JP2006274759A - 折半屋根への緑化基盤材の固定構造とその固定構造を用いた折半屋根緑化構造 - Google Patents

折半屋根への緑化基盤材の固定構造とその固定構造を用いた折半屋根緑化構造 Download PDF

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Abstract

【課題】折半屋根Rの上に緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)を安定的に固定し、それを利用して折半屋根緑化構造を造る。
【解決手段】屋折半屋根Rの山形部3の上に嵩上げ材として発泡樹脂製板40を敷設する。その上に、緑化基盤材Aの取り付け孔のX方向ピッチP1と同じピッチでスタッドボルト22を立設した第1の固定用治具20を置おく、両端に長孔31を備えた第2の固定用治具30の一端を山形部3に立設した固定ボルト5に係合させ、他端を第1の固定用治具20に取り付ける。第1の固定用治具20を軒先方向であるY方向に移動して位置を調節し、隣接する第1の固定用治具20、20同士の間隔を、緑化基盤材Aの取り付け孔のY方向のピッチP2に一致させて、固定する。固定した第1の固定用治具20のスタッドボルト22を用いて緑化基盤材Aを折半屋根に固定し、その上に植生マット54などを配置する。
【選択図】図5

Description

本発明は屋上緑化に関しており、特に、山形部が所定ピッチで連続している構造を備えた折半屋根に対して緑化基盤材を安定して固定するための固定構造と、その固定構造を用いた折半屋根緑化構造に関する。
発泡樹脂などで造られた緑化基盤材を屋根や屋上に固定し、その上に植栽マットなどを敷設して、屋上を緑化することが行われる。緑化基盤材は保水性と排水性を備えており、雨水あるいは給水を保水しておき、植裁マットの植物に対し生長に必要な水分を与える。このような緑化基盤材の一例が、特許文献1,2などに示される。屋上緑化に際し、緑化基盤材を屋根や屋上である支持基盤に安定的に固定することが必要となる。そのために、特許文献2に記載のように、通常、緑化基盤材には縦横の双方向に一定ピッチで取り付け孔が形成され、一方、支持基盤側には、適宜の方法によりその取り付け孔のピッチに合うようにして固定的にスタッドボルトが立てられる。所要枚数の緑化基盤材を、その取り付け孔にスタットボルトを貫通させながら屋根あるいは屋上に敷設し、ナットを用いて緑化基盤材をスタッドボルトに締め付けるようにした固定構造が多く採用されている。
緑化基盤材を設置する屋根や屋上の上面が平坦面の場合には、緑化基盤材の取り付け孔のピッチに合うようにして縦横の双方向に固定的にスタッドボルトが立てることは容易であり、緑化基盤材の設置に格別の問題はない。しかし、図1に示すような折半屋根、すなわち、屋根勾配方向であるX方向に走る山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチPaで連続している構造の折半屋根の上に緑化基盤材を安定的に固定することは次の理由から容易でない。
すなわち、折半屋根は、通常梁1の上に、屋根板2の山形部3の凹凸に合致した形状に形成された専用の取り付け具4を設け、そこに固定ボルト5を立設し、この固定ボルト5を屋根板に貫通させた後、固定用ナット6で締め付けるようにしている。そのために、折半屋根の山形部3上には、この固定ボルト5の先端が屋根勾配方向であるX方向に所定ピッチで飛び出ており、緑化基盤材を設置するに際しては、固定ボルト5をよけることが必要となる。さらに、緑化基盤材に形成される取り付け孔の縦横方向(前記XおよびY方向)のピッチと、折半屋根の山形部3のY方向のピッチおよび固定ボルト5のX方向のピッチとは通常不一致であり、そのままでは、折半屋根の上に特許文献1,2に示したように緑化基盤材を安定的に取り付けることはできない。
また、一般に、屋上に設置することを目的とする緑化基盤材は軽量化が必要であり、多くの場合、強度としては圧縮強度さえ満足していれば問題がないため、通常、保水量と排水量に従って極力薄く設計されており、大きな曲げ強度は備えない。しかし、折半屋根の上に緑化基盤材を固定する場合には、その山形部の頂面の面積だけで緑化基盤材を支持することとなるので、緑化基盤材はその凸部のピッチに従った曲げ強度が必要となるが、前記のように、通常緑化基盤材は極力薄く設計されているので曲げ強度に不足が生じる恐れがある。
上記のようなことが障害となって、特許文献1,2に記載したような保水排水性を備えた緑化基盤材を折半屋根の上に設置して屋上緑化を行うことは、いまだ実用化に至ってなく、通常、特許文献3や4に記載のような方法で、折半屋根の緑化が行われている。
特許文献3のものは、折半屋根の山部の頂部にその長さ方向に沿って根太フレームを固定し、複数の根太フレームにわたって網状部材を敷設固定し、その網状マットの上に植裁マットを配置するようにしている。特許文献4のものは、折半屋根の屋根板固定に用いた固定ボルトを利用してハット型金物を取り付け、それを利用して表面が平坦状の基盤を折半屋根の上面に取り付け、その基盤の上に、排水マットや植裁マットを配置するようにしている。配置した排水マットと植裁マットなどは、植裁マットを越える位置まで立ち上げた固定ボルトの先端に螺着した長ナットにナットで締め付けることにより、基盤側と一体化されている。
特開2001−169665号公報 特開2004−24045号公報 特開2004−135650号公報 特開2004−76516号公報
折半屋根の上に、例えば特許文献1や2に記載のような保水性と排水性を備えた緑化基盤材を設置して、屋上緑化をすることができれば、施工の多様性が広がり望ましい。しかし、前記のような理由から、実用化には至っていない。特許文献3や4に記載のもののように、特別に設計した根太フレームやハット型金物のような取り付け部材を山形部の頂部に屋根勾配方向であるX方向に沿って取り付け、そこに、緑化基盤材に形成した前記X方向の取り付け孔のピッチに合ったピッチでスタッドボルトを立設するようにすれば、緑化基盤材の一方向(屋根勾配方向:X方向)の取り付け安定性は確保することができる。また、折半屋根の山形部ピッチPaの整数倍と緑化基盤材の他方向(軒先方向:Y方向)のピッチとが一致する場合には、その整数倍ごとの山形部頂部に上記した取り付け部材を固定することにより、緑化基盤材の他方向(軒先方向:Y方向)の取り付け安定性も確保することができる。
しかし、緑化基盤材を製造する者と折半屋根用の屋根板を製造する者は通常異なっており、また施工環境もそれぞれ異なるので、緑化基盤材の前記した軒先方向(Y方向)のピッチが、折半屋根の山形部ピッチPaの整数倍とぴったりと一致することは高い確率で起こり得ないので、そのままでは、緑化基盤材の軒先方向(Y方向)の取り付け安定性を確保することはではない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、折半屋根の山形部のピッチPaがどのようなものであっても、屋根勾配方向(X方向)と軒先方向(Y方向)に所定のピッチで取り付け孔が形成されている植生基盤材を、スタッドボルトなどを用いて折半屋根の上に安定的に固定できるようにした緑化基盤材の固定構造を提供することを目的とする。また、そのような緑化基盤材であって大きな曲げ強度を有しない緑化基盤材であっても、折半屋根の上に安定して固定できるようにした緑化基盤材の固定構造を提供することを目的とする。さらに本発明は、そのような固定構造を備えた折半屋根緑化構造を提供することを目的とする。
本発明による折半屋根への緑化基盤材の固定構造は、屋根勾配方向であるX方向に走る山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチPaで連続しており、該山形部には屋根板を固定した固定ボルトが立設している折半屋根の上に、緑化基盤材を固定する固定構造であって、緑化基盤材は、多数の取り付け孔を前記X方向のピッチP1、前記Y方向のピッチP2で有しているものであり、固定具として、該緑化基盤材のX方向のピッチP1と同じピッチP1でスタッドボルトを立設した長尺状の第1の固定用治具と、一端に山形部に立設した固定ボルトに自由度をもった状態で係合しうる係止孔を有しており、他端は第1の固定用治具に固定できるようになっている第2の固定用治具とが用いられ、複数本の第1の固定用治具が、一端を山形部に立設した固定ボルトに位置調節した状態で固定された第2の固定用治具の他端を固定することによって、前記X方向に平行にかつY方向にはピッチP2で折半屋根に固定されており、固定された複数本の第1の固定用治具に立設したスタッドボルトに取り付け孔を貫通させかつネジ固定することによって、前記緑化基盤材が折半屋根に固定されていることを特徴とする固定構造である。
本発明において、緑化基盤材は従来の屋上緑化で用いられている緑化基盤材を任意に用いることができる。素材は軽量性と成形容易性の観点から発泡樹脂製が好ましいが、非発泡樹脂や発泡モルタルのような材料で造られていてもよい。緑化基盤材はその上に植裁シートのような緑化基材をそのまま収容する形態であってもよく、特許文献1に記載のように保水排水機能を備え、その上に、植裁シートのような緑化基材を載置する形態のものでもよい。また、緑化基盤材は一枚物でよく、複数枚の単位緑化基盤材を組み合わせて構成されるものであってもよい。いずれにしても、緑化基盤材には、多数の取り付け孔が、X方向(屋根勾配方向)でのピッチP1、Y方向(軒先方向)でのピッチP2で形成される。
施工に際して、第1の固定用治具を折半屋根の山形部の走る方向(屋根勾配方向:X方向)に平行にかつ固定しようとする緑化基盤材の取り付け孔のY方向のピッチP2にほぼ一致するようにして仮配置する。そのとき、屋根勾配の下流側に設置する見切り材などを基準線として、各第1の固定用治具のスタッドボルトの軒先方向での位置を整列させておく。
基準となる第1の固定用治具を選定し、それに最も近い山形部に立設している固定ボルトの少なくとも2つに、第2の固定用治具の一方端に形成した係止孔を仮係合させる。係止孔は固定ボルトに自由度をもった状態で係合しうる大きさであり、第2の固定用治具は固定ボルトに対して前記X方向とY方向の双方にある程度の距離は移動できるので、その固定位置を調整することができる。係止孔は好ましくは長孔である。
仮係合した第2の固定用治具の他端側と、仮配置した第1の固定用治具とをボルトナットのような手段により固定する。そして、施工現場で線引きされた所定位置まで第1の固定用治具を当該山形部に向けて平行移動した後、山形部に立設した固定ボルトに対して第2の固定用治具の前記一端側をナット締めなどにより固定する。そのときの山形部の中心線と第1の固定用治具の中心線とは、距離y(<Pa)だけ離れているとする。
固定された第1の固定用治具を基準として、隣接する2本目の第1の固定用治具を折半屋根に固定する。固定しようとする緑化基盤材の取り付け孔の前記Y方向のピッチP2が、折半屋根の山形部のピッチPaの整数倍(例えば、3倍)である場合には、その倍数分だけ飛んだ位置(例えば3本目)にある山形部に対して、前記と同じようにして第2の固定用治具を固定すればよい。すなわち、3本目の山形部の中心線とそこに固定した2本目の第1の固定用治具の中心線間の距離も、距離yとなる。
通常の場合、緑化基盤材の取り付け孔のY方向のピッチP2は、折半屋根の山形部のピッチPaの整数倍ではない。その場合、その端数分(例えば距離換算でαとする)だけ、隣接する第1の固定用治具を例えば前記3本目の山形部に固定するときに、その山形部の中心線からずらさなければならない。すなちわ、2本目の第1の固定用治具の中心線とそれが固定される山形部の中心線とのY方向の距離を、y+αとしなければならない。本発明による第2の固定用治具の一端に設けた係止孔は、山形部に立設した固定ボルトに自由度をもった状態とされており、すなわち、固定ボルトの直径に比較して十分に大きな大きさに空けられており、そこで距離αを容易に吸収することができる。そのようにして固定ボルト対して第1の固定用治具を所要にY方向に位置調節した後、固定ボルトに対して第2の固定用治具をナット締めなどにより固定することにより、2本目の第1の固定用治具の折半屋根に対する固定は終了する。
以下、同じようにして、必要本数の第1の固定用治具を折半屋根の上に、第2の固定治具を用いて固定する。それにより、第1の固定用治具に立設したスタッドボルトが、固定用しようとする緑化基盤材に形成した取り付け孔のX方向およびY方向の双方のピッチP1とP2に一致した状態で、第1の固定用治具を折半屋根の山形部に対して固定することが可能となる。なお、前記吸収すべき距離αは、2α、3αと大きくなっていくが、最も大きくて1/2Paを超えることはないので、第2の固定用治具の一端に形成した係止孔の形状と大きさを適宜選定することにより、十分に吸収可能である。
固定された第1の固定用治具に立設したスタッドボルトに、取り付け孔を貫通させるようにして所要枚数の緑化基盤材を敷き詰め、ナットなどにより固定する。それにより、緑化基盤材の取り付け孔のY方向のピッチP2が、折半屋根の山形部のピッチPaの整数倍でない場合であっても、当該緑化基盤材を折半屋根に安定的に固定することができる。
第2の固定用治具として、他端も第1の固定用治具との間で固定位置を調整できるような形状とされた係止孔を備えたものを用いることもできる。それにより、第2の固定用治具の他端も固定位置を調節した状態で第1の固定用治具に固定することができるので、前記した距離αの吸収処理は一層容易となる。
上記の固定構造において、折半屋根の山形部から飛び出ている屋根板固定用のボルトや第1および第2の固定用治具が緑化基盤材の敷設に障害となる場合がある。それを回避するために、一つの態様では、緑化基盤材として、その裏面に、山形部に立設したボルトと第2の固定用治具と第1の固定用治具が入り込むことのできる凹陥部を有したものを用いる。このような凹陥部を持つことにより、山形部の頂面を支持基盤として緑化基盤材を安定的に固定することができる。しかし、山形部の頂面のみを支持基盤とした場合には、設置状態が不安定になる場合がある。
それに対処するために、本発明による固定構造の他の態様では、折半屋根に、山形部に立設した固定ボルトを超える高さの嵩上げ材が配置され、第1の固定用治具は該嵩上げ材の上に配置される。そして、第2の固定用治具は嵩上げ材が配置されない箇所において、一端を山形部に立設したボルトに固定し、他端を第1の固定用治具に固定する構造とされる。なお、ここで使用する第2の固定用治具は、一端部の位置よりも嵩上げ材の厚みだけ上方に変位した位置に他端部が位置する形状のものとなる。
前記の形態において、嵩上げ材は、固定ボルトを立設していない複数本分の山形部を覆うことのできる広さを持つ平板状の板材であってもよく、固定ボルトが立設している部分を切り欠いた(開孔部とした)、広い面積を持つ平板状の板材であってもよい。この場合、嵩上げ材としては、軽量化の目的から、発泡樹脂製のものを用いることが望ましい。具体的には、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、発泡塩化ビニルなどが挙げられる。発泡樹脂製でなく、非発泡合成樹脂製、木材製のようなものであってもよい。
嵩上げ材として、ブリキなどの薄い鉄板を箱状に曲げ加工して得る上面がフラットな棒状をなすパネル材や樹脂製もしくは鋼製の角パイプやチャンネル材なども用いることができる。この場合は、折半屋根の屋根勾配方向直交する方向に配置することが望ましい。その際に、軽量化のために、嵩上げ材同士は隙間をおいて配置することが望ましく、その隙間を利用して、第2の固定用治具を取り付けられる。
この形態では、緑化基盤材は、嵩上げ材の表面によっても支持されるので、曲げ強度が小さい緑化基盤材の場合であっても、安定的に折半屋根の上に固定することができる。
上記の固定構造において、第1および第2の固定用治具が緑化基盤材の敷設に障害となる場合がある。それを回避するために、一つの態様では、緑化基盤材として、その裏面に、第2の固定用治具と第1の固定用治具が入り込むことのできる凹陥部を有したものを用いる。緑化基盤材が裏面にこのような凹陥部を持つことにより、より安定的に折半屋根の上に固定することが可能となる。
本発明による折半屋根への緑化基盤材の固定構造において、緑化基盤材の取り付け孔のY方向のピッチP2が折半屋根の山形部のピッチPaの整数倍でない場合の、その端数分である距離換算値αは、実際の施工構造物においてそれほど大きな数値にはならないので(せいぜい20mm〜200mm程度)、ほとんどの場合、1種類の第2の固定用治具を用いるだけで、前記距離αを施工全域において吸収することができる。しかし、施工環境に応じて、第2の固定用治具として長さの異なる2種以上のものを用いて、固定構造を構築するようにしてもよい。また、山形部の頂部に一部が乗った姿勢で第1の固定用治具が山形部に対して位置決め固定される場合もある。
本発明は、また、上記した折半屋根への緑化基盤材の固定構造により固定された緑化基盤材の上に植物が植生されていることを特徴とする折半屋根緑化構造をも開示する。植物を植生する態様は、従来知られた屋上緑化の場合と同様であってよい。緑化基盤材の中に土壌を敷いて、そこで植物を育成してもよいが、作業性などを考慮すると、従来知られた植裁マットを緑化基盤材の上に敷設する植生態様がより好ましい。この場合、植生基盤材は保水性と必要以上の水を流下する排水性を備えた基盤材であることが望ましく、植裁マットと植生基盤材との間には、好ましくは通気空間も確保される。
また、植生基盤材の上面に不織布を敷き、そこに根止め機能を持たせることも好ましい態様である。これにより、植物の根が屋根板に達するのを防止することができ、屋根板の不要な損傷を防止することができる。このような根止め機能を備えたシートを緑化基盤材の下面に敷設することによっても、屋根の損傷を防ぐことができる。
本発明による折半屋根緑化構造の他の態様では、植裁マットの上にネットがかけられ、そのネットは第1の固定用治具に取り付けたスタットボルトを利用して留め付けられる。植裁マットの上にネットをかけることにより、風などで植物や土壌が飛散するのを防止でき、また、薄い土壌による植裁で、植物が安定して固定されにくい場合であっても、安定した固定効果が得られる。さらに、ネットをスタットボルトを利用して留め付けることにより、ネットの飛散防止とともに、折半屋根緑化構造全体の安定化も向上する。
本発明によれば、折半屋根の山形部のピッチがどのようなものであっても、その上に、屋根勾配方向と軒先方向に所定のピッチで取り付け孔が形成されている植生基盤材を安定的に固定することができる。そのために、平坦な屋根や屋上に設置する場合と同様に安定した緑化構造を、折半屋根の上に構築することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は折半屋根の一例を示し、図2はその上に固定する緑化基盤材を平面図で示している。図3は本発明の固定構造で用いる第1の固定治具を示し、図4は第2の固定治具を示す。図5は本発明による緑化基盤材の固定構造の一形態を説明する図であり、図6は図5に示した固定構造で固定された緑化基盤材を利用して作った折半屋根緑化構造を示している。図9と図10は本発明による緑化基盤材の固定構造の他の形態を説明するための図である。
前記したように、折半屋根Rは、建物の梁1の上に、屋根板2の山形部3の凹凸に合致した形状に形成された専用の取り付け具4を取り付け、そこに固定ボルト5を立設し、この固定ボルト5を屋根板2に貫通させた後、屋根板2を固定用ナット6で締め付けるようにしている。すなわち、折半屋根Rは、屋根勾配方向であるX方向に走る多数の山形部3を有しており、その頂面からは、固定ボルト5や固定用ナット6が所定のピッチで上方に向けて飛び出ている。この例において、山形部3は、軒先方向であるY方向にピッチPaの間隔をおいて、連続して形成されている。
折半屋根Rに固定する緑化基盤材Aは、この例では実質的な正方形である単位緑化基盤材10を複数枚組み付けて構成されている。単位緑化基盤材10は発泡樹脂の成形品であり、保水用空間12と植裁マット支持体13を有し、周壁部には互いに嵌合する接続用凹凸部14が形成されている。各偶部には孔が形成されており、該孔は、接続用凹凸部14を利用して隣接する単位緑化基盤材10、10を組み付けたときに、上下に連通する取り付け孔11を形成する。この例では、図2に示すように、複数枚の単位緑化基盤材10を組み付けて緑化基盤材Aとしたときに、前記各取り付け孔11は、屋根勾配方向であるX方向ではピッチP1で配列しており、軒先方向であるY方向ではピッチP2で配列している。ピッチP1とピッチP2は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、緑化基盤材Aは一枚物で作られていてもよいが、その場合でも、ピッチP1およびピッチP2で取り付け孔11が形成される。なお、図2には後記する第1の固定用治具20も示されている。
第1の固定用治具20は、図3に示すように、長尺状の金属板21と、そこに固定的に立設した複数本のスタッドボルト22からなり、スタットボルト22の間隔(ピッチ)は、緑化基盤材Aに形成した取り付け孔11の屋根勾配方向であるX方向でのピッチP1と同じとされている。また、所要箇所には、後記するように、第2の固定用治具30の他端側とボルトナット25,26(図5)を用いて固定するときに用いる穴23が形成されている。第2の固定治具30は、図4に示すように、長尺状の金属板31であり、その両端には折半屋根Rの山形部3に立設した固定ボルト5の直径よりも大きな横幅を持つ長孔32が形成されている。なお、固定構造の形態に応じて、図4aに示す両端部の高さが違うようにされた第2の固定治具30aと、図4bに示す単に平板状の第2の固定治具30bと、が選択的に用いられる。また、施工現場の状況などに応じて、図4cに示すように長さのより短い第2の固定治具30cを用いることもある。
本発明による固定構造の施工手順を説明する。図5は本発明による固定構造の一形態を示しており、この形態では、最初に、図1に一例を示した折半屋根Rの山形部3・・・の上に、嵩上げ材として、例えば発泡樹脂製板40が敷設される。発泡樹脂製板40の厚さは、山形部3に立設している屋根板2の固定ボルト5の高さを超える厚さとされ、かつ敷設したときに前記固定ボルト5の位置になる領域には、開口41が形成されている。発泡樹脂製板40は、複数本の山形部3の頂面3aを支持基盤としてその上に安定的に敷設されることを条件に、平面視での形状や大きさは任意であり、複数枚の発泡樹脂製板40を寄せ集めて折半屋根R上の必要とされる面積を覆うようにしてもよい。
図5に示すように、開口部41が山形部3の固定ボルト5の位置となるようにして発泡樹脂製板40を敷き詰める。敷き詰めた発泡樹脂製板40の上に、前記した単位緑化基盤材10のY方向のピッチP2を目安として、所要本数の第1の固定用治具20を山形部3の方向に平行に、すなわちX方向に向けて仮配置する。次ぎに、図4aに示した両端で高さの違う第2の固定用治具30aを用い、その低い方の端部に形成した長孔32を、基準とすべき第1の固定用治具20に近接する山形部3に立設している固定ボルト5に係合させる。また、第2の固定用治具30aの他方の端部に形成した長孔32と前記第1の固定用治具20に形成した穴23とにボルト25を通し、ナット26をネジ込む。同じことを、同じ山形部3上のもう一つの固定ボルト5と第1の固定用治具20との間でも行う。この状態で、第1の固定用治具20はX方向とY方向の双方向にわずかに移動することができるので、施工現場での設計使用に合わせて、所定の位置に第1の固定用治具20を位置決めした後、固定ボルト5側のナット6aとボルト25側のナット26を締め込んで、第1の固定用治具20の位置を固定する。なお、固定ボルト5に係合する長孔32のみで所要の位置合わせができる場合には、第2の固定用治具30aの他端側の長孔32は円孔であってもよい。
この態様では、緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)の裏面側がが、第2の固定用治具30および第1の固定用治具20に衝接するのを避けなければならないので、前記部材が位置することとなる緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)の裏面には、凹陥部19が形成される。
側方に位置する2本目の第1の固定用治具20に対しても、同じようにして位置決めと固定を行う。その際に、基準となる第1の固定用治具20と2本目の第1の固定用治具20との間隔は、緑化基盤材Aに形成した取り付け孔11の軒先方向であるY方向のピッチP2と同じになるように、2本目の第1の固定用治具20の位置決めを行う。この位置調整は、前記したように、第2の固定用治具30aが両端に係止孔として長孔32を有しており、そこで前記した位置ずれ分αを吸収できることから可能となる。
必要本数の第1の固定用治具20を同様にして折半屋根Rの山形部3に対して固定していくことにより、敷設した発泡樹脂製板40の上には、前記X方向にはピッチP1で、Y方向にはピッチP2で、所要本数のスタッドボルト22が固定的に立設した状態となる(図2も参照)。また、山形部3に立設している固定ボルト5は発泡樹脂製板40の表面から飛び出ることはない。
立設したスタッドボルト22・・・を利用し、単位緑化基盤材10に形成した取り付け孔11にスタッドボルト22を貫通させながら、必要枚数の単位緑化基盤材10を発泡樹脂製板40の上に配置する。単位緑化基盤材10から飛び出ているスタッドボルト22にナット28をネジ込むことにより、単位緑化基盤材10は折半屋根Rの上にしっかりと固定される。すべての単位緑化基盤材10に対してナット28による締め付けを行うことにより、図2に示すように、本発明による固定構造で固定された緑化基盤材Aが折半屋根Rの上に完成する。
図6〜図8は、図5に示す固定構造を用いて固定された緑化基盤材Aを利用して作られた折半屋根緑化構造Bを示す。図6は折半屋根Rの側方から見た図であり、図7は折半屋根Rの軒先方向から見た図である。また、図8bは固定構造の部分が現れるようにした折半屋根Rの軒先方向から見た図であり、図8aは、図8bに示す第1の固定用治具20と第2の固定用治具30との固定構造の部分のみを上から見て示している。なお、図6〜図8において、図5に示した部材と同じ部材には同じ符号を付し、固定構造についての説明は省略する。
図6に示すように、折半屋根Rの軒先には前記Y方向に見切り材50が取り付けられ、また、図7に示すように、その両側(図7には左側方のみが示される)にも前記X方向に、すなわち山形部3に沿うようにして見切り材51が取り付けられる。見切り材50,51で区画された領域に、前記のようにして嵩上げ材としての発泡樹脂製板40が敷設され、その上に、第1の固定用治具20と第2の固定用治具30を用いて単位緑化基盤材10・・・が固定されて、緑化基盤材Aとされている。
図8aに示すように、この例では、第2の固定用治具30aとして2種類のものが用いられており、図で右側の第1の固定用治具20を固定するのに用いている第2の固定用治具30aは、図4aおよび図5に示したものと同じであるが、左側の第1の固定用治具20を固定するのに用いている第2の固定用治具30a1は、その長さが第2の固定用治具30aよれも短くされている。このように、折半屋根Rの山形部3のピッチPaと緑化基盤材AのY方向のピッチP2との関係で、異なった長さの第2の固定用治具30a1を用いる場合もある。
折半屋根緑化構造Bを組み付けるに当たり、図示のものでは、嵩上げ材としての発泡樹脂製板40と緑化基盤材Aとの間に根止めシート52を敷設して、植物の根により発泡樹脂製板40や折半屋根Rが損傷するのを防止している。また、固定された緑化基盤材Aの上には土壌流出防止用の好ましくは根ドル機能を備えた不織布53を敷き、その上に、従来知られた適宜の植裁マット54を配置している。図示しないが、植裁マット54の上面に土壌の吹き飛び防止ネットを設置することは望ましく、該ネットを緑化基盤材Aの固定に用いたスタッドボルト22で固定することにより、折半屋根緑化構造B全体の安定化を図ることもできる。
このようにして構築した折半屋根緑化構造Bの上から散水すると、水は植裁マット54を透過して緑化基盤材Aの保水用空間12に溜まり、その水は植裁マット54に植生した植物55の生育に利用される。また、雨水を含む余分な水は、緑化基盤材Aをオーバーフローして流下する。
図示しないが、各単位緑化基盤材10の中に植裁マット54の下面に接する形のスポンジのように水分吸い上げ材を置くようにしてもよく、この場合、保水用空間12の底部にする水を植裁マット54に向けて吸い上げることができる利点がある。
図9は本発明による固定構造の第2の形態を示している。ここでは、嵩上げ材として、発泡樹脂製板40ではなく、鋼製の角パイプ40Aを用いている。角パイプ40Aの高さは、折半屋根Rの山形部3に立設する固定ボルト5の高さよりも高く、該固定ボルト5を避けるようにして、必要本数の角パイプ40Aが前記Y方向に平行に所要の間隔をおいて配置されている。そして、配置した角パイプ40Aの上面を支持基盤として、第1の固定用治具20が仮配置される。仮配置された第1の固定用治具20を山形部3に対して所定位置に固定する手順と方法は、図5に示したものと同じであり、同じ機能を奏する部材には同じ符号を付し、説明は省略する。
図10は本発明による固定構造の第3の形態を示しており、ここでは、嵩上げ材を用いずに、山形部3の頂面3aを支持基盤として緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)が配置されている。すなわち、ここでは、第2の固定用治具30に図4aに示した平板状の第2の固定用治具30bを用い、その一端を山形部3の固定ボルト5に固定し、他端を第1の固定用治具20に固定している。この態様では、緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)の裏面側が、固定ボルト5、第2の固定用治具30および第1の固定用治具20に衝接するのを避けなければならないので、前記部材が位置することとなる緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)の裏面には凹陥部19が形成される。この形態でも、仮配置された第1の固定用治具20を山形部3に対して所定位置に固定する手順と方法は、図5に示したものと同じであり、同じ機能を奏する部材には同じ符号を付し、説明は省略する。
図9に示す第2の形態および図10に示す第3の形態で固定されたそれぞれの緑化基盤材Aに対し、前記図6〜図8に示したと同様にして折半屋根緑化構造Bを構築できることはもちろんである。また、いずれの形態においても、第1の固定用治具20や嵩上げ材40,40Aを接着剤や両面粘着テープなどで一時的に仮固定しておくことは、事後の作業を円滑に行うのに望ましい。
折半屋根の一例を示す斜視図。 折半屋根の上に固定する緑化基盤材の一例を示す平面図。 本発明の固定構造で用いる第1の固定治具を示す図。 本発明の固定構造で用いる第2の固定治具を示す図。 本発明による緑化基盤材の固定構造の一形態を説明する図。 図5に示した固定構造で固定された緑化基盤材を利用して作った折半屋根緑化構造の一例を折半屋根の側方から見て示す図。 図6に示す折半屋根緑化構造を折半屋根の軒先方向から見て示す図。 図8bは固定構造の部分が現れるようにした折半屋根Rの軒先方向から見た図であり、図8aは図8bに示す第1の固定用治具と第2の固定用治具との固定構造の部分のみを上から見て示している。 本発明による緑化基盤材の固定構造の他の形態を説明する図。 本発明による緑化基盤材の固定構造のさらに他の形態を説明する図。である。
符号の説明
R…折半屋根、A…緑化基盤材、B…折半屋根緑化構造、Pa…山形部のピッチ、X…屋根勾配方向、Y…軒先方向、1…建物の梁、2…屋根板、3…山形部、5…固定ボルト、10…単位緑化基盤材、12…保水用空間、13…植裁マット支持体、14…接続用凹凸部、11…取り付け孔、19…緑化基盤材の裏面の裏面形成される凹陥部、P1…取り付け孔のX方向のピッチ、P2…取り付け孔のY方向のピッチ、20…第1の固定用治具、21…長尺状の金属板、22…スタッドボルト、23…固定用穴、30…第2の固定用治具、31…長尺状の金属板、32…長孔、40…嵩上げ材としての発泡樹脂製板、41…開口、50,51…見切り材、52…根止めシート、53…不織布、54…植裁マット、55…植物、40A…嵩上げ材としての角パイプ、

Claims (9)

  1. 屋根勾配方向であるX方向に走る山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチPaで連続しており、該山形部には屋根板を固定した固定ボルトが立設している折半屋根の上に、緑化基盤材を固定する固定構造であって、
    緑化基盤材は、多数の取り付け孔を前記X方向のピッチP1、前記Y方向のピッチP2で有しているものであり、
    固定具として、該緑化基盤材のX方向のピッチP1と同じピッチP1でスタッドボルトを立設した長尺状の第1の固定用治具と、一端に山形部に立設した固定ボルトに自由度をもった状態で係合しうる係止孔を有しており、他端は第1の固定用治具に固定できるようになっている第2の固定用治具とが用いられ、
    複数本の第1の固定用治具が、一端を山形部に立設した固定ボルトに位置調節した状態で固定された第2の固定用治具の他端を固定することによって、前記X方向に平行にかつY方向にはピッチP2で折半屋根に固定されており、
    固定された複数本の第1の固定用治具に立設したスタッドボルトに取り付け孔を貫通させかつネジ固定することによって、前記緑化基盤材が折半屋根に固定されていることを特徴とする折半屋根への緑化基盤材の固定構造。
  2. 第2の固定用治具の他端も第1の固定用治具との間で固定位置を調整できるような形状とされており、第2の固定用治具の他端も固定位置を調節した状態で第1の固定用治具に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の折半屋根への緑化基盤材の固定構造。
  3. 緑化基盤材は裏面に山形部に立設した固定ボルトと第2の固定用治具と第1の固定用治具が入り込むことのできる凹陥部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の折半屋根への緑化基盤材の固定構造。
  4. 折半屋根には、山形部に立設した固定ボルトを超える高さの嵩上げ材が配置されており、第1の固定用治具は該嵩上げ材の上に配置されており、第2の固定用治具は嵩上げ材が配置されない箇所において、一端を山形部に立設した固定ボルトに固定し、他端を第1の固定用治具に固定していることを特徴とする請求項1または2に記載の折半屋根への緑化基盤材の固定構造。
  5. 緑化基盤材は裏面に第2の固定用治具と第1の固定用治具が入り込むことのできる凹陥部を有していることを特徴とする請求項4に記載の折半屋根への緑化基盤材の固定構造。
  6. 第2の固定用治具として長さの異なる2種以上のものが用いられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の折半屋根への緑化基盤材の固定構造。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の折半屋根への緑化基盤材の固定構造により固定された緑化基盤材の上に植物が植生されていることを特徴とする折半屋根緑化構造。
  8. 緑化基盤材は保水排水基盤材であり、その上に直接または不織布を介して植裁マットが敷かれていることを特徴とする請求項7に記載の折半屋根緑化構造。
  9. 植裁マットの上にネットがかけられており、該ネットは第1の固定用治具に取り付けたスタットボルトを利用して留め付けられていることを特徴とする請求項8に記載の折半屋根緑化構造。
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JP2008127843A (ja) * 2006-11-20 2008-06-05 Sekisui Plastics Co Ltd 見切り材の固定構造
JP2008248535A (ja) * 2007-03-29 2008-10-16 Sekisui Plastics Co Ltd 傾斜面の吹き付け緑化工法
JP2011208361A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Daiwa House Industry Co Ltd 屋根の架台設置構造

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