本発明は上記事実を考慮し、高いノズル密度と、共通流路での十分な音響容量を両立することの可能な液滴吐出ヘッドと、この液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置を得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、ノズルから液滴を吐出する複数のイジェクタが二次元的に平面配列された液滴吐出ヘッドであって、複数の前記イジェクタに共通で液体を供給する共通流路が、隣接する2つのイジェクタ列の間に配置され、前記共通流路の天面又は底面の少なくとも一方が、可撓性を有するダンパとされていることを特徴とする。
すなわち、本発明の共通流路は、隣接する2つのイジェクタ列の間において、これらイジェクタ列にまたがるように配置されるため、共通流路の幅を大きく設定することができる。このため、共通流路の天面又は底面の少なくとも一方を構成するダンパに十分な音響容量を確保できる。
また、共通流路を、隣接する2つのイジェクタ列を構成するイジェクタに重ねて配置することが可能であるため、イジェクタの配列密度、すなわちノズル密度を高くしても、上記のように共通流路の幅を大きく設定して、十分な音響容量を確保できる。すなわち、高いノズル密度と、共通流路での十分な音響容量を両立することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記共通流路から液体が供給される2つのイジェクタ列のノズルが、共通流路の中心線から見て外側になるように配置されていることを特徴とする。
したがって、2つのイジェクタ列のノズルの間隔が大きくなるので、これらのノズルの間で共通流路の幅を広く確保できる。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記共通流路から前記イジェクタへと液体を供給する液体供給路が、隣接する前記2つのイジェクタ列の間に配置されていることを特徴とする。
したがって、共通流路は液体供給路とも重ねて配置されるので、イジェクタの配列密度を低下させることなく、共通流路の幅をより広く確保できる。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記イジェクタが、液体を貯留する圧力室と、電圧印加によって液体にエネルギーを作用させて液滴を吐出するアクチュエータと、前記アクチュエータに電圧を印加するための電極パッドと、を有し、前記電極パッドが、隣接する前記2つのイジェクタ列の間に配置されていることを特徴とする。
この液滴吐出ヘッドでは、電圧印加されたアクチュエータが、圧力室に貯留された液体にエネルギーを作用させてノズルから液滴を吐出させる。
共通流路は電極パッドとも重ねて配置されるので、イジェクタの配列密度を低下させることなく、共通流路の幅をより広く確保できる。
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記共通流路が、前記ノズルを回避した位置では共通流路の中心線から見てノズルよりも外側に膨出する形状とされていることを特徴とする。
すなわち、共通流路は、ノズルを回避した位置において、より広い幅を確保できる。このため、共通流路の音響容量をさらに大きくすることができる。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記ダンパが樹脂フィルムで構成されていることを特徴とする。
これにより、共通流路にさらに大きな音響容量を確保することが可能になる。
請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発明において、前記ノズルが形成されたノズルプレート、を備え、前記ダンパが前記ノズルプレートを兼ねていることを特徴とする。
これにより、ノズルプレートとダンパとを別部材とした構成と比較して、イジェクタを構成するプレートの数が少なくなるので、液滴吐出ヘッドの製造コストを低減することが可能となる。
請求項8に記載の発明では、前記請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを備えたことを特徴とする。
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを備えているので、高いノズル密度と、共通流路での十分な音響容量を両立することができる。
なお、本発明の液滴吐出ヘッドでは、複数のイジェクタで構成されるイジェクタ群を備えた液滴吐出ヘッドを複数列に千鳥配置することによって、全体として長尺型の液滴吐出ヘッド(以下、これを適宜「長尺型ヘッド」という)としてもよい。長尺型ヘッドでは、液滴吐出ヘッドのそれぞれについて、前記イジェクタ群の、長尺型ヘッド長手方向の両端部外側に上流側流路を配置し、前記共通流路を、この上流側流路に接続されるとともに、前記液滴吐出ヘッドの長手方向(すなわち長尺型ヘッドの長手方向)に沿って、且つ前記イジェクタ群の中央部で分割されるように複数設けてもよい。
この構成では、イジェクタ群を備えた液滴吐出ヘッドが複数列に千鳥配置されており、イジェクタ群の両端部の外側に上流側流路が配置されている。そして、両端部の上流側流路に複数の共通流路が接続され、複数の共通流路が液滴吐出ヘッドの長手方向に沿って配置されてイジェクタ群の中央部で分割されている。これにより、長尺型の液滴吐出ヘッドの平面積に対してスペースの大きい上流側流路と複数の共通流路を記録ヘッドのサイズを増加することなく効率的に配置することが可能となる。このため、長尺型の液滴吐出ヘッドの幅(長手方向と直交する方向の幅)を小さくすることができ、小型化を実現できる。また、共通流路はイジェクタ群の中央部で分割されているので、共通流路が長くなるのを防止できる。このため、共通流路の流路抵抗を低減することができ、各イジェクタに高い吐出安定性及び周波数特性を確保することが可能となる。
さらにこの長尺型ヘッドにおいて、前記イジェクタ群の両端部の外側に、前記液滴吐出ヘッドを構成する構成プレートを積層して吸着するための吸着穴、又は位置出し用のアライメントマークが配設されていてもよい。
この構成では、イジェクタ群の両端部の外側に、液滴吐出ヘッドを構成する構成プレートを積層して吸着するための吸着穴、又は位置出し用のアライメントマークを配設することで、長尺型ヘッドの平面積に対して最も効率的に吸着穴又はアライメントマークを配置することができる。このため、長尺型ヘッドの幅を一層小さくすることが可能となる。
さらにこの長尺型ヘッドにおいて、前記上流側流路が、前記イジェクタ群の両端部の外側に複数に分割されて配置されて構成としてもよい。
この構成では、上流側流路がイジェクタ群の両端部の外側に複数に分割して配置されており、分割された上流側流路にぞれぞれ別の種類の液体(例えばインク)を充填することで、1本の長尺型ヘッドで多色の記録を実現することが可能となる。
さらにこの長尺型ヘッドにおいて、前記液滴吐出ヘッドに配設された前記共通流路の長さが異なる構成としてもよい。
この構成では、共通流路の長さが異なるので、共通流路の末端部が記録媒体上の同じ位置にくることが少なく、長尺型ヘッドの長手方向に沿った濃度むらの発生を一層低減することが可能となる。
さらにこの長尺型ヘッドにおいて、前記液滴吐出ヘッドの長手方向と直交する幅方向に電気配線を引き出し、幅方向で隣接する他の液滴吐出ヘッドの列と重なり合う部分で前記電気配線が折り曲げられている構成としてもよい。
この構成では、各液滴吐出ヘッドの長手方向と直交する幅方向に沿って電気配線を引き出し、幅方向で隣接する他の液滴吐出ヘッドの列と重なり合う部分で電気配線を折り曲げることにより、各液滴吐出ヘッドの電気配線を効率よく配置できる。このため、液滴吐出ヘッドの幅をさらに一層小さくすることが可能となる。
さらにこの長尺型ヘッドにおいて、前記液滴吐出ヘッドの形状を略長方形又は略平行四辺形としてもよい。
この構成では、液滴吐出ヘッドの形状を略長方形又は略平行四辺形とすることで、千鳥配置した液滴吐出ヘッドの両端部(イジェクタ群の両端部の外側)に上流側流路や吸着穴又はアライメントマークを効率よく配置することができ、液滴吐出ヘッドの幅をさらに一層小さくすることが可能となる。
さらにこの長尺型ヘッドにおいて、前記液滴吐出ヘッド内に配列されるノズル列の数を2のべき乗に設定してもよい。
この構成では、液滴吐出ヘッド内に配列されるノズル列の数を2のべき乗に設定することにより、コントローラのデータ処理を単純化することができ、コントローラのコストを低減することが可能となる。
さらにこの長尺型ヘッドにおいて、前記液滴吐出ヘッド内で駆動されるイジェクタの数を2のべき乗に設定することを特徴としている。
この構成では、液滴吐出ヘッド内で駆動されるイジェクタの数を2のべき乗に設定することにより、コントローラのデータ処理を単純化することができ、コントローラのコストを低減することが可能となる。
さらにこの長尺型ヘッドにおいて、前記液滴吐出ヘッドがそれぞれ完全に分離されててもよい。
この構成では、液滴吐出ヘッドがそれぞれ完全に分離されているので、各液滴吐出ヘッドごとに交換が可能であり、メンテナンスが容易となる。
さらにこの長尺型ヘッドにおいて、前記液滴吐出ヘッドを構成する一部の構成プレートが一体のバー構造である構成としてもよい。
この構成では、液滴吐出ヘッドを構成する一部の構成プレートが一体のバー構造であるので、液滴吐出ヘッドの位置決め及び組立てが容易となる。
本発明は上記構成としたので、高いノズル密度と、共通流路での十分な音響容量を両立することができる。
図16には、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置112が示されている。インクジェット記録装置112の筐体114内の下部には給紙トレイ116が備えられており、給紙トレイ116内に積層された用紙Pをピックアップロール118で1枚ずつ取り出すことができる。取り出された用紙Pは、所定の搬送経路122を構成する複数の搬送ローラ対120で搬送される。以下、単に「搬送方向」というときは、記録媒体である用紙Pの搬送方向をいい、「上流」、「下流」というときはそれぞれ、搬送方向の上流及び下流を意味するものとする。
給紙トレイ116の上方には、駆動ロール124及び従動ロール126に張架された無端状の搬送ベルト128が配置されている。搬送ベルト128の上方には記録ヘッドアレイ130が配置されており、搬送ベルト128の平坦部分128Fに対向している。この対向した領域が、記録ヘッドアレイ130からインク滴が吐出される吐出領域SEとなっている。搬送経路122を搬送された用紙Pは、搬送ベルト128で保持されてこの吐出領域SEに至り、記録ヘッドアレイ130に対向した状態で、記録ヘッドアレイ130から画像情報に応じたインク滴が付着される。
そして、用紙Pを搬送ベルト128で保持した状態で周回させることで、吐出領域SE内に複数回通過させて、いわゆるマルチパスによる画像記録を行うことも可能となっている。もちろん、用紙Pを吐出領域SE内に1回のみ通過させて、いわゆる1パスで画像記録を行っても良い。
なお、搬送ベルト128は、一例として、半導電性ポリイミド材(表面抵抗値1010〜1013Ω/□、体積抵抗値109〜1012Ω・cm)を、厚さ75μm、幅380mm、周長1000mmに成形したものを使用できる。また、駆動ロール124及び従動ロール126としては、一例として、φ50mmのSUSロールを使用できる。
なお、搬送ベルト128に代えて、たとえば円筒状あるいは円柱状に形成された搬送ローラの外周に、記録媒体(用紙P)を吸着保持して回転させる構成でもよい。ただし、本実施形態のように搬送ベルト128を使用すると平坦部分128Fが構成されるので、この平坦部分128Fに対応させて記録ヘッドアレイ130を配置でき、好ましい。
記録ヘッドアレイ130は、本実施形態では、有効な記録領域が用紙Pの幅(搬送方向と直交する方向の長さ)以上とされた長尺状で、いわゆるFWA(Full Width Array)となっている。記録ヘッドアレイ130内には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、サイアン(S)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つの長尺型ヘッド34が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像を記録可能になっている。それぞれの長尺型ヘッド34は、後述するように複数のインクジェット記録ヘッド12を千鳥配置することで構成されている。なお、インクジェット記録ヘッド12においてインク滴を吐出する方法は特に限定されず、いわゆるサーマル方式や圧電方式等、公知のものを適用できるが、本実施形態では、圧電方式としている。
各インクジェット記録ヘッド12は、図示しない記録ヘッド制御手段によって制御されるようになっている。記録ヘッド制御手段は、たとえば、画像情報に応じてインク滴の吐出タイミングや使用するインク吐出口(ノズル)を決め、駆動信号をインクジェット記録ヘッド12に送る。
また、記録ヘッドアレイ130は、搬送方向と直交する方向に不動とされていてもよいが、必要に応じて移動するように構成しておくと、マルチパスによる画像記録で、より解像度の高い画像を記録したり、インクジェット記録ヘッド12の不具合を記録結果に反映させないようにしたりできる。
記録ヘッドアレイ130の近傍(本実施形態では搬送方向の両側)には、それぞれの長尺型ヘッド34に対応した4つのメンテナンスユニット134が配置されている。インクジェット記録ヘッド12に対してメンテナンスを行う場合には、図2に示すように、記録ヘッドアレイ130が上方へ移動し、搬送ベルト128との間に構成された間隙にメンテナンスユニット134が移動して入り込む。そして、ノズル面(図3参照)に対向した状態で、所定のメンテナンス動作(バキューム、ダミージェット、ワイピング、キャッピング等)を行う。
なお、本実施形態では、4つのメンテナンスユニット134を2つずつの2組に分割し、記録ヘッドアレイ130、画像記録時には記録ヘッドアレイ130の上流側及び下流側にそれぞれ配置されるようにしている。
記録ヘッドアレイ130の上流側には、図示しない電源が接続された帯電ロール136が配置されている。帯電ロール136は、従動ロール126との間で搬送ベルト128及び用紙Pを挟みつつ従動し、用紙Pを搬送ベルト128に押圧する押圧位置と、搬送ベルト128から離間した離間位置との間を移動可能とされている。押圧位置では、接地された従動ロール126との間に所定の電位差が生じるため、用紙Pに電荷を与えて搬送ベルト128に静電吸着させることができる。
帯電ロール136としては、例えば、シリコーンゴムの表面に導電性カーボンを被覆し、体積抵抗値106〜107Ω・cm程度に調整したφ14mmのロールを使用することができる。
また、電源は、用紙Pを所定電位に帯電させることが可能であれば、直流電源でも交流電源でもよい。
なお、帯電ロール136よりもさらに上流側には、図示しないレジロールが設けられており、用紙Pが搬送ベルト128と帯電ロール136との間に至る前に位置合わせされる。
記録ヘッドアレイ130の下流側には、剥離プレート140が配置されており、用紙Pを搬送ベルト128から剥離することができる。剥離プレート140としては、たとえば、厚さ0.5mm、幅3130mm、長さ100mmのアルミプレートを使用することができる。
剥離された用紙Pは、剥離プレート140の下流側で排出経路144を構成する複数の排出ローラ対142で搬送され、筐体114の上部に設けられた排紙トレイ146に排出される。
剥離プレート140の下方には、駆動ロール124との間で搬送ベルト128を挟持可能なクリーニングロール148が配置されており、搬送ベルト128の表面をクリーニングするようになっている。
給紙トレイ116と搬送ベルト128の間には、複数の反転用ローラ対150で構成された反転経路152が設けられており、片面に画像記録された用紙Pを反転させて搬送ベルト128に保持させることで、用紙Pの両面への画像記録を容易に行えるようになっている。
搬送ベルト128と排紙トレイ146の間には、4色の各インクをそれぞれ貯留するインクタンク154が設けられている。インクタンク154のインクは、図示しないインク供給配管によって、記録ヘッドアレイ130に供給される。インクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、公知の各種インクを使用できる。
図1には、本発明の第1実施形態の長尺型ヘッド34の概略構成が示されており、また図2には、この長尺型ヘッド34が斜視図にて示されている。さらに図3には、長尺型ヘッド34を構成するインクジェット記録ヘッド12が部分的に拡大して示されている。
図2に示すように、長尺型ヘッド34は、記録媒体としての用紙Pの最大幅よりも長くされている。この長尺型ヘッド34は複数の長方形状のインクジェット記録ヘッド12で構成されており、各インクジェット記録ヘッド12は、搬送される用紙P(図1参照)の上流側と下流側とで半ピッチずらして、千鳥状に2列配置されている。なお、以下では、単に「長手方向」、「幅方向」というときは、長尺型ヘッド34の長手方向及び幅方向を意味するものとする。
図1及び図2に示すように、インクジェット記録ヘッド12には、複数のイジェクタが配列された長方形状のイジェクタ領域(イジェクタ群の配列部)14が形成されている。イジェクタ領域14には、イジェクタ毎にノズル16(図3及び図4参照)が形成されている。
この記録ヘッドアレイ130が搭載されたインクジェット記録装置112では、図1に示すように、インクジェット記録ヘッド12のイジェクタ領域14との対向部に用紙Pが所定ピッチで矢印方向に搬送され、ノズル16から画像情報に応じたインク滴が吐出される。したがって、画像記録が完了した用紙P上では、記録ヘッドアレイ130の用紙搬送方向上流側に位置するイジェクタ領域14Aによって記録された領域と、記録ヘッドアレイ130の用紙搬送方向下流側に位置するイジェクタ領域14Bによって記録された領域とが、用紙Pの幅方向に沿って交互に並ぶこととなる。ここで、搬送される用紙Pの幅方向で隣り合うインクジェット記録ヘッド12同士では、イジェクタ領域14A、14Bの端部が紙送り方向に見て互いに接する(若しくはオーバーラップする)ように配置されており、印字領域内で印字できない領域が発生しないようにしている。
このように、複数のインクジェット記録ヘッド12を用紙Pの幅方向に沿って並べ、印字領域を構成することで、記録ヘッドアレイ130は用紙Pの幅方向に沿って移動する必要はなく、用紙Pの移動によって用紙Pの全面に画像が形成されるため、高い生産性を得ることができる。なお、多色画像を形成する際には、図16にも示すように、異なる色のインクが収容された複数の長尺型ヘッド34を用紙Pの搬送方向に並べて配置すればよい。
また、図2に示すように、インクジェット記録ヘッド12のイジェクタ領域14A、14Bの反対側には、インクジェット記録ヘッド12を固定するベース板18が配設されている。このベース板18には、2列のインクジェット記録ヘッド12へそれぞれインクを供給する2本のインク流路20が形成されている。ベース板18の背面側両端部には2枚の放熱板22が取り付けられており、この放熱板22に記録ヘッドアレイ130の駆動を制御するコントローラである回路基板24が配設されている。また、各インクジェット記録ヘッド12(図2の前方側)と回路基板24とを接続する電気配線26がベース板18の側部に支持されており、電気配線26にはスイッチIC28が設けられている。なお、図示を省略するが、図2の奥側にも同様に、各インクジェット記録ヘッド12(図2の後方側)と接続される電気配線26、スイッチIC28、回路基板24が設けられている。
図1に示すように、インクジェット記録ヘッド12の長手方向両端部には、イジェクタ領域14の両端部(インクジェット記録ヘッド12の長手方向の両端部)の外側に上流側流路30A、30Bが配設されている。上流側流路30A、30Bはインク流路20(図2参照)と接続されており、インク流路20から上流側流路30A、30Bを通してインクジェット記録ヘッド12にインクが供給されるようになっている。また、上流側流路30A、30Bには、イジェクタ領域14に配列された各イジェクタにインクを供給する複数の共通流路32がそれぞれ接続されている。複数の共通流路32はインクジェット記録ヘッド12の両端部から長手方向に沿って延びており、共通流路32はイジェクタ領域14の中央部で分割されている。すなわち、共通流路32の末端部はインクジェット記録ヘッド12の中央部付近に位置している。なお、図1では、分かり易くするために上流側流路30A、30Bに4本の共通流路32が接続され模式的に示されているが、実際には、ノズル数は例えば600npiであり、多数の共通流路32が接続される構成となっている。
図3及び図4に示すように、インクジェット記録ヘッド12は、マトリックス状に複数空けられたインク滴を吐出するノズル16と、インクを加圧することによって連通するノズル16からインク滴を吐出する圧力室36と、先述の共通流路32(図1参照)とを備えている。そして、ノズル16と圧力室36とを連通するノズル連通室38と、共通流路32の開口部40と圧力室36とを連通するインク供給路42とを備えており、これらノズル16、圧力室36と、ノズル連通室38、インク供給路42とによって、イジェクタ60が構成されている。
また、インクジェット記録ヘッド12は、ノズル16が形成されたノズルプレート44と、ノズル連通室38と共通流路32が形成されたインクプールプレート46、48と、ノズル連通室38と開口部40が形成されたスループレート50と、インク供給路42が形成されたインク供給路プレート52と、圧力室36が形成された圧力室プレート54とが位置合わせして積層され、接着剤などの接合手段によって接合されている。
さらに、圧力室プレート54には、複数の圧力室36の上面を覆うように振動板57が接着され、振動板57の上面には各圧力室36に対応して圧電素子58が接着されている。圧電素子58には電極パッド59を介して電気配線26(図2参照)が接続される。
なお図4では、インクジェット記録ヘッド12の断面に合わせて、圧電素子58及び電極パッド59の向きを、実際のものから変更しているが、実際は図3に示すように、中心線CLに対して傾斜している。
ノズルプレート44は、可撓性を有する樹脂材料によってフィルム状(薄膜状)に形成されており、図4からも分かるように、共通流路32の1つの面(図4では底面)を構成している。したがって、ノズルプレート44のうち、共通流路32を構成している部分は、共通流路32のダンパ44Dとして機能しており、ノズルプレート44はダンパ44Dを兼ねていることになる。
なお、ノズルプレート44のインク滴の吐出側には、ノズル16の周囲を保護する保護プレートを必要に応じて接合してもよい。
図3に示すように、イジェクタ60は、隣接する2列ずつで組とされ、組内の中央、すなわち、ぞれぞれの列の間に共通流路32が配置されている。したがって、共通流路32は、2列のイジェクタ列に共通で備えられていることになる。
このように、共通流路32を2列のイジェクタ列の間に配置したことで、図5に示すように1列のイジェクタ列のそれぞれに対応して共通流路32’を配置した構成と比較して、その幅を広くすることが可能になっている。
また、イジェクタ60のそれぞれのノズル16は、共通流路32の中心線CLから見て、外側、すなわち中心線CLから離れた位置になるように配置されている。したがって、たとえばノズル16を中心線CLの近傍に配置した例と比較して、対象列間でのノズル16の間隔が広くあいている。一般に、共通流路32はノズル16を回避して形成する必要があるが、本実施形態では、ノズル16の間隔が広いので、これらノズル16の間の共通流路32を、より幅広とすることができる。
ここで、インクジェット記録ヘッド12のインク滴が吐出する方向を垂直方向とすると、この垂直方向に見たとき(すなわち図3示すように平面視したとき)、共通流路32がインク供給路42と重なって配置されている。したがって、共通流路32をインク供給路42と重ならないように配置した構成と比較して、イジェクタ60の配置密度を低下させることなく、共通流路32の幅を広く確保することが可能になっている。
さらに、共通流路32は、電極パッド59とも重なるように配置されている。したがって、共通流路32を電極パッド59と重ならないように配置した構成と比較して、イジェクタ60の配置密度を低下させることなく、共通流路32の幅を広く確保することが可能になっている。
また、このインクジェット記録ヘッド12では、イジェクタ領域14に配列されるノズル16の列数が2のべき乗に設定されている。また、イジェクタの数を2のべき乗に設定してもよい。これにより、インクジェット記録ヘッド12を駆動する回路基板(コントローラ)24のデータ処理を単純化することができ、回路基板24のコストを低減することができる。
また、各インクジェット記録ヘッド12は、完全に分離されており、インクジェット記録ヘッド12ごとに交換可能に構成されている。このため、メンテナンスが容易となっている。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置112及び記録ヘッドアレイ130の作用について説明する。
本実施形態のインクジェット記録装置112では、上記したように、給紙トレイ116から取り出された用紙Pが搬送され、搬送ベルト128に至る。そして、帯電ロール136によって搬送ベルト128に押し付けられると共に、帯電ロール136からの印加電圧によって搬送ベルト128に吸着(密着)して保持される。
一方、図1に示すように、記録ヘッドアレイ130の長尺型ヘッド34を構成しているそれぞれのインクジェット記録ヘッド12では、その両端部に設けられた上流側流路30A、30Bから複数の共通流路32にインクが供給される。共通流路32に貯留されたインクはイジェクタ領域14の各イジェクタ60に供給され、図3に示すように、開口部40及びインク供給路42を経て圧力室36内に充填される。そして、回路基板24(図2参照)から各圧電素子58に駆動電圧を印加すると、圧電素子58とともに振動板57が撓み変形し、圧力室36を膨張又は圧縮させる。これによって圧力室36に体積変化が生じると、圧力室36内に圧力波が発生する。この圧力波の作用によってインクが運動し、ノズル16から外部へインク滴が吐出される。
そして、搬送ベルト128の循環によって用紙Pが吐出領域SEを通過しつつ、記録ヘッドアレイ130から上記のようにインク滴が吐出されて、用紙P上に画像が記録される。1パスのみで画像記録する場合には、剥離プレート140で用紙Pを搬送ベルト128から剥離し、排出ローラ対142で搬送して排紙トレイ146に排出する。これに対し、マルチパスで画像記録を行う場合には、必要な回数に達するまで用紙Pを周回させて吐出領域SEを通過させた後、剥離プレート140で用紙Pを搬送ベルト128から剥離し、排出ローラ対142で搬送して排紙トレイ146に排出する。
図3に示すように、共通流路32は、2つのインクジェッタ列の間で、これら2列のイジェクタ列のそれぞれのイジェクタ60に共通で配置されている。1列のイジェクタ列のそれぞれに対応して共通流路を配置した構成(図5の共通流路32’を参照)と比較して、その幅が広くなっており、音響容量も大きくなっているので、イジェクタ60間でもクロストークをより確実に防止できると共に、圧力室36へのインク供給(リフィル)をより円滑に短時間で行うことが可能となり、優れた吐出安定性を得ることができる。
特に、本実施形態では、ノズルプレート44の一部がダンパ44Dとして機能するが、一般に、共通流路32の音響容量は、ダンパ44Dの幅の6乗に比例する。このため、共通流路32を幅広とすることで、結果的にダンパ44Dも幅広とした本実施形態では、共通流路32に大きな音響容量を確保できる。
そして、このように、2列のイジェクタ列の間に幅広の共通流路32を配置したことで、1列のイジェクタ列に、本実施形態と同様の幅を有する共通流路を配置した構成と比較して、イジェクタ60、すなわちノズル16をより高密度に配置することが可能になっている。すなわち、共通流路32に十分な音響容量を確保しつつ、ノズル16を高密度に二次元配列して、高画質な画像を高速で記録することが可能になっている。
また、本実施形態のインクジェット記録ヘッド12では、図1に示すように、インクジェット記録ヘッド12の両端部の上流側流路30A、30Bに複数の共通流路32が接続され、長手方向に沿って配置されているので、長尺型ヘッド34の平面積に対してスペースの大きい上流側流路30A、30Bと共通流路32を記録ヘッドアレイ130のサイズを増加することなく効率的に配置することができる。しかも、本実施形態では上記したように、共通流路32に十分な音響容量を確保しつつ、ノズル16を高密度配置することが可能なので、この点においても、インクジェット記録ヘッド12の幅を小さくすることができる。このため、長尺型ヘッド34、さらには記録ヘッドアレイ130のヘッド幅(WH)を小さくすることができ、記録ヘッドアレイ130の小型化を実現できる。これにより、複数色のインクジェット記録ヘッド12間(長尺型ヘッド34間)での色ずれ等の発生を防止できると共に、インクジェット記録装置112全体の小型化を図ることができる。
また、上流側流路30A、30Bに接続された共通流路32はイジェクタ領域14の中央部で分割されており、共通流路32が長くなるのを防止できる。このため、共通流路32の流路抵抗を低減することができ、各イジェクタ60に高い吐出安定性及び周波数特性を確保することができる。
次に、本発明の第2実施形態のインクジェット記録ヘッド62を説明する。第2実施形態では、第1実施形態と比較して、共通流路の構造のみが異なっているが、他はすべて同一構成とされているので、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図6に示すように、第2実施形態に係る共通流路64は、平面視したときにノズル16を回避する位置では、第1実施形態の共通流路32と比較して、さらに中心線CLから外側に膨出して、ノズル16よりも外側に位置するように形成されており、全体として、ノズル16の近傍部分で局所的にくびれた形状となっている。
したがって、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、ノズル16を回避した位置において、共通流路64の幅がより広くなっている。このため、第2実施形態では第1実施形態よりも、さらに大きな音響容量を確保することができる。
次に、本発明の第3実施形態のインクジェット記録ヘッド66を説明する。第3実施形態では、第1実施形態と比較して、共通流路32から圧力室36へとインクを供給する部分の構造のみが異なっているが、他はすべて同一構成とされているので、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図7に示すように、第3実施形態では、第1実施形態のインク供給路42に代えて、共通流路32と圧力室36とをインクジェット記録ヘッドの厚み方向に連通するインク供給孔68が形成されている。インク供給孔68は、平面視したときにインク供給路42のような広がり(長さ)をもたないので、さらにインクジェット記録ヘッドを小型化することが可能になる。
なお、図7に示した例では、第3実施形態の共通流路として、第1実施形態と同一形状の共通流路32を挙げたが、たとえば、第2実施形態と同一形状の共通流路64でもよい。
上記各実施形態において、ダンパの材質としては、共通流路32で大きな音響容量を得る観点から、たとえば樹脂フィルムで構成することが好ましい。
また、本発明に係るダンパとして、ノズルプレート44の一部がダンパを兼ねているものを例に挙げたが、ノズルプレート44とは別体のダンパを設けてもよい。いずれにしても、共通流路の天面又は底面の少なくとも一方がダンパとされていると、共通流路の音響容量を確実に大きくすることができる。
また、上記実施形態のように、ノズルプレート44がダンパを兼ねるようにすると、イジェクタ60を構成するために必要なプレート数が少なくなるので、インクジェット記録ヘッドの製造コストを低減でき、好ましい。この場合には、ノズルプレート44自体を樹脂フィルムで構成すれば、共通流路での十分な音響容量の確保と、上記したプレート数の削減とを両立でき、特に好ましい。
つぎに、以下において、本発明での各種変形例を説明する。いずれの変形例においても、共通流路を2列のイジェクタ列の間に配置して、その幅を広くした点は上記各実施形態と同様であり、第1〜第3実施形態の任意の構造を採用することができる(各変形例では、一例として、第1実施形態と同一の共通流路32を形成している)が、共通流路のこれ以外の構成、あるいは上流側流路の構成が、図3、図6及び図7に示したものと異なっている。
図8には、第1変形例の長尺型ヘッド70が示されている。この長尺型ヘッド70では、インクジェット記録ヘッド12のそれぞれの長手方向両端部のイジェクタ領域14の外側に、2つに分割された上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bが配設されている。そして、上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bには、それぞれ各イジェクタ60にインクを供給する複数の共通流路32が接続されている。
このような長尺型ヘッド70では、インクジェット記録ヘッド12の両端部に2つに分割された上流側流路72A、74A及び上流側流路72B、74Bが配置されているので、上流側流路72A、72Bと上流側流路74A、74Bに別の種類のインクを充填することで、1本の長尺型ヘッド70で2色の記録を実現することができる。
なお、図8では、2つに分割された上流側流路72A、74A及び上流側流路72B、74Bが配置されているが、3つ以上に分割して配置してもよい。これにより、1本の記録ヘッドで、より多くの色による画像記録を実現することができる。
図9には、第2変形例に係るインクジェット記録ヘッド12を備えた長尺型ヘッド80が示されている。この長尺型ヘッド80では、インクジェット記録ヘッド12の両端部の上流側流路30A、30Bに、長手方向に沿って長い共通流路82と短い共通流路84とが交互に接続されている。このため共通流路82、84の末端部がインクジェット記録ヘッド12の長手方向中央部で不均一な位置となっている。
このような長尺型ヘッド80では、共通流路82、84の長さが異なることで、共通流路82、84の末端部が用紙の幅方向で同じ位置となることが少ない。このため、インクジェット記録ヘッド12の長手方向に沿った濃度むらの発生を低減することができる。
図10には、本発明の第3変形例に係るインクジェット記録ヘッド12を備えた長尺型ヘッド90が示されている。この長尺型ヘッド90では、インクジェット記録ヘッド12のイジェクタ領域14の長手方向外側に、2つに分割された上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bが配置されており、これらの上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bのさらに外側に、ヘッド構成要素である複数の吸着穴92とアライメントマーク94、96が配設されている。吸着穴92は長尺型ヘッド90を製造する際にノズルプレート44やインクプールプレート46などのインクジェット記録ヘッド12の構成プレートを積層して吸着するために使用される。また、アライメントマーク94、96は長尺型ヘッド90を製造する際にインクジェット記録ヘッド12の位置出し用に使用される。
このような長尺型ヘッド90では、吸着穴92とアライメントマーク94、96を上流側流路72A、74A、及び上流側流路72B、74Bの外側に配設することで、長尺の長尺型ヘッド90の平面積に対して最も効率的に吸着穴92とアライメントマーク94、96を配置することができる。このため、長尺型ヘッド90のヘッド幅(WH)を一層小さくすることができる。
また、複数のインクジェット記録ヘッド12は、一部の構成プレート(例えばノズルプレート44)を一体に構成したバー構造としてもよい。これにより、長尺型ヘッド90の製造が容易となる。
図11には、本発明の第4変形例に係るインクジェット記録ヘッド102を備えた長尺型ヘッド100が示されている。この長尺型ヘッド100では、複数のインクジェット記録ヘッド102が千鳥状に配置されており、各インクジェット記録ヘッド102には、長手方向と直交する幅方向で隣接する他のインクジェット記録ヘッド102の間に延設された支持部104が備えられている。また、各インクジェット記録ヘッド102には、長手方向と直交する幅方向(千鳥配置された他の列側)に電気配線106が引き出されており、電気配線106は支持部104に支持されている。この電気配線106は、支持部104の上方部、すなわち長手方向と直交する幅方向で隣接する他のインクジェット記録ヘッド102と重なり合う部分で上方に折り曲げられ、折り曲げ部106Aが構成されている。
このように各インクジェット記録ヘッド102では、千鳥配置された他の列のインクジェット記録ヘッド102の間の支持部104に電気配線106が引き出され、この支持部104の上方部で電気配線106が折り曲げられることで、電気配線106を効率よく配置することができる。このため、長尺型ヘッド100のヘッド幅(WH)をさらに一層小さくすることができる。
以上、いずれの実施形態及び変形例においても、小型化、生産性、吐出安定性、濃度むらの低減、ロバスト性、イジェクタ利用率、コントローラコスト、及び多色対応など、記録ヘッドに求められる特性(要求事項)を高い次元で満たすことができる。
表1には、本発明の長尺型ヘッド34、70、80、90、100、及び、後述する比較例1〜4の記録ヘッドについて、小型化、生産性、吐出安定性、濃度むらの低減、ロバスト性、イジェクタ利用率、コントローラコスト、及び多色対応など、記録ヘッドに求められる特性(要求事項)を評価した結果が示されている。
表1の評価において、本発明とは、上記した本発明の第1〜第3実施形態及び第1〜第4変形例のいずれをも含むものである。
また、比較例1は用紙Pの幅方向全体を一体に構成した長尺のインクジェット記録ヘッド、比較例2は図12に示す台形状のインクジェット記録ヘッドを配列した長尺型ヘッド、比較例3は図13に示す長尺型ヘッドを用いている。また、比較例4は図15に示すように、長方形のインクジェット記録ヘッド252を斜め方向に複数配列した長尺型ヘッド250を用いている。各インクジェット記録ヘッド252には長方形のイジェクタ領域254が形成されている。
表1の評価は4段階で行い、「◎」は極めて良好、「○」は良好、「△」はあまり満足できない、「×」は全く満足できないことを示している。
表1の評価において、イジェクタ利用率は、ヘッドバーの端部で使用不可となるイジェクタ数が少ないかどうか、コントローラコストは、データ処理の容易性を示している。
表1から、比較例1〜4のインクジェット記録ヘッドでは、いずれかの特性(要求事項)で「×」又は「△」があり、満足できない評価であるのに対し、本発明第インクジェット記録ヘッドでは、すべての要求事項が「◎」又は「○」であり、優れた評価であることが分かる。特に、吐出安定性、イジェクタ利用率、及び多色対応性が非常に優れている。従って、本発明のインクジェット記録ヘッドでは満足できる各種特性を得ることができる。
なお、上記各実施形態では、本発明の液滴吐出装置として、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を挙げたが、本発明の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置は、記録用紙P上へ画像(文字を含む)を記録するものに限定されない。すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成したりする等、工業用に用いられる液滴吐出装置全般が広く含まれる。
また、これらの液滴吐出装置では、FWAに限らず、主走査機構と副走査機構を有するPartial Width Array(PWA)に本発明を適用してもよい。さらに、マルチパスタイプではなく、1パスタイプであってもよい。