JPH09253707A - 調質圧延方法 - Google Patents

調質圧延方法

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JPH09253707A
JPH09253707A JP8062592A JP6259296A JPH09253707A JP H09253707 A JPH09253707 A JP H09253707A JP 8062592 A JP8062592 A JP 8062592A JP 6259296 A JP6259296 A JP 6259296A JP H09253707 A JPH09253707 A JP H09253707A
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steel strip
oil
rolling oil
roll
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Yukihiro Matsuura
征浩 松浦
Shinya Izawa
真也 伊澤
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
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    • B21B2001/228Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations for rolling plates, strips, bands or sheets of indefinite length skin pass rolling or temper rolling

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Abstract

(57)【要約】 【課題】タンデム式圧延機により調質圧延する際、潤滑
状態の切り替えが極めて容易で、しかも高伸び率圧延で
も光沢度に優れた鋼帯を安定して製造することのできる
調質圧延方法を提供する。 【解決手段】焼鈍した冷延鋼帯をタンデム式圧延機で調
質圧延する方法であって、調質圧延油を気体と混合して
平均粒径で30μm以下の液滴として霧状に噴射するた
めのノズルを各圧延機の入り側に設置し、各圧延機のノ
ズル毎に噴射量を調整して圧延することを特徴とする調
質圧延方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、冷延鋼板の降伏
点伸びの低減、形状矯正や表面光沢の付与を目的として
行われる調質圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間圧延されたステンレス鋼帯には、焼
鈍した後必要により酸洗処理を行い、伸び率0.5〜
1.5%程度の調質圧延が施される。調質圧延の目的は
焼鈍後のステンレス鋼帯の降伏点伸びの低減、形状矯
正、光沢の付与等であるが、ステンレス鋼帯では特に光
沢の付与に主眼がおかれている。
【0003】また、飲料缶や食缶に用いられるブリキの
原板(低炭素鋼板)は、焼鈍した冷延鋼帯を調質圧延に
より目標の硬度、表面光沢に仕上げられる。しかし、こ
れらの表面性状には厳しい要求がなされる。特に表面の
硬度に対しては、JISによりロックウエル硬さが規定
されているため、調質圧延において低伸び率から高伸び
率の圧延が必要となり、2スタンドのタンデム式圧延機
により調質圧延がなされている。
【0004】ステンレス鋼帯の調質圧延には、圧延時に
圧延油を用いないドライ圧延方式が採用されている。潤
滑剤として圧延油を用いるウェット圧延方式では、圧延
後のステンレス鋼帯表面の光沢度が低下するためであ
る。ドライ圧延方式では、ロール表面に摩耗粉や異物が
付き易く、それを除去し易い大径ロールを用いた2Hi
の圧延機が多く用いられている。このドライ圧延は、非
常に平滑にロール表面を研磨した大径のワークロールで
ステンレス鋼帯に0.5〜1.0%程度の伸び率となる
圧延を施し、ロール表面の平滑面を鋼帯に転写し、かつ
大径ロールによる長い接触弧長でより一層光沢を向上さ
せるものである。
【0005】ところが、ドライ圧延方式によって調質圧
延を行うと、完全なドライ圧延方式では、ロールとス
テンレス鋼帯との摩擦係数が高くなりすぎ高伸び率圧延
が不可能になる。ドライ圧延方式では、ウエット圧延
方式のような圧延油によるロールおよびステンレス鋼帯
の清浄効果が期待できないため、ロール疵が発生し易く
歩留まりを低下させる、等の問題がある。
【0006】そのため、現状のドライ圧延方式では、1
パス当たりの圧下量を少なくした調質圧延が行われてお
り、生産性の低下を余儀なくされている。
【0007】そこで、ドライ圧延方式での問題点を解消
するために、圧延油を使用するウェット圧延方式の適用
が検討されている。ウェット圧延方式は、潤滑剤として
圧延油を用いるため、圧延性が向上すると共に圧延油に
よる清浄機能が働き、ロールや材料に付着している汚
れ、異物を取り除くことで疵の発生を防止することがで
きるという利点がある。
【0008】特公昭57-39842 号公報には、調質圧延の
第1パスを伸び率0.1〜 0.5%のドライ圧延後、
第2パス以降をウェット圧延を行うステンレス鋼帯の調
質圧延方法が、特開平4-333303号公報には、調質圧延の
第1パスをウェット圧延、第2パス以降をドライ圧延と
するステンレス鋼帯の調質圧延方法が開示されている。
【0009】しかし、上記2件の発明は、単に従来から
のドライ圧延方式とウェット圧延方式を組み合わせた複
数パスでの調質圧延を前提としており、生産性の低下は
避けられない。また、一つの圧延機で複数パスの圧延を
行う場合はドライ圧延方式とウェット圧延方式の切り替
えが困難である。
【0010】大きな問題として、従来から普通鋼に適用
されているウェット圧延方式を適用した場合に、上述し
たようなドライ圧延方式による光沢向上のメカニズムが
阻害され、光沢が著しく劣化することである。
【0011】特開昭56ー74303号公報には、ワークロール
の後面において、上下のワークロールとバックアップロ
ールとの間に圧延油を噴射し、さらに上部圧延油噴射ヘ
ッダーから噴射した圧延油を、水切り片を持った水切り
樋によってワークロールの両サイドに流出させる鋼帯の
ウェット調質圧延方法が開示されている。
【0012】しかし、水切り片をワークロールに押圧す
るので疵が付き易い。また、ロール振動等で水切り片と
ワークロール間に隙間が生じ易く、部分的に潤滑過多や
不足が生じる。その結果、鋼帯表面の油膜厚さが変動し
て光沢ムラとなり、商品価値が低下するといった問題が
ある。さらに、ステンレス鋼帯の調質圧延機は一般に上
下にワークロールのみを有する2Hiミルが多く、この
方法は適用できない。
【0013】前記ブリキ原板の調質圧延では、伸び率が
1、2%の軽圧下率から20数%の高圧下率の圧延が必
要であるため、2スタンドのタンデム式圧延機が用いら
れており、目標伸び率によって潤滑状態を変える必要が
ある。具体的には、低伸び率の調質圧延ではドライ圧延
とし、中間の伸び率の調質圧延では、摩擦係数の比較的
高い潤滑油または低濃度の潤滑油を用い、20%以上の
最も高い伸び率での調質圧延では、摩擦係数の低い潤滑
油または高濃度の潤滑油を用いなければならない。その
ため、ドライとウエットの切り替え、潤滑油の油質や濃
度の切り替えが必要となる。この切り替えには、洗浄装
置や二つのタンクと二系統の配管が必要となり、大がか
りな設備となるうえ、ロール替えも必要となり、生産性
の低下の原因になっていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、タンデム式
圧延機で調質圧延する際、潤滑状態の切り替えが極めて
容易で、しかも表面の光沢度に優れた鋼帯を安定して効
率よく製造することのできる調質圧延方法を提供するこ
とにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ドライ圧
延に伴う疵の発生を防止し、かつウェット圧延に伴う光
沢不良を改善するため種々実験、検討を重ねた結果、下
記の知見を得た。
【0016】通常のウェット圧延方式ではロールバイ
ト部に液溜まりができるため、調質圧延油(以下圧延油
と記す)の種類や圧延条件の変更でロールと鋼帯の間の
液膜厚さを調整することはできないので、ウエット圧延
方式では表面光沢の改善は困難である。
【0017】従来のドライ圧延方式に代えて極少量の
圧延油を供給することにより、ロールと鋼帯間の油膜を
極薄にするとドライ圧延方式並みの高光沢が得られる。
【0018】さらに、圧延油を霧状とし、かつその液
滴径を規定することで均一な極薄油膜とすることができ
高光沢が得られる。
【0019】タンデム式圧延機での調質圧延で、圧延
油を霧状にして上記極薄油膜を得るためのノズルを各圧
延機の入り側に設置し、噴射量を各圧延機毎に制御する
だけで、圧延油の質、濃度の切り替えが必要でなくな
り、低伸び率から高伸び率の圧延が可能となる。
【0020】本発明は、このような知見に基づきなされ
たもので、その要旨は、「焼鈍した冷延鋼帯をタンデム
式圧延機で調質圧延する方法であって、調質圧延油を気
体と混合して平均粒径で30μm以下の液滴として霧状
に噴射するためのノズルを各圧延機の入り側に設置し、
各圧延機のノズル毎に噴射量を調整して圧延することを
特徴とする調質圧延方法」にある
【0021】
【発明の実施の形態】従来の調質圧延に適用されていた
ドライ圧延方式をウェット圧延方式に変更することによ
り、ロールとステンレス鋼帯との摩擦係数が低下し、1
パス当たりの圧下量を大きくすることができる。しか
し、前記のようにウェット圧延方式では光沢度が低下す
る。
【0022】そこで、光沢を維持し、かつ生産性を向上
させるためには、ワークロールと鋼帯間の圧延油膜厚さ
を制御することが必要である。しかし、通常のウェット
圧延方式ではロールバイト入口部に液溜まりができるた
め、圧延油の種類や圧延条件の変更でロールと鋼帯の間
の液膜厚さを調整することができない。その理由を以下
に説明する。
【0023】図2は、通常のウェット圧延中における圧
延油の状態を示す側面断面図である。同図に示すよう
に、圧延機入り側に設けたノズル4から圧延油5が鋼帯
表面に噴射され、ロールバイト8入口部のワークロール
1と鋼帯3で形作られる楔状になった部分に圧延油の油
溜まり9が形成され、ワークロール1と鋼帯3の間で絞
られた圧延油が実際のロールバイト内に導入される。
【0024】「冷間圧延に関する実験」(塑性と加工、
vol.7、No.66(1966)、p383)にも記載されているよう
に、ロールバイト内に導入される圧延油の量は、流体力
学的に、ワークロールと鋼帯の速度、ワークロール径、
圧延油の粘度に支配されており、入口での膜厚パラメー
ターtd で表すと下記(1)式となる。
【0025】 td ={η(UR +US )}/ αP (1) ここで、td :圧延油の膜厚パラメーター η :圧延油の粘度 UR :ワークロールの周速 US :鋼帯の速度 α :咬み込み角度で、下式で求まる(α=(Δh/
R)1/2 、Δh:圧下量、R:ロール径) P :鋼帯の変形抵抗 これから、圧延油の粘度以外は圧延条件によって決まっ
てしまい、圧延油の量を調節しても膜厚には影響しな
い。
【0026】ところで、調質圧延に使用される圧延油
は、通常の冷間圧延に用いられる圧延油に比べ極端に粘
度が低いものが用いられている。一般的には圧延油を数
%含む水溶液として使用されるため、実際の粘度は水と
変わらない程度となっており、圧延油の粘度を調整して
膜厚(膜厚パラメーターtd )を制御することもできな
い。したがって、通常のウェット圧延方式を調質圧延に
適用する限り圧延油の膜厚の調整は事実上不可能といえ
る。
【0027】鋼帯の調質圧延にウェット圧延方式を適用
した場合に生じる光沢不良の解決には、極薄い圧延油の
液膜を形成して調質圧延を行うことが有効である。しか
し、ロールバイト入口部に液溜まりができると上記のよ
うに液膜の厚さ制御は不可能になる。そこで、流体力学
的に支配される導入液量より少ない液量で圧延油を供給
することで極薄液膜を形成することができる。
【0028】しかし、通常の圧延油をスプレーする方法
では、仮に流量を絞って供給しても板幅方向にむらなく
圧延油を塗布するためには、相当量の圧延油を供給する
ことが必要なため、ロールバイト入口部に液溜まりが発
生するのを避けることはできなかった。
【0029】図3は、通常のスプレー法で圧延油を供給
した場合の圧延油の分布状況を示す斜視図である。同図
は圧延機の入側から見た図であるが、ワークロール1と
鋼帯3の間で絞られた圧延油5が調質圧延時に流体力学
的にロールバイト内に導入される時の液膜厚さは数μm
程度である。これより薄い液膜厚さを鋼帯全幅で形成す
るためには、ロールバイト入口部で数μm以下の液膜を
鋼帯全幅に亘って均一に形成しなければならない。しか
し、通常の圧延油を直接スプレーする方法では、圧延油
5は(a)のようにロール入り側に油溜まりができ液状
で広がり、板幅端部から一部が流れ落ちる。そのため、
過不足なく板幅方向に均一厚みを達成することは不可能
である。また、薄油膜化するため極端に圧延油の液量を
少なくすれば、(b)のように板幅方向で圧延油5が供
給されない部分が発生し、かえって製品品質や生産性を
損ねる結果となる。
【0030】それに対して、本発明者らは極薄液膜を形
成する圧延油の供給方法について種々検討した結果、圧
延油を気体と混合し、液滴径を規定した圧延液を霧状に
噴射することで、鋼帯表面に極薄油膜を形成できること
を確認した。
【0031】図4は、本発明方法に使用するノズルの例
を示す断面図である。内部に圧延油5を噴射する内側ノ
ズル11、その外周に気体を噴射する外側ノズル12を
有する2重構造のノズルで、圧延油と気体をノズル内で
混合し、霧状の圧延油液滴6を噴射させることができ
る。
【0032】圧延油と気体は各々流量および圧力調整が
可能なポンプにより供給される。このような2重構造を
持ったノズルを用いて圧延油と気体を同時に噴射する
と、圧延油は気体圧と液圧、すなわちノズル径が一定の
場合は、気体流量と液流量に応じた大きさの微細な球形
の液滴からなる圧延油液滴となり、大気中に霧状に噴射
される。
【0033】ここで、圧延油とは、調質圧延時のロール
と鋼帯との潤滑に用いられる液であり、通常は有機系潤
滑剤を数%の濃度で水と混合させた水溶液が用いられ
る。また、圧延油と混合される気体には通常は空気が用
いられる。
【0034】図5は、気体流量と圧延油の流量を変化さ
せた時の液滴径の変化を示す図である。この図から、気
体流量と圧延油の流量を変更して、気体圧と液圧を調整
することにより液滴の大きさを自由に制御することがで
きる。極端に液流量を絞ればサブミクロンの大きさまで
調節が可能である。霧状に噴射された液滴は、一定の付
着効率のもとで鋼帯表面に点々と付着して各々一定面積
に広がる。広がった液滴は、圧延中に更にロールと鋼帯
の間で絞られ、当初の液滴径の数分の1〜数十分の1の
厚さの液膜となる。
【0035】また、圧延中の圧延油の流量や液滴径の調
整は、基本的に液圧と気体圧の調整により行うが、これ
以外の流量の調整方法として、鋼帯−ノズル間距離、ノ
ズルの迎え角を変化させる方法がある。これは、霧状に
噴射した圧延液は微細な液滴となり、一定の付着効率で
鋼帯上に付着するが、その付着効率を変化させることに
より制御するものである。付着効率とは、ノズルから噴
射された液滴の量と、実際に鋼帯上に付着した液滴の量
の比を表すものである。ノズルから噴射された液滴は一
定の速度を持っているが、ノズルからの距離に応じてそ
の速度を減じ、液滴の付着性は液滴径と鋼帯への衝突速
度に影響されるため、鋼帯−ノズル間距離により付着効
率が変化する。
【0036】さらに、圧延中は鋼帯も速度を持ち、ノズ
ルの迎え角を変化させると液滴と鋼帯との相対速度も変
化する。したがって、ノズルの迎え角も鋼帯への付着性
を支配している。しかし、これらの鋼帯−ノズル間距離
やノズルの迎え角は付着量制御方法としては、応答性が
遅く圧延中の鋼帯の速度変化等には追随できない場合が
多いため、これらの制御方法は補助的に用いるのが適当
である。
【0037】図1は、本発明の調質圧延方法を説明する
ための側面図である。これは、上下にワークロール1と
バックアップロール2を有する4Hi圧延機の2スタン
ドタンデム式圧延機を用いた例である。各圧延機の入側
にノズル4を設置し、各々のノズル4に、液流量と気体
流量を調整できるポンプにより圧延油及び気体を供給し
て霧状の圧延液を鋼帯の表面および裏面に噴射する。
【0038】圧延油の液流量は、ノズル径の他に液圧や
気体圧によって制御可能であり、圧延速度や目標とする
潤滑状態に応じて適正に選択する。噴射された液滴の鋼
帯表面への広がりは、ノズル4の開口角度および鋼帯3
とノズル4との距離により決まるが、板幅方向の分布ム
ラを避けるためには、板幅方向に複数のノズル4を設置
し、広がった圧延液が隣接するノズルからの圧延油と一
部ラップする程度に、鋼帯とノズルの距離、ノズル開口
角度やノズル個数を決めるのがよい。
【0039】また、ロールバイト入口部に液溜まりが形
成されない条件は、圧延速度等の圧延条件に応じて圧延
油の流量(鋼帯への圧延油の付着量)を調整することで
達成されるが、表面性状を美麗に保つためにはこれだけ
では不十分である。圧延油の付着量が一定の場合を考え
ると、液滴径が小さければ液滴の数が多くなり、薄くか
つ均一な液膜を形成することができるが、液滴径が大き
くなると液滴同士の間隔が広くなりすぎ、液滴がロール
と鋼帯の間で絞られても完全に板面全体には圧延油が広
がらない。すなわち、ある一部に非常に液膜の厚いとこ
ろができそのまわりには全く圧延油の行きわたらない部
分ができてしまう。このような状態のまま圧延すると圧
延油の有るところは、液膜が厚すぎてオイルピット状の
欠陥ができ、製品自体に斑模様ができてしまうことにな
る。
【0040】すなわち、後の実施例で説明するが、液滴
の平均径が30μmより大きい場合に、ロールバイト入
口部で液溜まりができないように液流量を調整して調質
圧延を行った場合は、鋼帯上に斑模様が発生してしまっ
た。したがって、このような斑模様をなくし美麗な表面
性状を得るためには、圧延油を気体と混合して霧状に噴
射する圧延油液の液滴は、平均粒径で30μm以下にす
る必要がある。
【0041】また、特に液滴が平均径で20μm以下の
時には、ロールバイト入口部で液溜まりができないよう
に圧延油の液流量を調整する範囲が広くなるため、より
安定した調質圧延が可能である。
【0042】なお、圧延油液滴の平均粒径を求める方法
は、圧延油を空気中に噴射し、空気中を飛行している状
態を超高速度(約25万分の1秒)で写真撮影し、写真
上の粒子径を測定するか、画像処理装置等を使用し、自
動的に測定して粒径分布を得る等の方法がある。空気の
圧力と流量及び圧延油の圧力と流量とを一定にしたとき
に生成できる粒の平均粒径は一定となるので、ノズル毎
に噴射条件と平均粒径をあらかじめ求めておくのがよ
い。
【0043】圧延油と気体を混合して平均径で30μm
以下の液滴とした圧延液を鋼帯に霧状に吹き付ける位置
は、調質圧延機入側の鋼帯表面やロール表面とするのが
よい。鋼帯表面に微細な液滴を均一に吹き付けること
で、圧延液がロールと鋼帯との間で絞られても均一で薄
い液膜を形成することができる。一方、圧延液をワーク
ロール表面に吹き付けた場合は、吹き付ける位置によっ
ては、液滴がロールと鋼帯がかみ合う部分に到達する時
点でロールに吹き付けた微細な液滴が凝集して大きな液
滴となる。したがって、均一で薄い液膜とならない場合
もあり、微細な液滴として極薄液膜を鋼帯表面に均一に
形成させるという効果が低下するおそれがある。そのた
め、圧延液を吹き付ける位置を調質圧延機入側の鋼帯表
面とするのが好ましい。
【0044】このように、圧延油流量を制御可能な圧延
油噴射装置(ノズル)をタンデム式圧延機の各圧延機入
側に配置することにより、スタンド毎の最適な伸び率、
圧延荷重、表面性状を選択することが可能となる。疵の
減少と高光沢を両立させるためには、第1スタンドでは
流量をやや多くし、鋼帯により持ち込まれた異物を洗浄
し、第2スタンド以降では全く圧延油を供給しないで、
鋼帯表面に残った油のみで圧延することもできる。
【0045】通常、同一設備で異なったサイズ、材質の
鋼帯を圧延することが多く、従来の潤滑方法では、過剰
にロールに付着した圧延油のため、材質変更に際し、ロ
ール替えを伴うことがあった。しかし、本発明の方法に
よれば、必要最小限度の圧延油しか供給しておらず、ロ
ールに余剰な油が残ることはない。しかし、極端に強圧
下するため十分な流量を供給した後に、極少量の圧延油
で高光沢圧延を連続して実施する場合もあり、このよう
なスケジュールの場合には、ロール表面の余剰な圧延油
を除去する方法として真空吸引装置を内蔵したロールを
ワークロールに圧接して使用することが有効である。ま
た、ハウジング等に飛散した油が出側において鋼帯上に
落下するような場合にはスタンド間で真空吸引装置を内
蔵したロールを鋼帯に圧接させることもできる。逆に、
表面性状より強圧下が必要な材質の場合は、第1スタン
ドから十分な圧延油を供給すると、第2スタンド以降で
更に強圧下することができる。
【0046】なお、本発明は、鋼帯の高光沢圧延を主と
したものであり、特に高い光沢を要求される2パス以上
の圧延に適用するもので、タンデム式圧延機を用いるこ
とにより高能率で圧延ができる。したがって、スタンド
数は必要パス回数で決めればよい。なお、ミル形式は特
に限定するものでなく、2Hi圧延機や4Hi以上のロ
ールを持つ圧延機でよい。ステンレス鋼の調質圧延機と
しては大径2Hi圧延機が主流であり、また高圧下率の
圧延が必要なブリキ原板の製造には4Hiまたは6Hi
が適している。
【0047】
【実施例】
(実施例1)図1に示すような4Hi圧延機の2スタン
ドタンデム式の調質圧延機を用いて、板厚0.6mm、
板幅1000mmのフェライト系ステンレスSUS43
0の焼鈍材を以下に示す条件で調質圧延した。
【0048】 ワークロール直径 : 500mm ロール表面粗度 : Ra0.01μm 圧延速度 : 150m/min ノズル口径 : 0.5mm 圧延油圧 : 1.2kgf/cm2、 空気圧 : 2.5kgf/cm2 圧延油流量 : 120cc/min ノズルは、図4に示す構造のものを用い、圧延油は有機
系調質圧延油を10%含む水溶液を用いた。
【0049】第1スタンド直前で上記条件で圧延油を噴
射し、0.5%の伸び率で圧延し、第2スタンドでは圧
延油を噴射しないで、鋼帯表面に僅かに残った圧延油で
1.0%の伸び率で圧延した。
【0050】比較例として、第1スタンド入り側で通常
のスプレーで上記と同じ圧延油を20l/minで塗布
し、第2スタンドでは圧延油を供給せずに圧延した。さ
らに、第1スタンド、第2スタンドとも圧延油を使用し
ないドライ圧延も行った。
【0051】圧延は、各条件とも第1スタンドのみでの
圧延と、第1、第2スタンドでの圧延との2工程にし、
各圧延後の鋼帯の表面の光沢度をそれぞれ測定した。
【0052】本発明の方法で調質圧延した場合、圧延前
の鋼帯表面光沢度(長さ方向に対し45°の方向での光
沢度)は450であったものが、第1スタンドのみで圧
延した鋼帯の光沢度は650となり、第1、第2スタン
ドで圧延した鋼帯の光沢度は720に向上した。
【0053】また、比較例の場合では、光沢度は第1ス
タンドのみで圧延した場合は380と圧延前より低下
し、第1、第2スタンドで圧延した場合でも520まで
しか向上しなかった。また、ドライ圧延では光沢度は各
々670、750と向上したが、1コイルの圧延中に材
料に疵が多発し、不良品となった。
【0054】(実施例2)板厚が0.3mm、板幅12
00mmのフェライト系ステンレス鋼SUS430の鋼
帯を焼鈍後、第1スタンド、第2スタンド共直径600
mmのワークロールを有する2スタンドダンデム圧延機
を用いて、圧延速度200m/min、ロール粗度Ra
0.02μmの鏡面研磨ロールにて表1に示す条件で圧
延を行った。目標合計伸び率を4%、光沢度を45°方
向で600とした。
【0055】
【表1】
【0056】圧延油噴射用ノズルは、実施例1と同じも
のを使用した。
【0057】本発明方法として、第1、第2スタンドと
も圧延油を供給した場合、第1スタンドのみ圧延油を供
給した場合、および第2スタンドのみ圧延油を供給した
場合の3種類実施した。
【0058】また、比較例としては、第1スタンドでは
通常のスプレイで圧延油を供給し、第2スタンドでは圧
延油を供給しない場合と、0.3l/minと少量にし
た場合、および第1、第2スタンドともドライ圧延の場
合について調質圧延を行った。また、圧延油の平均液滴
が30μmを超えた状態での圧延も行った。
【0059】なお、第1スタンドで圧延油を供給し、第
2スタンドでは供給しないで圧延した場合の第2スタン
ドでの圧延は、第1スタンドで圧延後の鋼帯表面に圧延
油が残存した状態で圧延したものである。
【0060】第1、第2スタンドで2パス圧延した各鋼
帯について、伸び率、光沢度を測定するとともに、表面
疵を目視により観察した。結果を表1に示す。
【0061】同表より明らかなように、本発明の方法で
は、2スタンドで目標伸び率4%が得られ、かつ光沢度
も600を超え、目的の表面性状が得られた。しかし、
比較例では、どの場合も疵の発生、光沢不良、伸び率不
足等何らかの不具合が生じる結果となった。
【0062】
【発明の効果】本発明方法によれば、圧延油を空気と混
合し、微細な霧状に噴射するノズルを複数スタンドの各
圧延機の入り側に設置して、各圧延機毎に圧延油の流量
を調整することにより、疵の発生が無く、ドライ圧延並
の高光沢の鋼帯の製造が可能となる。また、異なる鋼
種、目標光沢度の製品に対して最適の伸び率、光沢を付
与することができ、潤滑条件を変える場合に油質、濃度
を変える必要がないため、連続して、直ちに目標潤滑状
態に変更ができ生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の調質圧延方法を説明するための圧延状
態の側断面概要図である。
【図2】通常のウエット圧延の圧延機入口部の圧延油導
入のメカニズムを示す図である。
【図3】通常のスプレー法で圧延油を供給した場合の圧
延油の状態を示す図である。
【図4】本発明の方法に使用するノズルの構造を示す縦
断面図である。
【図5】液圧と気圧を変化させて噴射したときの圧延油
の平均液滴径と流量との関係を示す図である。
【符号の簡単な説明】
1:ワークロール 2:バックアップロール 3:鋼帯 4:ノズル 5:圧延油 11:内側ノズル 12:外側ノズル

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼鈍した冷延鋼帯をタンデム式圧延機で調
    質圧延する方法であって、調質圧延油を気体と混合して
    平均粒径で30μm以下の液滴として霧状に噴射するた
    めのノズルを各圧延機の入り側に設置し、各圧延機のノ
    ズル毎に噴射量を調整して圧延することを特徴とする調
    質圧延方法。
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