JP2012117001A - ジエン系ゴム補強用変性カーボンブラックの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子表面に炭素−炭素二重結合を導入することで分散性を向上したジエン系ゴム補強用変性カーボンブラックを提供する。
【解決手段】カーボンブラックに対する電子線照射により、分子内にHC=CR−(但し、Rは水素原子又はメチル基)で表される基を少なくとも2つ有する化合物をカーボンブラックに反応させて、変性カーボンブラックを得る。また、ゴム組成物を調製する際に、ジエン系ゴムからなるゴム成分に、該変性カーボンブラックを混合し、得られた混合物に加硫剤を添加し混合する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジエン系ゴムを含むゴム組成物において補強剤として用いられるジエン系ゴム補強用変性カーボンブラック及びその製造方法に関し、また、該変性カーボンブラックを用いたゴム組成物及びその製造方法に関するものである。
カーボンブラックは、通常高温で製造されるため、粒子表面に官能基が少ない。そのため、例えば、ゴム組成物の補強剤として用いる場合、ゴムポリマーとの反応性に乏しく、分散させることは容易ではない。
従来、例えば、下記特許文献1には、合成樹脂や溶剤中へのカーボンブラックの分散性を向上するために、多孔性カーボンブラックの微細孔中にビニル系単量体を充填し重合させることで、該重合体をカーボンブラックの微細孔壁にグラフトさせることが開示されている。
下記特許文献2には、静電荷像現像用トナーに用いられるカーボンブラック顔料としてその分散性を向上するために、ラジカル重合性単量体をラジカル重合し、ラジカル重合過程における重合体の成長ラジカルが失活しないうちに、該重合体とカーボンブラックを接触処理させることでカーボンブラックを処理する技術が開示されている。
下記特許文献3には、高度の遮光性及び黒色度を有するブラックマトリクス用カーボンブラックを得るために、酸化処理したカーボンブラック表面のカルボキシル基や水酸基等の官能基をアゾ基に変換して基幹とし、該基幹にビニル系モノマーをラジカルグラフト重合させることが開示されている。
特開平06−066706号公報 特開平09−324134号公報 特開2003−041149号公報 特開2008−120951号公報
上記のように従来、カーボンブラックに化合物を付与する技術は知られているが、これらは、ジエン系ゴムを含むゴム組成物において補強剤として用いられるカーボンブラックに関するものではない。また、炭素−炭素二重結合を両末端に有する化合物を電子線照射によるラジカル重合技術を用いてカーボンブラックに付与する点も開示されていない。ラジカル重合により化合物をカーボンブラックに付与させる手法としては、例えば、UV/光照射による手法が考えられるが、この手法では強度が低く、十分な反応を起こさせることができない。また、プラズマ処理では、複雑な気体を生成してしまうという問題がある。また、γ線照射ではラジカル発生量が少なく、更に、X線や中性子線の照射ではコストが高いという問題があり実用的ではない。
一方、上記特許文献4には、転がり抵抗を低減させ、耐摩耗性を向上させたゴム組成物を得るために、カーボンブラックを水蒸気プラズマ処理してカーボンブラック表面に水酸基を導入した後、シランカップリング剤を気相吸着させることで表面処理カーボンブラックを得ることが開示されている。しかしながら、この文献にも、電子線照射により炭素−炭素二重結合をカーボンブラックの粒子表面に導入することは開示されていない。
本発明者は、カーボンブラックに電子線を照射し、両末端に炭素−炭素二重結合を有する化合物を付与することにより、官能基が少なくジエン系ゴムとの反応性に乏しいカーボンブラックの粒子表面に炭素−炭素二重結合を導入することができ、これをゴムに練り込むことで加硫時にジエン系ゴムとカーボンブラックの二重結合部分が架橋され、カーボンブラックの分散性が向上できることを見い出した。本発明は、かかる知見に基づくものであり、粒子表面に炭素−炭素二重結合を導入することで分散性を向上したジエン系ゴム補強用変性カーボンブラックを提供することを目的とする。
本発明に係るジエン系ゴム補強用変性カーボンブラックの製造方法は、カーボンブラックに電子線を照射する工程と、分子内にHC=CR−(但し、Rは水素原子又はメチル基)で表される基を少なくとも2つ有する化合物を前記カーボンブラックに付与する工程と、を含むものである。
本発明に係るゴム組成物の製造方法は、ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に、上記で得られた変性カーボンブラックを10〜200質量部混合し、得られた混合物に加硫剤を0.1〜10質量部添加し混合することを特徴とするものである。
本発明に係るジエン系ゴム補強用変性カーボンブラックは、カーボンブラックに対する電子線照射により、分子内にHC=CR−(但し、Rは水素原子又はメチル基)で表される基を少なくとも2つ有する化合物を、前記カーボンブラックに反応させたことを特徴とするものである。また、本発明に係るゴム組成物は、ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部と、該変性カーボンブラック10〜200質量部と、加硫剤0.1〜10質量部とを含有するものである。
本発明によれば、電子線照射を用いてカーボンブラックの表面に炭素−炭素二重結合を導入することができるので、該カーボンブラックをゴム組成物に配合する際に、ジエン系ゴムとカーボンブラックとの間で加硫剤による架橋が起こり、カーボンブラックの分散性を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施形態において、変性カーボンブラックを得るための処理対象とするカーボンブラックとしては、加硫ゴムを補強するためのゴム用補強剤(補強性充填剤)として使用可能な各種カーボンブラックが挙げられ、特に限定されない。特に、タイヤ用ゴム補強剤として用いる場合、窒素吸着比比表面積(NSA)が20〜150m/gであるものが好ましく用いられる。具体的には、ゴム用補強剤として使用されているSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF等の各種カーボンブラックを用いることができる。一般に、カーボンブラックは、粒子径が小さいほど分散性に劣る傾向があるので、小粒径のものほど、本発明による分散性の向上効果が大きくなる。そのため、処理対象とするカーボンブラックの窒素吸着比表面積が大きいほど、例えば、80m/g以上、より好ましくは100m/g以上である場合に、より優れた分散性の向上効果が得られる。ここで、窒素吸着比表面積は、JIS K6217に準じて測定される値である。
本実施形態では、カーボンブラックに電子線を照射する。電子線を照射することにより、炭素を主成分とするカーボンブラックの粒子表面にラジカルを発生させることができる。その場合、できるだけ均一に変性するために、カーボンブラックを薄く広げておいて電子線を照射することが好ましい。
電子線の照射は、公知の電子線照射装置を用いて行うことができ、その照射条件としては、特に限定されないが、室温中において、加速電圧が1〜5MVであり、照射線量が10〜400kGy、より好ましくは50〜250kGyであることが好ましい。
このようにして電子線照射したカーボンブラックに対し、発生したラジカルが存在している段階で(即ち、ラジカルが消失する前に)、変性剤としてのモノマーを付与する。ここで、モノマーとは、ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2つ有する低分子化合物をさす。ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合としては、HC=CR−(但し、Rは水素原子又はメチル基)で表される不飽和基が挙げられ、該不飽和基を分子内に2つ以上有する化合物が用いられる。
より詳細には、好ましいモノマーは、下記一般式(1)で表される。
Figure 2012117001
式中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基、Aは酸素原子、珪素原子を含んでもよい炭素数1〜30の2価の有機基、nは0又は1を表す。Aは、より好ましくは、エステル結合(−COO−)、エーテル結合(−O−)及びシロキサン結合(−SiO−)のいずれか1種以上を含んでもよい炭素数1〜30の2価の有機基である。
より詳細には、モノマーとしては、ラジカル重合に必要なビニル基(HC=CH−)、イソプロペニル基(HC=C(CH)−)、アリル基(HC=CH−CH−)のいずれかを両末端に有する化合物であり、例えば、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、イソプレンなどの脂肪族炭化水素系のジエン化合物(上記nが0、又はn=1かつAが炭素数1〜10のアルキレン基)、ジビニルベンゼンなどの芳香族系ジエン化合物(上記Aが芳香環を含む2価の基)、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ビニルポリジメチルシロキサンなどの珪素含有ジエン化合物(上記Aがシロキサン結合を含む2価の基)、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を末端又は両端に有するジエン化合物(上記Aがエステル結合を含む2価の基)などが挙げられる。これらは、いずれか1種、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックに対するモノマーの付与方法としては、特に限定されず、例えば、モノマーが液体の場合、そのまま又は水などの溶媒で希釈し、あるいはまた、モノマーが固体の場合、水などの溶媒に溶解することにより、モノマー液(モノマーを含有する液体)を調製し、該モノマー液とカーボンブラックを混合したり、カーボンブラックを攪拌しながら該モノマー液をスプレー噴霧してもよい。上記モノマーが気体の場合、モノマーを充填した雰囲気内にカーボンブラックを置くことによっても、モノマーを付与することができる。
カーボンブラックにモノマーを付与した後、所定時間放置させる。なお、放置させる際に、オーブンなどに入れて加温(例えば、30〜80℃)してもよい。その後、メタノール等で洗浄し、未反応のモノマーや、モノマー同士が重合してなるホモポリマーを除去する。
上記実施形態では、カーボンブラックに電子線を照射した後にモノマーを付与したが、モノマーを付与してから電子線照射しても構わない。例えば、カーボンブラックと上記モノマー液とを混合し、浅い皿状の容器に該混合液を薄く広げておいて、その上面から電子線を照射してもよい。このように、本発明では、カーボンブラックに電子線を照射してから、電子線照射されたカーボンブラックに上記モノマーを付与してもよく、あるいはまた、カーボンブラックに上記モノマーを付与してから、該カーボンブラックに電子線を照射してもよく、更には、電子線の照射とモノマーの付与を同時に行ってもよく、いずれによっても上記モノマーをカーボンブラックに反応させることができる。
以上により、上記モノマーを付加してなる変性カーボンブラックが得られる。より詳細には、上記モノマーは、分子内に有する炭素−炭素二重結合部分が、ラジカル重合反応により、カーボンブラックに反応する。すなわち、電子線照射により発生したカーボンブラックの粒子表面のラジカルに対し、モノマーの炭素−炭素二重結合が反応することにより、該モノマーがカーボンブラックの粒子表面に結合する。モノマーは炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2つ有するので、その内の1つの炭素−炭素二重結合部分でカーボンブラックに結合することにより、他の少なくとも1つの炭素−炭素二重結合部分をカーボンブラックの粒子表面に導入することができる。なお、ラジカル重合反応により該モノマーが順次に連結していくことにより、該モノマーが連結してなる重合体部分が側鎖としてカーボンブラックの粒子表面に形成されてもよい。
上記モノマーの付加量(即ち、反応量)は、特に限定されるものではないが、処理前のカーボンブラック100質量部に対して、0.01〜100質量部であることが好ましい。
このようにして得られた変性カーボンブラックは、ジエン系ゴムを含むゴム組成物において補強剤(補強性充填剤)として好適に用いられる。具体的には、ジエン系ゴムからなるゴム成分に、上記変性カーボンブラックを混合し、得られた混合物に加硫剤を添加し混合することにより、ゴム組成物を調製することが好ましい。上記変性カーボンブラックは粒子表面に炭素−炭素二重結合が導入されているので、加硫時に、ジエン系ゴムとカーボンブラックとの間で架橋が起こり、カーボンブラックの分散性を向上することができる。すなわち、変性カーボンブラックは、導入された炭素−炭素二重結合部分が加硫剤と反応するので、加硫剤を介してゴム成分であるジエン系ゴムに結合することができる。従って、ジエン系ゴムとの反応性を良くして、分散性を向上することができる。このようにカーボンブラックの分散性を向上することができるので、ゴム組成物のtanδを低く抑えて、低発熱性を改良することができ、例えば、タイヤ用ゴム組成物においては、タイヤの低燃費性を向上することができる。
ゴム組成物中における変性カーボンブラックの配合量は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。好ましくは、変性カーボンブラックの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、10〜200質量部とすることができ、より好ましくは20〜100質量部である。
上記ゴム成分としてのジエン系ゴムとしては、特に限定されず、ジエンモノマーを原料の少なくとも一部に用いてなり、ポリマー分子内に炭素−炭素二重結合を有する各種ジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR、例えば、臭素化ブチルゴム(BIIR)、塩素化ブチルゴム(CIIR)など)等が挙げられ、これらはいずれか1種単独で用いてもよく、また2種以上ブレンドして用いてもよい。これらの中でも、タイヤ用ゴム組成物の場合、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴムを用いることが好ましい。
上記加硫剤としては、特に限定されないが、硫黄及び硫黄含有化合物から選択される少なくとも1種の硫黄系加硫剤が好ましく用いられる。硫黄単体の場合、その形態は特に限定されず、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などを用いることができる。また、硫黄含有化合物としては、例えば、塩化硫黄、二塩化硫黄、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィドなどが挙げられる。加硫剤の配合量は上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
上記ゴム組成物には、上記変性カーボンブラックとともに、未変性のカーボンブラックを配合してもよい。また、シリカ等のカーボンブラック以外の充填剤を更に併用してもよい。該ゴム組成物には、更に、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を適宜配合することができる。なお、加硫促進剤としては、特に限定されず、スルフェンアミド系、チアゾール系、グアニジン系、チウラム系、チオウレア系などの各種の促進剤を1種、又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の配合量としては、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
該ゴム組成物は、通常のバンバリーミキサーやニーダーなどのゴム用混練機を用いて、常法に従い混練することで調製される。このようにして得られるゴム組成物の用途は、特に限定されず、トレッドやサイドウォール等のタイヤ、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種ゴム組成物に用いることができる。好ましくは、タイヤ用ゴム組成物として用いることであり、特に好ましくはトレッドゴムやサイドウォールゴムに好適に用いられ、常法に従い、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、空気入りタイヤを形成することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[第1実施例]
(変性カーボンブラック1:実施例)
SAF級カーボンブラック(東海カーボン株式会社製「シースト9」、NSA=142m/g)100質量部に、モノマーAとしてイソプレン20質量部をまぶして、厚み5mm程度に薄く広げ、その表面に対して、電子線照射装置を用いて、温度:室温、加速電圧:3MV、照射線量:200kGyの条件で、電子線を照射した。そのまま室温で4時間放置することにより、モノマーAを上記カーボンブラックに反応させた。その後、カーボンブラックをメタノールで十分に洗浄し、カーボンブラック表面に付着している未反応のモノマーAと、該モノマーAのホモポリマーを除去した。これにより、モノマーAで変性した変性カーボンブラック1を得た。得られた変性カーボンブラック1において、モノマーAの付加量は、カーボンブラック100質量部に対して1.0質量部であった(即ち、変性率=1.0質量%)。ここで、変性率は、変性前後のカーボンブラックの質量変化を、変性前のカーボンブラックの質量で割り、100をかけた値である。
(変性カーボンブラック2:実施例)
上記モノマーAに代えて、モノマーBとして1,7−オクタジエンを用いて、その他は変性カーボンブラック1と同様にして、モノマーBで変性した変性カーボンブラック2を得た。該変性カーボンブラック2において、モノマーBによる変性率は0.9質量%であった。
(変性カーボンブラック3:実施例)
上記モノマーAに代えて、モノマーCとして1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(CH2=CH-Si(CH3)2-O-Si(CH3)2-CH=CH2)を用いて、その他は変性カーボンブラック1と同様にして、モノマーCで変性した変性カーボンブラック3を得た。該変性カーボンブラック3において、モノマーCによる変性率は0.9質量%であった。
(変性カーボンブラック4:比較例)
上記変性カーボンブラック1の製造方法において、電子線照射をせず、その他は変性カーボンブラック1と同様にして、変性カーボンブラック4を得た。得られた変性カーボンブラック4について、モノマーAの付加量を調べたところ、付加量は0質量%であった。このことから、電子線照射していない変性カーボンブラック4では、モノマーAはカーボンブラック表面に結合しておらず、逆に、上記変性カーボンブラック1〜3ではモノマーが結合していることが分かる。
(変性カーボンブラック5:比較例)
上記変性カーボンブラック1の製造方法において、モノマーAを添加することなく、電子線照射し、その他は変性カーボンブラック1と同様にして、変性カーボンブラック5を得た。
(ゴム組成物の調製)
ゴム成分として天然ゴム(RSS3号)を用いるとともに、上記変性カーボンブラック1〜5と未変性カーボンブラック(東海カーボン株式会社製「シースト9」)を用い、下記表1に示す配合に従って、バンバリーミキサーを使用して実施例1−1〜3及び比較例1−1〜4のタイヤ用ゴム組成物を調製した。ゴム組成物の調製に際しては、常法に従い、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合して調製した。
各ゴム組成物には、共通配合として、ゴム成分100質量部に対し、アロマオイル(昭和シェル石油(株)製「エキストラクト4号S」)3質量部、老化防止剤(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)1質量部、ステアリン酸(工業用ステアリン酸)2質量部、酸化亜鉛(1号亜鉛華)3質量部、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)1.0質量部、硫黄(5%油処理粉末イオウ)2質量部を配合した。なお、比較例1−4では、モノマーAをゴム混合時に添加した。
得られた各ゴム組成物について、低燃費性の指標としてtanδを測定した。測定方法は以下の通りである。
・tanδ:160℃×30分で加硫した試験片について、JIS K6394に準じて、東洋精機製粘弾性試験機を用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪み10%、動歪み2%の条件で損失係数tanδを測定し、比較例1−1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほどtanδが小さく、発熱しにくいこと、即ち低燃費性に優れることを示す。
結果は表1に示す通りであり、電子線照射により炭素−炭素二重結合を付与した変性カーボンブラックを用いた実施例1−1〜3であると、未変性のカーボンブラックを用いたコントロールの比較例1−1に対し、tanδが顕著に低く、低燃費性に優れていた。これに対し、電子線照射を実施していない比較例1−2や、電子線照射を実施したもののモノマーを付与していない比較例1−3では、tanδの改善効果は見られなかった。このことから、実施例で用いた変性カーボンブラックでは、炭素−炭素二重結合を持つモノマーがカーボンブラックに結合し変性されていることは明らかである。なお、モノマーAをゴム混練時に添加した比較例1−4では、tanδの改善効果は見られなかった。
Figure 2012117001
[第2実施例]
(変性カーボンブラック6:実施例)
FEF級カーボンブラック(東海カーボン株式会社製「シーストSO」、NSA=42m/g)100質量部に、モノマーAとしてイソプレン20質量部をまぶして、厚み5mm程度に薄く広げ、その表面に対して、電子線照射装置を用いて、温度:室温、加速電圧:3MV、照射線量:200kGyの条件で、電子線を照射した。そのまま室温で4時間放置することにより、モノマーAを上記カーボンブラックに反応させた。その後、カーボンブラックをメタノールで十分に洗浄し、カーボンブラック表面に付着している未反応のモノマーAと、該モノマーAのホモポリマーを除去した。これにより、モノマーAで変性した変性カーボンブラック6を得た。得られた変性カーボンブラック6において、モノマーAによる変性率は0.7質量%であった。
(変性カーボンブラック7:実施例)
上記モノマーAに代えて、モノマーCとして1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(CH2=CH-Si(CH3)2-O-Si(CH3)2-CH=CH2)を用いて、その他は変性カーボンブラック6と同様にして、モノマーCで変性した変性カーボンブラック7を得た。該変性カーボンブラック7において、モノマーCによる変性率は0.7質量%であった。
(変性カーボンブラック8:比較例)
上記変性カーボンブラック6の製造方法において、電子線照射をせず、その他は変性カーボンブラック6と同様にして、変性カーボンブラック8を得た。得られた変性カーボンブラック8について、モノマーAの付加量を調べたところ、付加量は0質量%であった。
(変性カーボンブラック9:比較例)
上記変性カーボンブラック6の製造方法において、モノマーAを添加することなく、電子線照射し、その他は変性カーボンブラック6と同様にして、変性カーボンブラック9を得た。
(ゴム組成物の調製)
ゴム成分として天然ゴム(RSS3号)を用いるとともに、上記変性カーボンブラック6〜9と未変性カーボンブラック(東海カーボン株式会社製「シーストSO」)を用い、下記表2に示す配合に従って、バンバリーミキサーを使用して実施例2−1〜2及び比較例2−1〜4のタイヤ用ゴム組成物を調製した。ゴム組成物の調製に際しては、常法に従い、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合して調製した。各ゴム組成物には、第1実施例と同様の共通配合を配合した。得られた各ゴム組成物について、低燃費性の指標としてtanδを測定した(測定方法は、上記の通りであるが、比較例2−1の値を100とした指数で表示した。)。なお、比較例2−4では、モノマーAをゴム混合時に添加した。
結果は表2に示す通りであり、電子線照射により炭素−炭素二重結合を付与した変性カーボンブラックを用いた実施例2−1〜2であると、未変性のカーボンブラックを用いたコントロールの比較例2−1に対し、tanδが低く、低燃費性に優れていた。これに対し、電子線照射を実施していない比較例2−2や、電子線照射を実施したもののモノマーを付与していない比較例2−3では、tanδの改善効果は見られなかった。このことから、実施例で用いた変性カーボンブラックでは、炭素−炭素二重結合を持つモノマーがカーボンブラックに結合し変性されていることは明らかである。
Figure 2012117001

Claims (6)

  1. カーボンブラックに電子線を照射する工程と、
    分子内にHC=CR−(但し、Rは水素原子又はメチル基)で表される基を少なくとも2つ有する化合物を前記カーボンブラックに付与する工程と、
    を含むジエン系ゴム補強用変性カーボンブラックの製造方法。
  2. 前記化合物が、下記一般式(1)で表されるものであることを特徴とする請求項1記載のジエン系ゴム補強用変性カーボンブラックの製造方法。
    Figure 2012117001
    (式中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基、Aは酸素原子、珪素原子を含んでもよい炭素数1〜30の2価の有機基、nは0又は1を表す。)
  3. 前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が20〜150m/gであることを特徴とする請求項1又は2記載のジエン系ゴム補強用変性カーボンブラックの製造方法。
  4. ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で得られた変性カーボンブラックを10〜200質量部混合し、得られた混合物に加硫剤を0.1〜10質量部添加し混合することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  5. カーボンブラックに対する電子線照射により、分子内にHC=CR−(但し、Rは水素原子又はメチル基)で表される基を少なくとも2つ有する化合物を、前記カーボンブラックに反応させたことを特徴とするジエン系ゴム補強用変性カーボンブラック。
  6. ジエン系ゴムからなるゴム成分100質量部と、請求項5記載の変性カーボンブラック10〜200質量部と、加硫剤0.1〜10質量部とを含有することを特徴とするゴム組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014221861A (ja) * 2013-05-13 2014-11-27 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
CN114539821A (zh) * 2022-02-21 2022-05-27 安徽固瑞特新材料科技有限公司 一种橡胶用超微裂解碳黑的改性及复合橡胶的制备方法

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