JP2006265616A - 鉛フリーのスズ合金電気メッキ方法、及び当該方法で用いる陽極の溶解電流抑制用のメッキ浴 - Google Patents

鉛フリーのスズ合金電気メッキ方法、及び当該方法で用いる陽極の溶解電流抑制用のメッキ浴 Download PDF

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Abstract

【課題】 スズとスズより貴な金属(銀、ビスマス、銅など)との合金の電気メッキに際して、電析中にスズ(合金)陽極での貴な金属の置換析出を円滑に防止する。
【解決手段】 スズ合金電気メッキ浴に、グルタミン酸−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれた溶解電流抑制剤の少なくとも一種を添加して、陽極の溶解電流を抑制し、電析中に貴な金属の陽極への置換析出を防止可能にしたスズ合金電気メッキ方法である。当該抑制剤の添加で溶解電流を抑制するため、陽極電流密度を従来より低くしても、陽極の電位を貴な金属の自然電極電位より貴に変移させ、もって貴な金属の陽極への置換析出を有効に防止できる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、鉛フリーのスズ合金電気メッキ方法並びに当該メッキ浴に関して、溶解電流抑制剤の添加により、スズ(合金)陽極の溶解電流を抑制して、スズより貴な金属(銀、ビスマス、銅など)が電析中に陽極に置換析出することを防止できるものを提供する。
スズ又はスズ合金メッキはハンダ付け性に優れることから、電子部品や自動車部品などの工業メッキ分野に汎用されているが、環境保全や安全性の見地からスズ−鉛合金メッキは規制の対象になり、また、スズメッキはホイスカー発生の問題がある。
スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、或はスズ−銅合金などの、スズとスズより貴な金属との合金メッキは、鉛を含まないスズ合金メッキの有力候補である。
このような鉛フリーのスズ合金メッキ浴又はメッキ方法には、下記のものが知られている。
(1)特許文献1
スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、スズ−銅合金を含むスズ合金メッキ浴に、アスパラギン酸誘導体、グルタミン酸誘導体などのモノアミン型化合物を含有することが開示されている(請求項1〜2、段落8、17参照)。
また、同文献1の実施例3にはスルホエチルグルタミン酸二酢酸を含有するスズ−銀合金メッキ浴(段落104参照)、実施例7にはグルタミン酸二酢酸塩を含有するスズ−銅合金メッキ浴(段落108参照)、実施例14と16にはスルホエチルグルタミン酸を含有するスズ−銅合金メッキ浴(段落115と段落117参照)が夫々記載されている。
(2)特許文献2
20〜2000ppmの周期律表の第4〜6周期のIB〜VB族元素を必須成分として含有するスズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、スズ−銅合金を含むスズ合金メッキ浴に、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの脂肪族アミノカルボン酸を含有することが開示されている(請求項16、段落13参照)。
また、同文献2の実施例9にはEDTA塩を含有するスズ−ビスマス合金メッキ浴が開示されている(段落51参照)。尚、実施例8のスズ−銀合金メッキ浴、実施例15のスズ−銅合金メッキ浴にはアミノカルボン酸は含有されていない(段落50と段落57参照)。
(3)特許文献3
陰極側の被メッキ物及びその上に形成されたスズ−ビスマス合金皮膜へのビスマスの置換析出を防止することを目的として、特定範囲の電流密度でのスズ−ビスマス合金電気メッキにおいて、給電しながら被メッキ物をメッキ浴に浸漬し、また、メッキ浴から引き上げる方法が開示されている(請求項1参照)。
(4)特許文献4
スズより電極電位が貴な金属(銅、銀、ビスマスなど)がスズ陽極上に析出するのを防止する目的で、電気メッキ槽の陽極として不溶性電極を使用し、電極槽とは別個の溶解槽でスズを陽極電解溶出させてスズを補給する方法が開示されている(請求項1〜2、段落13〜15参照)。
(5)特許文献5
スズ酸アルカリ、有機コバルト塩、オキシカルボン酸類を含有し、さらに、グリシン、グルタミン酸などのアミノカルボン酸類を所定濃度で含有可能なスズ−コバルト合金メッキ浴が開示されている(請求項1、2、6参照)。
特開2000−26991号公報 特開2003−96590号公報 特公平7−65207号公報 特開2003−105581号公報 特開平9−241885号公報
スズ又はスズ合金陽極を用いて、スズとスズより貴な金属(銀、ビスマス又は銅など)とのスズ合金の電気メッキを行うと、スズは、銀、ビスマス又は銅などよりも自然電極電位が卑で、両者の電極電位の開きは大きいため、電析中にスズ(合金)陽極上に銀、ビスマス又は銅などが置換析出してしまうという問題がある。
このような問題を解決するには、原理的に下記(1)〜(3)の方法が考えられる。
(1)先ず、貴な金属を錯化剤で錯形成し、貴な金属の自然電極電位をスズの自然電極電位より卑にすれば、通電、非通電を問わず、上記置換を防止することはできるが、銅−チオ尿素類や銅−特定のスルフィド類(特許第3433291号参照)の錯体以外では、このような錯化剤は発見されていない。
(2)次に、通電によりスズ(合金)陽極電位を貴な金属の自然電極電位より貴にすることが考えられる(ちなみに、上記特許文献4はこの原理に基づく)。
銀、ビスマス、銅の自然電極電位、並びにこれらを錯形成した場合の自然電極電位を列挙すると下記の通りである(電位は上寄りほど貴であり、下寄りほど卑である)。尚、下表では、Ag/AgCl・KCl飽和溶液を参照電極に使用して測定した。また、DTPAはジエチレントリアミンペンタ酢酸を表す。
自然電極電位
銀 +500mV
ビスマス +100mV
銅 0mV
ビスマス−DTPA錯体 −20mV
銅−メチオニン錯体 −150mV
銀−チオ尿素錯体 −300mV
スズ −400mV
一方、図4は、錯化剤などを添加しない場合のスズ陽極の分極曲線である。そこで、スズ−ビスマス合金メッキを例にとって説明すると、ビスマスの自然電極電位は上表の通り+100mVであり、この電位での陽極電流密度は約150A/dm2であるため(即ち、図4で、横軸の+100mVから真上に伸びる点線は斜めの分極曲線と交わるが、この交点から左横方向に伸びる点線は、縦軸上の約150A/dm2で交わる)、理論的には、陽極電流密度を150A/dm2より大きくして、スズの電位をビスマスの自然電極電位より貴に変移させれば、ビスマスの陽極への置換析出は防止できる。
しかしながら、例えば、陽極と陰極の面積比が1対1の下で、150A/dm2の電流密度にて鉛フリーメッキを行うことは、陰極電流密度も150A/dm2で行う必要があり、非現実的である。
ちなみに、スズ−銀合金メッキについていえば、銀の自然電極電位は+500mVであってビスマスに比べてもはるかに貴側であり、スズの電位を銀の自然電極電位より貴にできる陽極電流密度は益々非現実的な高域となるため、実際には、例えば、銀をチオ尿素で錯形成して電極電位を−300mVまで卑にすることで電気メッキを行っているが、この場合でも、置換析出を防止するためには、30A/dm2以上の陽極電流密度を必要とする(上表参照)。
(3)陽極面積と陰極面積の比率を変えることが考えられる。例えば、陽極と陰極の面積比を陽極:陰極=1:10にすれば、1A/dm2の陰極電流密度で陽極電流密度は10A/dm2に増大するが、陽極面積が小さくなると次の(a)〜(b)の弊害があるため、実際の電気メッキでは、陽極面積を陰極面積より大きくしている。
(a)陽極がすぐに溶解して無くなってしまい、管理が煩雑である。
(b)陰極との極間距離に相違が生じるため、陰極部位間の電流密度が異なってメッキ膜厚にバラツキが生じる。
このように、上記(1)〜(3)の方法は、いずれも現実性に乏しいか、制限が大きい。
一方、上記特許文献1〜2では、メッキ浴に特定種のモノアミン型化合物や脂肪族アミノカルボン酸を含有するが、電析中にスズ(合金)陽極に銀、ビスマス、銅などの金属が置換析出することを防止する能力は弱く、この点は、当該文献に記載されたアスパラギン酸二酢酸、スルホエチルグルタミン酸などの含有浴に対する後述の試験例の評価でも裏付けられる。また、上記特許文献5でも同様に、置換防止作用は期待できない。
本発明は、スズとスズより貴な金属(銀、ビスマス又は銅など)との合金の電気メッキに際して、電析中にスズ(合金)陽極での貴な金属の置換析出を円滑に防止することを技術的課題とする。
本発明者らは、スズ(合金)陽極の溶解電流を抑制して、低い陽極電流密度においてもスズ(合金)陽極の電位を銀、ビスマス、銅などの貴な金属の自然電極電位よりも貴に変移させることを着想し、上記特許文献などを参考にしながら、各種化合物によるスズの溶解電流に対する影響を鋭意研究した結果、ある特定のアミノ酸類はこの溶解電流の抑制効果が大きいことを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、可溶性第一スズ塩と、スズより貴な金属の可溶性塩と、塩酸、硫酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、有機スルホン酸、カルボン酸などの有機酸から選ばれた酸又はその塩の少なくとも一種とを含有する鉛フリーのスズ合金電気メッキ浴を用いて、スズ又はスズ合金陽極で電気メッキを行う方法において、
上記スズ合金電気メッキ浴に、グルタミン酸−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれた溶解電流抑制剤の少なくとも一種を添加して、陽極の溶解電流を抑制し、スズより貴な金属が電析中に陽極に置換析出するのを防止可能にしたことを特徴とするスズ合金電気メッキ方法である。
本発明2は、上記本発明1において、スズより貴な金属がビスマス又は銀であることを特徴とする鉛フリーのスズ合金電気メッキ方法である。
本発明3は、可溶性第一スズ塩と、可溶性銅塩と、塩酸、硫酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、有機スルホン酸、カルボン酸などの有機酸から選ばれた酸又はその塩の少なくとも一種とを含有するスズ−銅合金電気メッキ浴を用いて、スズ又はスズ−銅合金陽極で電気メッキを行う方法において、
上記スズ−銅合金電気メッキ浴に、グルタミン酸−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれた溶解電流抑制剤の少なくとも一種を添加して、陽極の溶解電流を抑制し、銅が電析中に陽極に置換析出するのを防止可能にしたことを特徴とするスズ−銅合金電気メッキ方法。
本発明4は、可溶性第一スズ塩と、スズより貴な金属の可溶性塩と、塩酸、硫酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、有機スルホン酸、カルボン酸などの有機酸から選ばれた酸又はその塩の少なくとも一種とを含有する鉛フリーのスズ合金電気メッキ浴において、
グルタミン酸−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれた溶解電流抑制剤の少なくとも一種を添加することを特徴とする陽極の溶解電流抑制用のスズ合金電気メッキ浴である。
本発明5は、上記本発明4において、スズより貴な金属が銀、ビスマス、銅よりなる群から選ばれた金属のいずれかであることを特徴とする陽極の溶解電流抑制用のスズ合金電気メッキ浴である。
本発明6は、上記本発明4又は5に記載のスズ合金電気メッキ浴を用いて、素地上に鉛フリーのスズ合金皮膜を形成した電子部品である。
スズとスズより貴な金属との(鉛フリーの)スズ合金の電気メッキ浴中に、特定のグルタミン酸の酢酸誘導体、メチルグリシンの酢酸誘導体、アスパラギン酸又はこれらの塩よりなる溶解電流抑制剤を添加することにより、スズ(合金)陽極にこれらの抑制剤が配位してスズの溶解を抑制し、陽極の溶解電流密度を低減させて(即ち、スズ陽極の分極曲線の勾配を低下させて)、陽極電位をスズより貴な金属(銀、ビスマス又は銅など)の自然電極電位より貴に変移して、電気メッキ中に貴な金属がスズ(合金)陽極に置換析出することを有効に防止するものである。
この点をスズ−ビスマス合金電気メッキに例をとって説明すると、前述の通り、ビスマスの自然電極電位は+100mVであるため、本発明の抑制剤を添加しないときのスズ陽極分極曲線(図4の−◆−で示す無添加対応の分極曲線参照)では、陽極電流密度を約150A/dm2以上にしないとスズ陽極の電位はビスマスより高くならないが、本発明の抑制剤を添加したときのスズ陽極分極曲線(図1の−●−、−■−又は−▲−で示す抑制剤添加対応の分極曲線参照)は、無添加の分極曲線より勾配が大きく低下するため、当該抑制剤を使用した電気メッキでは、僅かに13〜16A/dm2以上の陽極電流密度域で、スズ陽極電位はビスマスの電位(+100mV)より貴になり、電析中にビスマスが陽極に置換析出することを防止できる。例えば、グルタミン酸の二酢酸誘導体(GLDAと略す:図1の−●−に対応)を添加した場合には、約12.3A/dm2以上の陽極電流密度でスズ陽極の電位をビスマスの電位より貴にできるのである。
本発明は、第一に、スズ(合金)を陽極とする、スズとスズより貴な金属(銀、ビスマス又は銅など)との合金の電気メッキに際して、グルタミン酸の酢酸誘導体、メチルグリシンの酢酸誘導体、アスパラギン酸又はこれらの塩よりなる特定のアミノ酸類を溶解電流抑制剤としてメッキ浴に添加することで、陽極の溶解電流を抑制して、電析中に貴な金属が陽極に置換析出することを防止可能にするスズ合金電気メッキ方法であり、第二に、当該方法に用いる陽極の溶解電流抑制用のスズ合金メッキ浴であり、第三に、当該スズ合金メッキ浴を用いて素地上にスズ合金皮膜を形成した電子部品である。
本発明のスズ合金は鉛フリーの合金であり、スズより貴な金属に鉛は含まれない。また、本発明ではスズ又はスズ合金陽極を使用し(例えば、スズ−銅合金メッキ方法では、スズ又はスズ−銅合金陽極を使用し)、不溶性陽極は排除される。
本発明のスズ合金電気メッキ浴は、上述の通り、可溶性第一スズ塩と、スズより貴な金属の可溶性塩と、ベース酸とを基本組成とする。
上記可溶性第一スズ塩は、浴中でSn2+を生成する可溶性の塩類であれば任意のものが使用でき、特段の制限はない。
上記可溶性第一スズ塩としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸の第一スズ塩を初め、ホウフッ化第一スズ、スルホコハク酸第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズなどが挙げられる。
また、スズより貴な金属としては、銀、ビスマス、銅、ルテニウム、金、白金、パラジウムなどが挙げられ、銀、ビスマス、銅が好ましい(本発明2〜3参照)。
これらの可溶性塩を順次説明すると、例えば、可溶性銀塩は、浴中でAg+を生成する可溶性の塩類であれば任意のものが使用でき、特段の制約はなく、難溶性塩も排除されない。
可溶性銀塩としては、硫酸銀、亜硫酸銀、炭酸銀、スルホコハク酸銀、硝酸銀、有機スルホン酸銀、ホウフッ化銀、クエン酸銀、酒石酸銀、グルコン酸銀、スルファミン酸銀、シュウ酸銀、酸化銀などの可溶性塩、塩化銀などの難溶性塩が挙げられる。
可溶性ビスマス塩としては、有機スルホン酸のビスマス塩、スルホコハク酸のビスマス塩、硫酸ビスマス、酸化ビスマス、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、臭化ビスマスなどが挙げられる。
可溶性銅塩としては、有機スルホン酸の銅塩、硫酸銅、塩化銅、酸化銅、炭酸銅、酢酸銅、ピロリン酸銅、シュウ酸銅などが挙げられる。
その他のスズより貴な金属の可溶性塩も、同様に、硫酸塩、ハロゲン化物、酸化物、酢酸塩、有機スルホン酸塩などが使用できる。
上記可溶性金属塩は夫々単用又は併用でき、メッキ浴に対する可溶性第一スズ塩と当該スズより貴な金属の可溶性塩の浴中の総濃度は、金属塩換算で0.05〜300g/L、好ましくは10〜180g/Lである。また、スズとその他の金属の混合割合は、所望するスズ合金メッキ皮膜の組成比に応じて適宜決定される。
上記ベース酸は、無機酸、有機酸又はその塩から選ばれる。
有機酸としては、排水処理が比較的容易なアルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、芳香族スルホン酸等の有機スルホン酸、或は、脂肪族カルボン酸などが好ましい。
無機酸としては、ホウフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、スルファミン酸、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等が挙げられる。
これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられる。
上記の酸(又は塩)は単用又は併用でき、その含有量は0.1〜300g/Lであり、好ましくは20〜180g/Lである。
上記アルカンスルホン酸としては、化学式CnH2n+1SO3H(例えば、n=1〜5、好ましくは1〜3)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などの外、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸などが挙げられる。
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式CmH2m+1-CH(OH)-CpH2p-SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシデカン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシドデカン―1―スルホン酸などが挙げられる。
上記芳香族スルホン酸は、基本的にはベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸などであって、具体的には、1−ナフタレンスルホン酸、2―ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、p―フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、スルホサリチル酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、ジフェニルアミン―4―スルホン酸などが挙げられる。
上記脂肪族カルボン酸としては、一般に、炭素数1〜6のカルボン酸が使用できる。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、スルホコハク酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。
本発明は、鉛フリーのスズ合金電気メッキ浴に特定のアミノ酸類よりなる溶解電流抑制剤を含有させて、スズ(合金)陽極の溶解電流を抑制することで、陽極に貴な金属(銀、ビスマス又は銅など)が置換析出することを防止可能にする点に特徴がある。
本発明の溶解電流抑制剤は、グルタミン酸−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれた少なくとも一種である。
上記グルタミン酸誘導体、メチルグリシン誘導体、或はアスキパラギン酸の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルキルスルホン酸塩などである。
本発明の溶解電流抑制剤はその機能において選択的なものであり、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、シスチン、フェニルアラニンなどの異種のアミノ酸は陽極の溶解電流を抑制する機能がないか、ほとんどなく、また、グルタミン酸やメチルグリシン(即ち、アラニン)のようなアミノ酸(即ち、誘導体ではないアミノ酸自体)、或はアスパラギン酸の誘導体(酢酸誘導体等)なども、同様に、溶解電流抑制機能がないか、きわめて低い(後述の試験例参照)。
上記溶解電流抑制剤は単用又は併用でき、メッキ浴に対する含有量は0.005〜10モル/Lが好ましく、より好ましくは0.05〜2モル/Lである。当該抑制剤が適正範囲より少ないと、溶解電流の抑制効果が低下し、多過ぎても効果にあまり差異がなく、コストの無駄である。
本発明のスズ合金電気メッキ方法においては、上記特定のアミノ酸類の添加により、陽極の溶解電流を抑制できるため、陽極電流密度を従来の無添加の場合より低くしても、スズ陽極の電位を貴な金属(銀、ビスマス又は銅など)の自然電極電位より貴に変移でき、もって貴な金属の陽極への置換析出を有効に防止できる。
この場合、前述したように、錯化剤を用いて貴な金属(銀、ビスマス又は銅など)を錯形成すると、当該金属錯体の自然電極電位は金属自体のそれより卑になる(例えば、銀の電位は+500mV(錯形成せず)→−300mV(錯体)の通り、卑に変移する)ため、貴な金属用の錯化剤をメッキ浴に添加すると、無添加の場合より陽極電流密度をさらに効果的に低下させることができる。ちなみに、本発明では、銀の自然電極電位はビスマスと比較してはるかに貴側に位置しているので、錯化剤を使用することが現実的であるが、ビスマスや銅では、当該錯化剤の使用の有無は問わない。
貴な金属に対する錯化剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸などのアミノカルボン酸類、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸などのオキシカルボン酸類、メチオニン、システイン、アセチルシステインなどのアミノ酸類、チオ尿素類、チオジグリコール、チオジグリコール酸などのスルフィド類、メルカプトコハク酸、チオグリコール、チオグリコール酸などのメルカプタン類などが挙げられる。
また、前述したように、陽極面積を陰極面積より小さくすると、等比率の場合とは異なり陰極電流密度に比べて陽極電流密度を増大できるため、本発明のスズ合金電気メッキに際しては、前述の弊害(a)〜(b)が生じない範囲で陽極面積を陰極面積より適度に減少させることができる。
本発明のスズ合金電気メッキ方法においては、メッキ浴に、上述の成分以外に、目的に応じて公知の界面活性剤、平滑剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤、緩衝剤、防腐剤などの各種添加剤を含有できることはいうまでもない。
上記界面活性剤は、析出する銀皮膜の緻密性、平滑性、密着性などの補助的改善を目的として含有され、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、或はアニオン系界面活性剤を単用又は併用できる(本発明4参照)。
その添加量は0.01〜100g/L、好ましくは0.1〜50g/Lである。
当該ノニオン系界面活性剤の具体例としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、(ポリ)C1〜C25アルキルフェノール、(ポリ)アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミン、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものや、C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)などが挙げられる。
上記エチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を付加縮合させるC1〜C20アルカノールとしては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、エイコサノール、オレイルアルコール、ドコサノールなどが挙げられる。同じく上記ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールFなどが挙げられる。上記(ポリ)C1〜C25アルキルフェノールとしては、モノ、ジ、若しくはトリアルキル置換フェノール、例えば、p−メチルフェノール、p−ブチルフェノール、p−イソオクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ヘキシルフェノール、2,4−ジブチルフェノール、2,4,6−トリブチルフェノール、ジノニルフェノール、p−ドデシルフェノール、p−ラウリルフェノール、p−ステアリルフェノールなどが挙げられる。上記アリールアルキルフェノールとしては、2−フェニルイソプロピルフェノール、クミルフェノール、(モノ、ジ又はトリ)スチレン化フェノール、(モノ、ジ又はトリ)ベンジルフェノールなどが挙げられる。上記C1〜C25アルキルナフトールのアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられ、ナフタレン核の任意の位置にあって良い。上記ポリアルキレングリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・コポリマーなどが挙げられる。
上記C1〜C25アルコキシル化リン酸(塩)は、下記の一般式(a)で表されるものである。
Ra・Rb・(MO)P=O …(a)
(式(a)中、Ra及びRbは同一又は異なるC1〜C25アルキル、但し、一方がHであっても良い。MはH又はアルカリ金属を示す。)
上記ソルビタンエステルとしては、モノ、ジ又はトリエステル化した1,4−、1,5−又は3,6−ソルビタン、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタン混合脂肪酸エステルなどが挙げられる。上記C1〜C22脂肪族アミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの飽和及び不飽和脂肪酸アミンなどが挙げられる。上記C1〜C22脂肪族アミドとしては、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸などのアミドが挙げられる。
更に、上記ノニオン系界面活性剤としては、
1N(R2)2→O
(上式中、R1はC5〜C25アルキル又はRCONHR3(R3はC1〜C5アルキレンを示す)、R2は同一又は異なるC1〜C5アルキルを示す。)などで示されるアミンオキシドを用いることができる。
上記カチオン系界面活性剤としては、下記の一般式(b)で表される第4級アンモニウム塩
(R1・R2・R3・R4N)+・X- …(b)
(式(b)中、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なるC1〜C20アルキル、アリール又はベンジルを示す。)或は、下記の一般式(c)で表されるピリジニウム塩などが挙げられる。
6−(C54N−R5)+・X- …(c)
(式(c)中、C54Nはピリジン環、Xはハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C5アルカンスルホン酸又は硫酸、R5はC1〜C20アルキル、R6はH又はC1〜C10アルキルを示す。)
塩の形態のカチオン系界面活性剤の例としては、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルベンジルラウリルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩、ジメチルジフェニルアンモニウム塩、ベンジルジメチルフェニルアンモニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、ラウリルピリジニウム塩、ドデシルピリジニウム塩、ステアリルアミンアセテート、ラウリルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテートなどが挙げられる。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、{(モノ、ジ、トリ)アルキル}ナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO5)ノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO15)ドデシルエーテル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレン(EO15)ノニルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、{(モノ、ジ、トリ)アルキル}ナフタレンスルホン酸塩としては、ナフタレンスルホン酸塩、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。また、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化、或はスルホン酸化付加物も使用できる。
代表的なカルボキシベタイン、或はイミダゾリンベタインは、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−ウンデシル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−オクチル−1−カルボキシメチル−1−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられ、硫酸化及びスルホン酸化付加物としてはエトキシル化アルキルアミンの硫酸付加物、スルホン酸化ラウリル酸誘導体ナトリウム塩などが挙げられる。
上記スルホベタインとしては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、N−パルミトイルメチルタウリンナトリウムなどが挙げられる。アミノカルボン酸としては、ジオクチルアミノエチルグリシン、N−ラウリルアミノプロピオン酸、オクチルジ(アミノエチル)グリシンナトリウム塩などが挙げられる。
上記平滑剤、光沢剤、半光沢剤としては、β−ナフトール、β−ナフトール−6−スルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、ベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、(o−、p−)メトキシベンズアルデヒド、バニリン、(2,4−、2,6−)ジクロロベンズアルデヒド、(o−、p−)クロロベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2(4)−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2(4)−クロロ−1−ナフトアルデヒド、2(3)−チオフェンカルボキシアルデヒド、2(3)−フルアルデヒド、3−インドールカルボキシアルデヒド、サリチルアルデヒド、o−フタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−バレルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリオキサール、アルドール、スクシンジアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、1−ベンジリデン−7−ヘプタナール、2,4−ヘキサジエナール、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、アミン−アルデヒド縮合物、酸化メシチル、イソホロン、ジアセチル、ヘキサンジオン−3,4、アセチルアセトン、ベンジリデンアセトン、3−クロロベンジリデンアセトン、sub.ピリジリデンアセトン、sub.フルフリジンアセトン、sub.テニリデンアセトン、4−(1−ナフチル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−フリル)−3−ブテン−2−オン、4−(2−チオフェニル)−3−ブテン−2−オン、クルクミン、ベンジリデンアセチルアセトン、ベンザルアセトン、アセトフェノン、(2,4−、3,4−)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、2−シンナミルチオフェン、2−(ω−ベンゾイル)ビニルフラン、ビニルフェニルケトン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、プロピレン−1,3−ジカルボン酸、ケイ皮酸、(o−、m−、p−)トルイジン、(o−、p−)アミノアニリン、アニリン、(o−、p−)クロロアニリン、(2,5−、3,4−)クロロメチルアニリン、N−モノメチルアニリン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N−フェニル−(α−、β−)ナフチルアミン、メチルベンズトリアゾール、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−ベンズトリアジン、イミダゾール、2−ビニルピリジン、インドール、キノリン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、モノエタノールアミンとo−バニリンの反応物、ポリビニルアルコール、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
また、ゼラチン、ポリペプトン、N−(3−ヒドロキシブチリデン)−p−スルファニル酸、N−ブチリデンスルファニル酸、N−シンナモイリデンスルファニル酸、2,4−ジアミノ−6−(2′−メチルイミダゾリル(1′))エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−エチル−4−メチルイミダゾリル(1′))エチル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル−1,3,5−トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール類も平滑剤として有効である。
上記ベンゾチアゾール類としては、ベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(メチルメルカプト)ベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メトキシベンゾチアゾール、2-メチル-5-クロロベンゾチアゾール、2-ヒドロキシベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-ヒドロキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-ベンゾチアゾールチオ酢酸などが挙げられる。
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられる。
上記緩衝剤としては、ホウ酸類、ホスフィン酸やホスホン酸、リン酸、トリポリリン酸などのリン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類など塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
上記防腐剤としては、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。
上記消泡剤としては、プルロニック界面活性剤、高級脂肪族アルコール、アセチレンアルコール及びそれらのポリアルコキシレートなどが挙げられる。
本発明4は、本発明1〜3の電気メッキ方法に用いる、陽極の溶解電流抑制用のスズ合金電気メッキ浴である。
当該スズ合金電気メッキ浴においては、スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、スズ−銅合金の各電気メッキ浴が好ましい(本発明5参照)。
本発明6は、電子部品に本発明のスズ合金電気メッキ方法を適用したものである。即ち、本発明4又は5のスズ合金電気メッキ浴を用いて鉛フリーのスズ合金皮膜を形成した電子部品であり、好ましい電子部品としては、プリント回路板、半導体集積回路、抵抗、可変抵抗、コンデンサー、フィルター、インダクター、サーミスター、水晶振動子、スイッチ、リード線などが挙げられる。
以下、本発明の溶解電流抑制剤の添加の有無によるスズ陽極分極曲線の評価試験例、当該抑制剤を含有する本発明のスズ合金電気メッキ浴の実施例、並びに、本発明のスズ合金電気メッキ方法を実施した際の陽極での貴な金属の置換析出防止度合の評価試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
メタンスルホン酸水溶液中で、スズ陽極の分極曲線(無添加に対応)を作成し、次いで、本発明の溶解電流抑制剤、冒述の特許文献に開示された公知の化合物又は当該抑制剤に類似するアミノ酸類を添加した場合のスズ陽極分極曲線を作成して、当該抑制剤を添加した場合、公知の化合物を添加した場合、又は無添加の場合を対比評価した。
《スズ陽極分極曲線の評価試験例》
(1)比較添加例1(ブランク例)
先ず、1モル/Lのメタンスルホン酸水溶液中で、参照電極としてAg/AgCl・KCl飽和溶液を使用して、スズ陽極の分極曲線を作成した。
図4は本発明の抑制剤を添加しない場合(即ち、ブランク例)の分極曲線である。
(2)本発明の抑制剤の添加例1
次いで、0.2モル/Lのグルタミン酸−N,N−二酢酸四ナトリウム、メチルグリシン−N,N−二酢酸三ナトリウム及びアスパラギン酸を夫々1モル/Lのメタンスルホン酸水溶液中に添加し、上記ブランク例と同様に処理して、スズ陽極の分極曲線を作成した。 図1はその結果を示す。
(3)本発明の抑制剤の添加例2
また、上記添加例1を基本としながら、抑制剤の含有量を0.2モル/Lから0.4モル/Lに増量する以外は、上記添加例1と同様に処理してスズ陽極の分極曲線を作成した。 図2はその結果を示す。
(4)比較添加例2(文献公知の化合物又は本発明の抑制剤に類似するアミノ酸類を添加した比較例)
本発明の抑制剤との対比評価を行うため、冒述の特許文献1〜2に開示された化合物(ジエチレントリアミンペンタ酢酸塩、スルホエチルグルタミン酸二酢酸)、並びに、本発明の抑制剤に近似したアミノ酸類(グルタミン酸、メチルグリシン、アスパラギン酸誘導体)を添加した場合の陽極分極曲線を調べた。
即ち、0.4モル/Lのジエチレントリアミンペンタ酢酸五ナトリウム塩(DTPA)、グルタミン酸、メチルグリシン、アスパラギン酸二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)及びスルホエチルグルタミン酸二酢酸(SEDL)を夫々添加した系について、上記添加例2と同様に処理して、スズ陽極の分極曲線を作成した。
図3はその結果を示す。
そこで、本発明の溶解電流抑制剤を添加した場合、文献公知の化合物や当該抑制剤に類似のアミノ酸類を添加した場合、或は無添加の場合を、図1〜図5を用いて以下に対比評価する。
無添加の比較添加例1(図4参照)に比べて、本発明の溶解電流抑制剤を添加した添加例1では、分極曲線の勾配が大きく低下していることが判る(図1参照)。上記比較添加例1(無添加のブランク例:図4の−◆−に対応)では、ビスマスの自然電極電位(+100mV)より陽極の電位を高くするには、陽極電流密度を約150A/dm2以上にする必要があるが、添加例1では、グルタミン酸の二酢酸誘導体(GLDAと略す:図1の−●−に対応)を使用すると約12.3A/dm2以上で、また、メチルグリシンの二酢酸誘導体(MGDAと略す:図1の−■−に対応)では約13.5A/dm2以上で、さらに、アスパラギン酸(ASPと略す:図1の−▲−に対応)では約15.5A/dm2以上で夫々、スズ陽極の電位がビスマスの電位より貴になることが確認できた。当然ながら、銀や銅についても同様であった。
即ち、陽極分極曲線の勾配の劇的な低下によって裏付けられる通り(図5の統合図参照)、本発明の抑制剤を添加すると、無添加の場合に比して陽極の溶解電流を顕著に抑制することができるのである。
また、添加例2(図2参照)に見るように、抑制剤を0.2M(M=モル/L)から0.4Mに増量すると、分極曲線の勾配がさらに低下することが確認できる。
ビスマスを例にとれば、GLDAを使用すると陽極電流密度が約10A/dm2以上で、また、MGDAでは約12.5A/dm2以上で、さらに、ASPでは約14.7A/dm2以上で夫々、陽極電位がビスマスの電位より貴になることが判る(共に、図2参照)。例えば、GLDAを添加した場合、0.2Mでは、約12.3A/dm2以上でないと陽極電位はビスマスの電位より貴にならないが(図1参照)、0.4Mでは上述の通り、約10A/dm2以上で貴になる(図2参照)。
これにより、スズ陽極の電位を貴な金属(銀、ビスマス又は銅)の電位より貴にできる陽極電流密度は、本発明の抑制剤の濃度の増大に伴って、さらに低くて良いことが確認できた。即ち、溶解電流抑制剤の濃度が増すと、溶解電流の抑制作用も増大することが推定できる。
一方、文献公知の化合物、又は本発明の抑制剤に類似のアミノ酸類を添加した対比添加例2を見ると(図3参照)、例えば、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)を添加しても、陽極分極曲線の勾配は無添加の場合とほとんど変わらず(図5の統合図参照)、溶解電流の抑制作用は見受けられなかった。また、スルホエチルグルタミン酸二酢酸(SEDL)の添加例では、陽極分極曲線の勾配は無添加に比べて若干低下はするが(図5の統合図参照)、ビスマスを例にとって説明すれば、このSEDLを添加する場合でも、約130A/dm2以上の陽極電流密度でないとスズ陽極の電位はビスマスの電位(+100mV)より貴にならず、無添加の場合(約150A/dm2以上)に比べても、いまだ非現実的な電流密度の高さである。
さらに、グルタミン酸、メチルグリシン又はアスパラギン酸の二酢酸誘導体(ASDA)を添加した場合にも、上記DTPAとSEDLとの中間的な結果しか示さなかった。
即ち、この比較添加例2(図3参照)の場合には、陽極分極曲線の勾配は無添加の場合とほとんど変わらないか、ごく小さな低下しか見られず、同じ濃度(0.4M)で添加した本発明の抑制剤の添加例2(図2参照)と対比すると、本発明の抑制剤は、陽極分極曲線の勾配の劇的な低下に裏付けられる通り(図5の統合図参照)、陽極の溶解電流抑制効果の点でこれらの公知化合物や当該抑制剤の類似アミノ酸類に対して顕著な優位性を具備することは明らかである。
そこで、溶解電流抑制機能が確認された本発明の抑制剤を含有するスズ合金電気メッキ浴の実施例、並びに当該抑制剤を含有しない同メッキ浴の比較例を以下に示す。
《スズ合金電気メッキ浴の実施例》
下記の実施例1〜8のうち、実施例1〜2、5はスズ−銀合金電気メッキ浴の例、実施例3、6、8はスズ−ビスマス合金電気メッキ浴の例、実施例4、7はスズ−銅合金電気メッキ浴の例である。また、実施例1と8は溶解電流抑制剤にグルタミン酸の酢酸誘導体(塩)を使用した例、実施例2、4、7はメチルグリシンの酢酸誘導体(塩)の使用例、実施例3、5、6はアスパラギン酸(塩)の使用例である。
一方、比較例1〜3のうち、比較例1は上記抑制剤を含有しないスズ−銀合金電気メッキ浴のブランク例、同様に、比較例2はスズ−ビスマス合金電気メッキ浴のブランク例、比較例3はスズ−銅合金電気メッキ浴のブランク例である。
(1)実施例1
下記の組成でスズ−銀合金電気メッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 1g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 100g/L
チオ尿素 5g/L
グルタミン酸−N,N−二酢酸四ナトリウム(0.4モル) 140g/L
1−メチル−2−ナフトールポリエトキシレート(EO18モル) 7g/L
カテコール 1g/L
(2)実施例2
下記の組成でスズ−銀合金電気メッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 1g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 100g/L
チオ尿素 5g/L
メチルグリシン−N,N−二酢酸三ナトリウム(0.4モル) 110g/L
1−メチル−2−ナフトールポリエトキシレート(EO18モル) 7g/L
カテコール 1g/L
(3)実施例3
下記の組成でスズ−ビスマス合金電気メッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
アスパラギン酸(0.4モル) 53g/L
ジエチレントリアミンペンタ酢酸 17g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO22モル) 10g/L
ハイドロキノン 0.7g/L
(4)実施例4
下記の組成でスズ−銅合金電気メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
メタンスルホン酸銅(Cu2+として) 1.5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 100g/L
メチルグリシン−N,N−二酢酸三ナトリウム(0.4モル) 110g/L
ノニルフェノールポリエトキシレート(EO23モル)
−ポリプロポキシレート(PO3モル) 10g/L
2−メルカプトベンゾチアゾール 0.5g/L
(5)実施例5
下記の組成でスズ−銀合金電気メッキ浴を建浴した。
エタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 25g/L
エタンスルホン酸銀(Ag+として) 0.6g/L
エタンスルホン酸(遊離酸として) 80g/L
チオ尿素 3g/L
アスパラギン酸(0.2モル) 27g/L
ビスフェノールFポリエトキシレート(EO19モル) 3g/L
ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド 0.3g/L
ハイドロキノンスルホン酸ナトリウム 0.5g/L
(6)実施例6
下記の組成でスズ−ビスマス合金電気メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 2g/L
2−ヒドロキシエタンスルホン酸(遊離酸として) 110g/L
スルホコハク酸 20g/L
アスパラギン酸ナトリウム(0.2モル) 31g/L
プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 0.5g/L
オクチルフェノールポリプロポキシレート(PO5モル)
−ポリエトキシレート(EO15モル) 8g/L
ドデシルジアミノエチルグリシンナトリウム 1g/L
4−カルボキシベンゾトリアゾール 0.01g/L
(7)実施例7
下記の組成でスズ−銅合金電気メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
硫酸銅(Cu2+として) 1g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 100g/L
メチルグリシン−N,N−二酢酸(0.2モル) 41g/L
メチオニン 25g/L
1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン 1g/L
ポリオキシエチレン(EO26モル)
−ポリオキシプロピレン(PO30モル)ブロックコポリマー 3g/L
ドデシルアミンポリエトキシレート(EO18モル) 5g/L
2−メルカプトベンゾチアゾール 0.1g/L
カテコールスルホン酸 0.8g/L
(8)実施例8
下記の組成でスズ−ビスマス合金電気メッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
グルタミン酸−N,N−二酢酸四ナトリウム(0.2モル) 70g/L
ジエチレントリアミンペンタ酢酸 17g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO22モル) 10g/L
ハイドロキノン 0.7g/L
(9)比較例1
下記の組成でスズ−銀合金電気メッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 40g/L
メタンスルホン酸銀(Ag+として) 1g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 100g/L
チオ尿素 5g/L
1−メチル−2−ナフトールポリエトキシレート(EO18モル) 7g/L
カテコール 1g/L
(10)比較例2
下記の組成でスズ−ビスマス合金電気メッキ浴を建浴した。
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 60g/L
メタンスルホン酸ビスマス(Bi3+として) 3g/L
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(遊離酸として) 150g/L
ジエチレントリアミンペンタ酢酸 17g/L
トリスチレン化フェノールポリエトキシレート(EO22モル) 10g/L
ハイドロキノン 0.7g/L
(11)比較例3
下記の組成でスズ−銅合金電気メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 20g/L
メタンスルホン酸銅(Cu2+として) 1.5g/L
メタンスルホン酸(遊離酸として) 100g/L
ノニルフェノールポリエトキシレート(EO23モル)
−ポリプロポキシレート(PO3モル) 10g/L
2−メルカプトベンゾチアゾール 0.5g/L
《スズ合金電気メッキ方法を実施した際の陽極での置換析出防止の評価試験例》
そこで、上記実施例1〜8及び比較例1〜3の各スズ合金電気メッキ浴を用いて、次の条件で電気メッキを行って、電析後のスズ陽極の外観を目視観察して、陽極での銀、ビスマス又は銅の置換析出の防止度合を下記の基準で評価した。
[電気メッキ条件]
陽極:スズ
陰極:銅
陰極電流密度:20A/dm2
陽極面積/陰極面積=1/1
浴温:35℃
電解時間:100分
評価基準は次の通りである。
○:陽極の変色は認められず、スズ金属光沢を保持していた。
×:陽極が変色し、スズ金属光沢は顕著に失われていた。
下表はその試験結果である。
陽極外観 陽極外観
実施例1 ○ 比較例1 ×
実施例2 ○ 比較例2 ×
実施例3 ○ 比較例3 ×
実施例4 ○
実施例5 ○
実施例6 ○
実施例7 ○
実施例8 ○
上表によると、比較例1〜2ではスズ陽極が黒灰色ないし黒色になってしまい、銀又はビスマスが陽極に明らかに置換析出していた。また、比較例3ではスズ陽極が赤銅色に変色し、銅の置換析出が明らかに確認できた。これに対して、実施例1〜8では、共に陽極の変色は全く認められず、陽極はスズの美麗な金属光沢を保持しており、陽極への銀、ビスマス又は銅の置換析出を有効に防止できたことが確認できた。
一方、前述の分極曲線の試験例では、本発明の抑制剤を添加すると、スズ陽極の溶解電流を抑制して陽極分極曲線の勾配を低下させ、無添加の場合に比して低い陽極電流密度でスズ陽極の電位を貴な金属(銀、ビスマス又は銅)の自然電極電位より貴に変移できることが確認できた。
上表は、この抑制剤による溶解電流抑制効果の実効性を裏付けるもので、高速メッキで通常使用される陰極電流密度(20A/dm2)、陽極面積:陰極面積=1:1にて実際に電気メッキを行った場合、電析中のスズ陽極への銀、ビスマス又は銅の置換析出を確実に防止できることが明らかになった。
本発明の溶解電流抑制剤を添加した場合(添加量は0.2モル/L:添加例1(前述の段落47参照)に対応)のスズ陽極の分極曲線図である。 本発明の溶解電流抑制剤を添加した場合(添加量は0.4モル/L:添加例2(段落48参照)に対応)のスズ陽極の分極曲線図である。 公知の化合物、又は本発明の抑制剤に類似するアミノ酸類を添加した場合(添加量は0.4モル/L:比較添加例2(段落49参照)に対応)のスズ陽極の分極曲線図である。 本発明の溶解電流抑制剤を添加しない場合(比較添加例1(段落46参照)に対応)のスズ陽極の分極曲線図である。 本発明の溶解電流抑制剤を添加した場合、公知の化合物などを添加した場合、及び無添加の場合のスズ陽極の分極曲線図を総合的にまとめた統合図である。

Claims (6)

  1. 可溶性第一スズ塩と、スズより貴な金属の可溶性塩と、塩酸、硫酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、有機スルホン酸、カルボン酸などの有機酸から選ばれた酸又はその塩の少なくとも一種とを含有する鉛フリーのスズ合金電気メッキ浴を用いて、スズ又はスズ合金陽極で電気メッキを行う方法において、
    上記スズ合金電気メッキ浴に、グルタミン酸−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれた溶解電流抑制剤の少なくとも一種を添加して、陽極の溶解電流を抑制し、スズより貴な金属が電析中に陽極に置換析出するのを防止可能にしたことを特徴とするスズ合金電気メッキ方法。
  2. スズより貴な金属がビスマス又は銀であることを特徴とする請求項1に記載の鉛フリーのスズ合金電気メッキ方法。
  3. 可溶性第一スズ塩と、可溶性銅塩と、塩酸、硫酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、有機スルホン酸、カルボン酸などの有機酸から選ばれた酸又はその塩の少なくとも一種とを含有するスズ−銅合金電気メッキ浴を用いて、スズ又はスズ−銅合金陽極で電気メッキを行う方法において、
    上記スズ−銅合金電気メッキ浴に、グルタミン酸−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれた溶解電流抑制剤の少なくとも一種を添加して、陽極の溶解電流を抑制し、銅が電析中に陽極に置換析出するのを防止可能にしたことを特徴とするスズ−銅合金電気メッキ方法。
  4. 可溶性第一スズ塩と、スズより貴な金属の可溶性塩と、塩酸、硫酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸、有機スルホン酸、カルボン酸などの有機酸から選ばれた酸又はその塩の少なくとも一種とを含有する鉛フリーのスズ合金電気メッキ浴において、
    グルタミン酸−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれた溶解電流抑制剤の少なくとも一種を添加することを特徴とする陽極の溶解電流抑制用のスズ合金電気メッキ浴。
  5. スズより貴な金属が銀、ビスマス、銅よりなる群から選ばれた金属のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の陽極の溶解電流抑制用のスズ合金電気メッキ浴。
  6. 請求項4又は5に記載のスズ合金電気メッキ浴を用いて、素地上に鉛フリーのスズ合金皮膜を形成した電子部品。
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