JP6305796B2 - アルコキシ変性ジエン系ゴムの製造方法及びそれを用いたゴム組成物 - Google Patents

アルコキシ変性ジエン系ゴムの製造方法及びそれを用いたゴム組成物 Download PDF

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Description

本発明は、アルコキシ変性ジエン系ゴム、及びそれを用いたゴム組成物、空気入りタイヤに関するものである。
タイヤ用ゴム組成物においては、フィラーとしてシリカを配合することにより、湿潤路面でのグリップ性能であるウェット性能と転がり抵抗性能とのバランスを改良できることが知られている。シリカは、一般に、ゴム組成物中に均一に分散させることが困難であるため、シランカップリング剤とともに混練して用いられる。シランカップリング剤としては、スルフィドシランやメルカプトシランなどがあるが、特にメルカプトシランは、ゴム組成物の混練中や押し出し工程中にやけ(スコーチ)が発生するという問題がある。
一方、ウェット性能と転がり抵抗性能のバランスを向上するために、変性ジエン系ゴムを用いることも知られている。例えば、特許文献1には、スチレンブタジエンゴムなどの共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物との共重合ゴムにおいて、その分子鎖末端に第1級アミノ基とアルコキシシリル基を導入したものが開示されている。しかしながら、分子鎖末端のみの変性では、アルコキシシリル基などの官能基の含有量を多くすることが難しく、改良効果が必ずしも十分とはいえない。
また、特許文献2には、スチレン及び/又はブタジエンとともに、アルコキシシリルスチレンを共重合し、更に少なくとも一方の末端にアミノ基やアルコキシシリル基などの官能基を含む変性剤で変性した変性ゴムが開示されている。この場合、分子鎖末端だけでなく、分子鎖中にもアルコキシシリル基を導入することができるが、原材料のコストが高く、また、変性対象となるジエン系ゴムも限定されてしまう。
一方、特許文献3には、芳香族ビニル単量体とジオレフィンを溶液重合した後、この溶液ゴムに対し、ラジカル開始剤の存在下、カルボキシメルカプタンを反応させることにより、ジエン系ゴムにカルボキシル基を導入することが開示されている。しかしながら、カルボキシル基変性ジエン系ゴムでは、シリカ配合のゴム組成物において転がり抵抗性能の改良効果が十分とはいえない。
特開2004−067987号公報 特開2011−089086号公報 特開2000−256513号公報
本発明は、耐スコーチ性能を損なうことなく、ウェット性能と転がり抵抗性能を両立させることができる変性ジエン系ゴムを提供することを目的とする。
本発明に係るアルコキシ変性ジエン系ゴムの製造方法は、溶媒中で、重量平均分子量が20万以上のジエン系ゴムに対して、メルカプトアルコキシシラン化合物をラジカル反応させることにより、該ジエン系ゴムにアルコキシシリル基を導入するものである。
本発明に係るゴム組成物の製造方法は、該製造方法により得られたアルコキシ変性ジエン系ゴムを2〜40質量部含むゴム成分100質量部に対し、シリカ5〜100質量部を配合するものである。本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、該ゴム組成物を用い空気入りタイヤを製造するものである。
本発明に係る製造方法によれば、ジエン系ゴムの炭素−炭素二重結合にメルカプトアルコキシシラン化合物のメルカプト基がエン−チオール反応することにより、分子鎖中に硫黄とアルコキシシリル基を有する変性ジエン系ゴムが得られる。そのため、ゴム組成物に用いたときに、シリカの分散性を向上して、ウェット性能と転がり抵抗性能のバランスを改良することができる。また、メルカプトアルコキシシラン化合物をそのままゴム組成物に配合するのではなく、予めジエン系ゴムに結合させておくことにより、耐スコーチ性能の悪化を抑えることができる。しかも、エン−チオール反応を利用することにより、安価な変性が可能となり、様々なジエン系ゴムへの適用も可能である。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係る変性ジエン系ゴムの製造方法は、ジエン系ゴムに対して、メルカプトアルコキシシラン化合物をラジカル反応させることにより、該ジエン系ゴムにアルコキシシリル基を導入するものである。
変性対象のジエン系ゴムとしては、重量平均分子量(Mw)が20万以上のものが用いられる。重量平均分子量が20万以上であることにより、特にタイヤ用ゴムとしての強度を確保して、耐摩耗性能を向上することができる。重量平均分子量は、より好ましくは30万以上である。重量平均分子量の上限は、特に限定しないが、通常は200万以下であり、より好ましくは150万以下であり、更に好ましくは100万以下である。
該ジエン系ゴムの種類としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン−イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。より好ましくは、NR、SBR及びBRからなる群から選択される少なくとも1種を用いることである。
変性剤としてのメルカプトアルコキシシラン化合物は、メルカプト基(チオール基)とアルコキシシリル基をともに有する化合物である。ここで、アルコキシシリル基とは、少なくとも1つのアルコキシ基を有するシリル基であり、すなわち、ジアルキルアルコキシシリル基、アルキルジアルコキシシリル基、及び、トリアルコキシシリル基のいずれでもよい。メルカプトアルコキシシラン化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく用いられる。
(R(R3−nSi−R−SH …(1)
式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、好ましくはエトキシ基またはメトキシ基である。Rは、1分子中に複数有する場合、同一でも異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはメチル基またはエチル基である。Rは、1分子中に複数有する場合、同一でも異なっていてもよい。nは1〜3の整数を示し、より好ましくはn=2又は3であり、更に好ましくはn=3である。(R(R3−nSi−で表されるアルコキシシリル基は、トリエトキシシリル基またはトリメトキシシリル基であることが好ましい。Rは、炭素数1〜16のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜7のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン、又はウンデカメチレン基等が挙げられる。
メルカプトアルコキシシラン化合物の具体例としては、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、11−メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、11−メルカプトウンデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらはいずれか1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本実施形態の製造方法では、ジエン系ゴムにメルカプトアルコキシシラン化合物をラジカル反応させる。ラジカル反応は溶媒中で行うことができ、溶媒としては、水、有機溶媒のいずれでもよい。好ましくは、炭化水素溶媒であり、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等が挙げられ、これらのいずれか1種以上を用いてもよい。
該ラジカル反応は、ジエン系ゴムの主鎖中の炭素−炭素二重結合(C=C)に対し、メルカプトアルコキシシラン化合物のメルカプト基を反応させるエン−チオール反応である。エンチオール反応とは、メルカプト基と炭素−炭素二重結合とが1対1で付加する反応である。すなわち、チオールに光照射するか又はラジカル開始剤を加えると、容易にチイルラジカルが発生し、炭素−炭素二重結合に付加する。生成した炭素ラジカルがメルカプト基から水素を引き抜くことで1対1付加体が生成する。水素を引き抜かれたラジカルはチイルラジカルとなるので、反応は連鎖的に進行する。このようにエン−チオール反応を用いることにより、簡単かつ高収率にて、該ジエン系ゴムの分子鎖中にアルコキシシリル基を導入することができ、アルコキシ変性ジエン系ゴムが得られる。
該ラジカル反応は、ラジカル開始剤を反応触媒として用いるものであってもよく、あるいはまた、紫外線(UV)を照射することによる光開始反応でもよい。好ましい実施形態では、ラジカル開始剤の存在下、ジエン系ゴムの炭素−炭素二重結合にメルカプトアルコキシシラン化合物のメルカプト基を反応させる。ラジカル開始剤としては、アゾ化合物、有機過酸化物などが挙げられ、熱によりラジカルが発生するものや光照射によりラジカルが発生するものが含まれる。アゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)などが挙げられる。有機過酸化物の例としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンペルオキシドなどが挙げられる。
該ラジカル反応は、より詳細には、ジエン系ゴムと、メルカプトアルコキシシラン化合物と、ラジカル開始剤を、溶媒とともに混合し、ラジカルが発生する条件に保持することにより行うことができる。特に限定するものではないが、反応温度は40〜150℃であることが好ましく、より好ましくは50〜120℃である。
以上のように溶媒中でラジカル反応によりアルコキシシリル基を導入した後、ゴム溶液を凝固乾燥させることにより、常温で固形状のアルコキシ変性ジエン系ゴムが得られる。
変性前のジエン系ゴムに対するメルカプトアルコキシシラン化合物の反応量(変性量)は、特に限定しないが、ジエン系ゴム100質量部に対してメルカプトアルコキシシラン化合物を0.2〜20質量部反応させること、すなわち、0.2〜20質量%であることが好ましい。反応量が0.2質量%以上であることにより、ゴム組成物に配合したときにシリカとの反応性を高めて、転がり抵抗性能とウェット性能のバランス改良効果を高めることができる。また、反応量を20質量%以下とすることにより、ラジカル反応のしやすさを確保して、製造コストの上昇を抑えることができる。反応量は、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは2〜8質量%である。
本実施形態に係るゴム組成物は、上記で得られたアルコキシ変性ジエン系ゴムをゴム成分として含むものである。
ゴム成分としては、該アルコキシ変性ジエン系ゴムと、他のジエン系ゴムとをブレンドして用いることができる。他のジエン系ゴムとしては、特に限定されず、上述した各種ジエン系ゴムのいずれか1種又は2種以上を用いることができ、好ましくは、NR、SBR及びBRからなる群から選択される少なくとも1種を用いることである。
アルコキシ変性ジエン系ゴムの使用量は、ゴム成分100質量部中、2〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量部であり、更に好ましくは10〜30質量部である。該使用量を2質量部以上とすることで、転がり抵抗性能の改善効果を高めることができる。また、該使用量を40質量部以下とすることで、硬度上昇による耐摩耗性能の悪化を抑えることができる。
該ゴム組成物には、フィラーとしてシリカが配合される。シリカとしては、特に限定されないが、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカが好ましく用いられる。シリカのコロイダル特性は特に限定しないが、BET法による窒素吸着比表面積(JIS K6430に記載のBET法に準じて測定)が90〜250m/gであるものが好ましく用いられ、より好ましくは150〜230m/gである。シリカの配合量は、用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量部であり、更に好ましくは30〜70質量部である。
フィラーとしては、シリカとともにカーボンブラックを併用してもよい。カーボンブラックとしては、特に限定されず、ゴム用補強剤として用いられているSAF級、ISAF級、HAF級、FEF級などの各種グレードのファーネスカーボンブラックをそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量部である。好ましくは、シリカを主たるフィラーとするため、カーボンブラックの配合量はシリカに対して同量以下であること、すなわち、フィラーの50質量%以上がシリカであることが好ましい。
該ゴム組成物には、シリカの分散性を更に向上するために、シランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等のスルフィドシランカップリング剤が好ましく用いられる。シランカップリング剤の配合量は、特に限定されないが、シリカ配合量に対して2〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記の各成分の他に、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
上記加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄成分が挙げられ、これらはいずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫剤の配合量は、特に限定するものではないが、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
上記加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、又は、グアニジン系などの各種加硫促進剤を用いることができ、いずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の配合量は、特に限定するものではないが、上記ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。すなわち、第一混合段階で、ゴム成分に対し、シリカとともに、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で加硫剤及び加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製することができる。
このようにして得られたゴム組成物は、乗用車用、トラックやバスの大型タイヤなど各種用途、サイズの空気入りタイヤのトレッド部、サイドウォール部、ビード部、タイヤコード被覆用ゴムなどタイヤの各部位に適用することができる。すなわち、該ゴム組成物は、常法に従い、例えば、押出加工によって所定の形状に成形され、他の部品と組み合わせた後、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。これらの中でも、タイヤのトレッド用配合として用いることが特に好ましい。
本実施形態によれば、エン−チオール反応によりジエン系ゴムにメルカプトアルコキシシラン化合物を結合させることで、分子鎖中に適量の硫黄とアルコキシシリル基を有する変性ジエン系ゴムが得られる。そのため、ゴム組成物に用いたときに、シリカの分散性を向上して、ウェット性能と転がり抵抗性能のバランスを改良することができる。また、エン−チオール反応であれば、ジエン系ゴムのポリマー種によらず変性可能であるため、従来のアニオン重合などの手法と比較して、天然ゴムに対する変性も可能である。また、一般にメルカプトアルコキシシラン化合物をそのままゴム組成物に配合すると、耐スコーチ性能が大幅に悪化するという問題があるが、本実施形態では、メルカプトアルコキシシラン化合物を予めジエン系ゴムに結合させておくことにより、耐スコーチ性能の悪化を抑えることができ、よって、耐スコーチ性能の悪化を抑えながら、ウェット性能と転がり抵抗性能のバランスを改良することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<重量平均分子量Mwの測定方法>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)での測定により、ポリスチレン換算のMwを求めた。詳細には、測定試料は0.2mgをTHF1mLに溶解させたものを用いた。(株)島津製作所製「LC−20DA」を使用し、試料をフィルター透過後、温度40℃、流量0.7mL/分でカラム(Polymer Laboratories社製「PL Gel3μm Guard×2」)を通し、Spectra System社製「RI Detector」で検出した。
<変性の確認方法>
(SBR,BRの場合):合成したゴムを用いたソックスレー抽出(溶媒:アセトン、10時間)を行い、乾燥サンプルをNMR測定した。1H−NMR(Bruker, AvanceIII, 400MHz, d化クロロホルム溶媒)にて二重結合由来の5.42ppmのピークがC−CH−S−Cに由来する2.52ppmのピークに変換(反応)されることにより確認した。また、同様に、13C−NMRにて二重結合由来の125.2ppmの炭素ピークが−C−S−由来の炭素ピーク42.2ppmにシフトすることにより確認した。
(NRの場合):上記と同様に測定し、1H−NMRでは5.20ppmが2.51ppmにシフトすることにより、また、13C−NMRでは121.9ppmが47.1ppmにシフトすることにより確認した。
<変性量の測定方法>
(SBR,BRの場合):合成したゴムを用いたソックスレー抽出(溶媒:アセトン、10時間)を行い、1H−NMR(Bruker, AvanceIII, 400MHz, d化クロロホルム溶媒)にて1.96ppmに対する2.52ppmのピーク強度比に基づいて変性量を算出した。
(NRの場合):上記と同様に測定し、1H−NMRにて5.23ppmに対する2.53ppmのピーク強度比に基づいて変性量を算出した。
<変性ジエン系ゴムの合成>
[実施例1](変性NR)
天然ゴム(RSS3号、Mw=130万)400gをトルエン5Lに溶解し、脱気の後、これに、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「A−1891」)25g及びAIBN(東京化成工業(株)製)8.6gを加え、80℃で8時間反応させた。この溶液をエタノール20Lに加え、ゴムを凝固・乾燥させることによりアルコキシ変性天然ゴム(変性NR)を得た。上記方法により変性を確認し、変性量は5質量%であった。
[実施例2](変性SBR1)
スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製「SBR1502」、Mw=41万)400gをトルエン5Lに溶解し、脱気の後、これに、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「A−1891」)0.6g及びAIBN(東京化成工業(株)製)0.20gを加え、80℃で8時間反応させた。この溶液をエタノール20Lに加え、ゴムを凝固・乾燥させることによりアルコキシ変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR1)を得た。上記方法により変性を確認し、変性量は0.1質量%であった。
[実施例3](変性SBR2)
3−メルカプトプロピルトリエトキシシランを1.2gとし、AIBN0.40gとし、その他は実施例2と同様にして、アルコキシ変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR2)を得た。上記方法により変性を確認し、変性量は0.2質量%であった。
[実施例4](変性SBR3)
3−メルカプトプロピルトリエトキシシランを25gとし、AIBN8.6gとし、その他は実施例2と同様にして、アルコキシ変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR3)を得た。上記方法により変性を確認し、変性量は5質量%であった。
[実施例5](変性SBR4)
3−メルカプトプロピルトリエトキシシランを100gとし、AIBN34gとし、その他は実施例2と同様にして、アルコキシ変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR4)を得た。上記方法により変性を確認し、変性量は20質量%であった。
[実施例6](変性BR)
ブタジエンゴム(宇部興産(株)製「BR150B」、Mw=52万)400gをトルエン5Lに溶解し、脱気の後、これに、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「A−1891」)25g及びAIBN(東京化成工業(株)製)8.6gを加え、80℃で8時間反応させた。この溶液をエタノール20Lに加え、ゴムを凝固・乾燥させることによりアルコキシ変性ブタジエンゴム(変性BR)を得た。上記方法により変性を確認し、変性量は5質量%であった。
[比較例1](変性SBR5)
スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製「SBR1502」)を8インチロールにて10分間素練りしたゴム(Mw=15万)400gをトルエン5Lに溶解し、脱気の後、これに、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「A−1891」)25g及びAIBN(東京化成工業(株)製)8.6gを加え、80℃で8時間反応させた。この溶液をエタノール20Lに加え、ゴムを凝固・乾燥させることによりアルコキシ変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR5)を得た。上記方法により変性を確認し、変性量は5質量%であった。
<ゴム組成物の調製・評価>
(株)ダイハン製の250ccラボミキサーを用い、下記表1〜3に示す配合(質量部)に従って、まず、第一混合段階で、ゴム成分に対し硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤を添加し混練し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して(排出温度=90℃)、ゴム組成物を調製した。表1〜3中の各成分の詳細は、以下の通りである。
・SBR1:JSR(株)製「SL563」
・SBR2:JSR(株)製「SBR1502」
・変性SBR6:カルボキシル基変性SBR、日本ゼオン(株)製「Nipol LX421」
・NR:RSS3号
・BR:宇部興産(株)製「BR150B」
・シリカ:エボニック・デグサ社製「Ultrasil VN3」
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニック・デグサ社製「Si69」
・メルカプトシラン:3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「A−1891」
・カーボンブラック:東海カーボン株式会社製「シースト300」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「オイル硫黄」
・加硫促進剤1:CBS、三新化学工業(株)製「サンセラーCM−G」
・加硫促進剤2:ジフェニルグアニジン、住友化学(株)製「ソクシノールD−G」
得られた各ゴム組成物について、耐スコーチ性能を評価するとともに、160℃×25分で加硫して所定形状の試験片を作製して、耐摩耗性能、転がり抵抗性能、ウェット性能を評価した。各評価方法は以下の通りである。
・耐スコーチ性能:JIS K6300に準拠して(株)東洋精機製作所製ロータレスムーニー測定機を用い、未加硫ゴム組成物を125℃で1分間予熱後、最低粘度Vmより5ムーニー単位上昇するのに要した時間t5を測定した。表1では比較例2の値、表2では比較例4の値、表3では比較例8の値を、それぞれ100とした指数で示した。指数が大きいほど、スコーチタイムが長く、耐スコーチ性能に優れることを意味する。
・耐摩耗性能:JIS K6264に準じて、ランボーン摩耗試験機を用いて、荷重3kg、スリップ率23%、温度23℃、落砂量20g/分で摩耗量を測定した。摩耗量の逆数について、表1では比較例2の値、表2では比較例4の値、表3では比較例8の値を、それぞれ100とした指数で示した。値が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
・転がり抵抗性能:(株)東洋精機製作所製の粘弾性試験機を用いて、初期歪み10%、動的歪み1%、周波数10Hz、温度60℃の条件下で損失係数tanδを測定した。tanδの逆数について、表1では比較例2の値、表2では比較例4の値、表3では比較例8の値を、それぞれ100とした指数で示した。60℃でのtanδは、タイヤ用ゴム組成物において、転がり抵抗性能の指標として一般に用いられているものであり、上記指数が大きいほどtanδが小さく、従って発熱しにくく、タイヤとしての転がり抵抗性能(低燃費性能)に優れることを示す。
・ウェット性能:測定温度を0℃に変え、その他は上記転がり抵抗性能と同様にして、tanδを測定し、表1では比較例2の値、表2では比較例4の値、表3では比較例8の値を、それぞれ100とした指数で示した。0℃でのtanδは、タイヤ用ゴム組成物において、ウェット性能の指標として一般に用いられているものであり、上記指数が大きいほどtanδが大きく、ウェット性能に優れることを示す。
Figure 0006305796
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結果は、表1〜3に示す通りであり、アルコキシ変性ゴムを配合した実施例7〜14であると、それぞれ対応する比較例に対して、耐スコーチ性能を損なうことなく、転がり抵抗性能とウェット性能のバランスが改善されており、耐摩耗性にも優れていた。なお、メルカプトシランをゴム混練時に添加した比較例3,5,9では、耐スコーチ性能が悪化していた。

Claims (5)

  1. 溶媒中で、重量平均分子量が20万以上のジエン系ゴムに対して、メルカプトアルコキシシラン化合物をラジカル反応させることにより、該ジエン系ゴムにアルコキシシリル基を導入したアルコキシ変性ジエン系ゴムを製造し、
    得られたアルコキシ変性ジエン系ゴムを2〜40質量部含むゴム成分100質量部に対し、シリカ5〜100質量部を配合する、
    ゴム組成物の製造方法。
  2. ラジカル開始剤の存在下、前記ジエン系ゴムの炭素−炭素二重結合に前記メルカプトアルコキシシラン化合物のメルカプト基を反応させることを特徴とする請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
  3. 前記メルカプトアルコキシシラン化合物が、下記一般式(1)
    (R(R3−nSi−R−SH …(1)
    (式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rは炭素数1〜16のアルキレン基、nは1〜3の整数を示す。)で表されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載のゴム組成物の製造方法。
  4. 前記ジエン系ゴム100質量部に対して前記メルカプトアルコキシシラン化合物を0.2〜20質量部反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法により製造されたゴム組成物を用いて空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法。
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