JP2006255764A - 冷間圧延における圧延油の供給方法および装置 - Google Patents

冷間圧延における圧延油の供給方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 エマルション圧延油を用いた循環式圧延油供給方式においてもプレートアウト性を大幅に改善し、ひいてはエマルション濃度の削減による冷却能改善を図ることができる、冷間圧延における圧延油の供給方法および装置を提供する。
【解決手段】 エマルション圧延油を循環式に供給する、冷間圧延における圧延油の供給装置において、ロールバイト入口にエマルション圧延油を供給する潤滑用クーラントヘッダーとしての2流体ノズルヘッダー4aと、2流体ノズルヘッダー4aからのエマルション圧延油の供給量を調整する圧延油供給量調整手段13とを備え、圧延油供給量調整手段13は、エマルション圧延油の供給量を1000〜40000mg/m2の範囲内に調整する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、循環式圧延油供給方式を使用して冷間圧延を行う際に、エマルション圧延油を金属帯やロールバイト入口に供給するために有効な、冷間圧延における圧延油の供給方法および装置に関するものである。
一般に、冷間圧延機によるストリップの圧延時には、圧延性を向上させるためにストリップに圧延油が塗布される。その際に用いられる一般的な圧延油供給方法としては、水と圧延油との混合液体、すなわち、エマルションからなるクーラントとしてのエマルション圧延油を、ノズルよりストリップに噴射する方式がとられている。また、エマルションを作成するために、界面活性剤を添加する。界面活性剤の添加量は、圧延油量に対する濃度(対油濃度)であり、所定量を添加し、攪拌およびポンプによるせん断を加えてエマルション圧延油とする。
冷間圧延におけるエマルション圧延油の供給方式には、直接式圧延油供給方式(ダイレクト方式)と循環式圧延油供給方式(リサーキュレーション方式)とがある。
直接式圧延油供給方式は、潤滑の目的で高濃度のエマルション圧延油をストリップにスプレーし、冷却の目的で水をロールにスプレーするものであり、潤滑性および冷却性に優れる。しかし、循環式圧延油供給方式と異なり、エマルション圧延油を循環使用しないために、圧延油の原単位が高く、また、排水処理費用に多額の費用がかかる。
一方、循環式圧延油供給方式は、圧延油と冷却水とを予め混合し、攪拌して作成した低濃度のエマルション圧延油を、循環しながら潤滑および冷却を目的としてストリップおよびロールバイトにスプレーするものであり、圧延油の原単位が低い。しかし、直接式圧延油供給方式と比較して、潤滑性および冷却性が劣る。そのため、従来の循環式圧延油供給方式では、特に、仕上板厚0.2mm以下の薄物材の高速圧延時には潤滑不足となり、チャタリングと呼ばれる圧延機の振動やヒートスクラッチと呼ばれる表面疵が発生する。このため、圧延速度が上げられないという問題があった。
循環式圧延油供給方式は、例えば、図4に示されるように、主に、冷却を目的としたロールクーラントヘッダーおよびストリップクーラントヘッダーからなる冷却用クーラントヘッダー4bと、潤滑を目的としてロールバイト入口に設置された潤滑用クーラントヘッダー4aとを備えている。
なお、図4は、全5スタンドのタンデムミルであり、1は、ワークロール、2は、バックアップロール、3は、ストリップ、5は、攪拌機、6は、循環式圧延油供給タンク、7は、エマルション圧延油供給用ポンプ、8は、圧延油供給ライン、9は、回収オイルパン、10は、戻り配管である。
エマルション圧延油は、エマルション圧延油供給用ポンプ7により、圧延油供給ライン8を経由して、潤滑用および冷却用クーラントヘッダー4a、4bからストリップ3の上下面およびロールバイト入口に供給される。エマルション圧延油は、回収オイルパン9にて回収された後、戻り配管10を介して循環式圧延油供給タンク6に戻され、循環使用される。
特開平07−251208号公報
循環式圧延油供給方式の課題は、循環されるエマルション圧延油にて潤滑と冷却の両立を図らなければならないことである。循環式圧延油供給方式では、エマルションの乳化安定性を保つため、クーラントとしてのエマルション圧延油の温度は、50〜70℃と高めに設定されている。そのため、エマルション圧延油の冷却能は低く、その冷却能を補うため、多量のエマルション圧延油をストリップおよびロールに噴射している。冷却能を上げるためにはエマルション圧延油の温度を下げる必要があるが、温度が低い状態ではエマルションは乳化不安定となりやすい。不安定な乳化状態だと圧延潤滑性は良好となるが、配管内での油水分離を起こして好ましくない。
一方、循環式圧延油供給方式で使用されるエマルション圧延油のエマルション濃度(エマルション全体積中の油分体積の比率)は、1〜4%程度であるが、潤滑性を上げる為にエマルション濃度を上げようとすると、エマルション圧延油の熱伝達係数の低下を招いて、冷却能が低下する。
また、圧延潤滑性は、圧延油の鋼板への付着、すなわち、プレートアウトに大きく影響する。通常、循環式圧延油供給方式ではノズルヘッダーに、液圧のみで噴射する1流体ノズルが使用されている。しかし、1流体ノズルは、スプレーの噴射面積が小さいために、単位面積当たりに供給されるエマルション流量(以下、流量密度という)が大きくなる。プレートアウトとは、O/W型(水中油粒分散)エマルション圧延油がストリップにスプレーされた時に、水分を排除しながら油分が優先的にストリップに付着する現象であり、エマルション圧延油がストリップ表面に衝突する際、油滴の周囲に水が多く存在する状況では、一旦、油膜を形成しても、干渉・再乳化等によりプレートアウトが阻害されてしまう。
従って、循環式圧延油供給方式のように多量のエマルション圧延油を噴射する方式では、圧延油の付着効率(スプレーされるエマルション圧延油に含まれる油分量に対し、ストリップ表面にプレートアウトする油分量の比率)が非常に低くなる。
スプレーされるエマルション圧延油に含まれる油分量、すなわち供給油量Φ(mg/m2)は、(1)式に基づいて決定される。
Figure 2006255764
スプレー流量をQ(L/min.)、噴射されるスプレーの噴射面積をS(m2)とすると、ω=Q/Sで計算できる。
循環式圧延油供給方式において、エマルション濃度を3.0%、ロールバイト入口に供給されるエマルション圧延油の流量密度を10000L/m2・min.とすれば、ロールバイト入口に供給される油分量は、約30000mg/m2となる。一方、ラボ試験で得られた鋼板の付着油量は、約250mg/m2であった。つまり、従来の循環式圧延油供給方式では、エマルション圧延油の供給量に対し、0.5〜1.0%程度しか有効に機能していないという問題点があった。
ところで、圧延油の付着効率を向上させる手段として、特許文献1(特開平07−251208号公報)には、圧延油の供給媒体となるノズルに、2流体ノズルを用いる圧延油供給方法が開示されている。以下、この圧延油供給方法を従来技術という。
従来技術は、圧延油をエマルションとせずに原油(ニート油)を直接供給し、且つ、2流体ノズルの気体圧力を0.4〜2.0kg/cm2、気体流量を200〜600L/min.と低圧大流量とするものであり、高い圧延油付着効率が得られるとしている。
しかし、従来の循環式圧延油供給方式において、上記従来技術を適用しても、すなわち、2流体ノズルを用いて、低圧大流量の気体によってエマルション圧延油を供給しても、高い付着効率は得られず、十分な潤滑性改善効果は得られなかった。
従って、この発明は、上述した圧延油の付着効率の問題点を解決するためになされたもので、エマルション圧延油を用いた循環式圧延油供給方式においてもプレートアウト性を大幅に改善し、ひいてはエマルション濃度の削減による冷却能改善を図ることができる、冷間圧延における圧延油の供給方法および装置を提供することを目的とする。
本発明者等らは、ストリップに供給されたエマルション圧延油の付着効果を向上させる手段について種々検討した。この結果、エマルション圧延油の流量密度がプレートアウト性に大きく影響することを見出した。すなわち、ストリップ上の狭い範囲に多量のエマルション圧延油をスプレーするよりも、広い範囲に少量ずつスプレーするほうがプレートアウト性が向上することを見出した。
プレートアウトとは、前述したように、O/W型(水中油粒分散)エマルション圧延油がストリップにスプレーされた時に、水分を排除しながら油分が優先的に鋼板に付着する現象であり、エマルション圧延油がストリップ表面に衝突する際、油滴の周囲に水が多く存在する状況では、一旦、油膜を形成しても、干渉・再乳化等によりプレートアウトが阻害されてしまう。そのため、付着効率を向上させるためには、単位面積当たりに噴射されるエマルション圧延油の量を少なく、かつ均一にしなければならない。
流量密度を小さくするためには、エマルション圧延油がストリップに噴射される噴射面積を拡大させる必要がある。液圧のみで噴射する従来の1流体ノズルでは、スプレーの噴射面積が狭いため、エマルション圧延油の液滴同士の干渉が大きく、付着効率は低下する。同じ1流体ノズルでも、例えば、フルコーンノズルのようにスプレーの噴射面積が広いノズルも存在するが、噴射面積内の流量分布がバラつく点から潤滑スプレーには適さない。そこで、2流体ノズルによるエマルション噴射を適用した。
2流体ノズルとは、空気と液体とをノズル内部で混合させることにより、液体微粒子を噴射するノズルであり、以下の特徴を有している。
(1)空気によりスプレーの噴射面積を補償しているため、流量によるスプレーの噴射面積や流量分布の変化が小さく、流量が変化してもプレートアウトの均一性に影響を与えない。
(2)液体流量の制御範囲が広いため、圧延速度や鋼種・サイズに応じたスプレー流量変更によって、潤滑条件をよりきめ細かく制御することも可能になる。
(3)従来の1流体ノズルと比較してノズル単体の広角化が可能なため、広幅材の圧延潤滑のように大きな噴射面積を要求される場合でもノズルの設置本数を最小に抑えることができる。
(4)従来の1流体ノズルと比較し、ノズルのオリフィス径(口径)を大きくすることが可能であるため、油分・異物等によるノズル閉塞に対しても効果が大きい。
しかしながら、上述した従来技術をエマルション圧延油を用いた循環式圧延油供給方式に適用しても、高い付着効率は得られなかった。そこで、本発明者等は、その原因について鋭意検討を重ね、以下の結論を得た。
従来技術では、圧延油の原油(ニート油)が、2流体ノズルから大流量の気体と共に噴射されることにより微細粒径化され、霧化した圧延油がロールバイト内へ均一に供給されるとしている。なお、従来技術の気体流量は、200〜600L/min.(12〜36Nm3/hr)である。エマルションを2流体ノズルにて噴射すると、エマルションの液滴が微細化され、その中の圧延油の粒径も微細化されるものと推定される。ストリップのプレートアウト特性が圧延油の粒径と相関があることは一般によく知られており、油粒径が細かい状況ではプレートアウト性は低下してしまう。従って、エマルションの場合には、粒径の微細化を極力抑えることが必要である。
また、ニート油とエマルション圧延油では同じプレートアウトでも油分付着の過程が大きく異なる。すなわち、ニート油噴射の場合は、水分等によって阻害されることなくストリップに物理的に吸着してプレートアウトする。これに対してエマルション圧延油の場合は、上述した通り、O/W型(水中油粒分散)エマルション圧延油がストリップにスプレーされた時に、水分を排除しながら油分が優先的にストリップに付着する。エマルション圧延油でのプレートアウト層の形成には、エマルション圧延油がストリップに衝突した際の周囲の水分が大きく影響する。エマルション圧延油がストリップ表面に衝突する際、油滴の周囲に水が多く存在する状況では、一旦、油膜を形成しても、乳化分散剤の効果が失われず、干渉・再乳化等によりプレートアウトが阻害されてしまう。従って、エマルション圧延油の場合には、プレートアウト時に周囲の水分による影響を極力小さくすることが有効である。
以上の知見に基づき、本発明者等は、エマルション圧延油を用いた循環式圧延油供給方式であっても、2流体ノズルの適用により高い付着効率を得るための検討をさらに重ねた。
エマルション粒径の微細化を抑えるためには、気体流量を少なくする必要があるが、気体流量を少なくし過ぎると、エマルション同士の干渉・再乳化等によりプレートアウトが阻害されてしまう。そこで、本願発明者等は、エマルションの微細化の影響が少ない小気体流量範囲でプレートアウト特性を評価した。
図5に、プレートアウト試験機を用いて、それぞれのノズルでのプレートアウト量を示す。このとき、2流体ノズルでの気体流量は、2Nm3/hrとした。図5から、潤滑スプレーに2流体ノズルを適用することにより、同一の供給油量であっても、ストリップへのプレートアウト量が約1.5倍〜2倍に向上することが明らかになった。
冷間圧延において、特に、高速圧延域では、速度の上昇と共に、スプレー時間が短くなり、ストリップの単位面積当たりの供給圧延油量が減少するため、供給油量の少ない領域で付着効率の高い2流体ノズルは、エマルション圧延油の供給媒体として用いると非常に効果的である。
また、ノズルから供給される油量を最小化することができるため、循環式圧延油供給方式のようなクーラントとしてのエマルション圧延油の管理を要する供給方式でもエマルションの安定性を維持しながら、効率的な潤滑制御が可能となる。また、2流体ノズル適用による圧延油の付着効率向上によりエマルション濃度を低減させることが可能となるため、圧延油原単位の減少、ひいてはエマルション圧延油の熱伝達係数の増加による冷却能向上が期待できる。
この発明は、以上の知見に基づきなされたもので、下記を特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、エマルション圧延油を循環式に供給する、冷間圧延における圧延油の供給方法において、金属帯およびロールバイトの少なくとも1つへの前記エマルション圧延油の供給を、供給媒体として2流体ノズルを用い、前記2流体ノズルからの前記エマルション圧延油の供給量を1000〜40000mg/m2の範囲内となるように行うことに特徴を有するものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、2流体ノズルから噴射する気体の流量を0.5〜10Nm3/hrの範囲内とすることに特徴を有するものである。
請求項3記載の発明は、エマルション圧延油を循環式に供給する、冷間圧延における圧延油の供給装置において、金属帯およびロールバイトの少なくとも1つに前記エマルション圧延油を供給する2流体ノズルと、前記2流体ノズルからの前記エマルション圧延油の供給量を調整する圧延油供給量調整手段とを備え、前記圧延油供給量調整手段は、前記エマルション圧延油の供給量を1000〜40000mg/m2の範囲内に調整することに特徴を有するものである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、2流体ノズルから噴射する気体の流量を調整する気体流量調整手段を備え、前記気体流量調整手段は、前記気体の流量を0.5〜10Nm3/hrの範囲内に調整することに特徴を有するものである。
なお、この発明は、圧延機の単スタンドのみに適用しても良いし、複数スタンドのうちの全部または任意の複数のスタンドに適用しても良い。また、金属帯としては、例えば、鋼帯、ステンレス帯、アルミニウム帯、銅帯等である。また、この発明は、金属帯の表裏面のいずれかまたは両方に適用することができる。
(1)従来の1流体ノズルと比較して、エマルション圧延油のプレートアウト性が1.5〜2倍に増大する。
(2)空気によりスプレーの噴射面積を補償するため、流量によるスプレーの噴射面積や流量分布の変化が小さく、流量を低減してもプレートアウトの均一性に影響を与えない。従って、ノズルから供給される油量を最小化することができるため、効率的な潤滑制御が可能となる。
(3)エマルション圧延油の液滴同士の干渉の減少による付着効率向上によりエマルション濃度を低減させることができるため、圧延油原単位の減少、ひいてはエマルション圧延油の熱伝達係数の増加による冷却能向上が可能になる。
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明を適用した全5スタンドのタンデムミルを示す概略構成図である。
図1において、1は、ワークロール、2は、バックアップロール、3は、ストリップ、4aは、潤滑用クーラントヘッダーとしての2流体ノズルヘッダー、4bは、ロールクーラントヘッダーおよびストリップクーラントヘッダーからなる冷却用クーラントヘッダー、5は、攪拌機、6は、エマルション圧延油の貯蔵タンクとしての循環式圧延油供給タンク、7は、エマルション圧延油供給用ポンプ、8は、圧延油供給ライン、9は、回収オイルパン、10は、戻り配管である。
タンク6内のエマルション圧延油のエマルション濃度は、1〜4%の範囲内に調整されている。エマルション圧延油は、エマルション圧延油供給ポンプ7により、圧延油供給ライン8を経由して、冷却を目的とした冷却用クーラントヘッダー4bと、潤滑を目的としてロールバイト入側に設置された潤滑用クーラントヘッダー、すなわち、2流体ノズルヘッダー4aに送られ、ここからストリップ3の上下面およびロールバイト入口に供給される。2流体ノズルヘッダー4aにおいて使用されるエアーは、コンプレッサー12を介して気体供給ライン11により圧送され、2流体ノズルヘッダー4aに供給される。
なお、この例は、2流体ノズルヘッダー4aを潤滑用クーラントヘッダーに用いたものであるが、冷却用クーラントヘッダー4bに用いても、あるいは両方のヘッダ4a、4bに用いても良い。
2流体ノズルヘッダー4aは、圧延機の各スタンドの入側に設けられ、ワークロール1とストリップ3との間のロールバイト入口にエマルション圧延油を噴射する。2流体ノズルヘッダー4aに供給されるエマルション供給油量は、1000〜40000mg/m2の範囲内とする。1000mg/m2未満では、潤滑不良となってストリップ3と圧延ロールとの間の油膜が切れ、この結果、金属接触を起してヒートスクラッチやチャタリングの原因となる。一方、40000mg/m2を超えると、潤滑過多となり安定した圧延操業が不可能となる。従って、エマルション圧延油の供給量は、1000〜40000mg/m2の範囲内とする。
2流体ノズルからの噴射用空気の流量は、ノズル1本当たり0.5〜10Nm3/hrの範囲内が好ましい。0.5Nm3/hr未満では、エマルション圧延油の液滴同士の干渉が大きくなるため、プレートアウト時に周囲の水分による影響を受け付着効率が低下する。一方、10Nm3/hrを超えると、過剰な空気によって飛散するエマルション圧延油量が多くなり、付着効率が低下する。従って、噴射用空気の流量は、ノズル1本当たり0.5〜10Nm3/hrの範囲内とするのが好ましい。
ここで、ストリップ3に噴射されるエマルション圧延油の供給量は、圧延油供給量調整手段13によりロール使用量や圧延材のサイズおよび鋼種に応じて各スタンド毎に調整できる。ストリップ3に噴射されるエマルション圧延油の液滴径は、気体流量調整手段14により各スタンド毎に調整できる。エマルション圧延油の液滴径は、3〜500μm程度であるが、潤滑特性および乳化安定性の関係から30〜150μm程度であることが望ましい。
ストリップ3およびロールバイト入口へのスプレーの後、ストリップ3にプレートアウトしないエマルション圧延油は、回収オイルパン9にて、循環系エマルション圧延油と共に回収され、戻り配管10を経由して循環式圧延油供給タンク6内に戻る。
さらに、この発明によれば、2流体ノズルを用いたことで、スプレーの噴射面積の拡大を図ることができるため、エマルション圧延油の液滴同士の干渉低減による付着効率向上を図ることができ、エマルション濃度の低減が可能となる。従って、圧延油の原単位は、減少し、ひいてはエマルション圧延油の熱伝達係数の上昇による冷却能向上が期待できる。
図2は、図5のグラフに、この発明でエマルション濃度2.5%の場合の結果を加えたものである。図2から、この発明による2流体ノズルの適用によって、エマルション濃度を0.5%下げても、ほぼ現状のプレートアウト量を確保できることが明らかとなった。
また、エマルション濃度の低減が可能になったことによって、エマルション圧延油の冷却能が向上する。エマルション圧延油による熱伝達係数は、下記(2)式が導かれている(板圧延の理論と実際,p.148,(1984))。
Figure 2006255764
ここで、ロールバイト入口に供給されるエマルション圧延油の流量密度を10000L/m2・min、圧延材温度を100℃とすれば、エマルション濃度3.0%および2.5%の時の熱伝達係数は、それぞれ、30500、33600Kcal/m2/hr/℃となり、エマルション濃度を0.5%低減させることによって、エマルション圧延油の冷却能が約10%向上する。
次に、この発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
図1に示す全5スタンドの冷間タンデム圧延機を用い、母材厚2.3mm、板幅900mmの硬質ブリキ原板を仕上げ厚0.200mmまで、目標速度2000m/minとして圧延した。圧延油として合成エステル油(40℃における動粘度43cSt)を用い、循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油を、油分濃度2.5〜3.0%、乳化型の界面活性剤を添加してタンク内にて十分に攪拌を加えた後、平均粒径9μm、温度60℃のエマルションとした。本発明例では、2流体ノズルヘッダーへのエマルション圧延油の供給量を20000mg/m2、エアー流量をノズル当たり10Nm3/hrとした。比較例では、潤滑クーラントヘッダーは、従来の1流体ノズルを用い、圧延油供給系統のエマルション圧延油供給量のみを45000mg/m2で供給するようにした以外は、本発明例と同様にして冷間圧延を行った。
図3は、横軸に圧延速度(mpm)を取り、縦軸に第5スタンドにおけるワークロール1とストリップ3との間の摩擦係数を取って、本発明例、比較例において冷間圧延を行ったときの圧延速度と摩擦係数との関係について調べた結果を示すグラフである。
図3において、△印および▲印を結んだ曲線は、本発明実施例の結果を示す特性線であり、○印および●印を結んだ曲線は、比較例の結果を示す特性線図である。○印および△印は、エマルション濃度が2.5%、●印および▲印は、エマルション濃度が3.0%のときを示す特性線である。なお、図中における×印は、チャタリングまたはヒートスクラッチの発生を表す。
図3から明らかなように、本発明実施例では、2.5〜3.0%の何れのエマルション濃度のときであっても、チャタリングまたはヒートスクラッチが発生することなく安定圧延を達成できることが分かった。これに対して、エマルション濃度2.5%の比較例では、圧延速度1400mpmで潤滑不足に起因したチャタリングが発生し、安定圧延に到達できなかった。また、エマルション濃度3.0%の比較例では、チャタリングやヒートスクラッチは発生しなかったが、潤滑不足による摩擦係数の上昇が確認された。
また、本発明法により2流体ノズルの供給油量を変化させ、速度を変更しつつ圧延を行い、チャタリングの発生およびヒートスクラッチ疵の発生状況を調査した。各々の調査結果を表1に示す。
Figure 2006255764
表1から、本発明法範囲内での供給量では、チャタリングもヒートスクラッチ疵も未発生のまま加速できることが確認された。
次に、表2に本発明法によりエマルション濃度を低減した場合の圧延油原単位および最終スタンド出側の板温度を、従来の1流体ノズルを用いた場合と併せて示す。
Figure 2006255764
表2から、エマルション濃度を0.5%低減させることによって圧延油原単位が約10%減少することが確認された。また、濃度低減によるエマルション圧延油の熱伝達係数上昇により、冷却能が高まり、従来方式と比較して、約5℃の温度低下が見られた。
この発明を適用したタンデムミルを示す概略構成図である。 図5のグラフに、この発明でエマルション濃度を2.5%の場合の結果を加えたグラフである。 本発明実施例および比較例における圧延速度と摩擦係数との関係を示すグラフである。 従来の圧延油供給装置を備えたタンデムミルを示す概略構成図である。 エマルション濃度および供給油量をそれそれ一定にしたときの、1流体ノズルおよび2流体ノズルとプレートアウト量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1:ワークロール
2:バックアップロール
3:ストリップ
4a:潤滑用クーラントヘッダー
4b:冷却用クーラントヘッダー
5:攪拌機
6:循環式圧延油供給タンク
7:エマルション圧延油供給用ポンプ
8:圧延油供給ライン
9:回収オイルパン
10:戻り配管
11:気体供給ライン
12:コンプレッサー
13:圧延油供給量調整手段
14:気体流量調整手段

Claims (4)

  1. エマルション圧延油を循環式に供給する、冷間圧延における圧延油の供給方法において、金属帯およびロールバイトの少なくとも1つへの前記エマルション圧延油の供給を、供給媒体として2流体ノズルを用い、前記2流体ノズルからの前記エマルション圧延油の供給量を1000〜40000mg/m2の範囲内となるように行うことを特徴とする、冷間圧延における圧延油の供給方法。
  2. 前記2流体ノズルから噴射する気体の流量を0.5〜10Nm3/hrの範囲内とすることを特徴とする、請求項1記載の冷間圧延における圧延油の供給方法。
  3. エマルション圧延油を循環式に供給する、冷間圧延における圧延油の供給装置において、金属帯およびロールバイトの少なくとも1つに前記エマルション圧延油を供給する2流体ノズルと、前記2流体ノズルからの前記エマルション圧延油の供給量を調整する圧延油供給量調整手段とを備え、前記圧延油供給量調整手段は、前記エマルション圧延油の供給量を1000〜40000mg/m2の範囲内に調整することを特徴とする、冷間圧延における圧延油の供給装置。
  4. 前記2流体ノズルから噴射する気体の流量を調整する気体流量調整手段を備え、前記気体流量調整手段は、前記気体の流量を0.5〜10Nm3/hrの範囲内に調整することを特徴とする、請求項3記載の冷間圧延における圧延油の供給装置。
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