JP2006273588A - 表面改質シリカ、それを含むゴム組成物及びシリカの改質方法 - Google Patents

表面改質シリカ、それを含むゴム組成物及びシリカの改質方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ゴム中での分散性を改良するとともにゴム分子との結合性を向上する表面改質シリカ、及びそのシリカを用いた補強性や低発熱性、耐摩耗性など従来のシリカ配合では得られなかったシリカの特長を発揮するゴム組成物を提供する。
【解決手段】 シリカ重量に対して0.1〜20重量%のビニルモノマーを処理してシリカ粒子表面の細孔中にビニルモノマーを含浸させ、該ビニルモノマーを熱又は光によりラジカル重合させポリマー化することでシリカ粒子表面を疎水性化し改質した表面改質シリカ。ジエン系ゴム100重量部に対して、前記表面改質シリカを20〜100重量部含むゴム組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面改質シリカ、それを含むゴム組成物及びシリカの改質方法に関し、さらに詳しくは、シリカ粒子表面を改質しゴム中への分散性を改良し、優れた補強性能や低発熱性、耐摩耗性などのゴム特性を付与する表面改質シリカとその改質方法、その表面改質シリカを用いたゴム組成物に関する。
従来から、ゴムの補強用充填材として、ゴム中への分散を容易にし、優れたゴム物性を付与できるカーボンブラックが広く使用されている。しかし、近年、シリカを充填したゴム組成物が、カーボンブラックを充填したゴム組成物と比較し、内部発熱を少なくできる、耐引裂き性の改良に優れることなどから、ゴム用充填材としてシリカが注目されるようになってきた。特に、乗用車用タイヤにおいて、自動車の安全性への関心の高まりに伴い、低燃費性能のみならず湿潤路面での性能、特に制動性能についての要求が高まり、低燃費性と高グリップ性を両立させるために、シリカを主とする補強材を使用したゴム組成物が要求されている。
ところで、カーボンブラックやシリカは、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いてゴム中へ配合する方法が一般的であるが、シリカ粒子表面はシラノール基に覆われているため強い自己凝集性を持ち、ゴム中への良好な分散が困難であり、ゴム混練時間を長く必要とし、またゴム組成物のムーニー粘度が高くなるという欠点を有し、このため、シリカは、カーボンブラックの補助的なゴム補強材として用いられることが多かった。
また、表面が親水性であるシリカは疎水性であるゴムとの反応性に欠けるため十分な補強性能を得ることが難しく、シリカとゴム分子とを化学結合させるシランカップリング剤の使用が不可欠であり、例えば、ジエン系ゴムとシリカよりなる系にシランカップリング剤を配合することにより、そのカップリング効果によりゴムとシリカ粒子との親和性を高め、分散性を改良する方法が数多く開示されている(例えば、特許文献1)。
また、シリカ粒子表面を改質しゴムとの親和性を高めることも提案されている。例えば、フッ素含有シラン化合物とフッ素を含有しないシラン化合物とを併用して疎水化するシリカ粒子表面のモノマー処理(特許文献2)、また加水分解が可能な末端基を有する反応性ポリシロキサンまたはその加水分解物の少なくとも1種を用いて表面処理すること(特許文献3)、またシリカ粒子表面をプラズマによりグラフト状に結合した重合体層で被覆し表面を改質すること(特許文献4)などが開示されている。
特開平3−252431号公報 特開2004−210566号公報 特開2000−44583号公報 特開2000−143230号公報
ところが、シランカップリング剤を使用するものでもシリカの補強性能はカーボンブラックのそれには及ばず、十分な補強効果を発揮させるためには、多量のシランカップリング剤を配合しなければならないという問題があった。
また、特許文献2に記載のようにシリカ粒子の表面をモノマー処理で改質するものは、モノマー処理だけでは高分子量のゴムとの相互作用を十分に改質することが困難であり、特許文献3のように界面活性剤などのポリマー処理をするものは、シリカ表面細孔の微細空隙中にポリマーが十分浸透せずやはりゴムとの相互作用を十分に改質することができなかった。
特許文献4に記載のように、シリカ表面をプラズマによりポリマーをグラフト状に重合するものは、プラズマ処理工程が複雑となり大量処理を困難として、ゴム補強用のシリカ改質としてはコスト面に実用的ではないという欠点がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ゴム中での分散性を改良するとともにゴム分子との結合性を向上する表面改質シリカを提供することで、ゴム分子との相互作用を高めて補強性能や低発熱性、耐摩耗性などシリカ配合の特長を十分に発揮することができる表面改質シリカを用いたゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、シリカ粒子と強く結合するポリマーで表面を被覆しシリカ表面に疎水性を付与(有機化)することで、シリカとゴムとの親和性を向上しゴム中でのシリカ分散性を改良するとともに、シリカとゴム分子とに強固な結合力が得られることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明の表面改質シリカは、シリカ粒子表面がビニルポリマーで被覆されていることを特徴とするものであり、前記ビニルポリマーが前記シリカ粒子表面を被覆するビニルモノマーをポリマー化することにより得ることができる。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に対して、請求項1又は2に記載の前記表面改質シリカを20〜100重量部含むことを特徴とする。
本発明の表面改質シリカは、シリカ粒子表面が疎水性を有するビニルポリマーで被覆されることでシリカ表面の少なくとも一部に有機化された疎水性が付与され、ゴムとの親和性を向上しゴム中でのシリカ分散性を良好にするとともに、ゴムとの相互作用を高めてシリカの特長を活かしたゴム特性を向上することができる。すなわち、シリカは表面の細孔中に含浸させたビニルモノマーのポリマー化により該ポリマーと強固に結合し、ゴムは疎水性を有するビニルポリマーとに強い物理結合力を発生させることで、シリカとゴムとはビニルポリマーを介して強固に結合することができる。
従って、この表面改質シリカを含む本発明のゴム組成物は、ゴム中でのシリカ分散性を良好にして混練、加工性を向上し、ゴム組成物の補強性や低発熱性、耐摩耗性などシリカ配合の特長を従来のシリカ配合に比べ十分に発現させることができる。
上記表面改質シリカは、シリカ粒子表面の細孔中にビニルモノマーを含浸させ、該ビニルモノマーを熱又は光によりラジカル重合させポリマー化することにより得ることができ、この場合の前記ビニルモノマーの処理量は前記シリカ重量に対して0.1〜20重量%であることが好ましく、そのポリマー化においてはラジカル重合開始剤を用いることができる。
本発明の表面改質シリカによれば、ゴム中での分散性に優れるとともにゴム分子との結合力を向上することができるので、この表面改質シリカを用いたゴム組成物は混合性、加工性を改善して生産性を向上するとともに、シリカとゴム分子との相互作用を高めて補強性や低発熱性、耐摩耗性などのシリカ配合の特長を十分発揮させた、従来のシリカ配合で達成することができなかった優れたゴム特性を付与することができる。
以下に、本発明の実施の形態について説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
本発明において用いられるシリカは特に制限はなく、従来よりゴムの補強用充填材として公知の方法により得られるシリカの中から任意に選択して用い、本発明に係る改質方法により表面改質シリカを調整することができる。
このようなシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も良好である湿式シリカが好ましく、生産性に優れる点からも好ましい。
上記シリカは、窒素吸着比表面積(BET)(ISO 5794に準じるBET法による測定値)が50〜400m/g、好ましくは100〜300m/gの範囲であり、シリカ粒子表面に細孔を形成してビニルモノマーが含浸できる空隙を確保するとともに、このシリカを含むゴム組成物の特性を維持するものとなる。すなわち、BETが50m/g未満であると細孔の空隙が小さくモノマーの含浸が不十分となってシリカとポリマーとの結合力が十分得難く、400m/gを超えるシリカはシリカ製造面で容易でないのが現状である。
本発明において上記シリカの表面改質に用いられるビニルモノマーは、一般式CH=CH−X(式中Xは、水素原子、アルキル基、ハロゲン、エステル基、エーテル基、カルボン酸、エステル、アリールなど)で表される、単独重合又は共重合によりポリマー化しやすいビニル基を含有するモノマーが示され、常温で液状を示すものが好ましく、具体的には、スチレン(C−CH=CH)、アクリル酸(CH=CH−COOH)、塩化ビニル(CH=CH−Cl)、酢酸ビニル(CH=CH−OCOCH)、ビニルエーテル(CH=CH−OR)、アクリロニトリル(CH=CH−CN)、アクリル酸メチル(CH=CH−COOCH)、プロペン(CH=CHCH)、エチレン(CH=CH−H)など、また一般式CH=C(X)−Xで表される、塩化ビニリデン(X,X=Cl)、フッ化ビニリデン(X,X=F)、イソブチレン(X,X=CH)ビニリデンシアニド(X,X=CN)、メタクリル酸メチル(X,=CH、X=COOCH)、α−メチルスチレン(X,=CH、X=C)、α−メチルアクリロニトリル(X,=CH、X=CN)などのビニルモノマーが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、スチレン、アクリル酸、塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの液状粘度が低くシリカ細孔中への含浸性の良いモノマーが好ましく、シリカと重合後のポリマーとの強固な物理的結合力が得られるようになる。
シリカに対する上記ビニルモノマーの処理量は、シリカ重量に対して0.1〜20重量%程度である。この処理量が0.1重量%未満であるとシリカ表面の細孔へのモノマーの含浸量及びポリマー生成の絶対量が不足し、シリカとポリマーとの結合力及びポリマーとゴム間の結合力が弱くなりシリカとゴムとの結合力不足となり、また20重量%を超えて処理量を増すと、シリカ表面のシラノール基が被覆されすぎカップリング剤との反応が阻害され、補強性の減少を招くおそれがある。
本発明において、ビニルモノマーをシリカ表面の細孔中に含浸させる方法は特に限定されることはなく、ビニルモノマーが細孔空隙内の隅々まで含浸できればよく、余剰のモノマーがシリカ表面を少なくとも部分的に被覆するものであればよい。
この含浸方法としては、例えば、容器内で撹拌中のシリカ粒子にモノマーを滴下し撹拌する方法、またシリカ粒子中にモノマーを噴霧する方法、シリカ粒子を入れた容器を真空引きしモノマーの蒸気圧を利用して細孔中にシリカを含浸させる方法、などが挙げられる。
本発明においては、上記シリカ粒子表面の細孔中に含浸したモノマー及び表面に被覆されたビニルモノマーは、ラジカル重合によりポリマー化される。
この場合、熱又は光によりラジカル重合が行われ、熱又は光によりフリーラジカルの発生を促進させ重合反応を開始させビニルモノマーのポリマー化が行われ、例えば、熱による重合はビニルモノマー含浸シリカを容器内で撹拌しながら60〜150℃に加熱することで得られ、また光による重合は一定温度において光を照射するなど、一般的なラジカル重合方法で行われる。
上記熱による重合の場合は、ラジカル重合開始剤を使用してもよく、開始剤としては、アゾイソブチルニトリル、過酸化ベンゾイルなどのアゾ化合物、ジクミルペルオキシド、ジ第3ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物が挙げられ、その添加量はビニルモノマー量の0.01〜10重量%程度である。
上記シリカ粒子表面に被覆されたビニルモノマーはラジカル重合によってポリマー化され、シリカ細孔中でのポリマーとの結合力が投錨効果の如く発生しシリカとビニルポリマーとの強固な物理的結合を得るとともに、前記細孔中のポリマーに連続してシリカ粒子表面の少なくとも一部が疎水性を有するポリマーにより被覆されることでゴムとの親和性を向上する表面改質シリカが得られる。
これにより、原料ゴムに配合された改質シリカは、混合や加硫工程においてシリカ表面の疎水性ポリマーとゴム分子とに強い物理結合力を発生させ、従ってシリカとゴムとはビニルポリマーを介して強固に結合することができる。
上記ポリマーの重合度は100〜500程度であり、例えばスチレンでは重合度400前後が好適である。この重合度が100未満であるとポリマーの分子量が小さく細孔中での結合性やシリカ粒子表面の疎水性化が不十分でありゴムとの親和性に欠け、一方重合度が500を超える重合反応は困難である。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分に上記表面改質されたシリカを配合し用いられる。ゴム成分としては、ジエン系ゴムが好ましく、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のジエン系合成ゴムが例示され、その1種類または2種類以上のブレンドを用いることができる。また、ジエン系ゴム以外にブチルゴム(IIR)やエチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)などの非ジエン系ゴム成分を少量ブレンドして用いてもよい。
上記ゴム組成物のシリカ配合量は、ジエン系ゴム成分100重量部に対して20〜100重量部であり、20重量部未満ではシリカの補強性能や低発熱性、グリップ性などが得られず、100重量部を超えるとムーニー粘度の上昇と共にゴム硬度が高くなって加工性が悪化し、また耐摩耗性やグリップ性、氷上性能などが低下する。
本発明にかかる表面改質シリカは、通常の方法でゴム成分、他の配合成分と混合することができ、加硫も従来からの一般的なシリカ配合の場合と同じ加硫方法で行うことができる。
また、本発明のゴム組成物では、従来のシリカ配合で用いられるシランカップリング剤を併用することができる。シランカップリング剤としては、特に制限はなく、従来から使用されている公知のもの、例えば、ビス(3−トリメチルシリルプロピル)テトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、2−ベンゾチアジル−3−トリメトキシシリルプロピルテトラスルフィドが挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカ量に対して、通常1〜20重量%の範囲で選定される。この量が1重量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20重量%を超えるとゴム成分のゲル化を起こすおそれがあり、カップリング効果も限界となる。
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分と表面改質シリカの他に、ゴム配合剤として通常に用いられるカーボンブラックなどの補強剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤、プロセスオイル、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫助剤などの各種配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ適宜配合し用いることができる。
本発明では、上記ゴム成分、表面改質シリカ、及び各配合剤を配合しバンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの各種混練機を使用して常法に従い混合しゴム組成物を作製することができる。
このゴム組成物は、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド,サイドウォール,ビード部分等のタイヤ用途を始め、防振ゴム,ベルト,ホースその他の工業品やゴム製部品等の用途にも用いることができる。
特に、タイヤトレッドゴムとして好適に使用することができ、得られた空気入りタイヤは、低燃費性、グリップ性及び耐摩耗性に優れており、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので生産性にも優れている。
以下に、本発明に係るゴム組成物を空気入りタイヤのトレッドゴムに適用した実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[表面改質シリカの調整]
室温で撹拌中のシリカ(トクヤマ(株)製、ニプシールAQ、BET=200m/g)に対して、表1に記載のスチレンモノマー及びメタクリル酸メチル(MMA)モノマー(いずれもナカライテスク(株)製)と重合開始剤として各モノマー量の1重量%のアゾイソブチルニトリル(AIBN)(ナカライテスク(株)製)を同時に滴下し混合し、シリカ粒子表面の細孔にモノマーを含浸させた。なおモノマー量はシリカ重量に対する重量%である。次ぎに、前記モノマーを含浸させた各シリカを窒素下、100℃にて4時間加熱処理し、モノマーをラジカル重合させポリマーで被覆されたスチレン改質シリカA〜DとMMA改質シリカを調整した。それぞれの改質シリカよりポリマーを抽出し、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)法(GPC;東ソー製HLC−8020、カラム;東ソー製GMH−XL(2本直列)使用)により分析し平均分子量を測定し、重合度を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2006273588
[ゴム組成物]
スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製、SBR1500)100重量部に対して、表2に記載の配合量(重量部)にて表面改質シリカ及び従来の未改質シリカと、下記共通の配合剤(重量部)とを配合し、20リットル容量の密閉式バンバリーミキサーを用いて混合し各ゴム組成物を作製した。ここで、表面改質シリカの配合量は、そのシリカ分を比較例1のシリカ分に合わせ調整した。
[共通配合剤]
・亜鉛華:2重量部(三井金属鉱業(株)製、亜鉛華1号)
・ステアリン酸:2重量部(花王石鹸(株)製、ゴム用ステアリン酸T)
・老化防止剤6C:2重量部(大内新興化学工業(株)製、ノクラック6C)
・シランカップリング剤:6重量部(デグサ社製、Si69)
・硫黄:2.1重量部(細井化学工業(株)製、ゴム用粉末硫黄150メッシュ)
・加硫促進剤CZ:2重量部(大内新興化学工業(株)製、ノクセラーCZ)
各ゴム組成物について、以下の試験を行いゴム特性、及びタイヤ性能を評価し、結果を表2に示す。
[引張試験]
JIS K6251に準拠し引張試験(3号ダンベル使用)を行い、100%及び300%伸びの引張モジュラス(表中100%Mo、300%Moと表示)を測定した。数値が大きいほど弾性率が高い。
[転がり抵抗]
各ゴム組成物をトレッドゴムに適用したサイズ195/60R15の乗用車用ラジアルタイヤを製造し、1軸ドラム試験機を用い、内圧200kPa、負荷荷重400Kg、速度80Km/hでドラム上を走行する時の転がり抵抗を測定し、次式により各試験タイヤの転がり抵抗指数を計算した。値が大きいほど燃費性が良く良好である。 転がり抵抗(指数)=(比較例1のタイヤの転がり抵抗)×100/(各タイヤの転がり抵抗)
[ウェット性能]
上記タイヤ4本を排気量2000ccの国産乗用車に内圧200kPaに調整し取り付け、水深2〜3mmに水没したアスファルト路面を時速60Km/hで通過中に急ブレーキをかけ停止するまでの距離を測定し、次式により各試験タイヤのウエット制動性指数を計算し、ウエット性能を評価した。値が大きいほど制動性が良く良好である。 ウエット制動性(指数)=(比較例1の試験タイヤの停止距離)×100/(各タイヤの停止距離)
[耐摩耗性]
排気量2000ccの国産乗用車に2種類の上記タイヤを、内圧200kPaに調整し前輪と後輪にそれぞれ取り付け、走行5,000Km毎にローティションを行いながら一般路を20,000Km走行後、各タイヤのトレッドの残溝深さを測定し摩耗量を求め、次式により各試験タイヤの耐摩耗性指数を計算し、耐摩耗性を評価した。値が大きいほど耐摩耗性が良好である。 耐摩耗性(指数)=(比較例1の試験タイヤの摩耗量)×100/(各試験タイヤの摩耗量)
Figure 2006273588
表2に示す通り、実施例の各ゴム組成物は、ゴム中へのシリカ分散性を改良し、かつゴムとの結合力を高めてゴム特性を向上することが、従来の非改質シリカを用いた比較例1に比べモジュラスが向上していることで示され、すなわち補強性能を向上し破壊特性や耐摩耗性及び低発熱性などに優れたシリカ配合の特長を有するものとなる。
各実施例のゴム組成物をトレッドに適用したタイヤは、転がり抵抗とウェット性能とを向上させて低燃費性とグリップ性を両立してさらに耐摩耗性を向上し、ゴム組成物の混合性、加工性が良好であるのでタイヤ生産性にも優れるものとなる。
これに対して、比較例2ではシリカ粒子表面のポリマー被覆量が少なくゴムとの親和性が十分でないため実施例ほどの効果が得られず、また比較例3はポリマーの重合度が低くシリカ粒子表面のポリマー化不足により疎水性化の効果が得られず、いずれもゴム特性の向上やタイヤ性能の改善が見られない。
本発明の表面改質シリカはゴムとの親和性を向上しゴム中への分散性を良好にするとともに、ゴム分子との強固な結合を得ることで相互作用を高めることができるので、該シリカを用いたゴム組成物はシリカの特長を有効に発現させるものとなり、空気入りタイヤの特にトレッドや防振ゴム、ベルト、各種用途のゴム部品などのゴム製品に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. シリカ粒子表面がビニルポリマーで被覆されている
    ことを特徴とする表面改質シリカ。
  2. 前記ビニルポリマーが、前記シリカ粒子表面を被覆するビニルモノマーをポリマー化したものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の表面改質シリカ。
  3. ジエン系ゴム100重量部に対して、請求項1又は2に記載の表面改質シリカを20〜100重量部含む
    ことを特徴とするゴム組成物。
  4. シリカ粒子表面の細孔中にビニルモノマーを含浸させ、該ビニルモノマーを熱又は光によりラジカル重合させポリマー化し、該シリカ粒子表面を前記ビニルポリマーで被覆する
    ことを特徴とするシリカの改質方法。
  5. 前記ビニルモノマーの処理量が、前記シリカ重量に対して0.1〜20重量%である
    ことを特徴とする請求項4に記載のシリカの改質方法。
  6. ラジカル重合開始剤を用いる
    ことを特徴とする請求項4又5に記載のシリカの改質方法。
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