JP4979055B2 - ゴム材料、それを用いたゴム組成物及び架橋ゴム - Google Patents

ゴム材料、それを用いたゴム組成物及び架橋ゴム Download PDF

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Description

本発明は、ゴム材料及びゴム組成物に関し、より詳細にはシリカ配合のゴム組成物中のシリカ分散性を向上させることができるゴム材料、及びそれを用いたゴム特性のバランスに優れるゴム組成物に関するものである。
空気入りタイヤ、防振ゴム、ベルト等のゴム製品には、その要求特性に応じ天然ゴムや各種合成ゴムをゴム基材として、カーボンブラックやシリカなど補強剤をはじめ、オイル、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤などの種々の配合剤を配合したゴム組成物が使用されている。
例えば、タイヤのトレッドに用いられるゴム組成物は、低燃費性の市場ニーズから転がり抵抗の低減要求が強く、また安全性の面からの湿潤路面での制動性能や操縦安定性(以下、ウエット性能という)の向上が求められ、さらに耐久性、経済性の点で優れた耐摩耗性が求められており、ゴム特性として背反傾向を示すこれら低転がり抵抗とウェット性能、耐摩耗性を高次元でバランスよく向上させることが望まれている。
これらの要求に対して、従来からゴム補強剤として使用されているカーボンブラックに代えて、上記転がり抵抗とウェット性能とのバランスが得られやすいシリカを配合したゴム組成物がタイヤトレッドに使用されるようになっている。
ところが、シリカは、親水性を有し、表面がシラノール基に覆われているため強い自己凝集性を持ち、ゴム中へ混合する際にゴム中への分散が容易でなくゴムの混練時間を長くし温度管理を必要とし、また分散不良に伴う後工程での加工性を低下させるという欠点がある。
従来より、シリカとゴムとの親和性を高めてシリカの分散性を向上し、また両者の結合力を高めるためにシランカップリング剤を使用することが行われており、シリカ分散性のさらなる向上を図るため、これらシランカップリング剤の改良が多数提案されている(例えば、特許文献1〜3)。また、混練作業の改善と転がり抵抗などの特性を同時に向上する表面処理シリカの提案(例えば、特許文献4)、さらに低分子量ブタジエンゴム(BR)と高分子量BRとをプリブレンドし用いることでシリカの分散性、加工性を改善すること(例えば、特許文献5)など、シリカ配合の上記欠点を改良する検討が多くなされている。
しかしながら、上記技術改良による効果は認められるものの、シリカの分散性向上には未だ改善の余地があり、また加工性やスコーチの問題、或いは強度、モジュラスなど特性向上に関しても上充分な解決に至っていないのが実状であり、さらなる高い要求を満足することが社会的に求められている。
特許第3021516号公報 特開2000−336209号公報 特開2005−2065号公報 特開平11−124474号公報 特開2004−51797号公報
本発明は、上記の点に鑑みてなしたものであり、シリカの分散性を優れたものとして上記シリカの問題点を解消することができる新規なゴム材料を提供することにあり、さらにそのゴム材料を用いたシリカ配合の特長を十分発現させ強度,モジュラス、耐摩耗性や低発熱性などのゴム特性のバランスに優れたゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、分子中にフェニルスルフィド基を含有する高分子化合物が、ゴム成分中へのシリカ分散性を著しく向上することを見出し本発明に到達したものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、分子中にフェニルスルフィド基を含有する数平均分子量が2,000〜500,000である高分子化合物からなることを特徴とするゴム材料である。
請求項2に記載の発明は、架橋ゴムを脱架橋し得られたことを特徴とする請求項1に記載のゴム材料である。
請求項3に記載の発明は、前記架橋ゴムが硫黄架橋されたジエン系ゴムからなることを特徴とする請求項2に記載のゴム材料である。
請求項4に記載の発明は、前記高分子化合物中の前記フェニルスルフィド基の含有量が1〜25重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム材料である。
請求項5に記載の発明は、前記高分子化合物がジフェニルジスルフィドを脱架橋剤として用い前記架橋ゴムを脱架橋反応させ得られたものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のゴム材料である。
請求項6に記載の発明は、前記架橋ゴムの脱架橋反応が二酸化炭素の溶媒下に加熱処理され得られたものであることを特徴とする請求項5に記載のゴム材料である。
請求項7に記載の発明は、前記二酸化炭素が超臨界状態下であることを特徴とする請求項6に記載のゴム材料である。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のゴム材料をゴム成分として含み、シリカをゴム成分100重量部に対して5〜120重量部含んでなることを特徴とするゴム組成物である。
請求項9に記載の発明は、ジエン系ゴムをゴム主成分とし、ゴム成分100重量部中に前記ゴム材料を0.5〜30重量部含んでなることを特徴とする請求項8に記載のゴム組成物である。
請求項10に記載の発明は、シランカップリング剤を含んでなることを特徴とする請求項8又は9に記載のゴム組成物である。
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10のいずれかに記載のゴム組成物を架橋剤を用い架橋したことを特徴とする架橋ゴムである。
本発明のゴム材料よると、フェニルスルフィド基を含有することで、親水性のシリカと疎水性のゴムとの双方に対して優れた親和性を発現し、シリカの分散剤としての優れた作用を奏しゴム成分中へのシリカ分散性を著しく向上することができ、未加硫ゴムの混合性、加工性などの工程性、未加硫ゴム特性を改善すると共に、シリカ配合の特長を十分発揮させることができる架橋ゴムを得ることができ、強度,モジュラス、耐摩耗性や低発熱性などのゴム特性のバランスに優れた各種用途のゴム製品を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のゴム材料は、分子中にフェニルスルフィド基を含有する数平均分子量が2,000〜500,000である高分子化合物からなるものである。
上記ゴム材料は、架橋ゴムを脱架橋して得ることができ、いわゆる、加硫ゴムの再生処理によっても得ることができる。
前記架橋ゴムは、硫黄架橋されたジエン系ゴムからなることが好ましく、該架橋ゴムの原料ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)などのジエン系ゴムの単独或いは2種以上の混合物を用いることができ、好ましくはNR、IR,SBR、BRである。
本発明のゴム材料は、分子中にフェニルスルフィド基を含有するもので、その含有量は高分子化合物中の1〜25重量%であり、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは1〜6重量%である。 前記フェニルスルフィド基の含有量が1重量%未満であると、ゴム材料の極性がそれほど得られずシリカとの親和性の改善効果が少なく、分散性の向上が不十分である。また、25重量%を超えると分子量が低下傾向を示し強度やモジュラスなどの機械特性が低下する傾向にある。
また、このゴム材料の数平均分子量(Mn)は、2,000〜500,000であり、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上である。Mnが2,000未満であると分子量の大きいゴム成分との親和性が得られず、すなわちMnは大きいほど好ましく、本発明のゴム材料の使用量が少量であってもゴム組成物のシリカ分散の効果を奏することができる。また、Mn500,000以上のゴム材料は、ジエン系架橋ゴムのMnの上限であり現実的に得られ難い。
また、上記ゴム材料は硫黄架橋された架橋ゴムから得ることができ、架橋ゴムを再生させる脱架橋工程において、その網目構造を崩壊させ、ゴム分子の解重合によってゴム材料に可塑性を与えやすくする。
本発明のゴム材料は、ジフェニルジスルフィドが脱架橋剤(架橋ゴムの再生剤)として用いられ、架橋ゴムを脱架橋反応させ得ることができる。この脱架橋反応では、ジフェニルジスルフィドのS−S結合が切断されラジカルを生成し、架橋ゴムの分子鎖間の硫黄結合(−(S)n−)に反応して硫黄結合を切断し、切断された硫黄原子にフェニルスルフィドが付加し架橋ゴムを再生させることによる。
前記架橋ゴムの脱架橋反応は、溶媒として二酸化炭素、トルエン、アセトンなどの有機溶媒下で加圧、加熱処理によって得られるが、二酸化炭素溶媒下に処理することが好ましく、特に二酸化炭素雰囲気の超臨界状態下(例えば、圧力5MPa、温度100℃以上)に処理する場合が脱架橋剤の反応性、加熱処理を効果的にし効率的に架橋ゴムを再生することができ、その結果シリカの分散性、ゴム特性を向上させることができる点で好ましい。
上記二酸化炭素溶媒下での架橋ゴムの脱架橋処理は、例えば、特開2000−95895号公報に記載の方法によることができる。
本発明のゴム組成物は、上記ゴム材料をゴム成分として含み、シリカをゴム成分100重量部に対して5〜120重量部含んでなるものである。ゴム成分中の該ゴム材料の含有量は特に制限されることはなく、ゴム製品の用途により任意の量で用いることができる。
また、機械特性や耐疲労性、耐摩耗性などの過酷条件下での使用で耐久性を要求される、例えばタイヤや防振ゴムなどの用途では、ジエン系ゴムからなる新ゴムをゴム主成分としブレンド使用し、ゴム成分100重量部中に該ゴム材料が0.5〜30重量部で含まれることが好ましい。
上記新ゴムであるジエン系ゴム成分としては、NRとジエン系合成ゴムが使用でき、ジエン系合成ゴムとしてはIR、SBR、BR、NBR、CR、EPDM等が挙げられる。ジエン系合成ゴムはその重合方法や分子量、ミクロ構造などに制限を受けることがなく、これらのジエン系ゴムは1種単独でも、2種類以上を混合したものでもよく、そのブレンド比率は任意である。また、用途によっては、ブチルゴム(IIR)やクロロブチルゴム(CIIR)等の非ジエン系ゴムを含むものでもよい。
本発明に用いられるシリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ、ゾル−ゲル法シリカ等が挙げられるが、中でも機械特性の改良効果並びに低転がり抵抗性とウェット性能のバランスが良好である湿式シリカが好ましく、またアミン類や有機高分子などの各種処理剤により表面が改質された表面処理シリカを使用することもできる。
上記湿式及び乾式シリカとしては、窒素吸着比表面積(BET)が100〜300m/g、DBP吸油量が150〜300ml/100gにあるものが好ましく、BETが100m/g未満であるとシリカの補強効果が得られにくくなり、300m/gを越えるとシリカの分散性が著しく低下し、加工性(混合、押出性等)が悪化する傾向にある。また、DBP吸油量を150〜300ml/100gとすることで分散性をより良好に維持することができる。なお、シリカのBETはISO 5794に記載のBET法に、DBP吸油量はJIS K6221に記載の方法に準拠し測定される。
上記シリカの配合量は、ゴム成分100重量部に対して20〜120重量部であり、好ましくは20〜100重量部、より好ましくは20〜80重量部である。シリカの配合量が20重量部未満ではシリカ配合による補強性、低発熱性などのゴム特性が得られず、120重量部を越えると本発明に係るゴム材料使用により分散性を改善したとしてもゴムのムーニー粘度が上昇し、混合時の昇温の問題や加工性が悪化し、強度や耐摩耗性も低下し好ましくない。
また、本発明のゴム組成物には、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、スルフィド系、メルカプト系、アミノ系、ビニル系などの従来から公知の各種シランカップリング剤の中から任意に選択し用いることができ、シリカとゴム分子とを物理的結合だけでなく化学的に強固に結合させることができる。
シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどが好ましい。
前記シランカップリング剤の配合量は、前記シリカの全重量に対し、5〜25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。その配合量が、シリカ量に対して5重量%未満であると、シリカとゴム分子とのカップリング効果が不足し補強性が得られずゴム組成物の強度、モジュラス等の特性が確保できず、またシリカの分散性にも悪影響する。また、25重量%を超えてもそれに見合う効果が得られず、経済的に不利になることがある。
本発明のゴム組成物には、上記ゴム材料、ジエン系ゴム(新ゴム分)、シリカ、必要に応じてシランカップリング剤に加えて、通常の各種ゴム材料、例えば、カーボンブラック、架橋剤(硫黄、塩化硫黄化合物、有機硫黄化合物、有機過酸化物、アゾ化合物などのラジカル発生剤や、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物など)、加硫促進剤(グアジニン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンデート系の化合物など)、加硫促進助剤、オイル(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル)、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、樹脂類、老化防止剤(ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系などのアミン誘導体、キノリン誘導体、ハイドロキノン誘導体、モノフェノール類、ジフェノール類、チオビスフェノール類、ヒンダードフェノール類、亜リン酸エステル類など)、クレーや炭酸カルシウム、着色剤、発砲剤などの各種配合剤を適宜配合することができ、その配合量も本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法は特に制限はなく、上記配合成分を配合しバンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの各種混練機を使用して常法に従い製造することができる。
また、本発明の架橋ゴムは、上記ゴム組成物を架橋剤を用い架橋されたもので、架橋剤としては、硫黄、塩化硫黄化合物、有機硫黄化合物、有機過酸化物、アゾ化合物などのラジカル発生剤や、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物などが挙げられる。
中でも、硫黄系又は有機過酸化物を用いることが好ましく、タイヤのトレッドを始めとしてサイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位に、また防振ゴムやベルト類等の各種用途のゴム製品に使用することができる。
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
表2に記載の配合処方による各実施例、比較例のゴム組成物を容量20Lの密閉式バンバリーミキサーを用いて常法に従い混合し調製した。用いた配合材料及び「ゴム材料」は下記の通りである。
・天然ゴム(NR):RSS#3
・シリカ:日本シリカ(株)製 VN3
・シランカップリング剤:デグサ社製 Si69
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製 亜鉛華1号
・ステアリン酸:花王(株)製 ルナックS−20
・硫黄:細井化学工業(株)製 ゴム用粉末硫黄
・加硫促進剤;大内新興化学工業(株)製 ノクセラーCZ
・ゴム材料(表1)
NR(RSS#3)100重量部、カーボンブラック(昭和キャボット(株)製、ショウブラックN330)50重量部、亜鉛華(同上)3重量部、ステアリン酸(同上)2重量部、硫黄(同上)2重量部、加硫促進剤(同上)1重量部を、ロールにより混練して160℃、20分の条件で加硫して架橋ゴムを作製した。
オートクレーブに上記架橋ゴム5g、ジフェニルジスルフィド20重量部を加え、処理溶媒を圧力7MPaで導入して、180℃で加熱処理した。その後、オートクレーブを180℃、10MPaに維持しながら、処理溶媒を加熱処理ゴムに接触させ、該ゴム中のジフェニルジスルフィドを含んだ処理溶媒を抽出除去し、再生ゴムを調製しゴム材料を得た。処理溶媒としては、溶媒なし、二酸化炭素、トルエン、アセトンとした。得られたゴム材料のMnを、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法によりポリスチレン換算で求めた。
Figure 0004979055
各ゴム組成物について、160℃、20分の加硫条件で引張試験サンプルを作製し、100%モジュラス(M100)、引張強さ(TB)、伸びをJIS K6251(ダンベル3号使用)に準じ引張試験を行い測定した。次にシリカ分散性とタイヤの転がり抵抗を下記方法に従い評価した。結果を表2に示す。
[シリカ分散性]
160℃、20分の加硫条件で得た加硫ゴムについて、光学顕微鏡(300倍)にてゴム断面を観察し、シリカ分散度を10段階にランク付けした限度見本に従い評価した。3名の評価による結果を平均し、比較例1を100とする指数で示した。値が大きいほど分散性が良好である。
[転がり抵抗]
各ゴム組成物をトレッド部に適用したサイズ215/60R16のラジアルタイヤを常法に従い製造し、1軸ドラム試験機を用い、内圧200kPa、負荷荷重400Kg、速度80Km/hでドラム上を走行する時の転がり抵抗を測定し、次式により各試験タイヤの転がり抵抗指数を計算し、比較例1のタイヤを100とする指数で示した。値が大きいほど転がり抵抗が小さく燃費性が良好である。
転がり抵抗(指数)=(比較例1タイヤの転がり抵抗)×100/(各タイヤの転がり抵抗)
Figure 0004979055
表2の結果から、本発明に係るゴム材料−Aを用いたゴム組成物は、シリカ分散性を改善し、モジュラス、強度、伸びのゴム特性を向上することができ、タイヤの転がり抵抗を低減することができる。しかし、ゴム材料−Aを増量する(実施例5、6)と分散性、転がり抵抗は改善されるが、ゴム特性が低下する傾向が見られタイヤなどの機械特性や耐摩耗性を要求される用途では本発明に係るゴム材料の使用量は15重量部程度とすることが好ましい。一方、処理溶媒として、トルエン、アセトンを用いたゴム材料(実施例7、8)ではシリカの分散性は比較例1より改善されるが二酸化炭素によるものには及ばないことが分かる。
本発明により得られたゴム組成物は、タイヤをはじめとして防振ゴム、ベルト類、パッキン、床材、シート材など各種のゴム製品に使用することができる。例えば、低転がり抵抗性とウェット性能及び耐摩耗性をバランスさせることで、低燃費性、安全性、耐久性に優れた空気入りタイヤのトレッドゴムとして好適であり、また低動倍率化が図られることで防振ゴム用ゴム組成物として有用である。

Claims (7)

  1. ジフェニルジスルフィドを脱架橋剤として用い、二酸化炭素の溶媒下に加熱処理することにより、架橋ゴムを脱架橋反応させることを特徴とするゴム材料用高分子化合物の製造方法。
  2. 前記加熱処理の際、二酸化炭素が超臨界状態下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム材料用高分子化合物の製造方法。
  3. 前記高分子化合物は、フェニルスルフィド基の含有量が1〜10重量%であり、数平均分子量が10,000から500,000であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム材料用高分子化合物の製造方法。
  4. ゴム材料用高分子化合物が、ゴム組成物中のシリカの分散性向上剤である請求項1〜3の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかの方法で得られた高分子化合物を、ジエン系ゴムをゴム主成分とするゴム成分100重量部中に、0.5〜30重量部含ませるとともに、シリカを該ゴム成分100重量部に対して20〜120重量部添加したことを特徴とする、空気入りタイヤのトレッドゴム用組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかの方法で得られた高分子化合物を、ジエン系ゴムをゴム主成分とするゴム成分100重量部中に、0.5〜30重量部含ませるとともに、シリカを該ゴム成分100重量部に対して20〜120重量部添加したことを特徴とする、シリカの分散性が向上したゴム組成物の製造方法。
  7. 硫黄架橋されたゴムを脱架橋して得られる高分子化合物からなり、該高分子化合物は、分子中にフェニルスルフィド基を1〜10重量%含有し、数平均分子量が10,000〜500,000であることを特徴とする、ゴム組成物中のシリカの分散性向上剤。
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