JP6619563B2 - 無電解金めっき液、アルデヒド−アミン付加体補給液及びそれらを用いて形成した金皮膜 - Google Patents

無電解金めっき液、アルデヒド−アミン付加体補給液及びそれらを用いて形成した金皮膜 Download PDF

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Description

本発明は無電解金めっき液及び該無電解金めっき液に還元剤成分であるアルデヒド−アミン付加体を補給するためのアルデヒド−アミン付加体補給液に関し、更に詳しくは、長時間使用してもめっき速度が低下せず安定して使用できる無電解金めっき液及びアルデヒド−アミン付加体補給液に関する。
また、本発明は、該無電解金めっき液や該アルデヒド−アミン付加体補給液を使用して金皮膜を形成する金皮膜の製造方法や、それにより製造した金皮膜に関する。
電子部品の最終表面処理として、その優れた耐食性、電気特性、実装信頼性から金めっき技術が多用されている。
従来、電子部品であるプリント基板のワイヤーボンディングパッドや、半田接合パッドのめっきには電解めっき技術が多用されてきた。しかし、近年の配線の微細化や高密度化に伴い、電解めっき用の配線部を同一基板内に確保することが困難になってきており、電解めっき用配線を必要としない無電解めっき技術の適用が必須となっている。
電子部品の使用目的や実装方法により種々の無電解めっきを施すが、鉛フリーはんだ接合とワイヤボンディング接合の高い信頼性が要求される用途では、無電解ニッケル/パラジウム/金めっき(ENEPIG:Electroless Nickel/Electroless Palladium/Immersion Gold)技術が工業化され、徐々に普及するに至っている。このプロセスでは、従来の無電解ニッケル/金めっき(ENIG:Electroless Nickel/Immersion Gold)の間に、下地金属の拡散バリア層としてパラジウムめっきを施すことで、従来よりも高い熱履歴が加わった際でも下地の銅及びニッケルの拡散や酸化を効果的に防止することができる。加えて、従来より、ワイヤボンディング用途には無電解ニッケル/置換金めっき/還元金めっき(ENEAG:Electroless Nickel/Electroless Autocatalytic Gold)技術が普及しており、還元金めっき液で金を0.3〜0.4μmまで厚膜化する必要があったが、ENEPIG技術により金膜厚を0.10〜0.20μm程度まで薄膜化できるようになってきた。
また今後電子部品の更なる高密度化が進んでライン/スペースがシングルμmレベルになった場合には、一般的な無電解ニッケルの膜厚である3〜6μmでは配線間の短絡リスクが絶縁信頼性の弊害となることから、銅上に直接金めっきを施すダイレクト無電解金めっき(DIG:Direct Immersion Gold)が重要なプロセスとなりうる。
また、最近の通信部品に多く使用されるRFモジュールでは高周波特性が要求されている。通信部品のような高周波の電流を使用する電子部品では、電流が導体内部まで到達せずに表面だけを流れていく傾向(表皮効果)が強くなる。無電解ニッケル皮膜は電気抵抗が高いため、表皮効果と相まって高周波特性が悪くなることが知られており、無電解ニッケル皮膜を0.1μm程度まで薄くして高周波特性を改善したThin Ni−ENEPIGと呼ばれるプロセスも一部工業化されている。将来的には、無電解ニッケルめっき層を無くしたダイレクト無電解パラジウム/金めっき(DEPIG:Direct Electroless Palladium/Immersion Gold)や、より安価なダイレクト無電解銀/金めっき(DISIG:Direct Immersion Silver/Immersion Gold)を適用することで高周波特性の向上が期待できることから、ニッケルよりも貴な下地である銅、パラジウム、銀上で、一液で厚膜化できる無電解金めっき液が必要となってきている。
ENEPIGプロセスに用いられるパラジウムめっき液は、還元剤に次亜リン酸又は亜リン酸系化合物を使用し、皮膜中にリン(P)を共析するPd−Pめっき液と、還元剤にギ酸、アルデヒド、有機酸等を用いた純Pdめっき液が利用されている。Pd−Pめっき皮膜は半田接合用途に有利で、純Pd皮膜はワイヤボンディング用途に有利であるが、どちらのパラジウムめっき液でも最適な膜厚を選択することで要求特性を十分にクリアできる。
ENEPIGプロセスに用いられる金めっき液は、はんだ接合用途ではパラジウムめっき皮膜上に、金を0.05μm程度形成する必要がある。また、ワイヤボンディング用途ではパラジウムめっき皮膜上に金を0.10μm以上形成する必要があるが、従来は置換金めっきによって金めっき皮膜を形成していた。
置換金めっきでは、下地金属の溶解反応に伴って放出される電子を金イオンが受け取り還元析出する。
置換金めっきの場合、下地金属の溶解が必須となるため、めっき反応中に下地金属の過度の腐食が発生して金めっき皮膜の外観不良や半田接合性に悪影響を及ぼす場合がある。
また下地が金で覆われてくると反応が進みにくくなるため、金めっき厚を十分に厚くすることができないなどの制約がある。そこで、従来技術では置換金めっき後に還元金めっきを実施し、2段階で金めっきを施していた。
また、プリント基板内のパッドは他のパッドと導通していない独立パッドや、他のパッドと導通している接続パッドが混在しており、これら独立パッドと接続パッドでは、置換金めっき液に浸漬した際には異なる浸漬電位を有することになるので、金めっき膜厚に差が生じやすい。
さらに、下地金属と金との電位差を溶解の駆動力とするため、金との電位差の大きくないパラジウムや銅といった下地金属上での置換金めっきでは溶解反応が起きにくく、金めっき膜厚の不均一性がより顕著になる。
これらの問題を解決するため、同一のめっき液で、置換反応と還元反応の双方を進行させる置換−還元型の無電解金めっき液が開発された。特許文献1〜4には、ホルムアルデヒド重亜硫酸塩付加物又はアルデヒド化合物と、特定の構造を持つアミン化合物を含有する無電解金めっき液、それら無電解金めっき液の維持管理方法、並びにそれらの金めっき液を用いた金めっき方法及び電子部品が開示されている。
特許文献1に記載されている、ホルムアルデヒド重亜硫酸塩付加物と特定構造のアミン化合物を含有する無電解金めっき液は、下地がニッケルであるENIGプロセスの場合にはニッケルの腐食を抑えつつ厚膜化が可能であるが、下地がニッケルよりも貴なパラジウムであるENEPIGプロセスの場合には、金めっきの速度が遅く0.1μm以上の厚膜化が困難という問題点がある。
一方、特許文献2に記載されているアルデヒド化合物と特定構造のアミン化合物を含有する無電解金めっき液では、下地がパラジウムであるENEPIGプロセスでも金めっきの厚膜化が可能であるが、浴の安定性が悪く、加熱保持数時間で金が析出し、分解してしまう。この問題は特許文献1の無電解金めっき液においても同様である。
これは、金の錯化剤であるシアン化アルカリ、アミン化合物、ホルムアルデヒド重亜硫酸塩付加物又はアルデヒド化合物(これらは共存することで還元剤成分として作用する)の3成分が反応して、めっき浴中から金の錯化剤が徐々に消失するためであり、これら3成分をめっき液加熱中に常時補給することで、無電解金めっき浴を分解させずに維持できる旨の方法が特許文献3に記載されている。
ところで、無電解金めっき液の寿命は、金の消費量から見たときにめっき液建浴時の金含量の何倍まで安定に析出できるかを見るMTO(Metal Turn Over)という尺度と、めっき液の加熱時間で何時間まで安定に析出できるかという総加熱時間という尺度がある。
MTOは、めっき液を加熱中には補給成分を加えず、金を消費した際にそれに伴って減少する成分を補充しながら使用するタイプの液で主に指標となる尺度であり、加熱中に補給液を添加しないタイプの無電解金めっき液ではMTOを指標にすることが多い。
総加熱時間は、金を消費したときだけでなく、めっき液を加熱待機させている間にも補給液を加えていくタイプの無電解金めっき液では重要な尺度であり、常時補給成分を加えていくことで分解生成物の蓄積も多くなるため、MTOだけでは寿命の定義が曖昧となる。すなわち、例えば同じ総加熱時間でも製品流動が多く常時めっきをしているような状況や、金めっき膜厚が厚い製品が多い状況ではMTOは大きくなるが、加熱待機時間が長く製品流動が少ない場合や金めっき膜厚が薄い状況ではMTOは小さくなる。特にENEAG技術の代替としてENEPIG技術を使用する場合、従来よりも金めっき膜厚が薄くなるために、ENEAGに使用される還元金めっき液と同等のMTOを達成するには、総加熱時間を尺度とすると、従来の2倍以上の寿命が要求されることが多くなってきた。
しかしながら、特許文献3の方法では、無電解金めっき液を長期間加熱保持しても浴分解を起こさず維持できるものの、ニッケルよりも貴なパラジウム、銅、銀等が下地金属である場合は、めっき液の総加熱時間が長くなるに伴って徐々に金めっき速度が低下したり、金めっき膜厚のバラツキが増大したりする問題があることが判明し、このため、総加熱時間が長くなっても(長時間加熱待機状態であっても)、めっき性能の低下しない無電解金めっき液の開発が要望されていた。
特開2008−144187号公報 特開2008−144188号公報 特開2008−169425号公報 特開2008−266668号公報
本発明は、上記背景技術を鑑みてなされたものであり、その課題は、無電解金めっき液の加熱待機時間が長時間に及んだ場合でも、副反応生成物の蓄積に伴うめっき速度の低下を引き起こさず、安定に使用できる無電解金めっき液、及び、該無電解金めっき液に還元剤成分であるアルデヒド−アミン付加体を補給するためのアルデヒド−アミン付加体補給液、並びに、それらを使用した金皮膜の製造方法及び該金皮膜の製造方法で製造された金皮膜を提供することにある。
特に、本発明は、ニッケルよりも貴な電位を有する、銅、パラジウム、銀、金やそれらの合金である下地金属上に金めっきを施す際でも、長期間めっき速度が低下せず、安定性の良好な無電解金めっき液及びアルデヒド−アミン付加体補給液を提供することを目的とする。
本発明者は、特許文献3のような従来の無電解金めっき液を使用しためっき方法において起こる上記のような問題の原因を鋭意検討した結果、加熱保持の際に加えていく補給成分の反応生成物が蓄積していくことにより、金めっき速度の低下や膜厚のバラツキを引き起こすことを見出した。
特許文献1〜4記載の無電解金めっき液の還元剤は、ホルムアルデヒドドナーであるホルムアルデヒド重亜硫酸塩付加物から浴中で放出されたホルムアルデヒド、又は、ホルマリンとして加えたホルムアルデヒドと、特定構造のアミン化合物とが複合体を形成し、還元剤成分として作用している。
これら特許文献1〜4記載のアミン化合物は、下記式(2)や式(3)に示すように、窒素原子に置換した炭化水素基を2つ有する2級アミン部位(−NH−)を分子内に2つ以上有している。
−NH−C−NH−R (2)
[式(2)において、R及びRは、−C−OH、−C−NH−C−OH等である。]
−(CH−NH−C−NH−CH−R (3)
[式(3)において、R及びRは、−C−OH、−C−NH−C−OH等である。]
また、これらの特定構造のアミン化合物は2級アミン部位(−NH−)の両側に電子供与性基(一例としては、−C−OH基あるいは−C−NH−C−OH基)を有しているため、2級アミノ基(2級アミン部位)の電子密度が高く、求核性を有している。対して、ホルムアルデヒドはカルボニル基によって炭素原子上が大きく正に分極しており、求電子性を有している。
したがって、アミン化合物の2級アミン部位が、ホルムアルデヒドの炭素原子上に求核付加反応をすることで、アミン−アルデヒド付加体を形成していると、本発明者は推認した。
しかしながら、2級アミン部位は化学反応の活性点として働くため、分子内の2級アミノ基の数が多いほど、望ましくない副反応も生じやすい。アミン−アルデヒド付加体を形成した後、金の錯化剤であるシアンイオンが、アミン−アルデヒド付加体の炭素原子と求核付加反応して生じるアミン−シアンヒドリン複合体やその他の副反応生成物が蓄積していき、アミン−アルデヒド付加体の下地金属上での酸化反応を阻害することで、置換−還元バランスが崩れ、徐々に金めっき速度が低下したり、膜厚のバラツキが生じたりすることを本発明者は見出した。
そして、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アルデヒド化合物と、特定構造のアミン化合物(2級アミノ基を分子内に1つだけ持つアミン化合物)を含有させた無電解金めっき液は、めっき速度の低下が起こりにくく、安定性に優れることを見出した。また、そのような無電解金めっき液に、錯化剤補給液と、アルデヒド化合物と特定構造のアミン化合物(2級アミノ基を分子内に1つだけ持つアミン化合物)を含有するアルデヒド−アミン付加体補給液とを、別々に、連続的に補給することによって、めっき液の加熱待機時間が長時間に及んだ場合でも金めっき速度の低下を引き起こさず、良好な金めっき皮膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(a)シアン化金塩と(b)錯化剤を含有し、(c)アルデヒド化合物及び(d)下記一般式(1)で表されるアミン化合物を含有することを特徴とする無電解金めっき液を提供するものである。
−NH−R (1)
[一般式(1)において、R及びRは電子供与性基を表し、分子内の炭素原子(C)の数をmとし、分子内の2級アミノ基(−NH−)の数をnとしたとき、2≦m≦12、n=1である。]
また、本発明は、上記(b)錯化剤が、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム及びシアン酸アンモニウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物である上記の無電解金めっき液を提供するものである。
また、本発明は、上記の無電解金めっき液を加熱保持する際に添加するためのアルデヒド−アミン付加体補給液であって、(c')アルデヒド化合物と(d')上記一般式(1)で表されるアミン化合物を含有することを特徴とするアルデヒド−アミン付加体補給液を提供するものである。
また、本発明は、銅若しくは銅合金、ニッケル若しくはニッケル合金、パラジウム若しくはパラジウム合金、銀若しくは銀合金、又は、金若しくは金合金である金属上に、上記の無電解金めっき液を使用して金皮膜を形成する金皮膜の製造方法であって、上記の錯化剤を含有する錯化剤補給液と、上記のアルデヒド−アミン付加体補給液を、別々に補給しながら金皮膜を形成することを特徴とする金皮膜の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の金皮膜の製造方法で製造したものであることを特徴とする金皮膜を提供するものである。
本発明によれば、「無電解金めっき液中の錯化剤であるシアンイオンと、還元剤であるアミン−アルデヒド付加体との副反応により生成する副反応生成物」等の「補給液の分解物」の蓄積に伴うめっき速度の低下を引き起こさず、めっき液の加熱待機時間が長時間に及んだ場合でも安定して金めっき皮膜を形成できる。
また、無電解金めっき液の寿命を長くすることができるため、金めっき液の更新頻度が少なくなり生産性が向上する。
特に、ニッケルよりも貴な電位を有する、銅、パラジウム、銀、金やそれらの合金である下地金属上に金めっきを施す場合、従来の方法では、めっき速度の低下の問題や、めっき液が不安定となるという問題が発生したが、本発明によれば、これらの金属上に無電解金めっきを施す際にも、長期間に亘り良好なめっき速度やめっき液の安定性を維持することができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内において任意に変形して実施することができる。
[無電解金めっき液]
本発明の無電解金めっき液は、少なくとも、
(a)シアン化金塩、
(b)錯化剤、
(c)アルデヒド化合物、
(d)下記一般式(1)で表されるアミン化合物、
を含有することが必須である。
−NH−R (1)
[一般式(1)において、R及びRは電子供与性基を表し、分子内の炭素原子(C)の数をmとし、分子内の2級アミノ基(−NH−)の数をnとしたとき、2≦m≦12、n=1である。]
上記必須成分の他、本発明の無電解金めっき液は、必要に応じて、pH緩衝剤、金属イオン隠蔽剤、結晶調整剤、界面活性剤、安定剤等を含有することができる。
<(a)シアン化金塩>
本発明の無電解金めっき液に含まれる(a)シアン化金塩としては、シアン化金カリウム、シアン化金ナトリウム、シアン化金アンモニウム、シアン化金、シアン化第二金カリウム、シアン化第二金ナトリウム、シアン化第二金アンモニウム、シアン化第二金等が挙げられるが、特にシアン化金カリウム、シアン化金ナトリウムであることが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記(a)シアン化金塩の濃度については特に限定はないが、金換算の濃度で、無電解金めっき液全体に対して、好ましくは0.01g/L以上10g/L以下であり、特に好ましくは0.1g/L以上5g/L以下である。
(a)シアン化金塩の濃度が高すぎると、経済的に不利になるとともに、めっき液が不安定になる場合がある。一方、(a)シアン化金塩の濃度が低すぎると、実用的なめっき速度が得られない場合がある。
<(b)錯化剤>
本発明において、「(b)錯化剤」とは、金めっき液中の金の溶解性を安定化させるための化合物を意味する。
(b)錯化剤は、建浴時に無電解金めっき液中にある程度の量を含有させるが、前記したように、還元剤との副反応に伴い、その量は徐々に減少する。このため、長期間の処理を行う場合は、安定した金の溶解性を保つために、無電解金めっき液中に錯化剤を別途補給する必要がある。
本発明の無電解金めっき液に含まれる(b)錯化剤としては、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化アンモニウム等のシアン化塩化合物;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等のチオシアン酸塩化合物;シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸アンモニウム等のシアン酸塩化合物;等が挙げられ、これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
特にシアン化カリウム、シアン化ナトリウムが好ましいが、チオシアン酸塩化合物又はシアン酸塩化合物と併用することもできる。
上記(b)錯化剤の建浴時及び補給直後の濃度については特に限定はないが、シアン化塩化合物については、0.0001g/L以上10g/L以下が好ましく、0.001g/L以上2g/L以下が特に好ましい。チオシアン酸塩化合物については0.001g/L以上10g/L以下が好ましく、0.01g/L以上1g/L以下が特に好ましい。シアン酸塩化合物については、0.01g/L以上100g/L以下が好ましく、1g/L以上50g/L以下が特に好ましい。これら錯化剤はそれぞれ併用することができる。
錯化剤の濃度が高すぎると、金の析出速度が低下してしまう場合があり、また一定濃度以上添加しても溶解性安定の効果が頭打ちになるため不経済となる。一方、少なすぎると、金の溶解性に対して十分な効果が得られない場合があり、浴分解を加速する場合がある。
<(c)アルデヒド化合物>
本発明の無電解金めっき液に含まれる(c)アルデヒド化合物としては、分子内にアルデヒド基を持つ化合物であれば特に限定は無く、具体的には、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族飽和アルデヒド化合物;アクリルアルデヒド、クロトンアルデヒド等の脂肪族不飽和アルデヒド化合物;グリオキサール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタールアルデヒド等のジアルデヒド化合物;ギ酸、グリオキシル酸等のアルデヒド酸化合物;グリセルアルデヒド、エリトロース、リボース、グルコース、マンノース等の糖アルドース化合物;ベンズアルデヒド、フルフラール、ニトロベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、バニリン等の芳香族アルデヒド化合物;等が挙げられ、これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これら(c)アルデヒド化合物の濃度は特に限定はないが、0.001g/L以上200g/L以下が好ましく、0.01g/L以上100g/L以下が特に好ましい。
(c)アルデヒド化合物の濃度が高すぎると、めっき液の還元力が過剰となり浴分解を引き起こす場合があり、低すぎると、めっき液の置換−還元のバランスが置換反応優勢となり、めっき速度が低下したり、厚膜化できなくなったりする場合がある。
(c)アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド単独での使用、又は、ホルムアルデヒドと上記別のアルデヒド化合物との併用が特に好ましい。
ホルムアルデヒドは、約37%のホルムアルデヒド水溶液で安定剤として少量のメタノールを含むホルマリンを、水溶液中に添加することで、無電解金めっき液中に含有させることができる。
また、分子内に硫黄を含有しないホルムアルデヒドドナー化合物を水溶液中に添加することによっても、ホルムアルデヒドを生成させる(無電解金めっき液中に含有させる)ことができる。
上記のような方法で、ホルムアルデヒドを本発明の無電解金めっき液に含有させるのが好ましい。
この場合、本発明の無電解金めっき液に含まれるホルムアルデヒドの濃度が、0.01g/L以上100g/L以下となるように、「ホルマリン」及び/又は「分子内に硫黄を含有しないホルムアルデヒドドナー化合物」を加えることが好ましい。
本発明における「ホルムアルデヒドドナー化合物」とは、水溶液中でホルムアルデヒドを生成する化合物である。
本発明の無電解金めっき液において、ホルムアルデヒドを得るのに好ましい「分子内に硫黄を含有しないホルムアルデヒドドナー化合物」としては、具体的には、例えばメタンジオール、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン、ヒドロキシメチルグリシン、1−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、クオタニウム−15、ビスヒドロキシメチル尿素、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素等が挙げられ、これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の無電解金めっき液において、ホルムアルデヒドを得るためには、経済性や水溶性の高さ、扱い易さからホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミンを使用するのが特に好ましく、これらは、1種単独で又は2種以上併用で使用することができる。
<(d)一般式(1)で表されるアミン化合物>
本発明の無電解金めっき液に含まれるアミン化合物は、(d)下記一般式(1)で表されるアミン化合物である。
−NH−R (1)
[一般式(1)において、R及びRは電子供与性基を表し、分子内の炭素原子(C)の数をmとし、分子内の2級アミノ基(−NH−)の数をnとしたとき、2≦m≦12、n=1である。]
(d)一般式(1)で表されるアミン化合物は、無電解金めっき液内での反応活性点である2級アミノ基が分子内に一つしかないことを特徴とする。このため、本発明の無電解金めっき液は、特許文献1〜4で開示された無電解金めっき液(2級アミノ基を分子内に2つ以上有するアミン化合物を含有する)と比較して、望ましくない副反応(錯化剤とアルデヒド−アミン付加体の反応)による生成物の蓄積を抑制することができ、加熱待機時間が長時間に及んでも、金めっき速度の低下が起こらず、安定して使用することができる。
(d)一般式(1)で表されるアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
以下、(d)一般式(1)で表されるアミン化合物の具体例を挙げる。
<<一般式(1)中のR、R>>
、Rは、一般式(1)で表されるアミン化合物の分子内の2級アミノ基の窒素(N)原子上の電子密度を高くするような基、すなわち、電子供与性基である。RとRは同一でもよく、異なっていてもよい。
、Rの好ましい具体的な基の例としては、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基及びアルコキシアルキル基からなる群から選ばれた基が挙げられる。
また、R、Rは、直鎖であっても側鎖を有していてもよい。
、Rが有する炭素原子数の合計は、2個以上12個以下が好ましく、3個以上8個以下がより好ましく、4個以上6個以下が特に好ましい。
また、R、Rそれぞれの炭素原子数は、1個以上6個以下が好ましく、1個以上4個以下がより好ましく、1個以上3個以下が特に好ましい。
、Rが、側鎖を有している場合の炭素原子数には、側鎖を形成する炭素の数も含まれる。
、Rが有する炭素原子数の合計、又は、R、Rのそれぞれが有する炭素原子数の上限が上記以下であると、水溶性が十分となる。
一般式(1)で表されるアミン化合物の具体的な化合物名(すなわち、RとRの具体例)としては、以下のものが挙げられる。
<<<R=R=アルキル基>>>
ジメチルアミン、N−エチルメチルアミン、ジエチルアミン、N−エチルプロピルアミン、ジプロピルアミン、N−ブチルエチルアミン、N−メチルペンチルアミン、N−エチルイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N−tert−ブチルエチルアミン
<<<R=アルキル基、R=アミノアルキル基>>>
N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−ブチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N−エチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N−プロピル−1,3−プロパンジアミン、N−ブチル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロピル−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−N’−メチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン
<<<R=アルキル基、R=ヒドロキシアルキル基>>>
2−(メチルアミノ)エタノール、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(イソプロピルアミノ)エタノール、1−(エチルアミノ)−2−プロパノール、3−(エチルアミノ)−1−プロパノール、3−(プロピルアミノ)−1−プロパノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、4−エチルアミノ−1−ブタノール、4−(プロピルアミノ)−1−ブタノール、4−(ブチルアミノ)−1−ブタノール
<<<R=アミノアルキル基、R=ヒドロキシアルキル基>>>
2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−[(3−アミノプロピル)アミノ]エタノール、2−[(2−アミノエチル)アミノ]−1−プロパノール、3−[(3−アミノプロピル)アミノ]−1−プロパノール、4−[(2−アミノエチル)アミノ]−1−ブタノール、2−[(4−アミノブチル)アミノ]エタノール、3−[(4−アミノブチル)アミノ]−1−プロパノール、4−[(3−アミノプロピル)アミノ]−1−ブタノール
<<<R=R=アミノアルキル基>>>
ビス(2−アミノエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、N−(4−アミノブチル)ブタン−1,4−ジアミン
<<<R=R=ヒドロキシアルキル基>>>
2−[(ヒドロキシメチル)アミノ]エタノール、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパノール、3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミン、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−ブタノール、1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ブタノール
<<<R=アルキル基、R=アルコキシアルキル基>>>
N−(2−メトキシエチル)メチルアミン、N−(2−メトキシエチル)エチルアミン、N−(2,2−ジメトキシエチル)メチルアミン、N−(2−メトキシエチル)プロピルアミン、N−(2−メトキシエチル)イソプロピルアミン、N−tert−ブチル−2−メトキシエチルアミン
<<<R=R=アルコキシアルキル基>>>
ビス(2−メトキシエチル)アミン、ビス(2−エトキシエチル)アミン
<<<R=アルキル基、R=(アミノ)(ヒドロキシ)アルキル基>>>
1−(メチルアミノ)−3−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−(エチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−(エチルアミノ)エタノール
これらの中でも、ジプロピルアミン、N−ブチルエチルアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−ブチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、2−(メチルアミノ)エタノール、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−[(3−アミノプロピル)アミノ]エタノール、ビス(2−アミノエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、ジイソプロパノールアミン、ビス(2−メトキシエチル)アミンが特に好ましい。
(d)一般式(1)で表されるアミン化合物の濃度は特に限定はないが、無電解金めっき液全体に対して、0.01g/L以上500g/L以下であることが好ましく、0.1g/L以上100g/L以下であることがより好ましい。上記範囲を超えると、めっき速度が低下する場合があり、上記範囲未満であるとめっき液の安定性が低下する場合がある。
<(c)アルデヒド化合物と(d)一般式(1)で表されるアミン化合物の比率>
(c)アルデヒド化合物と、(d)一般式(1)で表されるアミン化合物のモル比率は、アルデヒド化合物:アミン化合物=1:0.1〜1:20であることが好ましく、1:0.3〜1:10であることが特に好ましい。アルデヒド化合物が上記範囲より多いとめっき液が分解する場合があり、アミン化合物が上記範囲より多いと、置換−還元バランスが置換寄りとなり、金めっき膜厚を0.1μm以上厚膜化することが困難となる場合がある。
<pH緩衝剤>
本発明の無電解金めっき液のpHは、4以上であることが好ましく、必要に応じてpH緩衝剤を適宜選択して含有させることができる。pH緩衝剤としては、無電解金めっき液の特性に悪影響を与えることなくpH変動を緩和することができるものであれば特に限定はない。
具体的には例えば、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、炭酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の無電解金めっき液に用いるpH緩衝剤の濃度は、0.01g/L以上100g/L以下が好ましく、特に好ましくは、0.1g/L以上50g/L以下である。pH緩衝剤濃度が高すぎると、めっき液中で塩析を起こす場合があり、低すぎると、pH緩衝効果が十分に得られず実用的ではない。
pHを所望の値に調整するには、さらに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、硫酸、リン酸、ホウ酸、硝酸、塩酸等のpH調整剤を添加することができる。
<金属イオン隠蔽剤>
本発明の無電解金めっき液には、金属イオン隠蔽剤を含有させることが望ましい。本発明の無電解金めっき液は、下地金属の溶解や被めっき物又はめっき治具からニッケル、銅、パラジウム、銀、鉄、アルミニウム等の金属イオンが混入し、めっき液の安定性の低下やめっき速度の低下、金皮膜物性の低下等を招く場合がある。金属イオン隠蔽剤を添加することで、これらの望ましくない挙動を効果的に抑制することができる。
本発明の無電解金めっき液に用いる金属イオン隠蔽剤としては、公知のものを使用できる。
例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、グリシン等のアミノカルボン酸又はその塩類;グリコール酸、グルコン酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸又はその塩類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ニトリトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のホスホン酸又はその塩類;等が挙げられる。
また、エチレンジアミン、プロパンジアミン等の2級アミン部位を持たない1級アミン化合物;トリエタノールアミンやテトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、クアドロール等の2級アミン部位を持たない3級アミン化合物を金属イオン隠蔽剤として一般式(1)で表されるアミン化合物とは別に添加することもできる。
これら金属イオン隠蔽剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の無電解金めっき液に用いる金属イオン隠蔽剤の濃度は、0.01g/L以上100g/L以下が望ましく、0.1g/L以上50g/L以下が特に望ましい。金属イオン隠蔽剤濃度が高すぎると、めっき液中で塩析を起こす場合があり、低すぎると金属イオン隠蔽効果が十分に得られず実用的ではない。
<結晶調整剤>
本発明の無電解金めっき液には、結晶調整剤として重金属塩を添加しても良い。結晶調整剤を添加することで、金皮膜の外観改善とめっき速度を向上する効果が得られる。結晶調整剤としては、タリウム塩、鉛塩、ヒ素塩、アンチモン塩、テルル塩、ビスマス塩等の重金属の塩が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の無電解金めっき液に用いる重金属塩(結晶調整剤)の濃度は、0.01ppm以上100ppm以下が好ましく、特に好ましくは、0.1ppm以上50ppm以下である。重金属塩の濃度が高すぎると金めっき皮膜に偏析して外観不良を引き起こす場合があり、重金属塩濃度が低すぎると、結晶調整剤としての効果が不十分になる場合がある。
<界面活性剤>
本発明の無電解金めっき液には、必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、特に限定はなく、公知の界面活性剤を使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤の種類としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤又はカチオン系界面活性剤が挙げられる。このうち、好ましくは、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤である。
ノニオン界面活性剤としては、特に限定はないが、例えばノニルフェノールポリアルコキシレート、α−ナフトールポリアルコキシレート、ジブチル−β−ナフトールポリアルコキシレート、スチレン化フェノールポリアルコキシレート等のエーテル型ノニオン系界面活性剤;オクチルアミンポリアルコキシレート、ヘキシニルアミンポリアルコキシレート等のアミン型ノニオン界面活性剤;等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル型界面活性剤;ドデカンスルホン酸ナトリウム、ドデシルルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸型界面活性剤;ラウリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸エステル型界面活性剤;等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等のアルキルイミダゾール型界面活性剤;ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン型界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド型界面活性剤;等が挙げられる。
カチオン型界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルピリジニウム塩等が挙げられる。
本発明の無電解金めっき液中の界面活性剤の濃度は、無電解金めっき液全体に対して好ましくは0.01g/L以上20g/L以下であるが、所望の性能を発揮できればよく、特に含有量は限定されるものではない。
<安定剤>
本発明の無電解金めっき液には、必要に応じて公知の無電解金めっき液用安定剤を添加することができる。安定剤を添加することで、めっき中又はめっき液加熱中に微量浮遊する金微粒子の発生を抑制することができる。
安定剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,4−アミノトリアゾール等の複素環化合物が挙げられる。
本発明の無電解金めっき液中の安定剤の濃度は、無電解金めっき液全体に対して0.01ppm以上1000ppm以下が好ましく、0.2ppm以上100ppm以下が特に好ましい。
上記範囲を超えると、めっき速度が低下する場合があり、上記範囲未満であると微量浮遊する金微粒子の発生を抑制する効果が不十分になる場合がある。
[アルデヒド−アミン付加体補給液]
本発明は、上記したように無電解金めっき液の発明でもあり、また、上記無電解金めっき液を加熱保持する際に添加するアルデヒド−アミン付加体補給液の発明でもある。
無電解金めっき液中において、アルデヒド化合物とアミン化合物により形成されるアルデヒド−アミン付加体は、還元剤として作用する。還元剤であるアルデヒド−アミン付加体は、錯化剤との副反応を起こす。この副反応は、加熱待機状態でも(金めっきをしていない状態でも)進行し、無電解金めっき液中の錯化剤や還元剤の濃度は減少する。このため、無電解金めっき液の性能を保つためには、錯化剤、アルデヒド化合物、アミン化合物といった成分を定期的に補給する必要がある。
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液は、還元剤であるアルデヒド−アミン付加体を無電解金めっき液に補給するための補給液であり、錯化剤を補給するための錯化剤補給液とは別々に無電解金めっき液に補給される。
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液は、本発明の無電解金めっき液を加熱保持する際に添加するための補給液である。
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液は、少なくとも、
(c')アルデヒド化合物
(d')下記一般式(1)で表されるアミン化合物
を含有することが必須である。
−NH−R (1)
[一般式(1)において、R及びRは電子供与性基を表し、分子内の炭素原子(C)の数をmとし、分子内の2級アミノ基(−NH−)の数をnとしたとき、2≦m≦12、n=1である。]
上記必須成分の他、本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液は、必要に応じて、pH緩衝剤等を含有することができる。
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液は、予め(c')アルデヒド化合物と(d')一般式(1)で表されるアミン化合物を溶解混合した補給液にすることで、特許文献1〜4記載のアミン化合物を使用した場合よりも強固に付加したアルデヒド−アミン付加体を形成しておくことができる。このため、本発明の無電解金めっき液に補給した際に、遊離のアルデヒド成分が過剰にならず、金めっき液の安定性が良好となる。
<(c')アルデヒド化合物>
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液に含まれる(c')アルデヒド化合物としては、前記した本発明の無電解金めっき液に含まれる(c)アルデヒド化合物と同種でも異種でもよいが、同種のアルデヒド化合物を使用することが好ましい。
具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族飽和アルデヒド化合物;アクリルアルデヒド、クロトンアルデヒド等の脂肪族不飽和アルデヒド化合物;グリオキサール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタールアルデヒド等のジアルデヒド化合物;ギ酸、グリオキシル酸等のアルデヒド酸化合物;グリセルアルデヒド、エリトロース、リボース、グルコース、マンノース等の糖アルドース化合物;ベンズアルデヒド、フルフラール、ニトロベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、バニリン等の芳香族アルデヒド化合物;等が挙げられ、これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これら(c')アルデヒド化合物の濃度は特に限定はないが、0.01g/L以上500g/L以下が好ましく、0.1g/L以上400g/L以下が特に好ましい。
(c')アルデヒド化合物濃度が高すぎると、アルデヒド−アミン付加体補給液を添加した際に、局所的にめっき液の還元力が過剰となり浴分解を引き起こす場合があり、低すぎると、アルデヒド−アミン付加体補給液の添加量が増えるため、補給の際にめっき液が希釈されることでバランスが崩れ、正常なめっき速度が得られなくなる場合がある。
(c')アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド単独での使用、又は、ホルムアルデヒドと上記別のアルデヒド化合物との併用が特に好ましい。
ホルムアルデヒドは、約37%のホルムアルデヒド水溶液で安定剤として少量のメタノールを含むホルマリンを、水溶液中に添加することで、無電解金めっき液中に含有させることができる。
また、分子内に硫黄を含有しないホルムアルデヒドドナー化合物を水溶液中に添加することによっても、ホルムアルデヒドを生成させる(無電解金めっき液中に含有させる)ことができる。
上記のような方法で得られたホルムアルデヒドを本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液に含有させるのが好ましい。
この場合、本発明の無電解金めっき液に含まれるホルムアルデヒドの濃度が、0.1g/L以上400g/L以下となるように、「ホルマリン」及び/又は「分子内に硫黄を含有しないホルムアルデヒドドナー化合物」を加えることが好ましい。
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液において、ホルムアルデヒドを得るのに好ましい「分子内に硫黄を含有しないホルムアルデヒドドナー化合物」としては、具体的には、例えばメタンジオール、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン、ヒドロキシメチルグリシン、1−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、クオタニウム−15、ビスヒドロキシメチル尿素、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素が挙げられ、これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液において、ホルムアルデヒドを得るためには、経済性や水溶性の高さ、扱い易さから、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミンを使用するのが特に好ましく、これらは、1種単独で又は2種以上併用で使用することができる。
本発明の無電解金めっき液に含有される(c)アルデヒド化合物と、アルデヒド−アミン付加体補給液に含有される(c')アルデヒド化合物は、同一であっても異なっていてもよいが、無電解金めっき液の安定性等の観点から、同一である方が好ましい。
<(d')一般式(1)で表されるアミン化合物>
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液に含まれる(d')一般式(1)で表されるアミン化合物としては、前記した本発明の無電解金めっき液に含まれる(d)一般式(1)で表されるアミン化合物と同種のアミン化合物を使用することができる。
具体的には、ジプロピルアミン、N−ブチルエチルアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−ブチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、2−(メチルアミノ)エタノール、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−[(3−アミノプロピル)アミノ]エタノール、ビス(2−アミノエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、ジイソプロパノールアミン、ビス(2−メトキシエチル)アミンが特に好ましい。
(d')一般式(1)で表されるアミン化合物の濃度は特に限定はないが、アルデヒド−アミン付加体補給液全体に対して、0.01g/L以上500g/L以下であることが好ましく、0.1g/L以上400g/L以下であることがより好ましい。上記範囲を超えると、局所的にめっき液の還元力が過剰となり浴分解を引き起こす場合があり、低すぎると補給液の添加量が増えるため、補給の際にめっき液が希釈されることでバランスが崩れ、正常なめっき速度が得られなくなる場合がある。
本発明の無電解金めっき液に含有される(d)一般式(1)で表されるアミン化合物と、アルデヒド−アミン付加体補給液に含有される(d')一般式(1)で表されるアミン化合物は、同一であっても異なっていてもよいが、無電解金めっき液の安定性等の観点から、同一である方が、好ましい。
<(c')アルデヒド化合物と(d')一般式(1)で表されるアミン化合物の比率>
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液中の(c')アルデヒド化合物と(d')一般式(1)で表されるアミン化合物のモル比率は、アルデヒド化合物:アミン化合物=1:0.1〜1:10であることが好ましい。アルデヒド化合物が上記範囲よりも多い比率であるとアルデヒド−アミン付加体補給液を加えていった際にめっき液が分解する場合があり、アミン化合物が上記範囲よりも多い比率であると、アルデヒド−アミン付加体補給液を加えていった際に置換−還元バランスが置換寄りとなりめっき速度が低下する場合がある。
<pH緩衝剤>
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液のpHは、4以上であることが好ましい。pHが上記範囲よりも低いと2級アミン部位がプロトン化されアルデヒド−アミン付加体が形成しにくくなり、めっき液にアルデヒド−アミン付加体補給液を添加した際に遊離のアルデヒドが過剰になるため、めっき浴の安定性が悪くなる場合がある。
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液には、必要に応じてpH緩衝剤を適宜選択して含有させることができる。pH緩衝剤としては、アルデヒド−アミン付加体補給液の特性に悪影響を与えることなくpH変動を緩和することができるものであれば特に限定はない。具体的には例えば、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、炭酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のアルデヒド−アミン付加体補給液に用いるpH緩衝剤の濃度は、0.01g/L以上100g/L以下が好ましく、特に好ましくは、0.1g/L以上50g/L以下である。pH緩衝剤濃度が高すぎると、アルデヒド−アミン付加体補給液中で塩析を起こす場合があり、低すぎると、pH緩衝効果が十分に得られず実用的ではない。
pHを所望の値に調整するには、さらに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、硫酸、リン酸、ホウ酸、硝酸、塩酸等のpH調整剤を添加することができる。
[金皮膜の製造方法]
本発明は、上記したように無電解金めっき液、アルデヒド−アミン付加体補給液の発明でもあり、また、金皮膜の製造方法の発明でもある。
すなわち、本発明は、銅若しくは銅合金、ニッケル若しくはニッケル合金、パラジウム若しくはパラジウム合金、銀若しくは銀合金、又は、金若しくは金合金である金属上に、上記の無電解金めっき液を使用して金皮膜を形成する金皮膜の製造方法であって、錯化剤を含有する錯化剤補給液と、上記のアルデヒド−アミン付加体補給液を、別々に補給しながら金皮膜を形成することを特徴とする金皮膜の製造方法でもある。
本発明の金皮膜の製造方法では、錯化剤補給液と、アルデヒド−アミン付加体補給液は、別々に無電解金めっき液に補給する必要がある。
仮に、予め錯化剤補給液と、アルデヒド−アミン付加体補給液を混合して一液にした場合、アルデヒド−アミン付加体と錯化剤が徐々に反応して反応生成物に変化してしまう。
この一液化した状態は、いわば無電解金めっき液中で生成する反応生成物そのものであるため、めっき液に補給しても金の錯化剤としての機能や、還元剤としての機能を有していない化合物を添加していることになり、本発明の目的を全く達成できない。
なお、実施例記載の「模擬加熱無電解金めっき液」とは、本来、めっき液を加熱中に、常時別々に補給するべきである「錯化剤補給液」と「アルデヒド−アミン付加体補給液」の双方を、敢えて建浴初期に一度に添加し、その後ある程度の時間加熱することによって、アルデヒド−アミン付加体と錯化剤の反応生成物を生成させた状態の無電解金めっき液である。
すなわち、本発明の無電解金めっき液に補給液(錯化剤補給液とアルデヒド−アミン付加体補給液)を添加しながら長時間加熱保持した状態を模擬的に再現した無電解金めっき液である。
後述する実施例において、「実験例A」では、アルデヒド−アミン付加体と錯化剤の反応生成物の蓄積がめっき速度やめっき液の安定性に与える影響を調べるために、このような模擬加熱無電解金めっき液を使用している。
<めっき時の温度>
上記無電解金めっき液及びアルデヒド−アミン付加体補給液を使用して無電解金めっきにより金皮膜を製造する際の、無電解金めっき液の温度は、40℃以上90℃以下に調整することが好ましい。温度が高すぎるとめっき液の安定性が低下する場合があり、温度が低すぎると実用的なめっき速度が得られない場合がある。
<補給時の温度>
本発明においては、上記した無電解金めっき液の温度が60℃〜90℃、特に70℃以上に加熱保持している場合に、錯化剤補給液とアルデヒド−アミン付加体補給液を別々のラインから定期的に補給することによって、無電解金めっき液の性能を維持することができる。
<錯化剤補給液>
本発明の「錯化剤」とは、建浴時および補給後の金めっき液中の金の溶解性を安定化させるための化合物を意味する。
本発明の「錯化剤補給液」とは、建浴時に無電解金めっき液中に含まれる「(b)錯化剤」とは別に、無電解金めっき液に錯化剤を補給するための補給液である。
本発明の「錯化剤補給液」は、錯化剤を水に溶かした水溶液であり、建浴時の無電解金めっき液中に含まれる「(b)錯化剤」と同種の錯化剤を使用することができる。
具体的には、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化アンモニウム等のシアン化塩化合物;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等のチオシアン酸塩化合物;シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸アンモニウム等のシアン酸塩化合物;等が挙げられ、これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
特にシアン化カリウム、シアン化ナトリウムが好ましいが、チオシアン酸塩化合物又はシアン酸塩化合物と併用することもできる。
錯化剤補給液に含有される錯化剤は、建浴時の無電解金めっき液中に含まれる「(b)錯化剤」と同一であっても異なっていてもよいが、無電解金めっき液の安定性等の観点から、同一である方が好ましい。
<補給量>
アルデヒド−アミン付加体補給液の補給量は、建浴時の無電解金めっき液に含まれる(c)アルデヒド化合物100モルに対して、アルデヒド−アミン付加体補給液に含まれる(c')アルデヒド化合物が、1時間あたり0.1〜5モルとなるように補給するのが好ましい。
錯化剤補給液の補給量は、アルデヒド−アミン付加体補給液の補給量との比率として、後述する補給比率となるように補給するのが好ましい。
アルデヒド−アミン付加体補給液や錯化剤補給液の補給量が多くなりすぎると、錯化剤と補給液の反応生成物の蓄積速度が大きくめっき液の寿命が短くなる場合があり、補給量が少なすぎると、めっき液の安定性が保てず分解する場合がある。
<補給頻度>
錯化剤補給液とアルデヒド−アミン付加体補給液は、それぞれ、1時間あたり1〜1800回程度で等間隔に補給することが好ましく、1時間あたり60〜720回程度の頻度で、補給用ポンプを用いて常時補給することが更に好ましい。
また、錯化剤補給液とアルデヒド−アミン付加体補給液の補給頻度は、ほぼ同じであっても別々であってもよいが、ほぼ同じ補給頻度であることが好ましい。
補給頻度が上記範囲を超えても問題ないが、多くなりすぎてもめっき液性能の維持効果は頭打ちとなる。補給頻度が上記範囲よりも少ない場合は、一度に補給する補給量が多くなるため、結果として金めっき液の組成変化が大きくなり、金めっき皮膜特性が不均一になる場合がある。
<補給比率>
錯化剤補給液とアルデヒド−アミン付加体補給液の補給比率としては、めっき液の使用頻度や使用方法によって任意に変化しうるが、錯化剤補給液に含有される錯化剤と、アルデヒド−アミン付加体補給液に含有される(c')アルデヒド化合物のモル比で、錯化剤:アルデヒド化合物=1:0.2〜1:10となるように補給するのが好ましい。
上記補給比率の範囲内において、錯化剤補給液がアルデヒド−アミン付加体補給液に対して過剰気味であると、錯化剤がアルデヒド−アミン付加体と反応して、無電解金めっき液中の還元剤であるアミン−アルデヒド付加体は反応生成物に変化するので、置換−還元バランスが置換寄りになり、めっき速度が低下し厚膜化できなくなる場合がある。
しかし、本発明の無電解金めっき液を使用して電子部品を生産する計画が予め明確な場合等は、敢えて錯化剤補給液を過剰に添加し無電解金めっき液を加熱待機させておく方法が有利な場合がある。その場合は無電解金めっき液中のアルデヒド−アミン付加体のアルデヒド部位を分析し、その濃度がゼロになった時点で錯化剤補給液とアルデヒド−アミン付加体補給液の添加を止めることが有効である。その後、金めっきを施す際にアルデヒド−アミン付加体補給液のみを再度添加することで、置換−還元バランスを元に戻すことができるため、めっき速度も維持でき、厚膜化も可能となる。この方法によれば、錯化剤とアルデヒド−アミン付加体の反応に伴う反応生成物の生成量が減らせるため、めっき液の寿命をさらに伸ばすことができる。
一方、錯化剤補給液の補給比率がアルデヒド−アミン付加体補給液に対して過小であると、金の錯化剤としての効果が弱く浴分解を加速する場合がある。
<下地金属>
本発明の金皮膜の製造方法では、銅若しくは銅合金、ニッケル若しくはニッケル合金、パラジウム若しくはパラジウム合金、銀若しくは銀合金、又は、金若しくは金合金を下地金属とすることができる。
「銅合金」、「ニッケル合金」、「パラジウム合金」、「銀合金」、「金合金」とは、それぞれ、銅、ニッケル、パラジウム、銀、金を主成分(質量比率が最も多い成分)とする合金である。
ニッケル合金の具体例としては、ニッケル−リン合金、ニッケル−ホウ素合金、ニッケル−リン−硫黄合金が挙げられる。
パラジウム合金の具体例としては、パラジウム−リン合金、パラジウム−リン−硫黄合金、パラジウム−炭素合金等の非金属あるいは半金属元素が共析した合金が挙げられる。
また、ニッケル−パラジウム合金、パラジウム−銀合金、銀−金合金等の異種金属合金も、本発明の金皮膜の製造方法を用いて金皮膜を形成する際の下地金属とすることができる。
本発明の金皮膜の製造方法は、特に、ニッケルよりも貴な金属である、銅、パラジウム、銀、金やそれらの合金である下地金属上に金めっきを施す場合であっても、めっき速度の低下や金めっき膜厚のバラツキが起こりにくいため、これらの下地金属上に無電解金めっきを施し、金皮膜を製造するのに特に適している。
<めっきプロセス>
本発明の無電解金めっき液および補給液を用いた金皮膜の製造方法は、ENIGプロセス(Cu/Ni/Au)、ENEPIGプロセス(Cu/Ni/Pd(P)/Au)、Thin Ni−ENEPIGプロセス(Cu/薄Ni/Pd(P)/Au)、DEPIGプロセス(Cu/Pd/Au)、DISIGプロセス(Cu/Ag/Au)、DIGプロセス(Cu/Au)等の何れのプロセスにおける金皮膜の製造にも適用可能であり、対象となるめっきプロセスは限定されるものではない。
[金皮膜]
本発明の金皮膜は、本発明の無電解金めっき液及びアルデヒド−アミン付加体補給液を用いた金皮膜の製造方法により形成されたものである。
本発明の金皮膜は、銅若しくは銅合金、ニッケル若しくはニッケル合金、パラジウム若しくはパラジウム合金、銀若しくは銀合金、又は、金若しくは金合金である金属上に形成された金皮膜であり、0.1μm以上の金皮膜でも外観が良好である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り下記実施例に限定されるものではない。
[実験例A]
実験例A(実施例1〜6及び比較例1〜7)は、アルデヒド−アミン付加体と錯化剤の反応生成物の蓄積がめっき速度やめっき液の安定性に与える影響を評価したものである。なお、実験例Aにおいては、錯化剤補給液とアルデヒド−アミン付加体補給液を無電解金めっき液に常時補給して評価したのではなく、アルデヒド−アミン付加体と錯化剤の反応生成物を生成させた状態のめっき液の評価には、前記した模擬加熱無電解金めっき液を使用した。
アルデヒド−アミン付加体と錯化剤の反応生成物の蓄積による影響を、実用を想定しためっきプロセスにおいて評価するには、非常に長い時間を要するところ、実験例Aは、時間の短縮のため、アルデヒド−アミン付加体と錯化剤の反応生成物が蓄積した状況を模擬的に再現して評価したものである。
<無電解金めっき液の調製>
<<実施例1、5;比較例1、4>>
表7、8に示すアミン化合物を純水に溶解し、ホルムアルデヒド源として、ホルマリンあるいはホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムを加えて撹拌溶解し、アルデヒド−アミン付加体を形成させた。
次に金属イオン隠蔽剤であるエチレンジアミン四酢酸を溶解させた。更に、pH緩衝剤であるリン酸カリウム、結晶調整剤としてタリウム塩を溶解させた。pHは7.0に調整した。pHを上昇させる場合は水酸化カリウム水溶液を、pHを低下させる場合はリン酸水溶液を使用した。最後にシアン化金カリウム及び錯化剤としてシアン化カリウムを加え溶解させた。以下、この溶液を「新建浴」と呼称する。
<模擬加熱無電解金めっき液の調製>
<<実施例2〜4、6;比較例2〜3、5〜7>>
表7、8に示すアミン化合物を純水に溶解し、ホルムアルデヒド源として、ホルマリンあるいはホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムを加えて撹拌溶解し、アルデヒド−アミン付加体を形成させた。
次いで金属イオン隠蔽剤であるエチレンジアミン四酢酸を溶解させた。更に、pH緩衝剤であるリン酸カリウム、結晶調整剤としてタリウム塩を溶解させた。
次に、表9に示す比率及び組成で、模擬補給液A(錯化剤補給液)及び模擬補給液B(アルデヒド−アミン付加体補給液)を加えた。
常時補給するとした場合、模擬補給液Aは1時間あたり0.12mL/L、模擬補給液Bは1時間あたり0.6mL/L補給することを想定している。
表7、8に示すように、模擬補給液A及び模擬補給液Bは、仮に常時補給するとしたら、168時間(7日)、336時間(14日)、504時間(21日)加熱した時に補給する総量に相当する量を、模擬補給液A、模擬補給液Bの順序で一度に加えた。
例えば、168時間(7日)の補給に相当する量である実施例2では、模擬補給液Aを20mL/L(0.12×168mL/L)加え、次に模擬補給液Bを100mL/L(0.6×168mL/L)加えた。
最後にシアン化金カリウムおよびシアン化カリウム(錯化剤)を加え溶解させた。pHは7.0に調整した。pHを上昇させる場合は水酸化カリウム水溶液を、pHを低下させる場合はリン酸水溶液を使用した。
その後、これら補給成分(錯化剤とアルデヒド−アミン付加体)の反応物を浴中に生成させるため、80℃の湯浴中で加熱した。加熱処理時間は、168時間(7日)の補給に相当する量に対して、4時間とした。
加熱処理後に下記に示す方法でホルムアルデヒドを分析し、新建浴時に比べ減少していた場合は、模擬補給液B(アルデヒド−アミン付加体補給液)を適量添加し、ホルムアルデヒド濃度を新建浴と同濃度に補正した。
ホルムアルデヒド分析は、アセチルアセトン法にてλ=412nmの吸光度を測定した。吸光度は、ダブルビーム分光光度計U−2910(日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定した。
ホルムアルデヒド濃度補正後、pHを7.0に調整した。pHを上昇させる場合は水酸化カリウム水溶液を、pHを低下させる場合はリン酸水溶液を使用した。
以下、この溶液を「模擬加熱浴」と呼称する。模擬加熱浴は、反応生成物の影響を確認するためのものである。
<評価方法>
実施例1〜6、比較例1〜7の無電解金めっき液について、以下に記載の評価基板及び複数のめっきプロセスにて金めっきを実施し、金めっき膜厚を評価した。
<<評価基板>>
ガラスクロスエポキシ材(FR−4)に銅箔を張り付け、ソルダ―レジストにてφ0.5mm径の開口径を設けた基板(40mm×40mm×1mmt)を使用した。
<<めっきプロセス>>
評価基板上に、表1〜表6に記載の種々のプロセスで金めっきを施した。
Figure 0006619563
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<<金めっき外観>>
得られた金めっき皮膜について、光学顕微鏡(50倍)にて金皮膜の色調を観察した。
<<金めっき膜厚の測定>>
蛍光X線膜厚計(SEA5120、セイコーインスツルメンツ社製)を使用して、φ0.5mmの開口部の金めっき膜厚を測定した。基板内に複数有る開口部の任意の5点を測定し、その平均値を算出して金めっき膜厚の測定値とした。
<評価結果>
評価結果を表7、表8に示す。
アミン化合物として、一般式(1)で表されるアミン化合物であるN−メチル−1,3−ジアミノプロパン(CH−NH−C−NH)、ホルムアルデヒド源としてホルマリンを使用した場合(実施例1〜4)、何れのめっきプロセスにおいても、新建浴(実施例1)と比較して模擬加熱浴(実施例2〜4)から得られた金皮膜の外観変化はなく、ともに良好なレモンイエローの皮膜だった。また、模擬加熱浴を用いた場合に、金めっき膜厚の低下はほとんど見られず、浴の分解も生じなかった。
アミン化合物として、同じく一般式(1)で表されるアミン化合物である3,3’−ジアミノジプロピルアミン(HN−C−NH−C−NH)を使用した場合(実施例5〜6)も同様に、何れのめっきプロセスにおいても、模擬加熱浴(実施例6)から得られた金皮膜は、新建浴(実施例5)から得られた金皮膜と比べて、外観、膜厚がほとんど同じで、浴の分解も生じなかった。
一方、アミン化合物として、2級アミノ基を分子内に2つ持つN,N'−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(HO−C−NH−C−NH−C−OH)、ホルムアルデヒド源としてホルマリンを使用した場合(比較例1〜3)、模擬加熱浴では、新建浴に比べて、金皮膜外観の悪化や膜厚の低下、又は浴の分解が生じる傾向が見られた。
加熱保持168時間(7日)に相当する補給剤を添加した模擬加熱浴(比較例2)を使用した場合は、Cu/Ni/Auプロセスでは、金めっき膜厚は新建浴(比較例1)を使用した場合に比べてほとんど同じであったが、他のめっきプロセス(下地金属がNiよりも貴な金属であるめっきプロセス)においては新建浴(比較例1)を使用した場合に比べて膜厚の低下が見られた。
また、加熱保持336時間(14日)に相当する補給剤を添加した模擬加熱浴(比較例3)では、浴が分解した。すなわち、ビーカー内に金イオンから還元された金が浮遊又は析出した。
アミン化合物として、N,N'−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(HO−C−NH−C−NH−C−OH)、新建浴のホルムアルデヒド源としてホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムを使用した比較例4〜7においては、下地がNiよりも貴なプロセスにおいて、金めっき速度が遅かった。
模擬補給液B(アルデヒド−アミン付加体補給液)のホルムアルデヒド源として、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムのみを使用した模擬加熱浴(比較例5)においては、新建浴(比較例4)に比べ、Cu/Ni/Au以外のめっきプロセスの際の速度低下が顕著であった。
模擬補給液B(アルデヒド−アミン付加体補給液)のホルムアルデヒド源として、ホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムとホルマリンをモル比半々で使用した模擬加熱浴(比較例6)においても、Cu/Ni/Au以外のめっきプロセスの際の速度低下は回避できなかった。
模擬補給液B(アルデヒド−アミン付加体補給液)のホルムアルデヒド源として、ホルマリンのみを使用した模擬加熱浴(比較例7)においては、浴安定性が著しく悪く、模擬加熱浴調製時に浴が分解した。
Figure 0006619563
Figure 0006619563
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表9に示した模擬補給液Aは1時間あたり0.12mL/L、模擬補給液Bは1時間あたり0.6mL/L補給することを想定したものである。
[実験例B]
実験例B(実施例7〜9及び比較例8〜15)は、無電解金めっき液を加熱待機させている状態において、錯化剤補給液とアルデヒド−アミン付加体補給液を常時補給することで、アルデヒド−アミン付加体と錯化剤の反応生成物の蓄積がめっき速度やめっき液の安定性に与える影響を評価したものであり、本発明を実用化した場合の状況を想定したものである。
<実施例7〜9、比較例8〜15>
各成分を表10に記載の組成に変更した点以外は、実験例Aの<無電解金めっき液の調製>の項に示した手順と同様にして、新建浴を調製した。
調製した新建浴(無電解金めっき液)1Lを用い、めっき液を80℃で加熱しながら表11に記載の補給液(補給液A及び補給液B)を常時加えていき、長期間の加熱保持を実施した。昇温或いは冷却時を含め、めっき液温度が70℃以上のときに、補給液の添加を行った。
補給液の常時添加は、ペリスタリックポンプ(SMP−21、東京理化器械製)を使用し、補給液A(錯化剤補給液)と補給液B(アルデヒド−アミン付加体補給液)は独立したラインで別々に添加した。
補給液Aは3.3g/Lのシアン化カリウムを1時間あたり6mL/Lの割合で添加した。
補給液Bは表11に記載の濃度に調製し、1時間あたり6mL/Lの割合で添加した。
1日あたりの加熱保持は10時間とし、その後は室温まで放冷後放置した。この操作を繰り返し実施し、表10に示した総加熱時間に達したタイミングで、無電解金めっき液の一部を採取し、後述するプリント基板に表4に記載のCu/Pd/Auプロセスを行い、実験例Aの<<金めっき膜厚の測定>>の項に示した手順と同様にして、金めっき膜厚を測定した。
なお、この金めっき膜厚測定用サンプルを作製する前に、実験例Aの模擬加熱無電解金めっき液における分析方法と同じ方法でホルムアルデヒド量を分析し、新建浴に比べてホルムアルデヒド量が10%以上減少している場合は、各補給液Bを添加して補正してから、金めっき膜厚測定用サンプルを作製した。
金めっき膜厚測定用の基板には、独立部と導通部を有するプリント基板を用いた。該プリント基板は、実製品基板同様、他の銅電極と導通していない独立した開口径φ0.5mmの銅電極部(独立部)と、開口した大面積の電極とソルダーレジスト下部で接続した開口径φ0.5mmの銅電極部(導通部)を有している。
独立部と導通部のそれぞれにおいて金めっき膜厚を測定した。
評価結果を表10に示す。
実施例7〜9では、本発明の一般式(1)で表されるアミン化合物とホルムアルデヒド源としてのホルマリンを含有する無電解金めっき液を使用した。
総加熱200時間を超えても、浴安定性は良好であり、金めっき膜厚(金めっき速度)も安定していた。
比較例8では、2級アミン部位を分子内に2つ有するアミン化合物と、建浴時のホルムアルデヒド源としてホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムを含有する無電解金めっき液を使用し、ホルマリンを含有する補給液Bを使用して、加熱保持を実施した。
総加熱72時間までは浴の分解もなく金めっき膜厚(金めっき速度)も安定していたが、80時間過ぎに浴が分解した。
比較例9では、比較例8と同じく2級アミン部位を分子内に2つ有するアミン化合物を使用し、ホルムアルデヒド源としては、建浴時にも、補給液Bにもホルマリンを使用したが、重亜硫酸分が存在しないため浴の安定性が悪く、総加熱60時間過ぎに浴が分解した。
比較例10では、比較例8〜9と同じく2級アミン部位を分子内に2つ有するアミン化合物を使用し、建浴時のホルマリン濃度を低減した。
この場合、補給液Bにホルマリンを使用しても90時間程度まで浴分解が発生しなかったものの、加熱保持72時間において補給液由来の反応生成物の蓄積によりめっき速度の低下が見られた。
また、比較例10において、90時間過ぎで浴が分解後、析出した金をろ別し、再度金化合物を補充後に金めっき膜厚(金めっき速度)を測定したところ、独立部0.40μm、導通部0.48μmであった。めっき中に再度浴が分解し、加熱1時間時点と比べてめっき速度が2倍以上上昇しており、最早めっき速度のコントロールができない状態であった。
比較例11では、比較例8〜10と同じ2級アミン部位を分子内に2つ有するアミン化合物を使用し、ホルムアルデヒド源として、建浴時にも、補給液Bにもホルマリンを使用した。更に、補給液Bには、安定剤として亜硫酸ナトリウムを加えた。
この場合、総加熱170時間過ぎまで浴分解は発生しなかったものの、加熱保持によりめっき速度が低下し、独立部と導通部の膜厚差が増大した。
比較例12では、2級アミン部位を分子内に2つ有する、比較例8〜11とは別のアミン化合物を使用し、ホルムアルデヒド源として、建浴時にも、補給液Bにもホルマリンを使用した。
総加熱24時間でめっき速度が低下し、総加熱60時間過ぎで浴が分解した。
比較例13では、2級アミン部位を分子内に3つ有するアミン化合物を使用し、ホルムアルデヒド源として、建浴時にも、補給液Bにもホルマリンを使用した。
反応生成物の影響により8時間で速度低下が低下し、16時間過ぎに浴が分解した。
比較例14では、2級アミン部位を分子内に4つ有するアミン化合物を使用し、ホルムアルデヒド源として、建浴時にも、補給液Bにもホルマリンを使用した。
めっき速度が遅く、総加熱4時間で分解した。
比較例15では、2級アミン部位が分子内に1つであるが、2級アミン部位の両端に電子吸引性基を持つアミン化合物を使用した。
めっき速度が遅く、総加熱6時間で分解した。
Figure 0006619563
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本発明によれば、従来技術より置換−還元型無電解金めっき液の総加熱時間寿命が長くなるため、プロセスウィンドウが広くなり、また、めっき液の更新頻度を少なくすることができることから、電気電子部品製造等の分野で広く利用されるものである。

Claims (7)

  1. (a)シアン化金塩と(b)錯化剤を含有し、(c)アルデヒド化合物及び(d)アミン化合物を含有する無電解金めっき液であって、
    該(d)アミン化合物が、N−エチルエチレンジアミン、N−ブチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、2−(メチルアミノ)エタノール、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−[(3−アミノプロピル)アミノ]エタノール、ビス(2−アミノエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、ジイソプロパノールアミン及びビス(2−メトキシエチル)アミンからなる群より選ばれた1種以上の化合物であり、
    (c)アルデヒド化合物と、(d)アミン化合物のモル比率が、(c):(d)=1:0.1〜1:20であることを特徴とする無電解金めっき液
  2. 上記(a)シアン化金塩が、シアン化金ナトリウム、シアン化金カリウム、シアン化金アンモニウム、シアン化第二金ナトリウム、シアン化第二金カリウム及びシアン化第二金アンモニウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物である請求項1に記載の無電解金めっき液。
  3. 上記(b)錯化剤が、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム及びシアン酸アンモニウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物である請求項1又は請求項2に記載の無電解金めっき液。
  4. 上記(c)アルデヒド化合物がホルムアルデヒドである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の無電解金めっき液。
  5. 請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の無電解金めっき液を加熱保持する際に添加するための補給液であって、(c')アルデヒド化合物と(d')アミン化合物を含有し、
    該(d’)アミン化合物が、N−エチルエチレンジアミン、N−ブチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、2−(メチルアミノ)エタノール、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−[(3−アミノプロピル)アミノ]エタノール、ビス(2−アミノエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、ジイソプロパノールアミン及びビス(2−メトキシエチル)アミンからなる群より選ばれた1種以上の化合物であり、
    (c’)アルデヒド化合物と、(d’)アミン化合物のモル比率が、(c’):(d’)=1:0.1〜1:10であることを特徴とする補給液
  6. 銅若しくは銅合金、ニッケル若しくはニッケル合金、パラジウム若しくはパラジウム合金、銀若しくは銀合金、又は、金若しくは金合金である金属上に、請求項1ないし請求項の何れかの請求項に記載の無電解金めっき液を使用して金皮膜を形成する金皮膜の製造方法であって、錯化剤を含有する補給液と、請求項に記載の補給液を、別々に補給しながら金皮膜を形成することを特徴とする金皮膜の製造方法。
  7. 上記錯化剤が、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム及びシアン酸アンモニウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物である請求項6に記載の金皮膜の製造方法。
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