本発明は上記事実を考慮し、ヘッドユニットにθズレ等が発生しても白スジ/黒スジ等による画質の低下を抑制できる液滴吐出ヘッドと、この液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置を得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、液滴を吐出する複数のノズルが二次元的に平面配列されたヘッドユニットを複数列に千鳥配列した長尺型の液滴吐出ヘッドであって、この液滴吐出ヘッドの長手方向で隣接する前記ヘッドユニットの繋ぎ目において、前記ノズルが液滴吐出ヘッドの長手方向と直交する幅方向で近接するように配置されていることを特徴とする。
このように、隣接するヘッドユニットの繋ぎ目においてノズルを幅方向に近接して配置すると、ノズルを幅方向に離間して配置した構成と比較して、θズレや被吐出部材の斜行等(以下、これらをまとめて単に「θズレ」という)が発生した場合でも、被吐出部材の幅方向での液滴のドット位置の変化(ズレ)が少なくなる。このため、θズレが発生しても、画質の低下を防止できる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の液滴吐出ヘッドであって、この液滴吐出ヘッドの長手方向で隣接するヘッドユニット間において、幅方向に見てノズルがオーバーラップするオーバーラップ領域が構成されるようにヘッドユニットが配置されていることを特徴とする。
隣接するヘッドユニット間で幅方向にノズルをオーバーラップさせると、オーバーラップ領域に対応する2つのヘッドユニットのいずれかに不具合が発生しても、画質に及ぼす影響を少なくすることが可能になる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記オーバーラップ領域の端部のノズルが、このオーバーラップ領域を含むヘッドユニット内のオーバーラップ領域に隣接するノズルと、幅方向で近接するように配置されていることを特徴とする。
このように、オーバーラップ領域の端部のノズルを、このオーバーラップ領域を含むヘッドユニット内のオーバーラップ領域に隣接するノズルと幅方向に近接して配置することで、オーバーラップ領域の端部において、θズレによる白スジや黒スジを小さく抑制できる。
請求項4に記載の発明では、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記オーバーラップ領域の端部のノズルが、このオーバーラップ領域に隣接するヘッドユニット内のオーバーラップ領域に隣接するノズルと、幅方向で近接するように配置されていることを特徴とする。
このように、オーバーラップ領域の端部のノズルを、オーバーラップ領域に隣接するヘッドユニット内のオーバーラップ領域に隣接するノズルと幅方向に近接して配置することで、オーバーラップ領域の端部において、θズレによる白スジや黒スジを小さく抑制できる。
なお、ヘッドユニット内のノズルの配置等に応じて、請求項3又は請求項4のいずれか一方の条件が満たされるようにノズルをオーバーラップさせてヘッドユニットを配置することができ、さらに、請求項2及び請求項3の双方の条件が満たされるように、ノズルをオーバーラップさせてヘッドユニットを配置することもできる。後者の場合には、請求項3において近接するノズル間の距離と、請求項4において近接するノズル間の距離の双方が、最小となるようにノズルをオーバーラップさせてヘッドユニットを配置することが好ましい。
請求項5に記載の発明では、液滴を吐出する複数のノズルが二次元的に平面配列されたヘッドユニットを複数列に千鳥配列した長尺型の液滴吐出ヘッドであって、この液滴吐出ヘッドの長手方向で隣接するヘッドユニット間において、幅方向に見てノズルがオーバーラップするオーバーラップ領域が構成されるようにヘッドユニットが配置され、前記オーバーラップ領域に隣接するノズルの幅方向の位置が、このオーバーラップ領域を含むヘッドユニットのオーバーラップ領域内での隣接ノズルと、このオーバーラップ領域に隣接するヘッドユニットの隣接ノズルと、の間となるようにヘッドユニットが配置されていることを特徴とする。
このように、オーバーラップ領域に隣接するノズルの幅方向の位置が、このオーバーラップ領域を含むヘッドユニットのオーバーラップ領域内での隣接ノズルと、このオーバーラップ領域に隣接するヘッドユニットの隣接ノズルと、の間とすることで、θズレ等が発生した場合でも、白スジや黒スジを小さく抑制し、画質の低下を防止できる。
請求項6に記載の発明では、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記オーバーラップ領域内において、このオーバーラップ領域の端部側でオーバーラップするノズル間距離が、オーバーラップ領域の中央側でオーバーラップするノズル間距離よりも小さくなるようにヘッドユニットが配置されていることを特徴とする。
これにより、オーバーラップ領域の端部において、2つのノズルがθズレによる長手方向での位置ズレを受けにくい配置となるので、白スジや黒スジを小さく抑制できる。
本発明において、前記ヘッドユニットの繋ぎ目において幅方向で近接するように配列されたノズルの距離は、たとえば、請求項7に記載のように、ヘッドユニットの幅以下とすることができる。
請求項8に記載の発明では、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の発明において、前記ヘッドユニットと幅方向に分割して分割部を構成したときに、それぞれの分割部のノズルから吐出した液滴のドットが被吐出部材上で均等に並ぶように配置されていることを特徴とする。
すなわち、1本の液滴吐出ヘッドが、幅方向、すなわち被記録部材の移動方向に分割されているので、異なる液体の吐出、たとえば複数色の画像記録に1本の液滴吐出ヘッドで対応することが可能になる。
請求項9に記載の発明では、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の発明において、前記ヘッドユニット内において、長手方向中心線から遠いノズルと近いノズルとから吐出した液滴のドットが被吐出部材上で混在して並ぶようにノズルが配置されていることを特徴とする。
これにより、インクジェット記録ヘッドにθズレが発生しても、ヘッドユニット内において、被記録部材の幅方向でドット位置ズレが分散的に生じ、画像欠陥として認識されにくくなり、画質の低下を防止できる。
請求項10に記載の発明では、前記請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを備えたことを特徴とする。
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを備えているので、液滴吐出ヘッドにθズレが発生しても、画質の低下を防止できる。
なお、本発明の液滴吐出ヘッドでは、ノズルから液滴を吐出する複数のイジェクタに対し共通で液体を供給する共通流路が、隣接する2つのイジェクタ列の間に配置されるとともに、前記共通流路の天面又は底面の少なくとも一方が、可撓性を有するダンパとされている構成としてもよい。
この構成では、共通流路は、隣接する2つのイジェクタ列の間において、これらイジェクタ列にまたがるように配置されるため、共通流路の幅を大きく設定することができる。このため、共通流路の天面又は底面の少なくとも一方を構成するダンパに十分な音響容量を確保できる。
また、共通流路を、隣接する2つのイジェクタ列を構成するイジェクタに重ねて配置することが可能であるため、イジェクタの配列密度、すなわちノズル密度を高くしても、上記のように共通流路の幅を大きく設定して、十分な音響容量を確保できる。すなわち、高いノズル密度と、共通流路での十分な音響容量を両立することができる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記共通流路から液体が供給される2つのイジェクタ列のノズルが、共通流路の中心線から見て外側になるように配置されていてもよい。
この構成では、2つのイジェクタ列のノズルの間隔が大きくなるので、これらのノズルの間で共通流路の幅を広く確保できる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記共通流路から前記イジェクタへと液体を供給する液体供給路が、隣接する前記2つのイジェクタ列の間に配置される構成としてもよい。
この構成では、共通流路は液体供給路とも重ねて配置されるので、イジェクタの配列密度を低下させることなく、共通流路の幅をより広く確保できる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記イジェクタが、液体を貯留する圧力室と、電圧印加によって液体にエネルギーを作用させて液滴を吐出するアクチュエータと、前記アクチュエータに電圧を印加するための電極パッドと、を有し、前記電極パッドが、隣接する前記2つのイジェクタ列の間に配置されている構成としてもよい。
この液滴吐出ヘッドでは、電圧印加されたアクチュエータが、圧力室に貯留された液体にエネルギーを作用させてノズルから液滴を吐出させる。
共通流路は電極パッドとも重ねて配置されるので、イジェクタの配列密度を低下させることなく、共通流路の幅をより広く確保できる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記共通流路が、前記ノズルを回避した位置では共通流路の中心線から見てノズルよりも外側に膨出する形状とされていることを特徴とする。
すなわち、共通流路は、ノズルを回避した位置において、より広い幅を確保できる。このため、共通流路の音響容量をさらに大きくすることができる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記ダンパが樹脂フィルムで構成されていてもよい。
これにより、共通流路にさらに大きな音響容量を確保することが可能になる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記ノズルが形成されたノズルプレート、を備え、前記ダンパが前記ノズルプレートを兼ねていることを特徴とする。
これにより、ノズルプレートとダンパとを別部材とした構成と比較して、イジェクタを構成するプレートの数が少なくなるので、液滴吐出ヘッドの製造コストを低減することが可能となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、複数のイジェクタで構成されるイジェクタ群に対し、このイジェクタ群の、液滴吐出ヘッド長手方向の両端部外側に上流側流路を配置し、前記共通流路を、この上流側流路に接続されるとともに、前記ヘッドユニットの長手方向(すなわち液滴吐出ヘッドの長手方向)に沿って、且つ前記イジェクタ群の中央部で分割されるように複数設けてもよい。
この構成では、イジェクタ群を備えたヘッドユニットが複数列に千鳥配置されており、イジェクタ群の両端部の外側に上流側流路が配置されている。そして、両端部の上流側流路に複数の共通流路が接続され、複数の共通流路がヘッドユニットの長手方向に沿って配置されてイジェクタ群の中央部で分割されている。これにより、長尺型の液滴吐出ヘッドの平面積に対してスペースの大きい上流側流路と複数の共通流路を記録ヘッドのサイズを増加することなく効率的に配置することが可能となる。このため、長尺型の液滴吐出ヘッドの幅(長手方向と直交する方向の幅)を小さくすることができ、小型化を実現できる。また、共通流路はイジェクタ群の中央部で分割されているので、共通流路が長くなるのを防止できる。このため、共通流路の流路抵抗を低減することができ、各イジェクタに高い吐出安定性及び周波数特性を確保することが可能となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記イジェクタ群の両端部の外側に、前記ヘッドユニットを構成する構成プレートを積層して吸着するための吸着穴、又は位置出し用のアライメントマークが配設されていてもよい。
この構成では、イジェクタ群の両端部の外側に、ヘッドユニットを構成する構成プレートを積層して吸着するための吸着穴、又は位置出し用のアライメントマークを配設することで、長尺型の液滴吐出ヘッドの平面積に対して最も効率的に吸着穴又はアライメントマークを配置することができる。このため、長尺型の液滴吐出ヘッドの幅を一層小さくすることが可能となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記上流側流路が、前記イジェクタ群の両端部の外側に複数に分割されて配置されて構成としてもよい。
この構成では、上流側流路がイジェクタ群の両端部の外側に複数に分割して配置されており、分割された上流側流路にぞれぞれ別の種類の液体(例えばインク)を充填することで、1本の液滴吐出ヘッドで多色の記録を実現することが可能となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記ヘッドユニットに配設された前記共通流路の長さが異なる構成としてもよい。
この構成では、共通流路の長さが異なるので、共通流路の末端部が記録媒体上の同じ位置にくることが少なく、長尺型の液滴吐出ヘッドの長手方向に沿った濃度むらの発生を一層低減することが可能となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記ヘッドユニットの長手方向と直交する幅方向に電気配線を引き出し、幅方向で隣接する他のヘッドユニットの列と重なり合う部分で前記電気配線が折り曲げられている構成としてもよい。
この構成では、各ヘッドユニットの長手方向と直交する幅方向に沿って電気配線を引き出し、幅方向で隣接する他のヘッドユニットの列と重なり合う部分で電気配線を折り曲げることにより、各ヘッドユニットの電気配線を効率よく配置できる。このため、ヘッドユニットの幅をさらに一層小さくすることが可能となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記ヘッドユニットの形状を略長方形又は略平行四辺形としてもよい。
この構成では、ヘッドユニットの形状を略長方形又は略平行四辺形とすることで、千鳥配置したヘッドユニットの両端部(イジェクタ群の両端部の外側)に上流側流路や吸着穴又はアライメントマークを効率よく配置することができ、ヘッドユニットの幅をさらに一層小さくすることが可能となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記ヘッドユニット内に配列されるノズル列の数を2のべき乗に設定してもよい。
この構成では、ヘッドユニット内に配列されるノズル列の数を2のべき乗に設定することにより、コントローラのデータ処理を単純化することができ、コントローラのコストを低減することが可能となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記ヘッドユニット内で駆動されるイジェクタの数を2のべき乗に設定することを特徴としている。
この構成では、ヘッドユニット内で駆動されるイジェクタの数を2のべき乗に設定することにより、コントローラのデータ処理を単純化することができ、コントローラのコストを低減することが可能となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記ヘッドユニットがそれぞれ完全に分離されててもよい。
この構成では、ヘッドユニットがそれぞれ完全に分離されているので、各ヘッドユニットごとに交換が可能であり、メンテナンスが容易となる。
さらにこの液滴吐出ヘッドにおいて、前記ヘッドユニットを構成する一部の構成プレートが一体のバー構造である構成としてもよい。
この構成では、ヘッドユニットを構成する一部の構成プレートが一体のバー構造であるので、ヘッドユニットの位置決め及び組立てが容易となる。
本発明は上記構成としたので、ヘッドユニットにθズレ等が発生しても白スジ/黒スジ等による画質の低下を抑制できる。
図25には、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置112が示されている。インクジェット記録装置112の筐体114内の下部には給紙トレイ116が備えられており、給紙トレイ116内に積層された用紙Pをピックアップロール118で1枚ずつ取り出すことができる。取り出された用紙Pは、所定の搬送経路122を構成する複数の搬送ローラ対120で搬送される。以下、単に「搬送方向」というときは、記録媒体である用紙Pの搬送方向をいい、「上流」、「下流」というときはそれぞれ、搬送方向の上流及び下流を意味するものとする。
給紙トレイ116の上方には、駆動ロール124及び従動ロール126に張架された無端状の搬送ベルト128が配置されている。搬送ベルト128の上方には記録ヘッドアレイ130が配置されており、搬送ベルト128の平坦部分128Fに対向している。この対向した領域が、記録ヘッドアレイ130からインク滴が吐出される吐出領域SEとなっている。搬送経路122を搬送された用紙Pは、搬送ベルト128で保持されてこの吐出領域SEに至り、記録ヘッドアレイ130に対向した状態で、記録ヘッドアレイ130から画像情報に応じたインク滴が付着される。
そして、用紙Pを搬送ベルト128で保持した状態で周回させることで、吐出領域SE内に複数回通過させて、いわゆるマルチパスによる画像記録を行うことも可能となっている。もちろん、用紙Pを吐出領域SE内に1回のみ通過させて、いわゆる1パスで画像記録を行っても良い。
なお、搬送ベルト128は、一例として、半導電性ポリイミド材(表面抵抗値1010〜1013Ω/□、体積抵抗値109〜1012Ω・cm)を、厚さ75μm、幅380mm、周長1000mmに成形したものを使用できる。また、駆動ロール124及び従動ロール126としては、一例として、φ50mmのSUSロールを使用できる。
なお、搬送ベルト128に代えて、たとえば円筒状あるいは円柱状に形成された搬送ローラの外周に、記録媒体(用紙P)を吸着保持して回転させる構成でもよい。ただし、本実施形態のように搬送ベルト128を使用すると平坦部分128Fが構成されるので、この平坦部分128Fに対応させて記録ヘッドアレイ130を配置でき、好ましい。
記録ヘッドアレイ130は、本実施形態では、有効な記録領域が用紙Pの幅(搬送方向と直交する方向の長さ)以上とされた長尺状で、いわゆるFWA(Full Width Array)となっている。記録ヘッドアレイ130内には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つのインクジェット記録ヘッド34が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像を記録可能になっている。それぞれのインクジェット記録ヘッド34は、後述するように複数のヘッドユニット12を千鳥配置することで構成されている。なお、ヘッドユニット12においてインク滴を吐出する方法は特に限定されず、いわゆるサーマル方式や圧電方式等、公知のものを適用できるが、本実施形態では、圧電方式としている。
各ヘッドユニット12は、図示しない記録ヘッド制御手段によって制御されるようになっている。記録ヘッド制御手段は、たとえば、画像情報に応じてインク滴の吐出タイミングや使用するインク吐出口(ノズル)を決め、駆動信号をヘッドユニット12に送る。
また、記録ヘッドアレイ130は、搬送方向と直交する方向に不動とされていてもよいが、必要に応じて移動するように構成しておくと、マルチパスによる画像記録で、より解像度の高い画像を記録したり、ヘッドユニット12の不具合を記録結果に反映させないようにしたりできる。
記録ヘッドアレイ130の近傍(本実施形態では搬送方向の両側)には、それぞれのインクジェット記録ヘッド34に対応した4つのメンテナンスユニット134が配置されている。インクジェット記録ヘッド34に対してメンテナンスを行う場合には、図2に示すように、記録ヘッドアレイ130が上方へ移動し、搬送ベルト128との間に構成された間隙にメンテナンスユニット134が移動して入り込む。そして、ノズル面(図3参照)に対向した状態で、所定のメンテナンス動作(バキューム、ダミージェット、ワイピング、キャッピング等)を行う。
なお、本実施形態では、4つのメンテナンスユニット134を2つずつの2組に分割し、記録ヘッドアレイ130、画像記録時には記録ヘッドアレイ130の上流側及び下流側にそれぞれ配置されるようにしている。
記録ヘッドアレイ130の上流側には、図示しない電源が接続された帯電ロール136が配置されている。帯電ロール136は、従動ロール126との間で搬送ベルト128及び用紙Pを挟みつつ従動し、用紙Pを搬送ベルト128に押圧する押圧位置と、搬送ベルト128から離間した離間位置との間を移動可能とされている。押圧位置では、接地された従動ロール126との間に所定の電位差が生じるため、用紙Pに電荷を与えて搬送ベルト128に静電吸着させることができる。
帯電ロール136としては、例えば、シリコーンゴムの表面に導電性カーボンを被覆し、体積抵抗値106〜107Ω・cm程度に調整したφ14mmのロールを使用することができる。
また、電源は、用紙Pを所定電位に帯電させることが可能であれば、直流電源でも交流電源でもよい。
なお、帯電ロール136よりもさらに上流側には、図示しないレジロールが設けられており、用紙Pが搬送ベルト128と帯電ロール136との間に至る前に位置合わせされる。
記録ヘッドアレイ130の下流側には、剥離プレート140が配置されており、用紙Pを搬送ベルト128から剥離することができる。剥離プレート140としては、たとえば、厚さ0.5mm、幅3130mm、長さ100mmのアルミプレートを使用することができる。
剥離された用紙Pは、剥離プレート140の下流側で排出経路144を構成する複数の排出ローラ対142で搬送され、筐体114の上部に設けられた排紙トレイ146に排出される。
剥離プレート140の下方には、駆動ロール124との間で搬送ベルト128を挟持可能なクリーニングロール148が配置されており、搬送ベルト128の表面をクリーニングするようになっている。
給紙トレイ116と搬送ベルト128の間には、複数の反転用ローラ対150で構成された反転経路152が設けられており、片面に画像記録された用紙Pを反転させて搬送ベルト128に保持させることで、用紙Pの両面への画像記録を容易に行えるようになっている。
搬送ベルト128と排紙トレイ146の間には、4色の各インクをそれぞれ貯留するインクタンク154が設けられている。インクタンク154のインクは、図示しないインク供給配管をによって、記録ヘッドアレイ130に供給される。インクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、公知の各種インクを使用できる。
図1には、本発明の第1実施形態のインクジェット記録ヘッド34の概略構成が示されており、また図2には、このインクジェット記録ヘッド34が斜視図にて示されている。さらに図3には、インクジェット記録ヘッド34を構成するヘッドユニット12が部分的に拡大して示されている。
図2に示すように、インクジェット記録ヘッド34は、記録媒体としての用紙Pの最大幅よりも長くされている。このインクジェット記録ヘッド34は複数の長方形状のヘッドユニット12で構成されており、各ヘッドユニット12は、搬送される用紙P(図1参照)の上流側と下流側とで半ピッチずらして、千鳥状に2列配置されている。なお、以下では、単に「長手方向」、「幅方向」というときは、長尺型ヘッド34の長手方向及び幅方向を意味するものとする。
図1及び図2に示すように、ヘッドユニット12には、複数のイジェクタが配列された長方形状のイジェクタ領域(イジェクタ群の配列部)14が形成されている。イジェクタ領域14には、イジェクタ毎にノズル16(図3、図4〜図6参照)が形成されている。
この記録ヘッドアレイ130が搭載されたインクジェット記録装置112では、図1に示すように、ヘッドユニット12のイジェクタ領域14との対向部に用紙Pが所定ピッチで矢印方向に搬送され、ノズル16から画像情報に応じたインク滴が吐出される。したがって、画像記録が完了した用紙P上では、記録ヘッドアレイ130の用紙搬送方向上流側に位置するイジェクタ領域14Aによって記録された領域と、記録ヘッドアレイ130の用紙搬送方向下流側に位置するイジェクタ領域14Bによって記録された領域とが、用紙Pの幅方向に沿って交互に並ぶこととなる。ここで、搬送される用紙Pの幅方向で隣り合うヘッドユニット12同士では、イジェクタ領域14A、14Bの端部が紙送り方向に見て互いに接する(若しくはオーバーラップする)ように配置されており、印字領域内で印字できない領域が発生しないようにしている。なお、第1実施形態は、イジェクタ領域14A、14Bの端部が紙送り方向に見て互いに接する例であり、後述する第2〜第5実施形態は、こられがオーバーラップする例である。
このように、複数のヘッドユニット12を用紙Pの幅方向に沿って並べ、印字領域を構成することで、記録ヘッドアレイ130は用紙Pの幅方向に沿って移動する必要はなく、用紙Pの移動によって用紙Pの全面に画像が形成されるため、高い生産性を得ることができる。なお、多色画像を形成する際には、図25にも示すように、異なる色のインクが収容された複数のインクジェット記録ヘッド34を用紙Pの搬送方向に並べて配置すればよい。
また、図2に示すように、ヘッドユニット12のイジェクタ領域14A、14Bの反対側には、ヘッドユニット12を固定するベース板18が配設されている。このベース板18には、2列のヘッドユニット12へそれぞれインクを供給する2本のインク流路20が形成されている。ベース板18の背面側両端部には2枚の放熱板22が取り付けられており、この放熱板22に記録ヘッドアレイ130の駆動を制御するコントローラである回路基板24が配設されている。また、各ヘッドユニット12(図2の前方側)と回路基板24とを接続する電気配線26がベース板18の側部に支持されており、電気配線26にはスイッチIC28が設けられている。なお、図示を省略するが、図2の奥側にも同様に、各ヘッドユニット12(図2の後方側)と接続される電気配線26、スイッチIC28、回路基板24が設けられている。
図1に示すように、ヘッドユニット12の長手方向両端部には、イジェクタ領域14の両端部(ヘッドユニット12の長手方向の両端部)の外側に上流側流路30A、30Bが配設されている。上流側流路30A、30Bはインク流路20(図2参照)と接続されており、インク流路20から上流側流路30A、30Bを通してヘッドユニット12にインクが供給されるようになっている。また、上流側流路30A、30Bには、イジェクタ領域14に配列された各イジェクタにインクを供給する複数の共通流路32がそれぞれ接続されている。複数の共通流路32はヘッドユニット12の両端部から長手方向に沿って延びており、共通流路32はイジェクタ領域14の中央部で分割されている。すなわち、共通流路32の末端部はヘッドユニット12の中央部付近に位置している。なお、図1では、分かり易くするために上流側流路30A、30Bに4本の共通流路32が接続され模式的に示されているが、実際には、後述するようにノズル数は例えば600npiであり、多数の共通流路32が接続される構成となっている。
図3及び図4に示すように、ヘッドユニット12は、マトリックス状に複数開けられたインク滴を吐出するノズル16と、インクを加圧することによって連通するノズル16からインク滴を吐出する圧力室36と、先述の共通流路32(図1参照)とを備えている。そして、ノズル16と圧力室36とを連通するノズル連通室38と、共通流路32の開口部40と圧力室36とを連通するインク供給路42とを備えており、これらノズル16、圧力室36と、ノズル連通室38、インク供給路42とによって、イジェクタ60が構成されている。
また、ヘッドユニット12は、ノズル16が形成されたノズルプレート44と、ノズル連通室38と共通流路32が形成されたインクプールプレート46、48と、ノズル連通室38と開口部40が形成されたスループレート50と、インク供給路42が形成されたインク供給路プレート52と、圧力室36が形成された圧力室プレート54とが位置合わせして積層され、接着剤などの接合手段によって接合されている。
さらに、圧力室プレート54には、複数の圧力室36の上面を覆うように振動板57が接着され、振動板57の上面には各圧力室36に対応して圧電素子58が接着されている。圧電素子58には電極パッド59を介して電気配線26(図2参照)が接続される。
なお図4では、インクジェット記録ヘッド12の断面に合わせて、圧電素子58及び電極パッド59の向きを、実際のものから変更しているが、実際は図3に示すように、中心線CLに対して傾斜している。
ノズルプレート44は、可撓性を有する樹脂材料によってフィルム状(薄膜状)に形成されており、図4からも分かるように、共通流路32の1つの面(図4では底面)を構成している。したがって、ノズルプレート44のうち、共通流路32を構成している部分は、共通流路32のダンパ44Dとして機能しており、ノズルプレート44はダンパ44Dを兼ねていることになる。
なお、ノズルプレート44のインク滴の吐出側には、ノズル16の周囲を保護する保護プレートを必要に応じて接合してもよい。
図5に示すように、ノズル16は、ヘッドユニット12のそれぞれにおいて、二次元的に平面配列(マトリックス配列)されている。そして、各ヘッドユニット12の長手方向中心線CL−1から遠い位置にあるノズル16A、16Bから吐出されるインク滴のドットと、近い位置にあるノズル16C、16Dから吐出されるインク滴のドットとが、インクジェット記録ヘッド34の長手方向に見て用紙P上で混在して並ぶようにノズル16が配置されている。
また、インクジェット記録ヘッド34の長手方向に隣接するヘッドユニット12間において、この繋ぎ目13に位置するノズル16が、幅方向に近接するように、ぞれぞれのヘッドユニット12内でノズル16が配置されている。たとえばヘッドユニット12Aとヘッドユニット12Bの間では、これらの繋ぎ目13に位置するヘッドユニット12Aのノズル16Bとヘッドユニット12Bのノズル16Aとは、幅方向に近接している。
図3に示すように、イジェクタ60は、隣接する2列ずつで組とされ、組内の中央、すなわち、ぞれぞれの列の間に共通流路32が配置されている。したがって、共通流路32は、2列のイジェクタ列に共通で備えられていることになる。
このように、共通流路32を2列のイジェクタ列の間に配置したことで、図6に示すように1列のイジェクタ列のそれぞれに対応して共通流路32’を配置した構成と比較して、その幅を広くすることが可能になっている。
また、イジェクタ60のそれぞれのノズル16は、共通流路32の中心線CLから見て、外側、すなわち中心線CLから離れた位置になるように配置されている。したがって、たとえばノズル16を中心線CLの近傍に配置した例と比較して、対象列間でのノズル16の間隔が広くあいている。一般に、共通流路32はノズル16を回避して形成する必要があるが、本実施形態では、ノズル16の間隔が広いので、これらノズル16の間の共通流路32を、より幅広とすることができる。
ここで、ヘッドユニット12のインク滴が吐出する方向を垂直方向とすると、この垂直方向に見たとき(すなわち図3示すように平面視したとき)、共通流路32がインク供給路42と重なって配置されている。したがって、共通流路32をインク供給路42と重ならないように配置した構成と比較して、イジェクタ60の配置密度を低下させることなく、共通流路32の幅を広く確保することが可能になっている。
さらに、共通流路32は、電極パッド59とも重なるように配置されている。したがって、共通流路32を電極パッド59と重ならないように配置した構成と比較して、イジェクタ60の配置密度を低下させることなく、共通流路32の幅を広く確保することが可能になっている。
また、このヘッドユニット12では、イジェクタ領域14に配列されるノズル16の列数が2のべき乗に設定されている。また、イジェクタの数を2のべき乗に設定してもよい。これにより、ヘッドユニット12を駆動する回路基板(コントローラ)24のデータ処理を単純化することができ、回路基板24のコストを低減することができる。
また、各ヘッドユニット12は、完全に分離されており、ヘッドユニット12ごとに交換可能に構成されている。このため、メンテナンスが容易となっている。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置112及び記録ヘッドアレイ130の作用について説明する。
本実施形態のインクジェット記録装置112では、上記したように、給紙トレイ116から取り出された用紙Pが搬送され、搬送ベルト128に至る。そして、帯電ロール136によって搬送ベルト128に押し付けられると共に、帯電ロール136からの印加電圧によって搬送ベルト128に吸着(密着)して保持される。
一方、図1に示すように、記録ヘッドアレイ130のインクジェット記録ヘッド34を構成しているそれぞれのヘッドユニット12では、その両端部に設けられた上流側流路30A、30Bから複数の共通流路32にインクが供給される。共通流路32に貯留されたインクはイジェクタ領域14の各イジェクタ60に供給され、図3に示すように、開口部40及びインク供給路42を経て圧力室36内に充填される。そして、回路基板24(図2参照)から各圧電素子58に駆動電圧を印加すると、圧電素子58とともに振動板57が撓み変形し、圧力室36を膨張又は圧縮させる。これによって圧力室36に体積変化が生じると、圧力室36内に圧力波が発生する。この圧力波の作用によってインクが運動し、ノズル16から外部へインク滴が吐出される。
そして、搬送ベルト128の循環によって用紙Pが吐出領域SEを通過しつつ、記録ヘッドアレイ130から上記のようにインク滴が吐出されて、用紙P上に画像が記録される。1パスのみで画像記録する場合には、剥離プレート140で用紙Pを搬送ベルト128から剥離し、排出ローラ対142で搬送して排紙トレイ146に排出する。これに対し、マルチパスで画像記録を行う場合には、必要な回数に達するまで用紙Pを周回させて吐出領域SEを通過させた後、剥離プレート140で用紙Pを搬送ベルト128から剥離し、排出ローラ対142で搬送して排紙トレイ146に排出する。
ここで、図5に示すように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド34では、隣接するヘッドユニット12の繋ぎ目13に位置するノズル16が幅方向に近接するように、ぞれそれのヘッドユニット12内でノズル16が配置されている。このため、インクジェット記録ヘッド34にθズレが発生した場合でも、これに起因する画質の低下が防止されることになる。
図7には、比較のために、本発明に該当しないインクジェット記録ヘッド172が示されている。この比較例1のインクジェット記録ヘッド172のヘッドユニット174内では、ノズル176が、長手方向(図7では左から右)に向かうに従って順に下側から上側へと移動(176D→176C→176B→176A)し、最上のノズル176Aに至ると、最下のノズル16に移行する規則的なノズル配置とされている。そして、隣接するヘッドユニット174の繋ぎ目173では、ノズル176の間隔が幅方向に広くあいてしまっている。
比較例1のインクジェット記録ヘッド172においてθズレが発生すると、繋ぎ目173では、ヘッドユニット174間のドット位置ズレが大きくなる。一般には、θズレの傾き角θが十分小さいため、このドット位置ズレのズレ量δは、ノズル間距離をyとして、
δ=y・sinθ
で近似できる。たとえば傾き角θが0.05度のときを考えると、比較例1では繋ぎ目173でのノズル間距離yが70mm程度であるため、ズレ量δも60μm程度となり、いわゆる白スジ/黒スジ等として視認されることがある。
これに対し、本実施形態では、繋ぎ目13でのノズル間距離yが15mm程度と比較例1より小さいので、同様の傾き角のθズレが発生しても、ズレ量δは13μm程度に収めることが可能となり、上記の白スジ/黒スジ等による画質の低下を防止することができる。特に、本発明のインクジェット記録装置112において、マルチパスではなく1パスで画像記録を行っても、画質の低下を防止できる。しかも、1パスなので、高速で画像記録できる。
なお、本発明において、ヘッドユニット12の繋ぎ目13でノズル16が「近接」しているとは、少なくとも、図7に示した比較例1のような、2つのノズル176が幅方向に最も離れた位置にある構成を除く趣旨である。すななち、この要件を満たすノズル配置であれば、本発明における「近接」の概念に広く含まれる。ただし、上記したように、θズレに起因するドット位置ズレのズレ量δを小さくする観点からは、少なくともヘッドユニット12の幅よりも小さいことが好ましく、ノズル間の距離yが30mm以下とされていることがより好ましい。
また、比較例1では上記したように、ノズル176をヘッドユニット174内で規則的な配置としたため、ヘッドユニット174内で隣接するノズル176間の距離にも、図7(B)に示すように規則的な変化が存在している。したがって、インクジェット記録ヘッド172にθズレが生じた場合の、隣接するドット間での位置ズレ量δは、たとえば隣接ノズル間距離yが30mm、傾き角θが0.05度の場合で26μmとなる。この値は、繋ぎ目17でのドット位置ズレのズレ量δ(60μm程度)と比較して小さいが、これが、周期的に繰り返されるため、場合によっては、人間の目に視認しやすい画像結果となることもあり、わずかに画質を低下させる要因となる。
これに対し、本実施形態では、ヘッドユニット12内において、長手方向中心線CL−1から遠い位置にあるノズル16A、16Bのドットと、近い位置にあるノズル16C、16Dのドットとが、混在して並ぶようにノズル16が配置されており、ヘッドユニット12内で隣接するノズル16間の距離の規則性が、図5(B)に示すように緩和されている。このため、インクジェット記録ヘッド34がθズレを生じた場合でも、上記したドット位置ズレが分散的に生じるため、画像欠陥として認識されにくくなり、画質の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態において、ヘッドユニット14の繋ぎ目13の部分のみ、シングリング処理を施してもよい。これにより、ヘッドユニット間のアライメントずれに対するロバスト性を向上させることができ、インクジェット記録ヘッド34の製造歩留まりを向上させることが可能となる。
また、図3に示すように、本実施形態の共通流路32は、2つのインクジェッタ列の間で、これら2列のイジェクタ列のそれぞれのイジェクタ60に共通で配置されている。1列のイジェクタ列のそれぞれに対応して共通流路を配置した構成(図6の共通流路32’を参照)と比較して、その幅が広くなっており、音響容量も大きくなっているので、イジェクタ60間でもクロストークをより確実に防止できると共に、圧力室36へのインク供給(リフィル)をより円滑に短時間で行うことが可能となり、優れた吐出安定性を得ることができる。
特に、本実施形態では、ノズルプレート44の一部がダンパ44Dとして機能するが、一般に、共通流路32の音響容量は、ダンパ44Dの幅の6乗に比例する。このため、共通流路32を幅広とすることで、結果的にダンパ44Dも幅広とした本実施形態では、共通流路32に大きな音響容量を確保できる。
そして、このように、2列のイジェクタ列の間に幅広の共通流路32を配置したことで、1列のイジェクタ列に、本実施形態と同様の幅を有する共通流路を配置した構成と比較して、イジェクタ60、すなわちノズル16をより高密度に配置することが可能になっている。すなわち、共通流路32に十分な音響容量を確保しつつ、ノズル16を高密度に二次元配列して、高画質な画像を高速で記録することが可能になっている。
また、本実施形態のヘッドユニット12では、図1に示すように、ヘッドユニット12の両端部の上流側流路30A、30Bに複数の共通流路32が接続され、長手方向に沿って配置されているので、インクジェット記録ヘッド34の平面積に対してスペースの大きい上流側流路30A、30Bと共通流路32を記録ヘッドアレイ130のサイズを増加することなく効率的に配置することができる。しかも、本実施形態では上記したように、共通流路32に十分な音響容量を確保しつつ、ノズル16を高密度配置することが可能なので、この点においても、ヘッドユニット12の幅を小さくすることができる。このため、インクジェット記録ヘッド34、さらには記録ヘッドアレイ130のヘッド幅(WH)を小さくすることができ、記録ヘッドアレイ130の小型化を実現できる。これにより、複数色のヘッドユニット12間(インクジェット記録ヘッド34間)での色ずれ等の発生を防止できると共に、インクジェット記録装置112全体の小型化を図ることができる。
また、上流側流路30A、30Bに接続された共通流路32はイジェクタ領域14の中央部で分割されており、共通流路32が長くなるのを防止できる。このため、共通流路32の流路抵抗を低減することができ、各イジェクタ60に高い吐出安定性及び周波数特性を確保することができる。
次に、本発明の第2実施形態のインクジェット記録ヘッド312について説明する。なお、以降の各実施形態では、第1実施形態と比較して、ノズルの配置が異なっているが、インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置の全体構成は略同一とされているので、説明を省略する。
図9にも示すように、第2実施形態では、ヘッドユニット314内においてノズル316が、長手方向(図9では左から右)に向かうに従って順に下側から上側へと移動し、最上のノズル316に至ると、最下のノズル316に移行する規則的なノズル配置とされている
また、第2実施形態では、図8(A)に示すように、隣接するヘッドユニット314の繋ぎ目に、幅方向に見たときにノズル316がオーバーラップするオーバーラップ領域318が構成されている(オーバーラップ領域を構成するノズルを、図面上では網点を付して表示している)。このため、オーバーラップ領域318を構成しているノズル316に不具合が発生しても、同じくオーバーラップ領域318を構成すると共に不具合が発生していない別のノズル316を使用することで、不具合の影響を無くす(若しくは少なくする)ことが可能になる。
さらに、第2実施形態では、特定のヘッドユニット314に着目したとき、オーバーラップ領域318に隣接するノズル316Aが、オーバーラップ領域318の端部に位置するノズル316Bと幅方向に近接した位置となるようにオーバーラップ量を調整して、各ヘッドユニット314が配置されている。
このため、θズレが発生したときに、オーバーラップ領域318の境界部分で発生する白スジや黒スジ等を抑制し、高画質の画像を得ることができる。
また、一般にヘッドユニットの取り付け精度が低い場合には、オーバーラップ領域の境界部分において、隣接するヘッドユニット314間でインク滴の噴射特性差が影響すると、白スジや黒スジが発生しやすくなる。しかし、本実施形態では、このような場合であっても、オーバーラップ領域318の境界部分での、白スジや黒スジの発生を小さく押されることができる。
なお、図8(B)には比較のために、図8(A)と同様のヘッドユニット314を使用しているが、オーバーラップ領域318に隣接するノズル316Cが、オーバーラップ領域318の端部に位置するノズル316Dと幅方向に離間している例が示されている。この比較例2では、θズレが発生したときに、オーバーラップ領域318の境界部分で発生する白スジや黒スジ等を抑制することは困難となる。
次に、本発明の第3実施形態のインクジェット記録ヘッド322について説明する。
図10に示すように、第3実施形態においても、隣接するヘッドユニット324でオーバーラップ領域328が構成されるようにヘッドユニット324が配置されている。
また、図11に示すように、第3実施形態では、図9に示した第2実施形態のノズル配置に加えて、長手方向の一端且つ幅方向の一端にもノズル326Bが形成された配置とされている。
そして、ヘッドユニット324が、交互に180度反転されながら長手方向に沿って千鳥配置され、インクジェット記録ヘッド322が構成されている。
また、オーバーラップ領域328内において、このオーバーラップ領域328の端部でオーバーラップしているノズルどうし(図10のノズル326Aとノズル326B)の幅方向の距離L1が、同一のオーバーラップ領域328において、これらよりも内側でオーバーラップしているノズルどうし(ノズル326Cとノズル326D)の幅方向の距離L2よりも小さくなるようにオーバーラップされている。
このように、第3実施形態では、オーバーラップ領域328の端部(境界部分)において、隣接するヘッドユニット324でオーバーラップするノズル326A、326Bの距離が小さくなっており、これらノズル326A、326Bが、ヘッドユニット取付時の位置ズレ(とくにθズレ)による影響を受けにくい配置になっている。このため、インクジェット記録ヘッド322全体としても、オーバーラップ領域328の端部(境界部分)での白スジ/黒スジ等の発生を抑制しやすくなる。
次に、本発明の第4実施形態のインクジェット記録ヘッド332について説明する。なお、第4実施形態での、ヘッドユニット334内のノズル配置は第3実施形態と同一とされている。また、隣接するヘッドユニット334でオーバーラップ領域338が構成されており、オーバーラップ領域338の端部のノズル336と、隣接するヘッドユニット334内でオーバーラップ領域338に隣接するノズル336とが近接している(たとえば図12(A)の例では、ノズル336Dとノズル336Eとが近接している)。
したがって、第4実施形態においても、第3実施形態と同様に、オーバーラップ領域338の端部(境界部分)でノズル336D、336Eの幅方向の距離が小さくなっているので、白スジ/黒スジ等の発生を抑制しやすくなる。
さらに第4実施形態では、図12(B)に示すように、オーバーラップ領域338に隣接するノズル336Cが、このノズル336Cと同一のヘッドユニット334B内での、オーバーラップ領域338の端部のノズル336B及び、隣接するヘッドユニット334A内でのオーバーラップ領域338の端部のノズル336Aの間(幅方向に見たときの間)に位置している。そして、ノズル336Cとノズル336Aとの幅方向の距離L2と、ノズル336Cとノズル336Bとの幅方向の距離L3とが略等しくなるように、ヘッドユニット334が配置されている。
このため、第4実施形態では、図12(C)に示すように、θズレによってノズル16の位置が全体的にすれた場合でも、オーバーラップ領域338の境界において、ノズル336Cとノズル336Bとの長手方向の距離L5と、ノズル336Cとノズル336Aとの長手方向の距離L4の平均が、これらの本来の距離(θズレが発生していない状態での距離)に近くなる。したがって、ノズル336A、336Bで構成されるドットのラインと、ノズル336Cで構成されるドットのラインの間に発生する白スジ/黒スジ等が軽減される。
なお、第4実施形態において、少なくとも、ノズル336Cが、幅方向に見てノズル336Aとノズル336Bの間にあれば、たとえば、ノズル336Dとノズル336Eとが近接していない構成であっても、上記の効果は発揮される。しかしながら、ノズル336A、336Bでのドットのラインと、ノズル336Cでのドットのラインの間に発生する白スジ/黒スジ等をより確実に軽減させるためには、上記の距離L2と距離L3とが略等しいこと、たとえば、0.8<L2/L3<1.2の範囲内にあることが好ましい。
次に、本発明の第5実施形態のインクジェット記録ヘッド342について説明する。
図14に示すように、第5実施形態に係るヘッドユニット344では、第1実施形態と同様、長手方向中心線CL−1から遠い位置にあるノズル326A、326Bから吐出されるインク滴のドットと、近い位置にあるノズル346C、346Dから吐出されるインク滴のドットとが、インクジェット記録ヘッド34の長手方向に見て用紙P上で混在して並ぶようにノズル346が配置されている。
また、図13(A)に示すように、第3実施形態や第4実施形態と同様、隣接するヘッドユニット344でオーバーラップ領域348が構成されており、オーバーラップ領域348の端部において、ノズル(図13(A)のノズル346Cとノズル346D)とが近接するように、ヘッドユニット344が配置されている。
したがって、第5実施形態においても、第1実施形態と同様に、インクジェット記録ヘッド342がθズレを生じた場合に、ドット位置ズレが分散的に生じ、画像欠陥として認識されにくくなるので、画質の低下を抑制することができる。
また、第3実施形態や第4実施形態と同様に、オーバーラップ領域348の端部(境界部分)でノズル346C、346D間の距離が小さくなっているので、白スジ/黒スジ等の発生を抑制しやすくなる。
なお、図13(B)には、比較のために、第5実施形態と同様のヘッドユニット344を使用しているが、本発明には該当しない例が示されている。この比較例3では、オーバーラップ領域348の境界において、ノズル346A’、346B’が幅方向に離れている。このため、図13(A)に示した例と異なり、白スジ/黒スジ等の発生を抑制することが難しい。
なお、上記各実施形態において、ダンパの材質としては、共通流路32で大きな音響容量を得る観点から、たとえば樹脂フィルムで構成することが好ましい。
また、本発明に係るダンパとして、ノズルプレート44の一部がダンパを兼ねているものを例に挙げたが、ノズルプレート44とは別体のダンパを設けてもよい。いずれにしても、共通流路の天面又は底面の少なくとも一方がダンパとされていると、共通流路の音響容量を確実に大きくすることができる。
また、上記実施形態のように、ノズルプレート44がダンパを兼ねるようにすると、イジェクタ60を構成するために必要なプレート数が少なくなるので、ヘッドユニットの製造コストを低減でき、好ましい。この場合には、ノズルプレート44自体を樹脂フィルムで構成すれば、共通流路での十分な音響容量の確保と、上記したプレート数の削減とを両立でき、特に好ましい。
つぎに、以下において、本発明での各種変形例を説明する。いずれの変形例においても、ヘッドユニット間でのノズルの繋ぎ目あるいはオーバーラップ領域近傍において、θズレによる白スジ/黒スジ等による画質低下を防止した点は上記各実施形態と同様であり、第1〜第3実施形態の任意の構造を採用することができるが、共通流路や上流側流路の構成が、図1、図3及び図4等に示したものとは異なっている。以下では、上記各実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図15には、第1変形例のヘッドユニット62が部分的に拡大して示されている。
第1変形例に係る共通流路64は、平面視したときにノズル16を回避する位置では、第1実施形態の共通流路32と比較して、さらに中心線CLから外側に膨出して、ノズル16よりも外側に位置するように形成されており、全体として、ノズル16の近傍部分で局所的にくびれた形状となっている。
したがって、第1変形例では、上記各実施形態と比較して、ノズル16を回避した位置において、共通流路64の幅がより広くなっている。このため、第1変形例では、さらに大きな音響容量を確保することができる。
図16には、本発明の第2変形例のヘッドユニット66が部分的に拡大して示されている。第2変形例では、第1実施形態と比較して、共通流路32から圧力室36へとインクを供給する部分の構造のみが異なっているが、他はすべて同一構成とされているので、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図16に示すように、第2変形例では、第1実施形態のインク供給路42に代えて、共通流路32と圧力室36とをヘッドユニットの厚み方向に連通するインク供給孔68が形成されている。インク供給孔68は、平面視したときにインク供給路42のような広がり(長さ)をもたないので、さらにヘッドユニットを小型化することが可能になる。
なお、図16に示した例では、第2変形例の共通流路として、第1実施形態と同一形状の共通流路32を挙げたが、たとえば、第1変形例と同一形状の共通流路64でもよい。
図17には、第3変形例のインクジェット記録ヘッド70が示されている。このインクジェット記録ヘッド70では、ヘッドユニット12のそれぞれの長手方向両端部のイジェクタ領域14の外側に、2つに分割された上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bが配設されている。また、イジェクタ群14もヘッドユニット12内で実質的に分割され、分割領域14−1、14−2が構成されている。そして、上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bには、それぞれ各イジェクタ60にインクを供給する複数の共通流路32が接続されている。
このようなインクジェット記録ヘッド70では、ヘッドユニット12の両端部に2つに分割された上流側流路72A、74A及び上流側流路72B、74Bが配置されているので、上流側流路72A、72Bと上流側流路74A、74Bに別の種類のインクを充填することで、1本のインクジェット記録ヘッド70で2色の記録を実現することができる。
この構成では、特に、ノズル16を図5に示す配置とすれば、それぞれの分割領域でノズル16からのインク滴のドットが等間隔に並ぶので、好ましい。たとえば、分割領域14−1を構成するノズル16B、16Dと、分割領域14−2を構成するノズル16A、16Bとは、いずれも長手方向には等間隔になっている。したがって、このようにイジェクタ群14を2つに分割すると、たとえば全体で600npiのノズル密度を有するヘッドユニット12の場合には、各色ごとに300npiのノズル密度になる。
なお、図17では、2つに分割された上流側流路72A、74A及び上流側流路72B、74Bが配置されているが、3つ以上に分割して配置してもよい。これにより、1本の記録ヘッドで、より多くの色による画像記録を実現することができる。
図18には、第4変形例に係るヘッドユニット12を備えたインクジェット記録ヘッド80が示されている。このインクジェット記録ヘッド80では、ヘッドユニット12の両端部の上流側流路30A、30Bに、長手方向に沿って長い共通流路82と短い共通流路84とが交互に接続されている。このため共通流路82、84の末端部がヘッドユニット12の長手方向中央部で不均一な位置となっている。
このようなインクジェット記録ヘッド80では、共通流路82、84の長さが異なることで、共通流路82、84の末端部が用紙の幅方向で同じ位置となることが少ない。このため、ヘッドユニット12の長手方向に沿った濃度むらの発生を低減することができる。
図19には、本発明の第5変形例に係るヘッドユニット12を備えたインクジェット記録ヘッド90が示されている。このインクジェット記録ヘッド90では、ヘッドユニット12のイジェクタ領域14の長手方向外側に、2つに分割された上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bが配置されており、これらの上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bのさらに外側に、ヘッド構成要素である複数の吸着穴92とアライメントマーク94、96が配設されている。吸着穴92はインクジェット記録ヘッド90を製造する際にノズルプレート44やインクプールプレート46などのヘッドユニット12の構成プレートを積層して吸着するために使用される。また、アライメントマーク94、96はインクジェット記録ヘッド90を製造する際にヘッドユニット12の位置出し用に使用される。
このようなインクジェット記録ヘッド90では、吸着穴92とアライメントマーク94、96を上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bの外側に配設することで、長尺のインクジェット記録ヘッド90の平面積に対して最も効率的に吸着穴92とアライメントマーク94、96を配置することができる。このため、インクジェット記録ヘッド90のヘッド幅(WH)を一層小さくすることができる。
また、複数のヘッドユニット12は、一部の構成プレート(例えばノズルプレート44)を一体に構成したバー構造としてもよい。これにより、インクジェット記録ヘッド90の製造が容易となる。
図20には、本発明の第6変形例に係るヘッドユニット102を備えたインクジェット記録ヘッド100が示されている。このインクジェット記録ヘッド100では、複数のヘッドユニット102が千鳥状に配置されており、各ヘッドユニット102には、長手方向と直交する幅方向で隣接する他のヘッドユニット102の間に延設された支持部104が備えられている。また、各ヘッドユニット102には、長手方向と直交する幅方向(千鳥配置された他の列側)に電気配線106が引き出されており、電気配線106は支持部104に支持されている。この電気配線106は、支持部104の上方部、すなわち長手方向と直交する幅方向で隣接する他のヘッドユニット102と重なり合う部分で上方に折り曲げられ、折り曲げ部106Aが構成されている。
このように各ヘッドユニット102では、千鳥配置された他の列のヘッドユニット102の間の支持部104に電気配線106が引き出され、この支持部104の上方部で電気配線106が折り曲げられることで、電気配線106を効率よく配置することができる。このため、インクジェット記録ヘッド100のヘッド幅(WH)をさらに一層小さくすることができる。
以上、いずれの実施形態及び変形例においても、小型化、生産性、吐出安定性、濃度むらの低減、ロバスト性、イジェクタ利用率、コントローラコスト、及び多色対応など、記録ヘッドに求められる特性(要求事項)を高い次元で満たすことができる。
表1には、本発明のインクジェット記録ヘッド34、70、80、90、100、及び、後述する比較例4〜6の記録ヘッドについて、小型化、生産性、吐出安定性、濃度むらの低減、ロバスト性、イジェクタ利用率、コントローラコスト、及び多色対応など、記録ヘッドに求められる特性(要求事項)を評価した結果が示されている。
表1の評価において、本発明とは、上記した本発明の第1〜第5実施形態及び第1〜第6変形例のいずれをも含むものである。
また、比較例4は用紙Pの幅方向全体を一体に構成した長尺のヘッドユニット、比較例5は図21に示す台形状のヘッドユニットを配列したインクジェット記録ヘッド、比較例6は図22に示すインクジェット記録ヘッドを用いている。また、比較例7は図24に示すように、長方形のヘッドユニット252を斜め方向に複数配列したインクジェット記録ヘッド250を用いている。各ヘッドユニット252には長方形のイジェクタ領域254が形成されている。
表1の評価は4段階で行い、「◎」は極めて良好、「○」は良好、「△」はあまり満足できない、「×」は全く満足できないことを示している。
表1の評価において、イジェクタ利用率は、ヘッドバーの端部で使用不可となるイジェクタ数が少ないかどうか、コントローラコストは、データ処理の容易性を示している。
表1から、比較例4〜6のヘッドユニットでは、いずれかの特性(要求事項)で「×」又は「△」があり、満足できない評価であるのに対し、本発明第ヘッドユニットでは、すべての要求事項が「◎」又は「○」であり、優れた評価であることが分かる。特に、吐出安定性、イジェクタ利用率、及び多色対応性が非常に優れている。従って、本発明のヘッドユニットでは満足できる各種特性を得ることができる。
なお、上記各実施形態では、本発明の液滴吐出装置として、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインク滴を吐出するヘッドユニットを備えたインクジェット記録装置を挙げたが、本発明の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置は、記録用紙P上へ画像(文字を含む)を記録するものに限定されない。すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成したりする等、工業用に用いられる液滴吐出装置全般が広く含まれる。
また、これらの液滴吐出装置では、FWAに限らず、主走査機構と副走査機構を有するPartial Width Array(PWA)に本発明を適用してもよい。さらに、マルチパスタイプではなく、1パスタイプであってもよい。