JP2006265648A - 無電解金めっき液再調製方法、無電解金めっき方法及び金イオン含有液 - Google Patents

無電解金めっき液再調製方法、無電解金めっき方法及び金イオン含有液 Download PDF

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Abstract

【課題】 亜硫酸金塩を金イオン源とする無電解金めっき液を用いてめっきを施す場合に、無電解金めっき液の液安定性を十分維持可能であり、かつ金イオンを無駄なく十分有効に無電解金めっき液に供給することができる無電解金めっき液再調製方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、亜硫酸金塩を含有する無電解金めっき液に、亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する工程を有する無電解金めっき液再調製方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無電解金めっき液再調製方法、無電解金めっき方法及び金イオン含有液に関するものである。
従来、プリント配線板上に形成された例えば銀又は銅等からなる導体パターン上にのみ選択的に金めっき皮膜を形成する方法として、電解めっき法と無電解めっき法が広く知られている。これらのうち、電解めっき法が、処理コスト及び浴安定性の観点で有利であることから、主として採用されている。
一方、近年、半導体デバイス等の配線基板への電子回路の実装を、より高集積化及び/又は極微細化する必要性が生じてきている。しかしながら、電解めっき法は、電源リードに対する設計上の制約があり、また、孤立パターン上へのめっき皮膜の形成が比較的困難であるため、上記要求に対応できない場合が生じている。したがって、今後はこのような点で有利である無電解めっき法に対する必要性が高まるものと予想される。
この無電解めっき法は、置換金めっき法と、いわゆる自己触媒型の無電解金めっき法とに大別される。これらのうち置換金めっき法は、金塩を含有する置換金めっき液に卑金属導体を浸漬することにより、めっき液中の金イオンが卑金属導体表面の卑金属と反応(M→Mn++ne、nAu+ne→nAu;Mは卑金属を表し、nは自然数を表す。)して、金属の金として卑金属導体表面上に析出するものである。この置換金めっき方法は卑金属と金との置換反応であるため、金が卑金属導体の全表面上に析出したところで反応が停止する。よって、導体上に膜厚を大きくした厚付金めっきを施すことは困難である。
それに対し、自己触媒型の無電解金めっき方法は、金めっき液中の金イオンを金属の金に還元して導体上に金被膜を形成するものである。この際、金被膜はそれ自体が金イオンの還元反応に対して触媒能(自己触媒能)を有するため、金めっき液中に一定濃度以上の金イオンが存在すれば、被めっき体が金属の金であっても、更にその上にめっきを施すことが可能である。よって、金イオン源である金塩を始めとする無電解金めっき液の各成分を分析し、その分析結果に基づき各成分を補充して液組成を管理することにより、数μm程度の任意の厚さまでなら厚付金めっきが可能となる。
自己触媒型の無電解金めっき方法において、従来はシアン化合物を含む無電解金めっき液が主として用いられている。しかしながら、シアン化合物はその毒性が強いため、取り扱いが困難である。さらには、シアン化合物を含有した無電解金めっき液のほとんどは、例えば特許文献1に開示されているように比較的高いpHを有しているため、レジストが溶解してパターンめっき性が低下するという問題点がある。
このような問題点を解決するため、シアン化合物を含まず、pHが中性付近であり、しかも比較的低温で使用可能な無電解金めっき液が近年開発されている。例えば特許文献2には、チオ硫酸金ナトリウム及びチオ尿素を主成分とする金めっき液が開示され、特許文献3には塩化金酸塩及びアスコルビン酸を主成分とする金めっき液が記載されている。更に、特許文献4には塩化金酸塩、チオ尿素及びフェニル化合物を主成分とする金めっき液が、特許文献5には亜硫酸金化合物、アミン及びヒドラジン化合物を主成分とする金めっき液が、そして特許文献6には金塩、チオ尿素、フェニル化合物及びベンゾトリアゾール系化合物を主成分とする金めっき液がそれぞれ開示されている。これらの無電解金めっき液はそれ以前に開発されたものと比較してレジストの溶解性が低いため、パターンめっき性が改善される結果となっている。
特開昭57−169077号公報 特開昭62−86171号公報 特開平1−191782号公報 特開平3−104877号公報 特開平3−215677号公報 特開平6−306623号公報
ところで、自己触媒型の無電解金めっき方法では、上述のとおり無電解金めっき液中の金イオンの還元により金めっきが形成される。そのため、めっきの下地が金であっても、その上に更に金めっきを施すことができるという利点を有する。しかしながら、それと同時にめっき液中の金イオン濃度は金めっきの形成に伴い減少するので、そのままでは一定の析出速度で任意の厚さまで厚付け金めっきをすることは困難である。そこで、一旦めっきに使用した無電解金めっき液の各成分を分析し、その分析結果に基づき各成分を補充して液組成を管理すれば、数μm程度の任意の厚付金めっきが繰り返し可能となる。また、このようにして液組成を管理すれば、その金めっき液を繰り返しめっきに使用することができる。
実際これまでにも、既に被めっき体の浸漬を経ためっき液に金塩を補充して、再度めっきに用いる手法が提案されている。それらの手法では、金塩として主に亜硫酸金塩又は塩化金酸塩が採用されている。亜硫酸金塩は常態で不安定なため、pHが13以上の高アルカリ性水溶液の状態で市販されている。また、塩化金酸塩は中性の固体として市販されているが、この固体は3価の金塩であるため、一旦高アルカリ性の水溶液の状態にし金の価数を1価にしてから無電解金めっき液に補充される。これらのうち一般的には、作業性の観点から亜硫酸金塩の高アルカリ性水溶液が主に使用されている。
亜硫酸金塩を金イオン源とする無電解金めっき液は、金めっき液の安定性の観点から、通常はそのpHを6〜9程度に維持する必要がある。しかしながら、従来の亜硫酸金塩の高アルカリ性水溶液を金めっき液に添加すると、添加後の金めっき液のpHが上昇し、液中の還元剤成分との局所反応により金めっき液が分解しやすくなる。このようなpHの上昇を抑えるために、予め塩酸又は硫酸を亜硫酸金塩の水溶液に添加する方法も考えられるが、かかる方法を採用すると、金属の金が析出する等亜硫酸金塩の水溶液自体の液安定性が低下し、金イオンを無駄なく金めっき液に供給することが困難となる。
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、亜硫酸金塩を金イオン源とする無電解金めっき液を用いてめっきを施す場合に、無電解金めっき液の液安定性を十分維持可能であり、かつ金イオンを無駄なく十分有効に無電解金めっき液に供給することができる無電解金めっき液再調製方法、その方法を用いる無電解金めっき方法、及びその方法に用いる金イオン含有液を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、亜硫酸金塩のアルカリ性水溶液に所定の液を混合し得られた液を無電解金めっき液に補充することにより上記目的を達成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、亜硫酸金塩を含有する無電解金めっき液に、亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する工程を有する無電解金めっき液再調製方法を提供する。
本発明によると、pH調整液中の亜硫酸塩が金の錯化剤として作用するため、アルカリ水溶液中の亜硫酸金塩が安定的に錯体化される。これにより、下記式(1);
3Au→Au3++2Au (1)
で表される金イオン含有液中の金イオンの不均化反応の進行を抑制できるので、金イオン含有液自体の液安定性が十分に確保され、金イオンを無駄なく金めっき液に供給することが可能となる。また、かかる金イオン含有液は、そのpHを無電解金めっき液のpHと同程度に調整できるので、これを無電解金めっき液に添加してもその金めっき液のpHの変化を抑制でき、無電解金めっき液の液安定性を十分に確保することができる。
本発明は、亜硫酸金塩を含有する無電解金めっき液に基体の導体部を接触させてその導体部上に金めっき皮膜を形成する無電解金めっき工程を有し、その無電解金めっき工程は、無電解金めっき液に、亜硫酸金塩のアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する金濃度維持工程を含む無電解金めっき方法を提供する。
この無電解金めっき方法によると、無電解金めっき液に、亜硫酸金塩のアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する金濃度維持工程を備えるので、上述のように金イオンを無駄なく無電解金めっき液に供給でき、しかも無電解金めっき液の液安定性を十分に確保できる。よって、有効かつ確実に所望の金めっきを基体の導体部上に形成できる。また、無電解金めっき液、及びその金めっき液に金イオンを補充するための金イオン含有液は液安定性に優れているため、品質をさほど劣化させることなくそれらの液を長期間保存できる。これは、無電解金めっき工程のフレキシビリティを向上させることになるため、工程管理が従来よりも容易となり、生産コスト削減にも繋がる。
本発明の無電解金めっき方法は、金濃度維持工程において金イオン含有液を複数回無電解金めっき液に添加しても、金めっき液のpH変動を十分抑制することが可能であるから、金濃度維持工程を複数回繰り返してもよい。
本発明において、無電解金めっき液のpHが6〜9であると好ましい。無電解金めっき液のpHがこの数値範囲にあることにより、無電解金めっき液の液安定性が更に向上する。
本発明において、金イオン含有液のpHが7〜10であると好ましい。金イオン含有液のpHがこの数値範囲にあることにより、この金イオン含有液を無電解金めっき液に添加しても、無電解金めっき液のpHが大きく変化し難くなるので、無電解金めっき液の液安定性を更に向上させることができる。
本発明において、pH調整液が、チオ硫酸金塩以外のチオ硫酸塩を更に含有すると好ましい。この成分を含有することによりpH調整液は金イオン含有液に対して、更なる液安定性向上効果を付与することが可能となる。
また、pH調整液が、エチレンジアミン酢酸又はその塩を更に含有すると好ましい。かかるpH調整液は金以外の金属成分が金イオン含有液に混入した場合に、その金属成分による金イオン含有液の保存安定性の阻害を更に抑制する効果がある。
pH調整液は、塩酸又は硫酸を更に含有すると好ましい。このような成分を含有するpH調整液は、各成分の配合量を調節することにより、それ自体のpHを一層容易に調整することができる。
本発明は、上述の無電解金めっき液再調製方法及び無電解金めっき方法に用いる金イオン含有液を提供する。すなわち本発明の金イオン含有液は、亜硫酸金塩のアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる、無電解金めっき液に添加するためのものである。
本発明によれば、亜硫酸金塩を金イオン源とする無電解金めっき液を用いてめっきを施す場合に、金イオンを十分有効に無電解金めっき液に供給することができ、かつ無電解金めっき液の液安定性を十分維持可能な無電解金めっき液再調製方法を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本発明の無電解金めっき液再調製方法は、亜硫酸金塩を含有する無電解金めっき液に、亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する工程を有するものである。以下、本発明の無電解金めっき液再調製方法の好適な実施形態について説明する。
本発明に係る金イオン含有液は、無電解金めっき液に金イオンを補充するための液であり、亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と、亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなるものである。
亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液(以下、場合によって単に「アルカリ性水溶液」ともいう。)は亜硫酸金塩を配合していればよく、配合可能な亜硫酸金塩としては、例えば、亜硫酸金ナトリウム(Na[Au(SO])が挙げられる。上記アルカリ水溶液は市販のものでもよく、例えば、亜硫酸金ナトリウムと水酸化ナトリウムとを配合した水溶液が挙げられる。このアルカリ性水溶液が市販のものである場合、そのpHは概して13以上である。市販のアルカリ性水溶液としては、例えば日本高純度化学社製の亜硫酸金ナトリウムが挙げられる。
これらの亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液は、常温で保管すると約3ヶ月間安定である。しかしながら、無電解金めっき液に金イオンを補充するために、このアルカリ性水溶液を直接該めっき液に添加する場合、無電解金めっき液のpHを変化させないように該アルカリ水溶液を塩酸や硫酸によりpH7〜8の中性付近までpHを下げると、短時間で亜硫酸金塩の分解が進行し、pH8〜10の弱アルカリ性のpH範囲でも液安定性が大幅に低下する。そこで、本実施形態では、このアルカリ性水溶液を直接無電解金めっき液に添加せず、まずは、亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液と混合して、金イオン含有液を得る。
亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液は、亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及び/又は亜硫酸アンモニウム、並びに塩酸又は硫酸を含有し、亜硫酸金塩を含有していなければ特に限定されない。このpH調整液の機能は、上記アルカリ性水溶液のpHを下げるべく混合した際に、その混合液、すなわち金イオン含有液の液安定性を高い状態で維持することである。このpH調整液を用いると、pH調整液中の亜硫酸塩が金の錯化剤として作用するので、アルカリ水溶液中の亜硫酸金塩が安定的に錯体化される。これにより、下記式(1);
3Au→Au3++2Au (1)
で表される金イオン含有液中の金イオンの不均化反応の進行を抑制でき、金イオン含有液自体の液安定性が十分に確保され、金イオンを無駄なく金めっき液に供給することが可能となる。
pH調整液は、上述の亜硫酸塩に加えて、チオ硫酸金塩以外のチオ硫酸塩を更に含有すると、金イオン含有液の液安定性が更に高くなるので好ましい。このチオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム及びチオ硫酸アンモニウムが挙げられる。
pH調整液における亜硫酸塩及びチオ硫酸塩の含有量の合計は、pH調整液1Lに対して10〜100gであると好ましい。これらの含有量が10g/L未満である場合、金に対する錯化力が低下し、金イオン含有液の長期液安定性が低下する傾向にある。またこれらの含有量が100g/Lを超えると、金イオン含有液の液安定性は更に向上するが、その金イオン含有液を無電解金めっき液に添加した際に、無電解金めっき液中の亜硫酸塩及びチオ硫酸塩の蓄積量が増加し、金の析出速度(めっき速度)が低下する傾向にある。
また、pH調整液がエチレンジアミン酢酸又はその塩を更に含有すると好ましい。エチレンジアミン酢酸又はその塩は、金イオン含有液中に金以外の金属成分が混入した場合、その金属成分による金イオン含有液の保存安定性の阻害を抑制する効果を奏する。エチレンジアミン酢酸としては例えば、エチレンジアミン四酢酸が挙げられる。エチレンジアミン酢酸塩としては例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム四水和物が挙げられ、これらのなかでは、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムが汎用性及び材料価格の観点から好ましい。
pH調整液におけるエチレンジアミン酢酸及びその塩の含有量の合計は、pH調整液1Lに対して0.5〜10gであると好ましい。これらの含有量が0.5g/L未満である場合、金以外の金属成分による金イオン含有液の保存安定性の阻害を抑制する効果が得難くなり、金イオン含有液の液安定性が低下する傾向にある。またこれらの含有量が10g/Lを超えると、金イオン含有液を無電解金めっき液に添加した際に、無電解金めっき液中のエチレンジアミン酢酸等の濃度が増加し、金めっき外観不良等が生じる傾向にある。
pH調整液は塩酸又は硫酸を更に含有すると好ましい。塩酸及び硫酸は、pH調整液中のその他の成分との相互作用により、pH調整液に緩衝作用を付与する効果がある。すなわち、塩酸又は硫酸をpH調整液に添加することにより、pH調整液のpHを所望の数値範囲内、具体的には6〜9の範囲内に調整しやすくなる。
なお、pH調整液に塩酸又は硫酸を調合する場合、pH調整液のpHが過剰に低くなると上述の亜硫酸塩やチオ硫酸塩が分解しやすくなるため、塩酸又は硫酸の添加速度を十分遅くするか、あるいは、塩酸又は硫酸を予め水で希釈して添加すると好ましい。
pH調整液中の塩酸及び硫酸の含有量の合計は、pH調整液のpHが6〜9の範囲内になる量であると好ましい。塩酸及び硫酸の含有量が少なく、pH調整液のpHが6未満になると、亜硫酸塩やチオ硫酸塩が分解しやすくなる傾向にある。また、pH調整液のpHが9を超えると、亜硫酸金塩を含有するアルカリ性水溶液と混合して金イオン含有液を調製した際に、その金イオン含有液のpHが10を越えやすくなるため、無電解金めっき液に金イオン含有液を添加した際の液分解が容易に発生する傾向にある。
本実施形態に係る金イオン含有液はそのpHが7〜10であると好ましい。pHが7を下回ると金イオン含有液自体の安定性が著しく低下する傾向にあり、pHが10を超えると補充した際に無電解金めっき液の安定性が低下する傾向にある。
金イオン含有液は、そのpHを無電解金めっき液のpHと同程度に調整できるので、これを無電解金めっき液に添加してもその金めっき液のpHの変化を抑制でき、無電解金めっき液の液安定性を十分に確保することができる。しかも、上述のpH調整液を配合しているので、微粉化した金属の金の析出を十分に抑制でき、金イオンを安定的に含むことができる。これにより、貴重な金イオンを効率的かつ確実に金めっき皮膜に用いることが可能となる。
金イオン含有液には水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、チオ尿素、アスコルビン酸ナトリウム等の還元剤を、本発明の目的効果を損なわない程度の量添加してもよい。また、上述以外のpH調整剤等の無電解金めっき液に通常用いる各種添加剤を、本発明の目的効果を損なわない程度の量添加してもよい。
上述の金イオン含有液は、例えば以下のようにして調製される。ただし、金イオン含有液を調製する方法はこれに限定されない。
まず、純水0.7Lに亜硫酸ナトリウム30g、チオ硫酸ナトリウム20g及びエチレンジアミン酢酸2ナトリウム5gを順次溶解する。次に、得られた溶液のpHをpHメーターで確認しながら、そのpHが7.5になるまで1規定の塩酸水溶液を該溶液に添加する。更にその溶液に純水を添加し溶液量を1Lにする。そして、この溶液を1ミクロンのメンブランフィルターでろ過し、pH調整液を得る。
次に市販の亜硫酸金ナトリウム水溶液(金の含有割合=100g/L、pH=13.2)0.25Lと上述のpH調整液0.75Lを混合してpH=8.5の金イオン含有液を調製する。
上述の金イオン含有液を添加する無電解金めっき液は、亜硫酸金塩を含有するものであれば特に限定されない。この無電解金めっき液は、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、チオ尿素、アスコルビン酸ナトリウム等の還元剤を、本発明の目的効果を損なわない程度の量添加してもよい。また、上述以外のpH調整剤等の無電解金めっき液に通常用いる各種添加剤を、本発明の目的効果を損なわない程度の量添加してもよい。
本実施形態の無電解金めっき液再調製方法において、金イオン含有液を亜硫酸金塩に添加する際に金イオン含有液は、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように、添加量、添加頻度等を調整しながら添加される。具体的には、まずめっき処理に用いられている無電解金めっき液を一部採取し、その中の金イオン濃度を原子吸光分光計又はICP発光分光分析計で測定する。次いで、その測定により得られた金イオン濃度の値から、無電解金めっき液中の金イオン濃度をめっき処理前の濃度まで戻すのに必要な金イオン量を導出する。そして、その金イオン量に対応する量の金イオン含有液を、無電解金めっき液に添加する。
なお、無電解金めっき液中の金イオン濃度は、必ずしもめっき処理開始直前の濃度まで戻す必要はなく、それよりも多少金イオン濃度が高くなったり低くなったりしてもよい。ただし、無電解金めっき液中の金イオン濃度は、めっき処理を効率的に行う見地及び無電解金めっき液の安定性を高く維持する見地から、1.5〜3.0g/Lであると好ましい。
本実施形態の無電解金めっき液再調製方法によると、pH調整液中の亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩が金の錯化剤として作用し、アルカリ水溶液中の亜硫酸金塩が安定的に錯体化される。これにより、金イオン含有液中の金イオンの不均化反応の進行を抑制でき金属の金の析出を十分防止できる。したがって、金イオン含有液中の金イオンを無駄なく金めっき液に供給することが可能となる。また、かかる金イオン含有液は、そのpHを無電解金めっき液のpHと同程度に調整できるので、これを無電解金めっき液に添加してもその金めっき液のpHの変化を抑制でき、無電解金めっき液の液安定性を十分に確保することができる。
また、本実施形態の無電解金めっき液再調製方法を用いることにより、無電解金めっき液中の金イオン濃度を一定以上に維持できるので、無電解金めっき皮膜の膜厚を十分に厚くすることが可能となる。
本発明の無電解金めっき方法は、亜硫酸金塩を含有する無電解金めっき液に基体の導体部を接触させてその導体部上に金めっき皮膜を形成する無電解金めっき工程を有し、その無電解金めっき工程は、無電解金めっき液に、亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する金濃度維持工程を含むものである。以下、本発明の無電解金めっき方法の好ましい実施形態について説明する。
本実施形態の無電解金めっき方法は、図1に示すように、亜硫酸金塩を含有する無電解金めっき液に基体の導体部を接触させてその導体部上に金めっき皮膜を形成する第1無電解金めっき工程S20と、無電解金めっき液に、亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する金濃度維持工程S30と、その金濃度維持工程S30において金イオンを補充された無電解金めっき液を用いて、上述の無電解金めっき工程S20を経て金めっきを施された基体に更に金めっき皮膜を形成する第2無電解金めっき工程S22とを有するものである。なお、金濃度維持工程S30においても無電解金めっき処理は継続して行われている。本実施形態の無電解金めっき方法は上述のとおりであるが、上記基体は、前処理工程S11と置換金めっき工程S13とを経て得られるものであってもよい。
(前処理工程S11)
本実施形態の無電解金めっき方法では、従来のめっき方法と同様に、前処理として脱脂、酸洗浄、触媒付与及び無電解ニッケルめっき皮膜形成を行うことができる。したがって、以下のような前処理を行った後に各金めっき工程を行ってもよい。すなわち、セラミックス製又は樹脂製等の基板上に銀又は銅等の材料を用いた導体パターンを印刷法又はエッチング法等により形成して得られた配線板を、まず脱脂液浸漬して、表面の油脂汚れ等を除去する。続いて水洗後、導体パターンの表面を均一化するために、通常は、硫酸過酸化水素水溶液等のエッチング液で該表面をマイルドエッチングする。更に水洗後、希硫酸水溶液等を用いて表面を洗浄する。次に水洗後、例えば置換タイプのパラジウム触媒液等で導体パターン上にのみ触媒を形成させる。そして水洗後、該配線板を無電解ニッケルめっき液に浸漬し、該導体パターン領域に無電解ニッケルめっき皮膜を形成させる。
(置換金めっき工程S13)
置換金めっき工程S13は、上述の無電解ニッケルめっきを施された配線板を水洗した後、置換金めっき液に浸漬することにより行われ、これにより上記基体を得る。
置換金めっき液は、めっき皮膜として形成されたニッケルと該金めっき液中の金イオンとの置換反応(Ni→Ni2++2e、2Au+2e→2Au)により、ニッケルめっき皮膜上に金めっき皮膜を形成するために従来用いられていたものであれば特に限定されない。したがって、置換金めっき液は、例えば、シアン化金ナトリウム若しくはシアン化金カリウム等のシアン化金塩(シアン系金イオン源)、或いは亜硫酸金塩、チオ硫酸金塩若しくは塩化金酸塩等の非シアン系金塩(非シアン系金イオン源)、並びに、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、チオリンゴ酸塩若しくはカルボン酸塩等の錯化剤を必須成分として含有し、更に置換金めっき液に通常用いるその他の各種添加剤を適量含むこともできる。
上記金塩としては、非シアン系金塩である亜硫酸金塩又は塩化金酸塩を用いることが好ましい。シアン化金塩は、非シアン系金塩と比較して、概して毒性が強く、取り扱いが比較的困難である。更に、シアン化金塩を含有した置換金めっき液は、該液中に導体である銅又はめっき皮膜を形成していたニッケル等の不純物が溶け込み易く、それにより置換金めっき皮膜のニッケルめっき皮膜への密着性が低下する傾向にある。
また、該金塩の置換金めっき液中の濃度は、金イオンとして1〜4g/Lの範囲になるように調整されることが好ましい。金塩の濃度が金イオンとして1g/Lより低いと、置換金めっき被膜の膜厚が薄くなりすぎる傾向にあり、該置換金めっきの無電解金めっき皮膜形成のための触媒としての活性が低下する傾向にある。また、金塩の濃度が金イオンとして4g/Lより高くても置換金めっき皮膜の膜厚はさほど変化せず経済的ではない。
置換金めっき工程において置換金めっき液に含有される錯化剤としては、亜硫酸塩若しくはチオ硫酸塩又はそれらの混合物を用いることが好ましい。錯化剤は置換金めっき中の金イオン(Au)を安定的に錯体化し、Auの不均化反応を抑制し、その金めっき液の安定性を高める作用を有する。
また、錯化剤の置換金めっき液中における含有量は、金塩中の金イオン1モルに対し4〜10モルとなるように調整されることが好ましい。金は4配位金属であるため、金イオンを錯体化させるための錯化剤は、該金イオン1モルに対し4モル以上必要であり、更に、置換金めっき液の安定性を高めるために、ある程度過剰量の錯化剤が該液中に含有されていることが好ましい。なお該金イオン1モルに対し10モルを越える量の錯化剤を置換金めっき液に添加しても、更なる液安定性の向上はほとんど認められない。
置換金めっき液のpHは、(1)シアン化金塩を含有する場合は5〜7、(2)非シアン系金塩を含有する場合は6〜9となるように調整されることが好ましい。pHが(1)、(2)のそれぞれの下限値未満であると成分組成中の亜硫酸イオン等が分解して置換金めっき液の安定性が低下する傾向にある。また、pHが(1)、(2)のそれぞれの上限値を超えると、置換金めっき皮膜の膜厚が薄くなりすぎてしまい、置換金めっきの無電解金めっき皮膜形成のための触媒としての活性が低下する傾向にある。更に、pHが(1)、(2)のそれぞれの上限値を超えると、めっきレジストを該置換金めっき液に溶解させる傾向もあり、そのような場合はパターンめっき性も低下させてしまい好ましくない。
そして、pHの調整は、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等を用いて行うことが好ましい。
配線板浸漬時の置換金めっき液の温度は、所望の膜厚の置換金めっき皮膜を得ることができるように適宜設定することができるが、80〜90℃程度とすることが好ましい。置換金めっき液の温度が80℃より低いと、金の析出速度が遅くなりすぎる傾向にあり、90℃より高いと、置換金めっき液が速やかに揮発してしまう、又は該金めっき液中の成分が熱分解してしまうため、該金めっき液中の金イオンの安定性が著しく低下する傾向にある。
そして金めっき液への配線板の浸漬時間は、所望の膜厚の置換金めっき皮膜を得ることができるように、適宜設定することができる。すなわち、置換金めっき皮膜を比較的厚くしたい場合は、配線板のめっき液への浸漬時間を長くすればよい。逆に、置換金めっき皮膜を比較的薄くしたい場合は、配線板のめっき液への浸漬時間を短くすればよい。ただし、置換金めっき工程を行う際は、ある程度の膜厚(30〜100nm程度)の金めっき皮膜が形成された後は、それ以上の時間浸漬しても皮膜の膜厚はほとんど変化しない傾向にあるため、これを考慮して製造コスト削減の観点から浸漬時間を設定することが好ましい。
更に、置換金めっき工程において、配線板が、同一の成分組成である置換金めっき液で二段処理されることが好ましい。具体的には、例えば、まず1段目の置換金めっき液に配線板を所定時間浸漬した後、続いて、1段目の置換金めっき液と同一の成分組成であるが別に用意された2段目の置換金めっき液に10〜30秒程度の短時間の間浸漬することも可能である。これにより、1段目の置換金めっき液浸漬時に該液中に溶出し配線板に付着したニッケルイオンを、その後の無電解金めっき工程の際に、無電解金めっき液に持ち込むことを抑制することができるので、無電解金めっき液を長時間連続的に使用することが可能となる。
(第1無電解金めっき工程S20)
第1無電解金めっき工程は上述の置換金めっき工程S13を経て得られる基体に無電解金めっきを施す工程であり、亜硫酸金塩を含有する無電解金めっき液に基体の導体部を接触させてその導体部上に金めっき皮膜を形成するものである。
無電解金めっき液は、亜硫酸金塩を含有するものであれば特に限定されない。亜硫酸金塩としては、例えば、亜硫酸金ナトリウム(Na[Au(SO])が挙げられる。
この無電解金めっき液は、金源として亜硫酸金塩の他に、シアン化金カリウム又は塩化金酸ナトリウム等の金塩を含んでもよい。また、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、チオ尿素、アスコルビン酸ナトリウム等の還元剤を、本発明の目的効果を損なわない程度の量含んでもよい。さらには、その他のシアン化塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩若しくは塩素塩等の水溶性イオンを供給する錯化剤、又はpH調整剤等の無電解金めっき液に通常用いる各種添加剤を、本発明の目的効果を損なわない程度の量添加してもよい。
金塩の無電解金めっき液中の濃度は、金イオンとして1.5〜3.0g/Lの範囲となるように調整されることが好ましい。金塩の濃度が金イオンとして1.5g/Lよりも低い場合は、金の析出速度が遅くなる傾向にあるため作業効率が低下してしまう。金塩の濃度が金イオンとして3.0g/Lよりも高い場合は、無電解金めっき液の液安定性が低下する傾向にある。
錯化剤の無電解金めっき液中の含有量は、金塩中の金イオン1モルに対し4〜10モルとなるように調整されることが好ましい。金は4配位金属であるため、金イオンを錯体化させるための錯化剤は、該金イオン1モルに対し4モル以上必要であり、これより少ないと液安定性が低下してしまう。更に、無電解金めっき液の安定性を高めるために、ある程度過剰量の錯化剤が該液中に含有されていることが好ましい。なお金イオン1モルに対し10モルを越える量の錯化剤を無電解金めっき液に添加すると、金の析出速度が遅くなる傾向にあるため、生産性の低下に繋がる。
上記還元剤としては、チオ尿素、メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素等の尿素系化合物を用いることが好ましい。
還元剤の無電解金めっき液への添加量は、金塩中の金イオンと等モルであることが好ましい。還元剤の添加量がこれより少ない場合は、金の析出速度が遅くなってしまう傾向にあるため、生産性の低下に繋がる。また、該還元剤の添加量がこれより多い場合は、無電解金めっき液の液安定性が低下する傾向にある。
更に、無電解金めっき液に還元促進剤として、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、アミノフェノール、フェニレンジアミン等のフェニル系化合物を添加することもできる。還元促進剤は、還元剤の還元効率を向上させる物質であり、金の析出速度を速める効果があるので、生産性の向上に繋がる。該還元促進剤の無電解金めっき液への添加量については、上記還元剤2モルに対して該還元促進剤を1モル添加することが好ましい。還元促進剤の添加量が少なすぎると、金の析出速度を速めることができない傾向にあり、還元促進剤の添加量が多すぎると、無電解金めっき液の液安定性が低下する傾向にある。
配線板浸漬時の無電解金めっき液の温度は、所望の膜厚の無電解金めっき皮膜を得ることができるように適宜設定することができるが、60〜80℃程度となるように調整されることが好ましい。無電解金めっき液の温度が60℃より低いと、金の析出速度が遅くなりすぎる傾向にあり、80℃より高いと、該めっき液の液安定性が著しく低下する傾向にある。
また、無電解金めっき液のpHは6〜9となるように調整されることが好ましい。pHが6未満であると、無電解金めっき液中に存在する亜硫酸イオン等が分解する傾向にあるため、該めっき液の液安定性が低下する。またpHが9を越えると、該めっき液中に存在する金イオンが不均一反応を起こしてしまう傾向にあるので、やはり液安定性が低下する。
なお、一つの無電解金めっき工程において、無電解金めっき皮膜を形成した配線板を無電解金めっき液から一旦取り出し、水洗した後、同じ無電解金めっき液に再び浸漬して無電解金めっき皮膜を形成してもよい。また、無電解金めっき液への浸漬による無電解金めっき皮膜の形成及び水洗を更に繰り返してもよい。つまり本明細書においては、一度使用した無電解金めっき液を何ら処理することなく使用し続ける限り、一つの無電解金めっき工程におけるめっき処理とする。
(金濃度維持工程S30)
金濃度維持工程は、第1無電解金めっき工程20後の無電解金めっき液に亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する工程である。この金濃度維持工程S30においては、配線板が、金イオン含有液を添加されている無電解金めっき液に浸漬されたままの状態にあるので、無電解金めっき処理も同時に行われている。この金濃度維持工程S30は、上述の無電解金めっき液再調製方法と同様なので、ここでは説明を省略する。
(第2無電解金めっき工程S22)
第2無電解金めっき工程S22においては、金濃度維持工程S30において金イオンを補充された無電解金めっき液を用いて、上述の無電解金めっき工程S20及び金濃度維持工程S30を経て金めっきを施された基体に更に金めっき皮膜を形成する。この第2無電解金めっき工程S22は、金めっきを施す対象物が既に一度無電解金めっきを施された基体である点、及び無電解金めっき液が金濃度維持工程S30において金イオンを補充されたものである点以外は、上述の第1無電解金めっき工程S20と同様である。
本実施形態の無電解金めっき方法によると、無電解金めっき液に、亜硫酸金塩のアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する金濃度維持工程を備えるので、金イオンを無駄なく無電解金めっき液に供給でき、しかも無電解金めっき液の液安定性を十分に確保できる。よって、有効かつ確実に所望の金めっきを基体の導体部上に形成できる。
また、無電解金めっき液、及びその金めっき液に金イオンを補充するための金イオン含有液は液安定性に優れているため、品質をさほど劣化させることなくそれらの液を長期間保存できる。これは、無電解金めっき工程のフレキシビリティを向上させることになるため、工程管理が従来よりも容易となり、生産コスト削減にも繋がる。
さらには、金濃度維持工程を備えることにより、無電解金めっき液中の金イオン濃度を一定以上に維持できるので、十分な膜厚を有する金めっき皮膜の形成が可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、図2に示すように、上述の第2無電解金めっき工程の後に、更に金濃度維持工程及び無電解金めっき工程を順次繰り返してもよい。こうすることにより、無電解金めっきによる金めっき皮膜の膜厚を更に厚くすることが可能となる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例では、5cm×10cm×0.3mmの矩形を有する圧延銅板をめっき試験用のサンプル板として用いた。
[金めっきを施されたサンプル板の作成]
(前処理及び置換金めっき処理)
まず、サンプル板表面の錆や付着有機物を除去するために、50℃に調整された酸性脱脂液CLC−5000(日立化成工業社製、製品名)にサンプル板を浸漬し4分間処理した。次に、サンプル板に付着した余分な界面活性剤を除去するために、そのサンプル板を50℃の純水に浸漬して1分間湯洗し、続いて、流水による水洗処理を1分間行った。次に、サンプル板の表面形状を均一にするために、そのサンプル板を12%過硫酸アンモニウム水溶液に浸漬した状態のまま、室温で2分間維持するソフトエッチング処理を行った後、粒子による水洗処理を1分間行った。続いて、サンプル板表面の酸化膜を除去するために、そのサンプル板を10%硫酸水溶液に浸漬し、室温で1分間酸化膜除去処理を行い、その後、流水による水洗処理を1分間行った。次に、置換パラジウム触媒液SA−100(日立化成工業社製、製品名)にそのサンプル板を浸漬し、室温で5分間触媒形成処理を行った後、流水による水洗処理を1分間行った。
続いて、サンプル板を無電解ニッケル−リンめっき液NIPS−100(日立化成工業社製、製品名)に浸漬し、85℃で25分間ニッケルめっき処理をし、約5μmの厚さを有するニッケル−リンの合金めっき皮膜を形成した。
次いで、流水による水洗処理を1分間行った後、置換金めっき液HGS−500(日立化成工業社製、製品名)にサンプル板を浸漬し、85℃で10分間置換金めっき処理することによって、0.05μm膜厚を有する置換金めっき皮膜を形成した。
(無電解金めっき処理)
次に、置換金めっき皮膜が形成されたサンプル板を、流水により1分間水洗処理した後、ポリプロピレン製1Lビーカーに入れられた無電解金めっき液HGS−5400(日立化成工業社製、製品名)に浸漬し、65℃で40分間無電解金めっき処理を行い、0.5μm程度の膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成した。続いて、無電解金めっき皮膜を形成したサンプル板を一旦無電解金めっき液から引き上げ、流水による水洗処理を1分間行った。
そして、上記無電解金めっき処理及び水洗処理を更に2回繰り返して、こうして金めっきを施されたサンプル板を得た。
[金イオン含有液の調製]
金イオン濃度が100g/LであるpH=13.2の亜硫酸金ナトリウム水溶液250mLと、純水中に表1に示す亜硫酸塩、チオ硫酸塩及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩を表1に示す濃度(g/L)で配合し、更に1N塩酸又は1N硫酸をpH調整液のpHが表1に示す値となるように配合したpH調整液750mLとを混合して、1Lの実施例1〜5に係る金イオン含有液を調製した。金イオン含有液のpHを表1に示す。
Figure 2006265648

金イオン濃度が100g/LであるpH=13.2の亜硫酸金ナトリウム水溶液250mLと、純水中に表2に示す亜硫酸塩、チオ硫酸塩及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩を表2に示す濃度(g/L)で配合し、1N塩酸又は1N水酸化ナトリウムをpH調整液のpHが表2に示す値となるように配合したpH調整液750mLとを混合して、1Lの比較例1〜5に係る金イオン含有液を調製した。金イオン含有液のpHを表2に示す。
Figure 2006265648

[無電解金めっき液の再調製]
まず原子吸光分光計を用いて上述の無電解金めっき処理後の無電解金めっき液における金イオン濃度を測定した。次に無電解金めっき処理前の金イオン濃度に戻すために必要な金イオン量を、原子吸光分光計による測定結果から導出し、その金イオン量に相当する量の金イオン含有液を無電解金めっき処理後の無電解金めっき液に添加した。なお、それと同時に、金イオン含有液の添加量に対して一定の比率となるように、添加剤であるHGS−5400BE(日立化成工業社製、製品名)及び還元剤であるHGS−5400BH(日立化成工業社製、製品名)を無電解金めっき液に添加した。
(金イオン含有液の液安定性評価)
上述のようにして得られた金イオン含有液を室温、大気中で静置し、1時間後、1日後及び30日後の液の状態を目視により観察した。金イオン含有液の外観に変化がない場合を「A」とし、金イオン含有液に濁り又はその中に沈殿が認められた場合を「B」とした。結果を表3及び4に示す。
Figure 2006265648

Figure 2006265648

(無電解金めっき皮膜の外観及び膜厚評価)
上述の無電解金めっき処理及び無電解金めっき液の再調製を順次2回繰り返し、更に無電解金めっき処理を行って金めっきを施されたサンプル板の外観を目視により観察した。金めっき皮膜がサンプル板表面の全体に均一に形成されていると認められた場合を「A」とし、サンプル板の表面が部分的に変色したり、めっきむらが認められた場合を「B」とした。また、金めっき皮膜の膜厚を蛍光X線膜厚計により測定した。結果を表3及び4に示す。
(無電解金めっき液の液安定性評価)
上述の無電解金めっき処理及び無電解金めっき液の再調製を順次繰り返し、1回目、3回目及び9回目の無電解金めっき液の再調製後の無電解金めっき液の状態を目視により観察した。液の外観に変化が認められない場合を「A」とし、液に濁りが認められたり液中に沈殿が生じていたり、あるいは液の分解が認められた場合を「B」とした。結果を表3及び4に示す。
本発明に係る実施形態の無電解金めっき方法を含むめっき処理を示すフロー図である。 本発明に係る実施形態の無電解金めっき方法を含む別のめっき処理を示すフロー図である。
符号の説明
S11…前処理工程、S13…置換金めっき工程、S20…第1無電解金めっき工程、S22…第2無電解金めっき工程、S30…金濃度維持工程(無電解金めっき液再調製)。

Claims (14)

  1. 亜硫酸金塩を含有する無電解金めっき液に、亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、前記無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する工程を有する無電解金めっき液再調製方法。
  2. 前記無電解金めっき液のpHが6〜9である、請求項1記載の無電解金めっき液再調製方法。
  3. 前記金イオン含有液のpHが7〜10である、請求項1又は2に記載の無電解金めっき液再調製方法。
  4. 前記pH調整液が、チオ硫酸金塩以外のチオ硫酸塩を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の無電解金めっき液再調製方法。
  5. 前記pH調整液が、エチレンジアミン酢酸又はその塩を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の無電解金めっき液再調製方法。
  6. 前記pH調整液が、塩酸又は硫酸を更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の無電解金めっき液再調製方法。
  7. 亜硫酸金塩を含有する無電解金めっき液に基体の導体部を接触させてその導体部上に金めっき皮膜を形成する無電解金めっき工程を有し、その無電解金めっき工程は、前記無電解金めっき液に、亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる金イオン含有液を、前記無電解金めっき液中の金イオン濃度が所定範囲内に維持されるように添加する金濃度維持工程を含む無電解金めっき方法。
  8. 前記金濃度維持工程を複数回繰り返す、請求項7記載の無電解金めっき方法。
  9. 前記無電解金めっき液のpHが6〜9である、請求項7又は8に記載の無電解金めっき方法。
  10. 前記金イオン含有液のpHが7〜10である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の無電解金めっき方法。
  11. 前記pH調整液が、チオ硫酸金塩以外のチオ硫酸塩を更に含有する、請求項7〜10のいずれか一項に記載の無電解金めっき方法。
  12. 前記pH調整液が、エチレンジアミン酢酸又はその塩を更に含有する、請求項7〜11のいずれか一項に記載の無電解金めっき方法。
  13. 前記pH調整液が、塩酸又は硫酸を更に含有する、請求項7〜12のいずれか一項に記載の無電解金めっき方法。
  14. 亜硫酸金塩を含むアルカリ性水溶液と亜硫酸金塩以外の亜硫酸塩及び塩酸若しくは硫酸を含むpH調整液とを混合してなる、無電解金めっき液に添加するための金イオン含有液。

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