JP4715564B2 - 冷間圧延方法 - Google Patents

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Description

この発明は循環式圧延油供給方法を使用して冷間圧延を行なう際に、エマルション圧延油をストリップ(金属帯)に供給するために有効な冷間圧延方法に関する。
一般に、冷間圧延機によるストリップの圧延時には、圧延性を向上させるためにストリップに圧延油を供給する。その際に用いられる一般的な圧延油供給方法としては、水と圧延油を混合したエマルション状態のクーラントをノズルよりストリップに噴射する方式がとられている。また、エマルションを作成するために、所定の油量を水に添加し、攪拌およびポンプによるせん断を加え、エマルション液とする。また、冷間圧延におけるエマルション圧延油の供給方式には、直接方式(ダイレクト方式)、循環方式(リサーキュレーション方式)がある。
直接式圧延油供給方式(ダイレクト方式)は、潤滑の目的で高濃度のエマルション圧延油を鋼板にスプレーし、冷却の目的で水をロールにスプレーするため、潤滑性と冷却性に優れる。しかし、循環方式と異なり、エマルション圧延油を循環使用しないため、圧延油原単位が高い。一方、循環式圧延油供給方式(リサーキュレーション方式)は、圧延油と冷却水をあらかじめ混合、攪拌して作成した低濃度のエマルション圧延油を、循環しながら潤滑と冷却の目的で鋼板およびロールにスプレーするため、圧延油の原単位が低い。しかし、直接式圧延油供給方式と比較して、潤滑性および冷却性が劣ることは否定できない。そのため、従来の循環方式では、特に、仕上板厚0.2mm以下の薄物材の高速圧延時には潤滑不足となり、チャタリングと呼ばれる圧延機の振動や、ヒートスクラッチと呼ばれる表面疵が発生するため、圧延速度が上げられないという問題があった。特にヒートスクラッチが発生すると、圧延材に表面欠陥が生じるので歩留が低下するばかりでなく、ヒートスクラッチの生じた圧延機ではワークロール組替えが必要なため生産性が著しく低下するという問題がある。
このような問題に対し、チャタリングやヒートスクラッチの原因である潤滑不足を解消することで問題を解決しようとする発明がこれまで種々なされてきた。その中で、循環給油方式での潤滑不足を解消しようとする方法として、以下のような方法が知られている。
(1)潤滑用と洗浄用クーラントの圧力を低圧に限定する方法(特許文献1参照。)
(2)第2の圧延油供給系統を設ける方法(特許文献2参照。)
また、ヒートスクラッチの要因となるストリップの温度上昇を解消しようとする方法としては、以下のような方法が知られている。
(3)ヒートスクラッチ制御目標温度を超えないように圧下率を制御する方法(特許文献3参照。)
(4)ヒートスクラッチ制御目標温度を超えないようにワークロール速度を制御する方法(特許文献4参照。)
特許第2871392号公報、特許請求の範囲など 特開2003−266116号公報、特許請求の範囲など 特開2000−202505号公報、特許請求の範囲など 特開2000−167614号公報、特許請求の範囲など
しかし、特許文献1に提示されている従来技術は、エマルション圧延油のクーラント圧力を低圧に限定するため、同時にストリップへのエマルションの供給量も制限される。供給量が制限されると均一にストリップに噴射することが困難となり、板幅方向での圧延状態が変化し、板の形状不良が発生する可能性がある。
特許文献2に提示されている従来技術は、第2の圧延油供給系統から付着効率の高いエマルションを噴射させることにより潤滑性を向上させ、チャタリングを防止している。しかし、ヒートスクラッチに関しては、ロールバイト内の油膜量によらず、ワークロールと圧延材との界面温度または出側圧延材温度が一定値を超えるとヒートスクラッチが発生しやすくなることが知られており(日本鉄鋼協会「焼付き現象のメカニズムに迫る」,(1999)p83)、ロールバイトへの導入油量を増加させただけではヒートスクラッチの頻度を十分には低減できなかった。
特許文献3や特許文献4に提示されている従来技術は、圧延条件を緩和させるため、ヒートスクラッチの防止には有効である。しかしながら、生産能率が低下するばかりでなく、母板要因による圧延中での変形抵抗変化などの急激な圧延条件変化が発生した場合、追従するように圧下率(圧延荷重)若しくは張力を変更すると、板厚変動を招いてしまうという問題がある。
本発明は、これら従来技術の問題点を解決するためになされたもので、潤滑油供給制御の応答性に優れ、効率良くチャタリング・ヒートスクラッチ発生を防止可能な冷間圧延における圧延油供給方法を提供するものである。
本発明者等は、エマルション圧延油を鋼板に供給したとき、ヒートスクラッチを防止させるという課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の結論を得た。
冷間圧延に用いられるエマルションタイプの圧延油は、動植物油脂、鉱油および合成エステル等の単体もしくは混合物を基油とし、更に界面活性剤、油性向上剤、極圧添加剤、酸化防止剤等の各種添加剤が適宜配合されており、これを水で通常1〜4体積%程度のエマルションに希釈したものをストリップまたはロールへ供給している。
一般的に、ヒートスクラッチはロールバイト内に介在すべき潤滑膜の破断によって鋼板とロールとが金属接触して発生することは良く知られており、ヒートスクラッチを防止するためには、ストリップ温度が高い領域においても潤滑膜の油膜強度を強固にしておく必要がある。
境界潤滑状態における潤滑油膜の補強にはリン系及び硫黄系に代表される極圧添加剤が添加される。極圧添加剤は、表面に着膜した後、吸着膜が破壊される転移温度以上に上昇した場合に化学反応を起こして、リン酸鉄や硫化鉄などの固体潤滑膜を形成し、焼付きを防ぐとされている。
この観点から、本発明では、ストリップ温度に応じてエマルション圧延油極圧添加剤の濃度を調節することにより、具体的には圧延スタンド出側のストリップ温度をリアルタイムで計測し、または圧延スタンド出側でのストリップの温度の予測値を算出し、ストリップ温度がヒートスクラッチ発生限界温度を超えないように、ストリップ温度とヒートスクラッチ発生限界温度との温度差に基づく極圧添加剤の濃度制御をおこない、もしくは、ヒートスクラッチ発生限界温度未満では極圧添加剤の濃度を一定とし、前記ヒートスクラッチ発生限界温度となる時点で極圧添加剤の追加添加を開始するようにすることにより、高速圧延域でのヒートスクラッチが防止できる。
高速圧延域では、速度の上昇とともにスプレー時間が短くなり、鋼板の単位面積当たりの供給圧延油量が減少するため、平均粒径を大きくしたプレートアウト特性の高いエマルションを用いると効果的である。
また、高速圧延時には、鋼板下面側だけでなく、上面側にもヒートスクラッチ疵が発生することがあるため、鋼板上面側の潤滑性改善が必要であり、上面側にも平均粒径を大きくしたプレートアウト特性の高いエマルションを供給する必要がある。
第2の圧延油供給系統のエマルションは、圧延油原液、極圧添加剤、および希釈水を新たに調合して作成する。エマルション圧延油の極圧添加剤濃度はヘッダー直前での混合で濃度調整を行なうために濃度調整の応答性は非常に高い。また、第2の圧延油供給系統のエマルションが循環式圧延油供給タンクに混入したときの影響をなくすために、循環式圧延油供給系統と同一種類の油とする。
また、本発明において、第2の圧延油供給系統のエマルションを供給するための、スプレーヘッダーの位置をロールバイトから離れた上流スタンドにできるだけ近い位置とすることが好ましい。これは以下の理由による。安定したプレートアウト層を形成するためには、水に油が分散したO/Wエマルションの状態から、油に水が分散したW/Oエマルションまたは油分単相へ転相するための時間(以下、転相時間と称す)を確保するのが好ましい。圧延機においては、圧延機入側で鋼板表面へエマルションが供給されてから、送板速度に応じてロールバイトに到達するまでの時間が転相時間に相当する。従って、圧延速度が高くなるほど、転相時間は短くなるため、プレートアウト層を形成しにくくなることが想定される。これに対し、スプレーノズルの位置をロールバイトから離れた上流スタンドにできるだけ近い位置とすることで転相時間を確保できる。
また、第2の圧延油供給系統のエマルションは、循環式供給系統の不足油分の補充も兼ね有効に利用されるため、従来の循環式圧延油供給方式の場合と同様に、圧延油の原単位を低くできる。
本発明このような知見に基づいてなされたもので、本発明に係る冷間圧延方法は以下の工程を備えている。
(1)冷間圧延におけるエマルション圧延油をストリップ上面及び下面に循環式に供給する第1の圧延油供給工程と、第1の圧延油供給工程のエマルションと同一種類でかつ第1の圧延油供給工程のエマルションより大きな平均粒径となるように調整したエマルション圧延油をロールバイトより離れた上流スタンド側の位置でストリップ上面及び下面に供給する第2の圧延油供給工程と、第2の圧延油供給工程で鋼板に付着しなかったエマルションを回収し、第1の圧延油供給工程のエマルションに合流させる回収・合流工程とを備えた冷間圧延方法において、
前記第2の圧延油供給工程は、ストリップ温度に応じて、エマルション圧延油の極圧添加剤の濃度を調節する工程を備えていることを特徴とする冷間圧延方法。
(2)極圧添加剤の濃度調節工程は、圧延スタンド出側でのストリップの温度をリアルタイムで計測する工程又は圧延スタンド出側でのストリップの温度の予測値を算出する工程と、計測又は算出により得られたストリップ温度が予め求めたヒートスクラッチ発生限界温度を越えないように、ストリップ温度とヒートスクラッチ発生限界温度との温度差に基づく極圧添加剤の濃度制御をおこなう工程とを備えていることを特徴とする(1)に記載の冷間圧延方法。
(3)極圧添加剤の濃度制御をおこなう工程は、計測又は算出により得られたストリップ温度が予め求めたヒートスクラッチ発生限界温度未満では極圧添加剤の濃度を一定とし、前記ヒートスクラッチ発生限界温度となる時点で極圧添加剤の追加添加を開始することを特徴とする(2)記載の冷間圧延方法。
(4)第2の圧延油供給工程は、ミキサーを配置したヘッダーにてストリップ上面及び下面にエマルション圧延油及び同エマルション圧延油の極圧添加剤を供給する工程を備え、
極圧添加剤の濃度調節工程は、前記ヘッダー直前あるいはヘッダー内に配置されたミキサーにてエマルション圧延油と極圧添加剤との混合比を調節してエマルション圧延油の極圧添加剤濃度を調節する工程を備えていることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載した冷間圧延方法。
本発明では、第2の圧延油供給系統から大粒径のエマルションをストリップへ供給するため、高速圧延域での潤滑不足を解消し、チャタリングの発生を抑えて高速圧延が可能となる。その際、圧延スタンド出側のストリップ温度に応じて、噴射するエマルションの極圧添加剤濃度を調節して、圧延スタンド入側のストリップ上面および下面に供給するので、ストリップ温度が上昇する高速圧延域においてもヒートスクラッチ疵の発生を未然に防止できる。これにより、例えば、仕上板厚0.2mm以下の薄物材を圧延する場合に、圧延速度を向上できるため、生産性を大幅に向上できる。
その際、ヒートスクラッチ発生限界温度を基準として制御を行うことにより的確な制御を行うことができる。さらに、ストリップ温度が低いときには一定の極圧添加剤濃度とし、ストリップ温度がヒートスクラッチ発生温度に達した時点で極圧添加剤濃度の制御を行うこともできる。後者の方法によれば、全体の循環系統のエマルションに与える影響は極めて少ない。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る圧延油供給装置を示す構成概要図であり、全5スタンドのタンデムミルの第5スタンドに第2の圧延油供給手段からのエマルション圧延油供給を適用した場合である。
第5スタンドに適用したのは、後段スタンドほど圧延速度が速く、しかも、板厚が薄くなるため、圧延荷重が高くなり、潤滑条件として厳しくなるためである。また、この冷間圧延機において、隣り合うスタンド間には図示しないテンションロールおよびデフロールが設置されている。この発明において、圧延機のスタンドは単スタンドまたは複数スタンドのうちの全部または任意のスタンドのことである。
図1における冷間圧延機の循環式圧延油供給手段としての第1の圧延油供給手段は、潤滑用クーラントヘッダー4a、冷却用クーラントヘッダー4b、循環式圧延油供給タンク5を備えている。タンク5は潤滑用エマルション圧延油を貯蔵するタンクであり、攪拌機11が設けられている。タンク5は圧延油供給ライン7を通してNo.1〜5の各スタンドのクーラントヘッダー4a、4bと連通し、このライン7にはポンプ6が介在されている。なお、ここでは、潤滑用クーラントヘッダー4aとして1流体ノズルを用いているが、後述する2流体ノズルヘッダー23と同様に2流体ノズルを用いても良い。
循環式圧延油供給タンク5内には温水および圧延油原油が収容され、混合される。収容された混合物は、攪拌機11の攪拌羽の回転数を調整することにより所望の平均粒径を有する第1エマルション圧延油とされる。この第1エマルション圧延油は平均粒径15μm以下に調整されていることが好ましい。また、温水中の油分濃度は1〜5%以下とすることが好ましい。例えば、基油を合成エステル油とし、乳化型界面活性剤と組み合わせて温水中に混合した場合は、攪拌羽の回転数を調整することによりその平均粒径を約7〜10μmとすることができる。また、対油分中の極圧添加剤濃度は0.5〜5%の範囲で使用される。添加量が多いほど耐焼付き性は向上するが、油価格が高くなる傾向が生じてくるため、油価格と潤滑性のバランスからは、1.0〜3.0%の範囲がより実用的であり、好ましい。なお、上記の説明において、極圧添加剤濃度とは、対油分中の比率のことをいう。
極圧添加剤としては、リン系極圧添加剤及び硫黄系極圧添加剤からなる群より選ばれる1種以上が含有される。例えば、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、硫化エステル、硫化オレフィン、ポリサルファイド等が挙げられる。
第1の圧延油供給手段の第1エマルション圧延油はエマルション供給用ポンプ6によりポンプ圧送され、ライン7を経由してNo.1〜5の各スタンドに供給され、各スタンド入側のスプレーヘッダー4aおよび各スタンド出側のスプレーヘッダー4bからそれぞれロールバイトおよびワークロールに向けてスプレー供給される。供給された第1エマルション圧延油のうち、ストリップ3から落下した分のエマルション圧延油は、圧延油供給手段としての回収オイルパン9で回収され、戻り配管10を経由してタンク5内に戻される。この第1エマルション圧延油スプレー供給は、圧延開始時から行われる。
図1の第2の圧延油供給手段は2流体ノズルヘッダー23、流量制御弁22、ミキサー24、エマルション圧延油としての大粒径エマルションタンク12を備えている。大粒径エマルションタンク12内には攪拌機17が設けられている。この大粒径エマルションタンク12は第1の圧延油供給手段のエマルション圧延油よりも大きな平均粒径を有する第2エマルション圧延油を貯蔵するタンクである。圧延油原油タンク13、温水タンク14内にそれぞれ貯蔵された圧延油原油および温水は、ポンプ15、バルブ16によりそれぞれ大粒径エマルションタンク12内へ送給され、混合される。ここで、第2エマルション圧延油に用いられる極圧添加剤の対油濃度は第1エマルション圧延油の条件と同一とする。
大粒径エマルションタンク12内のエマルション温度は、タンク5内の第1エマルション圧延油の条件と同一とすることが好ましい。大粒径エマルションタンク12内の第2エマルション圧延油は、攪拌機17の攪拌羽の回転数を調整することにより平均粒径15〜30μmに調整される。大粒径エマルションタンク12内のエマルション濃度は、3〜15%の範囲内とする。
大粒径エマルションタンク12内の第2エマルション圧延油は、エマルション供給ポンプ18により、圧延油供給ライン19を経由して2流体ノズルヘッダー23に送られる。図1中の2流体ノズルヘッダー23には、2流体ノズルが用いられている。2流体ノズルヘッダー23で使用される空気はコンプレッサー21を介して気体供給ライン20により圧送され、2流体ノズルヘッダー23に供給される。2流体ノズルヘッダー23は、ストリップ3の上方および下方の両方に位置するように分岐して配置されている。大粒径エマルションタンク12内の第2エマルション圧延油は、2流体ノズルヘッダー23にて空気と混合され、ストリップ3の表裏面に向けてスプレー供給される。なお、本実施形態では2流体ノズル23を用いているが、本発明はこれに限らず一般的な1流体ノズルであってもよい。
圧延油原油供給ライン19には、極圧添加剤供給用ギアポンプ25が介装されて、ミキサー24は吐出する極圧添加剤の供給流量を高応答で制御可能となっている。上記極圧添加剤供給用ギアポンプ25は、濃度調整用コントローラ26からの指令によって吐出流量が調整される。
また、最終スタンド出側には放射温度計27が配置されていて、放射温度計27は濃度調整用コントローラ26に検出信号を出力する。濃度調整用コントローラ26では、出力された放射温度計27の測定値が、予め求めたヒートスクラッチ発生限界温度の範囲内かあるいはヒートスクラッチ温度に達したかどうかを判定し、ストリップ温度がヒートスクラッチ温度に達したと判定すれば、例えば図2に示すグラフに基づき、上記上限値からの相対値に応じた極圧添加剤濃度変化量を算出して、極圧添加剤供給用ギアポンプ25に出力する。
ここで、上記ヒートスクラッチ発生限界温度は、予め次のようにして求めておく。すなわち、安全ストリップ温度の範囲として、当該範囲を越えるとヒートスクラッチが発生する懸念がある領域を予め実験および操業データなどから求めておき、鋼種・サイズ・圧延サイクル毎のヒートスクラッチ発生限界温度を設定する。なお、ここで、上記実施形態においては、ヒートスクラッチ発生限界温度から演算した極圧添加剤の変移量に一次比例した量だけ濃度変化させているが、これに限定されない。例えば階段状に上記変移量と濃度変化量とを対応付けておいてもよい。
なお、上記実施形態においては、例えば図3に示すように、第2エマルション圧延油の極圧添加剤の対油濃度を予め大粒径エマルションタンク12において第1エマルション圧延油の条件と同一としておき、ストリップ温度に応じてミキサー24へ極圧添加剤を追添加しているが、これに限定されない。例えば、大粒径エマルションタンク12では極圧添加剤を供給せず、あるいは低濃度で一定としておき、ヒートクラッチ発生限界温度に達した時点で、あるいはその近傍でミキサー24へ供給する極圧添加剤量によって目標とする極圧添加剤濃度へ調整してもよい。
2流体ノズルヘッダー23から供給される第2エマルション圧延油量は、10000mg/m2を超えると潤滑過多となり安定した圧延操業が不可能となるため、10000mg/m2以下の範囲で供給するのが望ましい。一方、300mg/m2未満では、2液体ノズルヘッダー23からエマルションを供給する効果が得られないため、300mg/m2以上の範囲で供給するのが望ましい。なお、第2エマルション圧延油の供給油量は、ロール使用量や圧延材のサイズおよび鋼種に応じて流量を随時調整する。
2流体ノズルからの噴射用空気の流量はノズル1本当たり0.5〜10Nm3/hrが好ましい。0.5Nm3/hr未満ではエマルション圧延油の液滴同士の干渉が大きくなるため、プレートアウト時に周囲の水分による影響を受け付着効率が低下する。一方、10Nm3/hrを越えると、過剰な空気によって飛散するエマルション圧延油量が多くなり、付着効率は低下する。
2流体ノズルヘッダー23の位置は、ロールバイトから離れた(図1中、Lで示す。)できるだけ遠い位置、すなわち、上流スタンドにできるだけ近い位置とし、O/WエマルションからW/Oエマルション若しくは油単相への転送するための時間、すなわち転相時間を確保している。
スタンド間には、テンションロールやデフロールが設置されており、これよりも上流側でエマルション圧延油をスプレーしてもテンションロールやデフロールにより絞られるため、十分なプレートアウト量を得られなくなる。これを回避するために、この例では、スタンド間のテンションロール及びデフロールの直後に設置した。転送時間確保のために、2流体ノズルヘッダー23はロールバイトから1m以上、より好ましくは2m以上離れた位置とすることが望ましい。
ストリップ3へのスプレーの後、ストリップ3にプレートアウトしないエマルション圧延油は、圧延油回収手段としての回収オイルパン9に集められ、第1エマルション圧延油と共に回収され、戻り配管10を経由して循環式圧延油供給タンク5内に戻される。回収された第1及び第2エマルション圧延油は、タンク5内の攪拌器11により攪拌された後、ポンプ6および潤滑用及び冷却用クーラントヘッダー4a、4bのノズル部での強いせん断を繰り返し受け、循環系エマルションと同じ粒径まで細分化され、タイトなエマルションとなる。
なお、第2の圧延油供給手段を使用しているとき、第1の圧延油供給手段における潤滑用のクーラントヘッダー4aからの流量は、特に調整する必要はない。この理由は、第2の圧延油供給手段の2流体ノズルヘッダー23からのエマルション圧延油によるプレートアウトが油膜形成に対して支配的であり、潤滑用クーラントヘッダー4aからのプレートアウトの影響は少ないためである。
2流体ノズルヘッダー23からの吹き付けは、金属帯に対しては金属帯の表裏面に行なうことが望ましいが、潤滑不良が片面に対し特徴がある場合には、表面のみ、または裏面のみの片面だけに行っても良い。また、圧延油が供給過多となりやすい低速圧延部やロール組替直前、軟質材についてだけ、2流体ノズルヘッダー23からの噴射を中止しても良い。
なお、この発明において、図1に示す実施形態は5スタンドに適用するとして説明したが、第2の圧延油供給手段からの圧延油供給は、圧延機の単スタンドのみ適用しても良いし、複数スタンドのうちの全部または任意の複数のスタンドに適用しても良い。また、ストリップとしては、例えば、鋼帯、ステンレス帯、アルミニウム帯、銅帯等である。
また、図1に示す実施形態は出側スタンドに放射温度計を設置するとして説明したが、ストリップ温度を計測する手段をもたない場合は、加工発熱・摩擦発熱などの発熱項と冷却クーラント・空冷などの奪熱項から形成される熱収支式からストリップ温度を予測しても良い。
また、図1に示す実施形態は第2の圧延油供給手段のエマルション圧延油を大粒径エマルションタンク12内で調整すると説明したが、より好ましくは2流体ノズルヘッダー23の直前またはヘッダー内に別途ミキサーを設置し、上記ミキサー内で圧延油原油と温水の混合比を調整することが望ましい。そうすることで、あらかじめエマルション圧延油を調整するタンクが不要となるため、設備の簡素化が可能となるだけでなく、2流体ノズルヘッダー23直前で濃度調整を行なうために、圧延油の濃度調整の応答性が非常に高い。この結果、常に最適な噴射濃度の圧延油を供給できるので、圧延油原単位を抑えることができる。
図1に示す実施形態の全5スタンドの冷間タンデム圧延機を用い、母材厚2.3mm、板幅900mmの硬質ブリキ原板を仕上板厚0.200mmまで、目標速度2500m/minとして圧延した。圧延油が合成エステル油(40℃における動粘度43cSt、極圧添加剤の対油比率3%)を用い、循環式圧延油供給手段(第1の圧延油供給手段)のエマルション圧延油を、油分濃度3%、乳化型の界面活性剤を添加してタンク内にて十分な攪拌を加えた後、平均粒径9μm、濃度60℃のエマルションとした。また、第2の圧延油供給手段におけるエマルション圧延油の温度は循環系統と同一とし、圧延油濃度は10%、極圧添加剤の対油比率3%とした。なお、上記圧延条件におけるヒートスクラッチ発生限界温度を予め調べたところ、最終スタンド出側におけるストリップ温度で165℃であった。
本実施例1では、第2の圧延油供給手段の供給流量が50リットル/min、エマルションの平均粒径が20μmとなるように調整し、また、濃度調整用コントローラ26によりスタンド出側のストリップ温度に応じて図3に示す極圧添加剤濃度となるように極圧添加剤濃度制御を行った。
比較例1では、極圧添加剤濃度制御を行なわず、第2の圧延油供給手段におけるエマルション圧延油の極圧添加剤の対油濃度を第1の圧延油供給手段のエマルション圧延油と同等にした以外は実施例1と同様にして冷間圧延を行なった。
以上のような圧延油供給を行って、速度を変更しつつ圧延を行い、チャタリングの発生およびヒートスクラッチの発生状況を調査した。調査結果を以下の表1に示す。
Figure 0004715564
○…ヒートスクラッチ及びチャタリング未発生
△…軽度のヒートスクラッチ発生
×…顕著なヒートスクラッチ発生
表1に示すように、本発明を用いると、ヒートスクラッチ未発生のまま2400mpmまで加速できた。一方、比較例1の場合、1900mpmで軽度のヒートスクラッチが発生し、それ以上の高速域では、顕著なヒートスクラッチが発生した。この理由は、ロールバイトへの導入油量が増加しても、高速圧延域ではワークロールと圧延材との界面温度または圧延材温度が高いため、ロールバイト内での油膜破断が生じやすくなるためである。
本試験結果が示すように、第5スタンドの潤滑を従来通り比較例1の圧延油供給方法で行なう場合、ヒートスクラッチの発生により圧延速度は1700mpmが限界となり、高速圧延が阻害されていた。しかし、本発明を用いることにより、高速域におけるヒートスクラッチが解消されるため、ヒートスクラッチの発生を防止でき、2400mpmの高速圧延が可能となる。
本発明の実施形態に関わるタンデム圧延機への適用例を示す図。 ヒートスクラッチの防止に必要な極圧添加剤濃度の一例を示す図。 実施例の極圧添加剤制御に用いたストリップ温度に応じた目標極圧添加剤濃度を示す図。
符号の説明
1・・・ワークロール、2・・・バックアップロール、3.・・・ストリップ、4a・・・潤滑用クーラントヘッダー、4b・・・冷却用クーラントヘッダー、5・・・循環式圧延油供給タンク、6・・・エマルション供給用ポンプ、
7・・・圧延油供給ライン、8・・・流量制御弁、9・・・回収オイルパン、
10・・・戻り配管、11・・・アジテータ、
12・・・大粒径エマルションタンク、13・・・圧延油原油タンク、
14・・・温水タンク、15・・・ポンプ、16・・・バルブ、
17・・・アジテータ、18・・・エマルション供給用ポンプ、
19・・・圧延油供給ライン、20・・・気体供給ライン、
21・・・コンプレッサー、22・・・流量制御弁、
23・・・2流体ノズルヘッダー、24・・・ミキサー、
25・・・極圧添加剤供給用ギアポンプ、26・・・濃度調整用コントローラ、27・・・放射温度計

Claims (4)

  1. 冷間圧延におけるエマルション圧延油をストリップ上面及び下面に循環式に供給する第1の圧延油供給工程と、第1の圧延油供給工程のエマルションと同一種類でかつ第1の圧延油供給工程のエマルションより大きな平均粒径となるように調整したエマルション圧延油をロールバイトより離れた上流スタンド側の位置でストリップ上面及び下面に供給する第2の圧延油供給工程と、第2の圧延油供給工程で鋼板に付着しなかったエマルションを回収し、第1の圧延油供給工程のエマルションに合流させる回収・合流工程とを備えた冷間圧延方法において、
    前記第2の圧延油供給工程は、ストリップ温度に応じて、エマルション圧延油の極圧添加剤の濃度を調節する工程を備えていることを特徴とする冷間圧延方法。
  2. 極圧添加剤の濃度調節工程は、圧延スタンド出側でのストリップの温度をリアルタイムで計測する工程又は圧延スタンド出側でのストリップの温度の予測値を算出する工程と、計測又は算出により得られたストリップ温度が予め求めたヒートスクラッチ発生限界温度を越えないように、ストリップ温度とヒートスクラッチ発生限界温度との温度差に基づく極圧添加剤の濃度制御をおこなう工程とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の冷間圧延方法。
  3. 極圧添加剤の濃度制御をおこなう工程は、計測又は算出により得られたストリップ温度が予め求めたヒートスクラッチ発生限界温度未満では極圧添加剤の濃度を一定とし、前記ヒートスクラッチ発生限界温度となる時点で極圧添加剤の追加添加を開始することを特徴とする請求項2記載の冷間圧延方法。
  4. 第2の圧延油供給工程は、ミキサーを配置したヘッダーにてストリップ上面及び下面にエマルション圧延油及び同エマルション圧延油の極圧添加剤を供給する工程を備え、
    極圧添加剤の濃度調節工程は、前記ヘッダー直前あるいはヘッダー内に配置されたミキサーにてエマルション圧延油と極圧添加剤との混合比を調節してエマルション圧延油の極圧添加剤濃度を調節する工程を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の冷間圧延方法。
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