JP2006265545A - レーザー溶着用樹脂組成物及び複合成形体 - Google Patents

レーザー溶着用樹脂組成物及び複合成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー光照射により、被接合体に対して強固に接合可能であり、かつ耐衝撃性や成形性などの各種樹脂特性に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ゴム成分を含有するビニル系重合体(A)でレーザー溶着用樹脂組成物を構成し、かつ樹脂組成物中に含まれる有機酸又はその塩の割合を10000ppm以下(特に5000ppm以下)に調整する。前記ゴム成分の重量平均粒径は、例えば、230〜3000nm程度である。前記樹脂組成物中に含まれるゴム成分の割合が3〜50重量%(特に5〜30重量%)程度である。前記有機酸又はその塩は、例えば、C6−30飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸、テルペン酸、C6−30アルキル基を有する有機スルホン酸などの有機酸又はその塩などである。前記ゴム含有ビニル系重合体(A)は、塊状重合法で得られた樹脂であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー光の照射による溶着を利用して、被接合体である樹脂成形体に接合させるためのレーザー溶着用樹脂組成物及び成形体、並びにこの成形体を用いたレーザー溶着方法及びその方法により得られた複合成形体に関する。
樹脂部材同士を接合させる方法には、接着剤や粘着剤を介して樹脂部材を接着する方法が知られているが、リサイクル性や作業工程の短縮などの点から樹脂部材同士を直接接合させる溶着による接合方法が着目されている。溶着による接合方法のうち、特にレーザー光照射を利用するレーザー溶着法は、熱板溶着法や超音波溶着法、振動溶着法に比べて、熱や振動の影響を受けにくく、樹脂成形品の形状に大きく依存することなく効率よく接合可能であるという利点があり、近年注目されている。しかし、レーザー溶着法では、樹脂成形体を溶着する場合、レーザー透過側の樹脂部材はレーザー光に対して高い透明性が要求され、通常、20%以上、少なくとも10%以上の透過率がないと、充分な溶着が得られない。
一方、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)や耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)などに代表されるゴム含有ビニル系重合体は、強度や耐衝撃性などの機械的特性、成形性、電気特性に優れ、電気や電子部品、家電やオフィスオートメーション(OA)機器、自動車部品、サニタリー製品などの幅広い用途に利用されている。しかし、ゴム含有ビニル系重合体は、レーザー光の透過性が低いため、レーザー光の透過性が高い樹脂との接合に限定される。
そこで、特開2004−262961号公報(特許文献1)には、ゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体を重合して得られるゴム強化樹脂(A1)、又はこのゴム強化樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(b)との組成物(A2)を含む熱可塑性樹脂(A)からなり、厚さ4mmの試験片として成形した時の波長808nmの光の透過率が5%以上であるレーザー溶着用成形材料が開示されている。
しかし、この材料でも溶着性及び耐衝撃性が充分でなく、ゴム強化樹脂の種類によっては、レーザー溶着によりガスが発生する。
特開2004−262961号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、レーザー光照射により、被接合体(樹脂成形体)に対して強固に接合可能であり、かつ耐衝撃性や成形性などの各種樹脂特性に優れた樹脂組成物及びその成形体、並びにこの成形体を用いたレーザー溶着方法及びその方法により得られた複合成形体を提供することにある。
本発明の他の目的は、ゴム含有ビニル系重合体を用いても、被接合体に対して強固に接合可能であり、かつ溶着におけるガスの発生を抑制できるレーザー溶着用樹脂組成物及びその成形体、並びにこの成形体を用いたレーザー溶着方法及びその方法により得られた複合成形体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、被接合体に対してレーザー溶着しても、外観や意匠性を低下させることがなく、レーザー透過性(又は透明性)と難燃性とを高いレベルで両立できるレーザー溶着用難燃性樹脂組成物、及びその成形体、並びにこの成形体を用いたレーザー溶着方法及びその方法により得られた複合成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ゴム含有ビニル系重合体を用いて、樹脂組成物中における有機酸又はその塩の割合を一定の範囲に調整すると、強固にレーザー溶着が可能であり、かつ耐衝撃性や成形性などの各種樹脂特性にも優れることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のレーザー溶着用樹脂組成物は、樹脂成形体に対して、レーザー光の照射により接合可能な樹脂組成物であって、ゴム成分を含有するビニル系重合体(A)で構成され、かつ樹脂組成物中に含まれる有機酸又はその塩の割合が10000ppm以下である。前記ゴム成分の重量平均粒径は、例えば、230〜3000nm程度である。前記樹脂組成物中に含まれるゴム成分の割合は3〜50重量%(特に5〜30重量%)程度である。前記有機酸又はその塩は、例えば、C6−30飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸、テルペン酸、C6−30アルキル基を有する有機スルホン酸などの有機酸又はその塩である。前記樹脂組成物中における有機酸又はその塩の割合は、例えば、5000ppm以下であってもよい。前記ゴム含有ビニル系重合体(A)は、塊状重合法で得られた樹脂であってもよい。また、前記ゴム含有ビニル系重合体(A)は、例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アクリル系単量体などのビニル系単量体を構成単位として含む重合体(例えば、アクリル系単量体及び/又はシアン化ビニル系単量体を構成単位として含有するゴムグラフトスチレン系樹脂(A1)など)であってもよい。前記樹脂組成物は、さらに、ゴム成分を含有しないビニル系重合体(B)(例えば、アクリル系単量体及び/又はシアン化ビニル系単量体を構成単位として含有するゴム非含有スチレン系樹脂(B1)など)を含んでいてもよい。
前記樹脂組成物は、さらに、ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1)(例えば、トリ(ハロアリール)シアヌレート)および芳香族縮合リン酸エステル(C2)から選択された少なくとも1種の難燃剤(C)を含んでいてもよい。このような難燃剤は、熱可塑性樹脂に混合しても、ほとんどレーザー透過性を低下させることがないため、レーザー透過性を保持しつつ、高いレベルで前記樹脂組成物を難燃化できる。難燃剤(C)の割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、例えば、1〜70重量部程度であってもよい。このような難燃剤(C)を含む前記樹脂組成物は、難燃性とレーザー透過性とを高いレベルで両立でき、例えば、前記樹脂組成物において、(i)厚み1.5mmで測定したとき、UL94に基づく難燃性の等級でV−2以上であり、かつ(ii)厚み4mmの成形体の厚み方向において、レーザー光線透過率が10%以上であってもよい。また、難燃剤(C)を含む前記樹脂組成物において、下記式で表されるレーザー光線透過保持率R(%)は、50%以上であってもよい。
R(%)=(T2/T1)×100
(式中、Rはレーザー光線透過保持率、T1は、難燃剤(C)を含まない樹脂組成物の厚み4mmの成形体の厚み方向におけるレーザー光線に対する透過率(%)、T2は難燃剤(C)を含む樹脂組成物の厚み4mmの成形体の厚み方向におけるレーザー光線に対する透過率(%)を示す。)
本発明には、前記樹脂組成物で構成された成形体も含まれる。また、本発明には、前記樹脂組成物で構成された第1の成形体と、熱可塑性樹脂で構成された第2の成形体とがレーザー光の照射により接合されている複合成形体も含まれる。この複合成形体において、本発明の樹脂組成物で構成された成形体は、レーザー透過性に優れるため、例えば、透過部材として使用されてもよい。
また、本発明には、前記樹脂組成物で構成された第1の成形体と、熱可塑性樹脂で構成された第2の成形体とをレーザー光を照射することにより接合する方法も含まれる。
さらに、本発明には、ゴム成分を含有するビニル系重合体(A)で構成された第1の成形体と、熱可塑性樹脂で構成された第2の成形体とのレーザー照射による接合性を改善する方法であって、前記ゴム含有ビニル系重合体(A)で構成された樹脂組成物中における有機酸又はその塩の割合を10000ppm以下とする改善方法も含まれる。
本発明では、レーザー溶着用の樹脂組成物をゴム含有ビニル系重合体で構成し、樹脂組成物中における有機酸又はその塩の割合を一定量以下に調整しているので、レーザー光照射により、被接合体に強固に接合可能であるとともに、耐衝撃性や成形性などの各種樹脂特性にも優れている。また、ゴム含有ビニル系重合体を用いているにも拘わらず、被接合体に対して強固に接合可能であるとともに、溶着においてもガスの発生量が少ない。さらに、難燃剤(特に、ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル、芳香族縮合リン酸エステルなどの特定の難燃剤)を使用することによりレーザー透過性を損なうことなく、しかも、ガス発生を生じることなく難燃化できるため、被接合体に対してレーザー溶着しても、外観や意匠性を低下させることがなく、レーザー透過性(又は透明性)と難燃性とを高いレベルで両立できる。
[レーザー溶着用樹脂組成物]
本発明のレーザー溶着用樹脂組成物は、少なくともゴム成分を含有するビニル系重合体(ゴム含有ビニル系重合体)(A)で構成されている。この樹脂組成物には、さらにゴム成分を含有しないビニル系重合体(ゴム非含有ビニル系重合体)(B)が含まれていてもよい。
(A)ゴム含有ビニル系重合体
ゴム含有ビニル系重合体は、共重合(グラフト重合、ブロック重合など)などにより、ビニル系重合体で構成されたマトリックス中にゴム状重合体(ゴム成分)が粒子状に分散した重合体であってもよく、通常、ゴム状重合体の存在下、少なくともビニル単量体を、慣用の方法(塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、乳化重合など)で重合することにより得られるグラフト共重合体(ゴムグラフトビニル系重合体)である。
ビニル系単量体には、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アクリル系単量体、ビニルエステル系単量体、不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物、イミド系単量体などが含まれる。その他、ビニル系単量体は、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル系単量体であってもよいが、溶着性の点から、非ハロゲン系単量体が好ましい。これらのビニル系単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、ビニルトルエン、ビニルキシレン、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなど)、ハロゲン置換スチレン(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレンなど)、α位にアルキル基が置換したα−アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレンなど)などが挙げられる。これらの芳香族ビニル系単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの芳香族ビニル単量体のうち、通常、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン(特にスチレン)などのスチレン系単量体が使用される。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。これらのシアン化ビニル系単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのシアン化ビニル系単量体のうち、通常、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリロニトリルが使用される。
アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなど]、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−4アルキルエステル[(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなど]などが挙げられる。これらのアクリル系単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのアクリル系単量体のうち、通常、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸C1−4アルキルエステルが使用される。
ビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステルなどが挙げられる。これらのビニルエステル系単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸又はその酸無水物などが挙げられる。これらの(無水)不飽和多価カルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
イミド系単量体としては、例えば、マレイミド、N−アルキルマレイミド(例えば、N−C1−4アルキルマレイミド等)、N−シクロアルキルマレイミド(例えば、N−シクロヘキシルマレイミドなど)、N−アリールマレイミド(例えば、N−フェニルマレイミドなど)などのN−置換マレイミドなどが挙げられる。これらのイミド系単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのビニル系単量体のうち、スチレンなどの芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸C1−4アルキルエステルなど]、(無水)マレイン酸などの(無水)不飽和多価カルボン酸、特に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アクリル系単量体が好ましい。
ビニル系単量体は、これらの混合モノマーであってもよく、特に、芳香族ビニル系単量体(好ましくはスチレンなどのスチレン系単量体)と、アクリル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び(無水)不飽和多価カルボン酸から選択された少なくとも一種(好ましくはアクリル系単量体及びシアン化ビニル系単量体から選択された少なくとも一種)との組み合わせが好ましい。
例えば、芳香族ビニル系単量体と、シアン化ビニル系単量体とを組み合わせた場合、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体との割合(モル比)は、前者/後者=95/5〜5/95程度の範囲から選択でき、例えば、90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70程度である。
芳香族ビニル系単量体と、アクリル系単量体とを組み合わせた場合、芳香族ビニル系単量体とアクリル系単量体との割合(モル比)は、前者/後者=95/5〜5/95程度の範囲から選択でき、好ましくは、90/10〜10/90、好ましくは85/15〜20/80程度である。
芳香族ビニル系単量体と、シアン化ビニル系単量体と、アクリル系単量体とを組み合わせた場合、芳香族ビニル系単量体と、シアン化ビニル系単量体及びアクリル系単量体の合計との割合(モル比)は、前者/後者=95/5〜1/99程度の範囲から選択でき、例えば、90/10〜3/97、好ましくは70/30〜5/95、さらに好ましくは50/50〜10/90(特に30/70〜15/85)程度である。さらに、シアンビニル系単量体とアクリル系単量体との割合(モル比)は、前者/後者=95/5〜1/99程度の範囲から選択でき、例えば、90/10〜3/97、好ましくは70/30〜5/95、さらに好ましくは50/50〜10/90程度である。
マトリックス樹脂であるビニル系重合体の重量平均分子量は10,000〜1,000,000程度の範囲から選択でき、例えば、25,000〜750,000、好ましくは30,000〜600,000、さらに好ましくは40,000〜600,000(特に50,000〜500,000)程度である。
ゴム状重合体としては、例えば、ジエン系ゴム[ポリブタジエン(低シス型又は高シス型ポリブタジエン)、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソブチレン−ブタジエン系共重合ゴムなど]、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム(ポリアクリル酸C2−8アルキルエステルを主成分とする共重合エラストマーなど)、エチレン−α−オレフィン系共重合体[エチレン−プロピレンゴム(EPR)など]、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体[エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など]、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、水添ジエン系ゴム(水素化スチレン−ブタジエン共重合体、水素化ブタジエン系重合体など)などが挙げられる。なお、これらのゴム状重合体において、共重合体はランダム又はブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造を有する共重合体等が含まれる。これらのゴム状重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましいゴム成分は、共役1,3−ジエン又はその誘導体の重合体、特にポリブタジエン(ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴムである。
ゴム含有ビニル系重合体において、ゴム成分の含有量は、1〜80重量%、好ましくは3〜60重量%、さらに好ましくは5〜60重量%程度である。ゴム成分の含有量が少なすぎると、耐衝撃性の改良効果が充分でなく、ゴム成分の含有量が多すぎると、剛性が低下する。
ビニル系重合体で構成されたマトリックス中に分散するゴム状重合体の形態は、特に限定されず、サラミ構造、コア/シェル構造、オニオン構造などであってもよい。
分散相を構成するゴム成分(ゴム状重合体)の粒子径は、例えば、重量平均粒径230〜3000nm、好ましくは240〜2000nm、さらに好ましくは240〜1500nm程度の範囲から選択できる。平均粒径がこの範囲にあると、レーザー光の透過性と耐衝撃性などの機械的特性とのバランスに優れる。また、ゴム状重合体のグラフト率は、5〜150%、好ましくは10〜150%程度である。
ゴム含有ビニル系重合体としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、メタクリル酸メチル変性HIPS(透明HIPS)、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル変性ABS樹脂(透明ABS樹脂)、α−メチルスチレン変性ABS樹脂、イミド変性ABS樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体(MBS樹脂)、AXS樹脂、メタクリル酸メチル変性AXS樹脂などのゴム含有スチレン系樹脂が挙げられる。ここで、AXS樹脂とは、ゴム成分X(アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)にアクリロニトリルAとスチレンSとがグラフト重合した樹脂を指し、具体的には、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン樹脂(AES樹脂)などである。これらのゴム含有ビニル系重合体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ゴム含有ビニル系重合体は、アクリル系単量体及び/又はシアン化ビニル系単量体を構成単位として含有するゴムグラフトスチレン系樹脂(ゴム成分にアクリル系単量体及び/又はシアン化ビニル系単量体とスチレン系単量体とがグラフト重合した共重合体)、例えば、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、MBS樹脂、メタクリル酸メチル変性ABS樹脂などであってもよい。
(B)ゴム非含有ビニル系重合体
ゴム非含有(又は未変性)ビニル系重合体(B)は、少なくともビニル系単量体を重合して得られ、同種のビニル系単量体を重合して得られるホモポリマーであってもよく、異種の複数のビニル系単量体を重合して得られるコポリマーであってもよい。
ゴム非含有ビニル系重合体(B)としては、前記ゴム含有ビニル系重合体(A)のマトリックス樹脂であるビニル系重合体を例示できる。具体的には、スチレン系樹脂[例えば、ポリスチレン(GPPS)など]、アクリル系樹脂[例えば、ポリメタクリル酸メチルなど]、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体との共重合体[例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など]、芳香族ビニル系単量体と無水不飽和カルボン酸との共重合体[例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA樹脂)など]などが挙げられる。これらのゴム含有非ビニル重合体(B)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ゴム非含有ビニル系重合体(B)は、相溶性の点から、前記ゴム含有ビニル系重合体(A)のマトリックス樹脂と同系統又は同じ樹脂であってもよい。具体的には、これらのゴム非含有ビニル系重合体のうち、芳香族ビニル系単量体と、シアン化ビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体との共重合体(例えば、AS樹脂などのスチレン系単量体とシアン化ビニル系単量体との共重合体)が好ましい。芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体との共重合体において、芳香族ビニル系単量体と、シアン化ビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体との割合(モル比)については、前記ゴム含有ビニル系重合体(A)の項に記載の割合と同様である。
ゴム含有ビニル系重合体(A)とゴム非含有ビニル系重合体(B)との割合(重量比)は、前者/後者=100/0〜1/99の範囲から選択でき、例えば、100/0〜10/90(例えば、95/5〜10/90)、好ましくは100/0〜15/85、さらに好ましくは100/0〜20/80程度である。ゴム非含有ビニル系重合体(B)をゴム含有ビニル系重合体(A)と組み合わせて用いると、樹脂組成物中におけるゴム成分の割合や有機酸又はその塩の含有量を所望の特性に応じて容易に調整できる。
本発明のレーザー溶着用樹脂組成物中に含まれるゴム成分の割合は、例えば、樹脂組成物中3〜50重量%、好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは5〜30重量%(特に10〜30重量%)程度である。ゴム成分の割合が少なすぎると、耐衝撃性の改良効果が充分でなく、ゴム成分の割合が多すぎると、剛性が低下する。
本発明のレーザー溶着用樹脂組成物には、ゴム含有ビニル系重合体(A)の特性を損なわない範囲で、さらに、他の熱可塑性樹脂を含有させてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。これらの他の熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。相溶性の点から、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマー(スチレン系熱可塑性エラストマーやポリエステル系熱可塑性エラストマーなど)などが好ましい。
また、難燃性を向上させるという観点からは、前記樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂を含んでいてもよい。ポリカーボネート系樹脂としては、少なくとも芳香族ジオール成分[例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)など]で構成されたジオール成分と、カーボネート前駆体(カーボネート形成性化合物、カーボネート類、カルボニルハライド類、ハロホルメート類など)とを反応させて得られるポリカーボネート樹脂(例えば、芳香族ポリカーボネート)などが挙げられる。
ビスフェノール類としては、例えば、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−4アルカンなど]、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類[例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)C5−8シクロアルカンなど]、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、ビス(ヒドロキシフェニル−アルキル)アレーン類[例えば、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールなど]などが含まれる。ビスフェノール類は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
また、ジオール成分は、ビスフェノール類と他のジオール成分{例えば、脂肪族ジオール[例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオールなどのC2−10アルカンジオール)など]、脂環族ジオール化合物[例えば、シクロペンタンジメタノール、シクロヘキサンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−8シクロアルカン]、芳香脂肪族ジオール[例えば、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーンなど]など}とで構成してもよい。
好ましいポリカーボネート系樹脂としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂(芳香族ジオール成分を少なくとも重合成分とするポリカーボネート系樹脂)、特に、ビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂(少なくともビスフェノール類を重合成分とするポリカーボネート系樹脂)が挙げられる。後述する特定の難燃剤と芳香族ポリカーボネート系樹脂とを組み合わせることにより、より一層効率よく前記樹脂組成物の難燃性を向上することができる。
ポリカーボネート系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
前記樹脂組成物がポリカーボネート系樹脂を含む場合、ゴム成分を含有するビニル系重合体(A)とポリカーボネート系樹脂との割合は、前者/後者(重量比)=99/1〜1/99(例えば、98/2〜2/98)、好ましくは97/3〜3/97(例えば、95/5〜5/95)、さらに好ましくは95/5〜15/85程度であってもよい。
本発明の樹脂組成物には、レーザー透過性や樹脂特性を低下しない限り、慣用の添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、難燃剤、着色剤、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、金属フィラーなど)、安定剤(酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤など)、滑剤、分散剤、発泡剤、抗菌剤などが含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの添加剤のうち、特に、ひけを抑制し、耐熱性や機械的特性を向上させるために、充填剤を用いてもよい。充填剤としては、慣用の無機又は有機充填剤を使用できるが、レーザー透過性の点から、繊維状無機充填剤(例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、金属繊維など)、特に、ガラス繊維を好ましく使用できる。ガラス繊維の平均径は、例えば、1〜50μm(好ましくは3〜30μm)程度であり、平均長は、例えば、100μm〜12mm(好ましくは500μm〜6mm)程度であってもよい。充填剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
充填剤の割合は、ゴム含有ビニル系重合体(A)及びゴム非含有ビニル系重合体(B)の合計100重量部に対して、0〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、さらに好ましくは30〜80重量部程度である。
さらに、成形品の外観特性などを向上させるために、特に、着色剤を用いてもよい。着色剤には、レーザー光が透過可能な着色剤や、レーザー光に対して非吸収性の着色剤が含まれる。このような着色剤としては、各種の有彩色又は無彩色着色剤、例えば、白色染顔料(例えば、チタン白、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポンなどの無機顔料)、黄色染顔料[例えば、カドミイエロー(カドミ黄)、黄鉛(クロム黄)、ジンククロメート、黄土(オーカー)などの無機顔料、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピグメントイエローなどの有機顔料]、橙色染顔料、赤色染顔料[例えば、赤口顔料、アンバー、カドミウムレッド(火赤)、鉛丹(四三酸化鉛、光明丹)などの無機顔料、パーマンネントレッド、レーキレッド、ウォッチャンレッド、ブリリアント・カーミン6Bなどの有機顔料]、青色染顔料[例えば、紺青、群青、コバルトブルー(テナール青)などの無機顔料、フタロシアニンブルーなどの有機顔料]、緑色染顔料[例えば、クロムグリーンなどの無機顔料、フタロシアニングリーンなどの有機顔料]などが挙げられる。
着色剤は、前記例示の染顔料などを単独で用いてもよく、複数の着色剤を組み合わせて用いて所望の色調に調整してもよい。例えば、減色混合を利用して、複数(例えば、2〜4)の着色剤を用いて樹脂を黒色に着色することもできる。
着色剤は、光散乱性を有していてもよく、このような着色剤(例えば、酸化チタンなどの顔料など)を用いると成形品に光散乱性を付与でき、効果的に被接合体を隠蔽することもできる。なお、レーザー光を透過せず、反射拡散させる着色剤を使用する場合は、レーザー溶着が可能な程度にレーザー光を透過させるため、樹脂組成物中の含有割合や成形体の厚みを調整して使用するのが好ましい。
着色剤の割合は、特に制限されないが、樹脂や着色剤の種類、レーザー光の発振波長、被接合体の色などに応じて適宜選択でき、例えば、ゴム含有ビニル系重合体(A)及びゴム非含有ビニル系重合体(B)の合計100重量部に対して、0〜10重量部(例えば、0.0001〜10重量部)、好ましくは0.001〜7重量部、さらに好ましくは0.01〜5重量部程度であってもよい。
さらに、本発明の樹脂組成物、難燃剤(C)を含んでいてもよい。難燃剤(C)は、レーザー透過性を保持できれば特に制限されず、熱可塑性樹脂の種類(例えば、熱可塑性樹脂そのもののレーザー透過性の程度など)に応じて、例えば、無機系難燃剤(水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、アルミナなどの金属酸化物、赤リンなど)、有機系難燃剤[例えば、有機リン系難燃剤(ホスフェート化合物、ホスファゼン化合物、芳香族縮合リン酸エステルなど)、ハロゲン系難燃剤(ハロゲン化ビスフェノール化合物、ハロゲン化エポキシ化合物、ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステルなど)、ヒンダードアミン系化合物など]などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの難燃剤のうち、特に、ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1)および芳香族縮合リン酸エステル(C2)から選択された少なくとも1種を好適に使用してもよい。これらの特定の難燃剤は、前記樹脂組成物に混合しても、ほとんどレーザー透過性を低下させることがないため、レーザー透過性を保持しつつ、高いレベルで前記樹脂組成物を難燃化できる。すなわち、通常、慣用の難燃剤(アンチモン系難燃剤など)を熱可塑性樹脂に添加すると、レーザー透過率が大きく低下しやすいため、熱可塑性樹脂(例えば、ABS樹脂などの透明性を有しない樹脂)そのものではレーザー溶着可能であっても、難燃剤の添加によりレーザー溶着ができなくなる場合が多い。しかし、前記特定の難燃剤を用いると、熱可塑性樹脂のレーザー透過性を高いレベルで保持できるため、熱可塑性樹脂の種類によらず、特に、ABS樹脂などのレーザー透過性が比較的低い樹脂であっても、確実に難燃性とレーザー溶着性とを両立して付与できる。
(ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1))
ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1)(例えば、臭素化(イソ)シアヌル酸エステル)としては、例えば、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物などが含まれる。
Figure 2006265545
(式中、R、RおよびRは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。ただし、R、RおよびRのうち少なくとも1つが、ハロゲン原子を有する炭化水素基である。)
Figure 2006265545
(式中、R、RおよびRは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。ただし、R、RおよびRのうち少なくとも1つが、ハロゲン原子を有する炭化水素基である。)
上記式(1)および(2)の基R〜Rにおいて、炭化水素基としては、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などのC1−20アルキル基など)、アルケニル基(ビニル基、アリル基などのC2−6アルケニル基)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(トリル基、キシリル基など)などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)、などが挙げられる。
前記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基などのC1−4アルコキシ基など)、アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など)、アミノ基、N−置換アミノ基(N,N−ジアルキルアミノ基など)、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。これらの置換基は、単独で又は2種以上組み合わせて前記炭化水素基に置換していてもよい。
なお、前記式(1)において基R、RおよびRのうち少なくとも1つ、又は前記式(2)においてR、RおよびRのうち少なくとも1つが、置換基としてハロゲン原子を有する炭化水素基である。このような炭化水素基は、ハロゲン原子とハロゲン原子以外の他の置換基とを有していてもよい。
代表的なハロゲン原子を有する炭化水素基としては、ハロアルキル基(例えば、ジブロモプロピル基、ジブロモブチル基、トリブロモネオペンチル基などのモノ乃至トリハロC1−10アルキル基、好ましくはモノ乃至トリブロモC1−8アルキル基、さらに好ましくはジ又はトリブロモC1−5アルキル基など)、ハロアリール基[例えば、ジブロモフェニル基(2,6−ジブロモフェニル基など)、トリブロモフェニル基などのモノ乃至トリハロC6−10アリール基、好ましくはジ又はトリブロモC6−8アリール基、さらに好ましくはジ又はトリブロモフェニル基]などが挙げられる。
代表的なハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステルとしては、例えば、ハロゲン化シアヌル酸エステル{例えば、トリ(ハロアルキル)シアヌレート[又は2,4,6−トリ(ハロアルキルオキシ)−1,3,5−トリアジン、例えば、トリス(2,3−ジブロモプロピル)シアヌレート、トリス(2,3−ジブロモブチル)シアヌレート、トリス(トリブロモネオペンチル)シアヌレートなどのトリス(ハロC1−8アルキル)シアヌレート、好ましくはトリス(ジ又はトリブロモC1−6アルキル)シアヌレートなど)など]、これらのトリ(ハロアルキル)シアヌレートに対応し、ハロアルキル基のいずれかがハロゲン原子を有しないアルキル基であるシアヌレート[例えば、モノアルキル−ジ(ハロアルキル)シアヌレートなど]などのハロアルキルシアヌレート類;トリ(ハロアリール)シアヌレート[又は2,4,6−トリ(ハロアリールオキシ)−1,3,5−トリアジン、例えば、トリス(2,6−ジブロモフェニル)シアヌレート、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)シアヌレート(又は2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン)などのトリス(ハロC6−10アリール)シアヌレート、好ましくはトリス(ジ又はトリブロモC6−8アリール)シアヌレート、さらに好ましくはトリス(ジ又はトリブロモフェニル)シアヌレートなど]、これらのトリ(ハロアリール)シアヌレートに対応し、ハロアリール基のいずれかがハロゲン原子を有しないアリール基であるシアヌレート[例えば、モノアリール−ジ(ハロアリール)シアヌレートなど]などのハロアリールシアヌレート類など}、ハロゲン化イソシアヌル酸エステル{例えば、トリ(ハロアルキル)イソシアヌレート[例えば、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリス(2,3−ジブロモブチル)イソシアヌレート、トリス(トリブロモネオペンチル)イソシアヌレートなどのトリス(ハロC1−8アルキル)イソシアヌレート、好ましくはトリス(ジ又はトリブロモC1−6アルキル)イソシアヌレートなど)など]、これらのトリ(ハロアルキル)イソシアヌレートに対応し、ハロアルキル基のいずれかがハロゲン原子を有しないアルキル基であるイソシアヌレート[例えば、モノアルキル−ジ(ハロアルキル)イソシアヌレートなど]などのハロアルキルイソシアヌレート類;トリ(ハロアリール)イソシアヌレート[例えば、トリス(2,6−ジブロモフェニル)イソシアヌレート、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)イソシアヌレートなどのトリス(ハロC6−10アリール)イソシアヌレート、好ましくはトリス(ジ又はトリブロモC6−8アリール)イソシアヌレート、さらに好ましくはトリス(ジ又はトリブロモフェニル)イソシアヌレートなど]、これらのトリ(ハロアリール)イソシアヌレートに対応し、ハロアリール基のいずれかがハロゲン原子を有しないアリール基であるイソシアヌレート[例えば、モノアリール−ジ(ハロアリール)イソシアヌレートなど]などのハロアリールイソシアヌレート類など}などが挙げられる。
好ましいハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステルには、ハロアリール骨格(ハロアリール基)を有する化合物(例えば、トリ(ハロアリール)シアヌレート)が挙げられ、特に、ブロモアリール基を有する化合物[例えば、トリス(ジ又はトリブロモC6−8アリール)シアヌレートなど]が好ましい。
これらのハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステルは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
(芳香族縮合リン酸エステル(C2))
芳香族縮合リン酸エステル(C2)は、通常、オキシ塩化リンなどのリン成分と、少なくとも芳香族ポリオール類で構成されたポリオール類と、モノアルコール類(特に、フェノール類などのモノヒドロキシアレーン類)との反応生成物(特に、芳香族縮合リン酸エステル)であり、少なくとも2つ(特に2つ)のリン酸単位を分子中に有する化合物である。
ポリオール類は、少なくとも芳香族ポリオール(通常、多価フェノール類、ビスフェノール類など)で構成されていればよく、非芳香族ポリオール(例えば、脂肪族ポリオールなど)を含んでいてもよい。通常、ポリオール類は、芳香族ポリオール単独で構成されていてもよい。
代表的な多価フェノール(ポリヒドロキシベンゼン)類としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール、ヒドロキノンなど)、置換基を有するジヒドロキシベンゼン{アルキル−ジヒドロキシベンゼン[ジヒドロキシトルエン、5−t−ブチルレゾルシノール、ジヒドロキシキシレン(2,6−ジヒドロキシ−p−キシレンなど)などのモノ又はジC1−10アルキル−ジヒドロキシベンゼンなど]、アリール−ジヒドロキシベンゼン(2,4−ジヒドロキシビフェニルなどのC6−10アリール−ジヒドロキシベンゼンなど)、モノ又はジハロ−ジヒドロキシベンゼン(2,4−ジフルオロヒドロキノンなど)など}などのジヒドロキシベンゼン類、;これらのジヒドロキシベンゼン類に対応するトリヒドロキシベンゼン類などが挙げられる。
代表的なビスフェノール類としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどの置換基を有していてもよいビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカン]、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類[例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどの置換基を有していてもよいビス(ヒドロキシフェニル)C5−10シクロアルカン]、これらに対応するビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、ビス(ヒドロキシフェニル−アルキル)アレーン類[4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールなど]、これらのアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち、好ましいポリオール類は、ジヒドロキシベンゼン類[ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール、ヒドロキノンなど)、アルキル−ジヒドロキシベンゼン、ハロ−ジヒドロキシベンゼンなどの置換基を有していてもよいジヒドロキシベンゼン(特に、置換基を有していてもよいレゾルシノール)]、ビスフェノール類などが挙げられ、特にジヒドロキシベンゼン類が好ましい。
モノアルコール類(モノヒドロキシ化合物)としては、非芳香族モノアルコール(脂肪族アルコールなど)、モノヒドロキシアレーン類が挙げられる。モノアルコール類は、通常、モノヒドロキシアレーン類であってもよい。代表的なモノヒドロキシアレーン類としては、例えば、フェノール類{例えば、フェノール、置換基を有するフェノール類[アルキルフェノール(o−、m−、p−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノールなどのモノ又はジC1−10アルキルフェノール、好ましくはモノ又はジC1−6アルキルフェノール、さらに好ましくはジC1−4アルキルフェノール)、アリールフェノール(o−フェニルフェノールなど)、シクロアルキルフェノールなどの炭化水素基を有するフェノール、アルコキシフェノール(o−メトキシフェノールなど)、ハロフェノール(クロロフェノールなど)、アシルフェノールなど]など}などの置換基を有していてもよいモノヒドロキシC6−10アレーンなどが含まれる。
これらのモノアルコール類のうち、フェノール、炭化水素基を有するフェノール類が好ましく、特にアルキルフェノールが好ましい。なお、リン成分およびポリオール類と反応させるモノアルコール類は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
好ましい芳香族縮合リン酸エステルには、モノアルコール類がモノヒドロキシアレーン類である芳香族縮合リン酸エステル、例えば、ジヒドロキシベンゼンビス(ジアリールホスフェート)類{例えば、レゾルシノールビス(ジアリールホスフェート)類[例えば、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート);レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシリルホスフェート)(例えば、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)など)などのレゾルシノールビス[ジ(モノ乃至トリC1−4アルキル)フェニルホスフェート]など]、ハイドロキノンビスアリールホスフェート類[例えば、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート);ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシリルホスフェート)(例えば、ハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)など)などのハイドロキノンビス[ジ(モノ乃至トリC1−4アルキル)フェニルホスフェート]など]などのポリオール類がジヒドロキシベンゼン類であり、かつモノアルコール類がモノヒドロキシアレーン類である芳香族縮合リン酸エステル}、ビスフェノールビス(ジアリールホスフェート)類{例えば、ビスフェノールA−ビス(ジアリールホスフェート)類[例えば、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート);ビスフェノールA−ビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジキシリルホスフェート)などのビスフェノールA−ビス[ジ(モノ乃至トリC1−4アルキル)フェニルホスフェート]など]などのポリオール類がビスフェノール類であり、かつモノアルコール類がモノヒドロキシアレーン類である芳香族縮合リン酸エステル}などが挙げられる。特に好ましい芳香族縮合リン酸エステルには、ジヒドロキシベンゼンビス(ジアリールホスフェート)類(特に、レゾルシノールビス(ジアリールホスフェート)類)が含まれる。これらの芳香族縮合リン酸エステルは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの難燃剤(C)のうち、ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1)は特に難燃効果が高い。そのため、前記難燃剤(C)は、少なくともハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1)で構成してもよい。また、難燃剤(C)は、ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1)と、芳香族縮合リン酸エステル(C2)とで構成してもよい。ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1)と、芳香族縮合リン酸エステル(C2)とを組み合わせる場合、これらの割合は、前者/後者(重量比)=99/1〜99/1、好ましくは97/3〜10/90、さらに好ましくは95/5〜20/80(例えば、95/5〜30/70)程度であってもよい。
本発明の樹脂組成物において、難燃剤(C)の割合は、樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂全体(例えば、ビニル系重合体(A)、ビニル系重合体(A)とゴム成分を含有しないビニル系重合体(B)との総量、ビニル系重合体(A)とポリカーボネート系樹脂との総量など)100重量部に対して、例えば、1〜70重量部、好ましくは3〜60重量部(例えば、5〜55重量部)、さらに好ましくは8〜50重量部程度であってもよい。
本発明では、レーザー溶着用樹脂組成物中に含まれるナトリウム、塩素及び硫酸イオンの割合が、例えば、合計で10ppm(μg/g)以下(例えば、0〜10ppm)、好ましくは0〜5ppm、さらに好ましくは0〜1ppm(特に0〜0.5ppm)程度である。
このようなナトリウム、塩素及び硫酸イオンは、例えば、ゴム含有ビニル系重合体(A)の製造過程で混入するが、このような元素やイオンが存在すると、樹脂部材の溶着性が低下し、ガス発生の原因ともなる。これらの元素やイオンの含有量は、ゴム含有ビニル系重合体を精製することにより低減してもよいが、製造方法の調整や選択により低減してもよい。例えば、乳化重合や懸濁重合、溶液重合(特に乳化重合)でゴム含有ビニル系重合体を製造する場合には、重合に用いる溶媒、界面活性剤、重合開始剤などや、塩析に用いる塩などに由来する元素やイオンが混入するため、塊状重合で製造したゴム含有ビニル系重合体を用いるのが好ましい。
本発明のレーザー溶着用樹脂組成物は、樹脂組成物中の有機酸又はその塩の割合(複数種の有機酸又はその塩が含まれる場合は合計割合)が10000ppm(μg/g)以下(例えば、0〜10000ppm)であり、通常、5000ppm以下(例えば、0〜5000ppm)、好ましくは2000ppm以下(例えば、0〜2000ppm)、さらに好ましくは0〜500ppm以下(特に0〜100ppm)程度である。本発明では、樹脂組成物中の有機酸又はその塩の含有量がこの範囲に抑制されているため、レーザー溶着においてガス発生量が少なく、溶着性も向上できる。
有機酸には脂肪酸や有機スルホン酸などが含まれる。脂肪酸は、酢酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸であってもよいが、通常、炭素数6以上の高級脂肪酸やテルペン酸である。スルホン酸も、通常、炭素数6以上のアルキル基を有する有機スルホン酸である。
高級脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などのC6−30飽和脂肪族カルボン酸や、リンデル酸、マッコウ酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸などのC6−30不飽和脂肪族カルボン酸、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
テルペン酸としては、例えば、シトロネル酸などのモノテルペン酸、ヒノキ酸やサンタル酸などのセスキテルペン酸、アビエチン酸(ロジン酸)、ピマル酸、ネオアビエチン酸、レボピマル酸、アガテンジカルボン酸、ルベニン酸などのジテルペン酸、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
有機スルホン酸としては、C6−30アルキル基を有するスルホン酸、例えば、オクチルスルホン酸、ノニルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ヘキサデシル(セチル)スルホン酸、オクタデシルスルホン酸などのC6−30アルキルスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのC6−30アルキル−アリールスルホン酸(好ましくはC8−24アルキル−アリールスルホン酸など)、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
有機酸の塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム、リチウム塩など)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン塩などのアルキルアミン塩)やアルカノールアミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールアミン塩など)、又はこれらの組み合わせなどが例示できる。有機酸の塩は、通常、アルカリ金属塩(特に、ナトリウム塩)、アルカリ土類金属塩(特にカルシウム塩)である。
有機酸又はその塩も、例えば、ゴム含有ビニル系重合体の製造過程で混入するが、有機酸が存在すると、ガス発生の直接の原因となるとともに、樹脂部材の溶着性が低下する。有機酸の含有量は、樹脂組成物又は原料樹脂を精製することにより低減してもよいが、原料樹脂の製造方法を調整することにより低減してもよい。例えば、乳化重合でゴム含有ビニル系重合体を製造する場合には、重合に用いる溶媒、界面活性剤などに由来する有機酸が混入するため、塊状重合で製造したゴム含有ビニル系重合体を用いるのが好ましい。
[樹脂成形体]
本発明の樹脂成形体は、前記レーザー溶着用樹脂組成物で構成され、レーザー光を透過する側の部材(透過部材)として使用してもよく、レーザーを吸収する側の部材(吸収部材)として使用してもよい。本発明の樹脂成形体はレーザー透過性に優れているため、通常、少なくとも透過部材として使用される。
樹脂成形体のレーザー光に対する透過率は、使用するレーザー光の発振波長(例えば、740〜1600nmの範囲から選択される波長)に応じ、例えば、厚み4mmの成形体の厚み方向において、例えば、10〜100%程度であればよく、例えば、12〜100%、好ましくは15〜100%(例えば、18〜98%)、さらに好ましくは20〜100%(特に30〜97%)程度である。
また、本発明の樹脂組成物では、難燃剤を含んでいても、レーザー光線透過率を高いレベルで保持でき、例えば、前記樹脂組成物において、下記式で表されるレーザー光線透過保持率R(%)は、例えば、50%以上(例えば、55〜100%程度)、好ましくは60%以上(例えば、65〜99%程度)、さらに好ましくは70%以上(例えば、75〜98%程度)、特に80%以上(例えば、85〜97%程度)であってもよい。
R(%)=(T2/T1)×100
(式中、Rはレーザー光線透過保持率、T1は、難燃剤(C)を含まない樹脂組成物(又は難燃剤(C)を含まず、ビニル系重合体(A)で構成されている樹脂組成物)の厚み4mmの成形体の厚み方向におけるレーザー光線に対する透過率(%)、T2は難燃剤(C)を含む樹脂組成物(すなわち、ビニル系重合体(A)と難燃剤(C)とで構成されている樹脂組成物)の厚み4mmの成形体の厚み方向におけるレーザー光線に対する透過率(%)を示す。)。
なお、前記透過率T2(すなわち、難燃剤(C)を含む前記樹脂組成物のレーザー光線透過率)は、使用するレーザー光の発振波長(例えば、740〜1600nmの範囲から選択される波長)に応じ、例えば、厚み4mmの成形体の厚み方向において、通常、10%以上(例えば、10〜100%程度)の範囲から選択でき、例えば、12〜99%(例えば、13〜98%)、好ましくは15〜97%(例えば、16〜96%)、さらに好ましくは18〜95%、特に20%以上(例えば、22〜95%程度)である。
さらに、難燃剤(C)を含む本発明の樹脂組成物(又は樹脂成形体又は第1の樹脂成形体)は難燃性に優れており、例えば、厚み1.5mmで測定したとき、UL94に基づく難燃性の等級で、例えば、V−2以上、好ましくはV−1以上、さらに好ましくはV−0以上である。
このような樹脂成形体は、ゴム含有ビニル系重合体(A)、ゴム非含有ビニル系重合体(B)及び必要に応じて他の構成成分(充填剤、着色剤、難燃剤(C)、他の熱可塑性樹脂など)を、押出機、ニーダー、ミキサー、ロールなどを用いた慣用の混合方法で混合(例えば、溶融混練)し、慣用の成形方法、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形などにより、成形することにより得ることができる。
樹脂成形体の形状は、接合させるに充分な接触面(平面など)を少なくとも一部に有する限り、特に制限されず、二次元的形状(例えば、板状)又は三次元的形状であってもよい。
樹脂成形体の厚み(少なくとも透過部材のレーザー溶着位置の厚み)は、用途や、レーザー光に対する透過性又は吸収性などに応じて、例えば、50μm〜10mm、好ましくは70μm〜8mm、さらに好ましくは100μm〜5mm程度であってもよい。
[複合成形体]
本発明の複合成形体では、前記樹脂組成物で構成された第1の成形体(接合体)と、熱可塑性樹脂で構成された第2の成形体(被接合体)とがレーザー光の照射により接合されている。前述の如く、前記樹脂組成物で構成された接合体は、レーザー透過性に優れているため、通常、透過部材として使用され、熱可塑性樹脂で構成された被接合体が吸収部材として使用される。
被接合体における熱可塑性樹脂としては、レーザー光の照射により接合体に対して接合(又は貼付)可能である限り、特に限定されず、種々の熱可塑性樹脂が使用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂(ポリアミド5、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド6/66、ポリアミド6/11などの脂肪族ポリアミド系樹脂;ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXDなどの芳香族ポリアミド系樹脂;脂環族ポリアミド系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(ポリC2−4アルキレンテレフタレート、ポリC2−4アルキレンナフタレート、これらのコポリエステル、ポリアリレート、液晶性ポリエステルなど)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなどのビスフェノール型ポリカーボネート、水添ビスフェノール型ポリカーボネートなど)、オレフィン系樹脂[ポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなども含む)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレンゴムなどのオレフィンの単独又は共重合体(エラストマーも含む)など]、スチレン系樹脂[ポリスチレン(GPPSなど)、スチレン−アクリル系共重合体(スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、AS樹脂、MS樹脂など)、スチレン−ジエン又はオレフィン系共重合体(スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体など)、ゴム含有スチレン系樹脂(HIPS、ABS樹脂、AXS樹脂(ASA樹脂、AES樹脂など)、MBS樹脂など)など]、アクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルなど)、ビニル系樹脂(塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、ポリフェニレンオキシド系樹脂[ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド(ポリスチレンとのブレンド、ポリスチレンがグラフトしたポリフェニレンオキシドなど)など]などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂は、結晶性樹脂であってもよく、非結晶性樹脂であってもよい。
前記熱可塑性樹脂のうち、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、及びポリフェニレンオキシド系樹脂[特にポリアミド系樹脂(ポリアミド6などの脂肪族ポリアミド系樹脂など)、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの単独又は共重合体など)、スチレン系樹脂(ABS樹脂などのゴム含有スチレン系樹脂など)、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)など]などが好ましい。さらに、接合体との親和性の点から、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂又はこれらの組み合わせ、特に前記レーザー溶着用樹脂組成物が好ましい。
被接合体には、レーザー光吸収剤及び/又は着色剤が含まれていてもよい。特に、被接合体が吸収部材として使用され、レーザー透過性である場合(例えば、本発明のレーザー溶着用樹脂組成物を用いた場合)、熱可塑性樹脂と、レーザー光吸収剤及び/又は着色剤とを組み合わせてレーザー吸収能を付与してもよい。
レーザー光吸収剤としては、例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなど)、チタンブラック、黒色酸化鉄などの黒色顔料を使用する場合が多い。これらのレーザー光吸収剤は、単独で又は二種以上組合せて使用できる。また、これらのレーザー光吸収剤は、着色剤として添加されてもよい。なお、前記黒色顔料の平均粒径は、例えば10nm〜3μm(好ましくは10nm〜1μm)程度の広い範囲から選択できる。カーボンブラックの平均粒径は、例えば、10〜100nm、好ましくは15〜90nm程度であってもよい。レーザー光吸収剤の割合は、被接合体を構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部程度であってもよい。
着色剤としては、樹脂の着色に使用される種々の無機又は有機染顔料、例えば、白色染顔料(チタン白など)、黄色染顔料(ベンジジンイエローなどの有機顔料)、橙色染顔料(ハンザイエローなど)、赤色染顔料(レーキレッドなどの有機顔料)、青色染顔料(フタロシアニンブルーなどの有機顔料)、緑色染顔料(フタロシアニングリーンなどの有機顔料)などが挙げられる。着色剤の割合は、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0〜10重量部(例えば、0.001〜10重量部)、好ましくは0.01〜5重量部程度であってもよい。
被接合体にも、必要により、前記レーザー溶着用樹脂組成物と同様の慣用の添加剤が含まれていてもよい。例えば、被接合体は、難燃剤を含んでいてもよい。なお、被接合体(又は第2の樹脂成形体)に含有させる難燃剤は、前記難燃剤(C)に限定されず、慣用の難燃剤(例えば、アンチモン化合物など)であってもよい。
複合体は、例えば、前記樹脂組成物で構成された第1の成形体と、熱可塑性樹脂で構成された第2の成形体とをレーザー光を照射することにより接合する方法により得ることができる。より詳しくは、複合成形体は、接合体(例えば、透過部材)と被接合体(例えば、吸収部材)とを、少なくとも両者の接合部を面接触させ、レーザー光を照射することにより、前記接合体と被接合体との界面を部分的に溶融させて接合面を密着させ、冷却して接合(又は一体化)することにより得られる。
溶着に用いるレーザー光源としては、通常、発振波長193〜1600nm程度のレーザー光源が使用でき、例えば、固体レーザー(Nd:YAG励起、半導体レーザー励起など)、半導体レーザー(650〜980nm)、チューナブルダイオードレーザー(630〜1550nm)、チタンサファイアレーザー(Nd:YAG励起、690〜1000nm)などを用いる場合が多い。
本発明では、ゴム成分を含有するビニル系重合体(A)で構成された樹脂組成物中における有機酸又はその塩の割合を10000ppm以下[例えば、5000ppm以下、好ましくは2000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下(特に100ppm以下)]程度とすることにより、前記ゴム含有ビニル系重合体(A)で構成された第1の成形体と、熱可塑性樹脂で構成された第2の成形体とのレーザー照射による接合性を改善することができる。
本発明のレーザー溶着用樹脂組成物、成形体及び複合成形体は、家庭用又はオフィスオートメーション(OA)用機器、例えば、コンピューター、ワードプロセッサー、プリンター、コピー機、ファックス、電話、モバイル機器(携帯電話、携帯情報端末(PDA)など)などの機器類や家電製品(テレビ、ビデオデッキ、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)プレーヤー、エアコン、冷蔵庫、洗濯機など)の構成部品(ハウジング、ケース、カバー、ドア、カートリッジ(インクカートリッジ、トナーカートリッジなど)など)などの他、自動車部品、家庭用品、建築材料などの用途において有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた各成分の略号の内容、及び各評価項目の評価方法は以下の通りである。
[樹脂成形体の各成分]
ABS1:ABS樹脂、塊状重合法により得られたポリマー、ゴム種:ポリブタジエン、ゴム含有量18重量%、マトリックスを構成するモノマー成分の共重合比:スチレン/アクリロニトリル=77/23(重量比)、ゴム重量平均粒径500nm
ABS2:ABS樹脂、塊状重合法により得られたポリマー、ゴム種:ポリブタジエン、ゴム含有量20重量%、マトリックスを構成するモノマー成分の共重合比:スチレン/アクリロニトリル=77/23(重量比)、ゴム重量平均粒径1300nm
ABS3:乳化重合法により得られたポリマー、塩凝固物、ゴム種:ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体、ゴム含有量40重量%、マトリックスを構成するモノマー成分の共重合比:スチレン/アクリロニトリル=74/26(重量比)、ゴム重量平均粒径350nm
ABS4:乳化重合法により得られたポリマー、酸凝固物、ゴム種:ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体、ゴム含有量40重量%、マトリックスを構成するモノマー成分の共重合比:スチレン/アクリロニトリル=74/26(重量比)、ゴム重量平均粒径350nm
ABS5:乳化重合法により得られたポリマー、酸凝固物、ゴム種:ポリブタジエン、ゴム含有量40重量%、マトリックスを構成するモノマー成分の共重合比:スチレン/アクリロニトリル=73/27(重量比)、ゴム重量平均粒径190nm
AS:AS樹脂、マトリックスを構成するモノマー成分の共重合比:スチレン/アクリロニトリル=73/27(重量比)、溶液粘度ηsp/c(4mg/ml濃度のクロロホルム溶液、25℃):0.85
PC:ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製、商品名「タフロンFN2700」)
HI:耐衝撃性ポリスチレン(東洋スチレン(株)製、商品名「XL−1」)
FR1:2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジン(第一エフアール(株)製、商品名「SR−245」)
FR2:レゾルシノールビス[ジ(2,6−キシリル)ホスフェート](大八化学工業(株)製、商品名「PX−200」)。
[レーザー光の透過率]
厚さ4mmの試験片を作製し、紫外−可視−近赤外域用の60φ積分玉一セットを分光光度計((株)日立製作所製、U−3410)内にセットして波長λ=840nmで透過率を測定し、以下の基準で評価した。
○:30%以上
△:20%以上30%未満
×:20%未満。
[有機酸濃度]
試料(ペレット)20mgを精秤し、250℃で10分間加熱して発生したガスを−50℃の捕集管でトラップした後、キューリーポイントで再ガス化した。再ガス化した試料をガスクロマトグラフィー分析装置[分析機器:ヒューレットパッカード(Hewlett Packard)社製、HP5890II型、検出器:水素炎イオン化検出器(FID)]に注入し、以下の条件で試料中の全有機酸(又はその塩)量を測定した(単位:ppm(μg/g))。
(測定条件)
オーブン:100℃、5分間
100〜240℃(10℃/分で昇温)
検出器:300℃。
[難燃性]
試験片の厚み1.5mmで、UL94に基づいて難燃性(燃焼性)を評価した。
[溶着性]
レーザー溶着後、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロンUCT−1T)を用いて、チャック間距離80mm及びヘッド速度5mm/分の条件で、吸収部材及び透過部材のそれぞれを、接合部を中心にして外方に引張り、破壊した状態を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:接合強度が高く、溶着面以外の部分で破壊
△:接合強度がやや低く、溶着面及び溶着面以外の部分で破壊
×:接合強度が低く、溶着面で破壊。
[発生ガス量]
レーザー溶着時において、レーザー光吸収部材とレーザー光透過部材との接合部から発生するガスの発生量を目視より、以下の基準で評価した。
○:少ない
△:やや多い
×:多い。
[耐衝撃性]
得られた樹脂組成物のペレットを用いて、ISO 179/1eAに準拠し、試験片を作製した。前記試験片の両端を支持し、シャルピー衝撃試験機に供して衝撃強度(kJ/m)を測定した。
実施例1〜12及び比較例1〜3
表1又は表2に示す配合割合でタンブラーミキサーを用いて混合した後、二軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX30α)を用いてシリンダー温度230℃(最高値)にて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを、シリンダー温度230℃、金型温度60℃で射出成形することにより、樹脂成形体(三段プレート、縦90mm×横50mm×厚み1、2及び3mm)(レーザー光透過部材)を成形した。さらに、表1又は表2に示す組成の樹脂組成物に、組成物全体に対して0.5重量%のカーボンブラックを含有させた樹脂組成物を用いて、前記成形体と同様のサイズ及び形状のレーザー光吸収部材を成形した。
得られた黒色に着色したレーザー光吸収部材の上に、レーザー光透過部材を置き、さらにこの透過部材の上に透明なガラス板を重しとして置き、ファインデバイス社製120Wレーザー溶着機(半導体レーザー)を用いて、両者を溶着させた(溶着条件:出力15W及び走査速度10mm/秒)。なお、吸収側の三段プレートと透過側の三段プレートとを重ねて、透過部材及び吸収部材の厚みが双方とも2mmとなる位置にレーザー光を照射した。得られた複合成形体の特性を評価した結果を表1および表2に示す。なお、表2において、T1は熱可塑性樹脂のレーザー光線透過率(すなわち、難燃剤を含まない熱可塑性樹脂そのもののレーザー光線透過率)、Rは樹脂組成物(難燃剤を含む樹脂組成物)のレーザー光線透過保持率を示す。
Figure 2006265545
Figure 2006265545
表から明らかなように、実施例では、溶着性及び耐衝撃性も高い複合成形体が、ガスの発生なく製造されている。これに対して、比較例1〜2では、溶着性が低く、ガスの発生が多い。また、比較例3では、耐衝撃性が低い。また、実施例8〜12の樹脂成形体では、特定の難燃剤を使用するとともに、樹脂組成物中の有機酸又はその塩の濃度を著しく低減しているため、ガス発生が抑えられて意匠性を損なうことがなく、優れた樹脂特性を有しているとともに、透過率及び溶着性が高く、しかも難燃性も高かった。

Claims (17)

  1. 樹脂成形体に対して、レーザー光の照射により接合可能な樹脂組成物であって、ゴム成分を含有するビニル系重合体(A)で構成され、かつ樹脂組成物中に含まれる有機酸又はその塩の割合が10000ppm以下であるレーザー溶着用樹脂組成物。
  2. ゴム成分の重量平均粒径が230〜3000nmである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 樹脂組成物中に含まれるゴム成分の割合が3〜50重量%である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. 有機酸又はその塩が、C6−30飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸、テルペン酸及びC6−30アルキル基を有する有機スルホン酸から選択された少なくとも一種の有機酸又はその塩である請求項1記載の樹脂組成物。
  5. ゴム含有ビニル系重合体(A)が、塊状重合法で得られた樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
  6. ゴム含有ビニル系重合体(A)が、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びアクリル系単量体から選択された少なくとも一種のビニル系単量体を構成単位として含む重合体である請求項1記載の樹脂組成物。
  7. さらに、ゴム成分を含有しないビニル系重合体(B)を含む請求項1記載の樹脂組成物。
  8. アクリル系単量体及びシアン化ビニル系単量体から選択された少なくとも一種を構成単位として含有するゴムグラフトスチレン系樹脂(A1)と、アクリル系単量体及びシアン化ビニル系単量体から選択された少なくとも一種を構成単位として含有するゴム非含有スチレン系樹脂(B1)とで構成されると共に、樹脂組成物中におけるゴム成分の割合が5〜30重量%であり、かつ有機酸又はその塩の割合が5000ppm以下である請求項7記載の樹脂組成物。
  9. さらに、ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1)および芳香族縮合リン酸エステル(C2)から選択された少なくとも1種の難燃剤(C)を含む請求項1記載の樹脂組成物。
  10. ハロゲン化(イソ)シアヌル酸エステル(C1)が、トリ(ハロアリール)シアヌレートである請求項9記載の樹脂組成物。
  11. (i)厚み1.5mmで測定したとき、UL94に基づく難燃性の等級でV−2以上であり、かつ(ii)厚み4mmの成形体の厚み方向において、レーザー光線透過率が10%以上である請求項9記載の樹脂組成物。
  12. 下記式で表されるレーザー光線透過保持率R(%)が、50%以上である請求項9記載の樹脂組成物。
    R(%)=(T2/T1)×100
    (式中、Rはレーザー光線透過保持率、T1は、難燃剤(C)を含まない樹脂組成物の厚み4mmの成形体の厚み方向におけるレーザー光線に対する透過率(%)、T2は難燃剤(C)を含む樹脂組成物の厚み4mmの成形体の厚み方向におけるレーザー光線に対する透過率(%)を示す。)
  13. 請求項1記載の樹脂組成物で構成された成形体。
  14. 請求項1記載の樹脂組成物で構成された第1の成形体と、熱可塑性樹脂で構成された第2の成形体とがレーザー光の照射により接合されている複合成形体。
  15. 第1の成形体が、レーザー光を透過する側の部材である請求項14記載の複合成形体。
  16. 請求項1記載の樹脂組成物で構成された第1の成形体と、熱可塑性樹脂で構成された第2の成形体とをレーザー光を照射することにより接合する方法。
  17. ゴム成分を含有するビニル系重合体(A)で構成された第1の成形体と、熱可塑性樹脂で構成された第2の成形体とのレーザー照射による接合性を改善する方法であって、前記ゴム含有ビニル系重合体(A)で構成された樹脂組成物中における有機酸又はその塩の割合を10000ppm以下とする改善方法。
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