JP2014231083A - 冷間圧延機の潤滑油供給設備および潤滑圧延方法 - Google Patents

冷間圧延機の潤滑油供給設備および潤滑圧延方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014231083A
JP2014231083A JP2013113339A JP2013113339A JP2014231083A JP 2014231083 A JP2014231083 A JP 2014231083A JP 2013113339 A JP2013113339 A JP 2013113339A JP 2013113339 A JP2013113339 A JP 2013113339A JP 2014231083 A JP2014231083 A JP 2014231083A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating oil
lubrication
header
metal strip
injection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013113339A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6201430B2 (ja
Inventor
井上 剛
Takeshi Inoue
剛 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp filed Critical Nippon Steel and Sumitomo Metal Corp
Priority to JP2013113339A priority Critical patent/JP6201430B2/ja
Publication of JP2014231083A publication Critical patent/JP2014231083A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6201430B2 publication Critical patent/JP6201430B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

【課題】金属帯板の冷間圧延において、2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを用いて圧延機の入り側で金属帯板の上下両面に潤滑油をガスとともに噴射供給するに当たり、金属帯板の板幅方向外側で上下の潤滑油噴射流が衝突、干渉して、金属帯板への潤滑油の付着ムラや付着不良が発生することを回避し、均一に潤滑油を金属帯板に供給することを可能とする潤滑油供給設備及び潤滑油供給方法を提供する。
【解決手段】金属帯板の通板高さの面での、金属帯板2の幅方向外側での潤滑油噴射面積に対する、上下の噴射領域が重なる領域53w,53dの面積比を、最大50%以下に抑える。またそのために、上下の潤滑ヘッダーの位置を圧延方向にずらす。さらに、上下の圧延ヘッダーを、圧延方向に対して反対側に傾ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、薄鋼帯などの金属帯板を冷間圧延するにあたって、潤滑油を供給するための装置に関し、特に、冷間圧延機の入り側における金属帯板の上下両面側に2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを配置して、潤滑油とガスとを同時に金属帯板の上下両面に噴射供給するための潤滑油供給設備、およびその設備を使用して冷間圧延する潤滑圧延方法に関するものである。
周知のように、薄板鋼帯などの金属帯板の冷間圧延工程においては、被圧延材である薄板鋼帯などの金属帯板と冷間圧延機のロールとの間を潤滑するとともにロールを冷却するため、圧延機の入り側の金属帯板表面や、ロールバイト、あるいはロール表面に潤滑油を供給することが行われている。
このような冷間圧延工程の潤滑設備としては、主としてリサーキュレーション供給方式およびダイレクト供給方式と、その両方の供給方法が混在したハイブリッド供給方式がある。そしていずれの方式でも、潤滑油タンクにおいて潤滑油と水とを予め撹拌・混合した潤滑油エマルション、あるいは潤滑油原液を、1流体ノズルを使用してロールバイト入り側や、薄板鋼帯の表面に供給する方法が広く適用されている(例えば非特許文献1参照)。
このように従来は、潤滑油エマルションもしくは潤滑油原液を、1流体ノズルを使用してロールバイトや薄板鋼帯に供給する潤滑供給法を適用しつつ、リサーキュレーション方式やダイレクト方式を採用した潤滑圧延設備が主流であったが、近年では、2流体ノズルを使用して潤滑油を供給する方式が普及しつつある。
2流体ノズルは、2種の流体を混合しながら噴出するように構成されたものであり、冷間圧延における潤滑では、2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーにより、潤滑油原液を空気などのガスと混合してロールバイト入側や薄板鋼帯表面に供給することによって、1流体ノズルを使用した場合よりも格段に少ない潤滑油量で、前述のような従来の供給方式による潤滑方法と同等以上の潤滑性を発揮し得ることが知られている(特許文献1参照)。
さらに、リサーキュレーション供給方式を採用しているタンデムミルに、2流体ノズルを用いて薄板鋼帯表面に潤滑油エマルションを供給するハイブリッド供給方式を採用することによって、潤滑油原単位を維持しつつ、安定した高速圧延を可能にする潤滑供給法が提案されている(特許文献2、3参照)。
ところで冷間圧延機の入り側において薄板鋼帯の表面に潤滑油を供給するための従来の潤滑設備では、潤滑ヘッダーや潤滑ノズルを、薄板鋼帯の上面側および下面側に、薄板鋼帯の通板高さの面に対してほぼ上下対称に設置して、圧延方向における薄板鋼帯のほぼ同じ箇所の上下面を狙って潤滑油を供給している。
また従来の薄板鋼帯表面への潤滑油供給設備では、圧延方向に向かって潤滑油を供給することによって、ロールバイトにできるだけ多くの潤滑油を導入させるようにする方法が採用されている。
特開2006−263740号公報 特開2006−263772号公報 特開2008−212940号公報
「板圧延の理論と実際(改訂版)」日本鉄鋼協会圧延理論部会偏、2010年9月発行、p208
2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを使用して、潤滑油を空気などのガスとともに薄板鋼帯表面に供給するにあたっては、潤滑油が噴射されない箇所が生じないように、薄板鋼帯の板幅方向の全面にわたって、潤滑油をできるだけ均一に供給することが望まれる。そこで一般には、噴射コーン(ノズルから噴出される潤滑油の噴射流域の立体形状)の横断面形状がフラット形状、例えば扁平な長円形状となるような、いわゆるフラットノズルを有する潤滑ヘッダーを用い、そのノズルのフラット形状の長軸方向が薄板鋼帯の板幅方向に沿うように潤滑ヘッダーを配設しておくことが行なわれる。
ここで、ノズルからの噴射量分布については、ノズルの中央部分よりもエッジ部分の方が潤滑油の噴射量が少なくなるから、薄板鋼帯の板幅方向の全面にわたって潤滑油を均一に供給するためには、板幅よりも広い範囲にわたって潤滑油を供給しなければならない。そのため、薄板鋼帯の板幅方向の外側にも潤滑ヘッダーから潤滑油が噴霧供給される状態にならざるを得ない。
ところで、前述のように薄板鋼帯の上面側および下面側に、薄板鋼帯の通板高さの面に対してほぼ上下対称に設置して、薄板鋼帯のほぼ同じ位置の上下面に潤滑油を噴射すれば、薄板鋼帯が存在しない板幅の外側の箇所で、上下の潤滑ヘッダーから噴射された潤滑油の噴射流(噴射コーン)が衝突する。そして板幅の外側の箇所で上下の噴射流の油滴が衝撃的に干渉、合体するとともに、油滴の飛ぶ方向が変化し、その油滴(板幅方向の外側に向けて噴射された潤滑油の油滴)が飛散して、薄板鋼帯の上下面のいずれかの箇所に付着してしまう。その結果、薄板鋼帯の上下で所定の潤滑油を正確に供給することができなくなるばかりでなく、板幅方向に潤滑油供給量のバラツキが発生し、そのため安定した圧延ができなくなるに加え、ロールの偏摩耗や焼付きを引き起こすおそれが生じる。また、飛散した潤滑油の油滴が圧延機内のミル周りに付着しやすくなって、その付着した潤滑油が、摩耗などにより生じる鉄粉と混じってスラッジとなり、圧延中にそのスラッジが薄板鋼帯表面に付着して、製品板の表面品質を低下させる原因にもなる。
また一方,潤滑ヘッダーのノズルが鉛直方向(圧延方向に対するノズルの傾斜角度がゼロ)に設置された状態で、薄板鋼帯に潤滑油を供給すれば、移動する薄板鋼帯の表面に沿った領域に空気の移動層が発生し、薄板鋼帯表面への潤滑油の付着が妨げられることがある。特に薄板鋼帯の通板速度が増加するほど、空気の移動層による潤滑油の付着性の低下が大きくなる。また特に2流体ノズルを使用して潤滑油とガスとを同時に供給する潤滑法では、エマルションを1流体ノズルで構成された潤滑ヘッダーにより供給する潤滑法よりも、潤滑油自体の供給量が格段に少ないため、エマルションを1流体ノズルで供給する潤滑法では無視できるような上下ノズルからの潤滑油の衝突や干渉、ならびに薄板鋼帯の表面に発生する空気の移動層が、無視できないレベルの潤滑油の薄板鋼帯への付着ムラや付着不良を引き起こすから、可能な限り、このような現象を回避することが望まれる。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを用いて冷間圧延機の入り側で金属帯板の上下両面に潤滑油をガスとともに噴射供給するに当たり、金属帯板の板幅方向外側で上下の潤滑油噴射流が衝突、干渉して、金属帯板への潤滑油の付着ムラや付着不良が発生することを回避して、潤滑油を均一に金属帯板の表面に供給することを可能とし、これによって、安定した潤滑圧延を行なって、製品板の表面品質を良好に保ちながら、高い生産性で操業し得るようにした潤滑設備、およびそれを用いた潤滑圧延方法を提供することを課題としている。また同時に、潤滑油の薄板鋼帯への付着効率を高め、これにより潤滑油原単位を低減して、作業効率や稼働率を向上させることを課題とする。
上述の課題を解決するために本発明者等が種々実験・検討を重ねた結果、冷間圧延機の入り側において被圧延材である金属帯板の上下に、潤滑油をガスとともに噴射供給する2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを設置して、金属帯板の上下両面を潤滑するに当たり、上下の潤滑ヘッダーの設置位置を適切に調製することによって、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)の冷間圧延機の潤滑油供給設備は、
冷間圧延機の入り側における圧延すべき金属帯板の上下両面側に、それぞれ1つ以上の2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを配置しておき、これらの上側および下側の潤滑ヘッダーにより、潤滑油とガスとを同時に金属帯板の上下両面に噴射供給する冷間圧延機の潤滑油供給設備において、
上側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域のうち、金属帯板のワークサイド側の外側における金属帯板の通板高さの面での噴射面積をS1w、
上側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域のうち、金属帯板のドライブサイド側の外側における金属帯板の通板高さの面での噴射面積をS1d、
下側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域のうち、金属帯板のワークサイド側の外側における金属帯板の通板高さの面での噴射面積をS2w、
下側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域のうち、金属帯板のドライブサイド側の外側における金属帯板の通板高さの面での噴射面積をS2d、
とそれぞれ定義し、
さらに、ワークサイド外側において、上側の前記噴射面積S1wの領域と、下側の前記噴射面積S2wの領域とが重なる領域の面積をS3w、
ドライブサイド外側において、上側の前記噴射面積S1dの領域と、下側の前記噴射面積S2dの領域とが重なる領域の面積をS3d、
とし、
各噴射面積に対する重なり面積の比R1w、R1d、R2w、R2dを、
R1w=S3w/S1w×100(%)
R1d=S3d/S1d×100(%)
R2w=S3w/S2w×100(%)
R2d=S3d/S2d×100(%)
として、これらの比R1w、R1d、R2w、R2dのうち、最も大きい比の値が50%以下となるように、前記各潤滑ヘッダーが配設されていることを特徴とするものである。
このような基本的な態様の冷間圧延機の潤滑油供給設備では、金属帯板の通板高さの面での、金属帯板の幅方向外側での潤滑油の各噴射面積S1w、S1d、S2w、S2dに対する、上下の噴射領域が重なる領域S3w、S3dの面積比を、最大50%以下に抑えている。そのため、金属帯板の板幅方向外側での上下の潤滑油噴射流の衝突、干渉が最小限に抑制される。その結果、上下の潤滑油噴射流の衝突、干渉によって潤滑油の油滴が飛散して金属帯板表面に付着したり、圧延機廻りに付着したりすることを最小限に抑えることができる。
また本発明の第2の態様の冷間圧延機の潤滑油供給設備は、前記第1の態様において、
各潤滑ヘッダーを、上側の潤滑ヘッダーの位置と下側の潤滑ヘッダーの位置とが圧延方向にずれるように設置したものである。
このような第2の態様の冷間圧延機の潤滑油供給設備では、上側の潤滑ヘッダーの位置と下側の潤滑ヘッダーの位置を、圧延方向にずらすことによって、前記の上下の噴射領域が重なる領域S3w、S3dの面積比を容易に50%以下に抑えることができる。
さらに本発明の第3の態様の冷間圧延機の潤滑油供給設備は、前記第2の態様において、
前記上側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をα1、
下側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をα2、
各潤滑ヘッダーノズルからの噴射流域の圧延方向への広がり角度をθとし、
前記各角度α1、α2を、圧延方向の側及びそれに対して反対の側に、それぞれ前記広がり角度θの1/2以内としたものである。
この第3の態様において、上下の各潤滑ヘッダーの角度α1、α2を、圧延方向の側及びそれに対して反対の側に、それぞれ前記広がり角度θの1/2以内にすることは、上下の各潤滑ヘッダーのノズルの中心線を概ね金属帯板の板面に鉛直として、各潤滑ヘッダーから、金属帯板の上下面にほぼ垂直に潤滑油を噴射供給することを意味する。このように、金属帯板の上下面にほぼ垂直に潤滑油を噴射供給する場合でも、第2の態様として記載したように、上側の潤滑ヘッダーの位置と下側の潤滑ヘッダーの位置を、圧延方向にずらすことによって、前記の上下の噴射領域が重なる領域S3w、S3dの面積比を容易に50%以下に抑えることができる。
また本発明の第4の態様の冷間圧延機の潤滑油供給設備は、前記第1、第2のいずれかの態様において、
上下の潤滑ヘッダーを、そのノズルからの噴射方向が、金属帯板の圧延方向に対して反対方向に向くように傾け、かつその傾きについて、
上側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をα1、
下側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をα2、
各潤滑ヘッダーノズルからの噴射流域の圧延方向への広がり角度をθとし、
θ/2≦α1
α1+θ/2≦60°、
θ/2≦α2
α2+θ/2≦60°
を満たすようにしたものである。
この第4の態様では、上下の潤滑ヘッダーを、そのノズルからの噴射方向が、金属帯板の圧延方向に対して反対方向に向くように、適切な角度だけ傾けている。そのため、通板時に連続移動する薄板鋼帯の表面に潤滑油の噴射流が衝突するように潤滑油が噴射供給されるから、潤滑油の油滴の衝突速度が高くなるとともに衝突頻度が大きくなり、その結果、金属帯板表面への潤滑油の付着効率が向上する。
またこの場合、上下の潤滑ヘッダーの傾き角度を上記の範囲内で適切に調整することによって、前記の上下の噴射領域が重なる領域S3w、S3dの面積比を容易に50%以下に抑えることができる。なお、このような傾き角度の調整と同時に、第2の態様に記載したように、上側の潤滑ヘッダーの位置と下側の潤滑ヘッダーの位置を、圧延方向にずらしても良いことはもちろんである。
さらに本発明の第5の態様の冷間圧延機の潤滑油供給設備は、前記第1、第2のいずれかの態様において、
前記各潤滑ヘッダーノズルからの噴射領域の圧延方向への広がり角度をθとし、
かつ上下の潤滑ヘッダーのうちのいずれか一方の潤滑ヘッダーについて、その一方の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をαqとして、その角度αqを、圧延方向の側及びそれに対して反対の側に、それぞれ前記広がり角度θの1/2以内とし、
また上下の潤滑ヘッダーのうちの他方の潤滑ヘッダーを、その他方のノズルからの噴射方向が、金属帯板の圧延方向に対して反対方向に向くように傾け、かつその他方のノズルの傾きについて、噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をαpとして、
θ/2≦αp
αp+θ/2≦60°
を満たすようにしたものである。
この第5の態様は、上下の潤滑ヘッダーのうちの一方の潤滑ヘッダーについては、第3の態様に記載したようにほぼ垂直に配設し、他方の潤滑ヘッダーについては、第4の態様に記載したように圧延方向に対して反対側に適切な角度だけ傾けている。この場合にも、上下の潤滑ヘッダーの位置を圧延方向にずらしたり、傾き角度を調整したりすることによって、前記の上下の噴射領域が重なる領域S3w、S3dの面積比を容易に50%以下に抑えることができる。
また本発明の第6の態様の潤滑圧延方法は、
前記第1〜第5のいずれか1の態様の冷間圧延機の潤滑油供給設備を使用して、冷間圧延機の入り側において金属帯板の上下両面を潤滑しつつ、金属薄板を冷間圧延するにあたり、
ノズル1つあたりのガス噴射圧力を、0.001MPa以上、1MPa以下とするとともに、金属帯板の通板速度の値(V(m/分))に対して潤滑ヘッダーのノズルから供給するガスの圧力の値(P(MPa))が1/5000倍以上となるように、ガスを潤滑油とともに金属帯板の表面に噴射供給しながら冷間圧延することを特徴とするものである。
このような第6の態様の潤滑圧延方法においては、ノズル1つあたりのガス噴射圧力を上記のように定めることによって、余分な潤滑油が薄板鋼帯やミル周辺に付着することなく、確実かつ十分に薄板鋼帯表面に潤滑油を供給することができる。また、潤滑ヘッダーのノズルから供給するガスの圧力を上記のように設定すれば、通板中に発生する薄板鋼帯の表面の空気の流動層により潤滑油が妨げられて、十分に潤滑油を鋼板に付着させることが困難となるような事態を回避することができる。
本発明によれば、冷間圧延機の入り側において被圧延材である薄板鋼帯などの金属帯板の上下に、潤滑油をガスとともに噴射供給する2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを設置して、金属帯板の上下両面を潤滑するに当たり、上下から噴射される潤滑油同士の衝突によって潤滑油が薄板鋼帯の幅方向に不均一に付着することが抑制され,そのため潤滑油を板幅方向にも圧延方向にも均一に薄板鋼帯に供給できるようになり、その結果、安定した潤滑圧延が可能になる効果が奏され、さらに、潤滑油の薄板鋼帯への付着効率も高めることができることから、潤滑油原単位の低減,作業率や稼働率などの操業指標が向上する効果も得られる。
本発明の冷間圧延機の潤滑油供給設備の第1の実施形態を示す略解的な正面図である。 図1におけるII-II線での略解的な側面図である。 図2におけるIII-III線の位置での略解的な平面図である。 上下の噴射領域が一部重なり合った場合の、図3に準じた位置での略解的な平面図である。 第1の実施形態における上下の潤滑油噴射状況の第1の例を側面側から示すための図で、図1における要部に相当する略解図である。 第1の実施形態における上下の潤滑油噴射状況の第2の例を側面側から示すための図で、図5Aに準じた略解図である。 本発明の冷間圧延機の潤滑油供給設備の第2の実施形態を示す略解的な正面図である。 第2の実施形態における上下の潤滑油噴射状況の第1の例を側面側から示すための図で、図6における要部に相当する略解図である。 第2の実施形態における上下の潤滑油噴射状況の第2の例を側面側から示すための図で、図7Aに準じた略解図である。 第2の実施形態における上下の潤滑油噴射状況の第3の例を側面側から示すための図で、図7Aに準じた略解図である。 第2の実施形態における上下の潤滑油噴射状況の第4の例を側面側から示すための図で、図7Aに準じた略解図である。 上下の噴射領域をずらすための別の手法を示すための、図4に準じた位置での平面的な略解図である。 本発明の冷間圧延機の潤滑油供給設備の第3の実施形態の要部を示す略解的な正面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図3には、本発明による第1の実施形態の潤滑油供給設備を示す。
図1〜図3において、金属帯板、例えば薄板鋼帯2を圧延するための冷間圧延機1については、上下のワークロール1A、1Bの部分のみを示し、バックアップロールや中間ロールについては省略しており、またワークロール1A、1Bの前後で薄板鋼帯2を支持するガイドローラなどについても省略している。本発明では、4重式の冷間圧延機あるいは6重式の冷間圧延機、12段クラスター型の冷間圧延機、20段のセンジミアー冷間圧延機など、どのような形式の圧延機にも適用可能である。
上下のワークロール1A、1Bの噛み込み部分、すなわちロールバイト3の入り側に向かう薄板鋼帯2の通板経路の上下には、それぞれ薄板鋼帯2の上面、下面に潤滑油を噴射供給するための上側潤滑ヘッダー41、下側潤滑ヘッダー42が配設されている。これらの潤滑ヘッダー41、42は、潤滑油とともに空気などのガスを噴出する2流体ノズルを有している。そのノズルとしては、噴射コーン(ノズルから噴出される潤滑油の噴射流域の立体形状)51、52の横断面形状がフラット形状、例えば扁平な長円形状となるような、いわゆるフラットノズルが用いられ、そのフラット形状の長軸方向が薄板鋼帯2の板幅方向に沿うように配設されている。
ここで、薄板鋼帯2の上下面に潤滑油を供給する潤滑ヘッダー41、42は、薄板鋼帯2の各面からある程度の距離だけ離れた位置に設置され、ヘッダーの角度を薄板鋼帯の圧延方向(移動方向)Pに対して傾けられるように構成されている。その角度調整は、上下の潤滑ヘッダー41、42で別々に設定できるようになっている。また、上側と下側の潤滑ヘッダー41、42の圧延方向Pに沿った方向の設置位置、すなわち圧延機のワークロール1A、1Bの中心からの距離も調整可能とされており、上下の潤滑ヘッダー41、42で同じ距離に設定したり、異なる距離の位置にずらして設定したりすることが可能である。なおこの際のずらす方向は、上側の潤滑ヘッダー41が下側の潤滑ヘッダー42よりも圧延機1に近くなっても、また遠くなってもよい。潤滑ヘッダー41、42は薄板鋼帯3の各面からある距離だけ離れたところに固定されるが、その距離は、上下潤滑ヘッダーで異なっていてもよい。さらに、潤滑ヘッダー41に取り付けられるノズルチップも上下潤滑ヘッダー41、42で異なってもよい。
なお、通常の薄板鋼帯の冷間圧延においては、圧延機入り側の鋼帯表面に潤滑油を供給するばかりでなく、ロールバイトやロール表面に潤滑油エマルションが供給されることが多く、本発明を適用して冷間圧延を実施するに当たっても、ロールバイトなどに潤滑油エマルションを供給することが多いが、図1では、ロールバイトなどに潤滑油エマルションを供給する設備は省略して描いている。本発明を実施するに際しては、従来から備わっている圧延機のロールバイトやロール表面に向けて噴射供給される潤滑設備については、どのような形式のものを適用しても構わない。
図1〜図3に示した第1の実施形態では、上側の潤滑ヘッダー41を、下側の潤滑ヘッダー42に比べて、ワークロール1A、1Bから離れた側に、距離Lだけずらしている。また上下の潤滑ヘッダー41、42の設置角度α1、α2は、圧延方向Pの反対側へ上下で等しい角度だけ傾けている(α1=α2)。
図1に示す第1の実施形態における圧延方向Pに沿って見た上下の潤滑ヘッダー41、42からの潤滑油噴射流域51、52の状況を図2に示しており、また通板高さの面Sで見た、上下の潤滑ヘッダー41、42からの潤滑油噴射流域51、52の状況を図3に示している。なお図2、図3において、DSは連続的に通板される薄板鋼帯2のドライブサイドを示し、WSは連続的に通板される薄板鋼帯2のワークサイドを示す。
既に述べたように、薄板鋼帯の板幅方向の全面にわたって潤滑油を均一に供給するためには、板幅よりも広い範囲にわたって潤滑油を供給しなければならず、したがって板幅の外側にも潤滑ヘッダーから潤滑油が噴霧供給される状態とされる。すなわち、図2、図3に示しているように、上下の潤滑ヘッダー41、42からの潤滑油噴射流域51、52は、通板高さの面Sにおいて、それぞれ薄板鋼帯2の板幅の内側から、ドライブサイドDS側の板幅外側およびワークサイドWS側の板幅外側にはみ出した状態となる。
ここで、上側の潤滑ヘッダー41からの潤滑油噴射流域51内における、通板高さの面Sでの薄板鋼帯2の板幅の内側の噴射領域を51o、ドライブサイドDS側の外側の噴射領域を51d、ワークサイドWS側の外側の噴射領域を51wとする。また下側の潤滑ヘッダー42からの潤滑油噴射流域52内における、通板高さの面Sでの薄板鋼帯2の板幅の内側の噴射領域を52o、ドライブサイドDS側の外側の噴射領域を52d、ワークサイドWS側の外側の噴射領域を52wとする。なお図3において、上下のDS側、WS側の外側の各噴射領域51d、51w、52d、52wには、ハッチングを付している。
本実施形態の場合は、前述のように上側の潤滑ヘッダー41を、下側の潤滑ヘッダー42の位置から、ワークロール1A、1Bから離れる方向(圧延方向Pに対し反対方向)に距離Lだけずらし、また上下の潤滑ヘッダー41、42の設置角度α1、α2を、圧延方向Pの反対側へ上下で等しい角度だけ傾けているため、通板高さの面Sでは、図3に示しているように、上下の噴射コーン(噴射流域)51、52が衝突しない状態となっている。すなわち、上側の潤滑ヘッダー41からの潤滑油噴射流域51内における、通板高さの面SでのドライブサイドDS側の外側の領域51dおよびワークサイドWS側の外側の領域51wは、下側の潤滑ヘッダー42からの潤滑油噴射流域52内における、通板高さの面SでのドライブサイドDS側の外側の領域52dおよびワークサイドWS側の外側領域52wと、重ならない状態となっている。そのため、通板位置における薄板鋼板の板幅外側において、上下の潤滑油噴射流の衝突、干渉が生じない。したがって、上下の潤滑油噴射流の衝突、干渉によって潤滑油が飛散して、薄板鋼帯表面に余分な油滴が付着したり、圧延機廻りへ油滴が付着したりすることを、有効に防止できる。
以上のような図1〜図3に示した第1の実施形態では、上側の潤滑ヘッダー41からの潤滑油噴射流域51と下側の潤滑ヘッダー42からの潤滑油噴射流域52とが、通板高さの面Sで全く重ならないように、上下の潤滑ヘッダー41、42の圧延方向の位置及び傾きを調整しているが、要は、通板高さの面Sでの板幅外側での上下の噴射流域51、52の重なり部分の面積の比率が、ある程度以下の小さい値であれば、通板位置における薄板鋼板の板幅外側での上下の潤滑油噴射流の衝突、干渉を最小限に抑え、これによって上記の干渉、衝突による問題を回避することができる。このような重なり部分の面積比率に関して、図4を参照して次に説明する。
図4には、上側の潤滑ヘッダーからの潤滑油噴射流域51と下側の潤滑ヘッダーからの潤滑油噴射流域52とが、通板高さの面Sで一部重なっている状況を、図3に倣って示す。すなわち、通板高さの面SでのドライブサイドDS側の外側の噴射領域51dおよびワークサイドWS側の外側の噴射領域51wが、それぞれ、下側の潤滑ヘッダー42からの潤滑油噴射流域52における、通板高さの面SでのドライブサイドDS側の外側の噴射領域52dおよびワークサイドWS側の外側の噴射領域52wと、それぞれ重なっている。これらの重なっている領域(重なり領域)には図4中でクロスハッチングを付し、ドライブサイドDS側の重なり領域について符号53dで示し、ワークサイドWS側の重なり領域について符号53wで示す。
ここで、上側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域51のうち、薄板鋼帯2のワークサイドWS側の外側における薄板鋼帯2の通板高さの面Sでの噴射領域51wの面積をS1w、ドライブサイドDS側の外側における薄板鋼帯1の通板高さの面Sでの噴射領域51dの面積をS1dとする。
また、下側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域52のうち、薄板鋼帯2のワークサイドWS側の外側における薄板鋼帯2の通板高さの面Sでの噴射領域52wの面積をS2w、ドライブサイドDS側の外側における薄板鋼帯2の通板高さの面Sでの噴射領域52dの面積をS2dとする。
さらに、ワークサイドWS外側における、上側からの噴射領域51wと、下側からの噴射領域52wとが重なり合う重なり領域53wの面積をS3w、ドライブサイドDS外側における、上側からの噴射領域51dと、下側からの噴射領域52dとが重なり合う重なり領域53dの面積をS3dとする。
そして各噴射面積S1w、S1d、S2w、S2dに対する重なり面積S3w、S3dの比R1w、R1d、R2w、R2dを、
R1w=S3w/S1w×100(%)
R1d=S3d/S1d×100(%)
R2w=S3w/S2w×100(%)
R2d=S3d/S2d×100(%)
と定義する。
本発明では、各噴射面積に対する重なり面積の比R1w、R1d、R2w、R2dのうち、最も大きい比の値が50%以下となるように、上下の潤滑ヘッダー41、42を配設することとしている。このように重なり面積の比を、最大50%以下に抑制することによって、通板位置における薄板鋼板の板幅外側での上下の潤滑油噴射流の衝突、干渉を最小限に抑え、これによって前述のような上下の潤滑油噴射流の干渉、衝突による問題を回避することができる。
すなわち、板幅の外側における上下潤滑ヘッダーから噴射された潤滑油の噴射領域の重なり面積の比R1w、R1d、R2w、R2dのいずれか一つが50%よりも大きくなれば、薄板鋼帯の通板時において上下から潤滑油を噴霧供給したときに、上下の潤滑油噴射流が衝突して油滴が大きくなり、かつその油滴の飛ぶ方向が変化して飛散し、薄板鋼帯表面に付着して,潤滑油付着ムラ(不均一付着)を引き起こしたり、圧延機廻りに付着してそれが堆積し、通板中の薄板鋼帯に滴下して汚れを引き起こしたりするおそれが大きい。これに対して、重なり面積の比R1w、R1d、R2w、R2dがいずれも50%以下であれば、2流体ノズルで供給する潤滑油の量が従来の1流体ノズルで供給する潤滑油量よりも格段に少量であることから、潤滑ムラの発生レベルや圧延機廻りへの潤滑油の付着・堆積の量が、ほとんど無視し得る程度、すなわち従来の1流体ノズル供給方式の場合と同程度以下となる。なお、潤滑ヘッダーの設置スペースや傾け角度の設定に自由度があれば、噴射領域の重なり面積の比R1w、R1d、R2w、R2dは、最大で30%以下とすることが好ましい。
なお、本発明において、噴射領域の重なり面積の比R1w、R1d、R2w、R2dが最大で50%以下、好ましくは30%以下であるとは、これらの重なり面積の比が0%の場合を含むことはもちろんである。すなわち、図1〜図3に示した状況は、これらの重なり面積の比がすべて0%である場合に相当する。
ここで、図4における各噴射領域の面積S1d、S1w、S2d、S2w、S3d、S3wは、実操業中には実測することが困難である。しかしながら、冷間圧延ラインを停止させて、通板する薄板鋼帯のWS側およびDS側に透明アクリル板等を置き、上下の潤滑ヘッダーの2流体ノズルから潤滑油を噴射させれば、これらの面積S1d、S1w、S2d、S2w、S3d、S3wを観察でき、写真撮影などによって、それらの面積を容易に測定することができる。
なお、薄板鋼帯の板幅方向外側の潤滑油噴射領域の重なり面積の比R1w、R1d、R2w、R2dが、50%以下、好ましくは30%以下となるように調整するためには、図1にも示したように、上下の潤滑ヘッダー41、42の位置を圧延方向にずらす方法と、上下の潤滑ヘッダー41、42の傾きの角度を調製する方法との、いずれか一方または双方を適用すれば良い。またその場合、潤滑ヘッダーと薄板鋼帯との距離を、使用するノズルチップの噴射コーンの広がり特性を考慮して、また設置する圧延機周辺の設備配置を考慮して決めればよい。
ここで、図1〜図3に示した第1の実施形態では、それぞれ2流体ノズルを有する上下の潤滑ヘッダー4A、4Bを、鉛直面Qに対して圧延方向Pの反対側に角度α1、α2だけ傾けて、潤滑油をガスとともに噴霧供給する構成としている。上下の潤滑ヘッダー4A、4Bを、鉛直面Qに対して圧延方向Pの反対側に傾けている状況の2例を、図5A、図5Bに拡大して示す。
このように上下の潤滑ヘッダー4A、4Bを、圧延方向Pの反対側に傾けている理由は、次の通りである。
すなわち、2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを使用して、潤滑油をガスとともに通板中の薄板鋼帯に供給する場合、上下の潤滑ヘッダーを垂直方向に設置して、上下方向に潤滑油を噴霧供給するよりも、上下の潤滑ヘッダーを鉛直面Qに対して圧延方向Pの反対側に傾けて潤滑油をガスとともに噴霧供給した方が、潤滑油の付着効率が向上する。これは、通板時に連続移動する薄板鋼帯の表面に潤滑油の噴射流が衝突するように潤滑油を噴霧供給すれば、潤滑油の油滴の衝突速度が高くなるとともに衝突頻度が大きくなるためである。
上下の潤滑ヘッダーを傾けて、潤滑油の油滴の衝突速度および衝突頻度を効果的に大きくするためには、次の条件を満足させることが好ましい。
すなわち、上側の潤滑ヘッダーのノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面Qに対してなす角度をα1、下側の潤滑ヘッダーのノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面Qに対してなす角度をα2、各潤滑ヘッダーのノズルからの噴射流域の圧延方向に沿った方向への広がり角度をθとし、
θ/2≦α1
α1+θ/2≦60°、
θ/2≦α2
α2+θ/2≦60°
の各条件を満足させることが好ましい。
ここで、潤滑ヘッダーのノズルは、圧延方向にある程度の噴射幅を持っているから、その噴射幅を考慮して、潤滑油の噴射流を圧延方向に対し反対側に傾けなければならない。潤滑ヘッダーのノズルの中心線と垂直方向とのなす角度α1、α2が、ノズルの圧延方向の噴射角θの1/2未満では、連続移動する薄板鋼帯の表面に潤滑油の噴射流が衝突する効果が小さくなってしまう。そこで角度α1、α2はθ/2以上とすることが好ましい。しかしながら、(α1+θ/2)、(α2+θ/2)が60°よりも大きくなれば、鋼板に付着するよりも鋼板上を跳ね返って付着しにくくなる現象が生じる。そこで上記の角度範囲内に潤滑ヘッダーの傾き角α1、α2を調整することが好ましい。なお、その範囲内でも、(α1+θ/2)、(α2+θ/2)が10°以上、45°以下であることが好ましい。
なお、図1、図5A、図5Bでは、上側の潤滑ヘッダー41の傾き角度α1と下側の潤滑ヘッダー42の傾き角度α2とが等しい場合について示しているが、上下の潤滑ヘッダー41、42の傾き角度α1、α2は、必ずしも等しくする必要はなく、適宜異ならしめることも許容される。
図6には、本発明の第2の実施形態として、2流体ノズルを有する上下の潤滑ヘッダー41、42を、そのノズルの噴射方向中心線Oが、圧延方向Pに対し直交する鉛直面Qとほぼ沿うように設置して、薄板鋼帯2の上下の表面に対してほぼ垂直に潤滑油を噴射するようにした例を示し、またその要部を拡大して図7Aに示す。
図6、図7Aに示した第2の実施形態では、上下の潤滑ヘッダー41、42の設置角度は上下で等しく鉛直方向となっているが、上側の潤滑ヘッダー41を、下側の潤滑ヘッダー42よりも冷間圧延機1のワークロール1A、1Bから離れた方向に、距離Lだけずらしている。これにより、図1に示した第1の実施形態の場合と同様に、通板高さの面Sにおいて上下の噴射コーン(噴射流域)51、52が衝突しないように調整されている。すなわち、上側の潤滑ヘッダー41からの潤滑油噴射流域51と下側の潤滑ヘッダー42からの潤滑油噴射流域52とが、通板高さの面Sで全く重ならないように調整されている。
またこの第2の実施形態においても、前述の第1の実施形態について説明したと同様に、通板高さの面Sでの板幅外側での上下の噴射流域51、52が、例えば図7Bに示すように重なっている場合でも、その重なりの面積が、ある程度以下の小さい面積であれば、通板位置における薄板鋼板の板幅外側での上下の潤滑油噴射流の衝突、干渉を最小限に抑え、これによって上記の干渉、衝突による問題を回避することができる。そのための条件としては、第1の実施形態と同様に、通板高さの面Sにおける薄板鋼帯の板幅方向外側の各噴射面積S1w、S1d、S2w、S2dに対する重なり面積S3w、S3dの比R1w、R1d、R2w、R2dを、それぞれ50%以下、好ましくは30%以下とすれば良い。
第2の実施形態のように、潤滑ヘッダー41、42のノズルの中心線Oが垂直方向に固定されている場合、前述の重なり面積の比を、それぞれ50%以下、好ましくは30%以下に抑えるためには、上下の潤滑ヘッダー41、42の位置をずらさなければならない。但し,上下の潤滑ヘッダー41、42のずらし方は,圧延方向に対して平行にずらしてもよく、あるいは潤滑ヘッダー41、42の中心を回転中心として、点対称に(すなわち回転させて)ずらしてもよい。点対称にずらした場合における、薄板鋼帯2の通板高さの面での各噴射領域51w、51d、52w、52d、及び重なり領域53w、53dの例を、図4に倣って図8に示す。また前述のように圧延方向にずらす手法と、回転によってずらす手法とを組み合わせてもよい。
ここで、第2の実施形態について説明したように、上下の潤滑ヘッダー41、42を、ノズルの噴射方向中心線Oが、圧延方向Pに対し直交する鉛直面Qとほぼ沿うように設置して、薄板鋼帯2の上下の表面に対してほぼ垂直に潤滑油を噴射するとは、図6に示しているように、その中心線Oが厳密に鉛直方向に沿っている場合に限らず、中心線Oが鉛直方向に対して若干傾いている場合を含む。その場合の2例を、図7C、図7Dに示す。この場合、前記と同様に、上側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心線Oが圧延方向Pに対し直交する鉛直面Qに対してなす角度をα1、下側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心線Oが圧延方向Pに対し直交する鉛直面Qに対してなす角度をα2、各潤滑ヘッダーノズルからの噴射流域の圧延方向への広がり角度をθとすれば、前記各角度α1、α2が、圧延方向の側及びそれに対して反対の側に、それぞれ前記広がり角度θの1/2以内であれば良い。言い換えれば、圧延方向の側をマイナス(−)側、圧延方向に対して反対側をプラス(+)側とすれば、上下の潤滑ヘッダーの中心線Oが、鉛直面Qに対して±θ/2の範囲内であれば良い。
上記の各角度α1、α2が+側にθ/2以上である場合は、既に第1の実施形態で説明したような、各潤滑ヘッダーを圧延方向に対し反対側に積極的に傾けた場合に相当する。一方、各角度α1、α2が−側にθ/2を越える場合は、各潤滑ヘッダーを圧延方向に積極的に傾けたことになり、その場合は油滴の薄板鋼板に対する衝突力が低下し、付着力が小さくなって、薄板鋼板に付着せずに浮遊する油滴が増加し、それらが薄板鋼板や圧延機の周辺に付着して、製品品質の低下を招くおそれがある。
さらに図9には、本発明の第3の実施形態を示す。
この第3の実施形態は、上側の潤滑ヘッダー41については、第1の実施形態と同様に、ノズル中心線Oが圧延方向Pに対し反対側に角度αpだけ傾くように設置し、一方、下側の潤滑ヘッダー42については、第2の実施形態と同様に、ノズル中心線Oが鉛直面Qに沿うように(すなわち傾き角度αq=0となるように)設置した例である。この第3の実施形態においても、薄板鋼板2の通板位置の面Sにおいて、薄板鋼板2の板幅方向外側での上下の潤滑ヘッダー41、42からの噴射領域の重なり面積の比が、それぞれ既に述べたように50%以下、好ましくは30%以下となるように調整する。また上側の潤滑ヘッダー41の傾き角度αpについては、第1の実施形態で説明したα1、α2の条件を満足させることが望ましく、下側の潤滑ヘッダー42の傾き角度αqについては、第2の実施形態で説明したα1、α2の条件を満足させることが望ましい。また、図9とは上下の関係を反転させて、下側の潤滑ヘッダー41については、第1の実施形態と同様に、ノズル中心線Oが圧延方向Pに対し反対側に傾くように設置し、一方、上側の潤滑ヘッダー41については、第2の実施形態と同様に、ノズル中心線Oが鉛直面Qに沿うように設置しても良い。
なお本発明において、潤滑ヘッダーとしては、1つもしくはそれ以上の2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを用いることができる。2以上の2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーの場合、各ノズルは等間隔に設けておく必要はなく、例えば、潤滑油を多量に供給したいところではノズル間隔を小さく、そうでないところではノズル間隔を大きくしても良い。また、1または2以上の2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを、上側、下側のそれぞれに2基以上設置しても良い。さらに2流体ノズルとしては、薄板鋼帯を対象とした場合、前述のようなフラット形状の噴射コーンを持つものが好ましいが、場合によってはラウンド形状の噴射コーンをもつものでも使用することができる。また潤滑ヘッダーのノズルは、フラット形状が板幅方向に並ぶように配置しても良いし、あるいは若干角度を持たせて、個々のノズルの噴射コーンの端同士が干渉しないように配置しても良い。要は、圧延対象の薄板鋼帯などの板面に潤滑油が供給されない部分が生じないように配置されており、しかも前述のような本発明で規定する条件を満たしていれば、ノズルの配置形態は適宜定めれば良い。
また一方、本発明の設備を適用して薄板鋼帯などの金属帯板を冷間圧延するにあたっては、潤滑油としては、40℃における動粘度が、1cSt以上、800cSt以下の潤滑油を使用することが好ましい。40℃における動粘度が1cSt未満では、ロールバイトに導入されても冷間圧延に必要な潤滑性を発揮できないおそれがある。また40℃における動粘度が800cStよりも大きければ、潤滑油供給配管内での流動性が悪いため、配管詰まりを引き起こしやすくなる。より好ましくは、40℃における動粘度が5cSt以上、400cSt以下の潤滑油を使用することが望ましい。さらに潤滑油としては、潤滑油原液を用いても良いし、あるいは水と潤滑油とが予め混合されたエマルションを用いても良い。いずれを用いても、適切な供給量を設定すれば、必要とする潤滑効果を得ることができるが、実操業上は、潤滑油原液を用いることが好ましい。さらに2流体ノズルから潤滑油とともに噴出させるガスとしては、空気、窒素、アルゴン等、不燃性のガスであれば任意であるが、コストや供給の容易さからは、空気もしくは窒素を用いることが好ましい。
潤滑ヘッダーを設置する位置は、冷間圧延機の入り側であれば、圧延機からの距離は特に限定されない。但し、潤滑油としてエマルションを供給する場合には、プレートアウトに必要な時間を稼ぐために、冷間圧延機のロールバイト入口から1m程度離した箇所において薄板鋼帯に潤滑油を供給できるようにすることが望ましい。また、本発明に従って薄板鋼帯の表面に潤滑油を供給するばかりでなく、それに併せて、ロールバイトにクーラントとしてエマルションを供給する場合は、薄板鋼帯表面上にエマルションが来ない位置において薄板鋼帯に潤滑油を供給することが好ましい。薄板鋼帯上にエマルションクーラントが来ると懸念される位置に潤滑ヘッダーを設置しなければならない場合には、潤滑油を供給する箇所にクーラントが来ないように、ワイパーなどを設置することが好ましい。
本発明の設備を使用して潤滑圧延を行う場合、ノズルから噴射するガスの圧力は、0.001MPa以上、1MPa以下であることが好ましく、さらに0.05MPa以上、1MPa以下であることがより好ましい。粘度の低い潤滑油、たとえば,40℃における動粘度が30cSt以下の潤滑油を使用する場合には、0.001〜0.1MPaの範囲内の圧力でガスを供給する方が、浮遊ミストの発生が少なく、潤滑油の付着効率が大きくなる。この場合、0.001MPaよりも小さい圧力では、薄板鋼帯に届くほどの初速度を潤滑油に与えることが困難となる。一方、1MPaよりも大きな圧力で噴射すれば、ガス噴射方向に角度をつけても、潤滑油の噴射流が激しくなって潤滑油同士の衝突が助長されて、余分な潤滑油が薄板鋼帯やミル周辺に付着することが多くなる。
また、薄板鋼帯が通板する際には、表面に薄板鋼帯の速度に応じて表面の空気の流動層が形成される。通板中の薄板鋼帯に潤滑油を供給する場合には、この空気の移動層を破って潤滑油を鋼板表面に付着させなければならない。これを達成するには、薄板鋼帯の通板速度をV(m/分)とし、供給するノズル1本からのガス圧力P(MPa)とすれば、
P=V/5000
の関係で求まる圧力以上の圧力で、ガスを潤滑油とともに噴射供給しながら圧延することが望ましい。上記の関係式で求められるガス圧力よりも小さい圧力で潤滑油をガスとともに噴霧供給すれば、通板中に発生する薄板鋼帯の表面の空気の流動層に妨げられて、十分に潤滑油を鋼板に付着させることが困難となる。
本発明の作用・効果を検証するため、以下の実験例1に示すように鋼板(金属帯板)表面に対する潤滑油の付着状況を調査するモデル実験を行ない、さらに実験例2に示すように、実機の冷間圧延機を用いての潤滑圧延実験を行なった。
〔実験例1〕
冷間圧延実験装置の巻き取り機を使用して、移動中の鋼板に潤滑油を噴射し、鋼板に付着した潤滑油の量を測定した。圧延機のロールはギャップ開放して、鋼板がワークロールに接触しないようにした。鋼板としては、0.8mmの板厚で板幅が380mmのコイルを使用した。潤滑ヘッダーのノズルの先端から鋼板表面までの距離(高さ)は120mmとした。潤滑ヘッダーとしては、2流体ノズルが250mm間隔で2個設置されたものを用い、その潤滑ヘッダーを上側と下側に設置した。上下の各潤滑ヘッダーの設置条件は、潤滑油の噴射幅が板幅よりも両側に60mmずつ広い噴射幅になるように調整した。また、潤滑ヘッダーのノズルチップを交換して、鋼板の通板方向(圧延方向)における噴射角θが5°、10°、15°のものを使用し、それぞれ付着量の測定を行った。付着量は、板幅中央部100mm幅と、両エッジ50mm幅について、通板方向に200mmの面積に付着した上下面それぞれの潤滑油を拭き取って、鋼板に付着した潤滑油量を調査した。潤滑油は、定量送出ポンプによって各潤滑ヘッダーに供給した。潤滑油としては、40℃における動粘度が55cStの潤滑油を使用し、潤滑油原液を空気とともに供給する条件と、濃度10体積%のエマルション(水に潤滑油10体積%混合したもの)を空気とともに供給する条件との、2通りの条件について調査した。
潤滑ヘッダーの傾き角α1、α2、上下潤滑ヘッダーから供給される潤滑油の板幅の外側での重なり面積などの条件を変えて、鋼板に付着する潤滑油の量を調べた結果を、各実験条件とともに表1に示す。
Figure 2014231083
表1から明らかなように、本発明に従って潤滑油供給を行なうことによって、ほぼ安定した潤滑油の付着量が得られ、板幅中央部とエッジ部とで潤滑油付着量のムラもほとんど無いことが確認された。これに対して、本発明ではなく比較例の条件で圧延を行えば、0.1cc/m2よりも大きなエッジ部付近の潤滑油ムラが発生し、これによって部分的に滑りやすくなるため、絞り事故が発生しやすくなり、製品の表面品質の低下や生産性低下を招くことが確認された。
〔実験例2〕
実機タンデム冷間圧延機の5スタンドのうち、#4圧延機の入り側に2流体ノズルを150mm間隔で配置した潤滑ヘッダーを準備して、#4スタンドのロールセンターから1.5m離れたところに、潤滑ヘッダーを設置した。鋼板からノズル先端までの距離は150mmで、フラット形状の噴射コーンの2流体ノズルを潤滑ヘッダーに設置した。このノズルの圧延方向の噴射角θは5°のものを使用した。潤滑油としては、40℃における動粘度が70cStのものを使用し、潤滑油原液を空気とともに鋼板の上下面に供給した。圧延に供した材料は、炭素量0.02wt%の炭素鋼で、#4スタンドの入側板厚は約1.2mm、出側板厚は約0.9mmで、板幅は約1180mmである。潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油は、鋼板の通板位置において板幅よりも広い約1400mmの幅に潤滑油が供給されるようにノズルを配置した。入出側張力は約170MPa程度で、潤滑油供給量は、ノズル1本あたり毎分15ccとした。このような条件で、圧延速度、潤滑ヘッダーの傾き角、エアー圧を変更して潤滑圧延を行い、圧延データから摩擦係数をOrowanの圧延解析モデルを使用して摩擦係数を逆算し、潤滑性を評価するとともに、潤滑ムラに起因するエッジ付近の絞り発生率を調査した。その結果を表2に示す。
Figure 2014231083
表2から明らかなように、本発明を適用することによって、均一かつ安定な潤滑油の付着が可能になり、良好な摩擦係数低減効果が得られ、エッジ部の絞りの発生も低減することが確認された。
以上、本発明の好ましい実施形態および実験例について説明したが、これらの実施形態、実験例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。
1 冷間圧延機
1A、1B ワークロール
2 薄板鋼帯(金属帯板)
41 上側の潤滑ヘッダー
42 下側の潤滑ヘッダー
51 上側の潤滑ヘッダーからの噴射コーン(噴射流域)
52 下側の潤滑ヘッダーからの噴射コーン(噴射流域)
51w 上側の噴射流域における、通板高さの面でのワークサイド側の外側の噴射領域
51d 上側の噴射流域における、通板高さの面でのドライブサイド側の外側の噴射領域
52w 下側の噴射流域における、通板高さの面でのワークサイド側の外側の噴射領域
52d 下側の噴射流域における、通板高さの面でのドライブサイド側の外側の噴射領域
53w 通板高さの面でのワークサイド側の外側の上下の噴射領域の重なり領域
53d 通板高さの面でのドライブサイド側の外側の上下の噴射領域の重なり領域
WS ワークサイド
DS ドライブサイド
P 圧延方向
S 通板高さの面
O 各潤滑ヘッダーのノズル中心線
Q 鉛直面

Claims (6)

  1. 冷間圧延機の入り側における圧延すべき金属帯板の上下両面側に、それぞれ1つ以上の2流体ノズルを有する潤滑ヘッダーを配置しておき、これらの上側および下側の潤滑ヘッダーにより、潤滑油とガスとを同時に金属帯板の上下両面に噴射供給する冷間圧延機の潤滑油供給設備において、
    上側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域のうち、金属帯板のワークサイド側の外側における金属帯板の通板高さの面での噴射面積をS1w、
    上側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域のうち、金属帯板のドライブサイド側の外側における金属帯板の通板高さの面での噴射面積をS1d、
    下側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域のうち、金属帯板のワークサイド側の外側における金属帯板の通板高さの面での噴射面積をS2w、
    下側の潤滑ヘッダーから噴射される潤滑油の噴射流域のうち、金属帯板のドライブサイド側の外側における金属帯板の通板高さの面での噴射面積をS2d、
    とそれぞれ定義し、
    さらに、ワークサイド外側において、上側の前記噴射面積S1wの領域と、下側の前記噴射面積S2wの領域とが重なる領域の面積をS3w、
    ドライブサイド外側において、上側の前記噴射面積S1dの領域と、下側の前記噴射面積S2dの領域とが重なる領域の面積をS3d、
    とし、
    各噴射面積に対する重なり面積の比R1w、R1d、R2w、R2dを、
    R1w=S3w/S1w×100(%)
    R1d=S3d/S1d×100(%)
    R2w=S3w/S2w×100(%)
    R2d=S3d/S2d×100(%)
    として、これらの比R1w、R1d、R2w、R2dのうち、最も大きい比の値が50%以下となるように、前記各潤滑ヘッダーが配設されていることを特徴とする冷間圧延機の潤滑油供給設備。
  2. 請求項1に記載の冷間圧延機の潤滑油供給設備において、
    各潤滑ヘッダーを、上側の潤滑ヘッダーの位置と下側の潤滑ヘッダーの位置とが圧延方向にずれるように設置した冷間圧延機の潤滑油供給設備。
  3. 請求項2に記載の冷間圧延機の潤滑油供給設備において,
    上側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をα1、
    下側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をα2、
    各潤滑ヘッダーノズルからの噴射流域の圧延方向への広がり角度をθとし、
    前記各角度α1、α2を、圧延方向の側及びそれに対して反対の側に、それぞれ前記広がり角度θの1/2以内とした冷間圧延機の潤滑油供給設備。
  4. 請求項1もしくは請求項2に記載の冷間圧延機の潤滑油供給設備において、
    上下の潤滑ヘッダーを、そのノズルからの噴射方向が、金属帯板の圧延方向に対して反対方向に向くように傾け、かつその傾きについて、
    上側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をα1、
    下側の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をα2、
    各潤滑ヘッダーノズルからの噴射流域の圧延方向への広がり角度をθとし、
    θ/2≦α1
    α1+θ/2≦60°、
    θ/2≦α2
    α2+θ/2≦60°
    を満たすようにした冷間圧延機の潤滑油供給設備。
  5. 請求項1もしくは請求項2に記載の冷間圧延機の潤滑油供給設備において、
    各潤滑ヘッダーノズルからの噴射領域の圧延方向への広がり角度をθとし、
    かつ上下の潤滑ヘッダーのうちのいずれか一方の潤滑ヘッダーについて、その一方の潤滑ヘッダーノズルの噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をαqとして、その角度αqを、圧延方向の側及びそれに対して反対の側に、それぞれ前記広がり角度θの1/2以内とし、
    また上下の潤滑ヘッダーのうちの他方の潤滑ヘッダーを、その他方のノズルからの噴射方向が、金属帯板の圧延方向に対して反対方向に向くように傾け、かつその他方のノズルの傾きについて、噴射方向中心を通る線が圧延方向に対し直交する鉛直面に対してなす角度をαpとして、
    θ/2≦αp
    αp+θ/2≦60°
    を満たすようにした冷間圧延機の潤滑油供給設備。
  6. 請求項1〜5のいずれか一の請求項に記載の冷間圧延機の潤滑油供給設備を使用して、金属帯板を冷間圧延するにあたり、
    ノズル1つあたりのガス噴射圧力を、0.001MPa以上、1MPa以下とするとともに、金属帯板の通板速度の値(V(m/分))に対して潤滑ヘッダーのノズルから供給するガスの圧力の値(P(MPa))が1/5000倍以上となるように、ガスを潤滑油とともに金属帯板の表面に噴射供給しながら冷間圧延することを特徴とする潤滑圧延方法。
JP2013113339A 2013-05-29 2013-05-29 冷間圧延機の潤滑油供給方法および潤滑圧延方法 Active JP6201430B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013113339A JP6201430B2 (ja) 2013-05-29 2013-05-29 冷間圧延機の潤滑油供給方法および潤滑圧延方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013113339A JP6201430B2 (ja) 2013-05-29 2013-05-29 冷間圧延機の潤滑油供給方法および潤滑圧延方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014231083A true JP2014231083A (ja) 2014-12-11
JP6201430B2 JP6201430B2 (ja) 2017-09-27

Family

ID=52124805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013113339A Active JP6201430B2 (ja) 2013-05-29 2013-05-29 冷間圧延機の潤滑油供給方法および潤滑圧延方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6201430B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018089651A (ja) * 2016-12-02 2018-06-14 新日鐵住金株式会社 圧延油供給設備及び圧延油供給方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04110161U (ja) * 1991-03-07 1992-09-24 住友金属工業株式会社 オイリング装置
JPH07251208A (ja) * 1994-03-15 1995-10-03 Nippon Steel Corp 冷間圧延の圧延油供給方法
US5694799A (en) * 1991-10-18 1997-12-09 Sms Schloemann-Siemag Aktiengesellschaft Hot-rolling process and hot-rolling mill for metal strip
JP2006255764A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Jfe Steel Kk 冷間圧延における圧延油の供給方法および装置
JP2006263740A (ja) * 2005-03-22 2006-10-05 Nippon Steel Corp 冷間圧延における潤滑油供給方法およびその装置
JP2006263772A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Jfe Steel Kk 冷間圧延における圧延油供給方法および装置
JP2008212940A (ja) * 2007-02-28 2008-09-18 Jfe Steel Kk 金属板の冷間圧延方法及び冷間タンデム圧延機
JP2010235967A (ja) * 2009-03-30 2010-10-21 Jfe Steel Corp 溶融金属めっき鋼帯の製造装置、及び溶融金属めっき鋼帯の製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04110161U (ja) * 1991-03-07 1992-09-24 住友金属工業株式会社 オイリング装置
US5694799A (en) * 1991-10-18 1997-12-09 Sms Schloemann-Siemag Aktiengesellschaft Hot-rolling process and hot-rolling mill for metal strip
JPH07251208A (ja) * 1994-03-15 1995-10-03 Nippon Steel Corp 冷間圧延の圧延油供給方法
JP2006255764A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Jfe Steel Kk 冷間圧延における圧延油の供給方法および装置
JP2006263740A (ja) * 2005-03-22 2006-10-05 Nippon Steel Corp 冷間圧延における潤滑油供給方法およびその装置
JP2006263772A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Jfe Steel Kk 冷間圧延における圧延油供給方法および装置
JP2008212940A (ja) * 2007-02-28 2008-09-18 Jfe Steel Kk 金属板の冷間圧延方法及び冷間タンデム圧延機
JP2010235967A (ja) * 2009-03-30 2010-10-21 Jfe Steel Corp 溶融金属めっき鋼帯の製造装置、及び溶融金属めっき鋼帯の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018089651A (ja) * 2016-12-02 2018-06-14 新日鐵住金株式会社 圧延油供給設備及び圧延油供給方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6201430B2 (ja) 2017-09-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4980504B2 (ja) 潤滑油供給設備および潤滑油供給方法
US20130298627A1 (en) Method And Apparatus For Applying A Lubricant While Rolling Metallic Rolled Stock
KR101158327B1 (ko) 금속 스트립 냉각용 냉각 장치
KR101696587B1 (ko) 연속 주조의 2차 냉각 방법
US8434338B2 (en) Device for cooling a metal strip
JP2012055955A (ja) 冷間圧延における圧延潤滑方法およびその装置
JP6201430B2 (ja) 冷間圧延機の潤滑油供給方法および潤滑圧延方法
JP4654724B2 (ja) 冷間圧延における圧延油供給方法および装置
JP4654719B2 (ja) 冷間圧延における圧延油の供給方法および装置
JP6350274B2 (ja) 冷間圧延機の潤滑油供給設備
JP4962055B2 (ja) 冷間圧延方法および冷間圧延装置
TWI651138B (zh) 金屬帶的冷軋設備及冷軋方法
JP6651986B2 (ja) 熱間圧延における潤滑油供給方法
CN104942031B (zh) 一种冷轧轧制润滑剂供给方法
TWI613015B (zh) 冷軋延裝置用之潤滑油供給設備及其供給方法
JP3314721B2 (ja) 冷間圧延における圧延潤滑油供給方法及びその装置
JP2006142339A (ja) 熱間圧延における潤滑剤供給方法
KR20240033179A (ko) 용융 금속 도금 강대의 제조 방법
JP2000015320A (ja) 冷間圧延における鋼帯への圧延潤滑油の供給方法
JP2011089211A (ja) 溶融金属めっき鋼帯の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170801

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170814

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6201430

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350