JP2007089437A - 緑化設備及び下地部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で且つ容易に施工することができると共に、設置状態の安定性に優れる緑化設備を提供する。
【解決手段】山部11と谷部12が交互に繰り返し、山部頂面111から上方へ突出する突出するハゼ部14を有する折板屋根10に、ハゼ部14の高さと同一かそれよりも高い下地体20を山部頂面111に載置して隣り合う山部11・11間に架橋し、山部11の長手方向に隣り合う下地体20・20上に各緑化ユニット40の前側と後側の端部を載置して敷設すると共に、緑化ユニット40を縦横に並べて敷設する緑化設備。
【選択図】図2

Description

本発明は、山部と谷部が交互に繰り返し、山部頂面に突出部を有する折板屋根に設置する緑化設備及びその緑化設備に用いる下地部材に関する。
従来、所謂折板屋根に設置する緑化設備が知られており、斯様な緑化設備の公知技術に特許文献1〜4がある。特許文献1には、山部と谷部が交互に繰り返す折板屋根上に、植物が植栽された低背な板状の複数の緑化ユニットを、屋根の勾配に合わせて傾斜状態にしながら互いに隣接して並べて取り付ける緑化設備が開示されている。
また、特許文献2には、多数の折板が連結された山部と谷部が交互に繰り返す折板屋根の山部上に、メッシュ金網等の網目状部材を上方に突出するハゼ部に支持具で取り付けて敷設し、網目状部材上に緑化層を載置する緑化設備が開示されており、前記緑化層は、土壌を保持する土壌保持機能および透水性を有する透水層と、透水層の上に敷設される土壌層と、植物がマットに植え込まれ土壌層の上に敷設される植栽マットとで構成されている。
また、特許文献3には、山部と谷部が交互に繰り返す折板屋根の山部の頂部箇所に、ハゼ部を挟持するように載置されるベース部と締付用螺子と溝板連結部材とからなる支持具を設け、折板屋根山部の長手方向と溝板の長手方向とがほぼ直交するように複数の溝板を並設して支持具で山部に固定し、溝板に植栽マット材を敷設する緑化設備が開示されている。
また、特許文献4には、折板屋根に支持具を介して複数の緑化ユニットを並べて固定する緑化設備で、前記支持具を、ハゼ部に取り付けられる挟持部材と、挟持部材に嵌合連結されるレール状の長尺体と、長尺体の長手方向に沿って取付位置を変更自在に取り付けられたスライドボルトと、緑化ユニットに係止されスライドボルトに固定されている押さえ部材とで構成し、挟持部材の取付位置やスライドボルトの固定位置を調整可能としたものが開示されている。
特開2000−324953号 特開2005−68800号 特許第3590020号 特開2004−245032号
ところで、特許文献2〜4の緑化設備のように、折板屋根の山部頂面に形成されたハゼ部に支持具等を固定し、網目状部材・溝板・レール状長尺体等の下地材を配設して前記ハゼ部に固定した支持具等で固定し、その下地材上に緑化層や緑化ユニットを敷設する構成では、ハゼ部に支持具を取り付ける複雑な工程や部品が必要となって高コストになると共に、折板屋根の谷部から緑化ユニットや緑化層の底面までの距離や、折板屋根の山部から緑化ユニットや緑化層の底面までの距離が大きくなるため、緑化ユニットや緑化層に負荷される風圧が大きくなって設置状態が不安定になるという不具合がある。更に、略円筒形等の外形を有するハゼ部に支持具を取り付けるため、支持具の取付状態の安定性に劣り、かかる点からも支持具で支持する下地材及び緑化ユニット或いは緑化層の設置状態が不安定になる。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、山部と谷部が交互に繰り返し、山部頂面から突出する突出部を有する折板屋根に設置する緑化設備に関し、安価で且つ容易に施工することができると共に、設置状態の安定性に優れる緑化設備及びその緑化設備に用いる下地部材を提供することを目的とする。
本発明の緑化設備は、山部と谷部が交互に繰り返し、山部頂面から上方へ突出する突出する突出部を有する折板屋根に、該突出部の高さよりも高い下地体若しくは該突出部の高さと同一高さの下地材を山部頂面に載置して隣り合う山部間に架橋し、該下地体上に緑化ユニット若しくは緑化層を敷設することを特徴とする。例えば山部の長手方向に沿って頂面略中央に設けられるハゼ部やボルト部など突出部を有する折板屋根に、突出部よりも上端の高さが高い若しくは突出部以上の高さを有する断面視略中実角柱形若しくは断面視略角筒形で棒状の下地体の底面を山部頂面に載置し、或いは下面開放で上面と四面の側壁若しくは下面開放で上面と山部長手方向と直交する二面の側壁とが設けられている棒状又は略板状の下地体の底面や側壁下端を山部頂面に載置して山部間に架橋し、下地体の上面に緑化ユニット若しくは緑化層を敷設する緑化設備とする。
前記載置では、例えば山部頂面が平面の場合には下地体の山部長手方向と直交する二側壁の両端の載置部分は山部頂面の平面に倣う直線形状とし、山部頂面が曲面の場合には下地体の山部長手方向と直交する二側壁の両端の載置部分を山部頂面の曲面に倣う曲線形状とするとよい。更に、緑化ユニットの敷設では、例えば略方形の緑化ユニットを敷設する場合、山部長手方向に所定間隔を開けて架橋された下地体に、緑化ユニットの前側と後側の二側端部をそれぞれ載置して、前記所定間隔を開けて隣り合う下地体で少なくとも前記二側端部をそれぞれ支持する構成等とする。
尚、下地体の上端と突出部の上端との高さの差は、例えば0mm〜5mmとすると、緑化ユニット等を下地材と突出部若しくは下地材で支持して安定設置することができると共に、緑化ユニットに加わる風圧の影響を極力排除できて好適である。また、山部頂面が平面若しくは曲面である場合に、該山部頂面の平面と面接触する底面を少なくとも下地体の載置部分に形成する、若しくは該山部頂面の曲面と面接触する曲面状の底面を少なくとも下地体の載置部分に形成すると、下地体の設置状態を一層安定化することができて好適である。
また、本発明の緑化設備は、突出部を介して隣り合う下地体の上板間を該突出部の上に横設される或いは跨いだ状態で設けられる連結部で連結することを特徴とする。前記連結部は、例えば隣り合う合成樹脂製や金属製等の下地体の上板が連続するように一体形成された構成や、隣り合う下地体の一方の下地体に一体形成された連結片とし、連結片の先端に下方へ屈曲形成された係止片を他方の下地体の上板に形成された係止孔に係合する構成や、隣り合う一方の下地体と他方の下地体に接着剤等で固着される連結部材等とすることが可能である。
また、本発明の緑化設備は、上記連結部を可撓性を有する連結部とすることを特徴とする。例えば合成樹脂製の下地体の比較的薄い上面と略同一厚さで一方の下地体上面から他方の下地体上面へ架設する合成樹脂製の連結部とする構成や、或いは合成樹脂製の下地体上面より肉厚が薄い合成樹脂製の薄肉連結部とする構成や、或いは連結方向と直交する方向に肉厚が薄くなる一若しくは複数の溝部が形成されている合成樹脂製の連結部とする構成や、或いは合成樹脂製の下地体に比べてより素材自体の可撓性や弾性が高い合成樹脂製やゴム製等の連結部とする構成等とすることが可能である。
また、本発明の緑化設備は、緑化ユニットと嵌合する嵌合部など下地体に緑化ユニットと係合する係合部を設け、緑化ユニットの被嵌合部を下地体の該嵌合部に嵌合するなど緑化ユニットを該係合部に係合して緑化ユニットを敷設することを特徴とする。例えば鉤状の係合部或いは嵌合部が両側に設けられた連結部材を下地体の上板に固着し、前記鉤状の係合部或いは嵌合部を緑化ユニットの貯水槽側壁或いは植栽コンテナ側壁に係合或いは嵌合する構成等とすることが可能である。
また、本発明の緑化設備は、山部の長手方向に隣り合う下地体の上板間に第2の下地体を架橋して係合固定することを特徴とする。例えば下地体上板に孔を形成し、その孔に第2の下地体の両端に形成された係止片を係入する構成等とする。
また、本発明の緑化設備は、山部の長手方向に隣り合う下地体相互間に形成され且つ緑化ユニット若しくは緑化層が敷設されていない非緑化領域を、下地体上板に被覆部材を載置して被覆することを特徴とする。例えば非緑化領域で、平面視で下地体や下地体相互間の空間が目視可能な箇所に蓋状の被覆部材を載置して固定する。
また、本発明の緑化設備は、緑化ユニット若しくは緑化層を敷設して形成される緑化領域の周縁に、緑化領域を上側から押圧する見切材を設けることを特徴とする。例えば断面視略Z字形の見切材の固定片を下地体等に固定し、緑化ユニットを見切材の押圧片で上側から押圧する構成等とする。
また、本発明の緑化設備は、緑化ユニット若しくは緑化層の育成層と植栽層との間に若しくは植栽層の上に網状部材を設けて端部を固定することを特徴とする。例えば育成層上に植栽層を有する緑化ユニット若しくは緑化層の育成層と植栽層との間に合成樹脂製の網・ネット・メッシュ金網等の網状部材を介設し、若しくは植栽層の上に網状部材を敷設する構成等とする。前記網状部材は、例えば緑化領域全体、若しくは複数の緑化ユニットで構成される緑化領域の部分領域、緑化層の部分領域、若しくは一つの緑化ユニットで構成される緑化領域の部分領域に対して一つ設けることが可能である。更に、下地体と見切材との固定箇所に於いて、前記網状部材の端部を下地体と見切材との間に介在させて一括固定すると好適である。
また、本発明の緑化設備は、正面視で山部間及び谷部と略対応する形状を有する塞ぎ部材を、山部間及び谷部を塞ぐように且つ下端縁と谷部底面との間が開放するようにして外周縁の下地体に設けることを特徴とする。谷部に合わせた形状の塞ぎ部材で谷部を略塞ぎつつ、谷部底面と塞ぎ部材の下端縁との間を開放して、排水口等の開放部を設ける。
また、本発明の下地部材は、山部と谷部が交互に繰り返し、山部頂面から上方へ突出する突出部を有する折板屋根に、該突出部の高さよりも高い下地体若しくは該突出部の高さと同一高さの下地材を山部頂面に載置して隣り合う山部間に架橋し、該下地体上に緑化ユニット若しくは緑化層を敷設する緑化設備で用いる下地部材であって、該突出部を介して隣り合わせに配置される下地体の上板間を、該突出部の上に横設される連結部で連結していることを特徴とする。前記連結部は、可撓性を有する素材で形成された連結部とすると好適である。
尚、本願の発明には、各発明の部分的な構成を他の構成に変更し、或いは各発明の構成に他の構成を付加し、或いは各発明の部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化したものも含まれる。
本発明は、山部頂面から上方へ突出するハゼ部やボルト部等の突出部の高さよりも高い下地体を山部頂面に載置して山部間に架橋し、架橋した下地体上に緑化ユニットや緑化層を設けることから、従来の下地材を固定する支持具をハゼ部に取り付ける複雑な工程や部品が不要となり、施工の容易性や効率性を高めることができると共に、施工コストや製造コストの低減を図ることができる。更に、山部頂面に下地体を載置架橋し、折板屋根の谷部から緑化ユニットや緑化層の底面までの距離や、折板屋根の山部から緑化ユニットや緑化層の底面までの距離を短くすることが可能であることから、より低い位置に緑化設備を形成し、緑化ユニットや緑化層に負荷される風圧を減少することが可能であり、又、取付状態の不安定な支持具を介さずに下地体及び緑化ユニットや緑化層を設置できることから、緑化設備の設置状態を安定することができる。更に、下地体が突出部の高さよりも高いか同一高さで、敷設した下地体の上面よりも上方に突出する突出部が無いことから、緑化ユニットや緑化層の敷設作業が向上すると共に、突出部が存在する箇所も含めて緑化ユニットや緑化層を隙間なく連設することができる。
また、下地体の上板間を突出部の上に横設される連結部で連結することにより、突出部の上側にも緑化ユニットや緑化層を支持する箇所を形成することができ、緑化ユニットや緑化層の設置状態をより安定化することができる。更に、下地体が連結されていることから、下地体を折板屋根に敷設する作業に於いて墨だし等の作業を簡素化することができ、且つより確実に直線状に下地体を列設することができる。更には、連結部を可撓性とすることにより、下地体を連結して構成される部材を折り畳むことが可能となり、運搬時などの取扱いが容易になると共に、下地体や緑化設備をより不陸に追従させることが可能となる。
また、下地体に緑化ユニットと係合する係合部を設け、緑化ユニットを係合部に係合して敷設することにより、緑化ユニットや緑化設備の設置状態の安定性をより高めることができる。
また、山部の長手方向に隣り合う下地体の上板間に第2の下地体を架橋して係合固定することにより、墨だし等の作業を省いて正確な位置に下地体や緑化ユニットを敷設することが可能となり、施工性が向上すると共に、下地構造の設置状態の安定性を強化することができる。
また、山部の長手方向に隣り合う下地体相互間に形成され且つ緑化ユニット若しくは緑化層が敷設されていない非緑化領域を、下地体上板に被覆部材を載置して被覆することにより、風が吹き込むことを防止することができると共に、下地体や谷部の露出を防止して緑化設備の美観を向上することができる。
また、緑化領域の周縁に緑化領域を上側から押圧する見切材を設けることにより、或いは緑化ユニット若しくは緑化層の育成層と植栽層との間に若しくは植栽層の上に網状部材を設けて端部を固定することにより、緑化領域を押圧保持して緑化設備の設置状態の安定性を強化することができる。
また、山部間及び谷部を塞ぐように且つ下端縁と谷部底面との間が開放するようにして塞ぎ部材を外周縁の下地体に設けることにより、谷部や山部間からの風の進入を防いで緑化設備の設置状態の安定性を向上することができると共に、緑化設備の排水用の開口を確保することができる。
以下では、本発明の緑化設備及び下地部材について具体的な実施形態に基づき説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
実施例1(図1〜図6参照)の緑化設備は、図1に示す折板屋根10に設けられる。折板屋根10には、頂面111を有する断面視台形で筋状の山部11と底面121を有する断面視台形で筋状の谷部12とが交互に繰り返して連続して設けられており、本例では平面状の山部頂面111と谷部底面121間の傾斜面13の中央を基準として上側を山部11、下側を谷部12とする。山部頂面111の略中央には上方に突出するハゼ部14が山部11の長手方向に沿って連続して形成されている。ハゼ部14は、例えば折板屋根10を構成する山部11と谷部12とが連設された折板屋根部材を互いに結合する箇所に設けられ、一方の折板屋根部材の端部を他方の折板屋根部材の端部で被覆し、その被覆部分をロール状に押圧して形成され、折板屋根部材相互を結合する。
折板屋根10上には、図1及び図2に示す下地体20を敷設する。下地体20は、平板状の上板21と、上板21の前端及び後端から下方へ略直角に屈曲延設された前側及び後側の側壁22・22と、側壁22・22の下端が互いに内方へ略直角に屈曲延設された平板状の屈曲片23とで構成され、底面の中央が長手方向へ沿って切り欠かれた略四角筒形であり、断面視は略コ字形である。下地体20は、隣り合う山部11・11の頂面111・111に屈曲片23の両端近傍の下面を載置して面接触させられ、前記頂面111・111に形成された隣り合うハゼ部14・14相互間に架設され、山部11と谷部12とが連続する長手方向と直交して配置される。
下地体20は、山部11の長手方向へ所定間隔を開けて複数配設され、且つハゼ部14を介して隣り合う位置に順次配設され、所定間隔を開けて長手方向に伸びるハゼ部14と所定間隔を開けてハゼ部14と直交する方向に順次配設される下地体20は平面視略格子状となる。尚、本例の下地体20上には後述する緑化ユニット40が配置されることから、前記山部11の長手方向で開けられる下地体20・20を配設する所定間隔は、支持する緑化ユニット40の前側と後側の2つの下辺が載置可能な間隔とされ、前記所定間隔は緑化ユニット40の寸法に合わせて適宜決定される。
下地体20の長さは、折板屋根10の隣り合うハゼ部14・14の内面或いは内端相互間の距離よりも僅かに短く、且つ隣り合う山部頂面111・111への下地体20を架設した場合に、一方の山部頂面111に形成されたハゼ部14の方へ下地体20が偏った場合にも下地体20の架橋状態が維持される長さである。更に、下地体20の高さ、即ち側壁22の高さは、折板屋根10の山部頂面111からハゼ部14の頂部までの高さと同一かそれよりも高くなっており、例えば0mm〜5mm程度高くなっている。下地体20の高さを山部頂面111から上方へ突出するハゼ部14の頂部までの高さと同一かそれよりも高く構成することで、下地体20の上面よりも上方へ突出する折板屋根10の箇所を無くすことができ、下地体20上に平面的な部材等が載置可能な状態となる。
下地体20の屈曲片23下面と山部頂面111との接触箇所は、接触面に接着剤を塗布する、接触面に両面粘着テープを設ける、或いは屈曲片23と山部頂面111とをビス止めする若しくはボルトとナットなど締結部材で締結する等で固定され、固定された下地体20は所定箇所に安定して持続的に定置される。
そして、折板屋根10上に敷設した下地体20上には、図2〜図4に示すように、緑化ユニット40を敷設し、折板屋根10上に植物44が植栽されている緑化領域を形成する。
緑化ユニット40は、後述する実施例2(図10参照)及び実施例3、4で敷設する緑化ユニット40と同一であり、図2〜図4及び図10に示すように、底板411と側壁412を有する上面開口の略箱形トレー状の貯水槽41と、底板421と側壁422を有する上面開口の略箱形の植栽コンテナ42とを備え、植栽コンテナ底板421から下方へ突出する脚部423が貯水槽底板411の上面に当接するようにして貯水槽41内に植栽コンテナ42が載置され、植栽コンテナ42内に育成材43が充填され、育成材43に例えば地被植物や多肉植物等の植物44が植栽されている。
植栽コンテナ42の底面には、中空で脚部423よりも若干短い吸水凸部424が下方へ突出して形成されており、吸水凸部424の底面に穿設された吸水孔(図示せず)から貯水槽41内の水分を育成材43の毛細管現象によって育成材43内へ吸水可能になっている。更に、植栽コンテナ42の底面には、複数の通水兼通気孔(図示せず)が穿設されており、前記通水兼通気孔で、植栽コンテナ42内の雨水等の余剰水を貯水槽41内へ導くことが可能であると共に、植物44の根441へ新鮮な空気を送ることが可能になっている。また、植栽コンテナ42の側壁422の下部には、内向きにへこむ内向きへこみ部425が形成されており、貯水槽41の上方で且つ隣り合う植栽コンテナ42・42の内向きへこみ部425・425間に所定の空間45を形成し、空間45に多孔質の給水パイプ等を敷設し、貯水槽41からの吸水を介して植物44への給水が可能になっている。
育成材43には、植物44を栽培可能な適宜の育成材を用いることが可能であり、例えばパーライト、バーミキュウライト、ピートモス、バーク堆肥、チャフコン、木質腐朽有機物、ゼオライト、下水或いは浄水場から発生する汚泥、或いは汚泥の焼却灰等とすることができ、或いは、これらの内の数種類を選定し、必要に応じて根腐れ防止用の硅酸塩白土等を植物の種類、環境等に応じて適宜選定し、これらを保水性、排水性が良好になるようにバランス良く配合したもの、或いはこれらを単体で若しくは配合して固化しブロック状にした軽量育成材や、スポンジやヤシガラ等の繊維材等の軽量育成材等とすることが可能である。前述のような通気性の良い軽量育成材を育成材43として用いる場合、植物44の根が傷むことを防止することができ、又、これらの軽量育成材にかかる荷重は通常の客土の約1/3以下とすることが可能であり、折板屋根10など屋根への荷重負荷を軽減することができる。また、植物44の育成材43での植栽では、例えば育成材43に直接植栽する構成や、或いはマット状の育成材に植物44が植栽された植栽マット46を用い、植栽マット46を育成材43に載置して植栽する構成等とすることが可能である(図7参照)。
緑化ユニット40は、折板屋根10の山部11の長手方向へ所定間隔を開けて隣り合う下地体20・20に或いはその列に、貯水槽41の前側の側壁412の下端及びその近傍の底板411と、後側の側壁412の下端及びその近傍の底板411をそれぞれ載置して敷設され、複数の緑化ユニット40が、図4に示すように、縦横に隣接するように並べて敷設される。前記敷設した緑化ユニット40は、例えば下地体20に貯水槽底板411を接着剤等で接着する若しくはビス等の固定部材で固定する等により、下地体20に固定して並設すると良好である。
尚、上記の如く緑化ユニット40は単に隣接して並べて設ける以外に、緑化ユニット40・40相互を互いに連結して敷設する構成としてもよい。例えば貯水槽41若しくは植栽コンテナ42の少なくとも何れか一方若しくは双方に、一側壁若しくは隣接する二側壁の上端から外方へ突出する鉤状等の係合部を設け、その係合部を隣接する貯水槽41や植栽コンテナ42の係合部が形成されていない側壁上端に係合し、該係合で貯水槽41や植栽コンテナ42を連結しながら敷設する構成や、或いは一側壁若しくは隣接する二側壁から外方へ突出する鉤状等の係合部を設け、隣接する貯水槽41や植栽コンテナ42の側壁から外方へ突出する平面視コ字形等の被係合部に引っ掛けて係合し、該係合で貯水槽41や植栽コンテナ42を連結しながら敷設する構成や、或いは別体の断面略U字形若しくはV字形の連結部材を、隣接する貯水槽41・41の側壁412・412若しくは植栽コンテナ42・42の側壁422・422を挟み込むように係合して連結する構成等とすることが可能である。
更に、例えば鉛直方向へ立設する接続板241の上端に前側と後側、又は左右側の両端へそれぞれ屈曲する鉤状の係合部242・242が設けられ、接続板241の下端に基板243が一体形成或いは接着剤等で固着された連結部材24を用い、連結部材24の基板243を接着剤等で下地体20の上板21に固着すると共に、隣り合う貯水槽41・41の側壁412・412相互間や隣り合う植栽コンテナ42・42の側壁422・422相互間に形成される隙間に接続板241を配置し、且つ貯水槽41・41の側壁412・412の下部に形成されたテーパ部413・413間と下地体上板21とで囲まれる空間に基板243を配置し、その連結部材24の両側の係合部242・242にそれぞれ隣り合う貯水槽41・41の側壁412・412の上端部分に係合或いは嵌合する構成(図7(a)参照)や、又は、その連結部材24の両側の係合部242・242にそれぞれ隣り合う植栽コンテナ42・42の側壁422・422の上端部分を係合或いは嵌合する構成(図7(b)参照)や、又は、鉛直方向へ立設する接続棒の上端に四方へ屈曲する鉤状の係合部が設けられ、接続棒の下端に基板が固着された連結部材を用い、前記連結部材を下地体20の上板21に固着すると共に、貯水槽41や植栽コンテナ42の隅部を平面視でテーパ状にする或いは丸みを帯びた形状等とし且つ隅部に於ける貯水槽側壁412の下端にテーパ部413を設ける等で、互いに隣り合う4つの貯水槽41或いは植栽コンテナ42の四隅集合部に接続棒を配置し、テーパ部413の集合部に基板243を配置して、前記連結部材の4つの鉤状の係合部をそれぞれ四隅集合部に隅部を集合させている4つの貯水槽41或いは4つの植栽コンテナ42の各隅部に鉤状係合部を係合或いは嵌合する構成等としてもよい。更に、前記側壁412、422の上端に係合或いは嵌合する構成に代え、側壁412、422に形成された平面視コ字形等の被係合部に鉤状係合部を係合する構成としてもよい。下地体20と貯水槽41或いは植栽コンテナ42とを係合或いは嵌合して連結することにより、緑化ユニット40や緑化設備の設置状態の安定性をより高めることができる。
また、折板屋根10の上面全てではなく、一部の所定領域のみに緑化ユニット40を敷設して緑化領域を形成する場合や、折板屋根10の山部11相互間の距離と緑化ユニット40の幅が一致しない場合に、緑化領域の周縁の外側に、架橋された下地体20や折板屋根10の谷部12が露出して目視可能な箇所が現れる場合があるが、係る場合には、図2及び図3に示すように、基板31の一方の側端縁から略直角に屈曲して曲片32が形成された断面略L字形の端部処理材30を前記露出箇所に設けるとよい。端部処理材30は、端に位置するハゼ部14と載置された下地体20の前記ハゼ部14と近接する端部との間に曲片32を挿入して、前記下地体20や谷部12の露出箇所を基板31で被覆するように配設する。端部処理材30を設けることにより、緑化領域の周縁の外側も含めて美観に優れた緑化設備を形成することができると共に、前記露出箇所から緑化ユニット40や緑化領域の下方へ風が吹き込むことを防止することができる。前記端部処理材30は、少なくとも基板31の幅が折板屋根10の山部11・11相互間の距離よりも僅かに短いものを準備すると、折板屋根10のほぼ全面に亘って緑化領域を形成する場合に何れの寸法にも対応することが可能となって好適であり、又、曲片32の高さは下地体20の高さと同一とすると、風の吹き込みをハゼ部14と曲片32の2箇所で確実に防止することが可能となって好適である。尚、基板31の厚さは、例えば0.6mm〜1.6mm程度である。
その後、図4及び図5に示すように、緑化ユニット40を敷設して形成した緑化領域の外周縁に沿って見切材50を配設する。見切材50は、緑化ユニット40の高さと略同一の幅を有する長方形の基板51と、基板51の上端から内方へ略直角に屈曲延設された押圧片52と、基板51の下端から外方へ略直角に屈曲延設された固定片53とからなり、断面視略Z字形に形成されている。前記緑化領域の外周に配設された見切材50の固定片53は、下地体20の上板21或いは端部処理材30の基板31にビス止め・ボルト締め・接着剤による接着・両面粘着テープによる接着等で固定される。前記見切材50の押圧片52の下面と固定片53の下面との垂直方向への距離は、緑化ユニット40の高さより僅かに低い或いは同一となっていることから、固定片53を固定された見切材50の押圧片52は、外周に沿って位置する緑化ユニット40の上面を押圧して保持する。
そして、図5及び図6に示すように、折板屋根10の山部11・11間及び谷部12で緑化領域の外周に位置する箇所に、山部11・11間及び谷部12を塞ぐように板状の塞ぎ部材60を配設し、塞ぎ部材60の内面を緑化領域の外周に配置されている下地体20の側壁22に沿わせ、塞ぎ部材60と側壁22の接触箇所に於いてビス止め・ボルト締め・接着剤による接着・両面粘着テープによる接着等で固定し、緑化設備が完成する。塞ぎ部材60は、山部頂面111から谷部底面121に向かうテーパ状の傾斜面13に沿う側辺61を有する略台形板状であり、上部62を下地体20の側壁22に面接触して取り付けられ、取り付けた状態で、谷部底面121と塞ぎ部材の下辺63との間に排水用の開口64が形成されるようになっている。尚、塞ぎ部材60は、例えば山部11や谷部12の端部に外側から当接して設置する構成や、或いは側辺61が傾斜面13に当接するように山部11間や谷部12内に収容して設置する構成や、或いは側辺61の内端縁と傾斜面13の端部の内端縁に沿って略接触するように設置する構成等とすることができる。
上記実施例1の緑化設備は、ハゼ部14の高さと同一かそれよりも高い下地体20を山部頂面111に載置して山部11・11間に架橋し、その下地体20上に緑化ユニット20を敷設することから、従来の下地材を固定する支持具をハゼ部14に取り付ける複雑な工程や部品が不要となり、施工の容易性や効率性を高められ、コスト低減を図ることができる。
更に、山部頂面111上に直接下地体20を架設し、折板屋根10の谷部底面121から貯水槽底板411までの距離や、山部頂面111から貯水槽底板411までの距離を短くすることが可能であることから、より低い位置に緑化設備を形成し、緑化ユニット40や緑化領域に谷部12等から入り込む風による負荷を減少することができ、緑化設備の設置状態の安定性を高められる。更に、取付状態の不安定な支持具を介さずに下地体20及び緑化ユニット40を設置できることから、かかる点からも緑化設備の設置状態を安定することができる。更に、下地体20の屈曲片23を山部頂面111・111に面接触して下地体20を載置固定し、貯水槽41の底板411を下地体20の上板21に面接触して緑化ユニット40を載置固定するので、かかる点からも下地体20や緑化ユニット40の設置状態を安定することができる。
更に、下地体20を架橋して緑化ユニット40を載置することから、折板屋根10の山部11・11相互間の距離に拘わらず、緑化ユニット40を敷設して緑化設備を構成することができ、既設・新設問わずに折板屋根10に緑化設備を設けることができる。例えば緑化ユニット40の幅が山部頂面111・111の内端間よりも短い場合にも、下地体20の架設により緑化ユニット40を配設することができる。
更に、下地体20がハゼ部14の高さと同一かそれよりも高く、敷設した下地体20の上面よりも上方に突出するハゼ部14が無いことから、緑化ユニット40の敷設作業が向上すると共に、ハゼ部14が存在する箇所も含めて緑化ユニット40を隙間なく敷設することができる。
更に、緑化領域の周縁の外側に端部処理材30を被覆することから、前記外側の谷部12等から風が吹き込むことを防止することができると共に、前記植栽が施されない緑化領域の周縁に於ける下地体20や谷部12の露出を防止することができ、緑化設備の美観を向上することができる。
次に、実施例2の緑化設備について、実施例1と異なる箇所の詳細を説明する。
実施例2の緑化設備は、図8〜図10に示すように、実施例1と同様の折板屋根10の山部11間に下地体20を架設し、下地体20上に緑化ユニット40を載置して敷設するものであるが、図8及び図9に示すように、貯水槽41と貯水槽41内に載置される育成材43が充填された植栽コンテナ42とを縦横に複数並べて各植栽コンテナ42の育成材43により育成材領域を構成し、その育成材領域の全体に亘って、育成材43上に網状部材70を張設し、網状部材70上からマット状の育成材に植物44が植栽された切り芝等の植栽マット46が配置されている点が異なる。
本例の網状部材70は、軟質合成樹脂製の格子状の網であり、育成材43上で各植栽コンテナ42を覆うように張設され、図10に示すように、その端部は実施例1と同様の見切材50の押圧片52と外周の植栽コンテナ42の育成材43や側壁422の上端との間、見切材基板51と外周の植栽コンテナ42の側壁422との間、見切材基板51と外周の貯水槽41の側壁412との間を通して導かれ、その最端部は見切材50の固定片53と下地体20の上板21との間或いは固定片53と端部処理材30の基板31との間に配置され、固定片53と上板21或いは固定片53と基板31と上板21と供にビス71で一括してビス止めされ或いはボルト止めされる。
また、張設された網状部材70上に配置される植栽マット46の植物44の根441は、網状部材70の目を通り抜けて育成材43内に伸長して、網状部材70は植栽コンテナ42と強固に一体化し、隣り合う植栽コンテナ42・42相互は網状部材70を介して連結される。尚、網状部材70は、植栽マット46上に張設することも可能であり、また網状部材70の端部は、見切材50の押圧片52にビス止め等で固定することも可能である。また、本例では網状部材70で緑化ユニット40や下地体20を上方から押圧して支持できることから、下地体20と山部頂面111との接着剤等による固着或いは下地体20と緑化ユニット40との接着剤等による固着を行わずに緑化設備を設置することも可能である。
上記実施例2の緑化設備は、基本的に実施例1と同様の効果を発揮すると共に、網状部材70で植栽コンテナ42(緑化ユニット40)を強固に連結固定することから、より大きな風圧の負荷に耐えることができる。更に、網状部材70は切り芝等の植栽マット46の下に配置され、端部では見切材50の下側に配置されることから、網状部材70の設置で美観が損なわれることがない。更に、また、網状部材70は、見切材50を固定する際にビス止め等で一緒に固定していることから、固定作業を簡易化することができると共に、固定のための別部材を用意する必要がなくコスト低減に資する。更に、折板屋根10の山部頂面111など緑化ユニット40の敷設状態に関与する箇所に不陸がある場合でも、張設された網状部材70の可撓性或いはバネ性で十分なじませることが可能である。
尚、基板51、押圧片52、固定片53で構成される見切材50に代えて図11に示す断面略コ字形の見切材500を用い、敷設した緑化ユニット40で構成される緑化領域の外周縁に沿って見切材500を敷設し、網状部材70の端部を見切材500の上板502にビスやボルト及びナット等の固定具505で固定するようにしてもよい。見切材500は、長方形の側壁501と、側壁501の上端及び下端から内方へ直角にそれぞれ屈曲延設された上板502、下板503と、上板502の内端から下方へ、下板503の内端から上方へそれぞれ略直角に屈曲延設された屈曲片504・504とで構成され、屈曲片504・504の端部間に長手方向へ沿って切欠を有する略四角筒形である。前記見切材500の上板502に網状部材70の端部を固定する場合には、例えば図11に示すように、見切材500の上板502に細長平板状の挿入板506を配置し、その上に網状部材70の端部を配置し、更に網状部材70と切芝等の植栽マット46の外端との間など網状部材70の端部が露出する箇所を被覆するように細長平板状のカバー部材507を配置し、これらを一括して見切材50の上板502に固定し、見切材500の下板503を端部処理材基板31や下地体上板21にビス等の固定具505で固定する構造等とする。前記構造では、カバー部材507による網状部材70の端部の被覆により、網状部材70の端部が紫外線などで劣化することを防止することができる。
また、図12に示すように、細長長方形の基板509上に所定間隔を開けて断面視略L字形等で外方へ屈曲するフック部510が形成された係止部材508を用い、緑化領域の外周縁に沿って敷設された見切材500の上板502に係止部材508の基板509を接着剤等で固定し、各フック部510を網状部材70の各網目内に入れて係止し、断面略L字形で細長のカバー部材511をフック部510を被覆するように載置し、カバー部材511と所定箇所のフック部510をビス等の固定具512で固定することにより、網状部材70を定置して固定するようにしてもよい。前記構成により、網状部材70の端部が紫外線などで劣化することを防止することができると共に、網状部材70の固定作業が容易となる。
次に、実施例3の緑化設備について、実施例1、2と異なる箇所の詳細を説明する。
実施例3の緑化設備は、図13及び図14に示すように、実施例1、2と同様の折板屋根10に緑化ユニット40を敷設するものであるが、本例では下地体20・20相互が連結部26で連結された一体型の下地部材25を使用する。下地部材25の各下地体20は、上記実施例1、2と同様に、上板21と側壁22・22と屈曲片23・23とで構成され、隣り合う下地体20・20の上板21・21相互が上板21・21と一体形成された平板状の連結部26で連結されており、連結部26の上面は下地体上板21・21の上面と面一になっている。図13及び図14の下地部材25は、一枚の鋼板を折り曲げ加工し、連結部26の箇所で側壁22・22と屈曲片23・23に対応する箇所を切り抜いて形成したものであって、各下地体20の上板21は一連になっている。尚、下地部材26で連結する下地体20の個数は適宜である。
下地部材25は、連結部26と隣り合う下地体20・20の側端とで形成される空間でハゼ部14を囲うようにし、且つ各下地体20を山部11・11間に架橋するようにして折板屋根10に配設し、山部11の長手方向に所定間隔を開けて複数配設する。下地部材25を折板屋根10に配設した状態では、連結部26の下面は、折板屋根10のハゼ部14の上端に当接するか、僅かにハゼ部14の上端よりも上方に位置する。そして、実施例1と同様に、端部処理材30、緑化ユニット40、見切材50、塞ぎ部材60を敷設し、場合によっては実施例2と同様に網状部材70を張設して緑化設備を構成する。
上記例の緑化設備を使用することにより、実施例1、2と同様の効果が得られると共に、ハゼ部14の上側も安定した面とすることができ、緑化ユニット40をより安定した状態で敷設することができる。また、下地体20を折板屋根10に敷設する作業に於いて墨だし等の作業を簡素化することができ、且つより確実に直線状に下地体20を列設することができる。更に、下地体20と折板屋根10との接着では、例えば下地部材25の端部箇所のみを接着して施工することが可能であり、全ての下地体20を接着することが不要となることから、より施工性が向上する。
尚、連結部26は、上記例のように上板21と一体形成する他、板状部材など別部材の連結部26を上板21・21間に接着・溶接・リベット固定等で固定することも可能であり、又、連結部26は可撓性を有するものとすると好適である。例えば図15(a)、(b)に示すように、ゴムや軟質樹脂等で形成される可撓性の板状部材を連結部26とし、その両端を隣り合う下地体20・20の上板21・21の下面にそれぞれ接着等で固着してもよく、又、一体形成や別部材の板状の連結部26の厚さを薄肉にする或いは薄肉箇所を有するもの等とすることが可能である。可撓性を有する連結部26を用いることにより、運搬時に下地部材25を折りたたむことが可能となり、運搬費の節約等を図ることが可能となると共に、取り扱いが容易となる。更に、折板屋根10の下地部材25の敷設箇所に於ける不陸に追従することが可能となる。
次に、実施例4の緑化設備について、実施例1乃至3と異なる箇所の詳細を説明する。
実施例4の緑化設備では、図16及び図17に示すように、実施例3の下地部材25の上板21にスリット状の長孔27が穿設された下地部材25と、山部11の長手方向へ所定間隔を開けて隣り合う下地体20・20間に架橋する第2の下地体80を用いる。本例の下地部材25は、各下地体20の上板21の長手方向中央に長手方向に沿ってスリット状の長孔27が幅方向へ2箇所形成されている。第2の下地体80は断面視略コ字形であり、細長板状の基板81と、基板81の長手方向の両端に下方へ略直角に屈曲延設された係止片82とを有する。前記下地部材25は実施例3と同様に折板屋根10に架設し、更に、山部11間に架設された下地体20(第1の下地体)の後側の長孔27と、その下地体20(第1の下地体)と山部11の長手方向に所定間隔を開けて後方で隣り合う下地体20の前側の長孔27とに、第2の下地体80の係止片82・82をそれぞれ嵌め込んで、前記隣り合う下地体20・20間に下地体20の長手方向の中央位置で第2の下地体80を架橋する。本例の緑化設備のその他の構成には、例えば緑化ユニット40の前側下端と後側下端とをそれぞれ折板屋根10の山部11の長手方向へ所定間隔を開けて隣り合う下地体20・20にそれぞれ載置して敷設する等、実施例1〜3の構成を適宜使用することが可能である。尚、第2の下地体80は、連結部26で連結されていない下地体20・20に対して設けてもよい。
実施例4の緑化設備は、実施例1〜3と同様の効果が得られることに加え、第2の下地体80の長さを下地部材25・25の架橋間隔や緑化ユニット40の前端と後端の距離に合わせておき、隣り合う下地部材25・25間或いは下地体20・20間に折板屋根10の山部11の長手方向に沿うように第2の下地体80を架橋することによって、墨だし等の作業を省いて正確な位置に緑化ユニット40を敷設することが可能となり、施工性が向上する。また、各第1の下地体20・20の略中央に第2の下地体80を架橋することにより、第1の下地体20と第2の下地体80で構成される下地構造の設置状態の安定性を強化でき、緑化ユニット40もより安定して支持することができる。
尚、例えば緑化ユニット80の幅を折板屋根10のハゼ部14・14の頂部相互間の距離と同一幅とし、緑化ユニット80の底部或いは貯水槽底板411に第2の下地体80の形状に合わせた凹部を形成し、第2の下地体80が前記凹部に収容され或いは嵌合されるように緑化ユニット80を敷設すると好適である。前記構成により、緑化ユニット80を位置決めし安定して定置することが可能であると共に、緑化ユニット40の2辺とこの2辺の中央で且つ直交する箇所に於ける緑化ユニット40を支持する第2の下地体80の存在により、緑化ユニット80の支持をより安定することができる。
以上、本発明の緑化設備の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば以下のような拡張や変形が可能である。
上記実施例では、緑化ユニット40を貯水槽41と植栽コンテナ42とで構成したが、緑化ユニットはこれに限定されるものではなく、例えば植栽コンテナのみで構成される緑化ユニット、ヤシマット等に植物を植えた緑化ユニット、育成材を固化してなる育成ブロックに植物を植えた緑化ユニット等としてもよい。また、緑化ユニットを敷設する構成に代えて緑化層を設ける構成としてもよく、例えば特許文献2等のように、下地体20上に硬質樹脂製や金属製で網状若しくはシート状の部材など育成材の支持体を設け、雨水を円滑に流せるプリプロピレンの排水層や保水機能に優れるセラミックス保水粒子を有する貯水層など貯水排水層等を設け、育成材を敷設して植栽する所謂客土タイプの緑化層等とすることが可能である。
また、下地体20の形状や構造も上記実施例に限定されず、例えば中実の棒状部材、中空若しくは中実で略板状の部材等とすることも可能であり、また、上記実施例の下地体20を上下逆に敷設するようにしてもよい。更に、第2の支持体80の構成も適宜であり、例えばコ字形に曲げて一体形成したものや、係止片82を固着したものや、強度を向上するために板厚を増加したものや、略コ字形の棒状部材等とすることが可能である。
また、上記実施例の折板屋根10は山部11にハゼ部14を有するものについて説明したが、例えば屋根部材を突合せ等し、この突合せ箇所にカバーを被覆する、所謂カバータイプの折板屋根など山部に沿って連続する突出部を有する折板屋根や、ボルト締め部分など山部11から所定間隔で突出する突出部を有する折板屋根など、山部から突出する突出部を有する適宜の折板屋根に設置する緑化設備が本発明に含まれる。
また、見切材や塞ぎ部材の構成も上記実施例に限定されず、様々な形状及び構成が可能である。見切材は、上記実施例の断面略Z字形の見切材50や断面略コ字形の見切材500以外に、例えば四角柱形の棒状部材等とすることが可能である。また、塞ぎ部材は、上記実施例の略台形板状の塞ぎ部材70以外に、例えば正面視略台形板状で側面視略L字形の正面板上端から後方へ略直角に屈曲延設する屈曲片を有する塞ぎ部材とし、前記正面板を下地体側壁22に沿って接触させ、前記屈曲片を下地体上板21に沿って接触させ、前記屈曲片と下地体上板21とを接着やビス止め等で固定する構成とすると、固定作業が容易となって好適である。また、見切材或いは塞ぎ部材は必要に応じて設ければよく、これらを用いない緑化設備としてもよい。
また、緑化設備に給水パイプを配設する場合、例えば端部処理材30上に山部11に沿って配設する構成や、或いは給水パイプ配設用の幅広の下地体20を山部11に直交して列設し、一列に列設した前記幅広の下地体20上に給水パイプを配設する構成とすると、安定した状態で給水パイプの配設が可能となって好適である。尚、給水パイプを配設する場合に、給水パイプを紫外線から守るカバー等が配置される構造とすると好適であり、例えば見切材50の押圧片52を幅広に形成し、基板51を貯水槽側壁412や植栽コンテナ側壁422から離間して緑化ユニット40から離れた位置に配設し、緑化ユニット40の端部と見切材基板51との間に給水パイプを配設し、見切材基板51や見切材押圧片52をカバーとする構成等とすることが可能である。
本発明の緑化設備や下地部材は、例えば工場等の折板屋根など連続する山部と谷部を有する折板屋根の緑化に利用することができる。
実施例1の緑化設備に関し、下地体を架橋する前の折板屋根を示す斜視説明図。 実施例1の緑化設備に関し、折板屋根に下地体を架橋した状態を示す斜視説明図。 実施例1の緑化設備に関し、折板屋根に端部処理材を配設した状態を示す斜視説明図。 実施例1の緑化設備に関し、下地体と端部処理材上に緑化ユニットを敷設した状態を示す斜視説明図。 実施例1の緑化設備に関し、敷設した緑化ユニットで構成される緑化領域の周縁に見切材を取り付けた状態を示す斜視説明図。 実施例1の緑化設備に関し、谷部に塞ぎ部材を取り付けた状態を示す斜視説明図。 下地体に固着される連結部材の例を説明する説明図。 実施例2の緑化設備に関し、網状部材を張設する前の緑化ユニットで構成される緑化領域を示す斜視説明図。 実施例2の緑化設備に関し、緑化領域に網状部材を張設して見切材を取り付けた状態を示す斜視説明図。 実施例2の緑化設備に関し、緑化領域に張設された網状部材の配置状態を示す部分縦断面図。 変形例の見切材への網状部材の固定例(第1例)を示す縦断説明図。 変形例の見切材への網状部材の固定例(第2例)を示す縦断説明図。 実施例3の緑化設備に関し、下地部材を設置して下地体を架橋する前の折板屋根を示す斜視説明図。 実施例3の緑化設備に関し、折板屋根に下地部材を設置して下地体を架橋した状態を示す斜視説明図。 実施例3の緑化設備に関し、下地部材の変形例を示す斜視説明図。 実施例4の緑化設備に関し、折板屋根に第1の下地体を架橋した状態を示す斜視説明図。 実施例4の緑化設備に関し、第2の下地体を架橋した状態を示す斜視説明図。
符号の説明
10 折板屋根
11 山部
111 山部頂面
12 谷部
121 谷部底面
13 傾斜面
14 ハゼ部
20 下地体
21 上板
22 側壁
23 屈曲片
24 連結部材
25 下地部材
26 連結部
27 長孔
30 端部処理材
40 緑化ユニット
41 貯水槽
411 底板
412 側壁
42 植栽コンテナ
421 底板
422 側壁
43 育成材
44 植物
441 根
45 空間
46 植栽マット
50、500 見切材
500 見切材
60 塞ぎ部材
70 網状部材
80 第2の下地体

Claims (10)

  1. 山部と谷部が交互に繰り返し、山部頂面から上方へ突出する突出する突出部を有する折板屋根に、該突出部の高さよりも高い下地体若しくは該突出部の高さと同一高さの下地材を山部頂面に載置して隣り合う山部間に架橋し、該下地体上に緑化ユニット若しくは緑化層を敷設することを特徴とする緑化設備。
  2. 前記突出部を介して隣り合う下地体の上板間を該突出部の上に横設される連結部で連結することを特徴とする請求項1記載の緑化設備。
  3. 前記連結部が可撓性を有することを特徴とする請求項2記載の緑化設備。
  4. 前記下地体に緑化ユニットと係合する係合部を設け、緑化ユニットを該係合部に係合して緑化ユニットを敷設することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の緑化設備。
  5. 山部の長手方向に隣り合う下地体の上板間に第2の下地体を架橋して係合固定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の緑化設備。
  6. 山部の長手方向に隣り合う下地体相互間に形成され且つ緑化ユニット若しくは緑化層が敷設されていない非緑化領域を、下地体上板に被覆部材を載置して被覆することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の緑化設備。
  7. 前記緑化ユニット若しくは緑化層を敷設して形成される緑化領域の周縁に、緑化領域を上側から押圧する見切材を設けることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の緑化設備。
  8. 前記緑化ユニット若しくは緑化層の育成層と植栽層との間に若しくは植栽層の上に網状部材を設けて端部を固定することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の緑化設備。
  9. 正面視で山部間及び谷部と略対応する形状を有する塞ぎ部材を、山部間及び谷部を塞ぐように且つ下端縁と谷部底面との間が開放するようにして外周縁の下地体に設けることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の緑化設備。
  10. 山部と谷部が交互に繰り返し、山部頂面から上方へ突出する突出部を有する折板屋根に、該突出部の高さよりも高い下地体若しくは該突出部の高さと同一高さの下地材を山部頂面に載置して隣り合う山部間に架橋し、該下地体上に緑化ユニット若しくは緑化層を敷設する緑化設備で用いる下地部材であって、該突出部を介して隣り合わせに配置される下地体の上板間を、該突出部の上に横設される連結部で連結していることを特徴とする下地部材。
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