JP4784317B2 - 液滴吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクなどの液滴を吐出する液滴吐出装置に関する。
紙幅の長さを有する長尺ヘッドによる紙幅印刷では、複数のヘッドユニットが紙幅方向に並べられて配置されており、これらのヘッドユニットを駆動することで、高速印字が可能となる。このように、複数のヘッドユニットのアレイにより構成されるFWAは、単一長尺ヘッド構成と比して不具合が生じた場合にユニット単位での交換ができるという利点がある。
しかし、その反面、個々のヘッドユニットが互いに独立しているため、隣接するヘッドユニット間で温度差が生じ、インク粘度などの特性がヘッドユニット間で異なってしまう。このため、インクの濃度むらが生じ、結果として画質を低下させてしまう。さらに、多色印字などを目的とした複数の長尺ヘッドで構成されるアレイ構成の場合、隣接するヘッドユニット間だけでなく、隣接する長尺ヘッド間でインク粘度が異なり、画質低下を引き起こしてしまう。
更に、これら長尺ヘッド毎に温度が異なると、特に長手方向に顕著に、それぞれが異なる量の熱膨張をするため、結果として色間でインク着弾位置がずれる色ずれが生じ、これも画質低下の要因となる。
したがって、特許文献1では、フルラインタイプの記録ヘッド(長尺ヘッド)の一面側にヒートパイプを配置し、該ヒートパイプを介して記録ヘッドとの間で熱交換を行うことで、記録ヘッドの長手方向の全域において温度差を緩和させている。
しかしながら、特許文献1では、熱交換を行うため熱交換器の配設などが必要となり、装置が大型化すると共に、コストアップを招いてしまう。また、ヒートパイプは押圧部材によって押圧した状態で、ヘッドに接触させるため、装置本体の振動によるヒートパイプの位置ずれや落下などの問題も生じる。
特開平3−290254号公報
本発明は上記事実を考慮し、個々のヘッドユニット間の温度が均一化された液滴吐出装置を安価で得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明は、液滴吐出装置において、ノズルから液滴を吐出し、液滴吐出対象の幅方向に当該幅方向の長さ以上並んで配置された複数の液滴吐出ヘッドユニットで構成された液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドの長辺側の側面を挟む熱伝導可能な熱伝導部材と、を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明では、液滴吐出対象の幅方向に当該幅方向の長さ以上並んで複数の液滴吐出ヘッドユニットが配置されており、液滴吐出ヘッドの長辺側の側面を、熱伝導可能な熱伝導部材で挟んでいる。これにより、隣接する液滴吐出ヘッドユニット間で互いに熱が伝達されることとなる。このため、個々の液滴吐出ヘッドユニットの温度を均一化することができ、隣接する液滴吐出ヘッドユニット間でインク粘度が略同一となり、高画質画像が得られる。
このように、液滴吐出ヘッドの長辺側の側面を熱伝導部材で挟むだけで、隣接する液滴吐出ヘッドユニット間でインク粘度を略同一にすることができるため、熱交換器などの装置を配設させる必要はなく、低コストで実施することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドが前記液滴吐出対象の幅方向と直交する方向に並べて複数配設され、対向して配置された前記熱伝導部材を連結する熱伝導可能な連結部材が設けられたことを特徴とする。
たとえば、異なる色に対応する液滴吐出ヘッドを液滴吐出対象の幅方向と直交する方向に並べて配置した構成では、ヘッド毎の熱膨張量がそれぞれの色ごとに異なると、液滴吐出対象の幅方向へのインク着弾位置のずれ量が異なり、いわゆる色ずれが発生してしまう。
このため、請求項2に記載の発明では、対向して配置された熱伝導部材を熱伝導可能な連結部材で連結することで、隣接する液滴吐出ヘッドにおいて、対向するヘッドユニット間においても温度や熱膨張を均一化することができるため、液滴吐出ヘッド毎の液滴吐出対象の幅方向へのズレ量の差を抑え、色ずれも少なくなる。
請求項3に記載の発明は、請求項に記載の液滴吐出装置において、各液滴吐出ヘッドを挟む前記熱伝導部材間を、前記各液滴吐出ヘッドユニットを仕切る、熱伝導可能な仕切り片で連結したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、各液滴吐出ヘッドを挟む熱伝導部材間を熱伝導可能な仕切り片で連結して、各液滴吐出ヘッドユニットを仕切ることで、請求項2に記載の発明よりも、さらに効果的に液滴吐出ヘッド毎の液滴吐出対象の幅方向へのズレ量の差を抑え、色ずれも少なくすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、前記熱伝導部材の端部が、前記液滴吐出ヘッドユニットの吐出口が形成されたノズル面から突出し、かつ、液滴が吐出される記録媒体の表面に接触しないことを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、熱伝導部材の端部を、液滴吐出ヘッドユニットの吐出口が形成されたノズル面から突出させることで、紙ジャムの際などに該ノズル面を保護することができる。また、熱伝導部材の端部は、液滴が吐出される記録媒体の表面に接触させないようにする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、前記熱伝導部材が着脱可能であると共に、前記液滴吐出ヘッドユニットが個々に着脱可能であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、熱伝導部材を着脱可能にすると共に、液滴吐出ヘッドユニットを個々に着脱可能とすることで、液滴吐出ヘッドユニットを個々に交換することができ、液滴吐出ヘッドの長寿命化を図ることができる。また、製造時の歩留まりも上がる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドユニットの圧力室を構成する流路プレートを前記熱伝導部材で挟むことを特徴とする。
液滴吐出ヘッドユニットでは、アクチュエータを駆動し圧力室の容積を変化させることで、ノズルからインクが吐出されるため、アクチュエータに接する圧力室を構成する流路プレートの温度が一番高くなる。このため、請求項6に記載の発明では、対向して配置された熱伝導部材を熱伝導可能な連結部材で連結することで、隣接する液滴吐出ヘッドにおいて、対向するヘッドユニット間においても温度や熱膨張を均一化することができるため、液滴吐出ヘッド毎の液滴吐出対象の幅方向へのズレ量の差を抑え、色ずれも少なくなる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、前記液滴吐出ヘッドユニットと前記熱伝導部材の間の間隙を埋める熱伝導可能な接続部材を配置することを特徴とする。
請求項7に記載の発明では、液滴吐出ヘッドユニットと熱伝導部材の間の間隙を埋める熱伝導可能な接続部材を配置することで、位置ずれ、変形等により、液滴吐出ヘッドユニットと熱伝導部材の間で隙間が生じた場合でも、接続部材によって該隙間を埋めることができ、接続部材を介して、液滴吐出ヘッドユニットの温度を熱伝導部材へ確実に伝達することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の液滴吐出装置において、前記流路プレートへ液体を供給するためのマニホールドを金属で形成したことを特徴とする。
金属は樹脂と比較して熱伝導率が高いため、請求項8に記載の発明では、流路プレートへ液体を供給するための流路形成部材であるマニホールドを金属で形成することで、マニホールドを樹脂で成形した場合と比較して、個々の液滴吐出ヘッドユニットの温度や熱膨張量の均一化をより効果的に行うことができる。
本発明は上記構成としたので、個々の液滴吐出ヘッドユニットの温度や熱膨張量を均一化することができ、これにより、隣接する液滴吐出ヘッドユニット間でインク粘度が略同一となり、複数ヘッドのアレイ構成では色ずれも低減され、高画質画像が得られる。また、熱交換器などの装置を配設させる必要はなく、低コストで実施することができる。
図1には、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置112が示されている。インクジェット記録装置112の筐体114内の下部には給紙トレイ116が備えられており、給紙トレイ116内に積層された用紙Pをピックアップロール118で1枚ずつ取り出すことができる。取り出された用紙Pは、所定の搬送経路122を構成する複数の搬送ローラ対120で搬送される。
以下、単に「搬送方向」というときは、記録媒体である用紙Pの搬送方向をいい、「上流」、「下流」というときはそれぞれ、搬送方向の上流及び下流を意味するものとする。
給紙トレイ116の上方には、駆動ロール124及び従動ロール126に張架された無端状の搬送ベルト128が配置されている。搬送ベルト128の上方には記録ヘッドアレイ130が配置されており、搬送ベルト128の平坦部分128Fに対向している。
この対向した領域が、記録ヘッドアレイ130からインク滴が吐出される吐出領域SEとなっている。搬送経路122を搬送された用紙Pは、搬送ベルト128で保持されてこの吐出領域SEに至り、記録ヘッドアレイ130に対向した状態で、記録ヘッドアレイ130から画像情報に応じたインク滴が付着される。
そして、用紙Pを搬送ベルト128で保持した状態で周回させることで、吐出領域SE内に複数回通過させて、いわゆるマルチパスによる画像記録を行うことも可能となっている。もちろん、用紙Pを吐出領域SE内に1回のみ通過させて、いわゆる1パスで画像記録を行っても良い。
記録ヘッドアレイ130は、本実施形態では、有効な記録領域が用紙Pの幅(搬送方向と直交する方向の長さ)以上とされた長尺状で、いわゆるFWA(Full Width Array)となっている。記録ヘッドアレイ130内には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つのインクジェット記録ヘッド132が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像を記録可能になっている。
なお、それぞれのインクジェット記録ヘッド132においてインク滴を吐出する方法は特に限定されず、いわゆるサーマル方式や圧電方式等、公知のものを適用できる。
各インクジェット記録ヘッド132は、図示しない記録ヘッド制御手段によって制御されるようになっている。記録ヘッド制御手段は、たとえば、画像情報に応じてインク滴の吐出タイミングや使用するインク吐出口(ノズル)を決め、駆動信号をインクジェット記録ヘッド132に送る。
また、記録ヘッドアレイ130は、搬送方向と直交する方向に不動とされていてもよいが、必要に応じて移動するように構成しておくと、マルチパスによる画像記録で、より解像度の高い画像を記録したり、インクジェット記録ヘッド132の不具合を記録結果に反映させないようにしたりできる。
記録ヘッドアレイ130の上流側には、図示しない電源が接続された帯電ロール136が配置されている。帯電ロール136は、従動ロール126との間で搬送ベルト128及び用紙Pを挟みつつ従動し、用紙Pを搬送ベルト128に押圧する押圧位置と、搬送ベルト128から離間した離間位置との間を移動可能とされている。押圧位置では、接地された従動ロール126との間に所定の電位差が生じるため、用紙Pに電荷を与えて搬送ベルト128に静電吸着させることができる。
また、電源は、用紙Pを所定電位に帯電させることが可能であれば、直流電源でも交流電源でもよい。
なお、帯電ロール136よりもさらに上流側には、図示しないレジロールが設けられており、用紙Pが搬送ベルト128と帯電ロール136との間に至る前に位置合わせされる。
記録ヘッドアレイ130の下流側には、剥離プレート140が配置されており、用紙Pを搬送ベルト128から剥離することができる。
剥離された用紙Pは、剥離プレート140の下流側で排出経路144を構成する複数の排出ローラ対142で搬送され、筐体114の上部に設けられた排紙トレイ146に排出される。
剥離プレート140の下方には、駆動ロール124との間で搬送ベルト128を挟持可能なクリーニングロール148が配置されており、搬送ベルト128の表面をクリーニングするようになっている。
給紙トレイ116と搬送ベルト128の間には、複数の反転用ローラ対150で構成された反転経路152が設けられており、片面に画像記録された用紙Pを反転させて搬送ベルト128に保持させることで、用紙Pの両面への画像記録を容易に行えるようになっている。
搬送ベルト128と排紙トレイ146の間には、4色の各インクをそれぞれ貯留するインクタンク154が設けられている。インクタンク154のインクは、図示しないインク供給配管によって、記録ヘッドアレイ130に供給される。インクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、公知の各種インクを使用できる。
記録ヘッドアレイ130は、図2に示すように、長方形の枠体(支持フレーム)156を有しており、この枠体156に4つのインクジェット記録ヘッド132が取付けられる。枠体156は、用紙Pの搬送方向と直交する方向が長辺158となる向きで、図1に示す搬送ベルト128の平坦部分128Fと対向するように配置された状態で、インクジェット記録装置112の筐体114に取り付けられている。
枠体156の一対の短辺160には、4つの支持片180が枠体156の内側に張り出した状態で短辺160の下面に固定されている。支持片180の自由端側には、固定穴180Aが形成されており、固定ネジ182をねじ込み可能となっている。
この支持片180には、インクジェット記録ヘッド132を構成する長尺部材168の端部が固定可能となっており、長尺部材168を支持片180の下面側に当接させた状態で、固定穴180A(図3参照)と対応する位置には、固定穴168Aが形成されている。長尺部材168を支持片180の下面側に当接させた状態で、支持片180の固定穴180A及び長尺部材168の固定穴168Aに固定ネジ182をねじ込むと、長尺部材168が支持片180に固定される。
ところで、図2及び図3に示すように、長尺部材168には、長手方向に沿って複数のヘッド取付部176が形成されており、このヘッド取付部176のそれぞれに、ヘッドユニット178が取り付けられている。これらヘッドユニット178は、個々に着脱可能である。
ヘッドユニット178のそれぞれは、単体で用紙Pの紙幅を有していないが、複数のヘッドユニット178を紙幅方向に並べて配置することで、紙幅以上の画像記録領域を得られるようになっている。すなわち、インクジェット記録ヘッド132が用紙Pの幅方向に沿って移動しなくても、用紙Pの移動のみによって用紙Pの全面に画像が形成できるので、高い生産性を得ることができる。
このようなインクジェット記録装置112では、上記したように、図1に示す給紙トレイ116から取り出された用紙Pが搬送され、搬送ベルト128に至る。そして、帯電ロール136によって搬送ベルト128に押し付けられると共に、帯電ロール136からの印加電圧によって搬送ベルト128に吸着(密着)して保持される。この状態で、搬送ベルトの循環によって用紙Pが吐出領域SEを通過しつつ、記録ヘッドアレイ130からインク滴が吐出されて、用紙P上に画像が記録される。
1パスのみで画像記録する場合には、剥離プレート140で用紙Pを搬送ベルト128から剥離し、排出ローラ対142で搬送して排紙トレイ146に排出する。これに対し、マルチパスで画像記録を行う場合には、必要な回数に達するまで用紙Pを周回させて吐出領域SEを通過させた後、剥離プレート140で用紙Pを搬送ベルト128から剥離し、排出ローラ対142で搬送して排紙トレイ146に排出する。
ところで、本形態では、図2〜図4に示すように、インクジェット記録ヘッド132のヘッドユニット178の両側面に肉厚500umのアルミプレート(熱伝導部材)184が接続部材である50um厚の接着剤で取付けられる。
このアルミプレート184の内側には、接着剤のかわりにアルミプレート184が脱着可能となるように熱伝導シート212を貼着あるいはペーストを塗布しても良い。ペーストとしては、例えば熱伝導率7.6W/mKのシリコングリスがある。
また、アルミプレート184の上端部には、取付けられるインクジェット記録ヘッド132の、ヘッドユニット178とヘッドユニット178の間に相当する箇所に、切込み部184Aが形成されている。この切込み部184Aには各ヘッドユニット178間に配置される肉厚500umのアルミ製の仕切り片(連結部材)190が係合可能となっている。
ここで、記録ヘッドアレイ130を構成する各インクジェット記録ヘッド132は、図4(なお、図4は記録ヘッドアレイ130の概略底面図である)に示すように、隣接するインクジェット記録ヘッド132のヘッドユニット178が、千鳥状となるように配置されている。仕切り片190は、隣接するインクジェット記録ヘッド132に渡って配置されるため、ジグザグ形状に形成されることとなる。
そして、仕切り片190の下端部には、アルミプレート184の切込み部184Aと係合する切込み部190Aが形成されており、この切込み部190Aをアルミプレート184の切込み部184Aに係合させた状態で、仕切り片190はアルミプレート184と一体になる。
また、アルミプレート184の長手方向の両端部には、孔部192が形成されている。インクジェット記録ヘッド132の両側面にアルミプレート184を取付けるため、二枚のアルミプレート184の両端部には、各アルミプレート184を連結させる目的で、コ字状の連結片194が固定可能となっている。この連結片194の対面する当接片194Aには挿通穴196が形成され、当接片194Aをアルミプレート184に当接させた状態で、挿通穴196と孔部192とが連通可能となっている。
一対のアルミプレート184の両端部に、この連結片194をネジ止めすることで、各アルミプレート184が連結される。なお、一つのインクジェット記録ヘッド132に対応するアルミプレート184だけでなく、4つのインクジェット記録ヘッド132に、それぞれ対応するアルミプレート184に対して一つのネジ185でネジ止めしても良い。
また、アルミプレート184の下端部には、アルミプレート184の長手方向に沿ってアルミプレート184を略3等分する位置に、長穴状の切欠き部198が形成されている。一方、アルミプレート184がインクジェット記録ヘッド132の両側面に配置された状態で、切欠き部198と対応する位置に配置されるヘッドユニット178の両側壁には、嵌合凹部200が形成されており、嵌合ピン202が嵌合可能となっている。
アルミプレート184に仕切り片190を係合させ、連結片194によって各アルミプレート184を連結させた状態で、該アルミプレート184をインクジェット記録ヘッド132に取付ける。このとき、切欠き部198と嵌合凹部200の位置を合わせた状態で、切欠き部198を挿通して嵌合凹部200に嵌合ピン202を嵌合させる。
これにより、仕切り片190及びアルミプレート184がインクジェット記録ヘッド132から落下することはない。また、この状態で、図5に示すように、アルミプレート184の下端部が、ヘッドユニット178のノズル面214から僅かに突出する。
次に、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの作用について説明する。
図6(A)、(B)には、2つのヘッドユニット178A(heated_VP)、178B(other_VP)から構成される従来構造のインクジェット記録ヘッド204を簡易モデル化したもので、(一方の)ヘッドユニット178Aのみ温度上昇を想定して発熱させた場合のヘッドユニット178A、178Bの収束状態での温度分布を、図9(B)は時系列での温度変化を示している。
温度が収束した状態では、非発熱ヘッドユニット178B(10℃)は、発熱ヘッドユニット178A(15℃)の影響は受けず、ヘッドユニット178Aとヘッドユニット178Bの最大温度差は、5℃となっている。
ところで、図7(A)、(B)(なお、図7(B)は図7(A)の部分拡大図である。)は、本構成で用いたインク粘度の温度依存性を示すグラフであり、温度が高くなるにつれてインク粘度は対数的に下がっている。そのため、隣接するヘッドユニット178A、178B間で温度差が生じることでインク粘度にも差が生じると、インクの濃度むらが生じ、結果として画質が低下してしまう。
このため、例えば隣接するヘッドユニット178A、178B間のインク粘度差≦1[mPa・s]を満たす画像を達成しなければならない場合、使用温度領域のうち、特に粘度差の大きい低温域基準(15℃以下)では、隣接するヘッドユニット178A、178B間の温度差≦3℃とする必要がある。
一方、図8(A)、(B)及び図9(A)には、本発明の効果を実証するため、インクジェット記録ヘッド204の両側面に、肉厚500umのアルミプレート184(熱伝導率205W/mK)を厚さ50umの接着層(熱伝導率0.15W/mK)で接合した場合のヘッドユニット178A(heated_VP)、178B(other_VP)の温度変化を示している。
この状態では、温度が収束した場合、一方のヘッドユニット178A(11.5℃)と他方のヘッドユニット178B(10.8℃)との最大温度差は0.7℃となっており、隣接するヘッドユニット178A、178B間で、アルミプレート184を介して熱伝導され、個々のヘッドユニット178A、178Bの温度を均一化することができるということが実証された。また、温度差低減に加え、全体的にヘッドユニット178の温度を下げる効果があることも分かった。
つまり、本発明によると、隣接するヘッドユニット178A、178B間でインク粘度が略同一となり、高画質画像が得られることとなる。また、本発明によれば、熱交換器などの装置を配設させなくても、個々のヘッドユニット178の温度の均一化を低コストで実施することができる。
また、インクジェット記録ヘッド132では、図10(流路プレート210は縦方向を誇張して描画)に示すアクチュエータ215を駆動し圧力室186の容積を変化させることで、ノズル206からインクが吐出されるため、アクチュエータ215に接する圧力室186を構成する流路プレート188の温度がヘッドユニット178中一番高くなる。例えば、図6(A)に示すヘッドユニット178Aでは、流路プレート188の温度が一番高く、ヘッドユニット178Aの圧力室186へインクを供給するためのマニホールド210部分で徐々に温度が下がっているのが分かる。
このため、ヘッドユニット178の流路プレート188からマニホールド210に架けて、アルミプレート184を配置することで、流路プレート188からマニホールド210までの温度を均一化することができ、ヘッドユニット178全体としての温度上昇が抑えられる。更に、ヘッドユニット178A、178B間の熱流に対する熱伝導部材断面積が大きくなることで伝導性が向上し、ヘッドユニット間温度の均一化が図れる。
ところで、記録ヘッドアレイ130は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つのインクジェット記録ヘッド132で構成され、それぞれが搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像を記録可能になっているが、インクジェット記録ヘッド132毎に温度が異なった場合、インクジェット記録ヘッド132の熱膨張量にも差が生じ、各色のインクについては、特に紙幅方向への着弾位置ずれ量にばらつきが生じ、いわゆる色ずれが発生してしまう。
このため、図3に示すように、各インクジェット記録ヘッド132に設けられたアルミプレート184をアルミ製の仕切り片190で連結し、該仕切り片190を隣接するヘッドユニット178間に配置することで、隣接するインクジェット記録ヘッド132と対向するヘッドユニット178間においても温度や熱膨張量を均一化することができるため、インクジェット記録ヘッド132毎の紙幅方向への着弾位置ずれを抑え、色ずれも少なくなる。
なお、ここでは、インクジェット記録ヘッド132において、各ヘッドユニット178間に仕切り片190を配置するようにしたが、複数のヘッドユニット178を一組として各組毎に仕切り片190を配置するようにしても良い。
一方、図11には、アルミプレートの幅を狭くして、ヘッドユニット178の流路プレート188部分のみを覆った場合のヘッドユニット178A、178B間の温度変化が示されている。この状態では、ヘッドユニット178Aとヘッドユニット178Bの間の最大温度差は1.5℃となっている。
図8と比較すると、最大温度差は大きいものの、隣接するヘッドユニット178A、178B間の温度差は3℃未満となっており、隣接するヘッドユニット178A、178B間でインク粘度を略同一にするという効果は充分に得られることが分かる。
なお、ここでは、インクジェット記録ヘッド204の両側面をアルミプレート184で挟むようにしたが、隣接するヘッドユニット間の温度を均一化することができればよいため、Alに限るものではない。例えば、Cu(熱伝導率398W/mK)、Si(熱伝導率148W/mK)等を用いても良い。
また、ヘッドユニット178のマニホールド210を金属で形成しても良い。金属は樹脂と比較して熱伝導率が高いため、マニホールド210を金属で形成することで、マニホールド210を樹脂で成形した場合と比較して、個々のヘッドユニット178の温度の均一化をより効果的に行うことができ、図12は最初の実施例においてマニホールド210を金属にしたものであるが、最初の従来例(図8)と比して、ヘッドユニット178の温度をさらに全体的に下げることができる。
ところで、図3に示すように、アルミプレート184の内側に熱伝導シート212を貼着することで、ヘッドユニット178とアルミプレート184の間で、位置ずれ、変形等により、隙間が生じた場合でも、熱伝導シート212によって該隙間を埋めることができる。このため、熱伝導シート212を介して、ヘッドユニット178の温度をアルミプレート184へ確実に伝達することができるが、この熱伝導シート212は必ずしも必要なものではない。
ここで、図5に示すように、アルミプレート184の下端部を、ヘッドユニット178のノズル面214から突出させるようにしている。これにより、該ノズル面214を保護している。また、アルミプレート184の下端部は、インクが吐出される用紙Pの表面に接触させないようにする。
また、図3に示すように、アルミプレート184を着脱可能とし、かつ、ヘッドユニットを個々に着脱可能とすることで、ヘッドユニット178を個々に交換することができ、インクジェット記録ヘッド132の長寿命化を図ることができる。また、製造時の歩留まりも上がる。
また、ヘッドユニット178としては、長尺部材168に少なくとも1つ取り付けられるものであればよく、単体で長尺状とされていてもよい。もちろん、本実施形態のように、複数のヘッドユニット178が長尺部材168に取り付けられることで、全体として長尺状となるようなものも含まれる。
また、本形態では、二枚のアルミプレート184の両端部に連結片194が固定して、ヘッドユニット178の両側面をアルミプレート184で挟んで、アルミプレート186を取り外し可能としたが、ヘッドユニット178を個々に交換する必要のない構成であれば、アルミプレートをヘッドユニット178の両側面に接着しても良い。
上記各実施形態では、本発明の液滴吐出装置として、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を挙げたが、本発明の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置は、記録用紙P上へ画像(文字を含む)を記録するものに限定されない。すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、インク処理液を併用したり、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成したりする等、工業用に用いられる液滴吐出装置全般が広く含まれる。
また、これらの液滴吐出装置では、FWAに限らず、主走査機構と副走査機構を有するPartial Width Array(PWA)に本発明を適用してもよい。さらに、マルチパスタイプではなく、1パスタイプであってもよい。
本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドアレイを示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置のインクジェット記録ヘッドに取付ける熱伝導部材及び連結部材を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドアレイを示す概略底面図である。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置のインクジェット記録ヘッドを示す正面図である。 一方のヘッドユニットのみ発熱させた場合の他方のヘッドユニットへの影響を示す温度分布であり、(A)は斜視図、(B)は平面図である。 (A)はインク粘度の温度依存性を示すグラフであり、(B)は(A)の部分拡大図である。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置のインクジェット記録ヘッドの一方のヘッドユニットのみ発熱させた場合の他方のヘッドユニットへの影響を示す温度分布を示す斜視図であり、(A)はヘッド全体、(B)は流路プレート部の抜粋である。 (A)は図8の温度変化をグラフ化したものであり、(B)は図6の温度変化をグラフ化したものである。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置のヘッドユニットの構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置のインクジェット記録ヘッドの変形例である。一方のヘッドユニットのみ発熱させた場合の他方のヘッドユニットへの影響を示す温度分布を示す斜視図であり、(A)はヘッド全体、(B)は流路プレート部の抜粋である。 本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置のインクジェット記録ヘッドの他の変形例である。一方のヘッドユニットのみ発熱させた場合の他方のヘッドユニットへの影響を示す温度分布を示す斜視図であり、(A)はヘッド全体、(B)は流路プレート部の抜粋である。
符号の説明
112 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
130 記録ヘッドアレイ(液滴吐出装置)
132 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
178 ヘッドユニット(液滴吐出ヘッドユニット)
178A ヘッドユニット(液滴吐出ヘッドユニット)
178B ヘッドユニット(液滴吐出ヘッドユニット)
184 アルミプレート(熱伝導部材)
188 流路プレート
190 仕切り片(連結部材)
194 連結片(連結部材)
204 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
210 マニホールド
212 熱伝導シート(接続部材)
214 ノズル面
215 アクチュエータ

Claims (8)

  1. ノズルから液滴を吐出し、液滴吐出対象の幅方向に当該幅方向の長さ以上並んで配置された複数の液滴吐出ヘッドユニットで構成された液滴吐出ヘッドと、
    前記液滴吐出ヘッドの長辺側の側面を挟む熱伝導可能な熱伝導部材と、
    を有することを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記液滴吐出ヘッドが前記液滴吐出対象の幅方向に直交する方向に並べて複数配設され、対向して配置された前記熱伝導部材を連結する熱伝導可能な連結部材が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 各液滴吐出ヘッドを挟む前記熱伝導部材間を、前記各液滴吐出ヘッドユニットを仕切る、熱伝導可能な仕切り片で連結したことを特徴とする請求項に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記熱伝導部材の端部が、前記液滴吐出ヘッドユニットの吐出口が形成されたノズル面から突出し、かつ、液滴が吐出される記録媒体の表面に接触しないことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記熱伝導部材が着脱可能であると共に、前記液滴吐出ヘッドユニットが個々に着脱可能であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記液滴吐出ヘッドユニットの圧力室を構成する流路プレートを前記熱伝導部材で挟むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
  7. 前記液滴吐出ヘッドユニットと前記熱伝導部材の間の間隙を埋める熱伝導可能な接続部材を配置することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
  8. 前記流路プレートへ液体を供給するためのマニホールドを金属で形成したことを特徴とする請求項6又は7に記載の液滴吐出装置。
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