長させるときに、上記井戸層中のSb組成が該井戸層中の全V族元素に対して0.01%〜0.2%となるように、SbまたはSb化合物を供給したことを特徴とする。上記SbおよびSb化合物は、サーファクタントである。上記Sb化合物として、例えば、トリスジメチルアミノアンチモン、トリメチルアンチモン及びトリエチルアンチモンなどが挙げられる。
上述した課題を解決する第6の発明に係る歪量子井戸構造の製造方法は、第5の発明に記載された歪量子井戸構造の製造方法であって、上記井戸層が、InGaAsSb、又はInGaAsPSb、又はInGaAsNSbから形成されることを特徴とする。
上述した課題を解決する第7の発明に係る歪量子井戸構造の製造方法は、第5または第6の発明に記載された歪量子井戸構造の製造方法であって、上記基板が、InPから形成されることを特徴とする。
本発明によれば、従来作製が困難であった1.5%以上という大きい圧縮歪を有し、かつ3次元成長及びそれに起因した結晶欠陥の発生が抑制された井戸層を有する歪量子井戸構造を容易に作製することができ、当該歪量子井戸構造を適用したレーザの発振しきい値電流の低減、変調周波数の高速化などデバイス特性の向上実現に極めて有用である。
以下に、本発明に係る歪量子井戸構造およびその製造方法を実施するための最良の形態を実施例に基づき具体的に説明する。
以下に、本発明の第1の実施例に係る歪量子井戸構造について図面を用いて、具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る歪量子井戸構造を示す概略断面図である。同図では、井戸層として圧縮歪を有するInGaAsSbを用い、障壁層としてInGaAsを用いた。
図1に示すように、本発明の第1の実施例に係る歪量子井戸構造10は、III−V族混晶からなり、InGaAs障壁層4とInGaAsSb井戸層5とを交互に積層し、且つその両側にはInGaAs障壁層4が配置されてなる。歪量子井戸構造10の一方には、InP基板1とInPバッファ層(膜厚200nm)2とInP基板1に格子整合するInGaAsPガイド層(バンドギャップ波長1.3μm、膜厚100nm)3とが形成され、他方にはInP基板1に格子整合するInGaAsPガイド層(バンドギャップ波長1.3μm、膜厚100nm)6とInPキャップ層(膜厚100nm)7とが形成される。すなわち、InP基板1上に、InPバッファ層2、InGaAsPガイド層3、歪量子井戸構造10、InGaAsPガイド層6、InPキャップ層7が順次積層される。ここでは、InGaAs障壁層4を4層とし、InGaAsSb井戸層5を3層とする。
InGaAsSb井戸層5としては圧縮歪1.85%を有する膜厚10nmのInGaAsSb層を用い、InGaAs障壁層4としては引張歪0.1%、膜厚18.5nmのInGaAs層を用いた。すなわち、InGaAsSb井戸層5は、InP基板1の格子定数に対して1.5%以上の圧縮歪を有する。InGaAs障壁層4は、InGaAsSb井戸層5とは異なる格子定数を有する。
歪量子井戸構造10における井戸層5及び障壁層4の結晶成長は有機金属気相エピタキシー法によって行われ、その成長温度は620℃である。また、歪量子井戸構造10における井戸層5において、III族原料としてはトリメチルインジウム(TMIn)及びトリエチルガリウム(TEGa)を用い、V族原料としてはアルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)及びSb化合物であるトリスジメチルアミノアンチモン(TDMASb)を用いた。
一般に、レーザウエハにおけるフォトルミネッセンス(PL)発光強度は、発振しきい値電流密度と密接な関係があり、フォトルミネッセンス発光強度が低下すると、半導体レーザの発振しきい値電流密度が上昇することが知られている(非特許文献5を参照)。そのため、良好なデバイス特性を得るためには、大きなフォトルミネッセンス発光強度を得る必要がある。
図2は、本発明の第1の実施例に係る歪量子井戸構造におけるPL発光強度と井戸層中の全V族元素に対するSb組成との関係の一例を示す図である。ただし、図2中の横軸を井戸層中の全V族元素に対するSb組成(%)とし、同図の縦軸を歪量子井戸構造のPL発光強度(対数任意目盛)とした。
図2から明らかなように、フォトルミネッセンス発光強度は、井戸層中の全V族元素に対するSb組成が0.01%及び0.2%を境に急激に変化し、上記Sb組成が0.01%未満及び0.2%より大きい範囲では、小さい発光強度であるのに対し、上記Sb組成が0.01%以上0.2%以下の範囲では大きい発光強度が得られる。この傾向は、井戸層の歪が1.85%の場合だけでなく、井戸層の歪が1.5%以上で顕著に現れることを確認している。したがって、井戸層を結晶成長させるときにサーファクタントとしてSbまたはSb化合物を供給し、その供給量を井戸層中の全V族元素に対するSb組成が0.01%〜0.2%となるように限定すれば、従来、発光強度が著しく減少してしまう圧縮歪1.5%以上を有する井戸層においても、フォトルミネッセンス発光強度の低下を防ぎ、大きな発光強度が得られることが確認された。
さらに、0.01%〜0.2%の範囲内である井戸層中の全V族元素に対するSb組成0.06%のInGaAsSb井戸層を有する歪量子井戸構造を、エックス線回折法(XRD)及び透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した結果、大きな圧縮歪を有するにもかかわらず、3次元成長することなく、良質な歪量子井戸構造を得られることが確認された。
また、井戸層中の全V族元素に対して、0.01%〜0.2%のSbを含むInGaAsSb井戸層の圧縮歪量は、Sb組成が非常に小さいことから、Sbを含まないInGaAs井戸層の圧縮歪量とほとんど差が無いことが、エックス線回折法を用いた観察により確認された。すなわち、上述する井戸層中の全V族元素に対するSb組成範囲では、Sbは井戸層の格子定数にほとんど影響を与えないことが確認された。また、この場合のSb組成は、導電型を制御するために添加するシリコンや亜鉛などのドーパントの濃度より一桁以上高濃度であるが、SbはV族元素であるため導電特性にほとんど影響が無い。この様に、上記全V族元素に対するSb組成(0.01%〜0.2%)は、井戸層の格子定数やバンドギャップに影響を与えない程度の濃度、すなわち、Sb混晶としての性質を発現する濃度よりも少なく、導電型を制御するために添加する濃度よりも一桁以上高濃度である。
一方、Sbを含まない(Sb組成0%)InGaAs層を井戸層とした場合、井戸層が3次元成長してしまうことにより、InGaAs井戸層とInGaAs障壁層における界面が悪化することは、エックス線回折法及び透過型電子顕微鏡による観察から確認された。さらに図2より、フォトルミネッセンス発光強度が非常に小さいことがわかる。前述のように、InP基板に対して、1.5%以上の圧縮歪を有する井戸層では、井戸層が3次元成長し、非発光再結合中心となる欠陥が発生し、フォトルミネッセンスにおける発光強度が著しく低下してしまうため、十分な発光強度を得ることは困難となる。
しかし、本実施例に示すように、井戸層中のSb組成を該井戸層中の全V族元素に対して0.01%〜0.2%としたことにより、大きな圧縮歪を有する井戸層における3次元成長を抑制でき、その結果として結晶欠陥の発生を抑制することができるため、半導体レーザ、光変調器および光増幅器などのデバイス応用に十分なフォトルミネッセンス発光強度の結晶を得ることができる。
したがって、本発明の第1の実施例に係る歪量子井戸構造10によれば、サーファクタントとして作用するSbを井戸層に積極的に取り込み、その組成を井戸層中のV族元素に対して0.01〜0.2%の範囲にしたことで、Sbのサーファクタントとしての効果を有効に作用させ、3次元成長を促進させる原因となるインジウムの表面拡散を抑制することができ、InGaAsから形成される井戸層の3次元成長を抑制することができ、この3次元成長に起因した結晶欠陥の発生を抑制することができる。その結果、圧縮歪量が増加しても平坦な井戸層と障壁層との界面を有する良質な歪量子井戸構造を得ることができる。
また、1.5%以上の圧縮歪を有した井戸層からなる歪量子井戸構造の発光強度の低下を抑制することができる。さらに、大きなフォトルミネッセンス発光強度が得られるので、半導体レーザ、光変調器、光増幅器などの活性層に適用した際に、デバイスとして十分な特性を得ることができる。
その上、従来作製が困難であった1.5%以上という大きい圧縮歪を持つ井戸層を有する歪井戸構造を容易に作製することができ、歪量子井戸構造を適用したレーザの発振しきい値電流の低減、変調周波数の高速化などデバイス特性の向上実現に極めて有用である。
本実施例おける検討では、井戸層としてInGaAsSbを用いたが、Sbは井戸層の圧縮歪量が大きな場合の成長表面におけるインジウムの拡散長の抑制に寄与するものであるため、InGaAsと同様に3次元成長が問題となるInGaAsPやInGaAsNに、井戸層中の全V族元素に対するSb組成が同程度となるように、Sb化合物またはSbを供給した場合も同様の効果が得られる。また、本実施例では、障壁層としてInGaAs層を用いたが、In、Ga、As、N、P、Sbの何れかからなる混晶を障壁層として用いても、本実施例と同様の効果が得られる。
また、本実施例で用いた各構成元素の原料については、実施例に記述した特定の原料、あるいはそれぞれの原料の特定の組み合わせに限定されるものではなく、井戸層内のSb組成さえ実施例の範囲に設定できれば、任意の原料を任意の組み合わせで用いることができる。例えば、上述したトリスジメチルアミノアンチモンの代わりに、トリメチルアンチモン及びトリエチルアンチモンなどの他のアンチモン化合物、又はSb単体を用いても良い。
本発明は、圧縮歪の大きな井戸層を有する良質な歪量子井戸構造及びその製造方法、例えば、半導体レーザ、光変調器および光増幅器などの活性層に用いられる歪量子井戸構造及びその製造方法に利用することが可能である。
本発明の第1の実施例に係る歪量子井戸構造を示す概略断面図である。 本発明の第1の実施例に係る歪量子井戸構造におけるフォトルミネッセンス発光強度と井戸層中の全V族元素に対するSb組成との関係の一例を示す図である。
符号の説明
1 InP基板
2 InPバッファ層
3 InGaAsPガイド層
4 InGaAs障壁層
5 InGaAsSb井戸層
6 InGaAsPガイド層
7 InPキャップ層
10 歪量子井戸構造

Claims (7)

  1. 基板上に形成され、上記基板の格子定数に対して1.5%以上の圧縮歪を有する井戸層と、上記井戸層とは異なる格子定数を有する障壁層とを積層し、III−V族混晶からなる歪量子井戸構造であって、
    上記井戸層はSbを有し、その組成を該井戸層中の全V族元素に対して0.01%〜0.2%とした
    ことを特徴とする歪量子井戸構造。
  2. 請求項1に記載された歪量子井戸構造であって、
    上記井戸層は、InGaAsSb、又はInGaAsPSb、又はInGaAsNSbから形成される
    ことを特徴とする歪量子井戸構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載された歪量子井戸構造であって、
    上記基板は、InPから形成される
    ことを特徴とする歪量子井戸構造。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載された歪量子井戸構造であって、
    上記井戸層は、有機金属気相エピタキシー法で形成される
    ことを特徴とする歪量子井戸構造。
  5. 基板上に形成され、上記基板の格子定数に対して1.5%以上の圧縮歪を有する井戸層と、上記井戸層とは異なる格子定数を有する障壁層とを積層し、III−V族混晶からなる歪量子井戸構造の製造方法であって、
    上記井戸層を結晶成長させるときに、上記井戸層中のSb組成が該井戸層中の全V族元素に対して0.01%〜0.2%となるように、SbまたはSb化合物を供給した
    ことを特徴とする歪量子井戸構造の製造方法。
  6. 請求項5に記載された歪量子井戸構造の製造方法であって、
    上記井戸層は、InGaAsSb、又はInGaAsPSb、又はInGaAsNSbから形成される
    ことを特徴とする歪量子井戸構造の製造方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載された歪量子井戸構造の製造方法であって、
    上記基板は、InPから形成される
    ことを特徴とする歪量子井戸構造の製造方法。
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