JP4322046B2 - ハロブチルエラストマー組成物及びその製造方法 - Google Patents

ハロブチルエラストマー組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機フィラー添加ハロゲン化ブチルエラストマー及びその製造方法に関し、特に、無機フィラー表面がタンパク質で官能化されたブロモブチルエラストマー(BIIR)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックおよびシリカなどの補強フィラーがエラストマーコンパウンドの強度や疲労特性を大きく改善することが知られている。エラストマーとフィラーとの間に化学的相互作用が生じることも知られている。例えば、カーボンブラックと、ポリブタジエン(BR)やスチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)などの高不飽和エラストマーとの間には、これらのコポリマーの中に炭素−炭素二重結合が多数存在するから、好ましい相互作用が発生する。ブチルエラストマーは、BRまたはSBRに見出される炭素−炭素二重結合のわずか10分の1以下しか有していないかもしれず、ブチルエラストマーを原料として作られるコンパウンドは、カーボンブラックと十分に相互作用しないことが知られている。例えば、カーボンブラックを、BRとブチルエラストマーとの組み合わせと混合することによりコンパウンドを調製すると、カーボンブラックのほとんどを含むBRの領域と、カーボンブラックを全くと言って良いほど含まないブチルの領域とが生じる結果となる。ブチルコンパウンドは耐摩耗性が不十分であることも知られている。
【0003】
カナダ特許出願第2,293,149号(特許文献1)では、ハロブチルエラストマーにシリカおよび特定のシランを組み合わせることによって、特性がさらに改善されたフィラー添加ブチルエラストマー組成物を製造することが可能であることが開示されている。これらのシランは、ハロゲン化ブチルエラストマーとフィラーとの間で分散剤および結合剤として機能する。しかしながら、シランを使用することの一つの欠点は、製造過程においてアルコールが放出されたり、この方法で生産された製品の使用中にアルコールが放出される可能性があることである。さらに、シランによって、得られる製品のコストが大きく上昇してしまう。
【0004】
同時係属出願のCA2,339,080号(特許文献2)では、ハロブチルエラストマーと、少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのヒドロキシル基を含む有機化合物とを含有する組成物であって、その組成物の中でエラストマーとフィラー、特に無機フィラーとの間に強化された相互作用が存在する組成物を製造する方法が開示されている。エタノールアミンなどの第一アミンおよびヒドロキシル基を含有する化合物に特に関心が向けられていた。エラストマーとフィラーとの間の相互作用を強化するという問題が解決された、望まれていない組成物のスコーチを避けるために、当該組成物を慎重に加工する必要がある。当業者は、スコーチという用語を加工中の組成物が予定よりも早く架橋してしまうことと理解している。
【0005】
同時係属出願のカナダ特許出願第CA-2,412,709号では、ハロブチルエラストマー、少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのヒドロキシル基を含む有機化合物、および水和金属ハロゲン化物を含有する組成物を製造する方法が開示されている。この方法ではスコーチ対策が改善され、エラストマーとフィラー、特に無機フィラーとの間に強化された相互作用が存在する。この方法はさらに、ハロブチルエラストマー、少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのヒドロキシル基を含む有機化合物並びに一つ以上の水和金属ハロゲン化物を含有するフィラー添加ハロブチルエラストマー組成物も提供する。スコーチ対策が強化された既知のカーボンブラック添加ハロブチルエラストマー組成物と比較しても、これらの組成物の特性は改善されている。
【0006】
【特許文献1】
カナダ特許出願第2,293,149号
【特許文献2】
カナダ特許出願第2,339,080号
【特許文献3】
カナダ特許出願第2,412,709号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、均質性が改善され、強化の程度が顕著に高められた、無機フィラーを配合したハロブチルエラストマー組成物およびその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも一つのハロブチルエラストマーを少なくとも一つの表面変性無機フィラーと混合する工程を含んでなり、当該無機フィラーの表面は、該ハロブチルエラストマーとの混合の前に、少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む少なくとも一つの有機化合物で変性されており、該有機化合物は、タンパク質、アスパラギン酸、6−アミノカプロン酸、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群から選択される、金属ハロゲン化物を含まない、ハロブチルエラストマーおよび無機フィラーを含有する組成物を製造する方法を提供する。この方法においては、エラストマーと表面変性された無機フィラー、特にシリカとの間の分散性のレベルが改善されている。本発明はさらに、ハロブチルエラストマーおよび表面変性無機フィラーを含有し、当該無機フィラーの表面少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む有機化合物で変性されており、該有機化合物は、タンパク質、アスパラギン酸、6−アミノカプロン酸、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群から選択される、金属ハロゲン化物を含まないハロブチルエラストマー組成物も提供する。均質性が改善されかつ強化の程度がさらに高められた既知の無機フィラー添加ハロブチルエラストマー組成物と比較しても、これらの組成物の特性は改善されている。
【0009】
少なくとも一つのアミンおよび酸基を含む有機化合物、例えばタンパク質などでその表面が変性されている無機フィラーに、特に関心が集まっている。これらの有機化合物は無機フィラーを分散させ、無機フィラーをハロゲン化エラストマーと効果的に結合させると考えられる。
【0010】
したがって、本発明の他の要旨において、表面が少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む有機化合物で変性されている少なくとも一つの無機フィラーとハロブチルエラストマーを混合する工程、および得られるフィラー添加ハロブチルエラストマーを硬化させる工程を含んでなる方法が提供される。得られる、均質でかつ補強の程度がより高いこの組成物は、本発明の別の要旨を構成する。
【0011】
本発明の無機物添加ハロブチルエラストマーの硬化を行う前に、他のエラストマーまたはエラストマーコンパウンドと混合することができる。これについてはさらに以下で説明する。
【0012】
本明細書で用いられる「ハロブチルエラストマー」という用語は、塩素化ブチルエラストマーおよび/または臭素化ブチルエラストマーを指す。臭素化ブチルエラストマーが好ましく、本発明では、一例としてこのような臭素化ブチルエラストマーを参照して、以下の説明を行う。しかしながら、本発明は塩素化ブチルエラストマーの使用にまで及ぶことを理解すべきである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明を実施する際に使用するのに適したハロブチルエラストマーには臭素化ブチルエラストマーが含まれるが、これに限定されるわけではない。このようなエラストマーは、(イソブチレンなどのイソオレフィンの少なくとも一つと、通常C4〜C6の共役ジオレフィン、好ましくはイソプレンであるコモノマーの少なくとも一つとに由来する繰り返し単位を含むコポリマーである)ブチルゴムの臭素化によって得ることができる。共役ジオレフィン以外のコモノマーを用いることができるが、C1〜C4アルキル置換スチレンなどのアルキル置換ビニル芳香族コモノマーも例示できる。このようなエラストマーの市販品の一例は臭素化イソブチレンメチルスチレンコポリマー(BIMS)であり、この中のコモノマーはp−メチルスチレンである。
【0014】
一般的な臭素化ブチルエラストマーは、1〜3重量%の範囲のジオレフィン、好ましくはイソプレンに由来する繰り返し単位、97〜99重量%の範囲のイソオレフィン、好ましくはイソブチレンに由来する繰り返し単位(ポリマーの炭化水素含有量に基づく)および1〜4重量%の範囲の臭素(ブロモブチルポリマーに基づく)を含む。一般的なブロモブチルポリマーのムーニー粘度(ML1+8、125℃)として表される分子量は、28〜55の範囲である。
【0015】
本発明に用いられる好ましい臭素化ブチルエラストマーは、1〜5重量%の範囲のイソプレンなどのジオレフィンに由来する繰り返し単位、95〜99重量%の範囲のイソブチレンなどのイソオレフィンに由来する繰り返し単位(ポリマーの炭化水素含有量に基づく)および0.5〜2.5重量%、好ましくは0.75〜2.3重量%の臭素(ブロモブチルポリマーに基づく)を含む。
【0016】
臭素化ブチルエラストマーに安定剤を添加してもよい。好ましい安定剤にはステアリン酸カルシウムおよびエポキシ化ダイズ油が含まれ、好ましくは、ブロモブチルゴム100重量部あたり0.5〜5重量部の範囲の量で用いられる。
【0017】
適切な臭素化ブチルエラストマーの具体例には、Bayer Inc. から市販されている、Bayer(登録商標)ブロモブチル2030TM、Bayer(登録商標)ブロモブチル2040TM(BB2040)およびBayer(登録商標)ブロモブチルX2TMが含まれる。Bayer(登録商標)BB2040のムーニー粘度(ASTM・D・52〜89に準拠したRPML1+8、125℃)は39±4、臭素含有量は2.0±0.3重量%、1モルあたり約500000gの分子量である。
【0018】
さらに、本発明の方法において用いられる臭素化ブチルエラストマーは、ブロモブチルゴムのグラフトコポリマーおよび共役ジオレフィンモノマーを基礎とするポリマーであってもよい。同時係属カナダ特許出願第2,279,085号は、固形臭素化ブチルゴムを、いくつかのC−S−(S)n−C結合(ここで、nは1〜7の整数である。)をも含む共役ジオレフィンモノマーを基礎とする固体ポリマーと混合することによる、このようなグラフトコポリマーの製造方法に関連しており、その方法では、混合を50℃を超える温度において、グラフト化が生じるのに十分な時間、行っている。グラフトコポリマーの臭素化ブチルエラストマーは、上記のいずれであってもよい。グラフトコポリマー内に組み込むことが可能な共役ジオレフィンは、一般的に、下記構造式を有する:
【化1】
Figure 0004322046
(式中、Rは水素原子または1〜8個の炭素原子を含むアルキル基であり、R1およびR11は、同一または異なって、水素原子および1〜4個の炭素原子を含むアルキル基からなる群より選ばれる。)
【0019】
適切な共役ジオレフィンの代表例には、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、4−ブチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、2,3−ジブチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエンなどが含まれる。4〜8個の炭素原子を含む共役ジオレフィンモノマーが好ましく、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
【0020】
共役ジエンモノマーを基礎とするポリマーは、ホモポリマーでもよく、二つ以上の共役ジエンモノマーからなるコポリマーでもよく、またはビニル芳香族モノマーを伴うコポリマーでもよい。
【0021】
必要に応じて用いることができるビニル芳香族モノマーは、採用される共役ジオレフィンモノマーと共重合できるようなものが選択される。一般的に、有機アルカリ金属重合開始剤によって重合することが知られている、あらゆるビニル芳香族モノマーを用いることができる。このようなビニル芳香族モノマーは通常、8〜20個の炭素原子を有しており、8〜14個の炭素原子を有するものが好ましい。このような共重合化が可能なビニル芳香族モノマーのいくつかの例には、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−ビニルトルエンなどの種々のアルキルスチレンが含まれる。1,3−ブタジエンのみとの共重合には、または1,3−ブタジエンおよびイソプレンとの三元重合には、スチレンが好ましい。当業者にとって、イソオレフィンおよびジオレフィンの範囲が合計で100%となるように調整するべきであるということは自明である。
【0022】
フィラーは無機物の粒子から構成され、具体的には、シリカ、ケイ酸塩、粘土(ベントナイトなど)、石膏、アルミナ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、タルクなど、およびそれらの混合物が挙げられる。これらの無機物粒子はその表面にヒドロキシル基を有し、粒子に親水性および疎油性を付与する。これにより、粒子を均質に分散させることや、フィラー粒子とブチルエラストマーとの間に良好な相互作用を成立させることがさらに困難になる。多くの目的のために、無機物はシリカであることが好ましく、特に、ケイ酸ナトリウムの二酸化炭素による沈降によって調製されるシリカが特に好ましい。
【0023】
本発明に従って用いるのに適する乾燥アモルファスシリカ粒子の凝集体の平均粒子サイズは、1〜100μmの範囲、好ましくは10〜50μmの範囲、最も好ましくは10〜25μmの範囲である。凝集粒子の10体積%未満が5μm未満のサイズまたは50μmを超えるサイズであることが好ましい。適切な乾燥アモルファスシリカは、さらにDIN(ドイツ工業規格)66131に従って測定されるBET表面積が1gあたり50〜450m2の範囲であり、かつDIN53601に従って測定されるDBP吸着量がシリカ100gあたり150〜400gの範囲であり、かつDIN・ISO787/11に従って測定される乾燥減量が0〜10重量%の範囲である。適切なシリカフィラーは、PPG Industries Inc.から、HiSil(登録商標)210、HiSil(登録商標)233およびHiSil(登録商標)243の商標の下で市販されている。Bayer AG からのVulkasil(登録商標)SおよびVulkasil(登録商標)Nも適切なものである。
【0024】
本発明のハロブチルエラストマー組成物には、通常カーボンブラックをフィラーとして用いない。しかし、いくつかの態様において、40phrまでの量のカーボンブラックが存在していてもよい。無機フィラーがシリカであり、カーボンブラックを一緒に用いる場合、シリカは、シリカおよびカーボンブラックの合計の少なくとも55重量%を構成すべきである。本発明のハロブチルエラストマー組成物を他のエラストマー組成物と混合する場合、他の組成物がフィラーとしてカーボンブラックを含んでいてもよい。
【0025】
ハロブチルエラストマー内に組み込まれるフィラーの量は、上限値と下限値の間の広い範囲で変わり得る。通常、フィラーの量はエラストマー100重量部あたり20〜120重量部の範囲内であり、30〜100重量部が好ましく、40〜80重量部がより好ましい。
【0026】
無機フィラーの表面を変性するのに用いられる、少なくとも一つのOH含有基および少なくとも一つの塩基性窒素含有基を含む有機化合物は、(いかなる特定の理論にも拘束されないが)無機フィラーと反応し得るOH含有基少なくとも一つと、(同様に特定の理論に拘束されないが)ハロゲン化ブチルエラストマー中の活性ハロゲン(例えば、臭素化ブチルエラストマー中の活性臭素原子)と反応し得る塩基性窒素を有する基少なくとも一つとを含む。水酸基を含む官能基(OH含有基)は、例えば、アルコールまたはカルボン酸であってもよい。塩基性窒素原子を含む官能基としては、アミン(特に第一アミンおよび第二アミン)ならびにアミドが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0027】
少なくとも一つのOH含有基および少なくとも一つの塩基性窒素含有基を有し、ハロブチルエラストマーと特にシリカとの混合物の物理的特性を強化する有機化合物の例には、タンパク質、アスパラギン酸、6−アミノカプロン酸、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンが含まれる。好ましい添加物はタンパク質であり、これは直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0028】
タンパク質としては、既知の方法で変性し得るダイズタンパク質がより好ましい。好ましいダイズタンパク質の例には、アメリカ合衆国のProtein Technologies International 社から市販されているProCote(商標)5000などのProCote(商標)ファミリーのタンパク質が含まれる。
【0029】
少なくとも一つのOH含有基および少なくとも一つの塩基性窒素含有基を有する有機化合物の量は、各特定化合物の分子量/当量に依存する。重要な因子の一つは、化合物の単位重量あたりの窒素の数/重量である。窒素のレベルは、ハロブチルゴム100部あたり、0.1〜5部(phr)の範囲であればよく、0.125〜1phrが好ましく、0.3〜0.7phrがより好ましい。プロセスオイルは、エラストマー100部あたり40部まで存在してもよく、好ましくは5〜20部である。さらに、例えばステアリン酸のような脂肪酸などの潤滑剤は3重量部まで存在してもよく、2重量部まで存在することが好ましい。
【0030】
無機フィラーの表面変性は多くの方法によって実施され得る。一つの可能な方法は、少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む有機化合物と、低沸点の有機溶媒、例えばアセトンとを混合し、得られる有機化合物と低沸点の有機溶媒とのスラリーに水/アルコール混合物、例えば水/グリセロール混合物を添加し、得られる分散体を水中の無機フィラーに激しく撹拌しながら添加し、混合物を数分から数時間撹拌し、低沸点有機溶媒を蒸発させ、少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む有機化合物が分解されない温度において真空乾燥器中で表面変性無機フィラーを乾燥させる、という方法である。
【0031】
少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む有機化合物で表面が変性された無機フィラーの少なくとも一つと混合されるハロブチルエラストマーは、別のエラストマーまたはエラストマーコンパウンドとの混合物であってもよい。ハロブチルエラストマーの割合は、このような混合物の5%を超えるべきである。好ましくは、ハロブチルエラストマーはこのような混合物の少なくとも10%を占めるべきである。ある場合には、混合物を用いるのではなく、単独のエラストマーとしてハロブチルエラストマーを用いることが好ましい。しかしながら、混合物を用いる場合、他のエラストマーは、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンもしくはポリクロロプレンまたはこれらのエラストマーを一つ以上含むエラストマーコンパウンドであってもよい。
【0032】
フィラー添加ハロブチルエラストマーを硬化させて製品を得ることができ、この製品は例えば、耐摩耗性、転がり抵抗および牽引摩擦などの特性が改善されている。硬化は硫黄により行うことができる。好ましい硫黄の量は、ゴム100部あたり0.3〜2.0重量部の範囲である。酸化亜鉛などの活性化剤を5〜2重量部の量で用いてもよい。他の成分、例えばステアリン酸、酸化防止剤または硬化促進剤を、硬化の前にエラストマーに添加してもよい。次いで、硫黄による硬化を既知の方法で実施する。例えば、"Rubber Technology", 第三版, Chapman and Hall 発行(1995年)第二章 "The Compounding and Vulcanization of Rubber" を参照することができる。。
【0033】
ハロブチルエラストマーを硬化させることが知られている他の硬化剤を用いてもよい。BIIRを硬化させる多数の化合物が知られており、例えば、ビスジエノフィル(例えば、HVA2=m−フェニレン−ビス−マレイミド)フェノール樹脂、アミン、アミノ酸、過酸化物、酸化亜鉛などがある。上記の硬化剤を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
ハロブチルエラストマー、表面変性無機フィラーおよび所望により添加物を、25〜200℃の範囲の適切な温度で一緒に混合する。混合段階のうちの一段階における温度は60℃を超えることが好ましく、90〜150℃の範囲の温度であることが特に好ましい。通常、混合時間が一時間を超えることはなく、通常、2〜30分間の範囲の時間が適切である。2本ロールミル混合装置上で混合を行うことが適切であり、これにより、エラストマー中にフィラーを完全に分散できる。バンバリーミキサーまたはハーケもしくはブラベンダー小型密閉式ミキサー中で混合を行ってもよい。押出機でも十分に混合することができ、そして押出機は混合時間をより短くすることが可能であるというさらなる利点を有する。二つ以上の段階で混合を実施することも可能である。さらに、異なる装置で混合を行うことも可能であり、例えば、一つの段階を密閉式ミキサーで実施し、別の段階を押出機で実施する。
異なる成分をゴムに添加する順序は重要ではない。
【0035】
分散のレベルをより高め、フィラーとハロブチルエラストマーとの間の相互作用もより良好なものとすることにより、混合時間が好都合に短くなるだけでなく、フィラー添加エラストマーの特性も改善される。改善された特性には、より大きい引張強さ、より優れた耐摩耗性、より低い透過性およびより優れた動的特性が含まれる。このことによって、フィラー添加エラストマーが、タイヤのトレッド、タイヤのサイドウォール、タイヤのインナーライナー、タンクライニング、ホース、ローラー、ベルトコンベヤーのベルト、加硫ブラダー、ガスマスク、医薬封入材およびパッキン(ただし、これらには限定されない)における使用を含む、多数の応用に特に適したものとなる。補強の強化と共にこれらの長所が実現する。
【0036】
本発明の好ましい態様において、臭素化ブチルエラストマー、タンパク質被覆化無機フィラー粒子および所望によりプロセスオイル増量剤を、25℃の呼称ミル温度にて2本ロールミル上で混合する。次いで、この混合物を2本ロールミル上に置き、60℃を超える温度で混合する。混合の温度は150℃を超えないことが好ましい。温度がこれより高くなれば、硬化が望ましくない程度にまでさらに進行するかもしれず、したがって、その後の加工が妨げられるからである。これらの成分の混合による生成物、特に、温度が150℃を超えなかったものは、良好な応力ひずみ特性を有し、かつ硬化剤を暖かいミル上で添加するというさらなる加工を容易に実施できる混合物である。
【0037】
本発明のフィラー添加ハロブチルゴム組成物、特にフィラー添加臭素化ブチルゴム組成物には多数の用途があることが分かる。しかし、タイヤのトレッド組成物における使用について特に言及する。タイヤのトレッド組成物の重要な特徴は、タイヤのトレッド組成物が特に雨天で小さい転がり抵抗および良好な牽引力と、良好な耐摩耗性とを有することであり、それにより摩耗に対する抵抗性を持つことである。スコーチ対策の改善は行われているものの、有機変性剤も水和金属ハロゲン化物も含んでいないコンパウンドと比較した場合、本発明の組成物の摩耗に対する抵抗性は改善されていることが示される。以下の実施例中で示されるように、本発明の組成物は、スコーチ対策が強化され、摩耗に対する抵抗性が改善されていることが示される。それゆえに、本発明のフィラー添加ハロブチルゴム組成物を硬化させることによって得ることができる、フィラーが添加され、硬化され、成形された、少なくとも一つのハロブチルエラストマーおよび少なくとも一つの無機フィラーを含有する物品であって、少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む有機化合物で当該無機フィラーの表面が変性されている物品も、本発明に包含される。
【0038】
本発明のフィラー添加ハロブチルエラストマーをさらに別のゴム、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムおよびイソプレンゴム、ならびにこれらのエラストマーを含有するコンパウンドと混合することができる。
【0039】
本発明およびその好ましい実施態様を記載する。
1.少なくとも一つのハロブチルエラストマーを少なくとも一つの表面変性無機フィラーと混合する工程を含んでなり、該無機フィラーの表面は、該ハロブチルエラストマーとの混合の前に、少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む少なくとも一つの有機化合物で変性されており、該有機化合物は、タンパク質、アスパラギン酸、6−アミノカプロン酸、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群から選択される、金属ハロゲン化物を含まない、ハロブチルエラストマーおよび無機フィラーを含有する組成物を製造する方法。
2.塩基性窒素含有基がアミノ基である上記1項に記載の方法。
3.OH含有基がカルボキシル基である上記1項または2項に記載の方法。
4.有機化合物がタンパク質である上記1項に記載の方法。
5.フィラーがシリカである上記1〜4項のいずれかに記載の方法。
6.フィラー添加ハロブチルエラストマーをさらに別のエラストマーまたはエラストマーコンパウンドと混合し、続いて硬化させる上記1〜5項のいずれかに記載の方法。
7.少なくとも一つのハロブチルエラストマーおよび表面変性無機フィラー粒子を含有し、該無機フィラーの表面少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む有機化合物で変性されており、該有機化合物は、タンパク質、アスパラギン酸、6−アミノカプロン酸、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群から選択される、金属ハロゲン化物を含まない、フィラー添加ハロブチルエラストマー組成物。
8.上記7項に記載の組成物を硬化させることによって製造された、金属ハロゲン化物を含まない、フィラーが添加された硬化成形品。
9.車両用タイヤのトレッドの形状である上記8項に記載の成形品。
10.車両用タイヤのインナーライナーの形状である上記8項に記載の成形品。
【0040】
【実施例】
本発明を、以下の実施例および添付図面により、さらに詳しく説明する。
試験の説明:
耐摩耗性:DIN 53-516(60グリットエメリー研磨紙)
硬化レオメトリー(流動度測定):ASTMD 52-89 MDR2000E レオメータ、1°および1.7Hzにて
動的特性試験:
GABOを用いて動的試験(0℃および60℃におけるtanδ、60℃における損失弾性率)を実施した。GABOは、加硫エラストマー材料の性質の特性付けを行うための動的機械分析装置である。動的特性は、牽引摩擦の目安を与え、通常最良の牽引摩擦は0℃における高いtanδ値により得られる。60℃におけるtanδの低い値、および特に60℃における低い損失弾性率は、転がり抵抗が小さいことの指標である。Alpha Technologies製 RPA2000を用いて、操作温度100℃、回転数6cpmにてRPA測定値を得た。0.1度、0.2度、0.5度、1度、2度、5度、10度、20度、50度および90度のひずみにおいて、ひずみスイープを測定した。
【0041】
コンパウンドのムーニースコーチ:小型ローターを用いて135℃で測定を行った。小型ローターを用いて得られたt03値は、一般的に引用されるt05値(大型ローター)に相当する。
【0042】
応力−ひずみ:170℃でtc90+5分間かけてマクロシートを硬化させてサンプルを製造し、その後に適切なサンプルを十分に染色した。試験は23℃で実施した。
【0043】
材料および一般的な混合方法の説明:
Hi-Sil(登録商標)233(シリカ):PPG 社の製品
Sunpar(登録商標)2280:Sun Oil 社製パラフィン油
Maglite(登録商標)D:C. P. Hall 社製酸化マグネシウム
N,N−ジメチルアミノエタノール(DMAE):Aldrich Chemical Co.製
ProCote(商標)5000(PC5000):Protein Technologies International (米国) 製
【0044】
Mokon を40℃に、ローター速度を77RPMに設定した1.57リットルのバンバリータンジェンシャルミキサー中で、臭素化ブチルエラストマーであるBayer(登録商標)BB2030、タンパク質変性シリカおよび油を混合した。混合時間の合計は6分間であった。次いで、6インチ×12インチミルのサンプルを25℃を冷却し、硬化剤を添加した。
【0045】
実施例 1
以下、タンパク質変性シリカHSPC100の調製について詳述する。
66gのProCote(商標)5000を600mLのアセトンに激しく撹拌しながら添加した。600mLの脱イオン水、次いで150mLのグリセロールをProCote(商標)5000/アセトンスラリーに添加した。0.5時間撹拌した後、この分散体を、3000mLの水中の500gのHiSil(登録商標)233の懸濁液に激しく撹拌しながら添加した。撹拌のレベルは、誘導化(変性)の全期間を通じて不均一懸濁液を安定に維持できるものでなければならない。この混合物を24時間撹拌して、HiSil(登録商標)233を確実に変性し、アセトンを蒸発させ、次いで官能化シリカを、通常の真空乾燥器により50℃で乾燥した。
【0046】
実施例 2
臭素化ブチルゴム、Maglite(登録商標)Dおよび所望によりDMEAを含有するコンパウンドにおける、強化の程度(M300/M100値で示される)、シリカの分散度(低ひずみでのG*)、DIN耐摩耗性およびスコーチ対策(分で表されるt03時間で示される)に与える、タンパク質変性シリカHSPC100の影響について検討した。グリセロールおよび水と共に従来のHiSil(登録商標)233およびタンパク質(PC5000)を含有するコンパウンドを対照として使用した。検討したすべてのコンパウンドは、0.5phrの硫黄、1.5phrの酸化亜鉛および1.0phrのステアリン酸の混合物を硬化系として利用した。
【0047】
上記の条件の密閉式バンバリーミキサー中で、臭素化イソプレンイソブチレンゴム(BIIR)であるBayer(登録商標)BB2030を、ゴム100部あたり60部(phr)のタンパク質変性シリカフィラー(HSPC100)と混合した。対照には、表面変性HSPC100の代わりに通常のHiSil(登録商標)233およびPC5000を、グリセロールおよび水と共に用いた。次いで、同一の硬化剤成分(1phrのステアリン酸、0.5phrの硫黄および1.5phrのZnO)を、冷却したミル上で各コンパウンドに添加した。次いで、これらのコンパウンドを170℃でtc 90 +10分間(DIN摩耗性試験のため)または170℃でtc 90 +5分間のいずれかで硬化させ、試験した。表1に、生成物の組成を重量部で示す。
【0048】
【表1】
Figure 0004322046
【0049】
表2は、コンパウンド2a〜2fの分析データのリストである。
【表2】
Figure 0004322046
【0050】
表2および図1から分かるように、通常のHiSil(登録商標)233の代わりにHSPC100を用いたコンパウンドについては、強化が顕著に改善されている。重要なことは、ProCote(商標)5000、水およびグリセロールと共に非変性HiSil(登録商標)233を利用したコンパウンドについて見られる程度よりも、強化の程度が優れていることである。
【0051】
HSPC100とBB2030との適合性が改善されたことは、図2から明白である。通常、低ひずみ(約0.28%)において複素弾性率G*の値が小さいことは、フィラーの分散が良好であることを示す。それゆえに、G*の値が小さいほどフィラーの集合/凝集が少なくなり、したがってフィラーの分散性がより良好なものとなる。表2および図2で表されるデータから、HiSil(登録商標)233の代わりにHSPC100を利用したコンパウンドのフィラーの分散性のレベルが向上することが明確に示される。
【0052】
表2および図3から分かるように、HSPC100を利用することによって、得られる加硫物の動的特性までもが改善される。重要なことは、HSPC100を利用したコンパウンドについての0℃におけるtanδの値が、強化フィラーとしてHiSil(登録商標)233を組み込んだ対応コンパウンドについて見られるその値よりもはるかに大きいことである。この場合も、この知見はフィラーとエラストマーの連続相との間の相互作用のレベルが向上したことと一致する。
【0053】
表2および図1〜3で示されるデータは、官能化前のHiSil(登録商標)233の利点を説明するのにも役立つ。特に、HiSil(登録商標)233、ProCote(商標)5000、水およびグリセロール(密閉式バンバリーミキサーに一緒に添加)を配合したコンパウンドについて得られた物理的特性は、HSPC100を利用したコンパウンドが有する物理的特性よりも劣っていることが分かった。
【0054】
実施例 3
以下に、タンパク質変性シリカHSPC050の調製について詳述する。
33gのProCote(商標)5000を300mLのアセトンに激しく撹拌しながら添加した。300mLの脱イオン水、次いで75mLのグリセロールをProCote(商標)5000/アセトンスラリーに添加した。0.5時間撹拌した後、この分散体を、3000mLの水中の500gのHiSil(登録商標)233の懸濁液に激しく撹拌しながら添加した。撹拌のレベルは、誘導化の全期間を通じて不均一懸濁液を安定に維持できるものでなければならない。この混合物を24時間撹拌して、HiSil(登録商標)233を確実に変性し、アセトンを蒸発させ、次いで官能化シリカを、通常の真空乾燥器により50℃で乾燥した。
【0055】
実施例 4
臭素化ブチルゴム、Maglite(登録商標)Dおよび所望によりDMEAを含有するコンパウンドにおける、強化の程度(M300/M100値で示される)、シリカの分散度(低ひずみでのG*)、DIN耐摩耗性およびスコーチ対策(分で表されるt03時間で示される)に与える、タンパク質変性シリカHSPC050の影響について検討した。従来のHiSil(登録商標)233を含有するコンパウンドを対照として使用した。検討されたすべてのコンパウンドは、0.5phrの硫黄、1.5phrの酸化亜鉛および1.0phrのステアリン酸混合物を硬化システムとして利用した。
【0056】
上記の条件の密閉式バンバリーミキサー中で、臭素化イソプレンイソブチレンゴム(BIIR)であるBayerBB2030を、ゴム100部あたり60部(phr)のタンパク質変性シリカフィラー(HSPC050)と混合した。対照には、表面変性HSPC050の代わりに通常のHiSil(登録商標)233を用いた。次いで、同一の硬化剤成分(1phrのステアリン酸、0.5phrの硫黄および1.5phrのZnO)を、冷却したミル上で各コンパウンドに添加した。次いで、これらのコンパウンドを170℃でtc 90 +10分間(DIN摩耗性試験のため)または170℃でtc 90 +5分間のいずれかで硬化させ、試験を行った。表3に、生成品の組成を重量部で示す。
【0057】
【表3】
Figure 0004322046
【0058】
表4ではコンパウンド4a〜dの分析結果を示す。
【表4】
Figure 0004322046
【0059】
表4および図4〜6に示されたデータから分かるように、HiSil(登録商標)233の代わりにHSPC050を用いることにより、最終的な加硫物の物理的特性および動的特性が改善される。重要なことは、HSPC100中のProCote(商標)5000よりもHSPC050中のそれの方が少ないことにより、強化のレベル(M300/M100)が改善され、そして磨耗減量が低減する(表4参照)。この知見から、許容される程度に十分な表面変性を行うと、最終的な加硫物に不都合な可塑化の影響を与えることはない一方、ProCote(商標)5000には最適レベルが存在することが示される。
【0060】
実施例 5
以下に、タンパク質変性シリカHSPC025の調製について詳述する。
【0061】
16.5gのProCote(商標)5000を150mLのアセトンに激しく撹拌しながら添加した。150mLの脱イオン水、次いで37.5mLのグリセロールをProCote(商標)5000/アセトンスラリーに添加した。0.5時間撹拌した後、この分散体を、3000mLの水中の500gのHiSil(登録商標)233の懸濁液に激しく撹拌しながら添加した。撹拌のレベルは、誘導化の全期間を通じて不均一懸濁液を安定に維持できるものでなければならない。この混合物を24時間撹拌して、HiSil(登録商標)233を確実に変性し、アセトンを蒸発させ、次いで官能化シリカを、通常の真空乾燥器により50℃で乾燥した。
【0062】
実施例 6
HSPC100からHSPC050への移行の際に観察される傾向(HSPC050には、HSPC100に対して約50%のProCote(商標)5000が存在する)を考慮して、(HSPC100の生成時に用いられたProCote(商標)5000の約25%を利用する)HSPC025の強化効果を検討した。特に、臭素化ブチルゴム、Maglite(登録商標)Dおよび所望によりDMEAを含有するコンパウンドにおける、強化の程度(M300/M100の値で示される)、シリカの分散度の程度、DIN耐摩耗性およびスコーチ対策(分で表されるt03時間で示される)に与える、タンパク質変性シリカHSPC025の影響について検討した。従来のHiSil(登録商標)233を含有するコンパウンドを対照として使用した。検討されたすべてのコンパウンドは、0.5phrの硫黄、1.5phrの酸化亜鉛および1.0phrのステアリン酸混合物を硬化システムとして利用した。
【0063】
上記の混合条件の密閉式バンバリーミキサー中で、臭素化イソプレンイソブチレンゴム(BIIR)であるBayer BB2030を、ゴム100部あたり60部(phr)のタンパク質変性シリカフィラー(HSPC025)と混合した。対照には、表面変性HSPC025の代わりに通常のHiSil(登録商標)233を用いた。次いで、同一の硬化剤成分(1phrのステアリン酸、0.5phrの硫黄および1.5phrのZnO)を、冷却したミル上で各コンパウンドに添加した。次いで、これらのコンパウンドを170℃でtc 90 +10分間(DIN摩耗性試験のため)または170℃でtc 90 +5分間のいずれかで硬化させ、試験を行った。表5に、生成物の組成を重量部で示す。
【0064】
【表5】
Figure 0004322046
【0065】
表6ではコンパウンド6a〜dの分析結果を示す。
【表6】
Figure 0004322046
【0066】
表6に示され、図7〜9に描かれたデータから分かるように、HiSil(登録商標)233に基づく類似物と比較して、HSPC025を用いることにより最終的な加硫物の物理的特性および動的特性が向上する。加えて、HSPC025中に存在するProCote(商標)5000のレベルが(HSPC100およびHSPC025と比較して)低減されていることによって、M300/M100が優れた値に到達することや、物理的特性および動的特性が改善される上に、DIN耐摩耗性のレベルをより高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2で調製した組成物におけるひずみと応力の関係を示すグラフ。
【図2】 実施例2で調製した組成物におけるひずみと複素弾性率の関係を示すグラフ。
【図3】 実施例2で調製した組成物における温度とtanδの関係を示すグラフ。
【図4】 実施例3で調製した組成物におけるひずみと応力の関係を示すグラフ。
【図5】 実施例3で調製した組成物におけるひずみと複素弾性率の関係を示すグラフ。
【図6】 実施例3で調製した組成物における温度とtanδの関係を示すグラフ。
【図7】 実施例6で調製した組成物におけるひずみと応力の関係を示すグラフ。
【図8】 実施例6で調製した組成物におけるひずみと複素弾性率の関係を示すグラフ。
【図9】 実施例6で調製した組成物における温度とtanδの関係を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 少なくとも一つのハロブチルエラストマーを少なくとも一つの表面変性無機フィラーと混合する工程を含んでなり、該無機フィラーの表面は、該ハロブチルエラストマーとの混合の前に、少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む少なくとも一つの有機化合物で変性されており、該有機化合物は、タンパク質、アスパラギン酸、6−アミノカプロン酸、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群から選択される、金属ハロゲン化物を含まない、ハロブチルエラストマーおよび無機フィラーを含有する組成物を製造する方法。
  2. OH含有基がカルボキシル基である請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも一つのハロブチルエラストマーおよび表面変性無機フィラー粒子を含有し、該無機フィラーの表面少なくとも一つの塩基性窒素含有基および少なくとも一つのOH含有基を含む有機化合物で変性されており、該有機化合物は、タンパク質、アスパラギン酸、6−アミノカプロン酸、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンからなる群から選択される、金属ハロゲン化物を含まない、フィラー添加ハロブチルエラストマー組成物。
  4. 請求項3に記載の組成物を硬化させることによって製造された、車両用タイヤのトレッドの形状である、金属ハロゲン化物を含まない、フィラーが添加された硬化成形品。
  5. 請求項3に記載の組成物を硬化させることによって製造された、車両用タイヤのインナーライナーの形状である、金属ハロゲン化物を含まない、フィラーが添加された硬化成形品。
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