JP2006267855A - 電子写真感光体及びその製造方法、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体及びその製造方法、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 クリーニングブレードを使用した時のクリーニングブレードのびびり、捲れ、エッジ部の欠損等が改善され、トナー融着等の画像不良が改善される電子写真感光体、及びそれを有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。
【解決手段】 支持体と支持体上に設けられた感光層を含む全ての層とを有する被処理体の表面に、体積基準粒度分布における平均粒径が10〜60μmの粉体を衝突させることによって、被処理体の表面の粗面化処理を行って、電子写真感光体の表面を構成する表面層の表面が粗面化処理された電子写真感光体を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は電子写真感光体及びその製造方法、及び前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
従来、電子写真感光体には、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機光導電性物質が広く用いられていた。一方、有機光導電性物質を用いた電子写真感光体としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールに代表される光導電性ポリマーや、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールのような低分子の有機光導電性物質を用いたもの、更には、このような有機光導電性物質と各種染料や顔料とを組み合わせたもの等が知られている。
有機光導電性物質を用いた電子写真感光体は、成膜性が良く、塗工によって生産できるため、極めて生産性が高く、安価な電子写真感光体を提供できる利点を有している。また、使用する染料や顔料等の選択により、感光波長域を自在にコントロールすることができる等の利点を有しており、これまで幅広い検討がなされてきた。特に最近では、有機光導電性染料や顔料を含有した電荷発生層と、光導電性ポリマーや低分子の電荷輸送材料を含有した電荷輸送層とを積層した機能分離型感光体の開発により、従来の有機電子写真感光体の欠点とされていた感度や、耐久性に著しい改善がなされてきており、これが電子写真感光体の主流となってきている。
一方、当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性、光学特性等を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される感光体にあっては、その感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、被転写体への転写、残トナーのクリーニング性等の電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が求められる。具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化、例えば転写効率や滑り性の低下、更には感度劣化、帯電能の低下等、電気特性の劣化に対する耐久性が要求される。
一般に、有機電子写真感光体の構成は薄い樹脂層であり、樹脂材料の特性が非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が実用化されているが、前述したような特性のすべてがこれらの樹脂で満足されるわけではない。特に感光体の高耐久化を図る上では、前記樹脂の被膜強度は十分に高いとは言い難い。これらの樹脂を表面層形成用の樹脂として用いた場合でも、繰り返し使用時において表面層の摩耗が起こり、更に傷が発生するという問題点があった。
更に、近年の有機電子写真感光体の高感度化に対する要求から、感光体に対して電荷輸送材料等の低分子量化合物が比較的大量に添加される場合が多い。この場合、それら低分子量物質の可塑剤的な作用により、膜強度が著しく低下し、繰り返し使用時の表面層の摩耗や、傷発生が一層問題となっている。また電子写真感光体を長期にわたって保存する際に、前述の低分子量成分が析出してしまい、相分離するといった問題も発生している。
これらの問題点を解決する手段として、硬化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として用いる試みが、例えば特許文献1等に開示されている。このように、電荷輸送層用の樹脂に硬化性の樹脂を用い、電荷輸送層を硬化、架橋することによって、機械的強度が増し、繰り返し使用時の耐摩耗性及び耐傷性は大きく向上する。しかしながら、硬化性樹脂を用いて
も、低分子量成分は結着樹脂中において可塑剤として作用するため、先に述べたような析出や層分離の問題に対しては、根本的な解決になっていない。
また有機電荷輸送材料と結着樹脂とで構成される電荷輸送層においては、電荷輸送能の樹脂に対する依存度が大きい。そのため、例えば硬度が十分に高い硬化性樹脂では電荷輸送能が十分ではなく、繰り返し使用時に残留電位の上昇が見られる等、両者を満足させるまでには至っていない。
また特許文献2、特許文献3等においては、電荷輸送層に炭素−炭素二重結合を有するモノマーを含有させ、電荷輸送材料の炭素−炭素二重結合を熱あるいは光エネルギーによって反応させて、電荷輸送層硬化膜が形成された電子写真感光体が開示されている。ただし、電荷輸送材料はポリマー主骨格にペンダント状に固定化されているだけであり、先の可塑的な作用を十分に排除できないため、機械的強度が十分ではない。また電荷輸送機能の向上のために電荷輸送材料の濃度を高くすると、架橋密度が低くなり、十分な機械的強度を確保することができないことがある。更には重合時に必要とされる開始剤類が電子写真特性へ悪影響を与えることも懸念される。
また、別の解決手段として、例えば特許文献4等において、熱可塑性高分子主鎖中に電荷輸送能を有する基を導入し、電荷輸送層を形成させた電子写真感光体が開示されている。しかし、従来の分子分散型の電荷輸送層と比較して析出や層分離に対しては効果があり、機械的強度も向上するが、あくまでも熱可塑性樹脂であり、その機械的強度には限界がある。そのため、樹脂の溶解性等を含めたハンドリングや、生産性の面で使いやすい材料ではない。
これらの問題点を改善する目的で、特許文献5及び特許文献6等には、同一分子内に連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物及び/又は前記正孔輸送性化合物に電子線を照射することで重合、硬化したものを含有する感光体を用いることで、高い機械的強度と電荷輸送能の両立を達成することが提案されている。
電子写真感光体はその像形成プロセスにおいて、帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電等の繰り返しの行程を経る。特に、転写工程後の感光体上の残存トナーを除去するクリーニング工程は、鮮明な画像を得るために重要な工程である。
このクリーニングの方法としては、第一にクリーニングブレードと称するゴム性の板形状部材を感光体に圧接して感光体とクリーニングブレードとの間の隙間をなくし、トナーのスリ抜けを防止して残存トナーをかきとる方法が挙げられる。第二に、ファーブラシのローラを感光体に接するように回転させて残存トナーを拭き取る、若しくは叩き落とす方法が挙げられる。これらのクリーニング方法のうち、ゴムブレードを用いる方法の方がコスト、設計の容易さの点で有利であり、現在はクリーニングブレードを用いるクリーニング方法が主流を占めている。
特にフルカラー現像を行う場合においては、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック等の複数の色を重ねることによって所望の色を再現しているため、トナーの使用量が単色現像よりはるかに多く、そのためゴムブレードを感光体に圧接するクリーニング方法は最適である。
しかしながら、優れたクリーニング性を示すクリーニングブレードには、感光体との摩擦力が大きいため、所謂クリーニングブレードのびびりや捲れが起こりやすいという欠点があった。ここで、クリーニングブレードのびびりは感光体との摩擦抵抗が大きくなることによるブレードの振動のことであり、捲れは、感光体の移動方向にブレードが反転して
反ってしまう現象である。
これらクリーニングブレードの問題は、感光体の長寿命化のために、感光体表面の強度を強く、即ち削れ難くした場合に更に生じやすくなる。画質向上のためにトナーの粒径が均一化されて微小なトナーが除去されている場合には、トナーがクリーニングブレードと感光体の表面との隙間に入ることによって引き起こされる潤滑性が薄れるので、クリーニングに関する問題が一層発生しやすくなる。
また、カラー現像を行う場合には、一枚の画像を出すのにマゼンタ、シアン、イエロー、ブラック等、複数回の現像を行うため、クリーニングブレードにかかる負荷が大きくなり、ブレードの反転や、更にはエッジ部の欠損がより発生しやすくなっている。
このように感光体の表面性に関わる問題点を克服する方法として、感光体の表面を適度に粗面化して凹凸を形成し、感光体の表面とクリーニングブレード等との接触面積を減少させ、摩擦力を低減することで、各種問題点を改善する方法が提案されている。
有機感光体の表面層を粗面化した先行技術としては、特許文献7に示されている。特定のクリーニング手段、特定のトナーを用い、特定のプロセススピード以上の電子写真装置で使用した場合に問題となる、クリーニングブレードの反転やエッジ部の欠け等を改善できる旨が、特許文献7には記載されている。
また、特許文献8には感光体表面の面粗さを規定して、トナーの転写効率の向上を目的とした技術が開示されている。ただし、これは基本的には無機感光体での使用例である。
感光体の表面を粗面化する方法としては、例えば、特許文献9に、感光層を形成する際の乾燥条件を制御することにより、感光体表面をユズ肌状に粗面化する方法が開示されている。これによる効果としては、感光体の表面層の面粗さを規定の範囲内にすることで、感光体と転写材料との密着性を低減して分離を容易にすることが記載されている。この方法は、通常の感光層形成工程内で粗面化がなされるため、新たな設備が基本的に不要であるが、乾燥温度・乾燥時間以外にも制御すべき因子が多い。例えば、塗布時塗料の揮発分、塗布雰囲気温度及び湿度、塗布時における空気の流れ等を精緻に制御しないと、感光体の表面の粗面状態に再現性を得るのは困難である。
また、特許文献10には表面層にあらかじめ粉体粒子を添加することによる粗面化の方法が開示されている。しかし、一般に感光体に粉体を添加する場合、粉体の材質、分散性において、感光体に適するものは少なく、更に添加量によって感光体特性、特に画像における鮮明度への悪影響を与える場合があり、制限の多い方法といえる。
一方、機械的に感光体の表面を粗面化する方法としては、特許文献11に、金属製のワイヤーブラシを用いて感光体の表面を研磨することにより粗面を得る方法が開示されている。この方法では、ブラシを連続的に使用した場合、ブラシの毛先の劣化、毛先への研磨粉の付着により、再現性を得にくいという難点がある。
機械的粗面化の別の方法として、特許文献12にフィルム状研磨材を用いて感光体の表面を研磨する方法が記載されている。この方法では、フィルムの巻き取り装置により、フィルム状研磨材の新しい面を常に研磨に使用できるようにすることで、粗面化の再現性を得ることが可能である。しかし、この方法は、フィルム状研磨材は高コストであり、研磨に要する時間も長いという欠点があり、粗面化工程の生産性に問題がある方法である。
機械的粗面化として、さらに、特許文献13にはブラスト法による感光体の粗面化が示
されている。しかし、感光体表面層に硬化性樹脂を用いた感光体との組み合わせは示されていない。
他にも特許文献14のように有機感光層と表面保護層を有する感光体の粗面化に関する先行技術もある。ただし、特許文献14において作製される感光体は、表面保護層を製膜する前の有機感光層上を粗面化した後、表面保護層を製膜する工程で作製された感光体であり、生産性、電子写真特性等に改善の余地が残されている感光体の構成である。
上述のとおり、近年、電子写真感光体に対する高耐久化、高画質化が要求されてきている。このような要求に対し、表面層に可塑性樹脂ではなく硬化性樹脂を製膜する技術が確立されてきている。
表面層に硬化性樹脂を含有する有機感光体は、長期間の耐久使用時も表面層の磨耗がほとんどなく、初期の表面層の形状を耐久使用中に維持しつづける性質を有する。特に表面層を浸漬塗布法により製膜した感光体は、表面層が非常に平滑であるため、その表面層に硬化性樹脂が含有されている場合、粗面化処理が必須となる。
このような表面層に硬化性樹脂を含有する感光体に対する最適な表面層の構築について述べられた先行技術は皆無である。
このような状況の中で、上記の先行技術には表面層に硬化性樹脂を含有する感光体の粗面化に対し、最適な表面層を形成する完全に条件を満足した技術は達成されておらず、特にこのような感光体の作製方法の確立が求められてきた。
特開平2−127652号公報 特開平5−216249号公報 特開平7−72640号公報 特開平8−248649号公報 特開2000−66424号公報 特開2000−66425号公報 特開平1−99060号公報 特開平1−142734号公報 特開昭53−92133号公報 特開昭52−26226号公報 特開昭57−94772号公報 特開平2−139566号公報 特開平2−150850号公報 特許第2990788号公報
本発明の課題は、クリーニングブレードを使用した時のクリーニングブレードのびびり、捲れ、エッジの欠損等を改善できる表面形状の電子写真感光体、及びこれを有する電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
特に、電子写真感光体の高耐久化を目的として、表面層の強度を改良し、高い弾性変形率を有するように改良された、硬化性樹脂を表面層に用いたときに、特に顕著となる上記のような問題点を、初期から多数枚印字まで安定的に改善できる表面形状の電子写真感光体、及びこれを有する電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
上記のような問題を効果的に改善するべく、本発明者らは鋭意検討した結果、電子写真感光体の製造方法として、支持体と支持体上に設けられた感光層を含む全ての層とを有する被処理体に粉体を衝突させて被処理体の表面に凹凸を形成する粗面化処理工程を少なくとも施し、かつ、前記粗面化処理工程において、特定の範囲の平均粒径、体積基準粒度分布、平均円形度を持つ粉体を使用することで上記のような問題点を効果的に改善できることを見出した。
すなわち本発明の課題は、少なくとも支持体、感光層を含む層からなる電子写真感光体において、感光層又は感光層を含む全ての層が形成された被処理体の表面に粉体を衝突させて凹凸を形成することを特徴とし、前記粉体の体積基準粒度分布における平均粒径が10μm〜60μmである粗面化処理を施すことで解決される。
すなわち、本発明は、支持体及び前記支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、前記支持体と支持体上に設けられた前記感光層を含む全ての層とを有する被処理体の表面に、体積基準粒度分布における平均粒径が10〜60μmの粉体を衝突させることによって、前記被処理体の表面の粗面化処理を行う粗面化工程を含み、電子写真感光体の表面を構成する表面層の表面が粗面化処理された電子写真感光体を製造する方法、及びこの方法によって製造された電子写真感光体、及びこれを有する電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供する。
本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、電子写真感光体の表面において、クリーニングブレードの当接圧が高圧の場合から低圧の場合のいかなる条件においても、クリーニングブレードのエッジの欠け、びびり、捲れ、トナーのすり抜け等のクリーニング性に関わる問題を改善する表面形状を形成することができる。
特に、電子写真感光体の高耐久化を狙って表面層の強度を改良し、高い弾性変形率を有するような、硬化性樹脂を表面層に用いたときに、特に問題となる上記の点を、初期から多数枚印字の耐久使用において安定的に改善できる電子写真感光体の表面形状を形成することができる。
さらに、粗面化処理の際に起こる表面層への粒子の埋め込みや突き刺さり、表面層の割れの問題を改善し、それらの表面層の欠陥による電流のリーク、画像上の欠陥を発生しない電子写真感光体の表面形状を形成することができる。
また、このような表面形状の電子写真感光体、及びこれを有する電子写真感光体及びプロセスカートリッジを提供することができる。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、支持体及び前記支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体の表面を構成する表面層の表面が粗面化処理された電子写真感光体を製造する製造方法である。本発明の方法は、前記支持体と支持体上に設けられた前記感光層を含む全ての層とを有する被処理体の表面に、体積基準粒度分布における平均粒径が10〜60μmの粉体を衝突させることによって、前記被処理体の表面の粗面化処理を行う粗面化工程を含む。
前記被処理体は、前記支持体と支持体上に設けられた前記感光層を含む全ての層とを有する。「感光層を含む全ての層」とは、支持体上に形成されている層の構造であって、本発明における粗面化処理によって電子写真感光体の表面層となる層、すなわち粗面化工程において粗面化処理される層が含まれている層の構造を意味する。「感光層を含む全ての
層」は、電子写真感光体に形成される層の構造に応じて決定され、例えば感光層のみであっても良いし、感光層と他の層とを含む層の構造であっても良い。前記被処理体には、後述する表面の物性を有する既存の感光体や、後述する層形成工程で作製された被処理体を用いることができる。
前記支持体には、導電性を有する表面上に前記感光層を支持する公知の支持体を用いることができる。例えば前記支持体には、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム等の金属や合金、あるいは前記金属の酸化物、カーボン、導電性高分子等の導電性材料が使用可能である。支持体の形状は円筒状、円柱状等のドラム形状と、ベルト状、シート状のものとがある。前記導電性材料は、そのまま成形加工される場合、導電性の表面を形成するために、支持体となる部材の表面に塗布される塗料として用いられる場合、支持体となる部材の表面に蒸着される場合や、エッチング、プラズマ処理により加工される場合もある。塗料の場合、支持体は前記金属、合金はもちろん、紙、プラスチック等の非導電性材料も用いることが可能である。
前記感光層は、光の照射によって電荷を発生し輸送する層であれば特に限定されない。感光層は、光の照射による電荷の発生と発生した電荷の輸送との両方の機能を有する単層の感光層や、光の照射によって電荷を発生させる電荷発生層と、電荷発生層で発生した電荷を輸送する電荷輸送層とからなる積層型の感光層であっても良い。
前記被処理体は、感光層を含む全ての層として、感光層以外の他の層を有していても良い。他の層としては、例えば導電層、下引き層、保護層等が挙げられる。
前記粗面化工程は、前記被処理体の表面に粉体を衝突させることによって、前記被処理体の表面の粗面化処理を行う工程である。この工程によって、表面層が粗面化処理されてなる電子写真感光体が製造される。
前記被処理体の表面へ前記粉体を衝突させる前記被処理体の表面に凹凸を形成する粗面化処理には、粗面化処理によって電子写真感光体となる被処理体の表面に粒子を衝突させて粗面化できる方法であればいかなる手段を用いてもよい。前記粗面化処理は、コストの面で、既存の装置技術の流用が好ましく、研磨粒子を高速度で被処理体の表面に吹き付ける乾式のブラスト法、又は、研磨粒子を懸濁させた液体を被処理体の表面に噴流衝突させる湿式のホーニング法(ウェットブラスト法)が好ましい。更に、乾式のブラスト法を用いることは、電子写真感光体が湿度条件に敏感なことから、水等の溶媒に接触させることなく被処理体を粗面化できるためより好ましい。
ここで、被処理体の表面に衝突させる粉体を「研磨粒子」と表現した。これは、一般的にブラスト法やホーニング法においては、使用する粉体を「研磨粒子」と表現する通例に従ったものであり、本願の請求に記載のある「粉体」と同義である。必ずしも、「研磨粒子」が研磨することを意図してはいない。(研磨しなくとも、変形によって凹凸は形成される。)以下、「粉体」と「研磨粒子」は、特に区別することなく使用するものとするが、ブラストの場合には主に「研磨粒子」と表現する。また、「研磨粒子」は、粒子1粒を指して使用する場合もある。
前記乾式のブラスト法には、圧縮空気を用いて研磨粒子を噴射する方法、モータを動力として研磨粒子を噴射する方法等がある。前記被処理体の表面の粗面化を精密に制御することが可能で、かつ設備の簡易性という点において、圧縮空気を用いて研磨粒子を噴射する方法が好ましい。
本発明において用いられるブラスト加工装置の例を図1に示す。このブラスト加工装置
は、被処理体1−7を支持するためのワーク支持体1−6と、ワーク支持体1−6に支持された被処理体1−7に向けて研磨粒子を高速度で吹き付けるノズル部とからなる。ワーク支持体1−6は、円筒状の被処理体1−7を、被処理体1−7の軸を回転中心として回転自在に被処理体1−7の端部を支持する部材である。また被処理体1−7は、例えば円筒状の支持体と、その外周面上に形成された感光層とを有する部材である。
前記ノズル部は、被処理体1−7に向けて研磨粒子1−5を高速度で吹き付けるための噴射ノズル1−1と、噴射ノズル1−1を被処理体1−7に向けて固定するためのノズル固定冶具1−2と、噴射ノズル1−1に向けて圧縮エアを供給する圧縮エア供給管1−3と、噴射ノズル1−1に向けて研磨粒子1−5を供給する研磨粒子供給管1−4と、噴射ノズル1−1を被処理体1−7に向けて支持するアーム1−9と、アーム1−9を鉛直方向(被処理体1−7の軸方向)における任意の位置に支持するノズル支持体1−8とからなる。
容器(不図示)に貯留されている研磨粒子は、研磨粒子供給管1−4より噴射ノズル1−1に導かれる。噴射ノズル1−1に導かれた研磨粒子は、圧縮エア供給管1−3より導入された圧縮エアによって噴射ノズル1−1より噴射され、ワーク支持体1−6により支持され自転している被処理体1−7に衝突する。
このとき、噴射ノズル1−1の先端と被処理体1−7との距離、噴射ノズル1−1の噴射口の軸線の延長線と被処理体1−7の接線あるいは回転軸とのなす角度は、ノズル固定冶具1−2やアーム1−9により調整されて決められる。噴射ノズル1−1は、通常被処理体1−7の回転軸方向に対して移動しながら粗面化処理を行う。噴射ノズル1−1を被処理体1−7に向けて支持するアーム1−9が被処理体1−7の回転軸方向に移動することにより、被処理体1−7に対してムラ無く粗面化処理を施すことができる。
この時、噴射ノズル1−1と被処理体1−7の表面との最短距離は、適当な間隔に調整する必要がある。距離が過剰に近い、若しくは遠いと、加工効率が落ちる、若しくは所望の粗面化が行えない場合がある。噴射ノズル1−1の噴射口の軸線の延長線と被処理体1−7の接線あるいは回転軸とのなす角度は、ある程度の自由度を持つが、角度が鋭角過ぎる場合には加工効率が低下する。噴射の動力に用いる圧縮空気の圧力も、所望の粗面化を行う観点から、適度な圧力に調整する必要がある。また、被処理体1−7の表面の周方向における均一な粗面化処理を行う観点から、被処理体1−7の回転速度も適度な速度に調整する必要がある。
前記ブラスト加工装置を用いる場合では、粗面化処理は、研磨粒子1−5を噴射する噴射ノズル1−1が被処理体1−7の一端から他端まで走査することを一回と数える。粗面化処理の回数は、所望の粗面化を行う観点から、圧縮空気の圧力や、被処理体1−7の回転速度、噴射ノズル1−1と被処理体1−7の表面との最短距離等の諸条件に応じて適度に調整する必要がある。
なお、前記粗面化処理は、粗面化の程度が不足しても、過度に行いすぎてもクリーニング性改善の効果は得られない。適正な粗面化がなされているか否かを判断するには、実際にクリーニング性の評価を行う。具体的には、後述するクリーニング性の評価試験において、初期50枚の出力でクリーニングが問題なく成り立つ表面となる様に処理を行う。
前記粉体には、樹脂層の表面を粗面化できる粉体であり、体積基準粒度分布における平均粒径が10〜60μmの粉体が用いられる。そのような粉体を用いることで、初期の画像、耐久使用後の画像ともにクリーニング性に問題のない電子写真感光体の表面形状を形成することができる。
粉体の平均粒径が10μm以下の場合には、一般的なブラストに用いられる噴出圧力では衝突のエネルギーが小さいために、被処理体の表面の粗面化を十分に行うことができないことがあり、クリーニング性を改善する効果を得ることができないことがある。また、粉体の平均粒径が60μm超過の場合には、被処理体の表面に形成される凹凸の周期が大きいために、電子写真感光体とクリーニングブレードとの接触面積の低減の効果が低く、やはりクリーニング性を改善する効果を得ることができないことがある。
また、粉体の平均粒径が60μm超過の場合、粒度分布がシャープでない粉体は、含まれる粒子の粒子径の差が大きくなる。このとき、大きな粒子の衝突により、小さな粒子が被処理体の表面に埋め込まれる可能性が高い。
また、前記粉体の上記体積基準粒度分布における最頻径は、10μm超過60μm未満が好ましい。最頻径は、粉体の体積基準の粒度分布において、粉体に含まれる粒子の粒径を所定の間隔で分割したときの各クラスにおいて、最も多くの粒子が含まれるクラスにおける粒子の粒径の範囲である。最頻径がこの範囲から外れた場合、クリーニング性を改善する効果は得られるものの、電子写真感光体における所望の表面を形成するために多量の粉体と処理時間を必要とし、コストや生産性の面で不利である。
また、前記粉体は、粒径が10μm未満の粒子の総体積が全粒子の体積の30体積%未満であることが好ましい。粒径が10μm未満の粒子の体積割合が30体積%以上の場合には、粒径が10μm未満の粒子が被処理体の表面に埋め込まれる頻度が増すことがある。即ち、被処理体の表面に残存した10μm未満の粒子が、より大きい粒子の衝突によって被処理体の表面に埋め込まれる頻度が増し、粗面化処理後に電子写真感光体として用いたときに、電流のリーク、画像上の欠陥、耐久使用時の傷発生の原因となりうる。
また、前記粉体は、粒径が100μm超過の粒子の総体積が全粒子の体積の30体積%未満であることが好ましい。粒径が100μm超過の粒子は、粗面化処理時における衝突のエネルギーが大きく、被処理体の表面に割れを発生させる可能性が高い。
前記粉体の平均粒径、最頻径、及び所定の粒径の粒子の体積割合は、粉体の分級や、分級品の混合等によって調整することができる。
また、前記粉体は、粒径が10μm以上の粒子の平均円形度が0.900以上であることが好ましく、さらには、0.950以上であることがより好ましい。粒径が10μm以上の粒子は、一般的なブラストに用いられる噴出圧力で、被処理体の表面に凹凸を形成しうる衝突エネルギーをもつ。一方、粉体の平均円形度が0.900を下回った場合、球形ではなく凹凸の激しい粒子、いわゆる異型粒子の数が増す。10μm以上の異型粒子は、被処理体の表面に突き刺さる、あるいは割れを発生させる可能性があり、電子写真感光体として使用したときに、電流のリーク、画像上の欠陥、耐久使用された際の傷の発生を招きやすい。なお、平均円形度が0.950以上の場合には、異型粒子の数はごく少量であり、そのような問題の発生はほとんど見られない。
平均円形度は、下式(2)で示すように、測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値である。前記円形度は、下式(1)により求められる。円形度は粒子の凹凸度合いの指標であり、粒子が完全な球形の場合1.000を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
[数1]
円形度a=L/L (1)
Figure 2006267855
式(1)中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を示す。尚、「512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)」ということは、0.3μm四方の画素を縦横512個並べたものを測定の視野として用いたということである。
式(2)中、aiは各粒子における円形度であり、mは測定粒子数である。
前記粉体の平均粒径、最頻径、粒度分布、平均円形度は、体積基準粒度分布に基づくものである。これらは種々の方法によって測定できる。より具体的には、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定することができる。
前記フロー式粒子像分析装置を用いる粉体の具体的な測定方法を以下に示す。まず、予め容器中の不純物を除去した水100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料としての粉体を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液に超音波(50kHz、120W)を1〜3分間照射する。分散液の濃度を1.2〜2.0万個/μlとして、上記フロー式粒子像測定装置を用い、0.6μm以上400μm以下(平均円形度においては10.05μm以上100.48μm未満)の円相当径を有する粒子の平均粒径、最頻径、粒度分布、平均円形度を測定する。
なお、前記「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、円形度0.4〜1.0の粒子を0.020刻みで226分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度である。本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
前記平均円形度は、例えば粒子の表面を溶かす加熱処理等の球形化処理によって調整することができる。
前記粉体の材質としては、酸化アルミニウム、ジルコニア、炭化ケイ素、ガラス等のセラミック系、ステンレス鋼、鉄、亜鉛等の金属系、ポリアミド、ポリカーボネート、エポキシ、ポリエステル等の樹脂系が挙げられる。前記粉体の材質は、特に粗面化効率及びコストの面から、ガラス、酸化アルミニウム、ジルコニア、ステンレス鋼であることが好ましい。
本発明の方法は、耐久特性の優れた電子写真感光体を形成するために、特に有効な手法である。弾性変形率あるいは表面硬度が特定の範囲にある電子写真感光体は、耐久性に優れ、長期間の使用においても初期の表面形状の変化が少なく、形状を維持する傾向がある
。そのような電子写真感光体を、初期の段階から表面形状を最適に制御することが重要である。
前記被処理体には、少なくとも表面が有機層によって構成されている有機感光体を用いることができる。有機感光体は、通常、その層厚、弾性特性等が感光体における製膜後に粗面化することに対して適しており、粗面化の条件を制御することにより、最終的に使用される表面形状を任意に幅広く制御できるという利点を有している。その際特に、被処理体の表面から測定された弾性変形率と表面硬度とが後述の範囲である被処理体を用いることが、特に良好な表面形状を与えることができる。
前記被処理体は、表面の弾性変形率が45%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、65%以下であることがさらに好ましい。弾性変形率が小さすぎる場合には、被処理体の表面の弾性が不足しているために、粒子の埋め込みや異型粒子の突き刺さりが発生しやすい。逆に、弾性変形率が大きすぎる場合には、被処理体の表面が粒子の衝突によって一たび押し込まれたとしても、その弾性によって元に戻る割合が大きい。よって適正な表面を形成するために、より高いエネルギーや処理時間の延長を必要とし、加工効率が低下することがある。
さらに、前記被処理体は、表面のユニバーサル硬さ値(HU)が150〜220N/mmであることが好ましい。ユニバーサル硬さ値(HU)が大きすぎると、被処理体の表面の変化分が小さくなる。このため、電子写真感光体の適正な表面を形成するために粒子の衝突エネルギーを高めることによって被処理体の表面の割れの発生頻度が高まることがある。逆に、ユニバーサル硬さ値(HU)が小さすぎると、粒子の衝突エネルギーが小さい場合でも被処理体の表面形状が大きく変化する。このため、電子写真感光体の適正な表面を形成するためのラチチュードが狭くなってしまうことがある。
これまでに、粒子の物性やユニバーサル硬さ値、弾性変形率が前述の範囲から外れた場合、粗面化処理によって、表面の割れ、粒子の埋め込み、異型粒子の突き刺さりといった電子写真感光体の表面の欠陥が生ずると述べてきた。これらの欠陥の評価にはいかなる観察方法を用いても良い。1例としては、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−4700(日立製作所製)を用いることができる。表面の割れ、突き刺さり、埋め込みに関して、1,000倍の視野を無作為に5箇所観察し、その割れ、突き刺さり、埋め込みの数をカウントして評価することができる。
前記弾性変形率あるいはユニバーサル硬さ値(HU)は、粗面化前の被処理体の表面を前記被処理体上から測定した値である。
前記弾性変形率あるいはユニバーサル硬さ値(HU)は、被処理体の表面に圧子を押し込んだときに、被処理体の表面に対して圧子が行った仕事量(エネルギー)、即ち被処理体の表面に対する圧子の荷重の増減によるエネルギーの変化より求めることができ、具体的には下式(3)により求めることができる。
[数3]
弾性変形率(%)=We/Wt×100 (3)
上記式(3)中、Wtは全仕事量(nJ)であり、Weは弾性変形仕事量(nJ)である。
ユニバーサル硬さ値(HU)は、圧子に最大荷重6mNをかけたときの前記圧子の押し込み深さから下式(4)により求めることができる。なお、下記式(4)中、HUはユニ
バーサル硬さ値(HU)を意味し、Ffは最大荷重(N)を意味し、Sfは最大荷重をかけたときの圧子の押し込まれた部分の表面積(mm)を意味し、hfは最大荷重をかけたときの圧子の押し込み深さ(mm)を意味する。
Figure 2006267855
弾性変形率(%)あるいはユニバーサル硬さ値(HU)は、微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定することができる。この測定装置を用いた具体的な測定方法を以下に示す。
まず、25℃、湿度50%RHの環境下で、被処理体の表面に配置された対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子に連続的に6mNまでの荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読する。具体的には、初期の荷重0mNから最大荷重6mNまでの間を段階的に(各点0.1Sの保持時間で273点)測定する。フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの概略を図2に示す。図2中、縦軸は荷重(F(mN))を、横軸は押し込み深さ(h(μm))を示す。
図2中の点Aは、圧子押し込み時の初期値を示し、点Bは最大荷重における押し込み深さと荷重を示し、点Cは最大荷重から荷重を連続的に除き荷重がゼロになったときの押し込み深さを示し、点Dは最大荷重における押し込み深さを示す。上記式(3)中の全仕事量Wt(nJ)は、図2中のA−B−D−Aで囲まれる面積で示される。また上記式(3)中の弾性変形仕事量We(nJ)は、図2中のC−B−D−Cで囲まれる面積で示される。
前記弾性変形率やユニバーサル硬さ値は、電子写真感光体の表面層となる、被処理体の表面を構成する層の材料の種類や配合量、層の作製方法等によって調整することができる。
本発明の方法は、粗面化工程以外の他の工程をさらに含んでいても良い。このような他の工程としては、例えば少なくとも被処理体の表面を構成する層を形成する層形成工程が挙げられる。
前記層形成工程は、少なくとも被処理体の表面を構成する層を形成する工程である。被処理体の表面を構成する被処理表面層は、前記粗面化工程を経て前記表面層となる層である。
本発明において、被処理表面層は電荷輸送機能を有していても、有していなくてもどちらでもよい。前記被処理表面層は、電荷輸送機能を有している場合では感光層の一部である。前記被処理表面層は、電荷輸送機能を有していない場合では保護層(又は表面保護層)である。保護層は感光層とは区別される。
前記被処理表面層は、前述した弾性変形率やユニバーサル硬さ値を示す硬化性の層であることが好ましく、硬化性樹脂を含有する層であることがより好ましい。このような被処理表面層は、硬化性樹脂やそのモノマー等の硬化性の材料の溶液又は分散液を支持体又は支持体上に形成された層の上に塗布し、所定の条件において硬化性樹脂を生成させることによって形成することができる。
前記硬化性樹脂は、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される一種類又は二種類以上であることが好ましい。
また、前記硬化性樹脂は、電荷輸送機能を有する硬化性樹脂の硬化物であることが好ましく、更に前記硬化物は、重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を加熱及び/又は放射線の照射により重合及び/又は架橋することにより、正孔輸送性化合物を含有する化合物そのものや溶液、分散液等の組成物を硬化して得られたものであることがより好ましい。
また、前記正孔輸送性化合物は、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物であることが好ましい。
前記重合性官能基が重合する条件によって、前記正孔輸送性化合物を重合させることができ、前記正孔輸送性化合物の組成物を硬化させることができる。このような重合条件には、加熱や放射線の照射等の公知の条件が挙げられる。前記放射線は、電子線であることが好ましい。
前記組成物を硬化させる条件は、加熱する熱量や、照射する放射線や電子線の強度によって適宜調整することができる。さらに、温度や酸素濃度等の組成物を硬化させる環境によっても適宜調整することができる。これらの条件によって、前記弾性変形率やユニバーサル硬さ値を調整することも可能である。
前記重合性官能基及び前記正孔輸送性化合物には、例えば特開2000−66424号公報の記載されている連鎖重合性官能基及び正孔輸送性化合物を採用することができる。
前記層形成工程は、前記被処理表面層以外の他の層を形成する工程であっても良い。前記他の層としては、例えば導電層や下引き層等の、支持体と感光層との間に形成される層や感光層、積層型(機能分離型)の感光層の場合における電荷発生層等が挙げられる。前記他の層は、被処理表面層以外の層であり、公知の方法によって製造することができる。
前記導電層は、支持体のムラや欠陥の被覆、及び画像入力がレーザー光の場合には散乱による干渉縞防止を目的として支持体上に形成される層である。導電層は、カーボンブラック、金属粒子、金属酸化物等の導電性粉体を、バインダー樹脂中に分散して形成することができる。
前記下引き層は、各層間の界面での電荷注入制御や接着層として機能する層であり、支持体あるいは導電層と感光層との間に形成される層である。下引き層は、主にバインダー樹脂から成るが、前記金属や合金、又はそれらの酸化物、塩類、界面活性剤等を含んでもよい。下引き層を形成するバインダー樹脂の具体例としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド−イミド、ナイロン、ポリサルフォン、ポリアリルエーテル、ポリアセタール、ブチラール樹脂等が挙げられる。下引き層の層厚は、好ましくは0.05〜7μmであり、より好ましくは0.1〜2μmである。
前記感光層が機能分離型の感光層である場合には、電荷発生層及び電荷輸送層が積層されて感光層を構成する。しかしながら、成膜する順序は特に制限されるものではない。
本発明において電荷発生材料としては、一般的な材料を用いることが可能である。電荷発生材料として一般に、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、また各種の中心金属及び結晶系、具体的には例えばα、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、及びキノシアニン及びA−Si(アモルファスシリコン)等が挙げられる。
また、電荷発生材料以外に、バインダー樹脂を用いることも可能である。バインダー樹脂の具体例としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド−イミド、ポリサルフォン、ポリアリルエーテル、ポリアセタール、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂等が挙げられる。
電荷発生層にバインダー樹脂を含有する場合、電荷発生材料とバインダー樹脂の比率は質量比で、バインダー樹脂と電荷発生材料との質量の総和に対する電荷発生材料の質量比が0.1〜100%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
電荷発生層の層厚は、0.001〜6μmであることが好ましく、より好ましくは、0.01〜2μmである。電荷発生層全体に含有される電荷発生材料の質量比は、10〜100%が好ましく、より好ましくは50〜100%である。
電荷輸送材料の例としては、ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物等が挙げられる。
また、電荷輸送材料以外に、バインダー樹脂を用いることも可能である。バインダー樹脂の具体例として、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド等が挙げられる。
電荷輸送層を被処理体における被処理表面層(電子写真感光体における表面層)とする場合、電荷輸送層に高エネルギー線等を利用して、硬化、重合する樹脂、あるいはモノマー、更には正孔輸送機能を有する硬化、重合する樹脂あるいはモノマーを用いることが可能である。
電荷輸送層にバインダー樹脂を含有する場合、電荷輸送材料とバインダー樹脂の比率は質量比で、バインダー樹脂と電荷輸送材料との質量の総和に対する電荷輸送材料の質量比が0.1〜100%が好ましく、より好ましくは10〜80%である。
電荷輸送層の厚さは薄すぎると帯電能が保てず、厚すぎると残留電位が高くなりすぎるため適当な範囲にする必要がある。好ましくは5〜70μm、より好ましくは10〜30μmである。
電荷輸送層中に含まれる電荷輸送材料の量は、質量比で好ましくは20〜100%であり、より好ましくは30〜90%である。
感光層が単層の感光層である場合、電荷発生物質と電荷輸送材料とは同一層内に含有さ
れる。電荷発生材料及び電荷輸送材料の具体例は、上記積層感光体の場合と同様である。この感光層の形成には、前述した被処理表面層の形成と同様に放射線を利用して、硬化、重合する樹脂、あるいはモノマー、更には正孔輸送機能を有する硬化、重合する樹脂あるいはモノマーを用いることが可能である。
単層の感光層の厚さは、8〜40μmであることが好ましく、より好ましくは12〜30μmである。単層の感光層が含有する電荷発生材料や電荷輸送材料等の光導電性材料の含有量は、好ましくは20〜100質量%であり、より好ましくは30〜90質量%である。
また、単層及び積層のどちらの場合においても、感光層の上層に保護層を設けることが可能である。この場合、保護層が被処理表面層となる。保護層は、電子写真感光体に加えられる機械的、電気的、又は化学的な負荷から感光層を保護する目的で、被処理体の表面を構成するように、種々の層の最も上に形成される層である。保護層を形成する場合では、保護層は、電子写真感光体の表面層となる。保護層を形成しない場合は、被処理表面層が粗面化処理によって電子写真感光体の表面層となる。
保護層の層厚は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜7μmである。放射線を利用して、硬化、重合する樹脂、あるいはモノマーを用いることが可能である。
更に、保護層中に金属及びその酸化物、窒化物、塩、合金やカーボン等の導電性材料を含有してもよい。その様な金属種としては、鉄、銅、金、銀、鉛、亜鉛、ニッケル、スズ、アルミニウム、チタン、アンチモン、インジウム等が挙げられる。前記導電性材料には、具体的には、ITO、TiO、ZnO、SnO、Al等が使用可能である。
前記導電性材料は微粒子状の材料であり、保護層中に分散される。その粒子径は好ましくは0.001〜5μmであり、より好ましくは0.01〜1μmである。その保護層への添加量は、好ましくは1〜70質量%であり、より好ましくは5〜50質量%である。前記導電性材料を保護層に分散する際に、分散剤としてチタンカップリング剤、シランカップリング剤、各種界面活性等を用いてもよい。
感光層を構成する各層には、酸化防止剤や光劣化防止剤等の各種添加剤を用いてもよい。また、被処理表面層には、その滑性や撥水性を改善する目的で各種フッ素化合物やシラン化合物、金属酸化物等あるいはそれらの微粒子等を含有してもよい。これらの分散性を改善する目的で分散剤や界面活性剤を用いてもよい。被処理表面層におけるこれら添加物の含有量は好ましくは1〜70質量%、より好ましくは5〜50質量%である。
被処理表面層等の前述した層は、所期の化合物そのもの、又はそれを含有する溶液や分散液等の組成物を、支持体又は支持体上に既に形成されている層の上に、蒸着、塗布等の公知の方法で付着させ、前記化合物又は組成物の膜を形成し、この膜を硬化させる公知の方法によって形成することができる。このような公知の方法の中でも、塗布法が最も好ましい。塗布による方法は、薄膜から厚膜まで広い範囲で、しかもさまざまな組成の膜が形成可能である。具体的には、バーコーター、ナイフコーター、浸漬塗布、スプレー塗布、ビーム塗布、静電塗布、ロールコーター、アトライター、粉体塗布等の、各種方法や各種手段による塗布が挙げられる。被処理表面層を製膜する方法が浸漬塗布法により塗布して製膜される場合において本発明は効果的である。被処理表面層は、浸漬塗布法により塗布、製膜された後に、被処理表面層上からのブラスト法により粗面化される。なお、被処理表面層等の前述した層の層厚は、前記膜の厚さによって調整することができる。
本発明の方法は、前記層形成工程以外に、被処理表面層が形成された被処理体を加熱する工程等の他の工程をさらに含んでいても良い。この工程における加熱条件によっても、前記弾性変形率やユニバーサル硬さ値を調整することも可能である。
本発明の電子写真感光体は、前述した本発明の方法によって製造された電子写真感光体である。本発明の電子写真感光体は、前記被処理表面層が前述した粗面化処理がされてなる層であり、電子写真感光体の表面を構成する表面層を有する以外は、その構成については特に限定されない。
本発明の電子写真感光体における感光層の層構成としては、支持体側から電荷発生層/電荷輸送層をこの順に積層した順層積層構成、支持体側から電荷輸送層/電荷発生層をこの順に積層した逆層積層構成、又は電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層中に分散した単層からなる構成の、いずれの構成をとることも可能である。
単層の感光層では光キャリアの生成と移動が同一層内で行われ、また感光層そのものが表面層となる。一方積層の感光層では、光キャリアを生成する電荷発生層と生成したキャリアが移動する電荷輸送層とが積層された構成をとる。
最も好ましい層構成は、支持体側から電荷発生層/電荷輸送層をこの順に積層した順層構成である。
この場合、電荷輸送層が硬化性樹脂を含有する一層からなる表面層である電子写真感光体、又は電荷輸送層が非硬化型の第一層と硬化型の第二層の積層型であり、硬化型の第二層が表面層である電子写真感光体のいずれかが好ましい。
本発明における電子写真感光体の表面の硬化性の層は、電子写真感光体を作製する際の、支持体又はその上に形成された層に塗布するための塗料中に、重合性官能基を有するモノマー又はオリゴマー等を含有させ、製膜、乾燥後、その膜を加熱及び放射線の照射等で重合を進行させる工程を設けることにより、三次元的に架橋、硬化することにより溶剤等に不溶、不融の強靭な製膜層を形成し、この層を前述した粗面化処理によって粗面化することにより達成される。
本発明の最良の構成は、同一分子内に重合性官能基を有する正孔輸送性材料を含有する塗料を塗布し製膜後、硬化させた感光層を有する構成である。表面層の硬化層の強度をより高くするために重合性官能基は、正孔輸送性材料において同一分子内に二つ以上存在することが好ましい。
電子写真感光体の表面層の材質は、元素分析や赤外分光分析等の公知の分析によって調べることができる。また、重合性官能基を重合させる方法(加熱、放射線の照射等)は、表面層の材質をマススペクトル等の公知の分析によって調べ、重合開始剤の有無、あるいは種類を確認することで判定できる場合もある。例えば、一般的には、開始剤を用いずに重合させたい場合に電子線を用いるため、逆に、開始剤が検出されない場合は電子線による重合であると判断できる。また、電子写真感光体の表面における粗面化処理の有無は、電子写真感光体の表面を、レーザー顕微鏡やSEM等の公知の観察手段で、そのディンプル様の凹凸形状を観察することによって調べることができる。
本発明の電子写真感光体は、電子写真装置中で繰り返し使用できるような回転軸を持ち、回転しながら帯電、画像露光、現像、転写、クリーニング等の電子写真プロセスを繰り返すように使用される。本発明の電子写真感光体に対してクリーニングブレードが設けられる場合では、クリーニングブレードは、通常、クリーニングブレードの先端縁が電子写
真感光体の回転軸に対して平行になるように配置され、電子写真感光体の表面層に当接される。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、帯電した電気写真感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して前記静電潜像を現像するための現像手段、及び前記トナー像が転写材に転写された後の電子写真感光体の表面の付着物を除去するためのクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一つの手段と一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体と、電子写真の形成に関する他の手段のうちの一つ以上とを有し、電子写真の形成における少なくとも1つ以上の工程を実施する装置である。前記帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段には、公知の手段を用いることができる。クリーニング手段は、前記クリーニングブレードと、クリーニングブレードを電子写真感光体に向けて支持するとともにクリーニングブレードが電子写真感光体の表面から除去した付着物を収容する廃トナー容器とを有するクリーニング手段であることが好ましい。また、前記他の手段には、前記現像手段によって前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写するための転写手段等のさらなる手段が含まれていても良い。
本発明のプロセスカートリッジは、通常知られているように構成することができる。例えば、電子写真感光体及びその他の手段は、これらを電子写真の形成時における相対的な位置に支持する筐体等の支持部材によって一体的に支持される。また、本発明のプロセスカートリッジは、例えば電子写真装置の本体に設けられ、電子写真感光体及びその他の手段が電子写真の形成位置に配置されるように前記支持部材を案内するレール等の案内部材によって、電子写真装置本体に着脱自在に構成される。
本発明の電子写真装置は、本発明の電子写真感光体、前記帯電手段、帯電した電子写真感光体に形成すべき画像に応じた光を照射して静電潜像を形成するための露光手段、前記現像手段、及び前記転写手段を有する電子写真装置である。前記露光手段には、電子写真の形成における公知の露光手段(潜像形成手段)を用いることができる。
本発明の電子写真装置は、本発明の電子写真感光体及び前述した手段以外の他の手段をさらに有していても良い。他の手段としては、例えば前記クリーニング手段、トナー像が転写された転写材にトナー像を定着させる定着手段、転写後又はクリーニング後の電子写真感光体の静電履歴を消去するための光を照射する前露光手段等の、電子写真の形成に関する種々の公知の手段が挙げられる。
図3に、本発明の電子写真感光体を用いた一般的な転写式の電子写真装置の一例の概略構成を示す。
前記電子写真装置は、本発明の電子写真感光体1と、電子写真感光体1を帯電させる帯電手段2と、帯電した電子写真感光体1に形成すべき画像に応じたレーザ光等の光Lを照射して電子写真感光体1に静電潜像を形成する像露光手段(不図示)と、静電潜像が形成された電子写真感光体1にトナーを供給して静電潜像が現像されてなるトナー像を形成する現像手段3と、トナー像を電子写真感光体1から転写材7に転写させる転写手段4と、転写材7に転写されたトナー像を転写材に定着させる像定着手段8と、転写後の電子写真感光体1の表面の付着物を除去するクリーニング手段5と、クリーニング後の電子写真感光体1に静電履歴を消去するための光を照射する前露光手段6とを有する。
電子写真感光体1は、円筒状の電子写真感光体であり、軸1aを有する。帯電手段2は、コロナ放電を用いる非接触式の帯電装置である。
光Lは、電子写真装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは原稿を読み取り信号化し、この信号によるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動等により、電子写真感光体1に照射される光である。ファクシミリのプリンターとして使用する場合には、光Lは受信データをプリントするための露光光になる。
現像手段3は、トナーを収容するトナー容器と、トナー容器の開口部に回転自在に設けられている現像スリーブ3−1とを有する。転写手段4は、転写材7を介して電子写真感光体1にコロナ放電を用いて電圧を印加する非接触式の帯電装置である。クリーニング手段5は、電子写真感光体1の表面に当接するクリーニングブレードを有する。像定着手段8は、転写材7を加熱するためのヒータを内臓する定着ローラと、定着ローラに向けて転写材7を押圧するための加圧ローラとを有する。
図3において、電子写真感光体1は、軸1aを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程で帯電手段2により、その周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受ける、次いで電子写真感光体1は、露光部にて前記像露光手段により光像露光(スリット露光・レーザービーム走査露光等)を受ける。これにより電子写真感光体1の周面に、露光像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
その静電潜像には、ついで現像手段3で現像スリーブ3−1からトナーが供給される。一方で、電子写真感光体1と転写手段4との間には、不図示の給紙部から、電子写真感光体1の回転と同期して転写材7が給紙される。供給されたトナーによって静電潜像が現像されてなるトナー像は、転写手段4により転写材7の面に順次転写されていく。
像転写を受けた転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて像定着手段8へ導入される。像定着手段8に導入された転写材7上の未定着のトナー像は、像定着を受ける。像定着を受けた転写材は、複写物(コピー)として機外へ出力される。
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段5にて転写残りトナーの除去を受けて清浄面化される。電子写真感光体1の表面は、更に前露光手段6により除電処理されて繰り返して像形成に使用される。
上述の電子写真感光体や現像手段、クリーニング手段等の構成要素のうち、複数のものを装置ユニットとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してなるプロセスカートリッジにしても良い。
図4にプロセスカートリッジの例を示す。本発明のプロセスカートリッジでは、例えば、電子写真感光体1と帯電手段2と現像手段3とクリーニング手段5とを、筐体11中に支持して一体化してひとつの装置ユニットとする。筐体11は、電子写真感光体1、帯電手段2、現像手段3、及びクリーニング手段5のそれぞれが画像形成時における相対的な位置関係に配置されるように支持する。また筐体11には、光L及び前露光手段6からの光を筐体11の外から中へ通すための開口部が設けられている。
電子写真装置の本体には、レール12等の案内手段が設けられている。案内手段は、転写手段4の転写位置や、前露光手段6からの光及び光Lの入射位置等に応じた画像形成位置に筐体11内の電子写真感光体1が配置されるように、筐体11を電子写真装置の本体に着脱自在に案内し、支持する。
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター、レーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例中に記載される研磨粒子の物性値については表1及び表3にまとめて示すものとする。
<実施例1>
実施例1に用いる電子写真感光体を以下の通りに作製した。
まず、長さ370mm、外径84mm、肉厚3mmのアルミニウムシリンダ(JIS A3003で規定されるアルミニウムの合金)を切削加工により作製した。このシリンダを洗剤(商品名:ケミコールCT、常盤化学(株)製)を含む純水中で超音波洗浄を行い、続いて洗剤を洗い流す工程を経た後、更に純水中で超音波洗浄を行って脱脂処理した。
アンチモンをドープした酸化スズの被覆膜を有する酸化チタン粉体(商品名:クロノスECT−62、チタン工業(株)製)60質量部、酸化チタン粉体(商品名:titone SR−1T、堺化学(株)製)60質量部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:ブライオーフェン(大日本インキ化学工業(株)の登録商標) J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)70質量部、2−メトキシ−1−プロパノール50質量部、メタノール50質量部とからなるスラリーを約20時間ボールミルで分散させて分散液を得た。この分散液に含有される粉体の平均粒径は、0.25μmであった。
このようにして調合した分散液を、前記アルミニウムシリンダ上に浸漬法によって塗布し、前記分散液が塗布されたアルミニウムシリンダを150℃に調整された熱風乾燥機中で48分間加熱乾燥し、前記分散液の塗布膜を硬化させることにより、層厚15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミラン(東レ社の登録商標)CM8000、東レ(株)製)10質量部及びメトキシメチル化ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス(株)製)30質量部をメタノール500質量部及びブタノール250質量部の混合液に溶解した溶液を、前記導電層の上に浸漬塗布し、前記溶液が塗布されたアルミニウムシリンダを100℃に調整された熱風乾燥機中で22分間加熱乾燥して、前記溶液の塗布膜を硬化させることにより、層厚み0.45μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα線回折スペクトルにおけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料4質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2質量部、シクロヘキサノン90質量部からなる混合液を、直径1mmガラスビーズを用いてサンドミルで10時間分散させた後、得られた混合液に酢酸エチル110質量部を加えて電荷発生層用塗工液を調製した。この塗工液を上記の下引き層上に浸漬塗布し、前記塗工液が塗布されたアルミニウムシリンダを80℃に調整された熱風乾燥機中で22分間加熱乾燥して、前記塗工液の塗布膜を硬化させることにより、層厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(1)で示されるトリアリールアミン系化合物35質量部及びビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロン(三菱エンジニアリングプラス
ティックス社の登録商標)Z400、三菱エンジニアリングプラスティックス(株)製)50質量部を、モノクロロベンゼン320質量部及びジメトキシメタン50質量部に溶解して電荷輸送層用塗工液を調製した。この塗工液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、前記塗工液が塗布されたアルミニウムシリンダを100℃に調整された熱風乾燥機中で40分間加熱乾燥して、前記塗工液の塗布膜を硬化させることにより、層厚20μmの第一の電荷輸送層を形成した。
Figure 2006267855
次いで、硬化性の表面層である第二の電荷輸送層を以下のように作製した。
分散剤としてフッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)0.45質量部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)35質量部と1−プロパノール35質量部に分散した後、得られた分散液に潤滑剤として四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)9質量部を加え、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、Microfluidics社製)で5880N/cm(600kgf/cm)の圧力で3回の処理を施し、均一に分散させた。
得られた分散液を、10μmのPTFEメンブレンフィルターで加圧ろ過を行い、潤滑剤分散液を調製した。その後、下記構造式(2)で示される正孔輸送性化合物21質量部を潤滑剤分散液に加え、得られた潤滑剤分散液を、PTFE製の5μmメンブレンフィルターで加圧ろ過を行い、硬化型表面層としての第二の電荷輸送層用塗工液を調製した。この塗工液を前記第一の電荷輸送層上に浸漬塗布法により塗布し、硬化型表面層としての第二の電荷輸送層用の塗布膜を形成した。
Figure 2006267855
その後、前記塗布膜へ、窒素中において加速電圧150kV、線量15kGyの条件で電子線を照射し、前記塗布膜を硬化させたアルミニウムシリンダ(被処理体)を得た。引き続いて被処理体の温度が120℃になる条件で90秒間加熱処理を行った。このときの酸素濃度は10ppmであった。更に、被処理体を大気中で100℃に調整された熱風乾燥機中で20分間加熱処理を行って、層厚5μmの硬化型表面層(被処理表面層)を形成した。
以上のようにして、電子写真感光体の前の部材である被処理体を作製した。以下、実施
例中に記載する「被処理体の作製」とは、ここまでの工程を指す。
硬度試験用に被処理体を23℃湿度50%の環境下に24時間放置した後、上述した微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて、弾性変形率とユニバーサル硬さ値を求めた。
弾性変形率とユニバーサル硬さ値は、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読することにより連続的に測定される硬さから求められる。圧子としては、対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用することができる。具体的には、最大荷重6mNまで段階的に(各点0.1sec.の保持時間で273点)測定する。測定は、被処理表面層のブラスト処理前に実施した。測定結果を表1に示す。
得られた被処理体では、以下のようにして被処理表面層の粗面化処理を行った。図1に示す乾式ブラスト装置(不二精機製造所製)を用いて、下記条件にてブラスト処理を行った。
研磨粒子として、体積基準粒度分布における平均粒径が28.5μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−01L 株式会社ユニオン製)を使用した。ブラスト処理前に、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
ブラスト処理における圧縮エアの圧力は0.34MPa、噴射ノズルの回転軸方向への移動速度は430mm/min、ワーク(被処理体)の回転速度は60rpm、ノズルとワーク(被処理体)との距離は100mm、ノズルの延長線とワークの接線あるいは回転軸とのなす角度はともに90°、研磨粒子の供給量は200g/minに設定した。
以上の条件で、被処理体の一端から他端まで噴射ノズルを走査させ、上記被処理体の表面が全面粗面化処理されるまでブラストを行った。さらに、クリーニング性を向上させる目的で、一度粗面化された被処理の上から、もう一度同様の処理を行った。すなわち、粗面化処理回数は2回であった。
以上のようにして、被処理体の表面が粗面化されてなる電子写真感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体について、表面の評価を、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−4700(日立製作所製)を用いて行った。作製した処理光体の電子写真感光体の表面を、カミソリでおよそ5mm角の大きさに削ぎ取り、導電性テープを介してFE−SEM用のサンプル台に貼り付け、表面に白金を蒸着させてFE−SEM観察用のサンプルとした。表面の割れ、研磨粒子の突き刺さり、埋め込みに関して、1,000倍の視野において無作為に5箇所観察し、表面の割れ、研磨粒子の突き刺さり、埋め込まれた研磨粒子の数を観察した。前記観察項目について5箇所の平均の数を算出した結果を表2に示す。
クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験を行わなかった以外は上記の作製方法と同様の方法で、電子写真感光体を作製した。クリーニング性の評価は、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを装備する電子写真複写機(商品名:iR C6800、キヤノン(株)製)を、本実施例の負帯電有機感光体(電子写真感光体)が装着できるように改造した装置を用いて評価した。
この複写機に前記電子写真感光体を装着して、以下のように電位を設定し、画像等の特性を評価した。まず、23℃/50%RHの環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)、明部電位(Vl)をそれぞれVd=−700(V)、Vl=−200(V)になるよ
うに電位の条件を設定し、評価するそれぞれの電子写真感光体の初期電位を調整した。
次にクリーニング性の評価として、クリーニングブレードの当接圧設定を高圧の場合、中圧の場合、低圧の場合の3条件に設定した際のクリーニング性を評価した。高圧設定のブレードの線圧を40g/cm、中圧設定のブレードの線圧を25g/cm、低圧設定のブレード線圧を16g/cmとした。また、クリーニングブレードの設定角(図3において、クリーニングブレード5と電子写真感光体1の接点における法線と、クリーニングブレード5の延出方向とのなす角度のうち鋭角となる方の角度)は24°に設定した。
評価環境は23℃/50%RHの環境下で、A4横サイズ、画像比率10%で解像度と色の階調性が評価できるように作成されたテスト画像をフルカラーで連続2枚画像出力することを500回繰り返して、合計1,000枚耐久評価する中で結果を比較した。
ブレード高圧、低圧の2条件において、ブレード鳴き、ブレードめくれ、(スジ状の)トナーのすり抜けの発生状況を評価した。ここで、「ブレード鳴き」とは、クリーニングブレードと感光体の間の摩擦力が高すぎるために、それらが摺擦されるときに、あるいは感光体が停止するときにブレードが音を立てる状態をいう。そのような場合には、ブレードは感光体の回転方向に引きずられ、クリーニング性に問題が発生する場合が多い。
「ブレードめくれ」も同様に、摩擦力が高すぎるために、感光体の回転方向にブレードが引きずられ、完全に持っていかれてしまい、反転してしまう状態をいう。「スジ状のトナーすり抜け」とは、クリーニングブレードのうち、何らかの原因でクリーニングできなくなったある箇所からトナーがすり抜け、この除去されないトナーが感光体上にスジ状に残ってしまう状態をいう。
ブレード中圧設定において、前記電子写真感光体の回転モータの初期の駆動電流値Aと1,000枚耐久後の駆動電流値Bから、B/Aの値を求め相対的なトルク上昇比率として比較した。
また、ブレード中圧設定において、画像の評価を行った。1,000枚耐久評価終了後に、ハーフトーン画像を出力することで、白ポチ、黒ポチといった画像上の不良を観察した。
白ポチとは、全面均一ハーフトーン画像の中で白く抜けている部分を指す。これを、出力画像をルーペで観察することで検出した。
黒ポチとは、全面均一ハーフトーン画像の中で周囲よりも濃い部分を指す。これは、電流のリークに起因すると予想される。
電流のリークは、感光体の欠陥などの原因で電子写真プロセス中に感光層が絶縁破壊を起こしてしまう現象であり、結果、感光層が破壊される。この部分はもはや帯電しないためトナーが載り過ぎてしまい、ハーフトーン画像上、周囲よりも濃く出力される。電流のリークは、出力画像をルーペで観察することで検出した。
また、感光体表面の対応する場所をレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、VK-8
500)により観察し、膜の破壊を確認した。
さらに、多数枚印字した場合のクリーニング性を評価する目的で、ブレード高/中/低圧、それぞれの設定で、上記と同様の評価を行いながら、耐久を続けた。A4横サイズ、画像比率10%で解像度と色の階調性が評価できるように作成されたテスト画像をフルカ
ラーで連続2枚画像出力することを10,000回繰り返して20,000枚耐久評価を行った。
表2に見られるように、本発明の電子写真感光体は、初期、耐久使用時ともにブレード当接圧が低くなった場合のトナーのすり抜け等クリーニング不良が無く、またブレード当接圧が高くなった場合のブレード鳴き、ブレード捲れの問題がない。また、回転トルクの増大が無い。
また、本発明の電子写真感光体は、表面の割れ、研磨粒子の突き刺さり、埋め込み等の欠陥が無い、あるいは軽微であり、初期、耐久使用時いずれの場合においても、これらの欠陥によって引き起こされる電流のリークや画像上の欠陥、あるいは、クリーニングブレードの欠け、クリーニング不良といった問題は発生しない。
以上より、本発明は、クリーニング性、画像上の欠陥の無い電子写真感光体を提供できることがわかる。
<実施例2>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として、体積基準粒度分布における平均粒径が45.8μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−03L 株式会社ユニオン製)を使用した以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例3>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が28.5μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−01L 株式会社ユニオン製)と、同じく平均粒径が6.6μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−001L 株式会社ユニオン製)を体積比8:2で混合した研磨粒子を使用した以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例4>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が28.5μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−01L 株式会社ユニオン製)と、同じく平均粒径が112.8μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−78L 株式会社ユニオン製)を体積比8:2で混合した研磨粒子を使用し、圧縮エアの圧力を、0.17MPa、処理回数を3回とした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例5>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒子径が 28.5μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−01L 株式会社ユニオン製)と、同じく平均粒子径が68.3μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−45L 株式会社ユニオン製)を体積比1:1で混合した研磨粒子を使用し、圧縮エアの圧力を、0.20MPa、処理回数
を3回とした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例6>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒子径が 28.5μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−01L 株式会社ユニオン製)と、同じく平均粒子径が6.6μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−001L 株式会社ユニオン製)を体積比3:7で混合した研磨粒子を使用し、処理回数を5回とした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体
について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例7>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が26.5μmであるガラスビーズ(商品名:J−800T ポッターズ・バロティーニ株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例8>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として、ガラスビーズ(商品名:J-800T ポッターズ・バロティ
ーニ株式会社製)を故意に粒子の割れを発生させるように繰り返し使用した研磨粒子を使用した以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
ここで、上記の繰り返し使用とは次のように行った。すなわち、本発明において、図1、ブラスト装置の概略図の1−7は電子写真感光体であるが、これの代わりにステンレス鋼(SUS)製の円筒体を設置し、これに向けて同じ研磨粒子を使い回して、30回ブラスト処理を行った。これを回収して、被処理体の表面の粗面化に使用した。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例9>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が18.3μmであるアルミナビーズ(商品名:CB−A20S 昭和タイタニウム株式会社製)を使用し、圧縮エアの圧力を、0.29MPaとした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例10>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が24.6μmであるジルコニアビーズ(商品名:MB−20 マテリアルサイエンス株式会社製)を使用し、圧縮エアの圧力を、実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例11>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が51.3μmであるステンレス鋼(SUS)ビーズ(商品名:BPS300 伊藤機工株式会社製)を使用し、圧縮エアの圧力を、0.16MPaとした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例12>
実施例1と同様にして、アルミニウムシリンダ上に、導電層、下引き層、電荷発生層、及び第一の電荷輸送層までを形成した。
次いで、第二の電荷輸送層を以下のように作製した。
分散剤としてフッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)0.4質量部を、モノクロロベンゼン58質量部とジメトキシメタン39質量部に分散させた後、潤滑剤として四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)0.5質量部を加え、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、Microfluidics社製)で5880N/cm(600kgf/cm)の圧力で3回の処理を施し、均一に分散させた。
得られた分散液を10μmのPTFEメンブレンフィルターで加圧ろ過を行い潤滑剤分散液を調製した。その後、前記構造式(2)で示される正孔輸送性化合物0.5質量部と、下記構造式(4)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量(Mv):80,000)2部を潤滑剤分散液に加え、得られた潤滑剤分散液を、PTFE製の5μmメンブレンフィルターで加圧ろ過を行い、第二の電荷輸送層用塗工液を調製した。
Figure 2006267855

この塗工液を前記第一の電荷輸送層上にスプレーコーティングして第二の電荷輸送層用の塗布膜を形成し、この第二の電荷輸送層用塗布膜が形成されたアルミニウムシリンダを、110℃に調整された熱風乾燥機中で60分間加熱乾燥して、層厚5μmの第二の電荷輸送層を形成した。
得られた被処理体について、実施例1と同様にして弾性変形率とユニバーサル硬さ値の測定を行った。測定結果を表1に示す。
次に、圧縮エアの圧力を、0.17MPa、処理回数を1回とした以外は実施例1と同様の粗面化方法で、被処理体の表面の粗面化を行った。得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例13>
実施例1の被処理体の作製において、第二の電荷輸送層用塗工液を塗工した後の電子線照射の照射線量を15kGyから75kGyに変更し、さらにそれに引き続く加熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして被処理体を作製した。実施例1と同様にして、得られた被処理体の弾性変形率とユニバーサル硬さ値の測定を行った。測定結果を表1に示す。
次に、圧縮エアの圧力を、0.20MPaとした以外は実施例1と同様の粗面化方法で被処理体の表面の粗面化を行った。得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す
<実施例14>
実施例1の被処理体の作製において、第二の電荷輸送層に用いた正孔輸送性化合物を上記構造式(2)で示される構造を有する正孔輸送性化合物から下記構造式(3)で示される構造を有する正孔輸送性化合物に変更し、また、第二の電荷輸送層用塗工液を塗工した後の電子線照射の照射線量を15kGyから75kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして被処理体を作製した。実施例1と同様にして、得られた被処理体の弾性変形率とユニバーサル硬さ値の測定を行った。測定結果を表1に示す。
Figure 2006267855
次に、実施例1と同様の粗面化方法で、被処理体の表面の粗面化を行った。得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例15>
実施例14の電子写真感光体の作製において、第二の電荷輸送層用塗工液を塗工した後の電子線照射の照射量を第二の電荷輸送層用塗工液を塗工した後の電子線照射の照射線量を75kGyから150kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして被処理体を作製した。実施例1と同様にして、得られた被処理体の弾性変形率とユニバーサル硬さ値の測定を行った。測定結果を表1に示す。
次に、圧縮エアの圧力を、0.37MPaとした以外は実施例1と同様の粗面化方法で被処理体の表面の粗面化を行った。得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例16>
実施例1の被処理体の作製において、第二の電荷輸送層に用いる電荷輸送層用塗工液の調製を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして被処理体を作製した。
すなわち、分散剤としてフッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)
製)0.45質量部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)35質量部と1−プロパノール35質量部に溶解した後、潤滑剤として四フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)9質量部を加え、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)で5880N/cm(600kgf/cm)の圧力で3回の処理を施し均一に分散させた。得られた分散液を、10μmのPTFEメンブレンフィルターで加圧ろ過を行い、潤滑剤分散液を調製した。
その後、前記式(2)で示される構造を有する正孔輸送性化合物5.25質量部と下記一般式(5)で示される構造を有する化合物15.75質量部を潤滑剤分散液に加え、PTFE製の5μmメンブレンフィルターで加圧ろ過を行い、硬化型表面層としての第二の電荷輸送層用塗工液を調製した。なお、下記一般式(5)中のRは下記構造式(6)で示される。
Figure 2006267855
Figure 2006267855
得られた被処理体の弾性変形率とユニバーサル硬さ値の測定を行った。測定結果を表1に示す。
次に、圧縮エアの圧力を、0.39MPaとした以外は実施例1と同様の粗面化方法で、被処理体の表面の粗面化を行った。得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例17>
実施例1の被処理体の作製において、第二の電荷輸送層用塗工液を塗工した後の加熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして被処理体を作製した。得られた電子写真感光体の弾性変形率とユニバーサル硬さ値の測定を行った。測定結果を表1に示す。
次に、圧縮エアの圧力を、0.25MPa、処理回数を1回とした以外は実施例1と同様の粗面化方法で被処理体の表面の粗面化を行った。得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例18>
実施例1の被処理体の作製において、第二の電荷輸送層用塗工液の塗布膜に電子線を照射した後の加熱処理を行う際の、「被処理体の温度が120℃になる条件」を「被処理体の温度が100℃になる条件」に変更した以外は実施例1と同様にして被処理体を作製した。実施例1と同様にして、得られた被処理体の弾性変形率とユニバーサル硬さ値の測定を行った。測定結果を表1に示す。
次に、圧縮エアの圧力を、0.31MPaとした以外は実施例1と同様の粗面化方法で、被処理体の表面の粗面化を行った。得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<実施例19>
実施例1の被処理体の作製において、第二の電荷輸送層用塗工液の塗布膜に電子線を照射した後の加熱処理を行う際の、「被処理体の温度が120℃になる条件」を「被処理体の温度が150℃になる条件」に変更した以外は実施例1と同様にして被処理体を作製した。実施例1と同様にして、得られた被処理体の弾性変形率とユニバーサル硬さ値の測定を行った。測定結果を表1に示す。
次に、圧縮エアの圧力を、0.42MPaとした以外は実施例1と同様の粗面化方法で、被処理体の表面の粗面化を行った。得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記の作製方法と同じ方法で、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表2に示す。
<比較例1>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
得られた被処理体に一切の粗面化処理を行わずに、この被処理体を実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様にクリーニング性の評価を行った。結果を表4に示す。
なお、この被処理体は、クリーニング性評価の初期に、ブレード高圧設定においてはブレードの捲れが、ブレード低圧設定においてはブレード鳴きが発生したため、耐久評価を中止した。
<比較例2>
実施例12と同様にして被処理体を作製した。
得られた被処理体に一切の粗面化処理を行わずに、この被処理体を実施例1で用いた電
子写真装置に装着して同様にクリーニング性の評価を行った。結果を表4に示す。
なお、この被処理体は、クリーニング性評価の初期にはブレード鳴きが、耐久後にはクリーニング不良が発生した。
<比較例3>
実施例17と同様にして被処理体を作製した。
得られた被処理体に一切の粗面化処理を行わずに、この被処理体を実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様にクリーニング性の評価を行った。結果を表4に示す。
なお、この被処理体は、クリーニング性評価の初期に、ブレード高圧設定においてはブレードの捲れが、ブレード低圧設定においてはブレード鳴きが発生したため、耐久評価を中止した。
<比較例4>
実施例16と同様にして被処理体を作製した。
得られた被処理体に一切の粗面化処理を行わずに、この被処理体を実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様にクリーニング性の評価を行った。結果を表4に示す。
なお、この被処理体は、クリーニング性評価の初期に、ブレード高圧設定においてはブレードの捲れが、ブレード低圧設定においてはブレード鳴きが発生したため、耐久評価を中止した。
<比較例5>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が65.2μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−06L 株式会社ユニオン製)を使用し、圧縮エアの圧力を、0.20MPaとした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表3に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表4に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記と全く同じ作製方法で電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表4に示す。
<比較例6>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が68.3μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−45L 株式会社ユニオン製)を使用し、圧縮エアの圧力を、0.20MPaとした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表3に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表4に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以
外は上記と全く同じ作製方法で電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表4に示す。
<比較例7>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が112.8μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−78L 株式会社ユニオン製)を使用し、圧縮エアの圧力を、0.17MPa、処理回数を1回とした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表3に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表4に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記と全く同じ作製方法で電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表4に示す。
<比較例8>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が6.6μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−001L 株式会社ユニオン製)を使用し、圧縮エアの圧力を、0.39MPa、処理回数を5回とした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表3に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表4に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以外は上記と全く同じ作製方法で電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表4に示す。
なお、この電子写真感光体は、クリーニング性評価の初期にブレード高圧設定ではブレードの捲れが発生し、低圧設定ではブレード鳴きが発生したため、耐久評価を中止した。
<比較例9>
実施例1と同様にして被処理体を作製した。
次に、研磨粒子として体積基準粒度分布における平均粒径が28.5μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−01L 株式会社ユニオン製)と、同じく平均粒径が112.8μmである球状ガラスビーズ(商品名:UB−78L 株式会社ユニオン製)を体積比6:4で混合した研磨粒子を使用し、圧縮エアの圧力を、0.17MPa、処理回数を3回とした以外は実施例1と同様にして、被処理体の表面の粗面化を行った。その際、実施例1と同様に、粗面化を行う前の研磨粒子の体積基準粒度分布、平均粒径、最頻径、平均円形度の測定を行った。測定結果を表3に示す。
得られた電子写真感光体について、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、実施例1と同様の方法で表面の評価を行った。結果を表4に示す。
さらに、クリーニング性の評価を行う目的で、硬度試験、表面の評価を行わなかった以
外は上記と全く同じ作製方法で電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体について、実施例1で用いた電子写真装置に装着して同様に評価した。結果を表4に示す。
なお、表2における()内の数値は、平均値ではなく、観察視野5箇所の合計である。
Figure 2006267855
Figure 2006267855
Figure 2006267855
Figure 2006267855
本発明に用いられるブラスト加工装置の一例の構成を概略的に示す図である。 微小硬さ測定装置フィッシャースコープH100V(H.Fischer社製)によって被処理体の表面特性を測定したときのチャートの一例を示す図である。 本発明の電子写真装置の一例の構成を概略的に示す図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例の構成を概略的に示す図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
1a 軸
1−1 噴射ノズル
1−2 ノズル固定冶具
1−3 圧縮エア供給管
1−4 研磨粒子供給管
1−5 研磨粒子
1−6 ワーク支持体
1−7 被処理体
1−8 ノズル支持体
1−9 アーム
2 帯電手段
3 現像手段
3−1 現像スリーブ
4 転写手段
5 クリーニング手段
6 前露光手段
7 転写材
8 像定着手段
11 筐体
12 レール
L 光

Claims (25)

  1. 支持体及び前記支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
    前記支持体と支持体上に設けられた前記感光層を含む全ての層とを有する被処理体の表面に、体積基準粒度分布における平均粒径が10〜60μmの粉体を衝突させることによって、前記被処理体の表面の粗面化処理を行う粗面化工程を含み、
    電子写真感光体の表面を構成する表面層の表面が粗面化処理された電子写真感光体を製造することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 少なくとも前記被処理体の表面を構成する層を前記支持体上に形成する層形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記粉体の体積基準粒度分布における最頻径が10〜60μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記粉体のうち粒径が10μm未満の粒子の合計体積が前記粉体に含まれるすべての粒子の合計体積に対して30体積%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記粉体のうち粒径が100μmを超える粒子の合計体積が前記粉体に含まれるすべての粒子の合計体積に対して30体積%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記粉体のうち粒径が10μm以上の粒子の平均円形度が0.900以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記粉体のうち粒径が10μm以上の粒子の平均円形度が0.950以上であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記粉体が、ガラス粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子及びステンレス粒子からなる群より選択される少なくとも一種の粒子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記粗面化工程における粗面化処理が乾式ブラスト処理であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記粗面化工程における粗面化処理が湿式ホーニング処理であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 前記被処理体の表面の弾性変形率が45%以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 前記被処理体の表面の弾性変形率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 前記被処理体の表面の弾性変形率が65%以下であることを特徴とする請求項11または12に記載の電子写真感光体の製造方法。
  14. 前記被処理体の表面のユニバーサル硬さ値(HU)が150〜220N/mmである
    ことを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  15. 支持体及び前記支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、請求項1〜14のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
  16. 前記表面層が硬化性樹脂を含有する層であることを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体。
  17. 前記硬化性樹脂が、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
  18. 前記表面層が、重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を加熱及び放射線の照射のいずれか一方又は両方によって重合させ、前記正孔輸送性化合物を含有する組成物を硬化させることにより得られる硬化物を含有する層であることを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  19. 前記重合性官能基を有する正孔輸送性化合物が、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物であることを特徴とする請求項18に記載の電子写真感光体。
  20. 前記放射線が電子線であることを特徴とする請求項18又は19に記載の電子写真感光体。
  21. 前記感光層が電荷発生層及び電荷輸送層を有する積層型の感光層であり、前記電荷輸送層が前記電子写真感光体の表面層であることを特徴とする請求項15〜20のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  22. 前記電荷輸送層が、第一電荷輸送層及び第二電荷輸送層を有する積層型の電荷輸送層であり、前記第二電荷輸送層が前記電子写真感光体の表面層であることを特徴とする請求項21に記載の電子写真感光体。
  23. 請求項15〜22のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、帯電した電気写真感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して前記静電潜像を現像するための現像手段、前記現像手段によって前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写するための転写手段、及び前記トナー像が転写材に転写された後の電子写真感光体の表面の付着物を除去するためのクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一つの手段とが一体に支持され、かつ電子写真装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  24. 請求項15〜22のいずれかに記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、帯電した電子写真感光体に形成すべき画像に応じた光を照射して静電潜像を形成するための露光手段、形成された静電潜像にトナーを供給して前記静電潜像を現像するための現像手段、及び前記現像手段によって前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写するための転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
  25. 前記トナー像が転写材に転写された後の電子写真感光体の表面の付着物を除去するためのクリーニング手段をさらに有することを特徴とする請求項24に記載の電子写真装置。
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