JPH0938709A - 冷延鋼板の調質圧延方法 - Google Patents

冷延鋼板の調質圧延方法

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JPH0938709A
JPH0938709A JP7193484A JP19348495A JPH0938709A JP H0938709 A JPH0938709 A JP H0938709A JP 7193484 A JP7193484 A JP 7193484A JP 19348495 A JP19348495 A JP 19348495A JP H0938709 A JPH0938709 A JP H0938709A
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征浩 松浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】霧状の圧延油を供給して調質圧延する方法にお
いて、伸び率を精度よく安定して制御し、かつロール表
面の鋼板への転写を最適に行う方法を提供する。 【解決手段】冷延鋼板を焼鈍後調質圧延するに際し、加
圧した調質圧延油と気体とをノズルに供給することによ
り、調質圧延油を平均粒径で30μm以下の霧状にし、こ
の霧状調質圧延油を、少なくとも調質圧延入り側の鋼板
表面に吹き付けながら圧延し、圧延機出側において鋼板
の伸び率を測定し、この測定値が目標値となるように、
調質圧延液及び/又は気体の圧力を調整するか、鋼板に
対するノズルの噴射角度を調整するか、またはノズルと
鋼板との距離を調節して伸び率を制御しながら圧延する
冷延鋼板の調質圧延方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、冷延鋼板の降伏
点伸びの低減、表面粗度の調整、形状修正、及び表面硬
度の調整等を目的として行われる調質圧延方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】調質圧延は、焼鈍後のコイルの機械的性
質及び表面仕上げ状態を改善し、形状を矯正するために
調質圧延機により軽圧下圧延を行うものである。特に表
面仕上げの調整は、ユーザーから指定される粗度及び用
途を考慮して調質圧延ロールの表面粗度を調整すること
により行われる。調質圧延としては、潤滑剤として数%
の油を含む水溶液からなる圧延油を鋼板とロール間に供
給しながら圧延する湿式調質圧延方式が多用されてい
る。
【0003】この、湿式調質圧延では、潤滑のために圧
延時に鋼板とロール間に圧延油を液状で供給して油膜を
形成させるのであるが、その油膜に圧延時に高圧がかか
っても油膜の体積は減少しない。そのためロールの表面
粗度がそのまま鋼板表面に転写されることはなく、転写
率は低下する。従って、ロール表面の粗度は、転写目標
の粗度よりも粗くしておけばよいことになるが、ロール
表面を粗くすればするほど摩耗が激しくなるという問題
がある。
【0004】ロール表面の鋼板表面への転写は圧延時の
鋼板の伸び率によっても支配され、鋼種により調質圧延
での伸び率の最適値は決まっている。例えば、極低炭素
鋼などは伸び率は低いほど好ましく、0%であっても問
題ない。しかし、低炭素鋼や高炭素鋼等のような固溶炭
素を有する鋼板は、降伏点伸びを小さくするために1%
以上の伸び率が要求される。従って、鋼種の異なった鋼
板を同じ粗度に仕上げる場合、調質圧延における最適伸
び率が異なるので、ロール表面粗度が同じロールで圧延
することができない。そのために、表面粗度の異なるロ
ール2本が必要で、必ずロール替えの作業が必要とな
り、製造効率が悪くなる。
【0005】このような問題の対策として、圧延中のロ
ールバイト部の油膜厚さを薄くすることが考えられる。
しかし、従来の圧延油をノズルにより液体で供給する調
質圧延では、下記の理由により油膜厚の制御はできない
のが現状である。
【0006】図2は通常の湿式調質圧延状態を示す側面
図である。圧延油は液体の状態で、圧延ロール1の入り
側に設けたノズル4より鋼板3の表面に噴射され、圧延
入口のワークロール1と鋼板で形作られる楔状になった
部分に油溜まり9を作り、ワークロールと鋼板の間で絞
られた圧延油が実際のロールバイト8内に導入されてい
く。この時導入される液量は、よく知られているよう
に、流体力学的にワークロールと鋼板の速度、ワークロ
ール径、圧延油の粘度に支配されている。
【0007】導入される圧延油量を「冷間圧延に関する
実験」(塑性と加工、 vol.7、 No.66(1966) 、P383)
に示される入口圧延油の油膜パラメーターtdで現すと
下記式となる。
【0008】td =η(UR +US )/αP ここで、td :圧延油の油膜パラメーター η:圧延油の粘度 UR :ワークロールの周速 US :鋼板の速度 α:咬み込み角度[α=(△h/R)1/2 、△h:圧下
量、R:ロール径) P:鋼板の変形抵抗 この式から明かなように圧延油の粘度以外は圧延条件に
よって決まってしまい、供給する調質圧延油量は油膜厚
には影響しないので、圧延油量の調整による圧延中の油
膜厚制御はできない。また、粘度調整により油膜厚を制
御しようとしても、調質圧延に使用される圧延油は通常
の冷間圧延油に比べ極端に粘度が低く、一般的には油を
数%含有する水溶液として使用されるため、実際の粘度
としては水と変わらない程度である。従って、粘度調整
により圧延中の油膜厚調整することは実質上できない。
【0009】図4は、従来のノズルにより液状調質圧延
油を供給した場合の鋼板表面での圧延油の広がり状態を
示す図である。同図(a)のように通常のノズルによる
液状圧延油を供給する方法では調質圧延油は不均一に広
がるため、過不足なく板幅方向に均一厚みで供給するこ
とは不可能である。仮に、薄膜化するため極端に流量を
絞れば(b)のように板幅方向で調質圧延油5の無い部
分が発生してしまい、かえって製品品質や生産性を損ね
る結果となる。
【0010】このように、圧延油を液体で供給する従来
の湿式圧延を行う限り、ロールバイト内に一定厚の油膜
が形成されるので、その厚さ制御はできない。また、転
写率が低下するばかりでなくオイルピットの原因とな
る。すなわち、ロールバイト内でロールと鋼板により封
じ込められた圧延油が、その体積を減じることができな
いため、鋼板の表面に部分的に数μm 〜十数μm の窪み
ができる。
【0011】図3は、ロール出側から圧延油を供給する
ことにより圧延中の油膜厚を小さくする調質圧延方法を
示す図である。この方法は特開昭56ー74303号公報に開示
されており、スプレーノズル4をロール出側に配置し、
バックアップロール2とワークロール1との間に圧延油
を噴射し、圧延油をバックアップロールとワークロール
の間で絞り、湿式圧延より薄い油膜を形成する圧延方法
であるが、これとても上式のロール径Rが少し小さくな
るだけで、導入圧延油量はやはり流体力学的因子に支配
され、油膜厚の調整には限界がある。
【0012】ロール面の鋼板表面への転写をよくする手
段として、圧延油を用いないドライ圧延方式がとられる
場合がある。ところが、ドライ圧延方式によって調質圧
延を行うと以下のような問題が発生する。
【0013】完全なドライ圧延では、摩擦係数が高く
なりすぎ調質圧延での高伸び率圧延が不可能になる。
ドライ圧延では、圧延油によるロール及び材料の清浄効
果が期待できないため、ロール疵等の原因となり、歩留
を低下させる。
【0014】湿式調質圧延とドライ調質圧延双方の利点
を生かした調質圧延装置が特開昭60-227906 号公報に開
示されている。ワークロール胴長方向にスリット状に開
口する油路及び該油路開口部に圧延油塗布用コーティン
グロールを有する塗油部材と、該塗油部材の先端に取り
付けられたロール表面清浄用スクレーパ−と、前記コー
ティングロールおよびスクレーパーをロール表面に当接
させる塗油部材押圧支持機構とから構成され、塗油部材
の油路に圧延油を供給するための給油系を備えた塗油、
ロール清浄機構を、調質圧延機の上下ワークロール入側
に設けた調質圧延装置である。しかし、この装置は、コ
ーティングロールで圧延油の塗布を行うもので、コーテ
ィングロールをワークロールに押圧するので疵が付き易
く、ロール振動等で隙間が生じた場合、潤滑過多や不足
が部分的に生じて鋼板表面に光沢ムラが発生し、商品価
値が低下する問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の圧延
油を液体で供給する湿式調質圧延方法において、鋼板と
ロール間の油膜厚の制御ができないために生じるオイル
ピットの発生、ロール表面の鋼板への転写率の低下、伸
び率の不安定等の諸問題を解消し、油膜厚制御により伸
び率を精度よく安定させ、目標性状の製品を容易に製造
できる調質圧延方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、圧延中の
ロールバイト部の油膜厚を制御する方法及び鋼板に所定
の機械的性質を付与するため、鋼板の伸び率を精度よく
制御する方法につき鋭意実験検討を重ねた結果、次のよ
うな知見を得るに到った。
【0017】A )圧延油を液状で供給したのでは、液溜
まりができオイルピットの発生を防止することができな
い。しかし、液溜まりを形成させることなく鋼板表面に
極少量で均一に調質圧延油を供給するには、圧延油を霧
状にするのがよく、しかも圧延油の平均液滴径を30μ
m 以下と極めて小さくするのがよい。
【0018】B )圧延油を霧状にして供給した場合、鋼
板の伸び率制御は、機械的手段ではなく、圧延油の微量
な供給量により制御すると精度よく制御ができる。
【0019】C )圧延油の供給量の微量調整は、調質圧
延液及び/又は気体の圧力を調整するか鋼板に対するノ
ズルの噴射角度を調整するか、またはノズルと鋼板との
距離を調節することにより行うのがよい。
【0020】この発明は、このような知見に基づきなさ
れたもので、その要旨は「冷延鋼板を焼鈍後調質圧延す
るに際し、加圧した調質圧延油と気体とをノズルに供給
することにより、調質圧延油を平均粒径で30μm以下の
霧状にし、この霧状調質圧延油を、調質圧延入り側の鋼
板表面に吹き付けながら圧延し、圧延機出側において鋼
板の伸び率を測定し、この測定値が目標値となるよう
に、調質圧延液及び/又は気体の圧力を調整するか鋼板
に対するノズルの噴射角度を調整するか、またはノズル
と鋼板との距離を調節して伸び率を制御しながら圧延す
ることを特徴とする冷延鋼板の調質圧延方法」にある。
【0021】調質圧延油と気体とを加圧してノズルに供
給することにより、圧延油を霧状にして噴霧すれば極小
径の液滴を形成することができる。これを板幅方向に均
一に噴射すれば、均一な極薄油膜を形成することができ
る。
【0022】以下に、調質圧延油を平均粒径で30μm
以下の霧状にする方法について述べる。
【0023】図5は、調質圧延油を霧状にするのに用い
るノズルの断面図である。圧延油を噴射する内側ノズル
11と、その外部に気体と調質圧延油5とを同時に噴射
する外側のノズル12とを有する2重構造のノズルによ
り調質圧延油を平均粒径で30μm以下の微細な霧状の
圧延油6にすることができる。
【0024】なお、圧延油を霧状にする手段は上記のノ
ズル以外に気体を使用しないで圧延油に圧力をかけノズ
ルから圧延油のみを噴射する方法もあるが、この方法で
は粒径100μm程度の大きさの液滴にしかできない。
【0025】液体、気体は各々独立して流量および圧力
調整が可能なポンプにより供給される。このような2重
構造を持ったノズルにおいて液体と気体を同時に噴射す
ると、液体は気圧・液圧・液流量に応じた大きさの微細
な球形の液滴となり、大気中に霧状に噴射される。
【0026】図6は、気体流量と調質圧延油の流量を変
化させた時の液滴径の変化を示す図である。同図から、
気体流量と調質圧延油の流量を変更して気体圧と液圧と
を調節することで液滴の大きさを自由に制御することが
できることが分かる。極端に油流量を絞ればサブミクロ
ンの大きさまで調節可能である。霧状に噴射された液滴
は、一定の付着効率のもとで鋼板上に点々と付着し各々
一定面積に広がる。広がった液滴は圧延中に更にロール
と板の間で絞られ、当初の粒径の数分の1〜数十分の1
の厚みの油膜となる。
【0027】ところで、本発明の方法では、ロール転写
を容易にするためやオイルピットの発生を防止するため
に、入側に油溜まりが形成されない量の圧延油を供給す
る必要がある。圧延速度に応じて圧延油の鋼板への付着
量を調整することで達成できるが、付着量を均一にする
ためにはこれだけでは不十分である。圧延油流量(鋼板
付着量)一定の場合を考えると、粒径が小さければ、液
滴の数が多く、薄くかつ均一な油膜を形成することがで
きるが、粒径が大きくなると液滴同士の間隔が広くなり
すぎ、ロールと板の間で絞られても完全に板面全体には
潤滑油が広がらない。すなわち、ある一部に非常に油膜
の厚いところができ、そのまわりには全く油の行きわた
らないところが出来てしまう。このような状態のまま圧
延すると油の有るところは、油膜が厚すぎてオイルピッ
ト状の欠陥ができ、製品自体に斑が出来てしまうことに
なる。
【0028】適当な圧延油の粒径を求めるために次のよ
うな試験を行った。
【0029】図1は試験における調質圧延状態を示す側
面図である。ワークロール1、バックアップロール2か
らなる圧延機の入り側に設けられた上下一対の圧延油噴
霧ノズル4により、鋼板3の表面に圧延油を供給した。
使用したワークロールは直径300mm、ロール粗度Ra
0.5μm のブライトロールであった。
【0030】板厚0.8mm、幅400mmの焼鈍後の冷延
鋼板を用い、圧延速度、液圧・空気圧を種々変化させ、
伸び率は1%と一定にし、表1に示す条件で圧延を行っ
た。
【0031】同一ノズルでもその流量・液滴径を10倍
のレンジで可変にできた。
【0032】
【表1】
【0033】圧延中の油溜まりの有無、圧延後の表面性
状を目視で判定し、その結果を表1に示す。表面性状
は、圧延後の鋼板表面のオイルピットの有無により評価
した。
【0034】油溜まりの出来ない条件の平均圧延油滴径
が30μm 以下のものの表面性状が優れていることが分
かる。
【0035】従って、斑点のない美麗な表面性状を得る
ために圧延油の液滴粒径を30μm以下とした。
【0036】特に粒径が20μm 以下の時には、入り側
で油溜まりが出来ないように液流量を調整する範囲が広
くなり、安定した圧延が可能である。例えば、粒径が小
さい場合は比較的油溜まりができる圧延限界速度が遅く
なり、圧延速度の調整範囲が広がる。
【0037】なお、圧延油の液滴の平均粒径を求める方
法は、圧延油を空気中に噴霧し、空気中を飛行している
状態を超高速度(約25万分の1秒)で写真撮影し、写
真上の粒子径を測定するか、画動処理装置等を使用し、
自動的に測定して粒径分布を得る等の方法がある。空気
の圧力と流量及び圧延油の圧力と流量とを一定にしたと
きに生成できる平均粒径は一定となるので、ノズル毎に
噴霧条件と平均粒径及び油溜まりのできない条件を予め
求めておくのがよい。
【0038】なお、平均粒径とは体積平均径を示す。
【0039】以上のようにして調質圧延油を霧状に噴霧
できるが、次に実際に圧延中に鋼板上に供給する方法に
ついて述べる。図1に示すように、2重構造を持ったノ
ズルを圧延機入り側に設置し、各々、液圧・気圧を調整
できるポンプにより調質圧延油及び空気を供給する。噴
射された液滴の鋼板面上への広がりはノズル開口角度及
び板とノズルとの距離により決まるが、板幅方向の分布
ムラを避けるためには、板幅方向に複数のノズルを設置
し、広がった噴霧が隣接する噴霧と少しラップする程度
に、距離、開口角度、ノズル個数を決めるのがよい。
【0040】圧延中の液流量・液滴径の調整は、基本的
に液圧・気圧の調整により行うが、流量調整の方法とし
てこれ以外に、ノズル・鋼板間距離、ノズルの噴射角
(ノズル中心から鋼板に下ろした垂線とノズル噴射方向
とがなす角度、鋼板の進行方向と逆向きにノズルを振る
場合を正とする)を変化させる方法がある。これは、霧
状に噴霧した潤滑油は微細な液滴となり、一定の付着効
率で鋼板上に付着するが、その付着効率を変化させるこ
とにより制御するものである。付着効率とは、ノズルか
ら噴射された液滴の量と、実際に鋼板上に付着した液滴
の量の比を表すものである。ノズルから噴射された液滴
は一定の速度を持っているが、ノズルからの距離に応じ
てその速度を減じる。液滴の付着性は、液滴径と板への
衝突速度に影響されるため、鋼板・ノズル間の距離によ
り付着効率が変化してくる。又、圧延中は鋼板も速度を
持ち、ノズルの噴射角を変化させると液滴と鋼板の相対
速度も変化する。よって、ノズルの噴射角も液滴の付着
性を支配している。
【0041】上記したような方法で、鋼板上に噴霧させ
つつ鋼板表面への付着量を変化させれば、圧延の摩擦係
数及びロール粗度の板への転写はドライ並みから通常の
湿式圧延まで自由に変化させることができる。
【0042】この発明は、圧延機出側で鋼板の伸び率を
測定し、この測定値が目標値となるように上記の圧延油
の供給方法により、伸び率を制御するものである。
【0043】圧延中に伸び率が変動した場合に圧延荷重
を調整して目標伸び率になるように制御することが考え
られるが、圧延油を霧状で供給する極薄油膜による圧延
では、供給圧延油量を一定にして圧延荷重を上げると焼
き付きが発生したり、また圧延荷重を下げると転写効率
が低下するという問題がある。
【0044】伸び率測定は、通常行われている方法でよ
く、例えば、圧延機入り側及び出側に設けられているブ
ライドロールの回転数を測定し、回転数の差を伸びに換
算する方法がある。
【0045】
【発明の実施の形態】図7は、伸び率を圧延油及び/又
は空気の圧力により圧延供給量を調整して伸び率を制御
する方法を説明するための図である。
【0046】鋼板3はブライドルロール9aから送給さ
れ、圧延される直前に上下一対のノズル4から圧延油が
鋼板表面に噴射された後、ワークロール1で調質圧延さ
れ、圧延機出側ブライドルロール9bを経由して巻取ら
れる。
【0047】圧延油及び空気は、各々上下で独立したポ
ンプによりノズルに供給される。
【0048】ブライドロール9a、9bには、パルス発
信機が設置されており、適当なサンフ゜リンク゛間隔(例えば0.
5sec)をおいて両ロールの回転数が検出される。測定さ
れた回転数は、演算機6により鋼板の伸び率に換算され
る。また、演算機7で演算しして得た実伸び率と設定伸
び率を比較してその偏差を求め、伸び率制御器5で、前
記偏差に対応してノズルに供給する圧延油の圧力及び/
または気体の圧力を制御する。圧力制御は各ポンプの回
転数を制御することにより行えばよい。
【0049】実測伸び率が設定値をはずれれば、予め入
力されている調質圧延油の圧力・空気の圧力と噴霧され
る液量・液滴径の演算式に基づき圧延油ポンプ及び/又
は空気ポンプの回転数を演算し、液量・液滴径を制御す
る。伸び率が設定値をオーバーすると、伸び率制御器が
圧延油圧を下げ及び/又は空気圧を上げることで供給さ
れる圧延油量を減じ及び/又は液滴径を小さくすること
で鋼板に付着する油量を減じることで摩擦係数を高め伸
び率を設定値に近づける。逆に伸び率が設定値を下回る
と、伸び率制御部が圧延油圧を上げ及び/又は気圧を下
げることで圧延油量を増加及び/又は液滴径を大きくす
ることで鋼板に付着する圧延油量を増加せしめ摩擦係数
を減じて伸び率を設定値に近づける。従って、鋼板の伸
び率は、ロールハ゛イト内に導入される圧延油量を制御するこ
とで安定して設定値に制御することができる。
【0050】図8は、ノズルと鋼板の進行角度より圧延
油の供給量を調整して伸び率を制御する方法を説明する
ための図である。
【0051】図9は、ノズルと鋼板の距離の調整により
圧延油の供給量を調整する場合のノズル部の図である。
この例では、表面にネジが切られたバー10が、図示し
ないモータにより回転されてノズルが上下動する構造に
なっている。この例では、ノズルは垂直方向の移動によ
り鋼板との距離を調整するものであるが、ノズルを圧延
油の噴射方向に移動させることにより距離を調整しても
よい。
【0052】これらの方法は、伸び率制御器で実伸びと
設定伸びの偏差に応じて鋼板の進行方向とノズルの角
度、すなわち噴射角又は鋼板とノズルの距離を制御する
ところが図7に示した方法と異なる。圧延中に伸び率が
設定値をオーバーすると、伸び率制御器がノズルの噴射
角を小さくし又は、ノズルと鋼板の距離を大きくし、鋼
板に付着する油量を減じることで摩擦係数を高め伸び率
を設定値に近づける。逆に、伸び率が設定値を下回る
と、伸び率制御部がノズル噴射角を大きくし又はノズル
と鋼板の距離を小さくし、鋼板に付着する油量を増加せ
しめ摩擦係数を減じて伸び率を設定値に近づけることで
実施される。
【0053】次に、本発明の効果を実施例に基づいて説
明する。
【0054】
【実施例】
(実施例1)図7に示す圧延設備を用いて、下記の圧延
条件で低炭素鋼板の調質圧延を実施した。
【0055】 [圧延条件] ワークロールの直径 :500mm 低炭素鋼板圧延前板厚:0.8mm (幅1400mm) 目標圧下率 :1.0% ワークロール粗度 :Ra 0.1μm 圧延速度 :400m /min 入/出側張力 :7kgf /mm2 圧延油圧・流量 :1.5kgf /cm2 ・ 53ml/min 空気圧・流量 :2.4kgf /cm2 ・ 56l /min 圧延油液滴径 :19μm ノズル迎え角 :45度 鋼板−ノズル間距離 :900mm このような条件での調質圧延中、伸び率を測定したとこ
ろ、目標伸び率1.0%に対して、1.20%になった
ので、この伸び率測定値に基づき圧延油ポンプの回転数
を下げ、圧延油圧1.5kgf /cm2 から1.3kgf /cm
2 に下げたところ伸び率は1.02%とすることがで
き、許容範囲に入った。
【0056】次に、上記圧延条件で圧延中に伸び率が
1.20%になったとき、圧延油圧はそのままで、ノズ
ル迎え角を40度に制御したところ、伸び率1.05%
にすることができた。
【0057】また、上記圧延条件で圧延中に伸び率が
1.20%になったとき、圧延油圧、空気圧及びノズル
迎え角は45度のままで、鋼板−ノズル間距離を900
mmから1000mmに制御することにより、伸び率
1.03%にすることができた。
【0058】(実施例2)次に、伸び率制御の安定性を
確認するため、下記の圧延条件で調質圧延を実施した。
【0059】[圧延条件] ワークロールの直径 :400mm 低炭素鋼板圧延前板厚:0.8mm (幅1400mm) 目標圧下率 :0.5%、1.0%、1.5% ワークロール粗度 :Ra 0.3μm 圧延速度 :400m /min 入/出側張力 :7kgf /mm2 更に、目標伸び率を0.5%、1.0%、1.5%の3
段階に変更するため、表2に示すように圧延油、空気の
送給条件を変えた。なお、ノズル迎え角は45度、鋼板
−ノズル間距離は900mmとした。
【0060】
【表2】
【0061】また、比較例として、上記圧延条件で従来
のウエット圧延とドライ圧延とを実施した。目標伸び率
を0.5%、1.0%、1.5%の3段階に変更するた
めに下記のように圧下荷重を変えた。
【0062】 [ウエット圧延] 目標伸び率(%) ノズル流量(ml/min ) 圧下荷重(tonf ) 0.5 400 200 1.0 400 300 1.5 400 400 [ドライ圧延] 目標伸び率(%) 圧下荷重(tonf ) 0.5 650 1.0 1050 1.5 − 各調質圧延で伸び率を3段階に変更して、伸び率を測定
した結果を図10に示す。ドライ圧延は狙い伸び率1.0%
に達する以前に荷重が許容値を超え圧延不可能となっ
た。又、ウエット圧延では狙い伸び率付近の伸び率で安
定させることができず、それより高い伸び率になって安
定する。即ち必要以上に高い伸び率となり製品の硬度、
機械特性が劣化することになる。これに対して本発明法
では、目標伸び率が容易に安定して達成できることが分
かる。
【0063】
【発明の効果】本発明方法によれば、調質圧延剤を空気
と混合し、微細な霧状にして噴霧することにより、潤滑
油量をト゛ライ 並みからウェット圧延まで可変とすることがで
きる。これにより液圧と気圧及び/又はノズルと鋼板の
進行方向とのなす角度及び/又はノズルと鋼板との距離
を制御することで適正な潤滑状態にし、伸び率を最適に
制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】調質圧延の側面概要図である。
【図2】通常のウェット圧延のロールハ゛イト入口部の圧延油導入
メカニズムを示す概要図である。
【図3】ハ゛ックアッフ゜ロール とワークロールで圧延油を絞る従来の圧
延法を示す概要図である。
【図4】圧延油を液状で供給する従来のウエット圧延の液溜
まりを説明する概要図である。
【図5】本発明法に使用するノズルの構造を示す断面概
要図である。
【図6】圧延油圧と気体圧を変化させたときの液滴の粒
径・液流量を示す図である。
【図7】圧延油圧、空気圧の調整による伸び率制御方法
を説明するための図である。
【図8】ノス゛ル ・鋼板の迎え角による伸び率制御方法を
説明するための図である。
【図9】ノス゛ル ・鋼板間の距離による伸び率制御方法を
説明するための図である。
【図10】調質圧延での圧延方向での伸び率の変動を示
す図である。
【符号の説明】
1 ワークロール 3 鋼板 4 ノズル 5 伸び率制御器 8 ロールバイト 9 液溜まり 11 回転数

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷延鋼板を焼鈍後調質圧延するに際し、加
    圧した調質圧延油と気体とをノズルに供給することによ
    り、調質圧延油を平均粒径で30μm以下の霧状にし、こ
    の霧状調質圧延油を、調質圧延入り側の鋼板表面に吹き
    付けながら圧延し、圧延機出側における鋼板の伸び率を
    測定し、この測定値が目標値となるように、調質圧延液
    及び/又は気体の圧力を調整して伸び率を制御しながら
    圧延することを特徴とする冷延鋼板の調質圧延方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の調質圧延方法において、調
    質圧延液及び/又は気体の圧力を調整して伸び率を制御
    することに代えて、鋼板に対するノズルの噴射角度を調
    整して伸び率を制御することを特徴とする冷延鋼板の調
    質圧延方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の調質圧延方法において、調
    質圧延液及び/又は気体の圧力を調整して伸び率を制御
    することに代えて、ノズルと鋼板との距離を調節して伸
    び率を制御することを特徴とする冷延鋼板の調質圧延方
    法。
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