JP2012051970A - 変性ジエン系ゴムポリマーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐エア透過性を向上させる。
【解決手段】天然ゴム及び/又はイソプレンゴムからなる未加硫のジエン系ゴムポリマーに電子線を照射した後、分子内に炭素−炭素二重結合を有するとともに、水酸基、ニトリル基及びハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物を、上記の電子照射されたジエン系ゴムポリマーに付与することにより、該化合物をジエン系ゴムポリマーに反応させて、変性ジエン系ゴムポリマーを得る。
【選択図】なし
【解決手段】天然ゴム及び/又はイソプレンゴムからなる未加硫のジエン系ゴムポリマーに電子線を照射した後、分子内に炭素−炭素二重結合を有するとともに、水酸基、ニトリル基及びハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物を、上記の電子照射されたジエン系ゴムポリマーに付与することにより、該化合物をジエン系ゴムポリマーに反応させて、変性ジエン系ゴムポリマーを得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、変性ジエン系ゴムポリマー及びその製造方法に関し、また、該変性ジエン系ゴムポリマーを用いたゴム組成物及びその製造方法に関するものである。
従来、スチレン−ブタジエンゴムなどのジエン系ゴムにおいて、ポリマー製造時に変性基を添加して、末端変性ポリマーを作成することが知られている。しかしながら、上記従来の手法は、一般にアニオン重合下でしか実施することができないという問題があり、適用できるゴムの種類に制限がある。
ところで、例えば、空気入りタイヤにおいては、空気の内圧保持性を高めるために、耐エア透過性を向上させることが望まれる。特に、タイヤ内面に配されるインナーライナーゴム層においては、耐エア透過性は高いものの破断強度の低いブチル系ゴムの使用量を抑えて、破断強度の高い天然ゴムやイソプレンゴムを用いながら、なお優れた耐エア透過性を確保することが望まれる。そこで、本発明者は、耐エア透過性を向上するべく鋭意検討する中で、特定の官能基を持つ化合物を、電子線照射によりジエン系ゴムポリマーに付加させることを考えた。
電子線照射を利用してゴムポリマーに化合物を付与する技術として、上記特許文献1には、架橋されたシリコーンゴムにラジカル重合性モノマーを含浸させた後、電子線照射により該モノマーを重合させることが開示されている。また、上記特許文献2では、天然ゴムラテックスフィルムにモノマーを塗布し、電子線照射により重合体膜を形成することが開示されている。しかしながら、特許文献1ではシリコーンゴムの硬度を高めることを目的としており、また特許文献2ではゴム製品の粘着性を改善することを目的としたものであり、いずれも充填剤の分散を改良するものではない。また、いずれも架橋(加硫)されたゴム製品に対して電子線照射を行うものであり、未加硫のジエン系ゴムポリマーを対象としたものではない。
本発明は、耐エア透過性を向上させることができる変性ジエン系ゴムポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る変性ジエン系ゴムポリマーの製造方法は、天然ゴム及び/又はイソプレンゴムからなる未加硫のジエン系ゴムポリマーに電子線を照射する工程と、分子内に炭素−炭素二重結合を有するとともに、水酸基、ニトリル基及びハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物を、前記ジエン系ゴムポリマーに付与する工程と、を含むものである。
本発明に係るゴム組成物の製造方法は、上記で得られた変性ジエン系ゴムポリマーに、ブチル系ゴムを配合し、混合することを特徴とするものである。
本発明に係る変性ジエン系ゴムポリマーは、天然ゴム及び/又はイソプレンゴムからなる未加硫のジエン系ゴムポリマーに対する電子線照射により、分子内に炭素−炭素二重結合を有するとともに、水酸基、ニトリル基及びハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物を、前記ジエン系ゴムポリマーに反応させてなるものである。また、本発明に係るゴム組成物は、該変性ジエン系ゴムポリマーと、ブチル系ゴムを含有するものである。
本発明によれば、自己凝集性の高い官能基を持つ化合物を、電子線照射によりジエン系ゴムポリマーに付加することにより、ゴム組成物に配合したときの耐エア透過性を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施形態において、処理対象となる未加硫のジエン系ゴムポリマーとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、又は、これらのブレンドゴムが用いられる。天然ゴムやイソプレンゴムは、例えばタイヤのインナーライナーゴム層に用いられているブチル系ゴムに比べて破断強度に優れるので、これらの耐エア透過性を向上することにより、破断強度に優れたものでありながら、耐エア透過性を向上することができる。
該ジエン系ゴムポリマーは、固形物やラテックス等として市販されており、それらを用いることができる。例えば、天然ゴムであれば、ゴム樹の樹液を凝固乾燥させたものを用いてもよく、また凝固していないラテックスを用いることもできる。また、合成ゴムであるイソプレンゴムについても、凝固剤を用いて凝固させたものや、ラテックスの形態で市販されているものがあり、それらを用いることができる。オイルが添加された状態で市販されている油展ゴムを用いてもよい。もちろん、そのジエン系モノマーであるイソプレンを用いて、公知の方法により重合したものを用いることもできる。
本実施形態では、上記未加硫のジエン系ゴムポリマーに、電子線を照射する。電子線を照射することにより、ジエン系ゴムポリマーの炭素−炭素二重結合(C=C)部分やC−H結合部分等においてラジカルを発生させることができる。未加硫のものを用いるのは、本実施形態に従い変性したジエン系ゴムポリマーを、ゴム組成物に配合する原料ゴム(ゴム成分)として用いるためである。
電子線照射に際し、ジエン系ゴムポリマーが固形物の場合、ラジカルが発生するのは、主として該固形物の表層部であり、固形物の内部まで変性させることは困難である。そのため、固形物の場合には、できるだけ均一に変性させるために、例えば厚さ2cm以下、より好ましくは1cm程度以下に切断又はシーティングしたシート状物を用いることが好ましい。すなわち、未加硫のジエン系ゴムポリマーからなるシート状物に対して、その表面に電子線を照射することが好ましい。なお、ラテックスゴムを用いる場合も、できるだけ均一に変性させるために、水深2cm以下、より好ましくは水深1cm以下として、その水面に電子線を照射することができる。
電子線の照射条件としては、特に限定されないが、加速電圧が1〜5MV、照射線量が10〜400kGy、より好ましくは50〜250kGyであることが好ましい。このように加速電圧を高めに設定するのは、できるだけ固形物の内部まで電子線を侵入させるためである。
このようにして電子線照射したジエン系ゴムポリマーに対し、発生したラジカルが存在している段階で(即ち、ラジカルが消失する前に)、変性剤としてのモノマーを付与する。ここで、モノマーとは、分子内に炭素−炭素二重結合と下記特定の官能基を有する低分子化合物をさす。
特定の官能基としては、自己凝集性を高める水酸基(−OH)、ニトリル基(−CN)、ハロゲン原子が挙げられ、これらいずれか1つ以上を分子内に有するモノマーが用いられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、この中でも塩素と臭素が好ましい。
上記モノマーとしては、ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合としてH2C=CR−(但し、Rは水素原子又はメチル基)で表される不飽和基を少なくとも1つ有するとともに、自己凝集性の高い上記特定の官能基を少なくとも1つ有するものを用いることが好ましい。より詳細には、上記モノマーとして、下記一般式(1)で表される化合物を用いることである。
式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは水酸基、ニトリル基又はハロゲン原子、Aは酸素原子を含んでもよい炭素数1〜10の2価の有機基、nは0又は1を表す。Aは、より好ましくは、エステル結合又はエーテル結合を含んでもよい炭素数1〜8の2価の有機基である。
より詳細には、モノマーとしては、ラジカル重合に必要なビニル基(H2C=CH−)、イソプロペニル基(H2C=C(CH3)−)、アリル基(H2C=CH−CH2−)のいずれか1つを有し、かつ、水酸基、ニトリル基、ハロゲン原子を少なくとも1つ有する化合物であり、例えば、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、6−へプテン−1−オール、7−オクテン−1−オール、8−ノネン−1−オール、9−デセン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどのアルケノール(上記Aが炭素数1〜10のアルキレン基かつXが水酸基)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(上記Aがエステル結合を含むアルキレン基かつXが水酸基)、アクリロニトリル、アリルシアニド、4−ペンテンニトリル、5−ヘキセンニトリルなどのアルケンニトリル(上記Aが炭素数1〜10のアルキレン基かつXがニトリル基)、塩化アリル、塩化ビニル、ビニルブロミド、4−ブロモ−1−ブテン、3−クロロ−2−メチル−1−プロペン、5−ブロモ−1−ペンテン、6−ブロモ−1−ヘキセン、10−ブロモ−1−デセンなどのハロゲン化アルケン(上記Aが炭素数1〜10のアルキレン基かつXがハロゲン原子)などが挙げられる。これらは、いずれか1種、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ジエン系ゴムポリマーに対する上記モノマーの付与方法としては、特に限定されず、例えば、モノマーが液体の場合、そのまま又は水などの溶媒で希釈し、あるいはまた、モノマーが固体の場合、水などの溶媒に溶解することにより、モノマー液(モノマーを含有する液体)を調製し、該モノマー液にジエン系ゴムポリマーを浸けたり、ジエン系ゴムポリマーの表面に該モノマー液を刷毛塗りやスプレー噴霧等で塗布してもよい。上記モノマーが気体の場合、モノマーを充填した雰囲気内にジエン系ゴムポリマーを置くことによっても、モノマーを付与することができる。なお、ジエン系ゴムポリマーがラテックスの場合、ラテックスにモノマー液を滴下したり、逆にモノマー液にラテックスを滴下するなどして、ラテックスとモノマー液を混合することにより、モノマーを付与することができる。
上記モノマーを付与した後、所定時間放置させる。なお、放置させる際に、オーブンなどに入れて加温(例えば、30〜80℃)してもよい。その後、温水等で洗浄し、未反応のモノマーや、モノマー同士が重合してなるホモポリマーを除去する。
これにより、上記モノマーを付加してなる未加硫の変性ジエン系ゴムポリマーが得られる。より詳細には、上記モノマーは、分子内に有する炭素−炭素二重結合部分が、ラジカル重合反応により、ジエン系ゴムポリマーに反応する。すなわち、電子線照射により発生した上記ジエン系ゴムポリマーのラジカルに対し、モノマーの炭素−炭素二重結合が反応することにより、該モノマーがジエン系ゴムポリマーに結合し、よって、上記特定の官能基がジエン系ゴムポリマーに導入される。なお、ラジカル重合反応により該モノマーが順次に連結していくことにより、ジエン系ゴムポリマーを幹とし、該モノマーが連結してなる重合体部分を側鎖とするグラフト重合体が形成されてもよい。
上記モノマーの付加量(即ち、反応量)は、特に限定されるものではないが、処理前のジエン系ゴムポリマー100質量部に対して、0.01〜100質量部であることが好ましい。
上記実施形態では、電子線を照射した後にモノマーを付与したが、モノマーを付与してから電子線照射しても構わない。すなわち、本発明では、未加硫のジエン系ゴムポリマーに電子線を照射してから、電子線照射されたジエン系ゴムポリマーに上記モノマーを付与してもよく、あるいはまた、未加硫のジエン系ゴムポリマーに上記モノマーを付与してから、該ジエン系ゴムポリマーに電子線を照射してもよく、更には、電子線の照射とモノマーの付与を同時に行ってもよく、いずれによっても上記モノマーをジエン系ゴムポリマーに反応させることができる。
以上により得られた変性ジエン系ゴムポリマーは、各種ゴム組成物を製造するためのゴム成分、即ち原料ゴムとして用いられる。該変性ジエン系ゴムポリマーは、自己凝集性の高い官能基が導入されているので、導入された官能基同士が引き合うことで、ゴムポリマー間の凝集力を高めることができるものと推測され、そのため、ゴム組成物の空気透過度を低下させて、耐エア透過性を向上することができる。
該ゴム組成物には、上記変性ジエン系ゴムポリマーとともに、ブチル系ゴムを配合することにより、耐エア透過性をより一層高めることができる。該ブチル系ゴムとしては、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴムが挙げられ、ハロゲン化ブチルゴムとしては、臭素化ブチルゴム(BIIR)、塩素化ブチルゴム(CIIR)などが挙げられる。これらは、それぞれ1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。より好ましくは、ハロゲン化ブチルゴムを用いることである。
上記変性ジエン系ゴムポリマーとブチル系ゴムとの配合比については、特に限定するものではないが、ゴム成分100質量部中、変性ジエン系ゴムポリマー20〜80質量部、及び、ブチル系ゴム20〜80質量部であることが好ましい。なお、ゴム成分としては、その他のゴムポリマーを配合することもできる。そのような他のゴムポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、未変性の天然ゴム、未変性のイソプレンゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどの各種ジエン系ゴムポリマーが挙げられる。
該ゴム組成物には、カーボンブラックやシリカ等の充填剤を配合することができる。充填剤の配合量は、特に限定されないが、上記ゴム成分100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましく、より好ましくは30〜100質量部である。カーボンブラックとしては、特に限定するものではないが、HAFクラス(N300番台)、FEF(N500番台)、GPF(N600番台)、SRF(N700番台)(ともにASTMグレード)のものが好ましく用いられる。また、シリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられ、特に含水珪酸を主成分とする湿式シリカを用いることが好ましい。なお、タルク、マイカ、クレー等の層状鉱物からなる平板状充填剤を配合することもできる。
該ゴム組成物には、その他に、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を適宜配合することができる。上記加硫剤としては、硫黄、硫黄含有化合物等が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量は上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5質量部である。
該ゴム組成物は、通常のバンバリーミキサーやニーダーなどのゴム用混練機を用いて、常法に従い混練することで調製される。このようにして得られるゴム組成物の用途は、特に限定されず、トレッドやサイドウォール、インナーライナー等のタイヤ、コンベアベルト、空気バネ、防振ゴムなどの各種ゴム組成物に用いることができる。
好ましくは、タイヤのインナーライナー用ゴム組成物として用いることであり、常法に従ってロールなどでシート状に押し出し、押し出したシート状物をカーカス層の内側に貼り付けて、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、タイヤ内面にインナーライナーゴム層を形成することができる。本発明によれば、天然ゴム及び/又はイソプレンゴムからなる変性ジエン系ゴムポリマーを用いた場合でも、耐エア透過性を向上することができるので、ジエン系ゴムによりカーカス層のトッピングゴム層との接着性を向上することができ、また、タイヤ成形時にシート状のインナーライナーゴムを巻き付けて、両者の端部同士を接合する際の接着性も向上することができる。更には、一般に強度の低いブチル系ゴムの比率を減らしても耐エア透過性を維持することができるので、強度面でも有利である。なお、インナーライナーの厚みは、タイヤサイズなどにより異なるが、通常は0.5〜3.0mmである。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
未加硫のジエン系ゴムポリマーとして、天然ゴム(RSS#3)を用い、この固形状のジエン系ゴムポリマーを厚さ1cm程度のシート状に切断した。得られたシート状のジエン系ゴムポリマーの表面に対し、電子線照射装置を用いて、温度:室温、加速電圧:3MV、照射線量:200kGyの条件で、電子線を照射した。照射後直ちに、モノマーAとしてアリルアルコール(CH2=CHCH2OH)を用いた処理液(アリルアルコールの50質量%水溶液)に、上記ジエン系ゴムポリマーを浸漬し、そのまま室温で4時間放置することにより、モノマーAを上記ジエン系ゴムポリマーに反応させた。その後、ジエン系ゴムポリマーを上記処理液から取り出し、80℃の温水で2回洗浄して、ジエン系ゴムポリマーの表面に付着している未反応のモノマーAと、該モノマーAのホモポリマーを除去した。これにより、モノマーAで変性した変性NR1を得た。
該変性NR1において、モノマーAの付加量は、ジエン系ゴムポリマー100質量部に対して0.9質量部であった(即ち、グラフト率=0.9質量%)。ここで、グラフト率は、グラフト重合前後のサンプル質量変化を、グラフト重合前のサンプルの質量で割り、100をかけた値である。
上記モノマーAに代えて、モノマーBとしてアクリロニトリル(CH2=CHCN)を用いて、その50質量%水溶液を処理液とし、その他は変性NR1と同様にして、モノマーBで変性した変性NR2を得た。該変性NR2において、モノマーBのグラフト率は1.0質量%であった。
上記モノマーAに代えて、モノマーCとして塩化アリル(CH2=CHCH2Cl)を用いて、その50質量%水溶液を処理液とし、その他は変性NR1と同様にして、モノマーCで変性した変性NR3を得た。該変性NR3において、モノマーCのグラフト率は0.8質量%であった。
上記変性NR1の製造方法において、電子線照射をせずにモノマーAの処理液に浸漬し、その他は変性NR1と同様にして、変性NR4(比較例)を得た。また、電子線は照射したがモノマーAの処理液に浸漬せず、その他は変性NR1と同様にして、変性NR5(比較例)を得た。これら変性NR4,5において、モノマーAのグラフト率は0質量%であった。
上記変性NR1〜5と未変性のNR(RSS#3)を用い、バンバリーミキサーを使用して常法に従い実施例1〜3及び比較例1〜6のゴム組成物を調製した。各ゴム組成物のゴム成分は下記表1に示す通りである。なお、BIIRは、EXXON社製の臭素化ブチルゴム「ブロモブチル2255」である。
各ゴム組成物には、共通配合として、ゴム成分100質量部に対し、カーボンブラックGPF(東海カーボン(株)製「シーストV」)45質量部、アロマオイル(昭和シェル石油(株)製「エキストラクト4号S」)8質量部、ステアリン酸(工業用ステアリン酸)1質量部、酸化亜鉛(1号亜鉛華)3質量部、加硫促進剤(ジベンゾチアジルジスルフィド)1.0質量部、硫黄(5%油処理粉末イオウ)0.4質量部を配合した。なお、比較例4〜6では、モノマーA〜Cをゴム混合時に添加した。
得られた各ゴム組成物について、耐エア透過性を測定した。測定方法は以下の通りである。
・耐エア透過性:160℃×30分で加硫した厚さ1mmの試験片について、JIS K7126−2(電解センサ法)に準拠し、80℃での空気透過量を測定し、比較例1の空気透過量を100とした指数で表示した。指数が小さいほど空気透過量が少なく、耐エア透過性に優れることを示す。
結果は表1に示す通りであり、自己凝集性の高い特定の官能基を導入した変性NRを用いた実施例1〜3であると、未変性のNRを用いたコントロールの比較例1に対し、耐エア透過性が明らかに向上していた。これに対し、電子線照射を実施していない比較例2や、電子線照射を実施したものの特定の官能基を持つモノマーを付与していない比較例3では、耐エア透過性の改善効果は見られなかった。このことから、実施例で用いた変性NR1〜3では、上記特定の官能基による変性、即ち該官能基がジエン系ゴムポリマーに導入されていることは明らかである。なお、各モノマーA〜Cをゴム混練時に添加した比較例4〜6では、耐エア透過性の改善効果は見られなかった。
Claims (6)
- 天然ゴム及び/又はイソプレンゴムからなる未加硫のジエン系ゴムポリマーに電子線を照射する工程と、
分子内に炭素−炭素二重結合を有するとともに、水酸基、ニトリル基及びハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物を、前記ジエン系ゴムポリマーに付与する工程と、
を含む変性ジエン系ゴムポリマーの製造方法。 - 前記炭素−炭素二重結合がH2C=CR−(但し、Rは水素原子又はメチル基)で表される基であることを特徴とする請求項1記載の変性ジエン系ゴムポリマーの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で得られた変性ジエン系ゴムポリマーに、ブチル系ゴムを配合し、混合することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
- 天然ゴム及び/又はイソプレンゴムからなる未加硫のジエン系ゴムポリマーに対する電子線照射により、分子内に炭素−炭素二重結合を有するとともに、水酸基、ニトリル基及びハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物を、前記ジエン系ゴムポリマーに反応させたことを特徴とする変性ジエン系ゴムポリマー。
- 請求項5記載の変性ジエン系ゴムポリマーと、ブチル系ゴムを含有することを特徴とするゴム組成物。
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